JP5000122B2 - 縫製用部材および縫製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アミド基含有高分子と粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ゲルを構成成分として含む縫製用部材および縫製方法に関する。
高分子ゲルは、素材が多量の溶媒(水、水溶性有機溶媒等)を含むことができるため、透明性、柔軟性、溶媒吸収性、特定溶質の吸着性や透過性などに優れており、分析、化学工業、農業、土木、建築、医療、再生医療分野を始めとする多くの分野で、ソフトマテリアル、吸水材料、吸着剤、選択的分離材、振動吸収材などとして広く用いることが期待されている。特に、医療、再生医療分野では、水を主成分とする高分子ゲルが生体適合性の点から有効に用いられると期待されている。
高分子ゲルを上記分野で効果的に用いるためには、用途に応じた複雑形状を有する高分子ゲルの調製や他材料との複合化が必要不可欠であり、そのためには、高分子ゲル同士または生体材料を含む他材料との縫製が可能な高分子ゲルが強く求められている。しかし、これまでの高分子ゲルでは、機能性と力学物性の全てを兼ね備えたものはほとんど無く、特に高分子ゲルの多くは力学的に弱いまたは脆いという欠点を有していた。最も一般的に用いられる高分子ゲルは、高分子鎖間を有機架橋剤を用いて、もしくはγ線や電子線を照射して、架橋したものであり、例えば、高吸水性樹脂として知られるポリアクリル酸ナトリウム架橋体や、N,N‘メチレンビスアクリルアミドにより架橋して得られたポリ(N、N−ジメチルアクリルアミド)のゲルなどが良く知られている。しかし、これらの高分子ゲル(以下、有機架橋高分子ゲルと略す)は極めて低い力学物性しか示さず、いずれも、10〜40%程度の延伸による弱い力で脆性破壊するため、縫製部材として用いることは不可能であった。
一方、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(以下、PNIPAと略す)やポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(以下、PDMAAと略す)のようなアミド基含有高分子とヘクトライトなどの粘土鉱物をnmレベルで複合化して三次元網目を形成させて得られる高分子ゲルが、優れた透明性、高膨潤性と共に、極めて優れた力学物性や機能性(刺激応答性など)を示すことが報告されている(特許文献1,2)。例えば、PDMAAと粘土鉱物からなる高分子ゲルは優れた透明性、高膨潤性と共に、1500%を超える破断伸びや高い破断強度を有する優れた力学物性を示した(非特許文献1)。またPNIPAと粘土鉱物からなる高分子ゲルは1000%前後の破断伸びを含む優れた力学物性、優れた透明性、高い膨潤性に加えて、温度変化による迅速な膨潤/収縮などの優れた機能性を示した(非特許文献2、3)。しかし、かかる高分子ゲルが縫製用部材として用いられるかどうかについては、全く知られていなかった。
特開2002−53629号公報 特開2005−110604号公報 Kazutoshi Haraguchi, Robin Aarnworth, Akira Ohbayashi, Toru Takehisa, Macromolecules, vol.36, No.15, 5732-5741 (2003). Kazutoshi Haraguchi, Toru Takehisa, Advanced Materials, vol.14, No.16, 1120-1124 (2002). Kazutoshi Haraguchi, Toru Takehisa, Simon Fan, Macromolecules, vol.35, No.27, 10162-10171 (2002).
