JP2007040567A - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膨張弁の流量特性が如何なる場合も膨張弁の安定した開度制御を可能とする。
【解決手段】 冷凍装置では、コントローラが膨張弁の開度制御を行う。このコントローラは、基準制御ゲインと膨張弁の特性関数とを記憶している。膨張弁の開度操作量を算出する場合、コントローラは、その時点の膨張弁の開度における特性関数の微分値(dV/dEV)を導出し、得られた特性関数の微分値で基準制御ゲインを除する演算を行って補正制御ゲインを算出する。そして、コントローラは、この得られた補正制御ゲインを用いて膨張弁の開度操作量を算出する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、冷凍装置における膨張弁の開度制御に関するものである。
従来より、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置が知られており、空調機等として広く利用されている。この種の冷凍装置としては、例えば特許文献1に開示されているように、ステッピングモータ等で弁体を駆動することにより開度可変となった膨張弁を備えるものが知られている。
ところで、一般的な膨張弁では、膨張弁を通過可能な冷媒流量が膨張弁の開度に比例しない場合が多い。つまり、膨張弁の開度が比較的小さい領域と比較的大きい領域とでは、開度を同じ量だけ変化させたとしても、その開度変化に伴う冷媒流量の変化量が相違してしまう。このため、膨張弁を適切な開度に設定することが困難となり、冷媒の流量調節を上手く行うことができないおそれがあった。
この問題に対し、特許文献1に開示された装置では、膨張弁の全閉から全開までを2つの領域に分け、その時の開度が何れの領域に属するかによって膨張弁の開度操作の速度を使い分けるようにしている。具体的には、膨張弁の開度変化に対する冷媒流量の変化が小さい領域では膨張弁の開度操作の速度を速くする一方、膨張弁の開度変化に対する冷媒流量の変化が大きい領域では膨張弁の開度操作の速度を遅くしている。
特開2001−179915号公報
しかしながら、膨張弁の開度領域ごとに開度操作の速度を使い分ける対策では、冷媒の流量を充分な精度で制御できないおそれがある。つまり、膨張弁の開度と通過流量の関係である流量特性が1つの変曲点を持つような場合には膨張弁の開度領域を2つに分ければ充分である。ところが、流量特性の変曲点は必ずしも1つとは限らず、そのような場合には膨張弁の開度領域を2つに分けただけでは膨張弁の開度を適切な値に設定できないおそれがある。また、膨張弁の開度領域の境界付近では、境界の前後で膨張弁の開度操作の速度が大幅に変化してしまい、膨張弁の開度制御を上手く収束させることができずに冷媒流量のハンチングを招くおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、膨張弁の流量特性が如何なる場合も膨張弁の安定した開度制御を可能とすることにある。
第1の発明は、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記冷媒回路(20)の膨張弁(42)の開度を所定の制御パラメータが目標値となるように制御する制御手段(90)とを備える冷凍装置を対象とする。そして、上記制御手段(90)は、上記膨張弁(42)の開度操作量を算出するための基準制御ゲインと、上記膨張弁(42)の流量特性を開度と流量の関数として表現した特性関数とを予め記憶し、上記膨張弁(42)の開度操作量を算出する時点の上記膨張弁(42)の開度における上記特性関数の微分値を算出し、算出した上記特性関数の微分値で上記基準制御ゲインを除して得られた補正制御ゲインを用いて上記膨張弁(42)の開度操作量を算出するものである。
第1の発明では、冷媒回路(20)に開度可変の膨張弁(42)が設けられる。冷媒回路(20)では、圧縮、凝縮、膨張、蒸発の各過程を順に経ながら冷媒が循環し、冷凍サイクルが行われる。膨張弁(42)の開度を変更すると、膨張弁(42)を通過する前後の冷媒圧力差や、膨張弁(42)を通過する冷媒の流量が変化する。膨張弁(42)の開度は、制御手段(90)によって調節される。この制御手段(90)は、例えば蒸発器の出口における冷媒の過熱度や、凝縮器の出口における冷媒の過冷却度などの制御パラメータが所定の目標値となるように、膨張弁(42)の開度を調節する。
この発明の制御手段(90)は、基準制御ゲインと膨張弁(42)に関する特性関数とを予め記憶している。膨張弁(42)の開度調節を行う場合、制御手段(90)は、その時点の膨張弁(42)の開度における上記特性関数の微分値(即ち、その時点の膨張弁(42)の開度における上記特性関数の傾き)を算出する。続いて、制御手段(90)は、算出した特性関数の微分値で基準制御ゲインを除し、その除算により得られた値を補正制御ゲインとする。そして、制御手段(90)は、得られた補正制御ゲインを用いて膨張弁(42)の開度操作量を算出する。
