JP2009130093A - 超音波を利用した平板状物体の非接触支持方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空気中において、超音波で励振される平坦な振動面26の鉛直下方に、振動面26の外形と略等しい外形の平坦面を有する平板状物体30を、当該平坦面が振動面26に平行するように配置し、振動面26を超音波で面に垂直方向に励振して、振動面26の近接位置に平板状物体30を非接触状態で支持する。振動面26の超音波振動により平板状物体30に引力が働き、振動面26の鉛直下方で平板状物体30が非接触状態で支持される。振動面26と平板状物体30との中心位置がずれていても平板状物体30に復元力が作用し、ずれが自動的に解消される。
【選択図】図2
Description
部品等の搬送には、従来から、部品等をノズルで真空吸着して搬送する方法が広く用いられている。しかし、この方法では、図17に示すように、ノズル100と部品101との水平方向の位置がずれていると(a)、ノズル100を部品101の高さまで降下させて真空吸引を開始したときに(b)、ノズル100の吸着口が部品101により完全に塞がれず、そのため部品101の真空吸着に失敗する(c)。
また、この方法では、ノズル100の先端が搬送物に接触するため、機械的強度が弱い搬送物は、割れたり欠けたりする危険がある。
しかし、この方法では、振動面の振動を止めたときに、物体が振動面の上に載ることになるため、搬送先で物体を振動面から下ろす作業が必要になる。
この装置は、図18(a)に示すように、電源14と、超音波を発生する超音波発生ユニット12と、超音波を放射する放射部材13とを有し、放射部材13の放射面(振動面)13aには凹部13bが形成されている。一方、図18(b)に示すように、この装置11で吸引される吸引対象物15の中央には凸部15aが形成されている。
この放射部材13の放射面13aを鉛直下方に向け、放射面13aの凹部13bに吸引対象物15の凸部15aが入り込むように吸引対象物15を配置して、超音波発生ユニット12から超音波を出力すると、吸引対象物15は、放射部材13に対して非接触状態で安定的に静止した、と特許文献1には報告されている。
また、この装置の場合、吸引対象物と放射部材との水平方向の位置がずれて、吸引対象物の凸部が放射部材の放射面に形成されている凹部の縁に掛かる状態であると、吸引対象物の吸引や安定した支持が期待できない。
本発明者の実験に依れば、超音波で励振される振動面と平板状物体との距離が約25μm以下では、平板状物体に対して斥力が働き、その距離が約30μm〜200μmの範囲では平板状物体に引力が働き、200μmを超えると、平板状物体に作用する力が略ゼロになる。そのため、平板状物体は、超音波振動する振動面の鉛直下方で、振動面との間に引力が作用する距離を保ちながら、振動面に接触せずに支持される。
平板状物体と振動面とが初期段階で水平方向にずれていても、超音波で吸引される平板状物体には、音響粘性力により、平板状物体の輪郭と振動面の輪郭とを一致させる復元力が働く。そのため、平板状物体が非接触支持された時点では、水平方向のずれが自動的に解消している(セルフセンタリング効果)。
この静電気の吸着力は、平板状物体への引力を増加させる。但し、平板状物体と振動面との接触は、超音波振動による斥力のために回避される。
また、本発明の平板状物体の非接触支持方法は、剛性を有する物体や柔軟性を有する物体、あるいは、導体、半導体、絶縁体等の非接触支持に用いることができる。
この装置は、超音波振動する振動面の鉛直下方で平板状物体を安定的に非接触支持することができ、また、超音波の発生を停止すれば、平板状物体を支持から解放することができる。従って、この装置では、平板状物体の着脱が容易である。
こうすることで、平板状物体への引力を増やすことができ、より大きい質量の平板状物体の非接触支持が可能になる。
この平板状物体の支持機構への着脱は、超音波の出力開始及び停止のタイミングで発生するため、本発明を搬送装置に適用すれば、平板状物体を所望の位置から指定された搬送先まで的確に搬送することが可能である。
図1は、平板状物体の非接触支持装置の構成を示す模式図である。図2は、超音波振動が励起された振動面で平板状物体が非接触支持される様子を示す説明図であり、図3は、平板状物体が振動面の中心位置からずれている場合の説明図である。図4、図5及び図6は、この装置で実施した平板状物体の非接触支持の様子を示しており、図4は、非接触支持を開始する前の状態、図5は、非接触支持を実行中の状態、図6は、非接触支持開始前の状態であって、平板状物体が振動面の中心位置からずれている状態を示している。また図7は、超音波振動の共振周波数追従機能を備えた交流電源のブロック図である。
超音波発生ユニット20は、2枚の環状圧電体21、22を金属ブロック23でボルト締めしたボルト締めランジュバン型振動子に、固定用のフランジ24と、先端にφ3mmの振動面26を有するホーン25とを取付けたものであり、振動の節となる位置にフランジ24が固定されている。
平板状物体30には、外形がホーン25の振動面26と同じφ3mm、厚さが0.05mm、質量が約10mgのSUS304製の円盤を用いている。
