JP2009127728A - 軸受ユニット - Google Patents

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Tamotsu Kikuzawa
保 菊澤
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Abstract

【課題】車両の駆動系に作用する曲げ振動に対して、十分な耐久性を確保するための軸受ユニットを提供すること。
【解決手段】
スプラインが形成された雄側スプライン部と、
雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも大径に形成された大径円柱部と、
大径円柱部と反対側の前記雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも小径に形成された小径円柱部とを備えたスプライン軸と、
雄側スプライン部に嵌合する雌側スプライン部と、
大径円柱部に嵌合する第1の大径円筒部と、
第1の大径円筒部と反対側の雌側スプライン部の軸方向で隣接し、該雌側スプライン部よりも大径に形成された第2の大径円筒部とを備えたコンパニオンフランジと、
前記小径円柱部の外周面と前記第2の大径円筒部の内周面とのそれぞれに当接するスペーサを設けるように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スプライン軸とコンパニオンフランジとをスプライン結合した、車両の変速機、デファレンシャルなどの駆動系に用いられる軸受ユニットに関するものである。
車両の変速機は、変速機から出力された駆動力をプロペラシャフトを介して、デファレンシャルに伝達するため、変速機の出力軸とプロペラシャフトに結合されるコンパニオンフランジとをスプライン結合した軸受ユニットを備えている。
このようなスプライン結合を利用した軸受ユニットは、変速機に限らず、デファレンシャルやハブユニットなど車両の駆動系に用いられている。
上述した車両の駆動系に用いられる軸受ユニットの一例を図2〜3に示す。図2に示すように、変速機101とデファレンシャル102との間にプロペラシャフト103を介装させることで、変速機101から出力された駆動力をデファレンシャル102に伝達している。デファレンシャル102に伝達された駆動力は、図示しないハブユニットを介して車輪に伝達される。なお、変速機101とデファレンシャル102との間に介装されるプロペラシャフト103の両端部には、変速機101とデファレンシャル102との相対変位を吸収するために自在継手104が設けられており、これらによって車両の駆動系が構成される。
つぎに図3により上記車両の駆動系に用いられる軸受ユニットを説明する。変速機101の出力軸105は、変速機101のケーシング107に軸受108を介して回転自在に支持され、外周にはスプライン加工が施された雄側スプライン部105aが形成されている。雄側スプライン部105aにスプライン嵌合するようにコンパニオンフランジ106には雌側スプライン部106aが形成されている。
プレート109はコンパニオンフランジ106が出力軸105から軸方向(紙面の右方向)に抜けるのを防止するため、出力軸105に穿設されたネジ孔にボルト110を螺合することにより固定されている。
コンパニオンフランジ106のフランジ部106bには、ボルト孔106cが設けられており、ボルト孔106cにはリーマボルト111が挿通されている。リーマボルト111にはプロペラシャフト103の端部に設けられた自在継手104が連結され、変速機101とプロペラシャフト103とが連結されている。
ケーシング107とコンパニオンフランジ106との間には、オイルシール112が介装されており、変速機101内の潤滑油が外部に流出することを防止している。
このような車両の駆動系に用いられる軸受ユニットにおいては、以下に示す課題が存在していた。上述したようにプロペラシャフト103の両端部には、路面の凹凸や走行中の振動や荷重の変動による変速機101とデファレンシャル102との相対変位を吸収すべく自在継手104が設けられている。これら路面の凹凸や走行中の振動及び荷重の変動が長期間継続されると、自在継手104にガタが生じ、プロペラシャフト103は軸心がぶれるようにアンバランスな状態で回転する。これにより駆動系には大きな曲げ方向の力が作用し、乗り心地の悪化や駆動系構成部品の耐久性低下を招く原因となっていた。
このように発生する駆動系の曲げ振動は、軸受ユニットにも影響を与えることになる。プロペラシャフト103のアンバランスな回転により、プロペラシャフト103に連結されたコンパニオンフランジ106にも軸方向に対して曲げ方向の力F1及びF2が作用する。
曲げ方向の力F1及びF2は、コンパニオンフランジ106の雌側スプライン部106aとスプライン嵌合されている出力軸105の雄側スプライン部105aに伝達され、雄側スプライン部105aと雌側スプライン部106aに摩耗が生じて、その結果、両スプライン間に規定以上のクリアランスが発生することにより、更なる振動の悪化を招いていた。
このような課題に対しては、以下のような対策がなされている。まず、プロペラシャフト103のアンバランスな回転を防止するため、車両の定期点検の際に、自在継手104のガタを計測して、規定以上のガタが生じている場合には、自在継手104を交換する。また、プロペラシャフト103の動的なバランス量を計測し、バランス量が基準値を超えている場合に場合には、プロペラシャフト103にバランスピース(質量体)を取り付け、バランス量を調整している。
また、駆動系の曲げ振動に基づく軸受ユニットのスプライン部に働く曲げ方向の力を低下させるために以下のような対策がなされている。
例えば、特許文献1においては、駆動系の構成部品である車輪駆動用軸受ユニットにおいて、スプライン軸の隣接した位置に大径円柱部を形成し、該大径円柱部をハブ側の円筒部内周に当接させることにより、スプライン軸に作用する曲げモーメントの低下させるものが開示されている。
特開2001−206004号公報
上記の軸受ユニットでは、スプライン軸のスプライン部と該スプライン部と隣接する小径円柱部との境界である段差部に作用する曲げモーメントを抑制するために、スプライン軸に該スプライン軸と嵌合するハブのケーシング内周部と当接する円柱状部を設けることが記載されている。この対策によれば、段差部に作用する曲げモーメントは従来よりも低下されるが、依然としてスプライン部には曲げモーメントが働いており、上記クリアランス発生の対策上、その効果は十分でなかった。
この発明は、車両の駆動系に作用する曲げ振動に対して、スプライン間に生じるクリアランスの発生を低減すべく、十分な耐久性を確保するための軸受ユニットを提供することを目的とする。
本発明は、ケーシングに軸受を介して回転自在に支持されたスプライン軸と、前記スプライン軸に嵌合するコンパニオンフランジとを備えた軸受ユニットであって、
前記スプライン軸は、
軸方向に沿ってスプラインが形成された雄側スプライン部と、
前記雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも大径に形成された大径円柱部と、
前記大径円柱部と反対側の前記雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも小径に形成された小径円柱部と備え、
前記コンパニオンフランジは、
前記雄側スプライン部に嵌合する雌側スプライン部と、
前記雌側スプライン部の軸方向に隣接し、該雌側スプライン部よりも大径に形成され、且つ、前記大径円柱部に嵌合する第1の大径円筒部と、
