JP2009126891A - 酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 - Google Patents

酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】発光波長が狭い範囲に存在し、高輝度に発光し、ペレットを成形することなく容易に製造可能な酸化物蛍光体を提供する。
【解決の手段】酸化物蛍光体を、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、少なくともEuで付活されるとともに、ペロブスカイト型結晶相を有するようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置に関する。
赤色の蛍光を発する蛍光体(以下、適宜「赤色蛍光体」という)は、画像表示装置や照明装置用の発光装置に使用されており、その発光特性は様々に改良されている。中でも画像表示装置用の発光装置に使用する場合、赤色蛍光体はその発光ピークがシャープであること、即ち、発光波長が狭い範囲に存在することが望まれている。発光ピークがシャープである赤色蛍光体として、特許文献1には、赤色波長領域に比較的シャープな発光を有する蛍光体が記載されている。
特開平10−279935号公報
しかし、特許文献1記載の蛍光体は、赤色波長領域以外の波長領域にも比較的大きな発光を有している。このため、当該蛍光体は画像表示装置用の発光装置に適するものではなかった。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、発光波長が狭い範囲に存在し、且つ、高輝度に発光し、容易に製造可能な酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、La、Gd、Lu、Y及びSc等の金属元素と、2族元素と、4族元素とを含有し、少なくともEuで付活された蛍光体であって、ペロブスカイト型結晶相を有するものが、発光波長が狭い範囲に存在し、且つ、高輝度に発光し、容易に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、少なくともEuで付活されるとともに、ペロブスカイト型結晶相を有することを特徴とする、酸化物蛍光体に存する(請求項1)。
このとき、前記ペロブスカイト型結晶相が、ディストーテッド−ペロブスカイト型結晶相であることが好ましい(請求項2)。
また、全結晶相内に占めるペロブスカイト型結晶相の割合が50%以上であることが好ましい(請求項3)。
さらに、本発明の蛍光体は、M1 22 13 16(前記式において、M1は該金属元素を表わし、M2は該2族元素を表わし、M3は該4族元素を表わす。)で表わされる母体結晶が少なくともEuで付活されてなるものであることが好ましい(請求項4)。
また、本発明の蛍光体は、該金属元素とEuとの合計量に対するEuの割合が0.1モル%以上100モル%未満であることが好ましい(請求項5)。
さらに、本発明の蛍光体は、重量メジアン径が5μm以上30μm以下であることが好ましい(請求項6)。
本発明の別の要旨は、本発明の蛍光体と、液体媒体とを含有することを特徴とする、蛍光体含有組成物に存する(請求項7)。
本発明のさらに別の要旨は、第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、該第2の発光体が、本発明の蛍光体を1種以上、第1の蛍光体として含有することを特徴とする、発光装置に存する(請求項8)。
このとき、前記第2の発光体が、前記第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる1種以上の蛍光体を、第2の蛍光体として含有することが好ましい(請求項9)。
また、前記第1の発光体が、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体を含有することが好ましい(請求項10)。
また、前記第1の発光体が、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、420nm以上490nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体とを含有することも好ましい(請求項11)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の発光装置を光源として備えることを特徴とする、画像表示装置に存する(請求項12)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の発光装置を光源として備えることを特徴とする、照明装置に存する(請求項13)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の蛍光体の製造方法であって、前記金属元素、前記2族元素、前記4族元素及びEuを含む粉末状の原料を、1000℃以上1700℃以下で焼成する工程を有することを特徴とする、酸化物蛍光体の製造方法に存する(請求項14)。
本発明によれば、発光波長が狭い範囲に存在し、且つ、高輝度に発光し、容易に製造可能な酸化物蛍光体及びその製造方法、並びに、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置を提供することができる。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
なお、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ca,Sr,Ba)Al24:Eu」という組成式は、「CaAl24:Eu」と、「SrAl24:Eu」と、「BaAl24:Eu」と、「Ca1-xSrxAl24:Eu」と、「Sr1-xBaxAl24:Eu」と、「Ca1-xBaxAl24:Eu」と、「Ca1-x-ySrxBayAl24:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
[1.蛍光体]
本発明の蛍光体は、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素(以下、適宜「特定金属元素」という)と、2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、少なくともEuで付活されるとともに、ペロブスカイト型結晶相を有する酸化物蛍光体である。
[1−1.蛍光体の組成]
本発明の蛍光体は、特定金属元素と、2族元素と、4族元素と、酸素とを含有する酸化物蛍光体であって、少なくともEuで付活されたものである。
ここで、特定金属元素とは、La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素のことをいう。中でも、Laが好ましい。特定金属元素の中で最もイオン半径(サイズ)が大きいため、本発明の蛍光体の結晶が安定で作りやすいからである。なお、本発明の蛍光体は、特定金属元素を、1種のみを含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
2族元素とは、長周期型の周期表の第2族に属する金属元素(即ち、2族金属)から選ばれる少なくとも一種の元素のことをいう。中でも、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれるものが好ましい。その中でも、2族元素として少なくともMgを含有することがより好ましい。Mgは第2族元素の中でもイオン半径が小さいため、本発明の蛍光体の結晶が安定で作りやすいからである。なお、本発明の蛍光体は、2族元素を、1種のみを含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
4属元素とは、長周期型の周期表の第4族に属する金属元素(即ち、4族金属)から選ばれる少なくとも一種の元素のことをいう。中でも、Ti及びZrからなる群より選ばれるものが好ましい。その中でも、4属元素として少なくともTiを含有することがより好ましい。TiはZrに比べてコストが安いからである。なお、本発明の蛍光体は、4属元素を、1種のみを含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
また、本発明の蛍光体は、酸化物であるから酸素を含有する。
そして、本発明の蛍光体は、上記の特定金属元素、2族元素、4属元素及び酸素により母体結晶を構成し、この母体結晶が付活元素で付活された構造を有している。前記母体結晶に含まれる特定金属元素、2族元素、4属元素及び酸素のモル比は、本発明の蛍光体がペロブスカイト型結晶相を有することができる範囲である。通常は、特定金属元素をM1で表わし、2族元素をM2で表わし、4族元素をM3で表わした場合、母体結晶が組成式M1 22 13 16で表わされるようにする。
本発明の蛍光体は、付活元素として、少なくともEuを含有する。Eu以外の付活元素(共付活元素)を併用してもよく、例えば、Pr3+、Ce3+、Tb3+などが挙げられる。なお、本発明の蛍光体は付活元素を1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。ただし、本発明の蛍光体は、発光波長を狭い範囲に収める観点からは、Euのみによって付活されていることが好ましい。
付活元素は、通常、前記の母体結晶において特定金属元素のサイトに置換することにより、本発明の蛍光体を付活している。付活の程度は、本発明の利点を著しく損なわない限り制限は無い。ただし、本発明の蛍光体において、特定金属元素とEuとの合計量に対し、Euの割合は、通常0.1モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、また、通常100モル%未満、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。Euの含有量が前記の範囲に収まることにより、濃度消光が抑えられる。
さらに、本発明の蛍光体は、必要に応じてフラックス成分元素を含有していてもよい。フラックス成分元素は、通常は製造時に用いるフラックスの構成元素が蛍光体に残留したものであるが、必ずしも全てがフラックスに由来しなくてもよく、例えば、原料に含有されていたもの、並びに、加熱処理、洗浄処理及び表面処理等の蛍光体の製造工程において混入する元素も含むものとする。フラックス成分元素の例を挙げると、Li、Na、K、Rb、Cs、P、Cl、F、Br、I、Zn、Ga、Ge、In、Sn、Ag、Au、Pb、Cd、Biなどが挙げられる。なお、本発明の蛍光体は、フラックス成分元素を1種のみ含有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含有していてもよい。
フラックス成分元素は、本発明の蛍光体の結晶相(結晶格子)の中及び外のいずれに存在していてもよいが、通常は、蛍光体の結晶相中に含有されて存在する。
本発明の蛍光体がフラックス成分元素を含有する場合、その濃度範囲に制限は無いが、通常1ppm以上、好ましくは3ppm以上、より好ましくは10ppm以上、また、通常5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。前記の濃度範囲でフラックス成分元素を含むことにより、本発明の蛍光体の粒子の粒径や形状が好ましいものとなる。また、フラックス成分元素が多すぎると、本発明の蛍光体の特性に影響を与える可能性がある。また、フラックス成分元素が蛍光体の結晶相の外に存在している場合は、本発明の効果を損なわない限り、フラックス成分元素の濃度範囲に特に制限は無い。
なお、蛍光体中のフラックス成分の濃度は、以下のようにして測定できる。
まず、蛍光体を解砕する。解砕の程度は、蛍光体の重量メジアン径D50が後述する範囲となる程度である。その後、蛍光体を塩酸や硝酸などの酸で洗浄し、ついで、水洗することにより、製造時の未反応物などの可溶部分を除去する。水洗の程度は、水洗後の蛍光体を10倍重量の水に分散沈降後の上澄み液の電気電導度が5mS/m以下となる程度である。そして、この条件を満たした蛍光体の元素分析を行ない、フラックス成分元素の結晶相中に存在する濃度を測定する。元素分析は、固体試料を陰極としグロー放電を用いて試料表面をスパッタし、放出された中性粒子をプラズマ内のArや電子との衝突によってイオン化させるグロー放電質量分析計(GD−MS)により定量できる。なお、前記の解砕及び水洗は、測定対象である蛍光体が解砕及び水洗を行なわなくても前記の条件を満たしている場合には、不要である。
