JP2009131511A - ミシンの布送り制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単な構成で省スペース化をはかり、しかも、布の微小逆送りも行うことのできるミシンの布送り制御装置を提供すること。
【解決手段】 一端側が布送り制御用リンク5の中間部に連結された微小逆送り用リンク23と、微小逆送り用リンク23の他端側に連結され、布送り制御用リンク5を布逆送り方向側へ移動可能な微小逆送り用ソレノイド20と、微小逆送り用リンク23に当接可能な位置に配設され、微小逆送り用リンク23を所定位置で係止するストッパ55とを備え、微小逆送り用リンク23がストッパ55に当接するまで布送り制御用リンク5を移動させて、1つの微小逆送り用ソレノイド20を駆動して、布の微小逆送りを行うもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ミシンの布送り制御装置に係り、特に、糸切り時に布の微小逆送りを行うことのできるミシンの布送り制御装置に関する。
従来から、ミシンの送り歯により行われる布の正逆両方向の送りをその送りピッチを異なるように制御して行えるようにしたミシンの布送り制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−303493号公報
しかしながら、前述した特許文献1に記載の発明は、一体的に併設された2個のソレノイドを使用して前述した正逆両方向の微小布送りを行うようにしていたため、1箇所に2つのソレノイドのための大きなスペースが必要であった。また、2つのソレノイドを同時に使用する必要もあるため、構造が複雑で、汎用性に欠けるという問題点があった。
そこで、本発明は、簡単な構成で省スペース化をはかり、しかも、布の微小逆送りも行うことのできるミシンの布送り制御装置を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明のミシンの布送り制御装置の特徴は、水平方向に沿って進退自在に支持された送り調節体と、機枠に回動可能に支持され、一端側が前記送り調節体に当接可能な送り調節器と、機枠に回動可能に支持され、送り歯の送り量を設定する送り変換軸と、一端側が前記送り調節器に回動可能に支持され、他端側が前記送り変換軸に連結された布送り制御用リンクと、前記布送り制御用リンクの他端に連結され、前記布送り制御用リンクを移動させる正逆切換用ソレノイドとを有するミシンの布送り制御装置において、一端側が前記布送り制御用リンクの中間部に連結された微小逆送り用リンクと、前記微小逆送り用リンクの他端側に連結され、前記布送り制御用リンクを布逆送り方向側へ移動可能な微小逆送り用ソレノイドと、前記微小逆送り用リンクに当接可能な位置に配設され、前記微小逆送り用リンクを所定位置で係止するストッパとを備える点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、微小逆送り用ソレノイドを駆動して、微小逆送り用リンクを回動させ、この微小逆送り用リンクがストッパに当接するまで布送り制御用リンクを移動させて、送り調節器を回動させ、送り調節体を移動させて布を微小逆方向に送るように設定することができる。
また、本発明に係る他のミシンの布送り制御装置の特徴は、前記微小逆送り用リンクと前記布送り制御用リンクを連結する補助リンクを有し、前記補助リンクと前記微小逆送り用リンクの連結部、および前記補助リンクと前記布送り制御用リンクの連結部の少なくとも一方が、連結ピンと、前記連結ピンが挿入され、前記布送り制御用リンクの移動方向に沿って形成された長孔とを備え、前記正逆切換用ソレノイドの駆動時に、前記布送り制御用リンクの移動が前記微小逆送り用リンクに伝達されないよう、前記長孔は所定長さを有する点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、正逆切換用ソレノイドを駆動して布送り制御用リンクを移動させる際に、微小逆送り用リンクの連結ピンが長孔の移動によっても相対的に長孔内を移動するようにして定置状態にあるので、微小逆送り用リンクおよび微小逆送り用ソレノイドは静止状態を維持することになる。なお、連結ピン移動して、長孔が停止する構成でも同様の作用となる。
