JP2009127035A - 有機無機複合ヒドロゲルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(メタ)アクリルアミド又はその誘導体と、ピロリン酸ナトリウム含有水膨潤性粘土鉱物(B)と、水(C)とを含む均一溶液を調製した後、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する重合性モノマーを重合開始剤と同時に又は重合開始剤を添加した後に加えて、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体とスルホン酸基を有する重合性モノマーとを共重合させることにより得られる有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成している有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
【選択図】図1
Description
(1)スルホン酸基を有するモノマー
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミドスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸及びこれらの塩類、メタクリロキシオキシエチルスルホン酸ナトリウムなど
(2)カルボン酸基を有するモノマー
アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸及びその塩類
これらの中でも、水膨潤性やプロトン伝導性の優れた有機高分子が得られやすいとの観点から、アクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸が特に好ましく用いられる。
以下の実施例及び比較例において、引張り試験は、島津製作所(株)製卓上型万能試験機AGS-Hを用いて、未精製の丸棒状のヒドロゲル(直径=5.5mm) 又は平板状のヒドロゲル(幅=10mm,厚み=4.5mm)をチャック部での滑りのないようにして引っ張り試験装置に装着し、標点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分にて測定を行った。水膨潤度は直径5.5mmの丸棒状ヒドロゲル約0.2gを大量の水の中に浸して、その質量増加の時間依存性から求めた。
・粘土鉱物
XLS: 6%ピロリン酸ナトリウム含有水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLS、日本シリカ株式会社製)
XLG: 水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)
・モノマー
DMAA: ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)、活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
NIPAM: N-イソプロピルアクリルアミド(興人株式会社製)、トルエンとヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶し無色針状結晶に精製してから用いた。
AMPS: 2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(和光純薬工業株式会社製)
AAc: アクリル酸(和光純薬工業株式会社製)
MESNa: メタクリロキシオキシエチルスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)
BIS: N,N'-メチレンビスアクリルアミド(関東化学株式会社製)
・重合開始剤
KPS: ペルオキソ二硫酸カリウム(関東化学株式会社製)、KPS/水=0.2/10(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。
・重合触媒
TEMED: N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)
内径25mm,長さ80mmの平底ガラス容器に、純水19gと1.6gのXLSを攪拌して均一な溶液を調製した。これにNIPAM 1.9gを加え、15分間窒素バブリングした。続いて、氷浴下、KPS水溶液1gを攪拌して加えた直後に、AMPS 0.1gとH2O 1gとの透明溶液を加え、均一溶液を得た。得られた均一溶液を速やかに底の閉じた内径5.5mm,長さ150mmのガラス管容器に酸素に触れないようにして移した後、上部を密栓し、20℃で静置重合を行った。15時間後にガラス管容器内に伸縮性、強靭性のある均一な棒状のヒドロゲルが生成された。ヒドロゲルは大量の水に浸して精製した。得られた精製ヒドロゲルを100℃、減圧下にて乾燥して水分を除いたヒドロゲル乾燥体を得た。ゲル乾燥体を20℃の水に浸漬することにより、乾燥前と同じ形状の伸縮性のあるヒドロゲルに戻ることが確認された。また、ゲル乾燥体の熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG-DTA220:空気流通下、10℃/分で600℃まで昇温)を行い、B/A=0.8(質量比)を得た。
未精製の丸棒状のヒドロゲルの引っ張り試験を行い、その結果を図1に示す。また、水膨潤性の測定結果を図3に示す。
表1に示した組成で、実施例1と同様に実施例2,3,4のスルホン酸基又はカルボン酸基を有するヒドロゲルを合成した。図1及び図3に示したように、実施例2,3,4のヒドロゲルは優れた力学特性と水膨潤性を示した。
表1に示したように、AMPSの変わりに、AMPSNaを用いた実施例5,6、MESNaを用いた実施例7,8及びAAcNaを用いた実施例9は、実施例1と同様にしてスルホン酸基又はカルボン酸基を有するヒドロゲルを合成した。図2及び図4に示したように、実施例5,6,7,8,9のヒドロゲルは優れた力学特性と水膨潤性を示した。
表1に示した組成で、実施例1と同様にして低クレイ含有率の実施例10のスルホン酸基を有するヒドロゲルを合成した。また、ピロリン酸ナトリウムを使わない以外は実施例10と同様な組成の比較例3のヒドロゲルを作ろうとしたが、AMPSを添加する際、溶液は著しく増粘し、AMPSの均一な分散ができなかった。また、攪拌機を用い、ゲル化した溶液にモノマーを分散させたが、伸縮性のあるヒドロゲルが得られなかった。
Claims (7)
- 有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成している有機無機複合ヒドロゲルの製造方法であって、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体と、ピロリン酸ナトリウム含有水膨潤性粘土鉱物と、水(C)とを含む均一溶液を調製した後、スルホン酸基又はカルボン酸基を有する重合性モノマーを重合開始剤と同時に又は重合開始剤を添加した後に加えて、前記(メタ)アクリルアミド又はその誘導体とスルホン酸基又はカルボン酸基を有する重合性モノマーとを共重合させることにより前記有機高分子(A)を製造することを特徴とする有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記水膨潤性粘土鉱物(B)と前記有機高分子(A)の質量比((B)/(A))が0.05〜5である請求項1に記載の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記水膨潤性粘土鉱物(B)がピロリン酸ナトリウム含有合成ヘクトライトである請求項1に記載の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記スルホン酸基を有する重合性モノマーが、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸又はその塩、あるいはメタクリロキシオキシエチルスルホン酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記カルボン酸基を有する重合性モノマーがアクリル酸又はその塩である請求項1〜3のいずれかに記載の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記有機高分子(A)中のスルホン酸基又はカルボン酸基を有する重合性モノマーの共重合比率が0.1〜30モル%以下である請求項1〜5のいずれか一つに記載の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られる有機無機複合ヒドロゲルであって、前記水(C)の含有率(含水率)が90質量%の時点における、引っ張り強度が10kPa〜500kPaであり、且つ破断伸びが100%〜3000%である有機無機複合ヒドロゲル。
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