本発明に係る熱交換器および電子機器収納箱を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る熱交換器の構成を説明する。
図1に示すように、かかる熱交換器1は、例えば電子機器収納箱100(図6参照)や電子機器試験箱200(図13参照)等の密閉容器の内部で発生する熱を外部に放出するためのものであって、密閉容器の内部側と外部側とを区画するベース板10と、このベース板10の内側に立設された内側フィン20と、ベース板10の外側に立設された外側フィン30と、内側フィン20または外側フィン30の先端部に固定されたファン40と、を備えたことを特徴とする。なお、本実施形態では、図6に示す電子機器収納箱100に設けられ、室内側の内側フィン20にファン40が設けられた場合の熱交換器1を例に挙げて説明する。
図2に示すように、ベース板10は、正面視矩形の板状を呈しており、電子機器収納箱100の取り付けた際に室内側となる一方の面に内側フィン20が立設され、室外側となる他方の面に外側フィン30が立設されている。本実施形態では、壁パネル120に取り付けられる場合のベース板10は、縦長の長方形を呈しており、左右幅方向両端に、隣接する熱交換器1同士で互いに係合する連結部11a,11bがそれぞれ形成されている。図1に示すように、一方の連結部11aは、ベース板10の幅方向一端で長手方向に沿って形成された突条にて構成されている。他方の連結部11bは、ベース板10の幅方向一端で長手方向に沿って形成され前記突条を覆うように形成された溝構成材にて構成されている。突条からなる連結部11aが、隣接する熱交換器1の連結部11bの溝に入り込んで係合し、互いに隣接する熱交換器1,1同士を幅方向に連結することとなる。
図1および図2に示すように、内側フィン20は、ベース板10に対して直角に複数立設されており、ベース板10の長手方向に沿って延びてそれぞれ形成されている(図2の(a)および図3参照)。また、外側フィン30は、ベース板10の内側フィン20の設置面とは逆側の面で、ベース板10に対して直角に複数立設されている。外側フィン30は、ベース板10の長手方向に沿って延びてそれぞれ形成されており(図2の(c)および図4参照)、内側フィン20と平行となっている。
先端部にファン40が設けられた側である複数のフィン、すなわち内側フィン20,20・・・は、隣り合う内側フィン20,20同士の間隔が、隣り合う外側フィン30,30同士の間隔よりも小さくなるように構成されている。また、内側フィン20は、その高さが他方の外側フィン30の高さよりも低くなるように構成されている。すなわち、ファン40が設けられる内側フィン20の設置間隔を小さくすることで、熱交換性に影響するフィンの表面積を確保し、これによって、内側フィン20の高さを低くでき、ファン40の取付け高さを低く抑えるようになっている。
ファン40が設けられているフィン、すなわち内側フィン20,20・・・は、その表面積の合計が、他方の外側フィン30,30・・・の表面積の合計よりも小さくなるように構成されており、ファン40が設けられていない外側フィン30の表面積を大きくすることで、吸熱と放熱のバランスを保って、熱交換性能を高めている。これは、内側フィン20は、ファン40が設けられていることによって周囲の空気が撹拌されるので、表面積が小さくても高い熱交換性能を得られるためである。
内側フィン20の並列方向外側(ベース板10の幅方向外側)両端部には、ファン40を固定するための溝21がそれぞれ形成されている。この溝21は、内側フィン20の長手方向に沿って連続して形成されており、断面矩形の形状を呈している。溝21の内部には、角型のナット22(図1参照)が回転不可能に収容されており、このナット22にボルト41を螺合させることで、ファン40を内側フィン20の先端部に固定するようになっている。溝21の開口部分の両側には、互いに対向する折曲げ部21a,21aが形成されており、この折曲げ部21a,21aにナット22が係止されて、溝21から離脱しないように構成されている。
前記のような構成のベース板10と内側フィン20と外側フィン30は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材5によって一体的に形成されている。押出形材5は、ベース板10の長手方向が押出方向となっている。
ファン40は、公知の形状の羽根43aを有するファン本体43(図2参照)と、このファン本体43を収容する枠44とを備えている。枠44は、正面視略正方形を呈しており、内側フィン20側に位置する第一プレート44aと、第一プレート44aと所定の間隔(ファン本体43の奥行寸法と同等)を隔てて設けられた第二プレート44bと、これら第一プレート44aと第二プレート44bとを連結する連結プレート44cとで構成されている。枠44は、各部材がアルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されている。第一プレート44aと第二プレート44bは、互いに平行となっており、さらにベース板10と平行になるように配置されている。第一プレート44aと第二プレート44bは、外形が略正方形を呈しており、中心部にファン本体43の外形よりも若干大きい円形の孔44d(図2の(a)参照)が形成されて、この孔44dを介して風が流される。連結プレート44cは、第一プレート44aと第二プレート44bの外周縁を間欠的に繋ぐプレートにて形成されており、ファン40の側面からも連結プレート44c,44c間の隙間を介して風が流されるようになっている。
枠44は、その対角線(第一プレート44aおよび第二プレート44bの一対の対角線)のうち、一方の対角線の延出方向が当該ファン40の設けられた内側フィン20の長手方向に沿うように構成されている。これによって、他方の対角線は、ベース板10の幅方向に沿うように構成されている。この対角線の両端の角部近傍には、ボルト貫通孔(図示せず)が第一プレート44aと第二プレート44bにそれぞれ形成されている。そして、枠44は、そのボルト貫通孔が、内側フィン20の両端に形成された溝21に相当する部分に位置するように構成・配置されている。室内側から幅方向両側のボルト貫通孔にボルト41をそれぞれ挿通させて、各溝21内のナット22に螺合させることで、ファン40が内側フィン20の先端部に固定される。このとき、ファン本体43の回転領域(羽根43aの外周部分で囲まれた領域)は、内側フィン20の設置部分に全て含まれることとなるので、ファン40により発せられる風流が有効に活用される。
図2の(a)および図3に示すように、ファン40は、内側フィン20の長手方向に沿って複数並設されている。複数のファン40は、互いに等間隔で配置され、且つ、各ファンの、内側フィン20の長手方向に沿う対角線が、一直線上に並ぶように配置されている。これによって、各ファン40は、整列され一直線上に配置されることとなり、美観を向上させることができる。
次に、かかる熱交換器1が設けられる電子機器収納箱100(密閉容器)の構造と、電子機器収納箱100と熱交換器1との連結構造を説明する。なお、図2乃至図4では、壁パネル120の高さ方向において、一の熱交換器1を設けた場合を図示しているが、図6では、壁パネル120の高さ方向において、二つに分割した状態の熱交換器1を設けた場合を図示している。これらの熱交換器1,1は、高さが異なるだけで、断面形状は同一である。
図6に示すように、電子機器収納箱100は、屋根パネル110や壁パネル120などのパネル材で室全体が気密状態で覆われたものである。図8に示すように、壁パネル120は、コア材121と、このコア材121の周縁部に配置されたフレーム材122と、コア材121およびフレーム材122の両面に貼り付けられた表面材123と、を備えている。また、図9に示すように、隣り合う壁パネル120,120同士は、隣り合うフレーム材122,122に互いに対向するように形成された一対の嵌合溝124で構成される嵌合孔125に、この嵌合孔125に嵌合する嵌合部材126を挿入するとともに、隣り合う表面材123,123間に、気密性を確保するためのパッキン130を介設することで気密状態を保持して固定されている。
図8に示すように、壁パネル120は、正面視で矩形平面状を呈しており、コア材121および表面材123も矩形平面状に形成され、フレーム材122は矩形形状に組み付けられている。
コア材121は、例えば、硬質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォームなどの断熱材から構成されており、電子機器収納箱100(図6参照)の断熱効果を高める。なお、コア材121は、前記材質に限られるものではなく、例えば、アルミニウム板をハニカム状に配列して形成したものであってもよい。
フレーム材122は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。フレーム材122は、中空部を有する筒状に形成されている。コア材121の左右両端で垂直方向に延びて配置される垂直フレーム材122a,122aには、嵌合部材126(図9参照)が嵌合される嵌合溝124がそれぞれ形成されている。
