JP3576971B2 - 収容函 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を含む装置を収容し、屋外に設置される収容函に関し、特に、小型でかつ軽量で、収容函内の温度上昇を効果的に抑制することができる収容函に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話に代表される移動体通信システムにおいては、基地局装置等の通信機器が屋外に設置される。そのような通信機器は、日射や雨水等の影響からその機能を保護するために、収容函の内部に収容されていることが一般的である。また、移動体通信の通話エリアの拡大等に伴って、そのような収容函が広く設置されつつある。図5に、一般的な収容函の一構造例を示す。
【0003】
図5に示す構造では、筐体50の内部には通信機器が収容され、筐体50の外面のうちの少なくとも5面が、遮蔽板51〜55で覆われている。遮蔽板51〜55は、筐体50の内部に収容されている通信機器を日射による影響から保護する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、移動体通信の発達に伴い、通信機器を収容した収容函の設置スペースを確保することが難しくなってきている。そのため、電柱や支柱等に取付け(ポール設置)可能な、または、壁に取り付け(壁掛け設置)可能な小型で軽量の収容函が望まれている。
【0005】
ところが、ポール設置の場合には、高所な場所に設置されることが予測されるため、強風に耐えられるように遮蔽板51〜55を強固にする必要があり、収容函自体の重量化および大型化を招くことがある。そのため、収容函の設置作業に困難が生ずることが予測される。
【0006】
また、図5に示したような構造では、遮蔽板51〜55によって日射を遮ることで収容函内の温度上昇を抑えることができるが、収容函内に、高い熱を発する装置が収容された場合には、収容函内の温度上昇を抑えることが難しい。
【0007】
さらに、ポール設置や壁掛け設置の場合には、収容函は人目につくことが多く、収容函の外観デザインは、設置場所周辺の景観に統合していることが望ましい。しかしながら、収容函の外観デザインは遮蔽板51〜55の形態によって特定され、遮蔽板51〜55は、硬い金属で構成されることが多く、多くの場合に板金により成形されていた。そのため、収容函の外観デザインは、限られたものになることが多い。
【0008】
そこで、本発明は、小型でかつ軽量で、収容函内の温度上昇を効果的に抑制することができる収容函を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による収容函は、電子部品が実装された装置を収容する収容函であって、電子部品から発する電磁波を遮蔽するシールド筐体と、シールド筐体を内蔵する外部筐体とを含み、シールド筐体が、熱可塑性樹脂によって構成され、内面または外面に金属層が設けられていることを特徴とする。
【0010】
外部筐体とシールド筐体との間に空気層が設けられた構造とした。このような構造にすれば、外部筐体の表面で発生した熱の収容函内部への伝わりを和らげることができる。
【0011】
外部筐体は、太陽光を反射する素材で表面加工された構造とした。そのような素材として、例えば、白色のウレタン等がある。また、このような構造にすることによって、外部筐体の表面で発生した熱の収容函内部への伝わりを効果的に和らげることができる。
【0012】
電子部品の近傍に接する放熱板と、一端が放熱板に接触し、他端が外部筐体の任意の内面に接触するヒートパイプとを備えた構造とした。このような構造にすれば、電子部品から発する熱はヒートパイプで吸収されたのち放熱面から放出されるため、収容函内の温度上昇を抑えることができる。
【0013】
ヒートパイプが接する外部筐体の内面に断熱材が貼付された構造とした。このような構造にすれば、収容函内の熱のみを外部に放出することができ、外部からの熱を内部に取り込むことを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明による収容函の一構造例を示す構造図である。
【0015】
図1に示す構成では、プリント配線基板5は、シールドケース3およびシールドカバー4の内部に収容されている。シールドケース3およびシールドカバー4は、ケース1およびカバー2の内部に収容されている。以下、シールドケース3とシールドカバー4との結合によって構成される筐体をシールド筐体といい、ケース1とカバー2との結合によって構成される筐体を外部筐体という。
【0016】