ここで、膨張弁(42)の開度を同じ量だけ変化させた場合に冷媒流量(即ち、膨張弁(42)を通過する冷媒流量)の変化が大ききほど特性関数の微分値が大きくなり、逆に冷媒流量の変化が小さいほど特性関数の微分値も小さくなる。従って、膨張弁(42)の開度変化に対する冷媒流量の変化量が大きい場合には、冷媒流量の変化量が小さい場合に比べて補正制御ゲインの値が小さくなり、その補正制御ゲインを用いて算出される膨張弁(42)の開度操作量も小さくなる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記膨張弁(42)を直動式の電子膨張弁とするものである。
第2の発明では、冷媒回路(20)の膨張弁(42)が直動式の電子膨張弁によって構成される。つまり、この発明の膨張弁(42)では、例えばニードル状の弁体がパルスモータ等の駆動手段に直結される。
本発明の制御手段(90)は、膨張弁(42)の開度操作量を定める時点の膨張弁(42)の開度における上記特性関数の微分値を算出し、算出した特性関数の微分値で基準制御ゲインを除することにより得られた補助ゲインを用いて膨張弁(42)の開度操作量を決めている。このため、従来のように膨張弁(42)の開度の変化速度を2段階に切り換えるものに比べ、膨張弁(42)の開度を高精度に制御することが可能となり、制御パラメータを目標値に確実に近付けることができる。
ここで、上述したように、従来は、膨張弁(42)の開度の変化速度が切り換わる境界の開度領域でハンチングが生じ、膨張弁(42)の開度制御を収束させるのが困難になるおそれがあった。これに対し、本発明では、膨張弁(42)の開度に応じて連続的に変化する特性関数の微分値を用いて補正制御ゲインを求めている。このため、補正制御ゲインの値が特定の開度を境に急激に変化することがなくなる。従って、本発明によれば、制御ゲインの急変に起因するハンチングを回避することができ、膨張弁(42)の開度制御を確実に収束させることが可能となる。
また、本発明では、補助制御ゲインを算出する際に膨張弁(42)の特性関数を利用している。このため、使用する膨張弁(42)の機種を変更した場合でも、機種変更後の膨張弁(42)に応じて制御ゲインを改めて設定し直す必要はなく、制御手段(90)が記憶する特性関数を機種変更後の膨張弁(42)のものに置き換えるだけで、機種変更後の膨張弁(42)の特性に応じた開度制御が可能となる。従って、本発明によれば、膨張弁(42)の開度制御を行う制御手段(90)の設計に要する労力を削減することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る冷凍装置によって構成された空気調和装置(10)である。
−空気調和装置の全体構成−
図1に示すように、本実施形態の空気調和装置(10)は、室外ユニット(11)と室内ユニット(12)とを備えている。この空気調和装置(10)では、室外ユニット(11)と室内ユニット(12)を連絡配管で接続することによって冷媒回路(20)が形成されている。
上記冷媒回路(20)には、圧縮機(41)と、四路切換弁(51)と、室外熱交換器(43)と、膨張弁(42)と、室内熱交換器(53)とが接続されている。冷媒回路(20)において、圧縮機(41)は、その吐出側が四路切換弁(51)の第1のポートに、その吸入側が四路切換弁(51)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、この冷媒回路(20)では、四路切換弁(51)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(43)と膨張弁(42)と室内熱交換器(53)とが配置されている。
上記四路切換弁(51)は、第1のポートと第3のポートが連通し且つ第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通し且つ第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換え可能となっている。
上記冷媒回路(20)には、温度や圧力のセンサが取り付けられている。具体的に、この冷媒回路(20)では、圧縮機(41)の吐出側に高圧圧力センサ(44)が、その吸入側に低圧圧力センサ(45)がそれぞれ接続されている。高圧圧力センサ(44)は圧縮機(41)から吐出された冷媒の圧力(即ち、冷凍サイクルの高圧)を、低圧圧力センサ(45)は、圧縮機(41)へ吸入される冷媒の圧力(即ち、冷凍サイクルの低圧)をそれぞれ検出する。また、この冷媒回路(20)では、室内熱交換器(53)の液側端の近傍に第1冷媒温度センサ(54)が、そのガス側端の近傍に第2冷媒温度センサ(55)が取り付けられている。これら温度センサ(54,55)は、配管の表面温度を検出することによって配管内の冷媒温度を間接的に検出する。
