JP2009126891A - 酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 - Google Patents
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Abstract
【解決の手段】酸化物蛍光体を、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、少なくともEuで付活されるとともに、ペロブスカイト型結晶相を有するようにする。
【選択図】なし
Description
また、全結晶相内に占めるペロブスカイト型結晶相の割合が50%以上であることが好ましい(請求項3)。
また、本発明の蛍光体は、該金属元素とEuとの合計量に対するEuの割合が0.1モル%以上100モル%未満であることが好ましい(請求項5)。
さらに、本発明の蛍光体は、重量メジアン径が5μm以上30μm以下であることが好ましい(請求項6)。
このとき、前記第2の発光体が、前記第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる1種以上の蛍光体を、第2の蛍光体として含有することが好ましい(請求項9)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の発光装置を光源として備えることを特徴とする、照明装置に存する(請求項13)。
なお、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al2O4:Eu」という組成式は、「CaAl2O4:Eu」と、「SrAl2O4:Eu」と、「BaAl2O4:Eu」と、「Ca1-xSrxAl2O4:Eu」と、「Sr1-xBaxAl2O4:Eu」と、「Ca1-xBaxAl2O4:Eu」と、「Ca1-x-ySrxBayAl2O4:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
本発明の蛍光体は、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素(以下、適宜「特定金属元素」という)と、2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、少なくともEuで付活されるとともに、ペロブスカイト型結晶相を有する酸化物蛍光体である。
本発明の蛍光体は、特定金属元素と、2族元素と、4族元素と、酸素とを含有する酸化物蛍光体であって、少なくともEuで付活されたものである。
そして、本発明の蛍光体は、上記の特定金属元素、2族元素、4属元素及び酸素により母体結晶を構成し、この母体結晶が付活元素で付活された構造を有している。前記母体結晶に含まれる特定金属元素、2族元素、4属元素及び酸素のモル比は、本発明の蛍光体がペロブスカイト型結晶相を有することができる範囲である。通常は、特定金属元素をM1で表わし、2族元素をM2で表わし、4族元素をM3で表わした場合、母体結晶が組成式M1 2M2 1M3 1O6で表わされるようにする。
本発明の蛍光体がフラックス成分元素を含有する場合、その濃度範囲に制限は無いが、通常1ppm以上、好ましくは3ppm以上、より好ましくは10ppm以上、また、通常5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。前記の濃度範囲でフラックス成分元素を含むことにより、本発明の蛍光体の粒子の粒径や形状が好ましいものとなる。また、フラックス成分元素が多すぎると、本発明の蛍光体の特性に影響を与える可能性がある。また、フラックス成分元素が蛍光体の結晶相の外に存在している場合は、本発明の効果を損なわない限り、フラックス成分元素の濃度範囲に特に制限は無い。
まず、蛍光体を解砕する。解砕の程度は、蛍光体の重量メジアン径D50が後述する範囲となる程度である。その後、蛍光体を塩酸や硝酸などの酸で洗浄し、ついで、水洗することにより、製造時の未反応物などの可溶部分を除去する。水洗の程度は、水洗後の蛍光体を10倍重量の水に分散沈降後の上澄み液の電気電導度が5mS/m以下となる程度である。そして、この条件を満たした蛍光体の元素分析を行ない、フラックス成分元素の結晶相中に存在する濃度を測定する。元素分析は、固体試料を陰極としグロー放電を用いて試料表面をスパッタし、放出された中性粒子をプラズマ内のArや電子との衝突によってイオン化させるグロー放電質量分析計(GD−MS)により定量できる。なお、前記の解砕及び水洗は、測定対象である蛍光体が解砕及び水洗を行なわなくても前記の条件を満たしている場合には、不要である。
本発明の蛍光体はペロブスカイト型結晶相を有する。前記の組成を有すると共にペロブスカイト型結晶相を有することにより、本発明の蛍光体は、発光波長が狭い範囲に存在し、且つ、高輝度に発光できるようになっている。従来の蛍光体においてはペロブスカイト型結晶相は良好な蛍光を発しないものが多かったことに鑑みると、本発明の蛍光体が前記の効果を発揮することは驚くべきことである。
なお、前記の全結晶相内に占めるペロブスカイト型結晶相の割合は、粉末X線回折法により測定できる。
・発光波長
本発明の蛍光体は赤色の蛍光を発する蛍光体であり、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲の蛍光を発するものである。
また、本発明の蛍光体は、発光スペクトルにおける最大発光ピーク波長を、通常600nm以上、また、通常640nm以下の波長範囲に有するものである。これは、Eu3+が5D0から7F2へ遷移することにより生じるピークである。
本発明の蛍光体は、発光ピークがシャープであることを利点の一つとしている。具体的には、前記の最大発光ピークの半値幅が、通常40nm以下、好ましくは25nm以下、より好ましくは15nm以下である。このようなシャープな発光ピークを有していることにより、本発明の蛍光体は、画像表示装置の光源用途に良好に使用できる。なお、前記半値幅の下限に制限は無いが、通常は1nm以上である。
