JP2009203466A - 蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 - Google Patents

蛍光体、蛍光体含有組成物、発光装置、画像表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】近紫外発光の半導体発光素子を励起光源として用いた場合に安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、温度特性にも優れた蛍光体を提供する。
【解決手段】下記式で表わされる蛍光体を提供する。
3−x 10−y−z1+y 20−u
(Mは2価の元素、Eは付活元素、Aは3価の元素、Lは4価の元素、Eは共付活元素をそれぞれ表し、x、y、z、及びuは、それぞれ、0<x≦3、0<y≦2、0<u≦2、0≦z、0<y+z≦2、及び0<u+z≦2を満たす数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、可視光の蛍光を発する蛍光体と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。
照明用及びディスプレイの用途に用いられる白色光は、光の加算混合原理により、青色、緑色、赤色の発光を組み合わせることによって得るのが一般的である。近年は、近紫外領域(300nm以上410nm以下の波長範囲)〜青色領域(410nm以上500nm以下の波長範囲)に発光ピークを有する半導体発光装置を用い、これに各種蛍光体を組み合わせて用いることも知られている。
ここで、上記各色蛍光体の中で、従来より知られている青色の蛍光を発する蛍光体(以下適宜「青色蛍光体」という。)の中で最もよく用いられている蛍光体としては、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017を母体結晶とする酸化物蛍光体(以下適宜「BAM系蛍光体」と略称する。)が挙げられる。しかし、BAM系蛍光体は、その励起スペクトルの形状から400nm近傍にピーク波長を有する近紫外発光の半導体発光素子による励起に対して、輝度が不足する場合がある。
一方、酸化物蛍光体は、作りやすく古くから研究がなされている。例えば、BAM系蛍光体よりも励起帯が長波長側にあるアルカリ土類金属アルミネート系蛍光体としては、SrAl10SiO20を母体結晶とした蛍光体が知られている(非特許文献1参照)。
また、従来の酸化物蛍光体の特性を改良するために、Alや酸素を含有する母体結晶の酸素の一部を窒素に置換して酸窒化物結晶とした蛍光体についても研究がなされている。
例えば、特許文献1には、SrAl:Euの酸素の一部を窒素に置換することで、新たな酸窒化物蛍光体を得られることが開示されている。
更に、非特許文献2には、BaMgAl1017:Euの酸素の一部を窒素に置換することで、新たな酸窒化物蛍光体を得られることが開示されている。
欧州特許出願公開第1413619号明細書
S.Kubota et al,Appl.Phys.Lett.,vol.81 (2002),p.2749−2751 S.R. Jansen et al, Chem. Mater, 9 (1997), 1516−1523
しかしながら、非特許文献1に記載の蛍光体は、発光強度及び温度特性の点で、BAM系蛍光体よりも性能が悪いため、これを実用化するには更なる改良が望まれる。
一方、特許文献1及び非特許文献2等に記載の蛍光体はいずれも、酸素の一部を窒素で置換することで、発光波長がその窒素置換前の蛍光体の発光波長より長波長にシフトする(即ち、より長波長の波長で発光する)ことを確認したのみであり、発光強度及び温度特性の向上と言った点については、一切記載がされていない。ここで、発光波長が長波長側にシフトしているという点から、それらの蛍光体は半導体発光素子と共に用いた場合に、半導体発光素子に電流を流すことによって生じる熱による温度上昇の際に蛍光体の輝度が低下すると言う温度特性面での課題があったと考えられる。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたもので、近紫外発光の半導体発光素子を励起光源として用いた場合に安定して高い発光強度及び輝度が得られる(即ち、波長400nm付近における励起スペクトルの強度が高く、平坦である)とともに、温度特性にも優れた蛍光体、並びに、この蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置と、この発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置とを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、例えばSrAl10SiO20を母体結晶とし発光中心となる元素を付活した蛍光体において、3配位の酸素原子の一部を窒素原子に置き換えた蛍光体が、近紫外光で励起した場合に安定して高い発光強度及び輝度を有するとともに、温度特性にも優れていることを見出した。以上の知見に基づき、本発明者らは本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記式[1]で表わされることを特徴とする蛍光体に存する(請求項1)。
3−x 10−y−z1+y 20−u [1]
(式[1]において、Mは2価の元素、Eは付活元素、Aは3価の元素、Lは4価の元素、Eは共付活元素をそれぞれ表し、x、y、z、及びuは、それぞれ、0<x≦3、0<y≦2、0<u≦2、0≦z、0<y+z≦2、及び0<u+z≦2を満たす数を表す。)
このとき、MがMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、EがPb、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、AがB、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、LがSi及びGeからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、EがCr、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含むことが好ましい(請求項2)。
また、Mの50モル%以上がSrであり、Eの50モル%以上がEuであり、Aの50モル%以上がAlであり、Lの50モル%以上がSiであることがより好ましい(請求項3)。
本発明の別の要旨は、本発明の蛍光体と、液状媒体とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物に存する(請求項4)。
本発明の更に別の要旨は、第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、該第2の発光体が本発明の蛍光体を少なくとも1種類、第1の蛍光体として含有することを特徴とする発光装置に存する(請求項5)。
このとき、該第2の発光体が、該第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる少なくとも1種類の蛍光体を、第2の蛍光体として含有することが好ましい(請求項6)。
また、該第1の発光体が、300nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、500nm以上700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体を含有することが好ましい(請求項7)。
さらに、該第1の発光体が、360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有することが好ましい(請求項8)。
さらに、該第1の発光体が、360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、410nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有することが好ましい(請求項9)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする画像表示装置に存する(請求項10)。
本発明の更に別の要旨は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする照明装置に存する(請求項11)。
本発明によれば、近紫外光で励起した場合でも安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、温度特性にも優れた蛍光体、並びに、この蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置と、この発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置とを提供できる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)との位置関係を示す模式的斜視図である。 図2(a)及び図2(b)は何れも、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。 本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例1,2及び比較例1,2の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1,2及び比較例1,2の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1〜7の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1〜7の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 本発明の実施例2,9及び比較例2の蛍光体のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例9及び比較例2の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例9及び比較例2の蛍光体の励起スペクトルを波長350nmにおいて規格化した結果を示す図である。 フラックスを添加した本発明の実施例2、並びに、フラックス(B及びHBO)を添加した実施例15,16の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 フラックスを添加した本発明の実施例2、並びに、フラックス(B及びHBO)を添加した実施例15,16の蛍光体の励起スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1及び比較例1の蛍光体の温度特性を示す図である。 実施例17及び18の蛍光体のX線回折パターンを示す図である。 実施例9、17、及び18、並びに比較例2の蛍光体の格子定数および格子体積の変化を示す図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
なお、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。但し、括弧内に併記される元素の合計は1モルである。例えば、「(Ba,Sr,Ca)Al:Eu」という組成式は、「BaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「CaAl:Eu」と、「Ba1−xSrAl:Eu」と、「Ba1−xCaAl:Eu」と、「Sr1−xCaAl:Eu」と、「Ba1−x−ySrCaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1である。)。
[1.蛍光体]