プリント配線基板5は、片面または両面に半導体デバイスの電子部品が実装された配線基板である。プリント配線基板5は、例えば、ガラスエポキシ基板である。
【0017】
シールドケース3およびシールドカバー4は、熱可塑性樹脂でかつ熱抵抗値が大きい素材で構成されている。そのような素材として、例えば、PCポリカーボネートやABS等がある。シールドケース3およびシールドカバー4の内面には、ニッケル等の金属が蒸着されている。また、シールドケース3およびシールドカバー4の外面に金属が蒸着されてもよい。
【0018】
ケース1およびカバー2は、アルミニウムやマグネシウム等の軽量の素材で構成されている。また、ケース1およびカバー2は、温湿度変化や風雨に対する耐性が強く太陽光吸収率が低い素材で表面加工がなされている。例えば、ケース1およびカバー2の表面は、白色のウレタンにて塗装されている。このような素材によって表面加工されることによって、ケース1およびカバー2を屋外設置環境から保護することができる。
【0019】
図2は、本発明による収容函の分解斜視図である。ケース1の底面には、シールドケース3およびシールドカバー4を支持するための支持棒(ボス)7およびプリント配線基板5を支持するための支持棒(ボス)6が形成されている。ボス7は、シールドケース3とケース1との間およびシールドカバー4とカバー2との間に空気層が形成されるように高さが調整されている。ボス6は、プリント配線基板5に実装されている電子部品等がシールドケース3およびシールドカバー4に接触しないような高さに調整されている。また、図示してはいないが、ボス6および7の上面には、ねじ締めのためのねじ穴部が形成されている。
【0020】
シールドケース3の底面には、ボス6を貫通させるための穴部9が形成されている。シールドケース3の4隅には、シールドカバー4との結合のためのフランジ部8aが形成されている。同様に、シールドカバー4の4隅には、シールドケース3との結合のためのフランジ部8bが形成されている。フランジ部8aおよび8bの表面には、ニッケル等の金属が蒸着されている。また、フランジ部8aおよび8bには、ボス7との結合のためのねじ穴部が形成されている。さらに、プリント配線基板5には、ボス6との結合のためのねじ穴部が形成されている。
【0021】
次に、本発明による収容函の組立動作について説明する。シールドケース3の底面に形成されている穴部9にボス6を貫通させ、シールドケース3のフランジ部8aをボス7の上面に載せる。プリント配線基板5をボス6の上面に載せ、ねじ締めによって、プリント配線基板5とボス6とを結合する。フランジ部8aおよび8bのねじ穴部の位置が合うように、シールドカバー4をシールドケース3の上に載せ、ねじ締めによってシールドカバー4とシールドケース3とを結合する。最後に、カバー2をケース1の上に載せ、ねじ締め等によって、カバー2とケース1とを結合させる。以上のような手順によって、収容函は組み立てられる。組立後の収容函の断面図を図3に示す。
【0022】
図3に示すように、プリント配線基板5は、磁気遮蔽された空間(シールド筐体)内に収容されるので、プリント配線基板5に実装されている電子部品から発する電磁波が外部に漏洩するのを防止することができる。また、外部からの電磁波によって、プリント配線基板5における機能に支障が生ずることも防止することができる。
【0023】
また、シールド筐体と外部筐体との間に空気層が形成されている。ここで、空気は、アルミニウム等の金属と比較して、熱伝導率が低いという性質を持つ。例えば、空気の熱伝導率が0.0245W/(m・K)程度であるのに対し、アルミニウムの熱伝導率は、96.2W/(m・K)程度である。従って、シールド筐体と外部筐体との間に空気層を設けることによって、外部の温度上昇に対する内部の温度上昇を低く抑えることができる。さらに、外部筐体の表面は太陽光吸収率の低い素材(白色のウレタン)によって塗装されているため、より内部の温度上昇を抑えることができる。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、シールド筐体は熱抵抗値の高い樹脂で構成され、シールド筐体と外部筐体との間に空気層が設けられ、外部筐体の表面は太陽光吸収率の低い素材で塗装されているため、外部の温度変化に対してシールド筐体内の温度上昇を効果的に抑えることができる。
【0025】
また、収容函の外部に日射を遮蔽するための遮蔽板等が不要であり、外部筐体およびシールド筐体は軽量の素材で構成されているため、収容函の小型化および軽量化を実現することができる。従って、収容函の設置作業における負担を軽減させることができる。
【0026】