本発明の蛍光体は、その発光スペクトルにおいて最大発光ピーク以外の発光ピーク(以下、適宜「他の発光ピーク」という)を有さないことが好ましく、また、有するとしても当該他の発光ピークの発光強度が小さいことが好ましい。画像表示装置に使用する場合には、本発明の蛍光体から発せられる蛍光の色純度が高いことが好ましいためである。この観点から、例えば、他の発光ピークの発光強度は、最大発光ピークの発光強度に対して、通常80%以下、好ましくは60%以下である。中でも、680nm以上710nm以下の波長範囲の発光ピークの発光強度は、最大発光ピークの発光強度に対して、通常50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。
本発明の蛍光体の前記の発光スペクトル、並びに、前記の発光ピーク波長、半値幅及び発光ピーク強度は、例えば、(株)日立製作所製F−4500型分光蛍光光度計を用いるか、励起光源として150Wキセノンランプを用い、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて測定することができる。
・励起波長
本発明の蛍光体の励起スペクトルに制限は無いが、例えば発光波長612nmにおける励起スペクトルとしては、通常250nm以上、好ましくは300nm以上、より好ましくは350nm以上であって通常430nm以下の波長範囲、通常450nm以上であって通常480nm以下の波長範囲、又は、通常520nm以上であって通常550nm以下の波長範囲の光で励起されて可視光を発する。
本発明の蛍光体は、このように広範な波長範囲の光を吸収することができるため、従来の蛍光体よりも高い輝度で発光できるものと推察される。
本発明の蛍光体の前記の励起スペクトル及び吸収ピーク波長は、例えば、発光スペクトルの測定方法の項で挙げたのと同様の測定装置を用いて測定することができる。
・量子効率
本発明の蛍光体の外部量子効率は、通常1以上、好ましくは4以上、より好ましくは10以上である。高発光強度の発光素子を設計するためには、外部量子効率は高いほど好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常100以下である。
まず、測定対象となる蛍光体サンプル(例えば、粉末状など)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球などの集光装置に取り付ける。積分球などの集光装置を用いるのは、蛍光体サンプルで反射したフォトン、及び蛍光体サンプルから蛍光現象により放出されたフォトンを全て計上できるようにするため、すなわち、計上されずに測定系外へ飛び去るフォトンをなくすためである。
蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsは下記(式B)で求められる量に比例する。
以上より、αq=Nabs/N=(式B)/(式A)と求められる。
ここで、NPLは、下記(式C)で求められる量に比例する。
以上により、内部量子効率ηiは、ηi=(式C)/(式B)と求められる。
そして、上記のようにして求めた吸収効率αqと内部量子効率ηiの積をとることで外部量子効率ηoを求める。あるいは、ηo=(式C)/(式A)の関係から求めることもできる。ηoは、蛍光に由来するフォトンの数NPLを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
本発明の蛍光体は、所定の場合に良好な温度特性を示す。具体的には、温度22℃及び100℃において、本発明の蛍光体を波長395nmの光で励起して得られる輝度を、それぞれBr(22)及びBr(100)とした場合、Br(100)/Br(22)が以下の範囲に収まる。
即ち、Br(100)/Br(22)は、通常50以上、好ましくは60以上、より好ましくは70以上である。
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径(以下適宜「D50」という)が、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下である。D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
本発明の蛍光体の製造方法に制限は無く、上述した本発明の蛍光体が得られる限り任意の方法を採用することができる。ただし、工業生産上の観点から、粉末状の原料化合物を混合後、ペレット成形する工程を経ずに加熱して製造することが好ましい。例えば、原料化合物を乾式粉砕機(例えば、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等)を用いて粉砕した後、混合機(例えば、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等)により混合するか、或いは、これらの原料化合物を混合した後、乾式粉砕機を用いて粉砕する乾式法;又は、これらの原料化合物を水等の媒体中に加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕機を用いて粉砕及び混合するか、或いは、これらの原料化合物を乾式粉砕機により粉砕した後、水等の媒体中に加えて混合することにより調製したスラリーを、噴霧乾燥等により乾燥させる湿式法により、粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物を加熱処理して焼成することにより製造することが好ましい。
具合的には、以下に説明する製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」という)により製造することが好ましい。
原料化合物としては、本発明の蛍光体を構成する元素(以下適宜、「蛍光体構成元素」という)を含有する化合物を用いることができる。その例を挙げると、蛍光体構成元素を含有する、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。よって、原料化合物としては、蛍光対抗性元素である特定金属元素、2族元素及び4族元素それぞれの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等を用いることができる。中でも、本発明の蛍光体は酸化物であるため、特に、例えば酸化物、水酸化物等の、焼成によって酸化物となる原料化合物が好ましい。また、原料化合物の選択に際しては、得られる複合酸化物(即ち、蛍光体)への反応性、及び、焼成時におけるNOx、SOx等の非発生性等を考慮して選択することが好ましい。さらに、本発明の蛍光体を構成する各元素に対応し、原料化合物は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、特定金属源のうち、Gdを含有する化合物(Gd源)としては、例えば、Gd2O3、Gd(OH)3、Gd2(CO3)3、Gd(NO3)3、Gd2(SO4)3、Gd2(OCO)6、Gd(OCOCH3)3、GdCl3等が挙げられる。