本発明が解決しようとする課題は、高分子ゲル同士または生体材料を含む他素材との縫製が可能で、力学物性及び/または生体適合性に優れた縫製用部材および縫製方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、及びN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶性有機モノマーの重合体と層状剥離した水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ゲルの表面及び/または内部の少なくとも一部に高分子フィルム及び布帛の少なくとも一種を有する複合高分子ゲルが縫製用部材としてより優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明により得られる高分子ゲルまたは複合高分子ゲルからなる縫製用部材は、それら同士または生体材料を含む他素材と縫製することが可能であり、高分子ゲルの優れた特徴を生かしたまま、縫製による複雑な形状を有する高分子ゲルを調製したり、他材料と縫製して複合材料を得ることができる。特に、高分子ゲルが水を主成分とすることから、他材料として生体材料、生体適合性高分子を含む高分子部材、生分解性高分子を含む高分子部材などを用いた場合は、力学物性と共に生体適合性に優れた複合材料が得られる。
本発明における縫製用部材は、アミド基含有高分子と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲル、及び/または該高分子ゲルの表面及び/または内部に高分子フィルム及び/または布帛を有する複合高分子ゲルである。
[高分子ゲル]
本発明における縫製用部材として用いられる高分子ゲルは、アミド基含有高分子と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルである。高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子は、水に溶解する性質を有するアミド基含有ビニルモノマーを主成分として重合して得られるものであり、得られるアミド基含有高分子が水に溶解または膨潤するものが特に好ましい。
アミド基含有高分子を得るためのアミド基含有ビニルモノマーの具体例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマーの中から選択される1種又は2種以上のモノマーが挙げられる。例えば、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリディン、N−アクリロイルモルフォリン、N−アクリロイルピペリディン、N−アクリロイルメチルホモピペラディン、N−アクリロイルメチルピペラディン、アクリルアミド等が例示される。
また上記アミド基含有ビニルモノマーとその他の重合性モノマーの併用も本発明に言う高分子ゲルが形成される限りにおいて可能である。特に高分子ゲルの機能性、接着性などを改良させるために、カルボン基、アミノ基、水酸基などを含む重合性モノマーを併用することは有効に用いられる。また、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)などのように相転移を示す臨界温度を有し、外部刺激でゲル体積を変化させるような刺激応答性水溶性ポリマーも目的に応じて好ましく用いられる。
高分子ゲルを形成する粘土鉱物としては、表面に荷電を有し、且つ水中で膨潤または層状に解離する水膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、より好ましくは単層または複数層の小さい単位に水中で微細に分散するものである。好ましい粘土鉱物の具体例としては、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
本発明で得られる高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子と粘土鉱物の量は、アミド基含有高分子と粘土鉱物が三次元網目を形成出来れば良く、特に限定されないが、縫製用部材としての強度や高分子ゲルの柔軟性を考慮すると粘土鉱物/アミド基含有高分子化合物の質量比が0.001〜10であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3、特に好ましくは0.1〜2である。