上記室外ユニット(11)には、圧縮機(41)と四路切換弁(51)と室外熱交換器(43)と膨張弁(42)とが収容されている。また、室外ユニット(11)には、室外ファン(48)も設けられている。この室外ファン(48)は、室外熱交換器(43)へ室外空気を供給する。一方、上記室内ユニット(12)には、室内熱交換器(53)が収容されている。また、室内ユニット(12)には、室内ファン(57)も設けられている。この室内ファン(57)は、室内熱交換器(53)へ室内空気を供給する。
上記空気調和装置(10)には、コントローラ(90)が設けられている。コントローラ(90)は、弁開度制御部(91)とメモリ(92)とを備えている。コントローラ(90)の詳細については後述する。
−膨張弁の構造−
上記冷媒回路(20)の膨張弁(42)は、直動式の電子膨張弁である。ここでは、この膨張弁(42)について、図2を参照しながら説明する。
上記膨張弁(42)では、円筒状のモータケーシング(71)の外周側に配設された固定子としてのソレノイド(72)と、該ケーシング(71)内に位置する回転子としてのロータ(73)に設けられたマグネット(74)とによってパルスモータ(75)が構成されている。この膨張弁(42)は、ロータ(73)の回転に応じて先端に弁部(76a)の設けられたニードル(76)を上下動させるように構成されている。
ロータ(73)は、円筒状のブッシュ(77)と、その外周側に配設されるマグネット(74)と、を備えている。ブッシュ(77)には、その回転中心近傍に下方に向かって開口する穴部(77a)が形成されている。この穴部(77a)は、その内周面にねじ山の形成された雌ねじになっている。そして、穴部(77a)内には、上端側をロータ(73)に固定されたニードル(76)が、下方に向かって延びるように配設されている。
モータケーシング(71)の下側には、柱状の本体部(78)が一体的に設けられている。この本体部(78)の内部には、側方及び下方に向かってそれぞれ開口する流通路としての穴部(78a,78b)が直交するように形成されている。この本体部(78)には、穴部(78a,78b)にそれぞれ連通して第1及び第2の管路(85,86)を形成するように第1及び第2の継手(79,80)が接続されている。第2の継手(80)の接続される穴部(78b)内には、弁部(76a)を受けるための弁座(81)が設けられている。
また、本体部(78)の内部には、弁座(81)の設けられた穴部(78b)から上方に向かって延びる穴部(78c)も形成されている。そして、本体部(78)の上側には、この穴部(78c)の内部空間と連通するように、上方に向かって延びる円筒部材(82)が配設されている。この円筒部材(82)の外周面上にはねじ部が形成されていて、ロータ(73)の穴部(77a)に螺合している。これにより、ロータ(73)が回転すると、モータケーシング(71)に固定された本体部(78)に対して、ロータ(73)は上下動することになる。
円筒部材(82)の内部において、ニードル(76)は、ロータ(73)に上端側が固定され、穴部(77a)内を下方に向かって延びる姿勢で配置されている。このニードル(76)は、前記円筒部材(82)の内部空間に連通する本体部(78)の穴部(78c)内にも挿通されている。ニードル(76)の下端の弁部(76a)は、本体部(78)の穴部(78a,78b)が互いに直交する部分(即ち、連通部(87))で、本体部(78)内に設けられた弁座(81)と対向する。これにより、上述のように、ロータ(73)が上下動すると、それに応じてニードル(76)が円筒部材(82)内及び本体部(78)の穴部(78c)内を上下動することになり、該ニードル(76)の下端の弁部(76a)が弁座(81)に対して上下動(第2の管路の長手方向に移動)し、これにより膨張弁(42)の開閉動作が行われることになる。
−運転動作−
上記空気調和装置(10)では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能となっている。
冷房運転時には、四路切換弁(51)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定される。この状態で圧縮機(41)を運転すると、室外熱交換器(43)が凝縮器となり、室内熱交換器(53)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機(41)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(43)で室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(43)で凝縮した冷媒は、膨張弁(42)を通過する際に膨張してから室内熱交換器(53)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。室内熱交換器(53)で蒸発した冷媒は、圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