本発明の蛍光体の組成の好適な例を挙げると、La2MgTiO6、La2MgSnO6、La2MgZrO6、Gd2MgTiO6、Gd2MgSnO6、Gd2MgZrO6、Y2MgTiO6、Y2MgSnO6、Y2MgZrO6、La2CaTiO6、La2CaSnO6、La2CaZrO6、Gd2CaTiO6、Gd2CaSnO6、Gd2CaZrO6、Y2CaTiO6、Y2CaSnO6、Y2CaZrO6、La2SrTiO6、La2SrSnO6、La2SrZrO6、Gd2SrTiO6、Gd2SrSnO6、Gd2SrZrO6、Y2SrTiO6、Y2SrSnO6、Y2SrZrO6、などが挙げられる。中でも、La2MgTiO6、La2MgSnO6、La2MgZrO6、Gd2MgTiO6、Gd2MgSnO6、Gd2MgZrO6、Y2MgTiO6、Y2MgSnO6、Y2MgZrO6、La2CaTiO6、La2CaSnO6、La2CaZrO6、Gd2CaTiO6、Gd2CaSnO6、Gd2CaZrO6、Y2CaTiO6、Y2CaSnO6、Y2CaZrO6、が好ましく、その中でもLa2MgTiO6、La2MgSnO6、La2MgZrO6、Gd2MgTiO6、Gd2MgSnO6、Gd2MgZrO6、Y2MgTiO6、Y2MgSnO6、Y2MgZrO6がより好ましい。
[1−2.結晶相]
本発明の蛍光体はペロブスカイト型結晶相を有する。前記の組成を有すると共にペロブスカイト型結晶相を有することにより、本発明の蛍光体は、発光波長が狭い範囲に存在し、且つ、高輝度に発光できるようになっている。従来の蛍光体においてはペロブスカイト型結晶相は良好な蛍光を発しないものが多かったことに鑑みると、本発明の蛍光体が前記の効果を発揮することは驚くべきことである。
また、前記のペロブスカイト型結晶相は、通常は、結晶構造が若干歪んだ所謂ディストーテッド−ペロブスカイト(distorted perovskite)型結晶相である。これにより、結晶内においてEu3+が入るサイトの対称性が悪くなるため、波長620nm付近の赤色発光強度を他のピークと比較して増大させることが可能となる。
さらに、本発明の蛍光体は、その結晶相の中の少なくとも一部にペロブスカイト型結晶相を有していればよいが、その結晶相のうちのより大きな部分がペロブスカイト型結晶相であることが好ましい。具体的には、全結晶相内に占めるペロブスカイト型結晶相の割合が、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であり、100%であることが特に好ましい。本発明の蛍光体は、その結晶相のうちでペロブスカイト型結晶相となっている部分が目的とする発光をするため、結晶相の大きな部分がペロブスカイト型結晶相となっていることにより、発光輝度を高めることができる。
なお、前記の全結晶相内に占めるペロブスカイト型結晶相の割合は、粉末X線回折法により測定できる。
[1−3.発光スペクトル]
・発光波長
本発明の蛍光体は赤色の蛍光を発する蛍光体であり、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲の蛍光を発するものである。
また、本発明の蛍光体は、発光スペクトルにおける最大発光ピーク波長を、通常600nm以上、また、通常640nm以下の波長範囲に有するものである。これは、Eu3+50から72へ遷移することにより生じるピークである。
・半値幅
本発明の蛍光体は、発光ピークがシャープであることを利点の一つとしている。具体的には、前記の最大発光ピークの半値幅が、通常40nm以下、好ましくは25nm以下、より好ましくは15nm以下である。このようなシャープな発光ピークを有していることにより、本発明の蛍光体は、画像表示装置の光源用途に良好に使用できる。なお、前記半値幅の下限に制限は無いが、通常は1nm以上である。
・最大発光ピーク以外の発光ピーク
本発明の蛍光体は、その発光スペクトルにおいて最大発光ピーク以外の発光ピーク(以下、適宜「他の発光ピーク」という)を有さないことが好ましく、また、有するとしても当該他の発光ピークの発光強度が小さいことが好ましい。画像表示装置に使用する場合には、本発明の蛍光体から発せられる蛍光の色純度が高いことが好ましいためである。この観点から、例えば、他の発光ピークの発光強度は、最大発光ピークの発光強度に対して、通常80%以下、好ましくは60%以下である。中でも、680nm以上710nm以下の波長範囲の発光ピークの発光強度は、最大発光ピークの発光強度に対して、通常50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下である。
・発光スペクトルの測定方法
本発明の蛍光体の前記の発光スペクトル、並びに、前記の発光ピーク波長、半値幅及び発光ピーク強度は、例えば、(株)日立製作所製F−4500型分光蛍光光度計を用いるか、励起光源として150Wキセノンランプを用い、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて測定することができる。
[1−4.励起スペクトル]
・励起波長
本発明の蛍光体の励起スペクトルに制限は無いが、例えば発光波長612nmにおける励起スペクトルとしては、通常250nm以上、好ましくは300nm以上、より好ましくは350nm以上であって通常430nm以下の波長範囲、通常450nm以上であって通常480nm以下の波長範囲、又は、通常520nm以上であって通常550nm以下の波長範囲の光で励起されて可視光を発する。
本発明の蛍光体は、このように広範な波長範囲の光を吸収することができるため、従来の蛍光体よりも高い輝度で発光できるものと推察される。
・励起スペクトルの測定
本発明の蛍光体の前記の励起スペクトル及び吸収ピーク波長は、例えば、発光スペクトルの測定方法の項で挙げたのと同様の測定装置を用いて測定することができる。
[1−5.その他の特性]
・量子効率
本発明の蛍光体の外部量子効率は、通常1以上、好ましくは4以上、より好ましくは10以上である。高発光強度の発光素子を設計するためには、外部量子効率は高いほど好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常100以下である。
また、本発明の蛍光体の内部量子効率は、通常5以上、好ましくは25以上、より好ましくは45以上である。ここで、内部量子効率とは、蛍光体が吸収した励起光の光子数に対する発光した光子数の比率を意味する。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にある。なお、上限に制限は無いが、通常100以下である。
さらに、本発明の蛍光体の吸収効率は、通常15以上、好ましくは25以上、より好ましくは35以上である。外部量子効率は内部量子効率と吸収効率との積により求められるものであり、高い外部量子効率を有するためには吸収効率も高い方が好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常100以下である。
以下に、蛍光体の吸収効率αq、内部量子効率ηi、及び、外部量子効率ηo、を求める方法を説明する。
まず、測定対象となる蛍光体サンプル(例えば、粉末状など)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球などの集光装置に取り付ける。積分球などの集光装置を用いるのは、蛍光体サンプルで反射したフォトン、及び蛍光体サンプルから蛍光現象により放出されたフォトンを全て計上できるようにするため、すなわち、計上されずに測定系外へ飛び去るフォトンをなくすためである。
この積分球などの集光装置に蛍光体を励起するための発光源を取り付ける。この発光源は、例えばXeランプ等であり、発光ピーク波長が例えば波長が405nmや455nmの単色光となるようにフィルターやモノクロメーター(回折格子分光器)等を用いて調整がなされる。この発光ピーク波長が調整された発光源からの光を、測定対象の蛍光体サンプルに照射し、発光(蛍光)および反射光を含むスペクトルを分光測定装置、例えば大塚電子株式会社製MCPD2000、MCPD7000などを用いて測定する。ここで測定されるスペクトルには、実際には、励起発光光源からの光(以下では単に励起光と記す。)のうち、蛍光体に吸収されなかった反射光と、蛍光体が励起光を吸収して蛍光現象により発する別の波長の光(蛍光)が含まれる。すなわち、励起光近傍領域は反射スペクトルに相当し、それよりも長波長領域は蛍光スペクトル(ここでは、発光スペクトルと呼ぶ場合もある)に相当する。
吸収効率αqは、蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
まず、後者の励起光の全フォトン数Nを、次のようにして求める。すなわち、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、例えばLabsphere製「Spectralon」(波長450nmの励起光に対して98%の反射率Rを持つ。)等の反射板を、測定対象として、蛍光体サンプルと同様の配置で上述の積分球などの集光装置に取り付け、該分光測定装置を用いて反射スペクトルIref(λ)を測定する。この反射スペクトルIref(λ)から求めた下記(式A)の数値は、Nに比例する。
Figure 2009126891
ここで、積分区間は実質的にIref(λ)が有意な値を持つ区間のみで行ったものでよい。
蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsは下記(式B)で求められる量に比例する。
Figure 2009126891
ここで、I(λ)は、吸収効率αqを求める対象としている蛍光体サンプルを取り付けたときの、反射スペクトルである。(式B)の積分区間は(式A)で定めた積分区間と同じにする。このように積分区間を限定することで、(式B)の第二項は、測定対象としている蛍光体サンプルが励起光を反射することによって生じたフォトン数に対応したもの、すなわち、測定対象としている蛍光体サンプルから生ずる全フォトンのうち蛍光現象に由来するフォトンを除いたものに対応したものになる。実際のスペクトル測定値は、一般にはλに関するある有限のバンド幅で区切ったデジタルデータとして得られるため、(式A)および(式B)の積分は、そのバンド幅に基づいた和分によって求まる。
以上より、αq=Nabs/N=(式B)/(式A)と求められる。
次に、内部量子効率ηiを求める方法を説明する。ηiは、蛍光現象に由来するフォトンの数NPLを蛍光体サンプルが吸収したフォトンの数Nabsで割った値である。
ここで、NPLは、下記(式C)で求められる量に比例する。
Figure 2009126891
この時、積分区間は、蛍光体サンプルの蛍光現象に由来するフォトンの有する波長範囲に限定する。蛍光体サンプルから反射されたフォトンの寄与をI(λ)から除くためである。具体的に(式C)の積分区間の下限は、(式A)の積分区間の上端を取り、上限は、蛍光に由来のフォトンを含むのに必要十分な範囲とする。
以上により、内部量子効率ηiは、ηi=(式C)/(式B)と求められる。
なお、デジタルデータとなったスペクトルから積分を行うことに関しては、吸収効率αqを求めた場合と同様である。
そして、上記のようにして求めた吸収効率αqと内部量子効率ηiの積をとることで外部量子効率ηoを求める。あるいは、ηo=(式C)/(式A)の関係から求めることもできる。ηoは、蛍光に由来するフォトンの数NPLを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
・温度特性
本発明の蛍光体は、所定の場合に良好な温度特性を示す。具体的には、温度22℃及び100℃において、本発明の蛍光体を波長395nmの光で励起して得られる輝度を、それぞれBr(22)及びBr(100)とした場合、Br(100)/Br(22)が以下の範囲に収まる。
即ち、Br(100)/Br(22)は、通常50以上、好ましくは60以上、より好ましくは70以上である。
蛍光体を発光装置に使用する場合、光源(後述する第1の発光体)の発熱により蛍光体が昇温することがある。特に、近年ではより明るい発光装置が求められているため、光源としてパワーLED等の高出力な光源を使用することがあるが、通常は高出力な光源の発熱の程度は大きいため、前記の昇温の程度も大きくなる。この際、蛍光体の温度特性が悪ければ、LED等と組み合わせて発光装置を構成した場合に、動作により蛍光体の温度が上昇すると輝度及び発光強度が低下し、また、温度変化によって発光装置の発光色が変化する傾向にある。一方、蛍光体の温度特性が良好であれば、このような場合でも発光強度の低下や発光色の変化が小さくなる傾向にあり、好ましい。本明細書においては、このような温度変化に伴う輝度及び発光強度の低下や発光色の変化を温度特性と呼び、これらの温度変化に伴う輝度及び発光強度の低下や発光色の変化の程度が小さい蛍光体を温度特性の優れた蛍光体と言う。
