JP5246855B2 - カルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法 - Google Patents
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(1)衛生用品、例えば紙おむつ用、生理用ナプキン、母乳バッド
(2)農園芸用途、例えば種子の発芽・成長助材(野菜、花等の種子の播種助材、種子の発芽促進材、種子コーティング剤)、植物の成長培地用(育苗床、土壌保水、土壌改良、砂漠緑化、菌種などの培養基材)、植物への薬剤投与方法(樹幹への薬剤投与デバイス、農薬徐放剤)
(3)食品分野用、例えば鮮度保持剤、ドリップ吸収剤、食品の吸水剤、結露防止シート、保冷剤
(4)メディカル分野、例えば医療用材料(創傷被覆材、コンタクトレンズ、高血栓性材料、人工皮膚)、薬剤保持・徐放(錠剤(徐放性薬剤)、腸溶性薬剤、外用軟膏剤)
(5)化粧品、例えば保湿性に優れたクリーム又は乳液などの保湿剤、抱水性ゲル状のローション、皮膜型バック剤
(6)土木・建築用、例えばシーリング材(止水材)、結露防止建築資材、法面吹付用保水材、コンクリート養生材
(7)その他、例えば芳香消臭剤、廃液吸収剤、石油回収剤、高吸水繊維、油中水分除去、水膨張性塗料
<破断強度の測定>
以下の合成例及び比較例において、破断強度を測定するための引張り試験は、島津製作所(株)製卓上型万能試験機AGS-Hを用いて、未精製の丸棒状のヒドロゲル(直径=5.5mm)をチャック部での滑りのないようにして引っ張り試験装置に装着し、標点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分にて測定を行った。
<水膨潤度の測定>
水膨潤度は直径5.5mmの丸棒状ヒドロゲル約0.2gを大量の水の中に浸して、その質量増加の時間依存性から求めた。
<FT-IRの測定>
フーリェ変換赤外吸収スペクトル(FT-IR)はジャスコエンジニアリング(株)製 FT-IR 4200を用い、4000cm-1〜400cm-1の範囲で測定を行った。
・粘土鉱物
XLG: 水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)
XLS: 6%ピロリン酸ナトリウム含有水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLS、日本シリカ株式会社製)
・苛性アルカリ
NaOH: 1N NaOH水溶液(和光純薬工業株式会社製)
Ca(OH)2: 水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社製)
・有機溶媒
EtOH: エタノール(和光純薬工業株式会社製)
・モノマー
DMAA: ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)、活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
NIPAM: N-イソプロピルアクリルアミド(興人株式会社製)、トルエンとヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶し無色針状結晶に精製してから用いた。
ACMO: アクリロイルモルフォリン(興人株式会社製)、活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
DEAA: ジエチルアクリルアミド(興人株式会社製)、活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
AAm: アクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)、エタノールとヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶し無色燐片状結晶に精製してから用いた。
MEA: 2-メトキシエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)、活性アルミナを用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
HOA: 2-ヒドロキシエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)、試薬そのまま使用した。
DMAEA: ジメチルアミノエチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)、試薬そのまま使用した。
AM: メチルアクリレート(和光純薬工業株式会社製)、試薬そのまま使用した。
BIS: N,N'-メチレンビスアクリルアミド(関東化学株式会社製)、試薬そのまま使用した。
・重合開始剤
KPS: ペルオキソ二硫酸カリウム(関東化学株式会社製)、KPS/水=0.2/10(g/g)の割合で純水で希釈し、水溶液にして使用した。
・重合触媒
TEMED: N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製)
平底ガラス容器に、純水34.2gを攪拌しながら、1.44gのXLGを添加して無色透明の溶液を調製した。これにDMAA 3.24gとAAm 0.36g(モノマー合計に対して13モル%)を加え、15分間窒素バブリングした。続いて、氷浴下、KPS水溶液1.8g、TEMED 29μlを順次攪拌して加え、均一溶液を得た。得られた均一溶液を底の閉じた内径5.5mm,長さ150mmのガラス管容器に酸素に触れないようにして移した後、上部を密栓し、20℃で静置重合を行った。24時間後にガラス管容器内に伸縮性、強靭性のある均一な棒状のヒドロゲルが生成された。ヒドロゲルは大量の水に浸して精製した。得られた精製ヒドロゲルを100℃、減圧下にて乾燥して水分を除いたヒドロゲル乾燥体を得た。ゲル乾燥体を20℃の水に浸漬することにより、乾燥前と同じ形状の伸縮性のあるヒドロゲルに戻ることが確認された。また、ゲル乾燥体の熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG-DTA220:空気流通下、10℃/分で600℃まで昇温)を行い、(B)/(A)=0.4(質量比)を得た。