詳しくは図9に示すように、嵌合溝124は、断面T字状を呈しており、壁パネル120の外周側(隣接する壁パネル120側)に向かってT字の脚部が開口するように形成されている。嵌合溝124の開口部分の両側には、フレーム材122の外周方向外方に延出する突条124aが形成されている。この突条124aは、後述する表面材123のリップ部123aの配置スペースを確保するとともに、壁パネル120,120同士を連結する際に壁パネル120,120間に挿入されるパッキン130の挿入スペースを確保する役目を果たす。垂直フレーム材122aの、表面材123が接する外側表面には、垂直方向に延びる溝122cが所定間隔で複数列形成されている。溝122cを設けたことによって、表面材123を貼り付けるための接着剤を溝122cの内部に挿入することができ、フレーム材122と表面材123との接着性を高めることができる。
図8に示すように、コア材121の上下両端部で水平方向に延びて配置される水平フレーム材122b,122bは、断面矩形を呈した角パイプ状に形成されている。なお、垂直フレーム材122aや水平フレーム材122bの中空部内にリブを設けて補強するようにしてもよい。
垂直フレーム材122aは、コア材121の上下より所定長さ突出して、壁パネル120の上端から下端まで延びて配置されており、水平フレーム材122bは、その両端が、コア材121を挟んで向かい合う一対の垂直フレーム材122a,122aの背面122d,122dにそれぞれ当接するように配置されている。すなわち、一対の垂直フレーム材122a,122a間の上下部分で、水平フレーム材122b,122bがそれぞれ挟み込まれるようになっている。これによって、嵌合溝124は、壁パネル120の上端から下端の全長にかけて形成されることとなる。
表面材123は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の板材にて構成されており、導電性を備えている。表面材123は、コア材121とフレーム材122の室内側および室外側の両側面を覆うように一対設けられており、それぞれ一体形成されている。表面材123は、その四辺の周縁部において、フレーム材122の外周面に所定長さで折り曲げられるリップ部123aが形成されている(詳しくは図9および図10の(a)参照)。室内側および室外側に貼り付けられる一対の表面材123,123のうちの少なくとも一方の表面材123の外面側表面(コア材121と接する面とは逆側の面)には、導電性塗料129(図9参照)が一面に塗布されている。本実施の形態では、導電性塗料129は、室内側の表面材123の外面側表面に塗布されている。導電性塗料129は、リップ部123aの表面まで塗布されている。
導電性塗料129は、導電剤と樹脂バインダーとで構成されている。導電剤には、ニッケル粒子や銀、銅、カーボンなどの粉体が用いられ、樹脂バインダーとしては、アクリル、ビニル、エポキシ、アルキドなどが用いられている。導電性塗料129は、樹脂バインダー内で、導電剤同士が接触することで、導電性が発現される。なお、表面材123の、導電性塗料129が塗布されない面には、陽極酸化処理が施されている。
隣り合う壁パネル120,120同士のパネル連結部分は、図9の右部および図10の(a)に示すようになっている。パネル連結部分は、壁パネル120,120の垂直フレーム材122a,122a同士が突き合わされており、それぞれの嵌合溝124,124が互いに向かい合って、断面H字状の嵌合孔125が形成されることとなる。嵌合孔125には、嵌合孔125の内周形状と同等の外周形状、すなわち、断面T字の脚部同士を連結してなる断面H字状の嵌合部材126が、嵌合挿入されている。嵌合孔125は、壁パネル120の上端から下端までの全長に渡って形成されている。壁パネル120,120を突き合わせた後に、嵌合部材126は、壁パネル120,120の上方から挿入される。嵌合部材126は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されており、嵌合孔125に嵌合するように構成されている。このように、寸法精度の高いアルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材でフレーム材122および嵌合部材126を形成することで、壁パネル120,120同士がガタつかずに固定されるような形状となっている。
隣り合う壁パネル120,120の垂直フレーム材122a,122a間の隙間には、パッキン130が介設されている。パッキン130は、垂直フレーム材122aの嵌合溝124の両側に折り曲げられた、表面材123のリップ部123aに接するように設けられている。本実施の形態では、室内側の表面材123,123のリップ部123a,123a間、すなわち、導電性塗料129が塗布されたリップ部123a,123a間に、パッキン130が設けられている。
図10に示すように、パッキン130は、幅方向両端が厚く形成されたシート状の部材であって、リップ部123a,123a間の隙間に、垂直方向に延びて配置されている。パッキン130は、柔軟性を有する芯材130aの表面を、導電性を有する導電性材料130bで被覆して構成されており(図10の(b)参照)、パッキン全体で導電性を有している。芯材130aは、例えば、ゴムや樹脂あるいはウレタン製スポンジで構成されている。導電性材料130bは、例えば、ニッケルメッキを施したナイロン素材の布状の部材であって、芯材130aの周囲に接着されている。
パッキン130は、リップ部123a,123a間の隙間に、押し込み用のゴムパッキン131で押し込まれて挿入されている。ゴムパッキン131は、ゴムや樹脂などの弾性体によって構成されており、隙間に沿って垂直方向に延びるシート部131aの両側に、複数の襞131bが形成されている(図10の(b)参照)。このような構成によれば、パッキン130は、断面略U字状に変形され、襞131bによって表面材123のリップ部123aに押圧されている。また、パッキン130をゴムにて構成すれば、パッキン130の復元力によって、表面材123のリップ部123aへの密着性が高まる。
導電性塗料129が塗布されていない表面材123,123のリップ部123a,123a間(本実施の形態では、室外側のリップ部123a,123a間)には、パッキン130は設けなくてもよく、ゴムパッキン131のみを挿入するようにしてもよい(図10の(a)の上側参照)。このような構成によれば、室外側の防音性および防水性を確保できる。
図6の左側部および図11に示すように、電子機器収納箱100の壁面の四つのコーナー部には、コーナー柱140が設けられている。コーナー柱140は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。コーナー柱140の、隣接する壁パネル120との連結面には、壁パネル120に形成された嵌合溝124と同様の断面形状の嵌合溝141が形成されている。この嵌合溝141の開口部分の両側には、隣接する壁パネル120側に延出する突条141aが形成されている。この突条141aは、コーナー柱140と壁パネル120とを連結する際に、コーナー柱140と壁パネル120との間に挿入されるパッキン130の挿入スペースを確保する役目を果たす。
隣り合う壁パネル120とコーナー柱140との連結構造は、隣り合う壁パネル120,120同士の連結構造と同等である。すなわち、壁パネル120とコーナー柱140とを突き合わせると、それぞれの嵌合溝124,141が互いに向かい合って、断面H字状の嵌合孔125が形成されることとなる。嵌合孔125には、嵌合部材126が嵌合挿入されている。
コーナー柱140の、嵌合溝141よりも室内側の面には、導電性塗料129が、塗布されている。隣り合う壁パネル120とコーナー柱140との間の室内側の隙間には、導電性のパッキン130が介設されている。パッキン130は、室内側の導電性塗料129が塗布されたリップ部123aとコーナー柱140との間に設けられている。パッキン130は、押し込み用のゴムパッキン131で、室内側から押し込まれて挿入されている。これによって、壁パネル120の室内側の表面材123とパッキン130とコーナー柱140の室内側表面とが電気的に接続されて導電性を得ることができる。
隣り合う壁パネル120とコーナー柱140間の室外側の隙間には、パッキン130は設けなくてもよく、防音性および防水性を確保するために、ゴムパッキン131のみが挿入されている。
図6および図11の下部には、扉150を有する壁パネル120aが図示されている。扉150は、閉時に電波を遮蔽するように構成されている。図11に示すように、扉150は、扉本体パネル154と扉枠材155とを備えている。扉本体パネル154の周縁部、または扉枠材155の、扉本体パネル154との当接部分の少なくとも一方(本実施の形態では扉枠材155のみ)に導電性の扉用パッキン156が設けられている。