さらに、特定金属源のうち、Luを含有する化合物(Lu源)としては、例えば、Lu2O3、Lu(OH)3、Lu2(CO3)3、Lu(NO3)3、Lu2(SO4)3、Lu2(OCO)6、Lu(OCOCH3)3、LuCl3等が挙げられる。
また、特定金属源のうち、Yを含有する化合物(Y源)としては、例えば、Y2O3、Y(OH)3、Y2(CO3)3、Y(NO3)3、Y2(SO4)3、Y2(OCO)6、Y(OCOCH3)3、YCl3等が挙げられる。
さらに、特定金属源のうち、Scを含有する化合物(Sc源)としては、例えば、Sc2O3、Sc(OH)3、Sc2(CO3)3、Sc(NO3)3、Sc2(SO4)3、Sc2(OCO)6、Sc(OCOCH3)3、ScCl3等が挙げられる。
また、2族元素源のうち、Caを含有する化合物(Ca源)としては、例えば、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(OH)2・3CaCO3・3H2O、Ca(NO3)2・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(OCO)2・H2O、Ca(OCOCH3)2・H2O、CaCl2等が挙げられる。
さらに、2族元素源のうち、Srを含有する化合物(Sr源)としては、例えば、SrO、Sr(OH)2、SrCO3、Sr(OH)2・3SrCO3・3H2O、Sr(NO3)2、SrSO4、Sr(OCO)2、Sr(OCOCH3)2、SrCl2等が挙げられる。
また、2族元素源のうち、Baを含有する化合物(Ba源)としては、例えば、BaO、Ba(OH)2、BaCO3、Ba(OH)2・3BaCO3・3H2O、Ba(NO3)2・6H2O、BaSO4、Ba(OCO)2・2H2O、Ba(OCOCH3)2・4H2O、BaCl2等が挙げられる。
また、4族元素源のうち、Zrを含有する化合物(Zr源)としては、例えば、ZrO2、H4ZrO4、Zr(OCOCH3)4等が挙げられる。
目的組成が得られるように原料化合物を秤量し、混合して原料混合物を調製してから、当該原料混合物を所定温度、雰囲気下で焼成することにより、本発明の蛍光体を得ることができる。なお、この際、混合はボールミル等を用いて十分に行うことが好ましい。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の原料化合物を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の原料化合物に水又はエタノール等のアルコール系溶媒から選択される、溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
得られた原料混合物を焼成することにより、本発明の蛍光体を得る。この焼成は、原料化合物をルツボ等の容器に充填し、所定温度、雰囲気下で焼成することが好ましい。
容器としては、各原料化合物と反応性の低い材料からなるルツボ又はトレイ等の耐熱容器を用いることが好ましい。このような焼成時に用いる耐熱容器の材質としては、例えば、アルミナ、石英、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、マグネシウム、ムライト等のセラミックス、白金、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、それらを主成分とする合金、カーボン(グラファイト)などが挙げられる。ここで、石英製の耐熱容器は、比較的低温、すなわち、1200℃以下での加熱処理に使用することができる。
このような耐熱容器の例として、好ましくは窒化ホウ素製、アルミナ製、窒化珪素製、炭化珪素製、白金製、モリブデン製、タングステン製、タンタル製の耐熱容器が挙げられる。
焼成工程においては、良好な結晶を成長させる観点から、反応系にフラックスを共存させてもよい。フラックスの種類は特に制限されないが、例としては、NH4Cl、NH4F、HF等のハロゲン化アンモニウム;NaCO3、LiCO3等のアルカリ金属炭酸塩;LiCl、NaCl、KCl、CsCl、LiF、NaF、KF、CsF等のアルカリ金属ハロゲン化物;MgCl2、CaCl2、BaCl2、SrCl2、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2等のアルカリ土類金属ハロゲン化物;CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;B2O3、H3BO3、NaB4O7等のホウ素酸化物、ホウ酸及びホウ酸塩化合物;Li3PO4、NH4H2PO4等のリン酸塩化合物;AlF3等のハロゲン化アルミニウム;ZnCl2、ZnF2といったハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の亜鉛化合物;Bi2O3等の周期表第15族元素化合物などが挙げられる。このうち好ましくはハロゲン化物であり、この中でも、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、Znのハロゲン化物が好ましい。また、これらのハロゲン化物の中でも、フッ化物、塩化物が好ましい。
ここで、上記フラックスのうち潮解性のあるものについては、無水物を用いる方が好ましく、また蛍光体を多段焼成により製造する場合には、より後段の焼成時にフラックスを用いることが好ましい。
本発明の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した以外の工程を行なってもよい。例えば、上述の焼成工程の加熱処理後に、必要に応じて、粉砕、洗浄、乾燥、分級処理等の後処理工程を行なってもよい。
また、上記洗浄の程度は、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気電導度でも表すことができる。前記電気伝導度は、発光特性の観点からは低いほど好ましいが、生産性も考慮すると通常10mS/m以下、好ましくは5mS/m以下、より好ましくは4mS/m以下となるまで洗浄処理を繰り返し行なうことが好ましい。