さらに、本発明に係る他のミシンの布送り制御装置の特徴は、前記連結ピンを前記長孔上端側に付勢するばね部材を備えた点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、送り調節体を進退させ、送り量を調節しても、連結ピンは長孔上端側に係合している。このため、微小逆送り用ソレノイドに通電したときに、微小逆送り用リンクにより上昇される連結ピンが連結部を直ちに押し上げるので、布の微小送りを応答性よく行うことができる。
さらにまた、本発明に係る他のミシンの布送り制御装置の特徴は、機枠に回動可能に支持されるとともに、偏心部が前記ストッパに当接する偏心ピンを備え、前記偏心ピンを回動させて、前記ストッパの位置を調節可能とした点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、偏心ピンを回動させることにより布の微小逆送りの際のピッチを調節することができる。
本発明に係るミシンの布送り制御装置によれば、簡単な構成で省スペース化をはかることができ、しかも、布の微小逆送りも行うことができる。
すなわち、請求項1に記載のミシンの布送り制御装置によれば、1つの微小逆送り用ソレノイドを駆動して、布の微小逆送りを行うことができ、簡単な構成で省スペース化をはかることができる。
請求項2に記載のミシンの布送り制御装置によれば、長孔が連結ピンの静止状態を許容するので、微小逆送り用リンクおよび微小逆送り用ソレノイドに無用な負荷が作用するのを防止することができる。
請求項3に記載のミシンの布送り制御装置によれば、連結ピンがばね部材により長孔上端側に付勢されているので、布の微小送りを応答性よく行うことができる。
請求項4に記載のミシンの布送り制御装置によれば、布の微小逆送りの際のピッチを任意に設定することができる。
図1は本発明に係るミシンの布送り制御装置の要部を示すものであり、布送りの制御を行う送り調節器1は、支軸2に回動可能に支持されており、この支軸2は、図示しないミシンフレーム(機枠)に支持されている。前記送り調節器1の後方には、進退自在な送り調節体3が送り調節器1に接触されるように配置されており、前記送り調節器1の傾斜状態により前記送り調節体3が進退し、布の送り方向および送りピッチが設定されるようになっている。
なお、図1において、前記送り調節器1が右下がりの状態で布の正方向への送りが設定され、前記送り調節器1が左下がりの状態で布の逆方向への送りが設定されるようになっている。また、前記送り調節器1の傾斜状態が急勾配になるにつれて、送りピッチが大きくなるようになっている。
前記送り調節器1の前端部には、ピン4が突設されており、このピン4には、ワッシャ4Aを介してほぼ上下方向に延在する布送り制御用リンク5の上端部が回動可能に枢着されている。この布送り制御用リンク5の上部には、引張り状態にあるコイルばね6の上端部が布送り制御用リンク5に形成されたねじ孔5Aに螺着されナット5Bにより保持されているピン7に係止されて接続されており、このコイルばね6は、斜め下方に延在して図示しないミシンフレームに他端部を係止されている。したがって、前記コイルばね6により前記布送り制御用リンク5は常時斜め下方に付勢されるようになっている。この結果、前記布送り制御用リンク5は下降位置を取り、前記送り調節器1を右下がりの状態に保持し、布を正方向へ送りる状態が設定されることになる。
前記布送り制御用リンク5の下方には、ミシンフレーム8の下面に固定されている正逆切換用ソレノイド9が配設されている。この正逆切換用ソレノイド9は、前述したようにコイルばね6により布を正方向へ送るように設定されている布送り制御用リンク5を上昇させて、送り調節器1を左下がりの状態に変更し、布を逆方向へ送る状態を設定するためのものである。
前記正逆切換用ソレノイド9のプランジャ10は、このソレノイド9に通電すると、図1において左方に後退するようになっており、また、このプランジャ10の外周面には、側方に突出するピン11が突設されている。
前記布送り制御用リンク5および前記プランジャ10の近傍には、これらの布送り制御用リンク5および前記プランジャ10を接続するためのベルクランク状の伝達リンク12が、図示しないミシンフレームに支持されている支軸13に回動自在に枢着されている。