扉本体パネル154は、通常の壁パネル120と同様に、内部に設けられるパネル状のコア材151と、このコア材151の周縁部四辺に配置されたフレーム材152と、コア材151およびフレーム材152の室内側および室外側の両面に貼り付けられた導電性の表面材153と、を備えている。コア材151、フレーム材152および導電性の表面材153の材質は、壁パネル120のコア材121、フレーム材122および表面材123と同等である。室内側の表面材153の室内側表面には、導電性塗料129が一面に塗布されている。
扉本体パネル154の周囲には、全周に渡って、扉枠材155が設けられている。扉枠材155は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。垂直方向に延びる垂直扉枠材155aには、壁パネル120の嵌合溝124と同様の断面形状の嵌合溝155bが形成されている。この嵌合溝155bの開口部分の両側には、隣接するコーナー柱140側に延出する突条155cが形成されている。この突条155cは、扉本体パネル154を有する壁パネル120aと、コーナー柱140とを連結する際にパッキン130の挿入スペースを確保する役目を果たす。隣り合うコーナー柱140との連結は、壁パネル120aとコーナー柱140とを突き合わせると、それぞれの嵌合溝155b,141が互いに向かい合って、断面H字状の嵌合孔125が形成されることとなる。嵌合孔125には、嵌合部材126が嵌合挿入されている。なお、コーナー柱140側の垂直扉枠材155aとは逆側の垂直扉枠材(図示せず)も同等の構成となっており、嵌合部材を介して隣接する壁パネル120(図6参照)と接続されている。
扉枠材155の内周面には、扉150の閉時に、扉本体パネル154を受ける扉受プレート155dが形成されている。扉受プレート155dには、導電性の扉用パッキン156が設けられている。扉用パッキン156は、パッキン130と同様の材質で構成されており、柔軟性を有するゴム等の芯材の表面を、導電性を有する導電性材料で被覆して構成されている。扉用パッキン156は、断面略レ字状(略L字状)に形成されており、扉本体パネル154と扉受プレート155d間で押圧されて変形する。これによって、扉用パッキン156は、扉本体パネル154に適度な圧力で接触することで、扉受プレート155dと扉本体パネル154間で導電性と気密性を確保することができる。
扉本体パネル154は、ヒンジ154eを介して扉枠材155に開閉自在に支持されている。扉本体パネル154のフレーム材152と、扉枠材155の垂直扉枠材155aの外側面との間でヒンジ154eの内側部分には、ゴムパッキン154fが設けられている。このゴムパッキン154fは、扉本体パネル154のフレーム材152に固定されている。
図示しないが、水平方向に延びる水平扉枠材は、断面略矩形の中空状に形成され、扉枠材の内周面側に延出する扉受プレートが形成されている。扉受プレートの内側には、導電性の扉用パッキン156と同様の扉用パッキンが設けられている。
図12は室内側コーナー部分の壁パネルと屋根パネルの連結構造を斜め下方から見上げるように示した斜視図である。図12に示すように、屋根パネル110も、壁パネル120と同様に、パネル状のコア材111と、このコア材111の周縁部に配置されたフレーム材112と、コア材111およびフレーム材112の両面に貼り付けられた一対の表面材113と、を備えている。コア材111、フレーム材112および表面材113は、それぞれ、壁パネル120のコア材121、フレーム材122および表面材123と同等の材質で構成されている。フレーム材112は、断面矩形状を呈している。上下一対の表面材113のうち、上側の表面材113aは、所定の長さで矩形の外周縁から外方へ延出している。
このような構成の屋根パネル110と壁パネル120とは、連結部材114を介して連結されている。連結部材114は、壁パネル120の上部に配置されており、壁パネル120の上側の水平フレーム材122bに沿って形成されている。連結部材114は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されている。連結部材114は、壁パネル120の室外側上端面近傍を覆う垂壁部114aと、屋根パネル110の下面周縁部を支持する支持板部114bと、屋根パネル110の上側の表面材113aの周縁部の延出部分113cと当接する当接板部114cと、垂壁部114aよりも外側に延出する延出部114dとを有している。垂壁部114aは、壁パネル120の室外側上端面近傍を覆うことで、連結部材114と壁パネル120との隙間から電波が侵入あるいは漏出するのを防止して、電波遮蔽性能を高めている。支持板部114bは、水平方向に延びて形成されており、屋根パネル110の下面周縁部を下側から支持するとともに、連結部材114と屋根パネル110の下側の表面材113bとの隙間から電波が侵入あるいは漏出するのを防止して、電波遮蔽性能を高めている。当接板部114cは、上側の表面材113aの周縁部の延出部分113cと所定の長さで重合して当接することで、連結部材114と表面材113aとの隙間から電波が侵入あるいは漏出するのを防止して、電波遮蔽性能を高めている。当接板部114cは、その先端部が延出部114dの先端部に相当する位置まで延出している。連結部材114と壁パネル120の上端面との間、支持板部114bと屋根パネル110との間、当接板部114cと導電性の表面材113aとの間には、長尺プレート状の導電性ガスケット115が介設されており、電波遮蔽性能をさらに高めるとともに気密性を確保するように構成されている。
壁パネル120の室内側上端面には、その室内側上端面と連結部材114の支持板部114bの下面を覆うカバー部材116が設けられている。カバー部材116は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材からなり、断面L字状に形成されている。カバー部材116の壁パネル120との当接面および支持板部114bとの当接面には、凹部116aが形成されている。この凹部116aには、長尺プレート状の導電性ガスケット115が設けられており、壁パネル120とカバー部材116と連結部材114との導電性を確保することで電波遮蔽性能を高めているとともに、気密性を確保している。
また、電子機器収納箱100の室内角部上端のコーナーの入隅部であって、直交する壁パネル120,120上部と屋根パネル110との連結部分には、互いに直交するカバー部材116,116の連結部近傍と、壁パネル120間に介設されるコーナー柱140の上端近傍とを覆うコーナーカバー部材117が設けられている。コーナーカバー部材117は、縦および直交する壁パネルの延出方向の3方向に延出する断面L字状のカバープレート部117a(水平方向に延出),117b(水平方向に延出),117c(鉛直方向に延出)を有している。コーナーカバー部材117は導電性を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金にて構成されている。コーナーカバー部材117は、カバープレート部117a,117b,117cを押出形材にてそれぞれ形成して、3方向に互いに接合することで、形成されている。水平方向に延出してカバー部材116上に位置するカバープレート部117a,117bは、カバー部材116より幅広に形成されており、カバー部材116を完全に覆うように構成されている。垂直方向に延出してコーナー柱140を覆うカバープレート部117cは、コーナー柱140よりも幅広に形成されており、コーナー柱140と、その両側の壁パネル120の側端部も覆うように構成されている。このような構成のコーナーカバー部材117によれば、壁パネル120,120およびコーナー柱140の上端部で、屋根パネル110との連結部分の、隙間が発生しやすいコーナーの入隅部を完全に覆うことができるので、電波遮蔽性能を大幅に高めるとともに、気密性を確保することができる。
ところで、熱交換器1は、図6および図7に示すように、電子機器収納箱100の屋根パネル110と壁パネル120に設けられている。ここで、熱交換器1と壁パネル120との接続構造を、図1および図2乃至図7に従って説明する。なお、熱交換器1と屋根パネル110との接続構造は、熱交換器1と壁パネル120との接続構造と同等であるので、熱交換器1と壁パネル120との接続構造を説明して、熱交換器1と屋根パネル110との接続構造の説明を省略する。
図6および図7に示すように、壁パネル120に設けられた熱交換器1は、内側フィン20および外側フィン30の長手方向が、鉛直方向に沿うように構成されている。そして、複数のファン40は、内側フィン20および外側フィン30の長手方向に沿って並列されており、つまり、鉛直方向に所定間隔をあけて配列されていることとなる。熱交換器1は、壁パネル120に複数設けられ、その幅方向に並列されて配置されている。以上のように、内側フィン20および外側フィン30を、その長手方向が鉛直方向に沿うように構成したことによって、電子機器収納箱100の内外において、内側フィン20および外側フィン30が壁パネル120の縦目地に沿って並列されるので、シャープな印象で洗練された外観を得ることができる。