なお、前記の温度特性の算出に用いるBr(22)及びBr(100)は、例えば、発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチエ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ、及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて測定することができる。この場合、具体的操作としては、以下の操作を行なう。即ち、ステージに蛍光体サンプルを入れたセルを載せ、温度を22℃から180℃の範囲で変化させる。そして、蛍光体の表面温度が22℃±1℃、又は、100℃±1℃になったことを確認する。次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で蛍光体を励起して発光スペクトルを測定する。測定された発光スペクトルから、輝度を求める。なお、蛍光体の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いるものとする。
さらに、100℃での輝度Br(100)は高いことが好ましいが、他の蛍光体を上記のように良好な温度特性を有する蛍光体と併用する場合は、各蛍光体の温度特性が近いことが、温度による色ズレが少なくなり好ましい。
・粉体特性
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径(以下適宜「D50」という)が、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下である。D50が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
また、同様の理由で、本発明の蛍光体は、粒径100μm以上の粗大粒子の含有率はできるだけ小さいことが好ましく、粒径50μm以上の粗大粒子の含有率ができるだけ小さいことが更に好ましく、これらの含有量が実質ゼロであることが好ましい。
[2.蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体の製造方法に制限は無く、上述した本発明の蛍光体が得られる限り任意の方法を採用することができる。ただし、工業生産上の観点から、粉末状の原料化合物を混合後、ペレット成形する工程を経ずに加熱して製造することが好ましい。例えば、原料化合物を乾式粉砕機(例えば、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等)を用いて粉砕した後、混合機(例えば、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等)により混合するか、或いは、これらの原料化合物を混合した後、乾式粉砕機を用いて粉砕する乾式法;又は、これらの原料化合物を水等の媒体中に加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕機を用いて粉砕及び混合するか、或いは、これらの原料化合物を乾式粉砕機により粉砕した後、水等の媒体中に加えて混合することにより調製したスラリーを、噴霧乾燥等により乾燥させる湿式法により、粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物を加熱処理して焼成することにより製造することが好ましい。
具合的には、以下に説明する製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」という)により製造することが好ましい。
[2−1.原料化合物]
原料化合物としては、本発明の蛍光体を構成する元素(以下適宜、「蛍光体構成元素」という)を含有する化合物を用いることができる。その例を挙げると、蛍光体構成元素を含有する、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。よって、原料化合物としては、蛍光対抗性元素である特定金属元素、2族元素及び4族元素それぞれの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等を用いることができる。中でも、本発明の蛍光体は酸化物であるため、特に、例えば酸化物、水酸化物等の、焼成によって酸化物となる原料化合物が好ましい。また、原料化合物の選択に際しては、得られる複合酸化物(即ち、蛍光体)への反応性、及び、焼成時におけるNOx、SOx等の非発生性等を考慮して選択することが好ましい。さらに、本発明の蛍光体を構成する各元素に対応し、原料化合物は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
原料化合物のうち、特定金属元素を含有する化合物(以下、適宜「特定金属源」という)の例を挙げると、Laを含有する化合物(La源)としては、例えば、La23、La(OH)3、La2(CO33、La(NO33、La2(SO43、La2(OCO)6、La(OCOCH33、LaCl3等が挙げられる。
また、特定金属源のうち、Gdを含有する化合物(Gd源)としては、例えば、Gd23、Gd(OH)3、Gd2(CO33、Gd(NO33、Gd2(SO43、Gd2(OCO)6、Gd(OCOCH33、GdCl3等が挙げられる。
さらに、特定金属源のうち、Luを含有する化合物(Lu源)としては、例えば、Lu23、Lu(OH)3、Lu2(CO33、Lu(NO33、Lu2(SO43、Lu2(OCO)6、Lu(OCOCH33、LuCl3等が挙げられる。
また、特定金属源のうち、Yを含有する化合物(Y源)としては、例えば、Y23、Y(OH)3、Y2(CO33、Y(NO33、Y2(SO43、Y2(OCO)6、Y(OCOCH33、YCl3等が挙げられる。
さらに、特定金属源のうち、Scを含有する化合物(Sc源)としては、例えば、Sc23、Sc(OH)3、Sc2(CO33、Sc(NO33、Sc2(SO43、Sc2(OCO)6、Sc(OCOCH33、ScCl3等が挙げられる。
原料化合物のうち、2族元素を含有する化合物(以下、適宜「2族元素源」という)の例を挙げると、Mgを含有する化合物(Mg源)としては、例えば、MgO、Mg(OH)2、MgCO3、Mg(OH)2・3MgCO3・3H2O、Mg(NO32・6H2O、MgSO4、Mg(OCO)2・2H2O、Mg(OCOCH32・4H2O、MgCl2等が挙げられる。
また、2族元素源のうち、Caを含有する化合物(Ca源)としては、例えば、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(OH)2・3CaCO3・3H2O、Ca(NO32・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(OCO)2・H2O、Ca(OCOCH32・H2O、CaCl2等が挙げられる。
さらに、2族元素源のうち、Srを含有する化合物(Sr源)としては、例えば、SrO、Sr(OH)2、SrCO3、Sr(OH)2・3SrCO3・3H2O、Sr(NO32、SrSO4、Sr(OCO)2、Sr(OCOCH32、SrCl2等が挙げられる。
また、2族元素源のうち、Baを含有する化合物(Ba源)としては、例えば、BaO、Ba(OH)2、BaCO3、Ba(OH)2・3BaCO3・3H2O、Ba(NO32・6H2O、BaSO4、Ba(OCO)2・2H2O、Ba(OCOCH32・4H2O、BaCl2等が挙げられる。
原料化合物のうち、4属元素を含有する化合物(以下、適宜「4族元素源」という)の例を挙げると、Tiを含有する化合物(Ti源)としては、例えば、TiO2、H4TiO4、Ti(OCOCH34等が挙げられる。
また、4族元素源のうち、Zrを含有する化合物(Zr源)としては、例えば、ZrO2、H4ZrO4、Zr(OCOCH34等が挙げられる。
原料化合物のうち、付活元素を含有する化合物(付活元素源)の例を挙げると、Euを含有する化合物(Eu源)としては、例えば、Eu23、Eu2(SO43、Eu2(C243・10H2O、EuCl2、EuCl3、EuF2、EuF3、Eu(NO33・6H2O等が挙げられる。中でもEu23等が好ましい。
また、原料化合物は、共沈を行なうことにより共沈原料としてから用いることが好ましい。この共沈原料は、蛍光体構成元素の一部又は全部が原子レベルで混合されているものである。通常、共沈は、それぞれ異なる蛍光体構成元素を含む原料化合物を組み合わせて行なうため、得られる共沈原料は、蛍光体構成元素を2種以上含有することになる。原料化合物を共沈させてから使用することにより、蛍光体構成元素が均一に混合された蛍光体を得ることができるので、発光強度が優れる蛍光体を得ることができる。特に、発光中心元素(通常は、付活元素)を含有する共沈原料を使用することにより、発光中心元素を蛍光体中に均一に分散させることができるので、より発光強度に優れる蛍光体を得ることができる。
さらに、本発明の蛍光体の組成中のO元素に関しては、通常、上記各構成元素の原料化合物のアニオン成分として、又は焼成雰囲気中に含有される成分として、蛍光体製造時に供給される。
[2−2.混合工程]
目的組成が得られるように原料化合物を秤量し、混合して原料混合物を調製してから、当該原料混合物を所定温度、雰囲気下で焼成することにより、本発明の蛍光体を得ることができる。なお、この際、混合はボールミル等を用いて十分に行うことが好ましい。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)として挙げられたような公知の手法を任意に用いることができる。また、これらの各種条件については、例えば、ボールミルにおいて2種の粒径の異なるボールを混合して用いる等、公知の条件が適宜選択可能である。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の原料化合物を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の原料化合物に水又はエタノール等のアルコール系溶媒から選択される、溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
また、上記混合・粉砕時に必要に応じて、原料化合物を篩いにかけても良い。この場合、各種市販の篩いを用いることが可能であるが、金属メッシュのものよりもナイロンメッシュ等の樹脂製のものを用いる方が、不純物混入防止の点で好ましい。
前記のようにして得られる原料混合物は、ペレット状に圧縮成形することなく、粉末状のままで焼成工程に供することが好ましい。通常、使用する原料化合物は粉末状であり、また、最初に粉末状でなかった原料化合物も混合工程における混合操作によって解砕されて粉末状となる。これをペレット状にすると、原料混合物を圧縮成形する工程、及び、得られた蛍光体を解砕する工程を行なわなくてはならなくなり、工業生産上は実用的でない。これに対し、本発明の蛍光体は、原料混合物をペレット状にしなくても製造することが可能であるため、その製造方法の面からも従来技術に対して有利になっている。
[2−3.焼成工程]
得られた原料混合物を焼成することにより、本発明の蛍光体を得る。この焼成は、原料化合物をルツボ等の容器に充填し、所定温度、雰囲気下で焼成することが好ましい。
容器としては、各原料化合物と反応性の低い材料からなるルツボ又はトレイ等の耐熱容器を用いることが好ましい。このような焼成時に用いる耐熱容器の材質としては、例えば、アルミナ、石英、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、マグネシウム、ムライト等のセラミックス、白金、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、それらを主成分とする合金、カーボン(グラファイト)などが挙げられる。ここで、石英製の耐熱容器は、比較的低温、すなわち、1200℃以下での加熱処理に使用することができる。
このような耐熱容器の例として、好ましくは窒化ホウ素製、アルミナ製、窒化珪素製、炭化珪素製、白金製、モリブデン製、タングステン製、タンタル製の耐熱容器が挙げられる。
本発明の蛍光体を製造するための焼成温度としては、焼成温度が低過ぎると充分に結晶が成長せず、粒径が小さくなる可能性がある一方で、焼成温度が高過ぎ焼成粉が焼結してしまうような場合には、発光強度が低くなる可能性があるので、これらの観点を踏まえた上で、目的とする蛍光体に応じて任意に設定すればよい。具体的な焼成温度は、通常1000℃以上、好ましくは1200℃以上、より好ましくは1400℃以上の温度であり、また、通常2000℃以下、好ましくは1800℃以下、より好ましくは1700℃以下の温度である。