表1及び表2に示した組成で、合成例1と同様にして、合成例2〜25の加水分解性モノマー含有有機無機複合ヒドロゲルを合成した。図1〜7に示したように、これらのヒドロゲルは、いずれも高い破断強度と伸びを有しており、力学物性が優れていることが明らかである。
表2に示した組成で、比較例の原料として、加水分解性モノマーを用いない有機無機複合ヒドロゲルを合成した。
合成例1のゲル3.8gを1N水酸化ナトリウム水溶液に浸し、60℃で10時間加熱処理を行った。得られたカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基含有有機無機ヒドロゲルを50mlの水中に1時間含浸洗浄した。含浸洗浄を3回繰り返して、過剰の水酸化ナトリウムを除去した。次に、約0.2g原料ゲル相当分の加水分解したヒドロゲルを大量の水の中に浸し、膨潤実験を行った。膨潤実験は10〜15時間毎に水を交換しながら、ヒドロゲルの重量増加を測った。得られた水膨潤度を図8に示した。
内径25mm,長さ80mmの平底ガラス容器に、純水19gと0.64gのXLGを攪拌して無色透明の溶液を調製した。これにDMAA 1.9gを加え、15分間窒素バブリングした。続いて、氷浴下、KPS水溶液0.2gを攪拌して加えた直後に、AAc 0.2g(モノマー合計に対して14mol%)と10wt%のNaOH水溶液2gとの反応溶液を加えた。AAcとNaOH水溶液との反応溶液を添加している途中に、溶液は直ちに著しく増粘し、AAcとNaOH水溶液との反応溶液を均一に分散できなかった。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例2〜9のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図8,9)。図に示したように、アクリルアミドの含有率の増加につれ、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。また、実施例4の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、実施例1の加水分解したゲルと比較して、1570cm-1のカルボン酸ナトリウムのカルボニル吸収が増大することを確認した(図23)。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例10〜12のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図10)。図に示したように、アクリルアミドの含有率の増加につれ、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。加水分解処理せずの有機無機複合ヒドロゲルの比較例3(合成例12のゲル)(図17)と、また、アクリルアミドを用いずに合成した比較合成例27のゲルを加水分解処理した有機無機ヒドロゲルの比較例8(図18)と比べて、実施例10〜12のゲルの水膨潤度が大幅に増加した。なお、比較例8の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、FT-IRスペクトルが全く変化せず、加水分解していないことが確認された。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例13〜15のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図11)。図に示したように、アクリルアミドの含有率の増加につれ、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。加水分解処理せずの有機無機複合ヒドロゲルの比較例4(合成例15のゲル)(図17)と、また、アクリルアミドを用いずに合成した比較合成例28のゲルを加水分解処理した有機無機ヒドロゲルの比較例9(図18)と比べて、実施例13〜15のゲルの水膨潤度が大幅に増加した。また、実施例13の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、新たに1565cm-1にガルボン酸ナトリウムのカルボニル吸収が観測され、原料ゲルのアミド基が加水分解によりカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基に変換したことがわかった(図24)。
なお、比較例9の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、FT-IRスペクトルが全く変化せず、加水分解していないことが確認された。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例16〜19のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図12,13)。図に示したように、アクリルアミドの含有率の増加につれ、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。加水分解処理せずの有機無機複合ヒドロゲルの比較例5(合成例19のゲル)(図17)と、また、アクリルアミドを用いずに合成した比較合成例29のゲルを加水分解処理した有機無機ヒドロゲルの比較例10(図18)と比べて、実施例16〜19のゲルの水膨潤度が大幅に増加した。実施例19のゲルの水膨潤度は20057であった。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例20〜22のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図14)。図に示したように、2-メトキシエチルアクリレートの含有率の増加につれ、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。加水分解処理せずの有機無機複合ヒドロゲルの比較例6(合成例22のゲル)(図17)と比べて、実施例20〜22の水膨潤度が大幅に増加した。また、実施例20の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、1730cm-1のアクリレートのカルボニル吸収が消失し、新たに1570cm-1にガルボン酸ナトリウムのカルボニル吸収が観測され、原料ゲルのエステル基が加水分解によりカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基に変換したことがわかった(図26)。