交流電源40は、圧電体21、22に挟まれた電極、及び各圧電体21、22の外側に配置された電極に対して、振動子(圧電体21、22)の共振周波数に等しい周波数の交流電圧を印加する。この電圧が印加された圧電体21、22は縦振動モードで振動し、ホーン25先端の振動面26には、面に垂直な方向の超音波振動が励起される。
交流電源40は、振動子21、22を駆動する駆動周波数を振動子21、22の共振周波数に追従させるため、図7の構成を有している。
この回路は「振動子の印加電圧」と「振動子に流れる電流」との位相差に着目して、実際の振動子21、22の共振周波数と駆動周波数とのずれを検出する。即ち、駆動周波数が振動子の共振周波数に一致するときは、「振動子の印加電圧」に対する「振動子に流れる電流」の位相が定数であり、駆動周波数が共振周波数より低くなると、この位相が進み、逆に、駆動周波数が共振周波数より高くなると、この位相が遅れる。
fn+1 = fn−Kp(φr−φ)
ここで、fnは現在の発振周波数、fn+1は次回の発振周波数であり、φrは駆動周波数が振動子の共振周波数に一致するときの位相差、Kpは比例ゲインである。
決定された周波数はDDS43に送信され、この周波数がDDS43から発振され、増幅器44で増幅されて振動子21、22に印加される。この動作を駆動信号のあらかじめ設定された周期ごとに繰り返すことで、振動子21、22には、常に共振周波数に一致する周波数の交流が印加される。
この装置の共振周波数は、21KHz程度である。図8は、この装置において、振動子の駆動周波数が共振周波数に維持されているときの入力電圧(ピーク・ツー・ピーク電圧:Vp-p)と、振動子の振動振幅(ピーク・ツー・ピーク振幅:Ap-p)との関係を示している。
図4は、超音波発生ユニット20のホーン25の真下に、振動面26と平行になるように平板状物体30を置き、超音波振動する振動面26と平板状物体30との距離を徐々に近付けたときの様子を示している。図4の状態は、平板状物体30の非接触支持が開始する直前の状態、従って、平板状物体30は未だZ軸ステージ31の上に載っている状態を示している。
この平板状物体30と振動面26との距離をさらに近付けると、平板状物体30が振動面26に吸込まれ、図5に示すように、平板状物体30が非接触支持される。
振動面26及び平板状物体30間のギャップが凡そ25μm以下では、平板状物体30に斥力が働き、そのギャップが凡そ30μm〜200μmの範囲では平板状物体30に引力が働き、200μmを超えると、平板状物体30に作用する力が略ゼロになる。引力−斥力の境界点は、振動子の振動振幅(Ap-p)が変わってもほぼ変化しない。また、引力が最大になるギャップは、凡そ40μmであり、これも振動子の振動振幅(Ap-p)が変わっても変化しない。
この復元力は、超音波浮揚において解明されている音響粘性力に起因するものと考えられる。
実際に、図6に示すように、振動面26と平板状物体30との中心位置がずれた状態で平板状物体30と振動面26との距離を近付けると、平板状物体30が振動面26の中心に引き込まれて、図5の非接触支持の状態に移行する。
図14は、この測定結果を示している。横軸は、初期設定した振動面26及び平板状物体30の水平方向の変位量(mm)、縦軸は振動面26の振動振幅(μmp-p)を示し、図中の○は、平板状物体30が振動面26の中心に引き込まれたことを表し、×は、引き込まれなかったことを表している。
図14から、振動面26と平板状物体30との水平方向の初期変位量が1.4mm(平板状物体30の直径の47%)以内であれば、振動振幅の大きさに関わらず、自動的にずれが解消されることが分かる。
そのため、この装置を搬送装置に適用すれば、半導体ウエハのような平板状物体を所定位置まで搬送し、指定された治具等の上に平板状物体を正確に載置することができる。
また、超音波発生ユニット20の方は動かさずに、超音波発生ユニット20で平板状物体を支持している間に、治具側の方を超音波発生ユニット20の真下に移動し、次いで、超音波発生ユニット20の超音波出力を停止して平板状物体を治具上に載置させる搬送方法を採ることもできる。
本発明の装置及び方法は、金属薄板や半導体ウエハだけでなく、紙やガラス薄板などの非接触支持にも使用することができる。図15は、超音波発生ユニットのホーン25の先端で紙50を非接触支持している様子を示している。
このように本発明は、SUS304のように剛性を有する平板状物体でも、紙のように柔軟性を有する平板状物体(薄膜にすることで柔軟性を持つガラス箔や金属箔を含む。)でも、非接触支持することができ、また、導体、半導体及び絶縁体のいずれの平板状物体でも、非接触支持することができる。
また、本発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術で薄膜デバイスを作成したり、軽薄な紙やガラス箔、金属箔等を扱ったりする場合に、有効な支持、搬送手段として利用することができる。