また、本発明の発明者らは、前記の焼成温度と、製造される本発明の蛍光体の発光特性とに相関があることを見出した。即ち、前記の焼成温度で焼成を行なうことにより、本発明の蛍光体の輝度を向上させることが可能であることを見出した。これは、前記の焼成温度での焼成により良質なペロブスカイト型結晶相が多く得られ、結果として、蛍光体の輝度が向上しているものと推察される。なお、温度範囲が適切でない場合には、パイロクロア型結晶相が生成することが多い。
焼成雰囲気としては特に制限されないが、通常、大気中、大気圧下で行われる。
また、焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。また、焼成時間は長い方が良いが、通常100時間以下、好ましくは50時間以下、より好ましくは24時間以下、さらに好ましくは12時間以下である。
[2−4.フラックス]
焼成工程においては、良好な結晶を成長させる観点から、反応系にフラックスを共存させてもよい。フラックスの種類は特に制限されないが、例としては、NH4Cl、NH4F、HF等のハロゲン化アンモニウム;NaCO3、LiCO3等のアルカリ金属炭酸塩;LiCl、NaCl、KCl、CsCl、LiF、NaF、KF、CsF等のアルカリ金属ハロゲン化物;MgCl2、CaCl2、BaCl2、SrCl2、MgF2、CaF2、BaF2、SrF2等のアルカリ土類金属ハロゲン化物;CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;B23、H3BO3、NaB47等のホウ素酸化物、ホウ酸及びホウ酸塩化合物;Li3PO4、NH42PO4等のリン酸塩化合物;AlF3等のハロゲン化アルミニウム;ZnCl2、ZnF2といったハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の亜鉛化合物;Bi23等の周期表第15族元素化合物などが挙げられる。このうち好ましくはハロゲン化物であり、この中でも、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、Znのハロゲン化物が好ましい。また、これらのハロゲン化物の中でも、フッ化物、塩化物が好ましい。
フラックスの使用量は、原料化合物の種類やフラックスの材料等によっても異なるが、通常0.01重量%以上、更には0.1重量%以上が好ましく、また、通常20重量%以下、更には10重量%以下の範囲が好ましい。フラックスの使用量が少な過ぎると、フラックスの効果が現れない場合があり、フラックスの使用量が多過ぎると、フラックス効果が飽和したり、母体結晶に取り込まれて発光色を変化させたり、輝度低下を引き起こす場合がある。これらのフラックスは一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ここで、上記フラックスのうち潮解性のあるものについては、無水物を用いる方が好ましく、また蛍光体を多段焼成により製造する場合には、より後段の焼成時にフラックスを用いることが好ましい。
[2−5.その他の工程]
本発明の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した以外の工程を行なってもよい。例えば、上述の焼成工程の加熱処理後に、必要に応じて、粉砕、洗浄、乾燥、分級処理等の後処理工程を行なってもよい。
粉砕処理は、例えば、得られた蛍光体が所望の粒径になっていない場合に、焼成物に対して行う。粉砕処理方法としては、特に限定されないが、例えば、原料化合物の混合工程の説明の項に記載した乾式粉砕方法及び湿式粉砕方法が使用できる。
洗浄処理は、例えば、脱イオン水等の水、エタノール等の有機溶剤、アンモニア水等のアルカリ性水溶液などで行うことができる。また、使用されたフラックス等の蛍光体表面に付着した不純物相を除去し発光特性を改善するなどの目的のために、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸;又は、酢酸などの有機酸の水溶液を使用することもできる。この場合、酸性水溶液中で洗浄処理した後に、水で更に洗浄することが好ましい。
洗浄の程度としては、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液のpHが中性(pH7〜9程度)であることが好ましい。塩基性、又は酸性に偏っていると、後述の液体媒体等と混合するときに液体媒体等に悪影響を与えてしまう可能性があるためである。
また、上記洗浄の程度は、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気電導度でも表すことができる。前記電気伝導度は、発光特性の観点からは低いほど好ましいが、生産性も考慮すると通常10mS/m以下、好ましくは5mS/m以下、より好ましくは4mS/m以下となるまで洗浄処理を繰り返し行なうことが好ましい。
電気伝導度の測定方法としては、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させ、このときの上澄み液の電気伝導度を東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」等を用いて測定すればよい。洗浄処理、及び電気伝導度の測定に用いる水としては、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。中でも特に電気伝導度が低いものが好ましく、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下のものを用いる。なお、電気伝導度の測定は、通常、室温(25℃程度)にて行なう。
分級処理は、例えば、水篩や水簸処理を行う、あるいは、各種の気流分級機や振動篩など各種の分級機を用いることにより行うことができる。中でも、ナイロンメッシュによる乾式分級を用いると、重量メジアン径20μm程度の分散性の良い蛍光体を得ることができる。
また、得られた本発明の蛍光体を用いて、後述するようにして発光装置を製造する際には、耐湿性等の耐候性を一層向上させるために、又は後述する発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させるために必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で被覆する等の表面処理を行っても良い。
蛍光体の表面に存在させることのできる物質(以下、任意に「表面処理物質」と称する。)としては、例えば、有機化合物、無機化合物、およびガラス材料などを挙げることができる。
有機化合物としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン等の熱溶融性ポリマー、ラテックス、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ビスマス等の金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩、燐酸ナトリウムと硝酸カルシウムとの組合せ、等が挙げられる。
ガラス材料としては、例えばホウ珪酸塩、ホスホ珪酸塩、アルカリ珪酸塩等が挙げられる。
これらの表面処理物質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記の表面処理により得られる本発明の蛍光体は、表面処理物質の存在が前提であるが、その態様は、例えば下記のものが挙げられる。
(i)前記表面処理物質が連続膜を構成して蛍光体表面を被覆する態様。
(ii)前記表面処理物質が多数の微粒子となって、蛍光体の表面に付着することにより蛍光体表面を被覆する態様。
蛍光体の表面への表面処理物質の付着量ないし被覆量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、蛍光体の重量に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。蛍光体に対する表面処理物質量が多すぎると蛍光体の発光特性が損なわれることがあり、少なすぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られないことがある。
また、表面処理により形成される表面処理物質の膜厚(層厚)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、通常2000nm以下、好ましくは1000nm以下である。この膜厚が厚すぎると蛍光体の発光特性が損なわれることがあり、薄すぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られないことがある。
表面処理の方法には特に限定は無いが、例えば下記のような金属酸化物(酸化珪素)による被覆処理法を挙げることができる。
蛍光体をエタノール等のアルコール中に混合して、攪拌し、さらにアンモニア水等のアルカリ水溶液を混合して、攪拌する。次に、加水分解可能なアルキル珪酸エステル、例えばテトラエチルオルト珪酸を混合して、攪拌する。得られた溶液を3分間〜60分間静置した後、スポイト等により蛍光体表面に付着しなかった酸化珪素粒子を含む上澄みを除去する。次いで、アルコール混合、攪拌、静置、上澄み除去を数回繰り返した後、120℃〜150℃で10分〜5時間、例えば2時間の減圧乾燥工程を経て、表面処理蛍光体を得る。
蛍光体の表面処理方法としては、この他、例えば球形の酸化珪素微粉を蛍光体に付着させる方法(特開平2−209989号公報、特開平2−233794号公報)、蛍光体に珪素系化合物の皮膜を付着させる方法(特開平3−231987号公報)、蛍光体微粒子の表面をポリマー微粒子で被覆する方法(特開平6−314593号公報)、蛍光体を有機材料、無機材料及びガラス材料等でコーティングする方法(特開2002−223008号公報)、蛍光体の表面を化学気相反応法によって被覆する方法(特開2005−82788号公報)、金属化合物の粒子を付着させる方法(特開2006−28458号公報)等の公知の方法を用いることができる。
また、上記処理の他、公知の蛍光体、例えば、ブラウン管、プラズマディスプレイパネル、蛍光ランプ、蛍光表示管、X線増感紙等に用いられる蛍光体に関して一般的に知られている技術を利用することができ、目的、用途等に応じて適宜選択することができる。
[3.蛍光体の用途]
本発明の蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができるが、特に、青色光又は近紫外光で励起可能であるという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に好適に用いることができる。また、組み合わせる蛍光体の種類や使用割合を調整することで、様々な発光色の発光装置を製造することができ、高性能の白色発光装置も実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。中でも、発光波長が狭い範囲に存在する点を利用して、画像表示装置に用いて好適である。
[4.蛍光体含有組成物]
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
[4−1.蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
[4−2.液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。液体媒体の例を挙げると、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらの中で特に照明など大出力の発光装置に蛍光体を用いる場合には、耐熱性や耐光性等を目的として、液体媒体として珪素含有化合物を使用することが好ましい。
珪素含有化合物とは、分子中に珪素原子を有する化合物をいい、例えば、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、ハンドリングの容易さ等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
上記シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば一般組成式(i)で表される化合物及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
(R123SiO1/2M(R45SiO2/2D(R6SiO3/2T(SiO4/2Q ・・・式(i)