また、熱交換器1は、壁パネル120の高さ方向において二つに分割されて所定の間隔をあけて設けられている(図6参照)。隣接する熱交換器1,1同士の接続部分は、一方の熱交換器1のベース板10の幅方向端部の突条からなる連結部11aが、隣接する熱交換器1のベース板10の幅方向端部の溝からなる連結部11bに入り込んで係合するようになっている(図5参照)。
図1および図5に示すように、熱交換器1は、ベース板10の内側面が壁パネル120の外表面に当接して配置されている。内側フィン20は、その高さ寸法が、壁パネル120の厚さ寸法と同等になるように形成されており、内側フィン20が壁パネル120の厚さ内に収容されて、内壁面から室内側へ突出しないように構成されている。したがって、内壁面から室内に突出するのは、ファン40のみである。なお、屋根パネル110(図12参照)に設けられる熱交換器1(図7参照)も、内側フィン20の高さ寸法が、屋根パネル110の厚さ寸法と同等になるように形成されており、熱交換器1が天井面から室内側へ突出しないように構成されている。
熱交換器1の幅方向両側の壁パネル120内には、支持フレーム材160が熱交換器1の長手方向に沿って設けられている。支持フレーム材160は、壁パネル120のフレーム材122(図8および図9参照)と同様に、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されており、中空部を有する筒状に形成されている。支持フレーム材160の熱交換器1側端部の室内側(内部側)には、内側フィン20の溝21を構成する溝枠部分21bに係合するとともに内部側の表面材123のリップ部123aが係合する段部160aが形成されている。一方、支持フレーム材160の熱交換器1側端部の室外側(外部側)には、外部側の表面材123のリップ部123aが係合する段部160bが形成されている。
支持フレーム材160は、熱交換器1側端部とは逆側の端部が、熱交換器1のベース板10の幅方向端部よりも、幅方向内側に所定長さの場所に位置するように構成されており、その幅方向外側には、表面材123と熱交換器1のベース板10との間に、気密性を確保するための熱交換器用パッキン161が介設されている。熱交換器用パッキン161は、柔軟性を有するゴムにて構成されており、熱交換器1の長手方向に沿って長尺の棒状に形成されている。支持フレーム材160の熱交換器1側端部とは逆側の端部の室外側(外部側)の位置には、外部側の表面材123を前記逆側の端部に沿って屈曲してなる凹溝162が形成されており、この凹溝162内に熱交換器用パッキン161が収容されている。熱交換器用パッキン161は、凹溝162の断面積よりも若干大きい断面積を有しており、圧縮された状態で凹溝162に収容されて、熱交換器1のベース板10に押圧された状態で接触する。これによって、熱交換器1のベース板10と壁パネル120の表面材123との間で熱交換器用パッキン161が密着することとなり、熱交換器1と壁パネル120との接続部分で外部側と内部側との気密性を確保することができる。
また、熱交換器1は、図7に示すように、互いに向かい合う壁パネル120,120にそれぞれ設けられるとともに、屋根パネル110にも設けられている。壁パネル120に設けられた熱交換器1は、床の近傍から天井の近傍まで設けられており、電子機器の収納スペース170を挟むように構成されている。屋根パネル110に設けられた熱交換器1は、電子機器の収納スペース170の上方に配置されている。また、電子機器収納箱100の内部には、循環ファン171が設けられており、室内の空気を循環させるようになっている。
図6および図7に示すように、熱交換器1が設けられた壁パネル120の外側には、熱交換器1を覆うとともに上下に外壁通気口181a,181bを有する壁カバーパネル180が設けられている。壁カバーパネル180は、矩形のプレートの両端にリップ部180aを備えた断面コ字状に形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材にて構成されており、両端のリップ部180aの端部が壁パネル120の外表面に当接して固定されている。リップ部180aは、熱交換器1の外側フィン30の高さ寸法よりも大きい高さ寸法(壁パネル120の外表面と壁カバーパネル180の矩形プレートとの離間距離)を有しており、壁カバーパネル180の内側に空気の流通スペースが確保されている。壁カバーパネル180の下端部は、電子機器収納箱100が設置される地盤から所定の間隔をあけた高さに位置しており、壁カバーパネル180の内側と外部とを連通させる下側の外壁通気口181aが形成されている。また、壁カバーパネル180の上端部は、電子機器収納箱100の軒天部分から所定の間隔をあけた高さに位置しており、壁カバーパネル180の内側と外部とを連通させる上側の外壁通気口181bが形成されている。
壁カバーパネル180の上側の外壁通気口181bには、外壁通気ファン182(図7参照)が設けられている。外壁通気ファン182は、壁カバーパネル180の内側の空気を吸い上げて外部に放出するように回転する。これによって、壁カバーパネル180の内側では、外側フィン30からの放熱によって暖められた空気が上昇するのと合わせて、空気が吸い上げられ、壁カバーパネル180内の換気が効率的に行われる(図7の太線矢印参照)。なお、外壁通気ファン182の設置位置は、上側の外壁通気口181bに限られることはなく、下側の外壁通気口181aに設けてもよいし、上下両方の外壁通気口181a,181bにそれぞれ設けてもよい。さらに、壁カバーパネル180の内側の任意の位置に設けてもよい。
屋根パネル110の上側には、熱交換器1を覆うとともに少なくとも一対の屋根上通気口191,191を有する屋根カバーパネル190が設けられている。屋根カバーパネル190は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の板材にて構成されており、底部が開放された箱状に形成されている。屋根カバーパネル190は、直方体形状を呈しており、上面の水平板部190aと垂直板部190bとを有している。垂直板部190bは、互いに平行な二対のプレート190c,190c・・にて構成されており、熱交換器1の外側フィン30の高さ寸法よりも大きい高さ寸法(屋根パネル110の外表面と屋根カバーパネル190の水平板部190aとの離間距離)を有しており、屋根カバーパネル190の内側に空気の流通スペースが確保されている。
屋根上通気口191,191は、垂直板部190bを構成するプレート190c,190c・・のうち、熱交換器1の外側フィン30の長手方向に直交する方向に配置されたプレート190c,190cに設けられている。屋根上通気口191は、プレート190cに形成された開口部191aにて構成されており、ルーバー191bが設けられている。屋根上通気口191は、屋根パネル110に並列された熱交換器1,1・・の幅と同等あるいはそれより広い幅に形成されている。屋根上通気口191,191の内側には、屋根上通気ファン192,192がそれぞれ設けられている。屋根上通気ファン192は、ルーバー191bの内側に固定されている。一方の屋根上通気口191に設けられた屋根上通気ファン192は、屋根カバーパネル190内に外気を吸い込み、他方の屋根上通気口191に設けられた屋根上通気ファン192は、屋根カバーパネル190内の空気を外部に送り出すように回転する。これによって、屋根カバーパネル190内の空気の換気が効率的に行われる(図7の太線矢印参照)。なお、屋根上通気ファン192は、必ずしも両方の屋根上通気口191,191に設けなくてもよく、少なくとも一方の屋根上通気口191に設けていればよい。さらに、屋根カバーパネル190の内側の任意の位置に設けてもよい。
次に、以上のような構成の熱交換器1および電子機器収納箱100の作用効果を説明する。
かかる熱交換器1によれば、ベース板10の内外に内側フィン20と外側フィン30をそれぞれ設けることで、電子機器収納箱100(密閉容器)の密閉性を確保することができ、電子機器収納箱100での塩害防止や粉塵遮断が可能になる。また、内側フィン20の先端部にファン40を直接固定することで、内側フィン20に接する空気を強制的且つ直接的に撹拌できるので、熱交換性能が非常に高くなり、電子機器収納箱100の内部で発生する熱を効率的に外部に放出することができる。さらに、ファン40を内側フィン20に直接固定することで、ファン40の設置スペースを小さくすることができ、電子機器収納箱100内の空間の有効利用が図れる。また、熱交換器1自体にファン40を設けているので、従来のように、別個にファンを設ける必要がなく、別体でのファンの取付手間を省くことができる。