前記伝達リンク12の前記プランジャ10側の端部にはフォーク部14が形成されており、このフォーク部14に前記プランジャ10のピン11が摺動自在に嵌合している。したがって、前記プランジャ10が移動することにより前記伝達リンク12が回動することになる。
また、前記伝達リンク12の前記布送り制御用リンク5側の端部は、ピン15により前記布送り制御用リンク12の下端部に枢着されている。前記ソレノイド9に通電すると前記プランジャ10が図1において左方に後退し、前記伝達リンク12が、図1において時計方向に回動し、前記布送り制御用リンク5が上昇する。この結果、コイルばね6に付勢されて布を正方向に送るように右下がり設定されていた送り調節器1は、左下がりとなり布を逆方向に送るように設定されることになる。
前記布送り制御用リンク5の下端部のピン15には、送り変換アーム71が布送り制御用リンク5の昇降に伴って回動される送り変換アーム71が枢着されている。また、この送り変換アーム71には、この送り変換アーム71と一体に回動される送り変換軸70が保持されている。そして、この送り変換軸70が回動されると、この回動に応じて図示しない送り歯が正逆いずれかの方向に所望のピッチで布送りするようになっている。
前記布送り制御用リンク5の上端部の近傍には、図示しないミシンフレーム(機枠)に固定されている微小逆送り用ソレノイド20が配設されている。この微小逆送り用ソレノイド20は、前述したようにコイルばね6により布を正方向へ送るように設定されている布送り制御用リンク5を上昇させて、送り調節器1を布の通常の逆送りより小さいピッチで逆送りする小さい傾斜状態の左下がりの状態に変更し、布を微小逆送りする状態を設定するためのものである。
前記微小逆送り用ソレノイド20のプランジャ21は、このソレノイド20に通電すると、図1において右方に後退するようになっており、また、このプランジャ21の外周面には、側方に突出するピン22が突設されている。
前記布送り制御用リンク5および前記プランジャ21の近傍には、これらの布送り制御用リンク5およびプランジャ21を間接的に接続するためのベルクランク状の微小逆送り用リンク23が、図示しないミシンフレームに支持されている支軸24に回動自在に枢着されている。
後述する図2ないし図4は、いずれも図1の斜め後方(紙面裏面)から見た分解斜視図である。
図2に詳示するように、前記微小逆送り用リンク23の前記プランジャ21側の端部にはフォーク部25が形成されており、このフォーク部25に前記プランジャ21のピン22が摺動自在に嵌合している。したがって、前記プランジャ21が移動することにより前記微小逆送り用リンク23がミシンフレーム(機枠)に対し回動することになる。また、前記微小逆送り用リンク23には、前記支軸24が挿通される孔26の外周にボス27が突設されており、このボス27には、前記微小逆送り用リンク23を、図1において時計方向に回動させるコイルばね28が巻回されている。
前記微小逆送り用リンク23の前記布送り制御用リンク5側の端部には、ねじ状の連結ピン29がねじ孔23Aにスペーサ23Bを介して螺着されナット23Cにより固定されるようにして突設されている。この連結ピン29は、上部に長孔31が形成されている補助リンク30の前記長孔31に挿通され、この長孔31に沿って相対的に移動しうるようになっている。前記長孔31の長手方向は、前記布送り制御用リンク5の移動方向に一致している。すなわち、前記長孔31は、前記布送り制御用リンク5の移動方向に沿って形成されていることになる。そして、これらの連結ピン29と長孔31が連結部を構成している。また、前記補助リンク30の下部には、円形孔32が形成されている。
図1において、前記布送り制御用リンク5の上下方向のほぼ中央部の左側面には、図3に詳示する切欠き33が形成されている。
一方、前記布送り制御用リンク5の近傍には、図3に詳示するように、手動により前記送り調節器1を布の逆送り方向へ回動させるために布送り制御用リンク5を上昇させるための、中間部が屈曲している手動レバー35が配設されている。この手動レバー35の基端部には、水平方向の軸線を有する円筒部36が形成されている。また、手動レバー35の屈曲した先端部には、手で操作するための押動部37が形成されている。