さらに、本実施の形態による収容函では、外部筐体の形態自体が収容函の外観デザインとなる。外部筐体は、アルミニウム等の軟らかい金属で構成されているため、加工が容易である。そのため、収容函の外観デザインの幅が広がり、設置場所の景観に合うような外観デザインにて、収容函をリリースすることが容易になる。
【0027】
先の実施の形態では、空気層を設けることによって、外部からの流入熱量を抑えていたが、プリント配線基板5に高い熱量を発するデバイス(高発熱性部品)が実装された場合には、内部温度が上昇することによって、プリント配線基板5における機能に支障が生ずる恐れがある。そこで、このような課題を解決するための構造を図4に示す。
【0028】
図4に示す構造では、高発熱性部品の近傍に接する放熱板10と、放熱板10からの熱を吸収して収容函の外部に放出するヒートパイプ11とが備えられている。放熱板10は、例えば、プリント配線基板5の非実装面において、高発熱性部品に対向する位置に取り付けられる。また、放熱板10は、高発熱性部品の上面に直接実装されてもよい。ヒートパイプ11の一端は放熱板10に接触し、他端は、ケース1の任意の一面に接触する。ヒートパイプ11が接触する面には、断熱材12が貼付されている。ここで、収容函の設置状態では、ヒートパイプ11が接触する面に対して表裏関係にある面(放熱面)が太陽光を直接受けない位置(例えば、南側以外の位置)にあることが望ましい。
【0029】
高発熱性部品から発する熱は、ヒートパイプ11によって吸熱され、放熱面から放出される。従って、シールド筐体内に高発熱性部品を収容している場合であっても、シールド筐体内の温度上昇を抑えることができるので、プリント配線基板5における機能に支障が生じることを防止することができる。このとき、太陽光を直接受けない位置に放熱面が配置されているので、放熱面の温度がプリント配線基板5の温度より高くなることを防止することができ、外部の熱がヒートパイプ11を伝ってプリント配線基板5に流入するという事態を回避することができる。また、ケース1の内面のうちヒートパイプ11が接触する面に断熱材12が貼付されているので、収容函内の熱のみを外部に放出することができ、外部からの熱を内部に取り込むことを防止することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、シールド筐体は樹脂で構成され、シールド筐体と外部筐体との間に空気層が設けられ、外部筐体の表面は太陽光を反射する素材で塗装されているため、外部の温度変化に対するシールド筐体内の温度上昇を効果的に抑えることができる。また、収容函の外部に日射を遮るための遮蔽板等が不要となり、外部筐体およびシールド筐体が軽量の素材で構成されているため、収容函の小型化および軽量化を図ることができる。
【0031】
また、電子部品の近傍に接触する放熱板と、一端が放熱板に接触し、他端が外部筐体における任意の内面に接触するヒートパイプとを備えたため、電子部品から発する熱はヒートパイプで吸収されたのち外部筐体の外面から放出されるので、電子部品が発熱する場合であっても、シールド筐体内の温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による収容函の一構造例を示す構造図である。
【図2】本発明による収容函の分解斜視図である。
【図3】組立後の収容函の断面図である。
【図4】本発明による収容函の一構造例を示す構造図である。
【図5】従来の収容函の一構造例を示す構造図である。
【符号の説明】
1 ケース
2 カバー
3 シールドケース
4 シールドカバー
5 プリント配線基板
6、7 ボス(支持棒)
8a、8b フランジ部
9 穴部

Claims (5)

  1. 電子部品が実装された装置を収容する収容函であって、
    前記電子部品から発する電磁波を遮蔽するシールド筐体と、
    前記シールド筐体を内蔵する外部筐体とを含み、
    前記シールド筐体は、熱可塑性樹脂によって構成され、内面または外面に金属層が設けられている
    ことを特徴とする収容函。
  2. 外部筐体とシールド筐体との間に空気層が設けられた
    請求項1記載の収容函。
  3. 外部筐体は、太陽光を反射する素材で表面加工された
    請求項1または請求項2記載の収容函。
  4. 電子部品の近傍に接する放熱板と、一端が前記放熱板に接触し、他端が外部筐体の任意の内面に接触するヒートパイプとを備えた
    請求項1ないし請求項3記載の収容函。
  5. ヒートパイプが接する外部筐体の内面に断熱材が貼付された
    請求項4記載の収容函。
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