〔1−1.蛍光体の化学組成〕
本発明の蛍光体は、下記式[1]で表わされる蛍光体である。
3−x 10−y−z1+y 20−u [1]
(式[1]において、Mは2価の元素、Eは付活元素、Aは3価の元素、Lは4価の元素、Eは共付活元素をそれぞれ表し、x、y、z、及びuは、それぞれ、0<x≦3、0<y≦2、0<u≦2、0≦z、0<y+z≦2、及び0<u+z≦2を満たす数を表す。)
本発明の蛍光体においては、付活元素Eは、2価の元素Mの一部を置換している。また、窒素は、酸素の一部を置換している。このため、3価の窒素が2価の酸素を置換するために負の電荷が過剰となるので、本発明の蛍光体においては、3価の元素Aの位置を4価の元素Lで置換することで正の電荷を過剰にし、電荷補償を行い、結晶全体として電荷バランスを保つことが、良好な発光特性を得られる蛍光体を得る上で重要である。なお、Mの一部がM全体の1/3程度まで欠損していても良く、それに伴って電荷補償のために酸素もしくは窒素の一部が欠損していても良い。このときyとuは異なった値をとって結晶全体として電荷バランスをとることもできる。
式[1]において、Mは2価の元素を表わす。Mとして好適な元素の例を挙げると、Mg、Ca、Sr及びBa等のアルカリ土類金属、並びにZnなどが挙げられる。Mとしてこれらを少なくとも1種類含むと、2価の原子価を有する付活元素が置換しやすくなるので好ましい。この中でもCa、Sr及び/又はBaを含むことがより好ましく、Srを含むことが更に好ましい。MとしてSrを含む場合、Mの50モル%以上がSrであることが好ましく、80モル%以上がSrであることがより好ましく、MとしてSrのみを含むことが特に好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、Mを1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。
式[1]において、Eは付活元素を表わす。Eとして好適な元素の例を挙げると、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbなどが挙げられる。Eとしてこれらを少なくとも1種類含むと、良好な発光色が得られるために好ましい。中でも、EとしてCe及びEuからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含むことが、発光効率のより高い蛍光体が得られるのでより好ましい。その中でも、EとしてEuを含むことが更に好ましい。EとしてEuを含む場合、Eの50モル%以上がEuであることが好ましく、Eの80モル%以上がEuであることがより好ましく、EとしてEuのみを含むことが特に好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、Eを1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。
式[1]において、Aは3価の元素を表わす。Aとして好適な元素の例を挙げると、B、Al及びGaなどが挙げられる。Aとしてこれらを少なくとも1種類含むと、発光効率の良い蛍光体が得られるため好ましい。中でも、AとしてAlを含むことがより好ましい。AとしてAlを含む場合、Aの50モル%以上がAlであることが好ましく、Aの80モル%以上がAlであることがより好ましく、Aの全てがAlであることが特に好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、Aを1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。
式[1]において、Lは4価の元素を表わす。Lとして好適な元素の例を挙げると、Si及びGeなどが挙げられる。Lとしてこれらを少なくとも1種類含むと、電荷補償を取ることができる点で好ましい。中でも、LとしてはSiがより好ましい。SiはAlなどの3価の元素の位置を置換しやすいためである。LとしてSiを含む場合、Lの50モル%以上がSiであることが好ましく、Lの80モル%以上がSiであることがより好ましく、Lの全てがSiであることが特に好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、Lを1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。
式[1]において、Eは共付活元素を表わす。Eとして好適な元素の例を挙げると、Cr、Mn及びFeなどが挙げられる。Eとしてこれらを少なくとも1種類含むと、発光波長を変え発光色を変化させることが出来るという利点が得られるために好ましい。中でも、EとしてMnを含むことがより好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、Eを1種のみ含んでいてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で含んでいてもよい。
式[1]において、xは通常0より大きく、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、また、通常3以下、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下の数を表わす。
式[1]において、yは通常0より大きく、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.7以上、また、通常2以下、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.5以下の数を表わす。yが大きすぎると発光強度が低下する場合がある。
式[1]において、uは通常0より大きく、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは1.0以上、より特に好ましくは1.5以上、また、通常2以下、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下の数を表わす。uが大きすぎると発光強度が低下する場合がある。
式[1]において、zは通常0以上、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、また、通常1以下、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.15以下の数を表わす。zが大きすぎると濃度消光が起こる傾向がある。
ここで、y+z及びu+zは、通常0より大きく、2以下となる。
〔1−2.付活元素に対する配位イオン〕
本発明の蛍光体は、通常、発光中心となる付活元素と、付活元素の第一配位圏に存在する2価の陰イオンと、付活元素の第二配位圏に存在する陽イオンと、該付活元素の第三配位圏に共存する2価の陰イオン及び3価の陰イオンとを有する蛍光体である。そして、第二配位圏に存在する陽イオンのうち、所定の割合(通常50モル%)以上の割合の陽イオンは3価の陽イオンとなっている。特に第三配位圏に存在する3価の陰イオンに結合する3つの第二配位圏の陽イオンのうち2つが3価の陽イオンであることが好ましい。本発明の蛍光体がこのような条件を満たすように母体の結晶構造が調整されている場合、より確実に、近紫外光で励起した場合に安定して高い発光強度及び輝度を有するとともに、温度特性にも優れた蛍光体を得ることができる。
ここで、付活元素の周りの配位圏とは、次のように定義する。すなわち、付活元素からの距離rに対して、以下で定義するようにrまでを第一配位圏、rまでを第二配位圏、rまでを第三配位圏と定義する。
第一配位圏は、0<r≦rの球内に陰イオンだけを含む領域を指す。
第二配位圏は、r<r≦rの球殻に陽イオンだけを含む領域を指す。
第三配位圏は、r<r≦rの球殻に陰イオンだけを含む領域を指す。
具体的に一例を挙げると、本発明の蛍光体が有する母体の結晶構造は、Eu(ユウロピウム)などの発光中心となる付活元素に対して、この付活元素からの原子間距離rが0<r≦rの球内に陰イオンだけを含む領域で定義される第一配位圏に主としてO2−などの2価の陰イオンが存在し、r<r≦rの球殻に陽イオンだけを含む領域で定義される第二配位圏にAl3+などの3価の陽イオンがこの配位圏に存在する陽イオンに対して上記の割合(通常50モル%以上)で存在し、かつ、r<r≦rの球殻に陰イオンだけを含む領域で定義される第三配位圏にO2−などの2価の陰イオンとN3−などの3価の陰イオンとが共存する形をとっている。
また、第二配位圏に3価以外の陽イオン、例えばSi4+などの4価の陽イオンがあまりに多量に存在することで3価の陽イオンの存在割合が上記の割合(通常50モル%)未満になると、目的の結晶が得られないことがある。
また、第三配位圏にO2−などの2価とN3−などの3価の陰イオンとが共存せずに、例えばO2−などの2価の陰イオンだけが存在する場合には、蛍光体の発光強度、温度特性が低下する傾向がある。
このような蛍光体の結晶構造はX線や中性子線による構造解析によりわかる。また、元素分析や29Si−固体NMRなどの解析を併用することで窒素の固溶状況が確認出来る。
本発明の蛍光体では、第一配位圏に存在する2価の陰イオンには2個の陽イオンが結合し、かつ、第三配位圏に存在する2価の陰イオン及び3価の陰イオンには、それぞれ3個の陽イオンが結合していること好ましい。これにより、本発明の蛍光体を近紫外光で励起した場合に、安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、良好な温度特性も得られるものと推察される。
第一配位圏に存在する2価の陰イオンに1個の陽イオンが結合することはきわめて稀である。また、第一配位圏に存在する2価の陰イオンに3個以上の陽イオンが結合する場合には、2価の陰イオンから付活元素への電荷配分が少なくなりすぎるために、この陰イオンから付活元素への結晶場の影響が弱くなりすぎて、適切な発光波長に発光ピークを得られなくなる可能性がある。
一方、第三配位圏に存在する2価の陰イオン及び3価の陰イオンには、3個の陽イオンが結合していることが、3価の陰イオンを安定にこの配位圏に配置できるので好ましい。また、2個以下もしくは4個以上の陽イオンが結合している場合には、2価の陰イオン及び3価の陰イオンを第三配位圏に共存させることが困難となる傾向がある。
ここで、第一配位圏に存在する2価の陰イオンに結合する陽イオン、並びに、第三配位圏に存在する2価の陰イオン及び3価の陰イオンに結合する陽イオンは、周期表の13族及び14族からなる群より選ばれる元素の陽イオンであることが好ましく、中でも、Al及びSiの陽イオンが好ましい。
なお、各陽イオンは、同じ元素の陽イオンであってもよく、異なる元素の陽イオンであってもよい。
本発明の蛍光体は、第一配位圏に存在する2価の陰イオンの少なくとも一部がO2−であるか、第二配位圏に50%以上の割合で存在する3価の陽イオンの少なくとも一部がAl3+であるか、または、第三配位圏に共存する2価の陰イオン及び3価の陰イオンの少なくとも一部がO2−とN3−であるかの少なくともいずれか一つの条件を満たすことが、近紫外光で励起した場合に、特に、安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、良好な温度特性が得られるため、好ましい。中でも上記の条件のうち、より多くの条件を満たすことが更に好ましく、全ての条件を満たすことが特に好ましい。
この場合、第一配位圏に存在する2価の陰イオンの50%以上がO2−であることがより好ましく、中でも2価の陰イオンの全てがO2−であることが更に好ましい。
また、第二配位圏に上記の割合で存在する3価の陽イオンのうち50モル%以上がAl3+であることがより好ましく、中でも3価の陽イオンの全てがAl3+であることが更に好ましい。
また、第三配位圏に共存する2価の陰イオン及び3価の陰イオンの50モル%以上がO2−及びN3−であることがより好ましく、中でも2価の陰イオン及び3価の陰イオンの全てがO2−及びN3−であることが更に好ましい。