また、本実施形態では、ベース板10と内側フィン20と外側フィン30が、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材によって一体的に形成されているので、前記各部からなる複雑な形状の熱交換器本体を、押出形材を適宜な長さで切断するだけで容易に製造することができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材は、寸法精度が高く、また、強度の割に軽量であるので、現場での取り回しが容易になるとともに、耐久性に優れている。さらに、本実施形態の電子機器収納箱100では、屋根パネル110の表面材113や壁パネル120の表面材113もアルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成されているので、熱交換器1との一体感が得られ美観を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、ファン40が設けられた内側フィン20は、その表面積が外側フィン30の表面積よりも小さくなるように構成されているが、ファン40が設けられる側の内側フィン20は、ファン40によって空気が直接撹拌されるので、その表面積を小さくしても十分な熱交換性能を確保でき、また、内側フィン20に使用する材料を低減して軽量化を図れるとともに、電子機器収納箱100の内部空間の有効利用が図れる。
また、ファン40が設けられた内側フィン20は、その高さが外側フィン30の高さよりも低くなるように構成されていることによっても、前記と同様に、十分な熱交換性能を確保でき、内側フィン20に使用する材料を低減して軽量化を図れるとともに、電子機器収納箱100の内部空間の有効利用が図れるといった作用効果を得られる。
さらに、本実施形態では、ファン40が設けられた複数の内側フィン20同士の間隔が、外側フィン30同士の間隔よりも小さくなるように構成されているが、ファン40が設けられた側の内側フィン20同士の間隔を小さくすることで、その高さを低くすることができ、ファン40の突出高さを小さくできるので、全体的に寸法バランスが取れ、熱交換器1の美観を向上させることができる。
また、かかる熱交換器1は、外側フィン30の長手方向と内側フィン20の長手方向とが互いに平行となるように構成されているので、ベース板10を介して熱が伝わりやすく伝熱性を高めることができるとともに、ベース板10と内側フィン20と外側フィン30とを押出形材によって一体的に形成することが可能となるので、製造加工を容易にすることができる。
さらに、ファン40が、正面視略正方形の枠44を有しており、この枠44の対角線の延出方向がファン40の設けられた内側フィン20の長手方向に沿うように構成されているので、枠44の対角線のうち延出方向が内側フィン20の長手方向に直交する側の両側の角部を、内側フィン20の幅方向外側に突出させて、この角部を介してファン40を内側フィン20に固定するようにした場合でも、羽根43aを有するファン本体43は、内側フィン20の位置する部分で回転することになるので、ファン40により発生する空気の流れは全て内側フィン20に当てることができる。つまり、ファン40を確実に固定しつつ、効率的に空気の撹拌を行うことができる。
また、ファン40が、内側フィン20の長手方向に沿って複数並設されて整列されているので、効率的に空気の撹拌を行うことができるとともに、美観を向上させることができる。
さらに、本実施形態の電子機器収納箱100では、気密性を有するように接合された屋根パネル110や壁パネル120に熱交換器1が設けられているので、電子機器収納箱100全体で密閉性を得ることができる。これによって、防塵性を備えるとともに内部を一定温度に保持できる電子機器収納箱100を得ることができ、好ましい環境で精密機械である電子機器を収納することができる。
特に、熱交換器1は、図7に示すように、互いに向かい合う壁パネル120,120と屋根パネル110に設けられ、収納スペース170を囲むように配置されているので、電子機器の収納スペース170から発生する熱を効率的に外部に放出できる。また、図7中太線矢印に示すように、循環ファン171によって電子機器収納箱100内の空気を循環させるので、電子機器収納箱100内が局所的に高温になることはなく、電子機器の収納可能場所を広く確保することができる。
さらに、熱交換器1が設けられた壁パネル120に、外壁通気口181a,181bを有する壁カバーパネル180を設けたことによって、壁カバーパネル180の内側において空気の流れを形成することができ、熱交換器1の外側フィン30から外部へと効率的に放熱することができる。特に、壁カバーパネル180の上側の外壁通気口181bに、外壁通気ファン182を設けたことによって、壁カバーパネル180の内側の空気を強制的に吸い上げて外部に放出するので、熱交換器1の外側フィン30からの放熱効率がさらに向上する。
また、屋根パネル110の上側に、一対の屋根上通気口191,191を有する屋根カバーパネル190を設けたことによって、屋根カバーパネル190の内側において空気の流れを形成することができ、熱交換器1の外側フィン30から外部へと効率的に放熱することができる。特に、屋根カバーパネル190の屋根上通気口191に、屋根上通気ファン192を設けたことによって、屋根カバーパネル190の内側の空気を強制的に循環させるので、熱交換器1の外側フィン30からの放熱効率がさらに向上する。
また、かかる電子機器収納箱100は、電波遮蔽性を有しており、さらに熱交換器1もアルミニウムまたはアルミニウム合金にて構成さているので、電子機器収納箱100全体で、電波遮蔽性能を有している。したがって、内部で精度の高い電子機器のEMC試験等の性能試験を行うことも可能である。
なお、前記実施形態では、熱交換器1は、屋根パネル110と壁パネル120の両方に設けられているが、これに限られるものではなく、必要とされる熱交換効率に応じて屋根パネル110または壁パネル120のいずれか一方に設けるようにしてもよい。
次に、電子機器試験箱200(密閉容器)の構造と、電子機器試験箱200に設けられた熱交換器2を説明する。
図13に示すように、かかる電子機器試験箱200は、本発明に係る熱交換器2が設けられており、試験箱本体201は、電波遮蔽性を有する金属製の筐体210の内部に電波吸収体230を敷設して構成されている。筐体210は、直方体の箱状に形成され、その一面は開口して開口部211が形成され、この開口部211には、開閉自在の扉220が設けられている。熱交換器2は、扉220に対向する壁面、すなわち扉220の奥に位置する背面に設けられている。
図13,図14および図16に示すように、試験箱本体201と扉220との当接部分である扉220の周縁部221に設けられる立設板222の側面には、金属製のフィンガー223が取り付けられ、扉220の周縁部221には、電波の遮蔽性を有するパッキン224が取り付けられている。
また、試験箱本体201は、筐体210の上壁の内面側に設けられたLEDランプ250(図15参照)と、筐体210の背面側に設けられたEMIダクト260(図16参照)と、熱交換器2と、筐体210の側壁の内面側に設けられたアンテナ280(図14乃至図16参照)と、電子機器Pが固定される取付ユニット290(図14および図15参照)とを備えている。
筐体210は、図14乃至図16に示すように、複数の金属製のパネル212を骨格となるフレーム(図示せず)に溶接して、正面側に開口部211を有する略直方体の箱状に形成されている。筐体210は、導電性を有する金属製のパネル212およびフレーム(図示せず)から形成されているので、所定の剛性を有し、その耐久性が高められているとともに、外部からの電波の遮蔽性を有している。また、パネル212とフレーム(図示せず)とが、溶接によって接合されているので、筐体210の密閉性、すなわち、電波の遮蔽性が高められている。
パネル212およびフレーム(図示せず)は、アルミニウムまたはアルミニウム合金にて形成されている。このように、パネル212やフレーム(図示せず)を、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成した場合、所望の剛性を維持することができるとともに、筐体210の軽量化を図ることができる。また、アルミニウムやアルミニウム合金は独特の光沢を有するので、筐体210は美観を向上させることができる。なお、パネル212およびフレーム(図示せず)を形成する金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金に限定されるものではなく、アルミニウム以外の純金属(例えば、スチール、銅等)やアルミニウム合金以外の合金(例えば、ステンレス等)であってもよい。
このように、筐体210をアルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成したことによって、筐体210の軽量化および電波遮蔽性の向上を達成することができるとともに、電子機器試験箱200の美観を向上させることができる。
電波吸収体230は、電子機器Pやアンテナ280から放射される電波を筐体210の内面で反射させずに擬似的に吸収することで、試験箱本体201の内部で放射された電波と反射した電波とが共振することを防止するものであり、各パネル212の内面を覆うように形成されている。