一般組成式(i)において、R1からR6は、有機官能基、水酸基、水素原子からなる群から選択されるものを表す。なお、R1からR6は、同じであってもよく、異なってもよい。
また、上記式(i)において、M、D、T及びQは、各々0以上1未満の数であり、且つ、M+D+T+Q=1を満足する数である。
該シリコーン系材料は、半導体発光素子の封止に用いる場合、液状のシリコーン系材料を用いて封止した後、熱や光によって硬化させて用いることができる。
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン系材料)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン系材料)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下で反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
一方、縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。その具体例としては、下記一般式(ii)及び/又は(iii)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
m+n1 m-n (ii)
(式(ii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+t1 s-t-1u2 (iii)
(式(iii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させてもよい。この硬化触媒としては、例えば、金属キレート化合物などを好適なものとして用いることができる。金属キレート化合物は、Ti、Ta、Zrの何れか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものが更に好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−112973号〜112975号公報、特開2007−19459号公報、及び、特願2006−176468号明細書に記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
縮合型シリコーン系材料の中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や素子を配置する基板及びパッケージ等との接着性が弱いことが課題とされるが、密着性が高いシリコーン系材料として、特に、以下の特徴〔1〕〜〔3〕のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料が好ましい。
〔1〕ケイ素含有率が20重量%以上である。
〔2〕後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〔3〕シラノール含有率が0.1重量%以上、10重量%以下である。
本発明においては、上記の特徴〔1〕〜〔3〕のうち、特徴〔1〕を有するシリコーン系材料が好ましく、上記の特徴〔1〕及び〔2〕を有するシリコーン系材料がより好ましく、上記の特徴〔1〕〜〔3〕を全て有するシリコーン系材料が特に好ましい。
以下、上記の特徴〔1〕〜〔3〕について説明する。
・特徴〔1〕(ケイ素含有率)
本発明に好適なシリコーン系材料のケイ素含有率は、通常20重量%以上であるが、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量%以下の範囲である。
なお、シリコーン系材料のケイ素含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
{ケイ素含有率の測定}
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
・特徴〔2〕(固体Si−NMRスペクトル)
本発明に好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
ケミカルシフト毎に整理すると、本発明に好適なシリコーン系材料において、(a)に記載のピークの半値幅は、分子運動の拘束が小さいために、全般に後述の(b)に記載のピークの場合より小さく、通常3.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上の範囲である。
一方、(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
上記のケミカルシフト領域において観測されるピークの半値幅が大き過ぎると、分子運動の拘束が大きくひずみの大きな状態となり、クラックが発生し易く、耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。例えば、四官能シランを多用した場合や、乾燥工程において急速な乾燥を行ない大きな内部応力を蓄えた状態などにおいて、半値幅範囲が上記の範囲より大きくなる。
また、ピークの半値幅が小さ過ぎると、その環境にあるSi原子はシロキサン架橋に関わらないことになり、三官能シランが未架橋状態で残留する例など、シロキサン結合主体で形成される物質より耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。
但し、大量の有機成分中に少量のSi成分が含まれるシリコーン系材料においては、−80ppm以上に上述の半値幅範囲のピークが認められても、良好な耐熱・耐光性及び塗布性能は得られない場合がある。
本発明に好適なシリコーン系材料のケミカルシフトの値は、例えば以下の方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(半値幅やシラノール量解析)は、例えばガウス関数やローレンツ関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
{固体Si−NMRスペクトル測定及びシラノール含有率の算出}
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。また、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することによりシラノール含有率を求める。
{装置条件}
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX-400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
シリコーン系材料については、512ポイントを測定データとして取り込み、8192ポイントにゼロフィリングしてフーリエ変換する。
{波形分離解析法}
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal, 44(5), p.1141, 1998年等を参考にする。
・特徴〔3〕(シラノール含有率)
本発明に好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
なお、シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば上記[・特徴〔2〕(固体Si−NMRスペクトル)]の{固体Si−NMRスペクトル測定及びシラノール含有率の算出}の項において説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
また、本発明に好適なシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、通常は、デバイス表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
また、本発明に好適なシリコーン系材料は、通常、適当な触媒の存在下で加熱することにより、デバイス表面の水酸基との間に脱水縮合による共有結合を形成し、更に強固な密着性を発現することができる。
一方、シラノールが多過ぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する場合がある。
・液体媒体の含有率
液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
液体媒体は、本発明の蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。液体媒体は、一種を単独で用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである液体媒体全量に対して通常25重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが望ましい。
[4−3.その他の成分]
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[4−4.蛍光体含有組成物の利点]
本発明の蛍光体含有組成物によれば、本発明の蛍光体を所望の位置に容易に固定できる。例えば、本発明の蛍光体含有組成物を発光装置の製造に用いる場合、本発明の蛍光体含有組成物を所望の位置に成形し、液体媒体を硬化させれば、当該液体媒体で本発明の蛍光体を封止することができ、所望の位置に本発明の蛍光体を容易に固定することが可能となる。
[5.発光装置]
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備える発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体を1種以上、第1の蛍光体として含有するものである。
本発明の蛍光体は、通常は、励起光源からの光の照射下において、赤色領域の蛍光を発する赤色蛍光体である。本発明の蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置は、具体的には、第1の発光体として後述するような励起光源を用い、第2の発光体として使用する蛍光体の種類や使用割合を調整し、公知の装置構成を任意にとることにより、任意の色に発光する発光装置を製造することができる。
例えば、青色光を発する励起光源と緑色の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体)と橙色ないし赤色の蛍光を発する蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)とを組み合わせれば、白色発光装置を製造することができる。この場合の発光色は、使用する蛍光体の発光波長を調整することにより、好みの発光色にすることができるが、例えば、いわゆる擬似白色(例えば、青色発光ダイオード(以下適宜、発光ダイオードを「LED」という)と黄色蛍光体を組み合わせた発光装置の発光色)の発光スペクトルと類似した発光スペクトルを得ることもできる。更に、この白色発光装置に赤色蛍光体を組み合わせれば、赤色の演色性に極めて優れた発光装置や電球色(暖かみのある白色)に発光する発光装置を実現することができる。また、近紫外光を発する励起光源に、青色の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体)、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を組み合わせても、白色発光装置を製造することができる。
ここで、該白色発光装置の白色とは、JIS Z 8701により規定された、(黄みの)白、(緑みの)白、(青みの)白、(紫みの)白及び白の全てを含む意であり、このうち好ましくは白である。
またさらに、必要に応じて、黄色蛍光体(黄色の蛍光を発する蛍光体)、青色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体、他種の緑色蛍光体等を組み合わせて、蛍光体の種類や使用割合を調整し、任意の色に発光する発光装置を製造することもできる。
なお、発光装置の発光スペクトルは、気温25±1℃に保たれた室内において、オーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウェア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて20mA通電して測定を行なうことができる。この発光スペクトルの380nm〜780nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標として色度値(x,y,z)を算出できる。この場合、x+y+z=1の関係式が成立する。本明細書においては、前記XYZ表色系をXY表色系と称している場合があり、通常(x,y)で表記している。