〔1−3.窒素による酸素置換〕
本発明の蛍光体は、その結晶構造中に含まれる酸素原子と窒素原子との関係に着目すると、通常は、周期表の13族及び14族からなる群より選ばれる元素の酸化物を母体(例えば、SrAl10SiO20)とする蛍光体であって、母体結晶構造中における3配位の酸素の一部を窒素に置換してなる蛍光体となり、その発光強度が増加する。このような蛍光体の結晶構造はX線や中性子線による構造解析によりわかる。また、元素分析や29Si−固体NMRなどの解析を併用することで窒素の固溶状況が確認出来る。
前記の13族元素及び14族元素は、例えばAl、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb等が挙げられ、中でもAl及びSiが好ましい。
なお、13族元素及び14族元素は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、本発明の蛍光体の母体となる酸化物では、通常、13族元素及び/又は14族元素の陽イオンは酸素に結合している。この際、一つの酸素原子に対しては通常は3個の13族元素及び/又は14族元素の陽イオンが結合する。このように3個の13族元素及び/又は14族元素の陽イオンが結合した酸素が、前記の3配位の酸素である。
本発明の蛍光体においては3配位の酸素の少なくとも一部を窒素が置換しているが、この場合の窒素の置換量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。すなわち、蛍光体結晶中の3配位の酸素及び窒素の合計量に対しする窒素の割合は、通常0モル%より大きく、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、一方通常100モル%より小さく、好ましくは50モル%以下である。
本発明の蛍光体の母体となる酸化物の具体例を挙げて説明すると、例えば、SrAl10SiO20:Euが挙げられる。この場合、Srはアルカリ土類元素に当たり、Euは付活元素に当たり、Alが13族元素に当たり、Siが14族元素に当たる。また、この化学組成式で示される20個の酸素の中の4個の酸素は、3配位の酸素に相当する。そのうちの3個の酸素は3個のAlと結合しているが、残りの1個の酸素は1個のSiと2個のAlが結合している。そして、この3配位の酸素は、同様に3個の陽イオンに配位されやすい窒素によって、少なくとも一部が置換され得る。特に1個のSiと2個のAlが結合している3配位の酸素が、窒化珪素の導入により、2個のSiと1個のAlと結合した3配位の窒素になり易い。このとき通常、3配位の酸素の50%までは窒素で置換しても良い。
同様に、本発明の蛍光体の母体となる酸化物の例としては、(Mg,Zn,Ca,Sr,Ba)(Al,Ga,In,Y,Sc)10(Si,Ge,Sn,Ti)O20などが挙げられる。これらの物質に含まれる3配位の酸素は、いずれもその少なくとも一部を窒素で置換することが可能である。
〔1−4.蛍光体の特性〕
上述した本発明の蛍光体は、近紫外光で励起した場合に安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、温度特性にも優れている。以下、これらをはじめ、本発明の蛍光体の特性等について説明する。
<1−4−1.発光スペクトル>
本発明の蛍光体は、付活元素の種類に応じて様々な波長に発光を示すが、付活元素としてEu2+を含有させた場合に特に発光効率の高い青色蛍光体となる。以下、この青色蛍光体の発光スペクトルの特徴を説明する。
本発明の蛍光体が前記の青色蛍光体である場合、青色蛍光体としての用途に鑑みて、380nm以上400nm以下の波長範囲の光、特に波長400nmの光で励起した場合における発光スペクトルが以下の特徴を有することが好ましい。
・発光ピーク波長
本発明の蛍光体が前記の青色蛍光体である場合、上記波長範囲の光で励起して得られる発光スペクトルにおける発光ピーク波長λp(nm)が、通常410nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下の範囲に存在することが望ましい。発光ピーク波長λpが短過ぎると、発光色が青色から逸脱し、紫色となる傾向があり、発光ピーク波長λpが長過ぎると、発光色が青色から逸脱し、青緑色となる傾向がある。
・発光ピーク半値幅
本発明の蛍光体が前記の青色蛍光体であり、それを画像表示装置に使用する場合には、本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおける発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」と略称する。)が、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは70nm以下であることが望ましい。FWHMが広過ぎると、色純度が低下する場合がある。FWHMの下限は制限されないが、FWHMが狭過ぎると輝度が低下する場合があるので、通常3nm以上、好ましくは4nm以上であることが望ましい。
・発光スペクトルの測定
本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて行なうことができる。なお、発光スペクトルの測定は、温度25℃において行なうものとする。
<1−4−2.励起スペクトル>
・励起ピーク波長
本発明の蛍光体は、その組成に応じて様々な励起スペクトルとなる。ただし、本発明の蛍光体は近紫外光により励起された場合に高い発光強度及び輝度を有することを利点の一つとしているため、その励起スペクトルにおいて波長400nm付近にピークを有するものである。具体的には、後述する測定方法で励起スペクトルを測定した場合に、その発光ピークが、通常200nm以上、好ましくは250nm以上、より好ましくは300nm以上、また、通常450nm以下、好ましくは430nm以下、より好ましくは410nm以下の波長範囲にある。
・励起帯の1/2強度波長領域
上記励起ピーク波長における励起強度の1/2強度を示す波長の範囲(励起帯の1/2強度波長領域)としては、通常440nm以下、好ましくは430nm以下、より好ましくは420nm以下、また、通常210nm以上、好ましくは260nm以上、より好ましくは310nm以上の範囲内となる。
・励起スペクトルの測定
本発明の蛍光体の励起スペクトルの測定は、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて行なうことができる。このときのモニター波長としては、励起スペクトルの波長域外であって、Euの発光領域となる波長から任意に選べばよいが、具体的には500nm以上550nm以下の範囲の波長が挙げられる。なお、励起スペクトルの測定は、温度25℃において行なうものとする。
<1−4−3.量子効率>
本発明の蛍光体は、近紫外光で励起した場合に安定して高い発光強度及び輝度が得られる。即ち、以下に説明するように、近紫外光で励起した場合の量子効率に優れる。
・量子効率
本発明の蛍光体の外部量子効率は、通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。高発光強度の発光素子を設計するためには、外部量子効率は高いほど好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常100%以下である。
・内部量子効率
本発明の蛍光体の内部量子効率は、通常15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上である。ここで、内部量子効率とは、蛍光体が吸収した励起光の光子数に対する発光した光子数の比率を意味する。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にある。なお、上限に制限は無いが、通常100%以下である。
・吸収効率
本発明の蛍光体の吸収効率は、通常40%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。外部量子効率は内部量子効率と吸収効率との積により求められるものであり、高い外部量子効率を有するためには吸収効率も高い方が好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常100%以下である。
以下に、蛍光体の吸収効率αq、内部量子効率ηi、及び、外部量子効率ηo、を求める方法を説明する。
まず、測定対象となる蛍光体サンプル(例えば、粉末状など)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球などの集光装置に取り付ける。積分球などの集光装置を用いるのは、蛍光体サンプルで反射したフォトン、及び蛍光体サンプルから蛍光現象により放出されたフォトンを全て計上できるようにするため、すなわち、計上されずに測定系外へ飛び去るフォトンをなくすためである。
この積分球などの集光装置に蛍光体を励起するための発光源を取り付ける。この発光源は、例えばXeランプ等であり、発光ピーク波長が例えば波長が395nmの単色光となるようにフィルターやモノクロメーター(回折格子分光器)等を用いて調整がなされる。この発光ピーク波長が調整された発光源からの光を、測定対象の蛍光体サンプルに照射し、発光(蛍光)および反射光を含むスペクトルを分光測定装置、例えば大塚電子株式会社製MCPD2000、MCPD7000などを用いて測定する。ここで測定されるスペクトルには、実際には、励起発光光源からの光(以下では単に励起光と記す。)のうち、蛍光体に吸収されなかった反射光と、蛍光体が励起光を吸収して蛍光現象により発する別の波長の光(蛍光)が含まれる。すなわち、励起光近傍領域は反射スペクトルに相当し、それよりも長波長領域は蛍光スペクトル(ここでは、発光スペクトルと呼ぶ場合もある)に相当する。
吸収効率αqは、蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
まず、後者の励起光の全フォトン数Nを、次のようにして求める。すなわち、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、例えばLabsphere製「Spectralon」(波長450nmの励起光に対して98%の反射率Rを持つ。)等の反射板を、測定対象として、蛍光体サンプルと同様の配置で上述の積分球などの集光装置に取り付け、該分光測定装置を用いて反射スペクトルIref(λ)を測定する。この反射スペクトルIref(λ)から求めた下記(式A)の数値は、Nに比例する。
Figure 2009203466
ここで、積分区間は実質的にIref(λ)が有意な値を持つ区間のみで行ったものでよい。
蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsは下記(式B)で求められる量に比例する。
Figure 2009203466
ここで、I(λ)は、吸収効率αqを求める対象としている蛍光体サンプルを取り付けたときの、反射スペクトルである。(式B)の積分区間は(式A)で定めた積分区間と同じにする。このように積分区間を限定することで、(式B)の第二項は、測定対象としている蛍光体サンプルが励起光を反射することによって生じたフォトン数に対応したもの、すなわち、測定対象としている蛍光体サンプルから生ずる全フォトンのうち蛍光現象に由来するフォトンを除いたものに対応したものになる。実際のスペクトル測定値は、一般にはλに関するある有限のバンド幅で区切ったデジタルデータとして得られるため、(式A)および(式B)の積分は、そのバンド幅に基づいた和分によって求まる。
以上より、αq=Nabs/N=(式B)/(式A)と求められる。
次に、内部量子効率ηiを求める方法を説明する。ηiは、蛍光現象に由来するフォトンの数NPLを蛍光体サンプルが吸収したフォトンの数Nabsで割った値である。
ここで、NPLは、下記(式C)で求められる量に比例する。