このような電波吸収体230の種類は、本発明では特に限定されず、内部で放射される電波の特性に応じて、公知の電波吸収体を広く使用することができる。例えば、抵抗性電波吸収体、誘電性電波吸収体、磁性電波吸収体、そしてこれらを組み合せた電波吸収体等のいずれであっても使用することができ、さらに、単層型、多層型のいずれであってもよい。
具体的には、例えば、(1)筐体210のパネル212の側から順に、λ/4の厚みを有するスペーサ(λは試験箱の内部で放射される電波の波長)、表面抵抗値が自由空間のインピーダンス(376.7Ω)に略等しい抵抗膜シート、樹脂製の保護膜を備えるλ/4型電波吸収体、(2)筐体210のパネル212の側から順に、抵抗膜シート(インピーダンス1088Ω)、スペーサ(38mm)、抵抗膜シート(インピーダンス280Ω)、スペーサ(38mm)、保護膜(アルミニウム板またはアルミニウム箔)を備える二種の電波(80MHz周辺および2050MHz周辺)を吸収可能な電波吸収体、(3)カーボン粉末や酸化チタン等の化合物から形成される誘電性電波吸収シート、(4)フェライトやカルボニル鉄等の化合物から形成される磁性電波吸収シート、(5)ポリウレタン等の樹脂と磁性体との複合体から形成される電波吸収シート、(6)磁性体と抵抗体とを貼り合わせた電波吸収体(例えば、ルミディオン(登録商標)(東洋サービス株式会社))等のいずれであっても使用することができる。
ここで、λ/4型の電波吸収体230について説明する。電波吸収体230は、電波を吸収させる公知の一方式に基づく構造を有しており、例えば携帯電話などの電子機器から放射された電波を擬似的に吸収するものである。電波吸収体230は、電子機器から放射された電波が、電子機器試験箱200の内面で反射して共振するのを防止し、試験精度の低下を防止する。
電波吸収体230は、図17に示すように、シート状に一体化形成されており、背面パネル230aと、背面パネル230aの室内側に設けられたスペーサ230bと、さらにその室内側に配置され電波の1/4を透過させる機能を有する抵抗膜シート230cと、さらにその内側に配置された保護膜230dとを備えて構成されている。
背面パネル230aは、導電性を有する材質、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金などにて構成されている。背面パネル230aと筐体210との間には、着脱自在のテープ(図示せず)が介設されており、電波吸収体230が筐体210に着脱自在に貼り付けられている。
スペーサ230bは、電波の透過性を有するとともに、抵抗膜シート230cと背面パネル230aとの間隔を、λ/4に設定するためのものであり、λ/4の厚みを有している。なお、ここでは、携帯電話(図示せず)などの電子機器から放射される電波W1の波長がλである場合を想定している。スペーサ230bは、電波が通過可能であれば、どのような材料から形成してもよく、例えば、発泡スチロールから形成することができる。発泡スチロールから形成した場合、電波吸収体230の軽量化を図れるとともに、スペーサ230bの厚みを容易に調整することができる。
抵抗膜シート230cは、その表面抵抗値が自由空間のインピーダンス(376.7Ω)に略等しくなるように調整された薄いシートである。このような抵抗膜シート230cとしては、炭素導電性材料を塗布したものや、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)膜の抵抗値を調整して成膜したものなどを使用することができる。
保護膜230dは、抵抗膜シート230cの室内側にそれぞれ積層して形成されており、抵抗膜シート230cの表面を保護するようになっている。
ここで、電波吸収体230の垂直方向から電波が入射した場合を例に挙げて、前記構成の電波吸収体230の作用を説明する。
携帯電話などの電子機器から放射された電波W1は、保護膜230dを通過した後、その1/2が抵抗膜シート230cを透過し、残りの1/2が反射する。ここで、透過した電波を電波W2、反射した電波を電波W3とする。電波W2は、スペーサ230bの内部を進んだ後、遮蔽性を有する背面パネル230aで反射し、電波W4となる。なお、反射の際に電波の位相はそれぞれ反転する。そうすると、抵抗膜シート230cに到達した電波W4は、抵抗膜シート230cで反射した電波W3に対して、スペーサ230bの厚さの2倍、つまり、「λ/4×2=λ/2」進んでおり、電波W3の位相と電波W4の位相が反転することになる。したがって、電波W3と電波W4とは相互に打ち消し合い、その結果として、抵抗膜シート230cに入射した電波W1は擬似的に吸収されることとなる。
以上のような電波吸収体230を筐体210の内面に設けたことによって、所定の電波を吸収することができる。よって、電子機器の試験の精度を高めることができる。
なお、電波吸収体230の表面は平坦であること(平板型)が望ましい。これによれば、例えば、波型や山型、四角錐型等の電波吸収体を備える場合と比較して、電子機器試験箱200の内部(容積)を大きくしたり、電子機器試験箱200の外形のサイズを小さくしたりすることができる。
LED(Light Emitting Diode)ランプ250は、電子機器試験箱200の内部を照らすための照明であり、図15に示すように、筐体210の上壁に設けられている。これにより、例えば、電子機器Pを試験する間、電子機器試験箱200の内部を照らすことで電子機器Pを視認することができる。LEDランプ250は、蛍光灯と異なり、点滅時におけるノイズがほとんど発生しないので、電子機器試験箱200の内部を照らす照明として好適に用いることができる。
なお、LEDランプ250の設置位置や個数、配置等は適宜設定することができ、図15に示す構成に限定されるものではない。また、電子機器試験箱200の内部を照らす照明は、LEDランプ250に限定されず、例えば、ハロゲンランプや白熱灯等であってもよい。
EMI(Electro Magnetic Interference:電磁妨害または電磁干渉)ダクト260(図16参照)は、電磁妨害を防止すると共に、電子機器P等に接続されるケーブル(図示せず)を筐体210の外部から内部に挿通するダクトであり、図16に示すように、絶縁抵抗性を有するガスケット261を介して、筐体210の背面に固定されている。
これにより、EMIダクト260を介して、電子機器試験箱200の外部から内部にケーブルを配線することができると共に、ダクトの導波管としての作用(所定波長より長い波長の電波を伝搬させない)によってケーブルの挿通部分から侵入しようとする電波を遮蔽することができるので、電子機器試験箱200の電波の遮蔽性を好適に維持することができる。また、ケーブルの所定長さ(例えば、100mm以上)が、EMIダクト260の内部を通るように、ケーブルを配線することによって、電磁妨害を好適に防止することができる。
なお、ケーブルには、EMIダクト260の内部を通る部分および所定の前後部分の外周面にケーブルの内部を導通するノイズを吸収するノイズ吸収体(図示せず)が被覆されている。具体的には、例えば、ルミディオン(登録商標)(東洋サービス株式会社)等のEMIテープが、ケーブルに所定の長さ(例えば、300mm以上)で巻回されている。これにより、ケーブルからのノイズの輻射と伝搬を抑制することができるので、電子機器Pで授受される電波を試験ユニット(図示せず)で高精度に制御・測定することができる。
このようなEMIダクト260は、ダイカスト製であり、図16に示すように、ケーブルが通る側(筐体210の側)に複数の凹溝262が形成されている。この凹溝262にケーブルを通すことによって、EMIダクト260の内部でケーブルが上下方向に移動することを防止するとともに、ケーブルを整列させることができる。また、EMIダクト260に複数のケーブルを通した場合、各ケーブル間の空間が凹溝262の側壁部(金属)によって埋められるので、電子機器試験箱200の電波の遮蔽性を好適に維持することができる。さらに、各ケーブルを平行に配線することができるので、例えば、各ケーブルに一様に接触するアース等を取付ける場合には、その取付けが容易となる。
アンテナ280は、電子機器Pとの間で電波を授受するためのアンテナであり、図14乃至図16に示すように、筐体210の側壁に固定されたコネクタ281に、アンテナ用導波管282を介して設けられている。アンテナ280には、ケーブル(図示せず)の一端が接続されており、このケーブル(図示せず)は、アンテナ用導波管282を介して電子機器試験箱200の外部に引き出され、その他端が電波送受信ユニット(図示せず)に接続されている。
なお、電波送受信ユニット(図示せず)は、アンテナ280に電波を放射させたり、その電波の周波数帯域や出力等を制御したり、アンテナ280が受信した電子機器Pからの電波を測定したりする機能を有する。
コネクタ281は、アンテナ用導波管282を固定するためのものであり、筐体210の側壁に固定した状態で設けられている。このようなコネクタ281を緩めてアンテナ用導波管282を回動させ、アンテナ280の向きを変えた後、コネクタ281を締めてアンテナ用導波管282を再び固定することで、アンテナ280の向きを変えることができるようになっている。