本発明において使用する高分子ゲルは、1kPa以上の引っ張り弾性率、20kPa以上の引っ張り強度、および50%以上の破断伸びといった優れた物性を実現できる柔軟且つ強靭な材料であり、好ましくは、引っ張り弾性率が5kPa以上、引っ張り強度が50kPa以上、破断伸びが50%以上、さらに好ましくは引っ張り弾性率が10kPa以上、引っ張り強度が80kPa以上、破断伸びが100%以上の物性を有する。特に好ましくは引っ張り弾性率が10kPa以上、引っ張り強度が80kPa以上、破断伸びが300%以上である。また、縫製用部材として重要な引き裂き強度に関しては、基本的には引き裂き(切り込み(クラック)を入れ、それと直角方向に延伸して測定)による強度低下が断面積の減少分以上には観測されないことが望ましい。このことは、針を通したり、その後、糸を通した点から破断が促進されないことを意味する。
本発明において使用する高分子ゲルは、他の力学的変形に対しても良好な機械特性を示し、例えば大きな圧縮、引っ張り又は曲げ変形に対しても優れた強靱性を有する。具体的には、本発明の高分子ゲルには、元の高分子ゲルに比べて厚み方向で1/3以下の厚みに圧縮変形されても、その形状が破壊されない高分子ゲルや、又は長さ中心点で100度以上の角度に曲げ変形されても、その形状が破壊されない高分子ゲルが好ましく用いられる。
本発明において使用する高分子ゲルは、透明性の高いものとすることができる。透明性の程度は水溶性有機モノマーの重合体に対する水膨潤性粘土鉱物の量比や、水の含有率などにより異なる。その程度は、高分子ゲルの配置された下の面の観察が十分に出来れば特に規定されないが、好ましくは、該高分子ゲルの厚さが2mmであるときに、厚さ方向への波長600nmの可視光に対する透過率が70%以上であるものが用いられ、より好ましくは80%以上のものが、特に好ましくは90%以上のものが用いられる。
本発明において使用する高分子ゲルは、その三次元網目の中に溶媒を含有する。溶媒としては、水、水と混和する有機溶媒、またはこれらの混合溶媒などの溶媒が用いられる。好ましくは水または水を主成分とする溶液(例えば、生理食塩水)である。
本発明において高分子ゲルに含まれる水又は溶媒の量は、目的に応じて設定され一概には規定されないが、好ましくは高分子ゲル中の有機モノマーの重合体と水膨潤性粘土鉱物との合計質量に対する水又は溶媒の質量比が0.1〜300程度のものが用いられるが、縫製用部材として、好ましくは0.5〜100、より好ましくは、1〜30、特に好ましくは、2〜20のものが用いられる。
本発明において使用する高分子ゲルは、上記のとおり、優れた透明性、膨潤性、吸収性、力学物性(柔軟性、高タフネス、高伸張性、耐圧縮性)を示し、これら特性は、使用する用途によって必要とされる特性に適宜調整することができる。
本発明における高分子ゲルを得るための製造方法としては、アミド基含有モノマーを粘土鉱物共存下での重合反応によって行われる。重合反応は、ラジカル重合開始剤の存在、加熱、または紫外線照射など慣用の方法を用いたラジカル重合により行わせることが出来る。
具体的には、まず、アミド基含有モノマーと粘土鉱物と水を含む均一分散液を調製した後、粘土鉱物共存下でアミド基含有モノマーを重合させることにより、高分子ゲルを調製する。ここで層状に剥離した粘土鉱物が架橋剤の働きをすることによりアミド基含有モノマー重合体と粘土鉱物との三次元網目を形成した高分子ゲルが得られる。該高分子ゲルはこのように形成された三次元網目構造を有することにより、その内部に水又は水と水溶液を保持することができると共に、上記の優れた物性を有する。
ラジカル重合開始剤及び重合促進剤としては、慣用のラジカル重合開始剤及び重合促進剤のうちから適宜選択して用いることが出来、好ましくは水に分散性を有し、系全体に均一に含まれるものを用いることができる。特に好ましくは層状に剥離した粘土鉱物と強い相互作用を有するラジカル重合開始剤である。具体的には、水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物などを好ましく使用できる。水溶性アゾ化合物としては、和光純薬工業株式会社製のVA−044、V−50、V−501などが好ましく使用できる。その他、ポリエチレンオキシド鎖を有する水溶性ラジカル開始剤なども使用できる。また重合促進剤としては、3級アミン化合物であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやβ−ジメチルアミノプロピオニトリルなどを好適に使用できる。
上記重合反応時の温度は、用いるアミド基含有モノマー、重合促進剤及び開始剤の種類などに合わせて適宜選択すればよく、例えば0℃〜100℃の範囲に設定出来る。
重合時間は重合促進剤、開始剤、重合温度、重合溶液量(厚み)などの重合条件によって異なり、一概に規定できないが、一般に数十秒〜十数時間の間で調整すればよい。