Figure 2009203466
この時、積分区間は、蛍光体サンプルの蛍光現象に由来するフォトンの有する波長範囲に限定する。蛍光体サンプルから反射されたフォトンの寄与をI(λ)から除くためである。具体的に(式C)の積分区間の下限は、(式A)の積分区間の上端を取り、上限は、蛍光に由来のフォトンを含むのに必要十分な範囲とする。
以上により、内部量子効率ηiは、ηi=(式C)/(式B)と求められる。
なお、デジタルデータとなったスペクトルから積分を行うことに関しては、吸収効率αqを求めた場合と同様である。
そして、上記のようにして求めた吸収効率αqと内部量子効率ηiの積をとることで外部量子効率ηoを求める。あるいは、ηo=(式C)/(式A)の関係から求めることもできる。ηoは、蛍光に由来するフォトンの数NPLを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
<1−4−4.温度特性>
本発明の蛍光体は、波長395nmの光で励起して発光スペクトルを測定した場合に、以下の温度特性を有することが好ましい。
・温度変化に対する発光強度の安定性
本発明の蛍光体は、20℃における発光強度に対して、100℃における発光強度が、通常40%以上、好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上と、温度変化に対する発光強度の安定性が優れたものである。
・温度特性の測定
上記温度特性を測定する場合は、例えば、発光スペクトル装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で測定することができる。
具体的手順としては、まずステージに蛍光体のサンプルを入れたセルを載せ、温度を20℃から175℃までの範囲で段階的に変化させる。蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で蛍光体を励起して、輝度値及び発光スペクトルを測定する。測定された発光スペクトルから、発光ピーク強度を求める。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いる。
<1−4−5.重量メジアン径>
本発明の蛍光体の重量平均メジアン径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下の範囲であることが望ましい。重量平均メジアン径が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量平均メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。本発明の蛍光体の重量メジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
[2.蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体の製造方法に制限は無く、上述した本発明の蛍光体が得られる限り任意の方法を採用することができる。例えば、原料化合物を乾式粉砕機(例えば、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等)を用いて粉砕した後、混合機(例えば、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等)により混合するか、或いは、これらの原料化合物を混合した後、乾式粉砕機を用いて粉砕する乾式法;又は、これらの原料化合物を水等の媒体中に加え、媒体攪拌式粉砕機等の湿式粉砕機を用いて粉砕及び混合するか、或いは、これらの原料化合物を乾式粉砕機により粉砕した後、水等の媒体中に加えて混合することにより調製したスラリーを、噴霧乾燥等により乾燥させる湿式法により、粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物を加熱処理して焼成することにより製造することが好ましい。
具合的には、以下に説明する製造方法(以下、適宜「本発明の製造方法」という)により製造することが好ましい。
[2−1.原料化合物]
原料化合物としては、本発明の蛍光体を構成する元素(以下適宜、「蛍光体構成元素」という)を含有する化合物を用いることができる。その例を挙げると、蛍光体構成元素を含有する、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。よって、原料化合物としては、蛍光対抗性元素である特定金属元素、2族元素及び4族元素それぞれの酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等を用いることができる。中でも、本発明の蛍光体は酸窒化物であるため、特に、例えば酸化物、水酸化物等の、焼成によって酸窒化物となる原料化合物が好ましい。また、原料化合物の選択に際しては、得られる複合酸窒化物(即ち、蛍光体)への反応性、及び、焼成時におけるNOx、SOx等の非発生性等を考慮して選択することが好ましい。さらに、本発明の蛍光体を構成する各元素に対応し、原料化合物は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
原料化合物のうち、通常は付活元素Eとなる元素を含有する化合物(以下、適宜「付活元素源」という)の例を挙げると、以下のとおりである。
Euを含有する化合物(Eu源)の具体例としては、Eu、Eu(SO、Eu(C・10HO、EuCl、EuCl、EuF、EuF、Eu(NO・6HO等が挙げられる。中でもEu等が好ましい。
また、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbを含有する各化合物(それぞれ、適宜「Pb源」、「Bi源」、「Ce源」、「Pr源」、「Nd源」、「Sm源」、「Tb源」、「Dy源」、「Ho源」、「Er源」、「Tm源」、及び「Yb源」という)の例としては、Eu源の具体例として挙げた各化合物において、EuをそれぞれPb、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbに置き換えた化合物等が挙げられる。
原料化合物のうち、通常は共付活元素Eとなる元素を含有する化合物(以下、適宜「共付活元素源」という)の例を挙げると、以下のとおりである。
Crを含有する化合物(Cr源)の具体例としては、Cr、CrF(水和物であってもよい)、CrCl、CrBr・6HO、Cr(NO・9HO、(NHCrO等が挙げられる。
また、Mn及びFeを含有する各化合物(それぞれ「Mn源」及び「Fe源」という)の例としては、Cr源の具体例として挙げた各化合物において、CrをそれぞれMn及びFeに置き換えた化合物等が挙げられる。
原料化合物のうち、2価の元素Mを含有する化合物(以下、適宜「M源」という)の例を挙げると、以下のとおりである。
M源のうち、アルカリ土類金属元素を含有する化合物(以下、適宜「アルカリ土類元素源」という)の例を挙げると、Srを含有する化合物(以下、適宜「Sr源」という)の具体例としては、SrO、Sr(OH)、SrCO、Sr(OH)・3SrCO・3HO、Sr(NO、SrSO、Sr(OCO)、Sr(OCOCH、SrCl等が挙げられる。
また、アルカリ土類金属源のうち、Mg、Ca及びBaを含有する各化合物(それぞれ、「Mg源」、「Ca源」及び「Ba源」という)の例としては、Sr源の具体例として挙げた各化合物において、SrをそれぞれMg、Ca及びBaに置き換えた化合物等が挙げられる。
M源のうち、亜鉛を含有する化合物(以下、適宜「Zn源」という)の具体例としては、ZnO、Zn(C)・2HO、ZnSO・7HO等が挙げられる。
原料化合物のうち、3価の元素Aを含有する化合物(以下、適宜「A源」という)の例としては、13族元素を含有する化合物(以下、適宜「13族元素源」という)が挙げられる。この13族元素源の例を挙げると、Alを含有する化合物(以下、適宜「Al源」という)の具体例としては、α−Al、γ−Al、等のAl、Al(OH)、AlOOH、Al(NO・9HO、Al(SO、AlCl等が挙げられる。
また、13族元素源のうち、B及びGaを含有する各化合物(それぞれ「B源」及び「Ga源」という)の例としては、Al源の具体例として挙げた各化合物において、AlをそれぞれB及びGaに置き換えた化合物等が挙げられる。
原料化合物のうち、4価の元素Lを含有する化合物(以下、適宜「L源」という)の例としては、14族元素を含有する化合物(以下、適宜「14族元素源」という)が挙げられる。この14族元素源の例を挙げると、Siを含有する化合物(以下、適宜「Si源」という)の具体例としては、SiO又はSi等が挙げられる。中でもSiが好ましい。Siを用いることで後述する焼成工程における固相反応の進み易さを高めることができ、これにより、母体結晶における酸素原子を窒素原子で置換して蛍光体組成を安定化し結晶性を向上させて、蛍光特性を安定して改善できるからである。
加えて、Siは、目的とする蛍光体組成におけるSi元素のモル量に対して過剰に用いてもよい。この場合、結晶母体中における酸素原子の窒素原子による置換に加えて、固相反応時に窒素分子が脱離する際のEu3+からEu2+への還元促進効果も有するものと推察される。
また、SiOとなる化合物を用いることもできる。このような化合物としては、具体的には、SiO、HSiO、Si(OCOCH等が挙げられる。また、Siとして反応性の点から、粒径が小さく、発光効率の点から純度の高いものが好ましい。さらに、発光効率の点からはα−Siよりもβ−Siの方が好ましく、特に不純物である炭素元素の含有割合が少ないものの方が好ましい。炭素含有の割合は、少なければ少ないほど好ましいが、通常0.01重量%以上含有され、通常0.3重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。
また、14族元素源のうち、Geの原料(以下、適宜「Ge源」という)の具体例としては、例えば、GeO又はGeを用いるのが好ましい。また、GeOとなる化合物を用いることもできる。このような化合物としては、具体的には、GeO、Ge(OH)、Ge(OCOCH、GeCl等が挙げられる。
また、原料化合物は、共沈を行なうことにより共沈原料としてから用いることが好ましい。この共沈原料は、蛍光体構成元素の一部又は全部が原子レベルで混合されているものである。通常、共沈は、それぞれ異なる蛍光体構成元素を含む原料化合物を組み合わせて行なうため、得られる共沈原料は、蛍光体構成元素を2種以上含有することになる。原料化合物を共沈させてから使用することにより、蛍光体構成元素が均一に混合された蛍光体を得ることができるので、発光強度が優れる蛍光体を得ることができる。特に、発光中心元素(通常は、付活元素)を含有する共沈原料を使用することにより、発光中心元素を蛍光体中に均一に分散させることができるので、より発光強度に優れる蛍光体を得ることができる。
さらに、本発明の蛍光体の組成中のN元素及びO元素に関しては、通常、上記各構成元素の原料化合物のアニオン成分として、又は焼成雰囲気中に含有される成分として、蛍光体製造時に供給される。
[2−2.混合工程]
目的組成が得られるように原料化合物を秤量し、混合して原料混合物を調製してから、当該原料混合物を所定温度、雰囲気下で焼成することにより、本発明の蛍光体を得ることができる。なお、この際、混合はボールミル等を用いて十分に行うことが好ましい。
このとき、本発明の蛍光体は上記式[1]で表される化学量論比にあわせた原料混合比率でも合成できるが、発光強度及び温度特性を調節するために、上記式[1]で表される化学量論比からは外れた原料混合比率で合成しても良い。つまり、原料化合物を秤量する際に秤量した原料化合物中の蛍光体構成元素のモル比率が式[1]の化学量論比から外れていたとしても本発明の蛍光体が得られることがあり、本発明の蛍光体の種類によってはそのように式[1]から外れた化学量論比の原料化合物を用いる方が発光強度及び温度特性を向上させることができる場合がある。