図16は、振動面26を帯電させて、平板状物体30に逆極性の電荷を誘起させる例を示しており、絶縁体で形成したホーン25に電極27を配置して、この電極27に直流電圧を印加し、平板状物体30に逆極性の電荷を誘起して振動面26及び平板状物体30間に静電吸着力を生じさせている。
こうすることで、より大きい質量の平板状物体30の非接触支持が可能になる。この場合も、平板状物体30と振動面26とのギャップが凡そ25μm以下になると、超音波振動による斥力が平板状物体30に働くため、平板状物体30は、非接触で支持される。
また、振動面及び平板状物体間に静電吸着力を生じさせるため、平板状物体を帯電させて、振動面に逆極性の電荷を誘起させるようにしても良い。
12 超音波発生ユニット
13 放射部材
13a 放射面
13b 凹部
14 電源
15 吸引対象物
15a 凸部
20 超音波発生ユニット
21 振動子(圧電体)
22 振動子(圧電体)
23 金属ブロック
24 フランジ
25 ホーン
26 振動面
27 電極
30 平板状物体
31 Z軸ステージ
40 交流電源
41 コンパレータ
42 マイコン
43 DDS
44 増幅器
100 ノズル
101 部品
Claims (12)
- 空気中において、超音波で励振される平坦な振動面の鉛直下方に、前記振動面の外形と略等しい外形の平坦面を有する平板状物体を、当該平坦面が前記振動面に平行するように配置し、前記振動面を超音波で面に垂直方向に励振して、前記振動面の近接位置に前記平板状物体を非接触状態で支持することを特徴とする超音波を利用した平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1に記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体を非接触状態で支持することにより、前記振動面と前記平板状物体との水平方向の位置ずれを自動的に補正することを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1または2に記載の平板状物体の非接触支持方法であって、さらに、前記振動面と前記平板状物体との間に静電気による吸着力を作用させることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項3に記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記振動面を帯電させて、前記平板状物体に逆極性の電荷を誘起させることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項3に記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体を帯電させて、前記振動面に逆極性の電荷を誘起させることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体が剛性を有する物体であることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体が柔軟性を有する物体であることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体が導体であることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体が半導体であることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 請求項1から5のいずれかに記載の平板状物体の非接触支持方法であって、前記平板状物体が絶縁体であることを特徴とする平板状物体の非接触支持方法。
- 空気中で平板状物体を非接触支持する支持装置であって、
交流電圧が印加されたときに超音波を発生する超音波発生手段と、
前記超音波発生手段から発生される超音波で平坦な振動面が励振され、当該振動面の垂直方向に超音波を放射する超音波放射体と、
前記超音波発生手段に印加される前記交流電圧の周波数を前記超音波発生手段の共振周波数に維持する共振周波数追従手段と、
前記超音波発生手段から超音波が発生されていないとき、前記超音波放射体の振動面の外形と略等しい外形の平坦面を有する平板状物体を、前記振動面の鉛直下方で、前記平坦面が前記振動面と平行するように保持する保持体と、
を備え、前記超音波発生手段から超音波が発生されている間だけ、前記超音波放射体の振動面の近接位置に前記平板状物体を非接触状態で支持することを特徴とする超音波を利用した平板状物体の支持装置。 - 請求項11に記載の平板状物体の支持装置であって、前記超音波放射体が静電吸着用の電極を有し、前記電極への電圧の印加により、前記超音波放射体と前記平板状物体との間で静電吸着力が作用することを特徴とする超音波を利用した平板状物体の支持装置。
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CN115064478A (zh) * | 2022-06-10 | 2022-09-16 | 山东大学 | 一种半导体加工晶圆超声悬浮驱动装置 |
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