表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例23〜26のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図15)。図に示したように、アクリレートの含有によって、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。実施例23の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、1730cm-1のアクリレートのカルボニル吸収が消失し、新たに1570cm-1にガルボン酸ナトリウムのカルボニル吸収が観測され、原料ゲルのエステル基が加水分解によりカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基に変換したことがわかった(図27)。
水酸化ナトリウム水溶液の変わりに水酸化カルシウムの水懸濁液を使い、表3に示した組成及び加水分解条件で実施例1と同様にして、実施例27,28のゲルを合成し、その水膨潤度を求めた(図16)。図に示したように、加水分解性モノマーを用いた共重合によって、加水分解処理後のヒドロゲルの水膨潤度が著しく増加した。実施例27,28の加水分解処理したヒドロゲルのFT-IRを測定したところ、原料ゲルと比較して、新たに1570cm-1にガルボン酸カルシウムのカルボニル吸収が観測され、水酸化カルシウムの水懸濁液でも加水分解が進行したことがわかった(図28,29)。
実施例16のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基含有有機無機複合ヒドロゲル1.5g(水膨潤度Wgel/Wdry=94)を100mlの50℃の水に15時間浸し、ヒドロゲルは白濁して収縮した。次に収縮したヒドロゲルを25℃の水に15時間浸し、ヒドロゲルが膨潤して透明状態に戻った。更にこの膨潤したゲルを50℃の水に浸すと、ヒドロゲルが再び白濁して収縮した。このように水温を変えることによって、ヒドロゲルが応答して、図30に示したように膨潤と収縮を繰り返した。
実施例17のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基含有有機無機複合ヒドロゲル2.6g(水膨潤度Wgel/Wdry=455)を50mlの0.1N水酸化ナトリウム水溶液(PH=11)に15時間浸し、ヒドロゲルが収縮した。次に収縮したヒドロゲルを純水(PH=7)に15時間浸し、ヒドロゲルが膨潤した。更にこの膨潤したゲルを水酸化ナトリウム水溶液に浸すと、ヒドロゲルが再び収縮した。このようにPHを変えることによって、ヒドロゲルが応答して、図31に示したように膨潤と収縮を繰り返した。
Claims (6)
- カルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機高分子(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成している有機無機複合ヒドロゲルの製造方法であって、
(1)水膨潤性粘土鉱物(B)の共存下、加水分解性を有する(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーを重合させる工程により有機無機複合ヒドロゲルを得る工程、
(2)前記工程で得られた有機無機複合ヒドロゲルの有する(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸エステル基を苛性アルカリにより加水分解して、有機高分子(A)中のアミド基又はエステル基の少なくとも一部をカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基に変換する工程、
の各工程を有することを特徴とする、カルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。 - 前記水膨潤性粘土鉱物(B)と前記有機高分子(A)の質量比((B)/(A))が0.01〜10である請求項1に記載のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記加水分解性を有する(メタ)アクリル酸エステルが、2−メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート又はメチルアクリレートである請求項1又は2に記載のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記有機高分子(A)中の加水分解性を有するアクリルアミドの共重合比率が0.1〜100モル%である請求項1〜3のいずれか一つに記載のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 前記有機高分子(A)中の加水分解性を有するアクリル酸エステルの共重合比率が0.1〜70モル%である請求項1〜3のいずれか一つに記載のカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られるカルボン酸塩構造又はカルボキシアニオン構造の基を有する有機無機複合体ヒドロゲル。
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