この点を、原料化合物としてMO(Mの酸化物)、Si、SiO及びAlを用い、母体結晶がMAlSi19Nで表される蛍光体を製造する場合を例に挙げて説明する。前記の原料化合物を、モル比がMO:Si:SiO:Al=3:(1/4)a:(5/4)b:(9/2)cとなるように秤量したとする。ここで、a、b、及びcはそれぞれ0≦a≦6、0≦b≦2、及び0≦c≦2を満たす数を表し、a=b=c=1のとき、原料化合物に含まれる蛍光体構成元素の化学量論比はMAlSi19Nの化学量論比に等しくなる。この際、秤量したMO、Si、SiO及びAlに、所望の付活元素E及び共付活元素Eを含む原料化合物を混合して調製した原料混合物を用いても、本発明の蛍光体を製造できるのである。
具体例を挙げると、下記式[2]で記載される仕込み組成となる量の原料化合物から蛍光体を製造すると、式[1]に記載の蛍光体結晶組成を有する蛍光体結晶相が微量の不純物と共に生成するが、その場合でも得られた蛍光体の蛍光特性は特に低下しない。
3−x 9c−z(3/4)a+(5/4)b 3+(5/2)b+(27/2)c [2]
(式[2]においてa、b、及びcはそれぞれ0≦a≦6、0≦b≦2、及び0≦c≦2を満たす数を表す。また、x及びzは式[1]と同様である。)
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)として挙げられたような公知の手法を任意に用いることができる。また、これらの各種条件については、例えば、ボールミルにおいて2種の粒径の異なるボールを混合して用いる等、公知の条件が適宜選択可能である。
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の原料化合物を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の原料化合物に水又はエタノール等のアルコール系溶媒から選択される、溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
また、上記混合・粉砕時に必要に応じて、原料化合物を篩いにかけても良い。この場合、各種市販の篩いを用いることが可能であるが、金属メッシュのものよりもナイロンメッシュ等の樹脂製のものを用いる方が、不純物混入防止の点で好ましい。
[2−3.焼成工程]
得られた原料混合物を焼成することにより、本発明の蛍光体を得る。この焼成は、原料化合物をルツボ等の容器に充填し、所定温度、雰囲気下で焼成することが好ましい。
容器としては、各原料化合物と反応性の低い材料からなるルツボ又はトレイ等の耐熱容器を用いることが好ましい。このような焼成時に用いる耐熱容器の材質としては、例えば、アルミナ、石英、窒化ホウ素、窒化珪素、炭化珪素、マグネシウム、ムライト等のセラミックス、白金、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、ロジウム等の金属、あるいは、それらを主成分とする合金、カーボン(グラファイト)などが挙げられる。ここで、石英製の耐熱容器は、比較的低温、すなわち、1200℃以下での加熱処理に使用することができる。
このような耐熱容器の例として、好ましくは窒化ホウ素製、アルミナ製、窒化珪素製、炭化珪素製、白金製、モリブデン製、タングステン製、タンタル製の耐熱容器が挙げられる。
なお、原料化合物を前記耐熱容器内へ充填する際の充填率(耐熱容器内充填率)は、焼成条件によっても異なるが、後述する後処理工程において焼成物を粉砕しにくくならない程度に充填すれば良く、通常10体積%以上、通常90体積%以下である。また、ルツボに充填された原料化合物は原料化合物の粒子同士の間に空隙率を有するため、原料化合物が充填された体積100ml当たりの原料化合物自体の体積としては、通常10ml以上、好ましくは15ml以上、より好ましくは20ml以上であり、また、通常50ml以下、より好ましくは40ml以下、さらに好ましくは30ml以下である。
また、一度に処理する原料化合物の量を増やしたいときは、昇温速度を減速する等、耐熱容器内に熱が均一に周るようにすることが好ましい。
また、耐熱容器を炉内に充填する際の充填率(炉内充填率)は、炉内の耐熱容器間で熱が不均一にならない程度につめることが好ましい。
さらに、上記焼成において、焼成炉中の耐熱容器の数が多い場合には、例えば、上記の昇温速度を遅めにする等、各耐熱容器への熱の伝わり具合を均等にすることが、ムラなく焼成するためには好ましい。
本発明の蛍光体を製造するための焼成温度としては、焼成温度が低過ぎると充分に結晶が成長せず、粒径が小さくなる可能性がある一方で、焼成温度が高過ぎ焼成粉が焼結してしまうような場合には、発光強度が低くなる可能性があるので、これらの観点を踏まえた上で、目的とする蛍光体に応じて任意に設定すればよい。具体的な焼成温度は、通常1000℃以上、好ましくは1200℃以上、より好ましくは1400℃以上の温度であり、また、通常2000℃以下、好ましくは1800℃以下、より好ましくは1700℃以下の温度である。なお、炭酸塩原料を用いる場合、Si以外の原料を1000℃以下で一度焼成して炭酸塩中のCOを排出させ、焼成粉を粉砕後、Si原料と混合し、1000℃以上2000℃以下で焼成するのがより好ましい。
焼成雰囲気としては特に制限されないが、通常、不活性ガス雰囲気又は還元雰囲気下で行われる。不活性ガス及び還元性ガスとしては、例えば、一酸化炭素、水素、窒素、アルゴン等が挙げられる。このうち、窒素ガス雰囲気下であることが好ましく、より好ましくは水素ガス含有窒素ガス雰囲気下である。上記窒素(N)ガスとしては、純度99.9%以上を使用することが好ましい。水素含有窒素を用いる場合、電気炉内の酸素濃度を20ppm以下に下げることが好ましい。さらに、雰囲気中の水素含有量は1体積%以上が好ましく、2体積%以上がさらに好ましく、また、5体積%以下が好ましい。雰囲気中の水素の含有量は、高すぎると安全性が低下する可能性があり、低すぎると十分な還元雰囲気を達成できない可能性があるからである。
また、上記不活性ガス及び還元性ガスは昇温開始前に導入しても良いが、昇温途中に導入してもよいし、焼成温度到達時に導入を行っても良いが、昇温開始前又は昇温途中に導入するのが好ましい。
また、これらの不活性ガス及び還元性ガス流通下で焼成を行う場合には、通常、0.1リットル/分以上10リットル/分以下の流量の下で焼成が行われる。
なお、不活性ガス及び還元性ガスは、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。また、焼成時間は長い方が良いが、生産性の観点から、通常100時間以下、好ましくは50時間以下、より好ましくは24時間以下、さらに好ましくは12時間以下である。
[2−4.フラックス]
焼成工程においては、良好な結晶を成長させる観点から、反応系にフラックスを共存させてもよい。フラックスの種類は特に制限されないが、例としては、NHCl、NHF、HF等のハロゲン化アンモニウム;NaCO、LiCO等のアルカリ金属炭酸塩;LiCl、NaCl、KCl、CsCl、LiF、NaF、KF、CsF等のアルカリ金属ハロゲン化物;MgCl、CaCl、BaCl、SrCl、MgF、CaF、BaF、SrF等のアルカリ土類金属ハロゲン化物;CaO、SrO、BaO等のアルカリ土類金属酸化物;B、HBO、NaB等のホウ素酸化物、ホウ酸及びホウ酸塩化合物;LiPO、NHPO等のリン酸塩化合物;AlF等のハロゲン化アルミニウム;ZnCl、ZnFといったハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の亜鉛化合物;Bi等の周期表第15族元素化合物などが挙げられる。このうち好ましくはハロゲン化物であり、この中でも、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、Znのハロゲン化物が好ましい。また、これらのハロゲン化物の中でも、フッ化物、塩化物が好ましい。
フラックスの使用量は、原料化合物の種類やフラックスの材料等によっても異なるが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、また、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲である。フラックスの使用量が少な過ぎるとフラックスの効果が現れない場合があり、フラックスの使用量が多過ぎると、フラックス効果が飽和したり、母体結晶に取り込まれて発光色を変化させたり、輝度低下を引き起こす場合がある。これらのフラックスは一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ここで、上記フラックスのうち潮解性のあるものについては、無水物を用いる方が好ましく、また蛍光体を多段焼成により製造する場合には、より後段の焼成時にフラックスを用いることが好ましい。
[2−5.その他の工程]
本発明の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した以外の工程を行なってもよい。例えば、上述の焼成工程の加熱処理後に、必要に応じて、粉砕、洗浄、乾燥、分級処理等の後処理工程を行なってもよい。
粉砕処理は、例えば、得られた蛍光体が所望の粒径になっていない場合に、焼成物に対して行う。粉砕処理方法としては、特に限定されないが、例えば、原料化合物の混合工程の説明の項に記載した乾式粉砕方法及び湿式粉砕方法が使用できる。この際、生成した蛍光体結晶の破壊を抑え、二次粒子の解砕等の目的とする処理を進めるためには、例えば、アルミナ、窒化珪素、ZrO、ガラス等の容器中にこれらと同様の材質又は鉄芯入りウレタン等のボールを入れてボールミル処理を10分〜24時間程度の間で行うのが好ましい。この場合、有機酸やヘキサメタリン酸などのアルカリリン酸塩等の分散剤を0.05重量%〜2重量%用いても良い。
洗浄処理は、例えば、脱イオン水等の水、エタノール等の有機溶剤、アンモニア水等のアルカリ性水溶液などで行うことができる。また、使用されたフラックス等の蛍光体表面に付着した不純物相を除去し発光特性を改善するなどの目的のために、例えば、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸;又は、酢酸などの有機酸の水溶液を使用することもできる。この場合、酸性水溶液中で洗浄処理した後に、水で更に洗浄することが好ましい。
洗浄の程度としては、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液のpHが中性(pH7〜9程度)であることが好ましい。塩基性、又は酸性に偏っていると、後述の液体媒体等と混合するときに液体媒体等に悪影響を与えてしまう可能性があるためである。
また、上記洗浄の程度は、洗浄後の蛍光体を重量比で10倍の水に分散後、1時間静置して得られる上澄み液の電気電導度でも表すことができる。前記電気伝導度は、発光特性の観点からは低いほど好ましいが、生産性も考慮すると通常10mS/m以下、好ましくは5mS/m以下、より好ましくは4mS/m以下となるまで洗浄処理を繰り返し行なうことが好ましい。
電気伝導度の測定方法としては、当該蛍光体の10重量倍の水中で所定時間、例えば10分間撹拌して分散させた後、1時間静置することにより、水よりも比重の重い蛍光体粒子を自然沈降させ、このときの上澄み液の電気伝導度を東亜ディケーケー社製電気伝導度計「EC METER CM−30G」等を用いて測定すればよい。洗浄処理、及び電気伝導度の測定に用いる水としては、特に制限はないが、脱塩水又は蒸留水が好ましい。中でも特に電気伝導度が低いものが好ましく、通常0.0064mS/m以上、また、通常1mS/m以下、好ましくは0.5mS/m以下のものを用いる。なお、電気伝導度の測定は、通常、室温(25℃程度)にて行なう。