これにより、アンテナ280から放射される電波の偏波面と、電子機器Pのアンテナから放射される電波の偏波面とが、平行または垂直となるようにアンテナ280の軸を回転調整することができる。なお、偏波面とは、電磁波において電界の波の振動する面をいい、これが一定の平面状にある電磁波を直線偏波という。通常のアンテナから放射される電波は直線偏波である。
コネクタ281は、図14および図16に示すように、その左右(水平方向)に別(予備)のコネクタ283を設けてもよい。これにより、所望の位置にアンテナ用導波管282を付け替えることができるので、所望の位置にアンテナ280を配置することができる。なお、このようなコネクタ283は、コネクタ281の上下(垂直方向)に設けてもよいし、コネクタ281の左右上下に二つ以上設けてもよい。
アンテナ用導波管282は、円筒状かつL字状に屈曲した、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等から形成された金属製の導波管であり、電波の遮蔽性を有している。このアンテナ用導波管282は、電子機器試験箱200の外部と内部とを連通しており、その中空部(内部)には、アンテナ280に接続されたケーブル(図示せず)が配線されている。また、アンテナ用導波管282の先端部には、矩形状のグランドプレート284が固定されている。なお、アンテナ用導波管282の断面は、円形に限定されず、例えば、多角形であってもよい。
アンテナ用導波管282の仕様は、その内部を伝搬させない電波の波長に基づいて設定されている。具体的には、アンテナ用導波管282の内径および長さは、所定波長よりも長い波長の電波が、その内部を伝搬しないように設定されている。これにより、電子機器試験箱200の電波の遮蔽性を好適に維持することができる。
なお、一般にアンテナを金属物体に近接して設置すると金属物体に渦電流が流れて電波の再放射等が起こり、供試体に対して適切に放射された電波に干渉して影響を与えることがある。そこで、図16に示すように、アンテナ280の近傍の筐体210の側壁に磁性体シート285を設けることが望ましい(アンテナ280は、磁性体シート285と電子機器Pとの間に位置することになる)。これにより、前記したような渦電流による電波の再放射等の影響を低減することができる。
取付ユニット290は、電子機器Pを筐体210の内部に固定するためのユニットであり、図14および図15に示すように、筐体210の底面全面を覆うように設けられた固定板291と、この固定板291の上に着脱自在に固定されて電子機器Pを保持・固定する保持固定治具292とから構成されている。
固定板291は、図14に示すように、平面視矩形状の板材であり、保持固定治具292を固定するための複数のボルト孔291aが形成されている。ボルト孔291aは、保持固定治具292の固定位置を所望の位置に変えられるように、筐体210の正面視左右方向に並列して複数設けられている。なお、固定板291の上には電波吸収性を有する電波吸収シートを設けてもよいし、固定板291を、電波吸収性を有する部材で形成してもよい。
保持固定治具292は、図15に示すように、側面視L字状の部材であり、底部にボルトBを螺入するためのボルト孔292aが形成されている。このボルト孔292aを介して、固定板291のボルト孔291aにボルトBが螺入されることで、保持固定治具292が固定板291に固定される。保持固定治具292には、取付板293と固定具294が取り付けられている。
取付板293は、長尺状の板材(図14参照)で、保持固定治具292に固定されている。また、固定具294は、電子機器Pを保持する部材で、電子機器Pを挿通して保持する挿通部294aが形成されている。この固定具294は、取付板293に着脱自在に取り付けられており、所望に応じて、電子機器Pの取付方向や取付位置を変えることができるようになっている。
試験ユニット(図示せず)は、電子機器Pで授受される電波を制御・測定するユニット、すなわち、電子機器Pの電波の受信状態を検出して電子機器Pが正常に動作しているか否かを判定すると共に、電子機器Pに各種の指示を送信して動作をさせることができるユニットである。
このような試験ユニットは、ケーブル(図示せず)を介して試験対象である電子機器Pに接続可能となっている。具体的には、ケーブルの一端が試験ユニットに接続され、他端が、EMIダクト260を介して、電子機器試験箱200の内部に引き出され、電子機器Pに接続されている。なお、ケーブルの他端には、電子機器Pに着脱自在に接続するためのコネクタ(図示せず)が設けられている。
図14に示すように、扉220は、電子機器試験箱200の側面にヒンジHを介して回動自在に取り付けられ、適宜開閉可能な構成となっている。この扉220は、金属製のパネル225から形成され、このパネル225の正面視右側には窓226が形成されている。また、前記した電波吸収体230が、パネル225の内面を覆うように形成されている。なお、パネル225を形成する金属は、本発明では特に限定されず、純金属(例えば、アルミニウム、スチール、銅等)だけでなく合金(例えば、アルミニウム合金、ステンレス等)であってもよい。
窓226は、可視光に対する透過性を有する矩形状のガラス板227を備えている。これにより、電子機器Pの試験を行いながら、窓226(ガラス板227)を介して、外部から電子機器試験箱200の内部を視認することができるので、例えば、電波を受信したことによる電子機器Pの着信ランプの点灯の有無等を確認することができる。
ガラス板227は、窓226(ガラス板227)を介しての電波の往来を防止するため、電波の反射性(遮断性)を有している。これにより、電子機器試験箱200の電波の遮蔽性を好適に維持することができる。このようなガラス板227としては、例えば、ガラス板227の少なくとも片面にITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)膜を形成したものを使用することができる。
また、ガラス板227は、図14に示すように、扉220に形成された窓用の開口部226aの周囲に設けられた凹溝226bに、電波の遮蔽性を有するパッキン226c(例えば、導電性ゴムパッキン等)を介して固定されている。これにより、窓226(ガラス板227)の周縁部分における電波の遮蔽性を確保することができるので、電子機器試験箱200の電波の遮蔽性を好適に維持することができる。
なお、電子機器試験箱200の内部において、電子機器Pやアンテナ280等から放射される電波が窓226(ガラス板227)に直接照射されると、電波が窓226(ガラス板227)の表面で反射して電波の共振現象が発生するので、窓226は、電子機器Pやアンテナ280等から放射される電波ができるだけ照射しない位置に設けることが望ましい。
ここで、電波の共振現象とは、電波の遮蔽性を有する試験箱の内部でアンテナ等から電波が放射されたとき、試験箱の内部の壁面で電波が反射を繰り返して干渉を起こす現象をいう。
図14および図16に示すように、試験箱本体201と扉220との当接部分である扉220の周縁部221に設けられる立設板222は、断面L字状の金属板を矩形の枠状に組み付けて形成されており、L字の一方の面が扉220の内表面に当接されて溶接等によって固定されている。立設板222は、例えば、アルミニウム製、アルミニウム合金製等にて構成されている。そして、立設板222の立上り部分の外周側側面にフィンガー223が取り付けられている。一方、扉220の周縁部221の、立設板222の外側部分には、電波の遮蔽性を有するパッキン224が取り付けられている。
フィンガー223は、シールドフィンガー、フィンガーストリップ等とも呼ばれ、本実施形態においては、略櫛形をなす帯状の金属板の櫛の歯に相当する部分を、断面視円弧状に湾曲させて形成した板バネ部材であり、取付面の垂直方向に付勢され、電波の遮蔽性を有している。このようなフィンガー223を形成する金属は、本発明では特に限定されず、純金属だけでなく合金であってもよい。特に、銅合金を使用することが望ましい。銅を主体とした銅合金は、導電性が高いのでフィンガー223の電波の遮蔽性を高めることができる。また、銅合金は弾性性能が優れているので接触抵抗を小さくすることができる。このような銅合金としては、例えば、ベリリウム銅合金等が挙げられる。
パッキン224は、弾性(クッション性)を有するスポンジ材を、導電性ファブリックで被覆したものであり、電波の遮蔽性を有している。このパッキン224は、扉220の周縁部221の全周に設けられたフィンガー223(立設板222)の外周側に取り付けられている。なお、導電性ファブリックとしては、繊維をニッケルでめっきしたもの等が挙げられる。また、パッキンの永久歪率は、60%以下であることが望ましい。
このような構成によれば、図16に示すように、扉220を閉じると、フィンガー223が試験箱本体201の開口縁部211aに弾性的に当接すると共に、パッキン224が試験箱本体201の開口縁部211bに弾性的に当接する。これにより、試験箱本体201と扉220との隙間がフィンガー223およびパッキン224によって確実に閉塞されるため、試験箱本体201と扉220との当接部分から侵入しようとする電波が、フィンガー223やパッキン224で回折損失を起こし、当接部分から侵入しようとする電波を効果的に遮蔽することができる。