また、発光効率は、前述のような発光装置を用いた発光スペクトル測定の結果から全光束を求め、そのルーメン(lm)値を消費電力(W)で割ることにより求められる。消費電力は、20mAを通電した状態で、Fluke社のTrue RMS Multimeters Model 187&189を用いて電圧を測定し、電流値と電圧値の積で求められる。
[5−1.発光装置の構成(発光体)]
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体を使用することが特に好ましい。
第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上が望ましく、また、通常420nm以下のピーク発光波長を有する発光体(近紫外発光体)を使用することが望ましい。また、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上が望ましく、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体(青色発光体)を使用することが望ましい。何れも、発光装置の色純度の観点からである。
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的にはLEDや半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlXGaYN発光層、GaN発光層又はInXGaYN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でもInXGaYN発光層を有するものは発光強度が非常に強いので特に好ましく、GaN系LEDにおいては、InXGaYN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度は非常に強いので特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、又はInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(第2の発光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として少なくとも前述の本発明の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(赤ないし橙色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
上記第2の発光体中に用いられる、本発明の蛍光体以外の蛍光体の組成には特に制限はない。その例を挙げると、結晶母体となる、Y23、YVO4、Zn2SiO4、Y3Al512、Sr2SiO4等に代表される金属酸化物、Sr2Si58等に代表される金属窒化物、Ca5(PO43Cl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、Y22S、La22S等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa24、SrS、ZnS等の硫化物;Y22S等の酸硫化物;(Y,Gd)3Al512、YAlO3、BaMgAl1017、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、BaAl1219、CeMgAl1119、(Ba,Sr,Mg)O・Al23、BaAl2Si28、SrAl24、Sr4Al1425、Y3Al512等のアルミン酸塩;Y2SiO5、Zn2SiO4等の珪酸塩;SnO2、Y23等の酸化物;GdMgB510、(Y,Gd)BO3等の硼酸塩;Ca10(PO46(F,Cl)2、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2等のハロリン酸塩;Sr227、(La,Ce)PO4等のリン酸塩等を挙げることができる。
但し、上記の結晶母体、付活元素及び共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、前述の通り、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。
(第1の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。通常は本発明の蛍光体は赤色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体とともに他種の橙色ないし赤色蛍光体を併用することができる。
該橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができるが、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si58:Euで表わされるユーロピウム付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)22S:Euで表わされるユーロピウム付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
更に、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種類の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本発明において用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)22S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y23:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW28:Eu、LiW28:Eu,Sm、Eu229、Eu229:Nb、Eu229:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca28(SiO462:Eu、LiY9(SiO462:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Tb,Gd)3Al512:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、Ba3MgSi28:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si28:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)23:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)22S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY24:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa24:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP27:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)227:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyz:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO46(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1-x-yScxCey2(Ca,Mg)1-r(Mg,Zn)2+rSiz-qGeq12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)22S:Eu又はEu錯体を含むことが好ましく、より好ましくは(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu又は(La,Y)22S:Eu、もしくはEu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体又はカルボン酸系Eu錯体を含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O)3:Eu又は(La,Y)22S:Euが特に好ましい。
また、以上例示の中でも、橙色蛍光体としては(Sr,Ba)3SiO5:Euが好ましい。
なお、橙色ないし赤色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(第2の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を1種以上含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、通常は第1の蛍光体として赤色蛍光体を使用するので、第2の蛍光体としては、例えば
緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の赤色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
(緑色蛍光体)
該緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の波長範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
該緑色蛍光体の具体例を挙げると、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si222:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
また、その他の緑色蛍光体としては、Sr4Al1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si28:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si27:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)9(Sc,Y,Lu,Gd)2(Si,Ge)624:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr227−Sr225:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si38−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、Y3Al512:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca28(SiO462:Tb、La3Ga5SiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga24:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)512:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)512:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、Ca3Sc2Si312:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si312:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc24:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)22S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd227:Ce,Tb、(Ba,Sr)2(Ca,Mg,Zn)B26:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO44Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)24:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO44Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、M3Si694:Eu、M3Si6122:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