分級処理は、例えば、水篩や水簸処理を行う、あるいは、各種の気流分級機や振動篩など各種の分級機を用いることにより行うことができる。中でも、ナイロンメッシュによる乾式分級と、水簸処理とを組み合わせて用いると、重量メジアン径20μm程度の分散性の良い蛍光体を得ることができる。
また、ここで、水篩や水簸処理では、通常、水媒体中に0.1〜10重量%程度の濃度で蛍光体粒子を分散させる、また、蛍光体の変質を抑えるために、水媒体のpHを、通常6以上、好ましくは8以上、また、通常14以下、好ましくは11以下とする。また、上記のような重量メジアン型の蛍光体粒子を得るに際して、水篩及び水簸処理では、例えば50μm以下の粒子を得てから、30μm以下の粒子を得るとなど、2段階での篩い分け処理を行う方が作業効率と収率のバランスの点から好ましい。また、下限としては、通常1μm以上、好ましくは5μm以上のものを篩い分けるなどの処理を行うのが好ましい。
また、得られた本発明の蛍光体を用いて、後述するようにして発光装置を製造する際には、耐湿性等の耐候性を一層向上させるために、又は後述する発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させるために、必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で被覆する等の表面処理を行っても良い。
蛍光体の表面に存在させることのできる物質(以下、任意に「表面処理物質」と称する。)としては、例えば、有機化合物、無機化合物、およびガラス材料などを挙げることができる。
有機化合物としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン等の熱溶融性ポリマー、ラテックス、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
無機化合物としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ビスマス等の金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩、燐酸ナトリウムと硝酸カルシウムとの組合せ、等が挙げられる。
ガラス材料としては、例えばホウ珪酸塩、ホスホ珪酸塩、アルカリ珪酸塩等が挙げられる。
これらの表面処理物質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記の表面処理により得られる本発明の蛍光体は、表面処理物質の存在が前提であるが、その態様は、例えば下記のものが挙げられる。
(i)前記表面処理物質が連続膜を構成して蛍光体表面を被覆する態様。
(ii)前記表面処理物質が多数の微粒子となって、蛍光体の表面に付着することにより蛍光体表面を被覆する態様。
蛍光体の表面への表面処理物質の付着量ないし被覆量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、蛍光体の重量に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。蛍光体に対する表面処理物質量が多すぎると蛍光体の発光特性が損なわれることがあり、少なすぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られないことがある。
また、表面処理により形成される表面処理物質の膜厚(層厚)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、通常2000nm以下、好ましくは1000nm以下である。この膜厚が厚すぎると蛍光体の発光特性が損なわれることがあり、薄すぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られないことがある。
表面処理の方法には特に限定は無いが、例えば下記のような金属酸化物(酸化珪素)による被覆処理法を挙げることができる。
蛍光体をエタノール等のアルコール中に混合して、攪拌し、さらにアンモニア水等のアルカリ水溶液を混合して、攪拌する。次に、加水分解可能なアルキル珪酸エステル、例えばテトラエチルオルト珪酸を混合して、攪拌する。得られた溶液を3分間〜60分間静置した後、スポイト等により蛍光体表面に付着しなかった酸化珪素粒子を含む上澄みを除去する。次いで、アルコール混合、攪拌、静置、上澄み除去を数回繰り返した後、120℃〜150℃で10分〜5時間、例えば2時間の減圧乾燥工程を経て、表面処理蛍光体を得る。
蛍光体の表面処理方法としては、この他、例えば球形の酸化珪素微粉を蛍光体に付着させる方法(特開平2−209989号公報、特開平2−233794号公報)、蛍光体に珪素系化合物の皮膜を付着させる方法(特開平3−231987号公報)、蛍光体微粒子の表面をポリマー微粒子で被覆する方法(特開平6−314593号公報)、蛍光体を有機材料、無機材料及びガラス材料等でコーティングする方法(特開2002−223008号公報)、蛍光体の表面を化学気相反応法によって被覆する方法(特開2005−82788号公報)、金属化合物の粒子を付着させる方法(特開2006−28458号公報)等の公知の方法を用いることができる。
また、上記処理の他、公知の蛍光体、例えば、ブラウン管、プラズマディスプレイパネル、蛍光ランプ、蛍光表示管、X線増感紙等に用いられる蛍光体に関して一般的に知られている技術を利用することができ、目的、用途等に応じて適宜選択することができる。
[3.蛍光体含有組成物]
本発明の蛍光体は液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用い、封止した後、熱や光によって硬化させて用いるのが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
[3−1.蛍光体]
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
[3−2.液体媒体]
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
有機系材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
これらの中で特に照明など大出力の発光装置に本発明の蛍光体を用いる場合には、耐熱性や耐光性等を高めることを目的として、液体媒体として珪素含有化合物を使用することが好ましい。
珪素含有化合物とは、分子中に珪素原子を有する化合物をいい、例えば、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、ハンドリングの容易さ等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
上記シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば一般組成式(i)で表される化合物及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2・・・式(i)
一般組成式(i)において、RからRは、有機官能基、水酸基、水素原子からなる群から選択されるものを表す。なお、RからRは、同じであってもよく、異なってもよい。
また、上記式(i)において、M、D、T及びQは、各々0以上1未満の数であり、且つ、M+D+T+Q=1を満足する数である。
該シリコーン系材料は、半導体発光素子の封止に用いる場合、液状のシリコーン系材料を用いて封止した後、熱や光によって硬化させて用いることができる。
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン系材料)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン系材料)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
一方、縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。その具体例としては、下記一般式(ii)及び/又は(iii)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
m+ m−n (ii)
(式(ii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+ s−t−1 (iii)
(式(iii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Yは、1価の有機基を表わし、Yは、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させてもよい。この硬化触媒としては、例えば、金属キレート化合物などを好適なものとして用いることができる。金属キレート化合物は、Ti、Ta、Zrの何れか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものが更に好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−112973号〜112975号公報、特開2007−19459号公報、及び、特願2006−176468号明細書に記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
縮合型シリコーン系材料の中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や素子を配置する基板及びパッケージ等との接着性が弱いことが課題とされるが、密着性が高いシリコーン系材料として、特に、以下の特徴〔1〕〜〔3〕のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料が好ましい。
〔1〕ケイ素含有率が20重量%以上である。
〔2〕後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〔3〕シラノール含有率が0.1重量%以上、10重量%以下である。
本発明においては、上記の特徴〔1〕〜〔3〕のうち、特徴〔1〕を有するシリコーン系材料が好ましく、上記の特徴〔1〕及び〔2〕を有するシリコーン系材料がより好ましく、上記の特徴〔1〕〜〔3〕を全て有するシリコーン系材料が特に好ましい。
以下、上記の特徴〔1〕〜〔3〕について説明する。
[3−2−1.特徴〔1〕(ケイ素含有率)]
本発明に好適なシリコーン系材料のケイ素含有率は、通常20重量%以上であるが、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiOのみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量%以下の範囲である。
なお、シリコーン系材料のケイ素含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
{ケイ素含有率の測定}
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
[3−2−2.特徴〔2〕(固体Si−NMRスペクトル)]
本発明に好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
ケミカルシフト毎に整理すると、本発明に好適なシリコーン系材料において、(a)に記載のピークの半値幅は、分子運動の拘束が小さいために、全般に後述の(b)に記載のピークの場合より小さく、通常3.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上の範囲である。
一方、(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