有機化合物としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン等の熱溶融性ポリマー、ラテックス、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ビスマス等の金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩、燐酸ナトリウムと硝酸カルシウムとの組合せ、等が挙げられる。
ガラス材料としては、例えばホウ珪酸塩、ホスホ珪酸塩、アルカリ珪酸塩等が挙げられる。
これらの表面処理物質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(i)前記表面処理物質が連続膜を構成して蛍光体表面を被覆する態様。
(ii)前記表面処理物質が多数の微粒子となって、蛍光体の表面に付着することにより蛍光体表面を被覆する態様。
蛍光体をエタノール等のアルコール中に混合して、攪拌し、さらにアンモニア水等のアルカリ水溶液を混合して、攪拌する。次に、加水分解可能なアルキル珪酸エステル、例えばテトラエチルオルト珪酸を混合して、攪拌する。得られた溶液を3分間〜60分間静置した後、スポイト等により蛍光体表面に付着しなかった酸化珪素粒子を含む上澄みを除去する。次いで、アルコール混合、攪拌、静置、上澄み除去を数回繰り返した後、120℃〜150℃で10分〜5時間、例えば2時間の減圧乾燥工程を経て、表面処理蛍光体を得る。
また、上記処理の他、公知の蛍光体、例えば、ブラウン管、プラズマディスプレイパネル、蛍光ランプ、蛍光表示管、X線増感紙等に用いられる蛍光体に関して一般的に知られている技術を利用することができ、目的、用途等に応じて適宜選択することができる。
本発明の蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができるが、特に、青色光又は近紫外光で励起可能であるという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に好適に用いることができる。また、組み合わせる蛍光体の種類や使用割合を調整することで、様々な発光色の発光装置を製造することができ、高性能の白色発光装置も実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。中でも、発光波長が狭い範囲に存在する点を利用して、画像表示装置に用いて好適である。
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。液体媒体の例を挙げると、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q ・・・式(i)
一般組成式(i)において、R1からR6は、有機官能基、水酸基、水素原子からなる群から選択されるものを表す。なお、R1からR6は、同じであってもよく、異なってもよい。
また、上記式(i)において、M、D、T及びQは、各々0以上1未満の数であり、且つ、M+D+T+Q=1を満足する数である。
(式(ii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(式(iii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や素子を配置する基板及びパッケージ等との接着性が弱いことが課題とされるが、密着性が高いシリコーン系材料として、特に、以下の特徴〔1〕〜〔3〕のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料が好ましい。
〔2〕後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〔3〕シラノール含有率が0.1重量%以上、10重量%以下である。
以下、上記の特徴〔1〕〜〔3〕について説明する。
本発明に好適なシリコーン系材料のケイ素含有率は、通常20重量%以上であるが、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量%以下の範囲である。
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
本発明に好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
一方、(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。また、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することによりシラノール含有率を求める。
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX-400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal, 44(5), p.1141, 1998年等を参考にする。
本発明に好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の蛍光体含有組成物によれば、本発明の蛍光体を所望の位置に容易に固定できる。例えば、本発明の蛍光体含有組成物を発光装置の製造に用いる場合、本発明の蛍光体含有組成物を所望の位置に成形し、液体媒体を硬化させれば、当該液体媒体で本発明の蛍光体を封止することができ、所望の位置に本発明の蛍光体を容易に固定することが可能となる。
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備える発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体を1種以上、第1の蛍光体として含有するものである。