なお、緑色蛍光体は、何れか一種を単独で使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(青色蛍光体)
該青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euで表わされるユーロピウム付活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO43(Cl,F):Euで表わされるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)259Cl:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al24:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al1425:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr227:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al24:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm、BaAl813:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa24:Ce、CaGa24:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO43(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si28:Eu、(Sr,Ba)3MgSi28:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr227:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2SiO5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO46・nB23:Eu、2SrO・0.84P25・0.16B23:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si38・2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、SrSi9Al19ON31:Eu、EuSi9Al19ON31等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、La1-xCexAl(Si6-zAlz)(N10-zz)(ここで、x、及びyは、それぞれ0≦x≦1、0≦z≦6を満たす数である。)、La1-x-yCexCayAl(Si6-zAlz)(N10-zz)(ここで、x、y、及びzは、それぞれ、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦6を満たす数である。)等のCe付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
以上の例示の中でも、青色蛍光体としては、(Ca、Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Euを含むことが好ましく、(Ca、Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Sr)3MgSi28:Euを含むことがより好ましく、BaMgAl1017:Eu、Sr10(PO46(Cl,F)2:Eu又はBa3MgSi28:Euを含むことがより好ましい。また、このうち照明用途及びディスプレイ用途としては(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu又は(Ca、Sr,Ba)MgAl1017:Euが特に好ましい。
なお、青色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(黄色蛍光体)
該黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE3512:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やMa 3b 2c 312:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2d4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mdは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSi(N,O)3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa24:Eu、(Ca,Sr)Ga24:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al)24:Eu等の硫化物系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のsialon構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体、(M1-a-bEuaMnb2(BO31-p(PO4pX(但し、Mは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、F、Cl、及びBrからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。a、b、及びpは、各々、0.001≦a≦0.3、0≦b≦0.3、0≦p≦0.2を満たす数を表す。)等のEu付活又はEu,Mn共付活ハロゲン化ホウ酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、黄色蛍光体としては、例えば、brilliant sulfoflavine FF (Colour Index Number 56205)、basic yellow HG (Colour Index Number 46040)、eosine (Colour Index Number 45380)、rhodamine 6G (Colour Index Number 45160)等の蛍光染料等を用いることも可能である。
なお、黄色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも12μm以上が好ましく、また、通常30μm以下、中でも25μm以下が好ましい。重量メジアン径が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
(第2の蛍光体の組み合わせ)
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体のみを使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、本発明の発光装置を赤色発光の発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体(赤色蛍光体)のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
一方、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合には、所望の白色光が得られるように、第1の発光体と、第1の蛍光体(赤色蛍光体)と、第2の蛍光体とを適切に組み合わせればよい。具体的に、本発明の発光装置を白色発光の発光装置として構成する場合における、第1の発光体と、第1の蛍光体と、第2の蛍光体との好ましい組み合わせの例としては、以下の(i)及び(ii)の組み合わせが挙げられる。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する。
(ii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として赤色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体及び緑色蛍光体を併用する。
また、本発明の蛍光体は、他の蛍光体と混合(ここで、混合とは、必ずしも蛍光体同士が混ざり合っている必要はなく、異種の蛍光体が組み合わされていることを意味する。)して用いることができる。特に、上記に記載の組み合わせで蛍光体を混合すると、好ましい蛍光体混合物が得られる。なお、混合する蛍光体の種類やその割合に特に制限はない。
(封止材料)
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて封止した後、熱や光によって硬化させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の蛍光体含有組成物の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
また、該液体媒体は、封止部材の屈折率を調整するために、高い屈折率を有する金属酸化物となり得る金属元素を含有させることができる。高い屈折率を有する金属酸化物を与える金属元素の例としては、Si、Al、Zr、Ti、Y、Nb、B等が挙げられる。これらの金属元素は単独で使用されてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で併用されてもよい。
このような金属元素の存在形態は、封止部材の透明度を損なわなければ特に限定されず、例えば、メタロキサン結合として均一なガラス層を形成していてもよく、封止部材中に粒子状で存在していてもよい。粒子状で存在している場合、その粒子内部の構造はアモルファス状であっても結晶構造であってもよいが、高屈折率を与えるためには結晶構造であることが好ましい。また、その粒子径は、封止部材の透明度を損なわないために、通常は、半導体発光素子の発光波長以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。例えばシリコーン系材料に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ニオブ等の粒子を混合することにより、上記の金属元素を封止部材中に粒子状で存在させることができる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。なお、これらの添加剤は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[5−2.発光装置の構成(その他)]
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
また、本発明の発光装置では、上述の励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム以外の部材を用いてもよい。その例としては、前述の封止材料が挙げられる。該封止材料は、発光装置において、蛍光体(第2の発光体)を分散させる目的以外にも、励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム間を接着する目的で用いたりすることができる。
[5−3.発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、LD(2)の発光面上に蛍光体含有部(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とを接触した状態とすることができる。
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置(4)において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有樹脂部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
[5−4.発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
[5−4−1.照明装置]
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
[5−4−2.画像表示装置]
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