本発明の高分子ゲルは、その特性を改良する目的で、該高分子ゲル中の有機モノマーの重合体の一部を共有結合により架橋させることが出来る。該高分子ゲル中の有機モノマーの重合体の一部を共有結合させることにより、形状の安定性が向上する。 有機モノマーの重合体の一部を共有結合によって架橋させる方法は、高分子ゲルに放射線を照射して、有機モノマーの重合体相互で共有結合させる方法が挙げられる。
[複合高分子ゲル]
本発明における縫製用部材としては、上記高分子ゲルの表面及び/または内部に、一層または多層にて、可撓性や伸縮性のある高分子フィルム及び/または布帛を有するように調製された複合高分子ゲルを用いることも好ましい。
複合化の態様としては縫製用部材として用いた際に破断を抑制できるようにする態様が好ましく、特にシート状の高分子ゲルからなる層と、高分子フィルム及び布帛から選ばれる少なくとも一種からなる層とが積層されている積層構造であることがより好ましい。
高分子フィルムとしては、高分子ゲルの物性を確保し、補強するための可撓性、柔軟性、伸張性を有するものであればよく、特に限定されないが、具体的には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、及びそれらのエラストマー、シリコンゴム、天然ゴムなどが挙げられる。また、必要に応じてそれら高分子フィルムの表面を親水化したり、穴あきなどの加工を行うことで、高分子ゲルと密着した状態で複合化できるようにしたものが好ましく用いられる。一方、可撓性や伸縮性のある布帛としては、繊維状の物質をシート状にしたもので、織布や不織布、ネットなどを言い、これらは各種加工が施されていてもよい。織布としては、繊維状の物質を平織、綾織、朱子織等の方法で交互に組み合わせたものが挙げられる。不織布としては、乾式法や湿式法により繊維を集積し、接着剤の使用、又は水流絡合等により繊維を結合させたものが挙げられる。ネットとしては各種網状のものが使用できる。また、これらの加工品としては、織布や不織布等に故意に孔を開けたもの、あるいはポリマーや金属等のシートに穴を開けて成形したものが挙げられる。この場合の孔は、通常1mm以上の網目の大きさを持ち、シートを貫通していることが好ましい。また、例えば、蛇腹のような折りの入ったもの、ハニカム形態、三次元織物、パンチングメタルのような穴加工のなされたものなども挙げられる。
本発明において複合化される布帛は、一層または多層のいずれもが有効に用いられる。いずれの場合も、目的により表面配置及び/または内部含有のいずれもが可能であり、片表面または両表面を布帛と複合したものや、それらと内部を一層または多層で布帛と複合したものなどが例示される。
本発明の布帛として用いられる不織布等の材質としては、特に限定されないが、綿、パルプ、及び羊毛等の天然繊維、またナイロン、ポリエステル、及びポリ乳酸等の合成繊維、さらにはガラス繊維や炭素繊維等が用いられる。特に生体適合性や生分解及び生体吸収性を有するものは好ましく用いられる。また、本発明の布帛は親水性、疎水性のものが選択して用いられ、更には親水性及び疎水性を併せ持つもの(例:上面が疎水性、下面が親水性)も好ましく用いられる。
本発明の布帛として用いられる不織布等は、複合高分子ゲルを構成する高分子ゲルとともに変形出来る柔軟性、伸縮性を持つことが好ましい。これにより、構成する高分子ゲルの力学物性および機能性を有効に生かし、且つ、高分子ゲルの縫製による強度低下を抑制した縫製用部材が得られる。
本発明において、布帛として用いられる不織布等を高分子ゲルの表面または内部に旦持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、複合高分子ゲルの不織布やネットの孔の内部に高分子ゲルを含有させ、物理的に不織布やネットと高分子ゲルとが付着しており、分離しないようにする方法や、不織布等の表面を修飾して、高分子ゲルと化学的に結合させる方法などが挙げられる。
また、本発明の複合高分子ゲルには、高分子フィルムや布帛として用いられる不織布等の他、機能性を有する素材(例えば、生体吸収性または生体適合性を有する高分子)をゲル中に均一に、または不織布やネットに予め含ませておくことは有効である。生体吸収性または生体適合性を有する高分子としては、例えばコラーゲン、ゼラチン、フィブリノーゲン、血清アルブミン、グルテンなどのタンパク質やペプチド、デオキシリボ核酸やリボ核酸などの核酸、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、アルギン酸、ペクチン酸、デンプン、デキストラン、プルランなどの多糖類、ポリリンゴ酸やポリ−β−ヒドロキシ酪酸などのエステル、ポリ乳酸などが用いられる。
[縫製方法]