前記第1の大径円筒部と反対側の前記雌側スプライン部の軸方向で隣接し、該雌側スプライン部よりも大径に形成された第2の大径円筒部とを備え、
前記小径円柱部の外周面と前記第2の大径円筒部の内周面とのそれぞれに当接するスペーサを設けたことを特徴としている。
また、好ましくは、前記スプライン軸は、変速機出力軸として構成されたことを特徴としている。
本発明によれば、スプライン結合を利用した車両駆動系の軸受ユニットに働く曲げ方向の力を、雄側及び雌側スプライン部の軸方向における両側で受けることにより、該雄側及び雌側スプライン部に曲げ方向の力が作用することがなくなり、スプライン部に生じるクリアランスの発生が低減でき、車両の駆動系に作用する曲げ振動に対して、十分な耐久性を確保することができる。
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る軸受ユニットについて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る軸受ユニットの局部断面図である。図1において、変速機1の出力軸2は、ケーシング3に軸受4を介して、回転自在に支持されている。出力軸2の外周にはスプライン加工が施された雄側スプライン部2aが設けられている。また、出力軸2の端部側には雄側スプライン部2aと軸方向で隣接し、雄側スプライン部2aよりも小径に形成された小径円柱部2bが設けられている。さらに、小径円柱部2bと反対側の雄側スプライン部2aの軸方向で隣接し、雄側スプライン部2aよりも大径に形成された大径円柱部2cが設けられている。なお、雄側スプライン部2aと小径円柱部2b、雄側スプライン部2aと大径円柱部2cとの間には、応力集中を緩和するためのR部2dが形成されている。
変速機1の駆動力を出力軸2からプロペラシャフト(図示せず)に伝達するべく、出力軸2にはコンパニオンフランジ5が結合される。コンパニオンフランジ5は、出力軸2の雄側スプライン軸2aにスプライン嵌合する雌側スプライン部5aと、該雌側スプライン部5aの軸方向で隣接し、雌側スプライン部5aよりも内径が大きく形成され、出力軸2の大径円柱部2cに嵌合する第1の大径円筒部5cと、該第1の大径円筒部5cとは反対側で雌側スプライン部5aに隣接する第2の大径円筒部5bを設けている。なお、雌側スプライン部5aと第1の大径円筒部5c、雌側スプライン部5aと第2の大径円筒部5bとの間には、応力集中を緩和するためのR部5dが形成されている。
さらにコンパニオンフランジ5には、図示しないプロペラシャフトの自在継手が連結されるフランジ部5eが設けられる。フランジ部5eにはボルト孔5fが形成され、該ボルト孔5fにはリーマボルト6が挿通され、リーマボルト6にプロペラシャフトの端部に設けられた自在継手が連結され、変速機1とプロペラシャフトとが連結されている。
ケーシング3とコンパニオンフランジ5との間には、変速機1内の潤滑油が外部に流出することを防止するオイルシール7が介装されている。
図1に示すように、出力軸2にスプライン嵌合されたコンパニオンフランジ5を出力軸2から軸方向(紙面の右方向)に抜けてしまうことを防止するため、スペーサ8が設けられている。このスペーサ8は、出力軸2の端部とコンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bの端部にそれぞれ当接し、出力軸2から軸方向(紙面の右方向)にコンパニオンフランジ5が抜けてしまうことを防止するベース部8aを設けている。さらにベース部8aから立設し、出力軸2の小径円柱部2bの外周面とコンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bの内周面のそれぞれに当接する円環部8bとを備えている。さらにベース部8aにはスペーサ8を出力軸2に固定するためのボルト9が挿通されるボルト孔8cが穿設され、ボルト9が出力軸2のネジ孔2eに締め付けられることで、出力軸に固定されている。
次に本実施形態の作用効果について、説明する。
プロペラシャフトのアンバランスな回転により、自在継手を介してプロペラシャフトに連結されたコンパニオンフランジ5には従来と同様、軸方向に対して曲げ方向の力F1及びF2が入力される。
本実施形態では、コンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bに働く曲げ方向の力F1を、スペーサ8の円環部8b及びその内周に介装される出力軸2の小径円柱部2bが受けることになる。また、コンパニオンフランジ5の第1の大径円筒部5cに働く曲げ方向の力F2を、出力軸2の大径円柱部2cが受けることになる。従って、コンパニオンフランジ5の雌側スプライン部5aとスプライン嵌合されている出力軸2の雄側スプライン部2aには、曲げ方向の力が作用することがないため、雄側スプライン部2aと雌側スプライン部5aに曲げ振動による摩耗が生じることがなく、その結果、両スプライン間にクリアランスが発生することを低減でき、振動の悪化を防止できる。
また、コンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bと出力軸2の小径円柱部2bとの間にスペーサ8の円環部8bが設けられているため、コンパニオンフランジ5の雌側スプライン部5aの加工性を損なうことがないという効果を奏する。
コンパニオンフランジ5の雌側スプライン部5aは、一般的にブローチ加工によってスプラインが形成される。コンパニオンフランジ5に雌側スプライン部5aを形成する場合には、コンパニオンフランジ5の雌側スプライン部5aに対応する下穴をスプライン形状のブローチが軸方向(紙面の左右方向)に往復することによりスプラインが形成される。すなわち、ブローチが軸方向(紙面の左右方向)に往復するためには、雌側スプライン部5aに隣接する第2の大径円筒部5bは、雌側スプライン部5aよりも内径が大きくなくてはならない。従って、コンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bと出力軸2の小径円柱部2bとの間には空間が生じてしまうことになり、その結果、曲げ方向に働く力F1を受けることができなくなってしまう。
そこで、コンパニオンフランジ5の第2の大径円筒部5bと出力軸2の小径円柱部2bとの間にできた空間にスペーサ8の円環部8bを介装することで、コンパニオンフランジ5におけるスプライン加工の加工性を損なうことなく、曲げ方向に働く力F1を受けることが可能となる。その結果、コンパニオンフランジ5の雌側スプライン部5aとスプライン嵌合されている出力軸2の雄側スプライン部2aに働く曲げ方向の力を抑制して振動の悪化を防止することができる。
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。例えば、本実施形態では、変速機の出力軸2とコンパニオンフランジ5を用いた軸受ユニットであったが、スプライン結合されるデファレンシャルやハブユニットなど車両の駆動系に用いられている軸受ユニットに使用しても良く、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
本発明の一実施形態に係る軸受ユニットの局部断面図である。 従来構造に係る車両の駆動系の模式図である。 従来構造に係る軸受ユニットの断面図である。
符号の説明
1 変速機
2 出力軸
2a 雄側スプライン部
2b 小径円柱部
2c 大径円柱部
2e ネジ孔(締結部)
3 ケーシング
4 軸受
5 コンパニオンフランジ
5a 雌側スプライン部
5b 第2の大径円筒部
5c 第1の大径円筒部
8 スペーサ
8a ベース部
8b 円環部