上記のケミカルシフト領域において観測されるピークの半値幅が大き過ぎると、分子運動の拘束が大きくひずみの大きな状態となり、クラックが発生し易く、耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。例えば、四官能シランを多用した場合や、乾燥工程において急速な乾燥を行ない大きな内部応力を蓄えた状態などにおいて、半値幅範囲が上記の範囲より大きくなる。
また、ピークの半値幅が小さ過ぎると、その環境にあるSi原子はシロキサン架橋に関わらないことになり、三官能シランが未架橋状態で残留する例など、シロキサン結合主体で形成される物質より耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。
但し、大量の有機成分中に少量のSi成分が含まれるシリコーン系材料においては、−80ppm以上に上述の半値幅範囲のピークが認められても、良好な耐熱・耐光性及び塗布性能は得られない場合がある。
本発明に好適なシリコーン系材料のケミカルシフトの値は、例えば以下の方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(半値幅やシラノール量解析)は、例えばガウス関数やローレンツ関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
{固体Si−NMRスペクトル測定及びシラノール含有率の算出}
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。また、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することによりシラノール含有率を求める。
{装置条件}
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX−400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
シリコーン系材料については、512ポイントを測定データとして取り込み、8192ポイントにゼロフィリングしてフーリエ変換する。
{波形分離解析法}
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal, 44(5), p.1141, 1998年等を参考にする。
[3−2−3.特徴〔3〕(シラノール含有率)]
本発明に好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
なお、シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば上記[3−2−2.特徴〔2〕(固体Si−NMRスペクトル)]の{固体Si−NMRスペクトル測定及びシラノール含有率の算出}の項において説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
また、本発明に好適なシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、通常は、デバイス表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
また、本発明に好適なシリコーン系材料は、通常、適当な触媒の存在下で加熱することにより、デバイス表面の水酸基との間に脱水縮合による共有結合を形成し、更に強固な密着性を発現することができる。
一方、シラノールが多過ぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する場合がある。
[3−3.液体媒体の含有率]
液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、半導体発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
液体媒体は、本発明の蛍光体含有組成物において、主にバインダーとしての役割を有する。液体媒体は、一種のみを用いてもよいが、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。例えば、耐熱性や耐光性等を目的として珪素含有化合物を使用する場合は、当該珪素含有化合物の耐久性を損なわない程度に、エポキシ樹脂など他の熱硬化性樹脂を含有してもよい。この場合、他の熱硬化性樹脂の含有量は、バインダーである液体媒体全量に対して通常25重量%以下、好ましくは10重量%以下とすることが望ましい。
[3−4.その他の成分]
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[3−5.蛍光体含有組成物の利点]
本発明の蛍光体含有組成物によれば、本発明の蛍光体を所望の位置に容易に固定できる。例えば、本発明の蛍光体含有組成物を発光装置の製造に用いる場合、本発明の蛍光体含有組成物を所望の位置に成形し、液体媒体を硬化させれば、当該液体媒体で本発明の蛍光体を封止することができ、所望の位置に本発明の蛍光体を容易に固定することが可能となる。
[4.発光装置]
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体として本発明の蛍光体を少なくとも1種以上、第1の蛍光体として含有するものである。
本発明の発光装置は、具体的には、第1の発光体として後述するような励起光源を用い、第2の発光体として使用する蛍光体の種類や使用割合を調整し、公知の装置構成を任意にとることにより、任意の色に発光する発光装置を製造することができる。本発明の蛍光体は、上述したように、近紫外光で励起した場合でも、安定して高い発光強度及び輝度が得られるとともに、温度特性にも優れた蛍光体であるため、これを用いることにより、色ずれや発光強度の低下が少ない、優れた発光装置を得ることができる。この発光装置は、画像表示装置や照明装置の用途に好適に用いられる。
例えば、青色光を発する励起光源と緑色の蛍光を発する蛍光体(緑色蛍光体)と橙色ないし赤色の蛍光を発する蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体)とを組み合わせれば、白色発光装置を製造することができる。この場合の発光色は、本発明の蛍光体や組み合わせる橙色ないし赤色蛍光体の発光波長を調整することにより、好みの発光色にすることができるが、例えば、いわゆる擬似白色(例えば、青色LEDと黄色蛍光体を組み合わせた発光装置の発光色)の発光スペクトルと類似した発光スペクトルを得ることもできる。更に、この白色発光装置に赤色の蛍光を発する蛍光体(赤色蛍光体)を組み合わせれば、赤色の演色性に極めて優れた発光装置や電球色(暖かみのある白色)に発光する発光装置を実現することができる。また、近紫外光を発する励起光源に、青色の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体)、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を組み合わせても、白色発光装置を製造することができる。
ここで、該白色発光装置の白色とは、JIS Z 8701により規定された、(黄みの)白、(緑みの)白、(青みの)白、(紫みの)白及び白の全てを含む意であり、このうち好ましくは白である。
またさらに、必要に応じて、黄色蛍光体(黄色の蛍光を発する蛍光体)、青色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体、他種の緑色蛍光体等を組み合わせて、蛍光体の種類や使用割合を調整し、任意の色に発光する発光装置を製造することもできる。
本発明の蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置の発光スペクトルにおける緑色領域の発光ピークとしては、515nm〜535nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、赤色領域の発光ピークとしては580nm〜680nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、青色領域の発光ピークとしては430nm〜480nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましく、黄色領域の発光ピークとしては540nm〜580nmの波長範囲に発光ピークを有するものが好ましい。
なお、発光装置の発光スペクトルは、気温25±1℃に保たれた室内において、オーシャン オプティクス社製の色・照度測定ソフトウェア及びUSB2000シリーズ分光器(積分球仕様)を用いて20mA通電して測定を行なうことができる。この発光スペクトルの380nm〜780nmの波長領域のデータから、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標として色度値(x,y,z)を算出できる。この場合、x+y+z=1の関係式が成立する。本明細書においては、前記XYZ表色系をXY表色系と称している場合があり、通常(x,y)で表記している。
また、発光効率は、前述のような発光装置を用いた発光スペクトル測定の結果から全光束を求め、そのルーメン(lm)値を消費電力(W)で割ることにより求められる。消費電力は、20mAを通電した状態で、Fluke社のTrue RMS Multimeters Model 187&189を用いて電圧を測定し、電流値と電圧値の積で求められる。
[4−1.発光装置の構成(発光体)]
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体を使用することが特に好ましい。
第1の発光体の発光ピーク波長の具体的数値としては、通常200nm以上が望ましい。このうち、近紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上が望ましく、また、通常420nm以下、好ましくは410nm以下のピーク発光波長を有する発光体を使用することが望ましい。また、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上が望ましく、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下のピーク発光波長を有する発光体を使用することが望ましい。何れも、発光装置の色純度の観点からである。
第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光LEDや半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。その他、第1の発光体として使用できる発光体としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子等が挙げられる。但し、第1の発光体として使用できるものは本明細書に例示されるものに限られない。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でもInGaN発光層を有するものは発光強度が非常に強いので特に好ましく、GaN系LEDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度は非常に強いので特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(第2の発光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として前述の本発明の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(橙色ないし赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