本発明における縫製用部材は、それら(高分子ゲル及び/または複合高分子ゲル)同士を縫製する他、他の部材と併用して縫製することも有効に用いられる。他の部材としては、例えば、生体材料、生体適合性高分子を含む高分子部材、生分解性高分子を含む高分子部材などが挙げられる。生体材料としては、生物、動物の中に存在する皮膚、各種膜、臓器などの生体組織材料が挙げられる。また、生体適合性高分子を含む高分子部材としては、生体に対して適合性を有する高分子材料、高分子無機複合材などが挙げられ、ゴアテックスなどのポリフルオロカーボン類、ポリエチレングリコールなどの親水性高分子類、DNAなどから形成される生体由来高分子類からなる高分子フィルム、繊維、成型体などが挙げられる。また、生分解性高分子を含む高分子部材としては、ポリ乳酸、ポリエステルなどの生分解性高分子類からなる高分子フィルム、繊維、成型体などが挙げられる。本発明における縫製手段としては、通常の工業用または手術時に用いられる縫製方法がいずれも使用可能である。本発明により得られた縫製物は、高分子ゲルの可撓性、伸縮性、機能性、透明性などを有し、曲げや引っ張りにも安定な強靱性が要求される医療用具、再生医療材料などに好適に使用出来る。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例
粘土鉱物には、[Mg5.34Li0.66Si0(OH)]Na 0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(Rockwood Ltd.製「ラポナイトXLG」)を、有機モノマーはN,N−ジメチルアクリルアミド(興人株式会社製:以下、DMAAと略記。)を既知の方法により精製してから使用した。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(関東化学株式会社製:以下、KPSと略記。)を、重合促進剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製:以下、TEMEDと略記。)を使用した。超純水は、全て窒素バブリング等により、含有酸素を除去してから使用した。
平底ガラス容器に、超純水57.06g、2.4gのラポナイトXLG、DMAA5.94gを加え、無色透明溶液を得た。さらにKPSとTEMEDを加えた。この溶液を厚み2mm、長さ100mm、幅100mmの圧入容器に酸素に触れないようにして移した後、密栓をし、20℃の恒温水槽中で20時間静置して重合を行った。なお、これらの操作は、酸素を遮断した状態で行った。重合開始から20時間後に、圧入容器内にほぼ無色透明で均一な厚さ2mmのシート状のゲル(A)が得られた。
得られたゲルおよびその乾燥物に対する熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG−DTA220:室温〜600℃)、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−550)、乾燥重量測定により、モノマー(DMAA)の99.5%以上が重合し、初期反応溶液とほぼ同じ割合の粘土鉱物(ラポナイトXLG)を含む高分子ゲルであることが確認された。広角X線回折(理学機器製:X線回折装置RINTULTIMA)および透過型電子顕微鏡観察(日本電子株式会社製JEM−200CX:加速電圧100KV)により、ゲル内部で粘土鉱物が層状剥離して分子状に分散していることが確認された。また、高分子ゲルの乾燥物を20℃の水に浸漬することにより、水を吸収し乾燥前と同じ形状の弾性のあるゲルに戻ることが確認され、得られた高分子ゲルにおいてポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)とクレイを主成分とする三次元網目構造が形成されていることが確認された。
得られた高分子ゲルの力学延伸試験(引っ張り試験装置、島津製作所製:卓上型万能試験機AGS−H)の結果、弾性率、破断伸びがそれぞれ、8.2kPa、1300%であり、いずれも柔らかさと強靱さを有していることが確認された。このようにして得られたシート状ゲル(A)を1cm×5cmの大きさに切断し、チャック部での滑りの無いようにして引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、評点間距離30mm、引っ張り速度100mm/分にて引っ張り試験を行った。その結果、引っ張り強度が85kPa、破断伸びが1520%、弾性率が4.2kPaであった。
また、シート状ゲル(A)を、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−530)内に固定して、シート状ゲル(A)の厚さ方向の光透過率測定を行った。その結果、600nm波長で92%の光透過率であることが確認された。