本発明の蛍光体は、通常は、励起光源からの光の照射下において、赤色領域の蛍光を発する赤色蛍光体である。本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、青色光を発する励起光源と緑色の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体)と橙色ないし赤色の蛍光を発する蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)とを組み合わせれば、白色発光装置を製造することができる。この場合の発光色は、使用する蛍光体の発光波長を調整することにより、好みの発光色にすることができるが、例えば、いわゆる擬似白色(例えば、青色発光ダイオード(以下適宜、発光ダイオードを「LED」という)と黄色蛍光体を組み合わせた発光装置の発光色)の発光スペクトルと類似した発光スペクトルを得ることもできる。更に、この白色発光装置に赤色蛍光体を組み合わせれば、赤色の演色性に極めて優れた発光装置や電球色(暖かみのある白色)に発光する発光装置を実現することができる。また、近紫外光を発する励起光源に、青色の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体)、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を組み合わせても、白色発光装置を製造することができる。
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体を使用することが特に好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として少なくとも前述の本発明の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(赤ないし橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。通常は本発明の蛍光体は赤色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体とともに他種の橙色ないし赤色蛍光体を併用することができる。
なお、橙色ないし赤色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を1種以上含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、通常は第1の蛍光体として赤色蛍光体を使用するので、第2の蛍光体としては、例えば
緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の赤色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
該緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の波長範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
なお、緑色蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
該青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
なお、青色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
該黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やMa 3Mb 2Mc 3O12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2MdO4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mdは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSi(N,O)3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
なお、黄色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体のみを使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
(ii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体及び緑色蛍光体を併用する。
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて封止した後、熱や光によって硬化させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の蛍光体含有組成物の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
酸化ランタン(La2O3:信越化学、99.99%)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2:高純度化学、99.99%)、酸化チタン(TiO2:フルウチ、99.99%)、及び、付活剤として酸化ユーロピウム(Eu2O3:レアメタリック、99.99%)をLa2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05)となるように秤量し、アルミナ乳鉢で粉砕・混合した。その後、混合粉をアルミナ坩堝に移し、蓋をして箱型電気炉(スーパーバーン)内に置いた。大気中で、5℃/分で1200℃まで電気炉を昇温し、4時間保持した後、放冷した。こうして得られた蛍光体試料はアルミナ乳鉢にて粉砕・混合し、CuKα=波長1.54Åの銅からの特性X線を用いて粉末X線回折パターンを測定し、X’pert High Scoreにより相同定を行なった。
実施例1の焼成温度「1200℃」を1300℃、1400℃及び1500℃と変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行なって蛍光体試料を合成し、それぞれを実施例2、3及び4とした。