暖房運転時には、四路切換弁(51)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定される。この状態で圧縮機(41)を運転すると、室内熱交換器(53)が凝縮器となり、室外熱交換器(43)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。具体的に、圧縮機(41)から吐出された冷媒は、室内熱交換器(53)で室内空気へ放熱して凝縮する。室内熱交換器(53)で凝縮した冷媒は、膨張弁(42)を通過する際に膨張してから室外熱交換器(43)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(43)で蒸発した冷媒は、圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
−コントローラの構成−
コントローラ(90)は、上述したように弁開度制御部(91)とメモリ(92)とを備えており、制御手段を構成している。
上記弁開度制御部(91)には、高圧圧力センサ(44)、低圧圧力センサ(45)、第1冷媒温度センサ(54)、及び第2冷媒温度センサ(55)のそれぞれから検出値が入力されている。
冷房運転において、この弁開度制御部(91)は、蒸発器である室内熱交換器(53)の出口における冷媒の過熱度を制御パラメータとし、この制御パラメータが所定の目標値(例えば5℃)となるように膨張弁(42)の開度制御を行う。つまり、冷房運転中の弁開度制御部(91)は、低圧圧力センサ(45)と第1冷媒温度センサ(54)の検出値を用いて冷媒の過熱度を算出し、その値が目標値に保たれるように膨張弁(42)の開度を調節する。
一方、暖房運転において、この弁開度制御部(91)は、凝縮器である室内熱交換器(53)の出口における冷媒の過冷却度を制御パラメータとし、この制御パラメータが所定の目標値(例えば5℃)となるように膨張弁(42)の開度調節を行う。つまり、暖房運転中の弁開度制御部(91)は、高圧圧力センサ(44)と第2冷媒温度センサ(55)の検出値を用いて冷媒の過冷却度を算出し、その値が目標値に保たれるように膨張弁(42)の開度を調節する。
上記メモリ(92)には、基準制御ゲインが予め記録されている。この基準制御ゲインの一例としては、PID制御の比例動作の比例ゲインが挙げられる。
また、このメモリ(92)には、膨張弁(42)の特性関数が予め記録されている。この特性関数は、膨張弁(42)の開度EVと膨張弁(42)を通過する冷媒の流量Vとの関係を表すものであって、膨張弁(42)を通過する冷媒の流量Vを膨張弁(42)の開度EVの関数(V=f(EV))として表現したものである。一般的な膨張弁(42)は、図3に示すように、膨張弁(42)を通過する冷媒の流量が膨張弁(42)の開度に比例しない流量特性を有するのが通常である。このため、メモリ(92)には、膨張弁(42)の特性関数が例えば二次近似式や三次近似式等の形式で記録されている。なお、図3に示す流量特性の膨張弁(42)では、同じ量だけ開度を変化させた場合でも、開度の小さい領域での冷媒の流量変化に比べて開度の大きい領域での冷媒の流量変化の方が大きくなっている。
−弁開度制御部の動作−
上述したように、弁開度制御部(91)は、蒸発器出口での冷媒過熱度等の制御パラメータが所定の目標値となるように膨張弁(42)の開度制御を行っている。この弁開度制御部(91)は、制御パラメータと目標値の差に応じて膨張弁(42)の開度操作量、即ち膨張弁(42)のパルスモータ(75)をどちらの方向へ何パルス分だけ回転させるかを決める。その際、弁開度制御部(91)は、メモリ(92)に記録された基準制御ゲインをそのまま用いるのではなく、この基準制御ゲインに補正を加えた補正制御ゲインを用いて膨張弁(42)の開度操作量を算出する。