酸化ランタン(La23:信越化学、99.99%)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2:高純度化学、99.99%)、酸化チタン(TiO2:フルウチ、99.99%)、及び、付活剤として酸化ユーロピウム(Eu23:レアメタリック、99.99%)をLa2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05)となるように秤量し、アルミナ乳鉢で粉砕・混合した。その後、混合粉をアルミナ坩堝に移し、蓋をして箱型電気炉(スーパーバーン)内に置いた。大気中で、5℃/分で1200℃まで電気炉を昇温し、4時間保持した後、放冷した。こうして得られた蛍光体試料はアルミナ乳鉢にて粉砕・混合し、CuKα=波長1.54Åの銅からの特性X線を用いて粉末X線回折パターンを測定し、X’pert High Scoreにより相同定を行なった。
[実施例2〜4]
実施例1の焼成温度「1200℃」を1300℃、1400℃及び1500℃と変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行なって蛍光体試料を合成し、それぞれを実施例2、3及び4とした。
図4に、実施例1〜4で得られた蛍光体試料(La2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05))の粉末X線回折パターンを示す。図4から、実施形態1〜4のいずれの蛍光体試料においてもペロブスカイト型結晶相が生成していることが分かる。しかし、1400℃以下では、パイロクロア構造を有したLa2Ti27が副生成物として確認された。ただし、温度上昇に伴いその生成量は減少した。1500℃になってLa2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05)のペロブスカイト型結晶相の単一相がはじめて得られた。
[実施例5]
酸化ランタン(La23:信越化学、99.99%)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2:高純度化学、99.99%)、酸化チタン(TiO2:フルウチ、99.99%)、及び、付活剤として酸化ユーロピウム(Eu23:レアメタリック、99.99%)をLa2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05)となるように秤量し、アルミナ乳鉢で粉砕・混合した。その後、混合粉をアルミナ坩堝に移し、蓋をして箱型電気炉(スーパーバーン)内に置いた。大気中で、5℃/分で1500oCまで電気炉を昇温し、2時間保持した後、放冷した。放冷した試料は再びアルミナ乳鉢で粉砕・混合し、アルミナ坩堝に移し、次いで、箱型電気炉に入れ、1500℃、2時間焼成を行なった。得られた蛍光体試料はアルミナ乳鉢にて粉砕・混合し、CuKα=波長1.54Åの銅からの特性X線を用いて粉末X線回折パターンを測定し、X’pert High Scoreにより相同定を行なった。また、日立製作所製蛍光分光光度計(F−4500)にて励起・発光スペクトルを測定した。
[実施例6〜10及び比較例1]
付活剤となる酸化ユーロピウムの量(x)を0.05から0.10、0.20、0.30、0.50、0.75及び1.00となるように原料を秤量したこと以外は実施例5と同様の操作を行なって蛍光体試料を合成し、それぞれを実施例6、7、8、9、10及び比較例1とした。
図5に実施例5〜10及び比較例1で得られた蛍光体試料(La2(1-x)Eu2xMgTiO6(x=0.05、0.10、0.20、0.30、0.50、0.75及び1.00)の粉末X線回折パターンを示す。図4の実施例4と図5の実施例5とを比較すると、実施例4において僅かに認められたLa2Ti27が、実施例5においてまったく認められない。このことから、二段階焼成により目的となる蛍光体の単一相が得易くなったことが確認された。
また、図5の実施例5〜10及び比較例1の結果を見ると、Eu濃度がx=0.20である場合にはLa2Ti27やEu2Ti27が確認されるが、これらはEu濃度の増加と伴にその量は増大し、比較例1、つまり、x=1.00においてLa2(1-x)Eu2xMgTiO6を確認することができなくなった。
図6に実施例8で得られた蛍光体試料の励起・発光スペクトルを示す。なお、図6(a)が励起スペクトルを示し、図6(b)が発光スペクトルを示す。励起スペクトルのモニター波長は赤色の612nmで、図6(a)に示すとおり、励起波長350nm以上にEu3+のf−f遷移に基づく輝線ピークを確認した。一方、発光スペクトルは蛍光体を波長395nmの光により励起して測定され、図6(b)に示すとおり、Eu3+のf−f遷移に由来する赤色発光を確認した。
図7に、実施例5〜10及び比較例1で得られた蛍光体試料が示す赤色発光強度に対するEu濃度依存性を示す。図7より、Eu濃度がx=0.40のとき、赤色強度が最大値を示すことが明らかとなった。
また、実施例5〜10で得られた蛍光体試料の内部量子効率、吸収効率及び外部量子効率(%)を上述した方法により測定した。その結果を表1に纏めて示す。外部量子効率のEu濃度依存性は図7とよい一致を示した。
さらに、図8及び図9に、実施例5〜10の蛍光体について励起光(波長395nm)照射下における蛍光体の示す輝度維持率(%)及び強度維持率(%)の温度曲線をそれぞれ示す。また、表1に、100℃における輝度、強度維持率(%)を纏めた。付活するEu濃度の増大とともに輝度維持率及び強度維持率が増大し、実施例9、10で維持率が7割に達した。
なお、輝度維持率及び強度維持率は以下の要領により測定した。
[温度特性の測定方法]
発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、ペルチエ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ、及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を使用して測定した。
ステージに蛍光体試料を入れたセルを載せ、温度を22℃から180℃の範囲で変化させた。蛍光体の表面温度が10℃上昇する度に、各温度において、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で励起して発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから輝度及び発光強度を求めた。輝度の算出は、JIS Z8724に準じた方法で、480nm〜800nmの波長領域のデータを用いて行なった。
なお、温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して適切に補正した値を用いた。
Figure 2009126891
本発明の蛍光体の用途は特に制限されず、通常の蛍光体が用いられる各種の分野に使用可能であるが、その特性を生かして、液晶ディスプレイ等の画像表示装置用の発光装置に適している。
本発明の発光装置の一例における、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)との位置関係を示す模式的斜視図である。 図2(a)及び図2(b)は、いずれも、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例1〜4で得られた蛍光体試料の粉末X線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例5〜10及び比較例1で得られた蛍光体試料の粉末X線回折パターンを示す図である。 (a),(b)はいずれも本発明の実施例8で得られた蛍光体試料の励起・発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例5〜10及び比較例1で得られた蛍光体試料が示す赤色発光強度に対するEu濃度依存性を示す図である。 本発明の実施例5〜10で得られた蛍光体試料の輝度維持率の温度曲線を示す図である。 本発明の実施例5〜10で得られた蛍光体試料の強度維持率の温度曲線を示す図である。
符号の説明
1:第2の発光体
2:面発光型GaN系LD
3:基板
4:発光装置
5:マウントリード
6:インナーリード
7:第1の発光体
8:蛍光体含有樹脂部
9:導電性ワイヤー
10:モールド部材
11:面発光照明装置
12:保持ケース
13:発光装置
14:拡散板
22:第1の発光体
23:蛍光体含有樹脂部(第2の発光体)
24:フレーム
25:導電性ワイヤ
26,27:電極

Claims (14)

  1. La、Gd、Lu、Y及びScからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、
    2族金属から選ばれる少なくとも一種の2族元素と、
    4族金属から選ばれる少なくとも一種の4族元素とを含有し、
    少なくともEuで付活されるとともに、
    ペロブスカイト型結晶相を有する
    ことを特徴とする、酸化物蛍光体。
  2. 前記ペロブスカイト型結晶相が、ディストーテッド−ペロブスカイト型結晶相である
    ことを特徴とする、請求項1記載の酸化物蛍光体。
  3. 全結晶相内に占める前記ペロブスカイト型結晶相の割合が50%以上である
    ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の酸化物蛍光体。
  4. 1 22 13 16(前記式において、M1は該金属元素を表わし、M2は該2族元素を表わし、M3は該4族元素を表わす。)で表わされる母体結晶が少なくともEuで付活されてなる
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。
  5. 該金属元素とEuとの合計量に対するEuの割合が0.1モル%以上100モル%未満である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。
  6. 重量メジアン径が5μm以上30μm以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化物蛍光体と、
    液体媒体とを含有する
    ことを特徴とする、蛍光体含有組成物。
  8. 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
    該第2の発光体が、請求項1〜6の何れか一項に記載の酸化物蛍光体を1種以上、第1の蛍光体として含有する
    ことを特徴とする、発光装置。
  9. 前記第2の発光体が、前記第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる1種以上の蛍光体を、第2の蛍光体として含有する
    ことを特徴とする、請求項8記載の発光装置。
  10. 前記第1の発光体が、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
    前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体を含有する
    ことを特徴とする、請求項9記載の発光装置。
  11. 前記第1の発光体が、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
    前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、420nm以上490nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも一種の蛍光体とを含有する
    ことを特徴とする、請求項9記載の発光装置。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の発光装置を光源として備える
    ことを特徴とする、画像表示装置。
  13. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の発光装置を光源として備える
    ことを特徴とする、照明装置。
  14. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸化物蛍光体の製造方法であって、
    前記金属元素、前記2族元素、前記4族元素及びEuを含む粉末状の原料を、1000℃以上2000℃以下で焼成する工程を有する
    ことを特徴とする、酸化物蛍光体の製造方法。
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