酸化ランタン(La2O3:信越化学、99.99%)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2:高純度化学、99.99%)、酸化チタン(TiO2:フルウチ、99.99%)、及び、付活剤として酸化ユーロピウム(Eu2O3:レアメタリック、99.99%)をLa2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05)となるように秤量し、アルミナ乳鉢で粉砕・混合した。その後、混合粉をアルミナ坩堝に移し、蓋をして箱型電気炉(スーパーバーン)内に置いた。大気中で、5℃/分で1500oCまで電気炉を昇温し、2時間保持した後、放冷した。放冷した試料は再びアルミナ乳鉢で粉砕・混合し、アルミナ坩堝に移し、次いで、箱型電気炉に入れ、1500℃、2時間焼成を行なった。得られた蛍光体試料はアルミナ乳鉢にて粉砕・混合し、CuKα=波長1.54Åの銅からの特性X線を用いて粉末X線回折パターンを測定し、X’pert High Scoreにより相同定を行なった。また、日立製作所製蛍光分光光度計(F−4500)にて励起・発光スペクトルを測定した。
付活剤となる酸化ユーロピウムの量(x)を0.05から0.10、0.20、0.30、0.50、0.75及び1.00となるように原料を秤量したこと以外は実施例5と同様の操作を行なって蛍光体試料を合成し、それぞれを実施例6、7、8、9、10及び比較例1とした。
また、図5の実施例5〜10及び比較例1の結果を見ると、Eu濃度がx=0.20である場合にはLa2Ti2O7やEu2Ti2O7が確認されるが、これらはEu濃度の増加と伴にその量は増大し、比較例1、つまり、x=1.00においてLa2(1-x)Eu2xMgTiO6を確認することができなくなった。
[温度特性の測定方法]
発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、ペルチエ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ、及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を使用して測定した。
ステージに蛍光体試料を入れたセルを載せ、温度を22℃から180℃の範囲で変化させた。蛍光体の表面温度が10℃上昇する度に、各温度において、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で励起して発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから輝度及び発光強度を求めた。輝度の算出は、JIS Z8724に準じた方法で、480nm〜800nmの波長領域のデータを用いて行なった。
なお、温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して適切に補正した値を用いた。
2:面発光型GaN系LD
3:基板
4:発光装置
5:マウントリード
6:インナーリード
7:第1の発光体
8:蛍光体含有樹脂部
9:導電性ワイヤー
10:モールド部材
11:面発光照明装置
12:保持ケース
13:発光装置
14:拡散板
22:第1の発光体
23:蛍光体含有樹脂部(第2の発光体)
24:フレーム
25:導電性ワイヤ
26,27:電極
Claims (14)
- La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、
2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、
4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、
少なくともEuで付活されるとともに、
ペロブスカイト型結晶相を有する
ことを特徴とする、酸化物蛍光体。 - 前記ペロブスカイト型結晶相が、ディストーテッド−ペロブスカイト型結晶相である
ことを特徴とする、請求項1記載の酸化物蛍光体。 - 全結晶相内に占める前記ペロブスカイト型結晶相の割合が50%以上である
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の酸化物蛍光体。 - M1 2M2 1M3 1O6(前記式において、M1は該金属元素を表わし、M2は該2族元素を表わし、M3は該4族元素を表わす。)で表わされる母体結晶が少なくともEuで付活されてなる
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。 - 該金属元素とEuとの合計量に対するEuの割合が0.1モル%以上100モル%未満である
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。 - 重量メジアン径が5μm以上30μm以下である
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体と、
液体媒体とを含有する
ことを特徴とする、蛍光体含有組成物。 - 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
該第2の発光体が、請求項1〜6の何れか一項に記載の酸化物蛍光体を1種以上、第1の蛍光体として含有する
ことを特徴とする、発光装置。 - 前記第2の発光体が、前記第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる1種以上の蛍光体を、第2の蛍光体として含有する
ことを特徴とする、請求項8記載の発光装置。 - 前記第1の発光体が、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体を含有する
ことを特徴とする、請求項9記載の発光装置。 - 前記第1の発光体が、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、420nm以上490nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体とを含有する
ことを特徴とする、請求項9記載の発光装置。 - 請求項8〜11のいずれか1項に記載の発光装置を光源として備える
ことを特徴とする、画像表示装置。 - 請求項8〜11のいずれか1項に記載の発光装置を光源として備える
ことを特徴とする、照明装置。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体の製造方法であって、
前記金属元素、前記2族元素、前記4族元素及びEuを含む粉末状の原料を、1000℃以上2000℃以下で焼成する工程を有する
ことを特徴とする、酸化物蛍光体の製造方法。
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