また、前記手動レバー35の中間部の上面には、フック38が突設されており、このフック38には、上端を図示しないミシンフレームに係止され前記手動レバー35を上方に付勢するためのコイルばね39の下端が係止されている。また、前記手動レバー35の中間部の上面には、図示しないミシンフレームに支持され、前記コイルばね39による手動レバー35の上方への移動を拘束するストッパ40が当接している。さらに、前記手動レバー35の中間部の側面の上部には、ピン41が突設されている。
前記手動レバー35の前記円筒部36には、この手動レバー35を回動自在に支持する円柱状で長尺の支軸42が挿通されている。この支軸42の一端部には、扁平長方形状の従動用突起43が突設されている。この従動用突起43には、駆動用板体44に形成された扁平長方形状の駆動用開口45が嵌合されている。この駆動用板体44は、前記従動用突起43の先端に螺着されているねじ46の頭部により前記支軸42に固定されている。
前記駆動用板体44は、前記手動レバー35に突設されているピン41の下方にまで延在しており、前記手動レバー35の押動部37を押し下げることにより前記ピン41が駆動用板体44を押し下げて、この駆動用板体44を、図1において反時計方向に回動させるようになっている。
前記支軸42の外周面には、駆動アーム47およびボス47Aが固定されている。
前記駆動アーム47は、全体としてくの字状をなしており、前記支軸42の外周面に被着される円形孔48と、この円形孔48から一端部に到達するスリット49とを有している。このスリット49は、スリット49の平面に対し直交するようにして駆動アーム47に螺着されるねじ50により前記支軸42に円周方向の調節を可能として嵌着されるようになっている。
前記駆動アーム47には、前記スリット49と反対方向の端部に、側方に突出するピン51が突設されている。このピン51は、前記布送り制御用リンク5に形成されている前記切欠き33を挿通し、前記補助リンク30に形成されている前記円形孔32に嵌着されている。このため、微小逆送り用リンク23は、補助リンク30、ピン51を介して布送り制御用リンク5の中間部に連結されている。
前記伝達リンク23の近傍には、図4に詳示するように、前記微小逆送り用ソレノイド20を駆動することにより布送り制御用リンク5を上昇して送り調節器1を回動させ、布の微小逆送りを行う際における布の微小送りのピッチを設定するために、前記微小逆送り用リンク23に当接して前記布送り制御用リンク5のストロークを規制するストッパ55が配設されている。
前記ストッパ55は、平面視L字状をなしており、長手方向の中央部が図示しないミシンフレームにワッシャ56Aを介してねじ56により固定されるようになっている。また、前記ストッパ55には、水平方向に延在する切欠き57が形成されており、この切欠き57には、偏心ピン58の偏心部59が挿通され、ワッシャ60により抜け止めされている。さらに、前記ストッパ55の屈曲している先端部の下面に、前記微小逆送り用リンク23のピン29側の上面が当接しうるようになっている。
したがって、前記ねじ56を緩めてストッパ55を回動しうるようにしたうえで、前記偏心ピン58を回動することにより、前記偏心部59の位置が変化するので、この偏心部59が切欠き57の内周縁を押圧してストッパ55の傾斜状態を変化させることができる。この結果、前記ストッパ55に当接するまでの前記微小逆送り用リンク23のストロークを変化することができる。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
まず、正逆切換用ソレノイド9および微小逆送り用ソレノイド20のいずれもに通電されていない状態においては、布送り制御用リンク5は、コイルばね6により斜め下方に付勢され、下降状態を維持している。この状態においては、送り調節器1は布を正方向に送るようになっている。一方、送り変換軸70により送り歯(図示せず)が布を正方向に送るように設定されている。