また、フィンガー223が、立設板222に取り付けられているので、扉220を閉じた際に試験箱本体201に当接して変形するフィンガー223の復元力が、扉220の開閉方向(図16の左右方向)に対して垂直(図16の上下方向)にかかることになる。これにより、フィンガー223の復元力による扉220の開扉を防止することができるとともに、扉220を閉扉状態に固定することができる。
さらに、パッキン224が、フィンガー223の外周側に取り付けられているので、フィンガー223による遮蔽機能とパッキン224による遮蔽機能とが相乗的に働いて、試験箱本体201と扉220との当接部分から侵入しようとする電波をより効果的に遮蔽することができる。また、フィンガー223またはパッキン224、どちらか一方の遮蔽機能が低下しても、他方の遮蔽機能によって電子機器試験箱200の急激な電波遮蔽性能の低下を防止することができる。
なお、フィンガー223は、立設板222を介さずに、扉220の周縁部221に直接取り付ける構成としてもよい。また、パッキン224は、試験箱本体201の開口縁部211aに取り付けてもよい。
さらに、本実施形態では、フィンガー223およびパッキン224を扉220に取り付けているが、試験箱本体201側に取り付けてもよい。また、フィンガー223およびパッキン224を、扉220および試験箱本体201の両方に取り付けてもよい。
前記構成の電子機器試験箱200に取り付けられる熱交換器2は、図14および図16に示すように、ベース板10と、内側フィン20aと、外側フィン30aと、ファン40とを主に備えて構成されている。本実施形態に係る熱交換器2は、ファン40が、外側フィン30aの先端部に取り付けられている。ベース板10と内側フィン20aと外側フィン30aは、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押出形材6によって一体的に形成されている。これによって、熱交換器2は、気密性を確保できるとともに、導電性も有するので電波遮蔽性を確保することができる。この押出形材6は、断面形状は図1に示した押出形材5と同じ形状で、内側フィンと外側フィンが逆になっている。つまり、図1の内側フィン20が押出形材6の外側フィン30aとなり、図1の外側フィン30が押出形材6の内側フィン20aとなり、外側フィン30aの並列方向外側(ベース板10の幅方向外側)両端部には、ファン40を固定するための溝21が形成されている。この溝21は、図1の押出形材5のものと同等の形状を呈している。
これによって、先端部にファン40が設けられた側である複数の外側フィン30a,30a・・・は、隣り合う外側フィン30a,30a同士の間隔が、隣り合う内側フィン20a,20a同士の間隔よりも小さくなるように構成されている。また、外側フィン30aは、その高さが他方の内側フィン20aの高さよりも低くなるように構成されている。すなわち、ファン40が設けられる外側フィン30aの設置間隔を小さくすることで、熱交換性に影響するフィンの表面積を確保し、これによって、外側フィン30aの高さを低くでき、ファン40の取付け高さを抑えるようになっている。
ファン40が設けられている外側フィン30a,30a・・・は、その表面積の合計が、他方の内側フィン20a,20a・・・の表面積の合計よりも小さくなるように構成されており、ファン40が設けられていない内側フィン20aの表面積を大きくすることで、吸熱と放熱のバランスを保って、熱交換性能を高めている。これは、外側フィン30aは、ファン40が設けられていることによって周囲の空気が撹拌されるので、表面積が小さくても高い熱交換性能を得られるためである。
なお、ファン40は、図1に示したファン40と同様の構成であるので、ファン40単体の説明を省略する。
図14および図15に示すように、ファン40は、外側フィン30aの長手方向に沿って複数(本実施形態では3つ)並設されている。複数のファン40は、互いに等間隔で配置され、且つ、各ファンの、外側フィン30aの長手方向に沿う対角線が、一直線上に並ぶように配置されている。これによって、各ファン40は、整列され一直線上に配置されることとなる。
かかる熱交換器2は、図13および図14に示すように、扉220に対向する壁面214、すなわち筐体210の背面に固定されている。熱交換器2は、扉220に対向する壁面214に、内側フィン20aおよび外側フィン30aの長手方向が、水平になるように横向きに取り付けられている。熱交換器2は、図14および図16に示すように、壁面214のパネル212に形成された矩形の熱交換器用開口部215の周縁部に、ベース板10の周縁部を内部側から固定するようになっている。
このような構成によれば、扉220を閉めた状態で、電子機器試験箱200の正面となる扉側から見たときに、熱交換器2が露出されないので、すっきりとしたシンプルな外観を得ることができ、優れたデザインの電子機器試験箱200を得られる。
筐体210に固定された熱交換器2のベース板10の周縁部の室内側には、電波吸収体230が布設されている。電波吸収体230は、内側フィン20aを除いたベース板10の周縁部に布設されており、内側から見て内側フィン20aの周囲を囲むように電波吸収体230が配置された状態となっている。ここで、内側フィン20aは、その高さ寸法が、電波吸収体230の厚み寸法よりも大きくなっており、内側フィン20aの先端部分が、電波吸収体230の表面よりも内側に突出するように構成されている。これによって、電子機器Pから発生する熱を効率的に吸熱することができ、電子機器試験箱200内を良好な温度環境に保持することができる。
筐体210のパネル212の熱交換器用開口部215の周縁部と、熱交換器2のベース板10の周縁部との間には、導電性パッキン270が介設されている。導電性パッキン270は、シート状に形成されており、熱交換器2のベース板10の周縁部の全長に亘って周設されている。
導電性パッキン270は、柔軟性を有する芯材の表面を、導電性を有する導電性材料で被覆して構成されており、パッキン全体で導電性を有している。芯材は、例えば、ゴムや樹脂あるいはウレタン製スポンジで構成されている。導電性材料は、例えば、ニッケルメッキを施したナイロン素材の布状の導電性繊維であって、芯材の周囲に接着されている。
以上のような構成の熱交換器2を電子機器試験箱200に取り付けたことによって、熱交換器2の部分では密閉性と高い熱交換性能と電波遮蔽性とが得られる。また、熱交換器2と筐体210との間に導電性パッキン270を介設しているので、熱交換器2と筐体210との間でも電波遮蔽性を得られる。したがって、電子機器試験箱200全体で電波遮蔽性を得ることができる。これによって、電波遮蔽性を備えるとともに内部を一定温度に保持できる電子機器試験箱200を得ることができ、精密機械である電子機器Pを内部に収納して精度の高い試験を行うことができる。
特に、導電性パッキン270は、柔軟性を有するゴムを導電性繊維で被覆して構成されているので、導電性パッキン270が柔軟性を有し、熱交換器2の周縁部と筐体210との間で適度に押圧され、熱交換器2の周縁部と筐体210とを電気的に確実に接続することができ、電波遮蔽性の高い電子機器試験箱200を提供することができる。
以上、熱交換器1,2および電子機器収納箱100並びに電子機器試験箱200の実施形態について説明したが、その実施形態はこれに限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、内側フィン20(20a)と外側フィン30(30a)の長手方向は互いに平行になっているが、これに限定されることはなく、互いに直交するような構成としてもよい。但し、内側フィン20(20a)と外側フィン30(30a)の長手方向を同じにする方が、押出形材でベース板10と内側フィン20(20a)と外側フィン30(30a)を一体的に形成できるので、製造手間の省略および製品精度の向上が図れるので好ましい。
また、内側フィン20(20a)と外側フィン30(30a)の寸法や配列間隔は、前記実施形態に限定されるものではなく、必要とされる熱交換性能やデザインに応じて変更可能であるのは勿論である。
さらに、電子機器収納箱100における熱交換器1と壁パネル120または屋根パネル110間に設けられる熱交換器用パッキン161は、導電性のものであるが、電波遮蔽性を必要としない収納箱であれば、導電性を有していなくても柔軟性を有していればよい。これによれば、気密性を確保することができる。また、熱交換器用パッキン161は、表面材123の凹溝162に挿入される棒状に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、シート状に形成して、熱交換器1のベース板10と表面材123との間に布設するようにしてもよい。
また、熱交換器1,2の各構成部材は、アルミニウム製やアルミニウム合金製に限られるものではなく、導電性を有していれば、スチール、ステンレスや銅など他の材質であっても適用できる。