Claims (2)

  1. ケーシングに軸受を介して回転自在に支持されたスプライン軸と、
    前記スプライン軸に嵌合するコンパニオンフランジとを備えた軸受ユニットであって、
    前記スプライン軸は、
    軸方向に沿ってスプラインが形成された雄側スプライン部と、
    前記雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも大径に形成された大径円柱部と、
    前記大径円柱部と反対側の前記雄側スプライン部の軸方向で隣接し、該雄側スプライン部よりも小径に形成された小径円柱部とを備え、
    前記コンパニオンフランジは、
    前記雄側スプライン部に嵌合する雌側スプライン部と、
    前記雌側スプライン部の軸方向で隣接し、該雌側スプライン部よりも大径に形成され、且つ、前記大径円柱部に嵌合する第1の大径円筒部と、
    前記第1の大径円筒部と反対側の前記雌側スプライン部の軸方向で隣接し、該雌側スプライン部よりも大径に形成された第2の大径円筒部とを備え、
    前記小径円柱部の外周面と前記第2の大径円筒部の内周面とのそれぞれに当接するスペーサを設けたことを特徴とする軸受ユニット。
  2. 前記スプライン軸は、変速機出力軸として構成されたことを特徴とする請求項1記載の軸受ユニット。
JP2007302716A 2007-11-22 2007-11-22 軸受ユニット Withdrawn JP2009127728A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101146429B1 (ko) * 2010-03-31 2012-05-17 현대다이모스(주) 수동변속기용 컴패니온 플랜지의 유격방지장치

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