このような状態において、布を正方向へ送るピッチと同様のピッチで逆方向に送る場合には、正逆切換用ソレノイド9に通電する。すると、図1において、正逆切換用ソレノイド9のプランジャ10が左方に後退して伝達リンク12が時計方向に回動することにより布送り制御用リンク5が上昇されることになる。この結果、右下がり状態にあった送り調節器1は、左下がり状態となり布の逆送り状態が設定される。一方、布送り制御用リンク5の上昇により、送り変換軸70も回動し、送り歯(図示せず)が布を逆方向に送るように設定される。
前述した布送り制御用リンク5の上昇時、この布送り制御用リンク5の切欠き33に駆動アーム47のピン51が挿通されているので、駆動アーム47は図1において反時計方向に回動することになる。すると、駆動用板体44も反時計方向に回動するが、この駆動用板体44が反時計方向へ回動すると、駆動用板体44が手動レバー35のピン41から離間することになる。したがって、手動レバー35が移動することはなく、手動レバー35の無用な動作を防止することができる。
さらに、前述した正逆切換用ソレノイド9の駆動(布逆送り方向に設定する)に伴う布送り制御用リンク5の上昇時、微小逆送り用リンク23に突設されている連結ピン29は、補助リンク31の縦長の長孔31内に位置している。したがって、布送り制御用リンク5が上昇しても、この布送り制御用リンク5とともに上昇する補助リンク31の長孔31の上部から下部に対向することになるので、微小逆送り用リンク23および微小逆送り用ソレノイド20に負荷が作用することがない。よって、これらの微小逆送り用リンク23および微小逆送り用ソレノイド20に悪影響を与えることがない。
なお、前記正逆切換用ソレノイド9への通電を解除すると、正逆切換用ソレノイド9のプランジャ10が右方に突出して伝達リンク12が反時計方向に回動することにより布送り制御用リンク5がコイルばね6の付勢により下降されることになる。この結果、左下がり状態にあった送り調節器1は、右下がり状態となり布の正送り状態が再度設定されることになる。一方、布送り制御用リンク5の下降により、送り変換軸70も回動し、送り歯(図示せず)が布を正方向に送るように再設定される。
また、正逆切換用ソレノイド9および微小逆送り用ソレノイド20のいずれもに通電されてなく、送り調節器1が布を正方向に送る状態において、布を逆方向に微小送りするときには、微小逆送り用ソレノイド20に通電する。この結果、この微小逆送り用ソレノイド20のプランジャ21が、図1において右方へ後退し、微小逆送り用リンク23を時計方向に回動する。すると、微小逆送り用リンク23のピン29が補助リンク30の長孔31に挿通されているので、補助リンク30を上昇させることになる。
前記補助リンク30の下方の円形孔32には、前記布送り制御用リンク5の切欠き33に挿通されている駆動アーム47のピン51が嵌着されているので、このピン51が補助リンク30の上昇に伴って上昇し、この結果、ピン51が布送り制御用リンク5の切欠き33の上縁を押し上げる。
したがって、布送り制御用リンク5は上昇し、ストッパ55の屈曲している先端部の下面に、微小逆送り用リンク23のピン29側の上面が当接することにより布送り制御用リンク5の上昇は停止される。この結果、送り調節器1の傾斜状態が変化し、布の逆方向の微小送りが設定されることになる。一方、布送り制御用リンク5の上昇により、送り変換軸70も回動し、送り歯(図示せず)が布を逆方向に微小送りするように設定される。
なお、前記微小逆送り用ソレノイド20への通電を解除すると、微小逆送り用ソレノイド20のプランジャ21が左方に突出して微小逆送り用リンク23が反時計方向に回動することにより布送り制御用リンク5がコイルばね6の付勢により下降されることになる。この結果、左下がり状態にあった送り調節器1は、右下がり状態となり布の正送り状態が再度設定されることになる。一方、布送り制御用リンク5の下降により、送り変換軸70も回動し、送り歯(図示せず)が布を正方向に送るように再設定される。
以上説明したように、本実施形態のミシンの布送り制御装置によれば、布の逆送りおよび微小逆送りをそれぞれ独立した個別の正逆切換用ソレノイド9および微小逆送り用ソレノイド20により行うようになっているので、並列した2個のソレノイドを同時に使用する場合のある従来のものと比較して、各ソレノイド9,20を設置する位置を広く選択できるため、各種のミシンに使用することができ、汎用性がある。また、構成が簡単で、省スペース化をはかることができる。