参考例2
参考例1の高分子ゲル(大きさが10cm×10cmで厚みが2mm)2枚を、手術用縫合糸(商品名:モノクリル、ジョンソンエンドジョンソン株式会社製)を用いて縫合針により2mm間隔で縫合した。縫合したものを圧縮(60%)、曲げ(100度)、延伸(200%)を繰り返し、30回ずつ行ったが、縫合部は安定しており、クラックの発生や破断は一切生じなかった。
(実施例1)
圧入容器の中に、伸縮性のあるポリプロピレン製不織布(FE610:親水処理物:日本バイリーン製)を予め挿入しておく以外は、参考例1と同様にして、高分子ゲル内部に不織布を有する複合高分子ゲル(10cm×10cm×2mm厚み)を調製した。参考例2と同様にして複合高分子ゲル二枚の縫合を行い、繰り返しの変形試験を行ったが、縫合部は安定しており、クラックの発生や破断は一切生じなかった。
(実施例2)
圧入容器の下面に、表面を親水化処理したポリウレタンフィルム(厚さ60μm、T−6085HNAT、ディーアイシー・バイエル・ポリマー株式会社製)を配置する以外は実施例1と同様にしてポリウレタンフィルムを表面に有する複合高分子ゲル(10cm×10cm×2mm厚み)を調製した。得られた複合高分子ゲルと参考例で得られた高分子ゲルとを用いて、参考例2と同様にして縫合し、繰り返しの変形試験を行った。縫合部は安定しており、クラックの発生や破断は一切生じなかった。
(実施例
実施例で得られた複合高分子ゲルとゴアテックスフィルム(100μm、ジャパンゴアテックス(株)製)を参考例2と同様にして縫合し、繰り返しの変形試験を行った。縫合部は安定しており、クラックの発生や破断は一切生じなかった。
(比較例1)
参考例において、ラポナイトXLGの代わりに、N,N−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬株式会社製)を0.42g加えること以外は同様の方法で、有機架橋高分子ゲルシートを作成した。得られた有機架橋高分子ゲルシートを用いて、参考例と同様の方法で引っ張り試験を行ったところ、元の30%延伸後にゲルシートが破壊してしまった。またこの有機架橋ゲルシートを用いて、参考例2と同様の方法で、縫合を行ったところ、縫合糸をゲルシートに挿入したところから、高分子ゲル部分が直ちに破壊してしまい、縫合を行うことは出来なかった。
(比較例2)
実施例において、ラポナイトトXLGの代わりに、N,N−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬株式会社製)を0.42g加えること以外は同様の方法で、不織布を含む有機架橋ゲルシートを作成した。得られた不織布含有有機架橋ゲルシートを用いて、参考例と同様な方法で引っ張り試験を行ったところ、元の30%延伸後にゲルシートの高分子ゲル部分が破壊した。またこの不織布含有有機架橋ゲルシートを用いて、実施例と同様の方法で、縫合を行ったところ、縫合糸をゲルシートに挿入したところから、高分子ゲル部分が直ちに破壊してしまい、縫合を行うことは出来なかった。

Claims (5)

  1. N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、及びN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む水溶性有機モノマーの重合体と層状剥離した水膨潤性粘土鉱物とから構成される三次元網目構造を有する高分子ゲルの表面及び/または内部の少なくとも一部に高分子フィルム及び布帛の少なくとも一種を有する複合高分子ゲルからなる縫製用部材。
  2. 前記高分子フィルムが伸縮性を有する請求項1記載の縫製用部材。
  3. 前記水膨潤性粘土鉱物が、水膨潤性のヘクトライト、水膨潤性のモンモリロナイト、水膨潤性のサポナイト、又は水膨潤性の合成雲母からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2のいずれかに記載の縫製用部材。
  4. 前記高分子ゲルが、水に均一に分散した水膨潤性粘土鉱物の存在下で、水溶性有機モノマーを重合させてなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の縫製用部材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の縫製用部材と、前記縫製用部材、生体材料、生体適合性高分子を含む高分子部材及び生分解性高分子を含む高分子部材から選ばれる一種以上とを組み合わせて縫合することを特徴とする縫製方法。
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