弁開度制御部(91)は、メモリ(92)に記録された膨張弁(42)の特性関数(V=f(EV))を利用して補正制御ゲインを算出する。具体的に、弁開度制御部(91)は、膨張弁(42)の開度操作量を算出しようとする時点での膨張弁(42)の開度における特性関数の微分値を求める。膨張弁(42)の特性関数(V=f(EV))の導関数をdV/dEV=f'(EV)と表すことにする。そうすると、弁開度制御部(91)は、例えば膨張弁(42)の開度操作量を算出しようとする時点での膨張弁(42)の開度がX1であれば特性関数の微分値dV/dEV=f'(X1)を導出し、その時点での膨張弁(42)の開度がX2であれば特性関数の微分値dV/dEV=f'(X2)を導出することになる。そして、弁開度制御部(91)は、基準制御ゲインを導出した特性関数の微分値で除する演算を行い、この演算によって得られた値を補正制御ゲインとし、得られた補正制御ゲインを用いて膨張弁(42)の開度操作量を算出する。
ここで、図3に示す流量特性の膨張弁(42)では、膨張弁(42)の開度EV=X1から一定量(例えば10パルス分)だけ増やした場合の冷媒流量Vの変化量と、開度EV=X2から一定量(例えば10パルス分)だけ増やした場合の冷媒流量Vの変化量とを比較すると、前者の方が後者よりも大きくなる。一方、膨張弁(42)の開度EV=X1における特性関数の微分値dV/dEV=f'(X1)と、膨張弁(42)の開度EV=X2における特性関数の微分値dV/dEV=f'(X2)とを比較すると、こちらも前者の方が後者よりも大きくなる。従って、膨張弁(42)の開度EVがX1であるときの補助制御ゲインは、膨張弁(42)の開度EVがX2であるときの補助制御ゲインに比べて小さくなる。このため、例え制御パラメータの現在値と目標値の差が同程度であっても、膨張弁(42)の開度EVがX1前後のときは、膨張弁(42)の開度EVがX2前後のときに比べて膨張弁(42)の開度操作量が小さくなる。
−実施形態1の効果−
本実施形態のコントローラ(90)は、膨張弁(42)の開度操作量を定める時点での膨張弁(42)の開度における特性関数の微分値を算出し、算出した特性関数の微分値で基準制御ゲインを除することにより得られた補助ゲインを用いて膨張弁(42)の開度操作量を決めている。このため、従来のように膨張弁(42)の開度の変化速度を2段階に切り換えるものに比べ、膨張弁(42)の開度を高精度に制御することが可能となり、制御パラメータを目標値に確実に近付けることができる。
ここで、従来のように膨張弁(42)の開度の変化速度を膨張弁(42)の開度に応じて二段階に切り換えると、膨張弁(42)の開度の変化速度が切り換わる境界の開度領域でハンチングが生じ、膨張弁(42)の開度制御を収束させるのが困難になるおそれがあった。これに対し、本実施形態では、膨張弁(42)の開度に応じて連続的に変化する特性関数の微分値を用いて補正制御ゲインを求めている。このため、補正制御ゲインの値が特定の開度を境に急激に変化することは無くなる。従って、本実施形態によれば、補正制御ゲインの急変に起因するハンチングを回避することができ、膨張弁(42)の開度制御を確実に収束させることが可能となる。
また、本実施形態では、補助制御ゲインを算出する際に膨張弁(42)の特性関数を利用している。このため、使用する膨張弁(42)の機種を変更した場合でも、機種変更後の膨張弁(42)に応じて制御ゲインを改めて設定し直す必要はなく、コントローラ(90)のメモリ(92)が記憶する特性関数を機種変更後の膨張弁(42)のものに置き換えるだけで、機種変更後の膨張弁(42)の特性に応じた開度制御が可能となる。従って、本実施形態によれば、膨張弁(42)の開度制御を行うコントローラ(90)の設計に要する労力を削減することができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、開度可変の膨張弁を備える冷凍装置について有用である。
実施形態における空気調和装置の構成を示す冷媒回路図である。 実施形態における膨張弁の概略断面図である。 膨張弁の流量特性の一例を示す弁開度と冷媒流量の関係図である。
符号の説明
20 冷媒回路
42 膨張弁
90 制御手段

Claims (2)

  1. 冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記冷媒回路(20)の膨張弁(42)の開度を所定の制御パラメータが目標値となるように制御する制御手段(90)とを備える冷凍装置であって、
    上記制御手段(90)は、上記膨張弁(42)の開度操作量を算出するための基準制御ゲインと、上記膨張弁(42)の流量特性を開度と流量の関数として表現した特性関数とを予め記憶し、上記膨張弁(42)の開度操作量を算出する時点の上記膨張弁(42)の開度における上記特性関数の微分値を算出し、算出した上記特性関数の微分値で上記基準制御ゲインを除して得られた補正制御ゲインを用いて上記膨張弁(42)の開度操作量を算出する
    ことを特徴とする冷凍装置。
  2. 請求項1において、
    上記膨張弁(42)は、直動式の電子膨張弁であることを特徴とする冷凍装置。
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