さらに、前記正逆切換用ソレノイド9あるいは微小逆送り用ソレノイド20を使用して布送り制御用リンク5を上昇させる際には、補助リンク30に長孔31が形成されており、駆動用板体44は手動レバー35のピン41から離間する方向に回動するので、このとき使用しない各ソレノイド9,20あるいは手動レバー35に力の伝達は生じることがなく、各ソレノイド9,20あるいは手動レバー35に無用の動きを生じさせない。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、実施形態においては、長孔31を補助リンク30に設けるように説明したが、布送り制御用リンク5に直接形成するようにしてもよい。また、補助リンク30と微小逆送り用リンク23の連結部、または前記補助リンク30と布送り制御用リンク5の連結部が、連結ピン29と、この連結ピン29が挿入され、連結ピン29の移動方向に沿って形成された長孔31とを備えるようにしてもよい。
本発明に係るミシンの布送り制御装置の要部の実施形態を示す正面図 図1の微小逆送り用リンク近傍の詳細を示す図1の斜め後方から見た分解斜視図 図1の布送り制御用リンクおよび手動レバーの近傍の構成を示す図1の斜め後方から見た分解斜視図 図1のストッパの構成を示す図1の斜め後方から見た分解斜視図
符号の説明
1 送り調節器
5 布送り制御用リンク
6 コイルばね
8 ミシンフレーム
9 正逆切換用ソレノイド
10 プランジャ
12 伝達リンク
20 微小逆送り用ソレノイド
21 プランジャ
23 微小逆送り用リンク
29 連結ピン
30 補助リンク
31 長孔
32 円形孔
33 布送り制御用リンク5の切欠き
35 手動レバー
41 手動レバー35のピン
47 駆動アーム
51 ピン
55 ストッパ
58偏心ピン
70 送り変換軸

Claims (4)

  1. 水平方向に沿って進退自在に支持された送り調節体と、
    機枠に回動可能に支持され、一端側が前記送り調節体に当接可能な送り調節器と、
    機枠に回動可能に支持され、送り歯の送り量を設定する送り変換軸と、
    一端側が前記送り調節器に回動可能に支持され、他端側が前記送り変換軸に連結された布送り制御用リンクと、
    前記布送り制御用リンクの他端に連結され、前記布送り制御用リンクを移動させる正逆切換用ソレノイドとを有するミシンの布送り制御装置において、
    一端側が前記布送り制御用リンクの中間部に連結された微小逆送り用リンクと、
    前記微小逆送り用リンクの他端側に連結され、前記布送り制御用リンクを布逆送り方向側へ移動可能な微小逆送り用ソレノイドと、
    前記微小逆送り用リンクに当接可能な位置に配設され、前記微小逆送り用リンクを所定位置で係止するストッパとを備えることを特徴とするミシンの布送り制御装置。
  2. 前記微小逆送り用リンクと前記布送り制御用リンクを連結する補助リンクを有し、
    前記補助リンクと前記微小逆送り用リンクの連結部、および前記補助リンクと前記布送り制御用リンクの連結部の少なくとも一方が、
    連結ピンと、前記連結ピンが挿入され、前記布送り制御用リンクの移動方向に沿って形成された長孔とを備え、前記正逆切換用ソレノイドの駆動時に、前記布送り制御用リンクの移動が前記微小逆送り用リンクに伝達されないよう、前記長孔は所定長さを有することを特徴とする請求項1に記載のミシンの布送り制御装置。
  3. 前記連結ピンを前記長孔上端側に付勢するばね部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載のミシンの布送り制御装置。
  4. 機枠に回動可能に支持されるとともに、偏心部が前記ストッパに当接する偏心ピンを備え、前記偏心ピンを回動させて、前記ストッパの位置を調節可能としたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のミシンの布送り制御装置。
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