上記第2の発光体中に用いられる、本発明の蛍光体以外の蛍光体の組成には特に制限はない。その例を挙げると、結晶母体となる、Y、YVO、ZnSiO、YAl12、SrSiO等に代表される金属酸化物、SrSi等に代表される金属窒化物、Ca(POCl等に代表されるリン酸塩及びZnS、SrS、CaS等に代表される硫化物、YS、LaS等に代表される酸硫化物等にCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の希土類金属のイオンやAg、Cu、Au、Al、Mn、Sb等の金属のイオンを付活元素又は共付活元素として組み合わせたものが挙げられる。
結晶母体の好ましい例としては、例えば、(Zn,Cd)S、SrGa、SrS、ZnS等の硫化物;YS等の酸硫化物;(Y,Gd)Al12、YAlO、BaMgAl1017、(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)Al1017、BaAl1219、CeMgAl1119、(Ba,Sr,Mg)O・Al、BaAlSi、SrAl、SrAl1425、YAl12等のアルミン酸塩;YSiO、ZnSiO等の珪酸塩;SnO、Y等の酸化物;GdMgB10、(Y,Gd)BO等の硼酸塩;Ca10(PO(F,Cl)、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl等のハロリン酸塩;Sr、(La,Ce)PO等のリン酸塩等を挙げることができる。
但し、上記の結晶母体、付活元素及び共付活元素は、元素組成には特に制限はなく、同族の元素と一部置き換えることもでき、得られた蛍光体は近紫外から可視領域の光を吸収して可視光を発するものであれば用いることが可能である。
具体的には、蛍光体として以下に挙げるものを用いることが可能であるが、これらはあくまでも例示であり、本発明で使用できる蛍光体はこれらに限られるものではない。なお、以下の例示では、前述の通り、構造の一部のみが異なる蛍光体を、適宜省略して示している。
(第1の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種のみを使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。例えば、本発明の蛍光体が緑色蛍光体の場合には、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の緑色蛍光体を併用することができ、また、本発明の蛍光体が橙色ないし赤色蛍光体の場合には、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の橙色ないし赤色蛍光体を併用することができ、本発明の蛍光体が青色蛍光体の場合には、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の青色蛍光体を併用することができ、また、本発明の蛍光体が黄色蛍光体の場合には、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の黄色蛍光体を併用することができる。
これらの蛍光体としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。以下、好ましい例について説明する。
(緑色蛍光体)
該緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
また、緑色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常40〜80nmの範囲である。
また、緑色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、重量メジアン径は通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10mμ以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
該緑色蛍光体の具体例を挙げると、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
また、その他の緑色蛍光体としては、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)(Sc,Y,Lu,Gd)(Si,Ge)24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、MSi:Eu、MSi12:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
以上例示した緑色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(橙色ないし赤色蛍光体)
該橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nmより大きく、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Euで表わされるユーロピウム賦活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行なう(Y,La,Gd,Lu)S:Euで表わされるユーロピウム賦活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
また、赤色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常1〜100nmの範囲である。
また、赤色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、重量メジアン径は通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10mμ以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
更に、特開2004−300247号公報に記載された、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種類の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も、本発明において用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW:Eu、LiW:Eu,Sm、Eu、Eu:Nb、Eu:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Eu、LiY(SiO:Eu、(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu、SrBaSiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、BaMgSi:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−x−yScCe(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGe12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)S:Eu又はEu錯体を含むことが好ましく、より好ましくは(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Ce、(Sr,Ba)SiO:Eu、(Ca,Sr)S:Eu又は(La,Y)S:Eu、もしくはEu(ジベンゾイルメタン)・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体又はカルボン酸系Eu錯体を含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu又は(La,Y)S:Euが特に好ましい。
また、以上例示の中でも、橙色蛍光体としては(Sr,Ba)SiO:Euが好ましい。
なお、橙色ないし赤色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(青色蛍光体)
該青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常500nm未満、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、青色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常20〜80nmの範囲である。
また、青色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、重量メジアン径は通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10mμ以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euで表わされるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)(PO(Cl,F):Euで表わされるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al:Eu又は(Sr,Ca,Ba)Al1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、SrSiAl19ON31:Eu、EuSiAl19ON31等のEu付活酸窒化物蛍光体、La1−xCeAl(Si6−zAl)(N10−z)(ここで、x、及びyは、それぞれ0≦x≦1、0≦z≦6を満たす数である。)、La1−x−yCeCaAl(Si6−zAl)(N10−z)(ここで、x、y、及びzは、それぞれ、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦6を満たす数である。)等のCe付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
以上の例示の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu又は(Ba,Ca,Mg,Sr)SiO:Euを含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu又は(Ba,Ca,Sr)MgSi:Euを含むことがより好ましく、BaMgAl1017:Eu、Sr10(PO(Cl,F):Eu又はBaMgSi:Euを含むことがより好ましい。また、このうち照明用途及びディスプレイ用途としては(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu又は(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Euが特に好ましい。
なお、青色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(黄色蛍光体)
該黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、黄色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常60nm以上200nm以下の範囲である。
また、黄色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、重量メジアン径は通常1μm以上、好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10mμ以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やM 12:Ce(ここで、Mは2価の金属元素、Mは3価の金属元素、Mは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSi(N,O):Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa:Eu、(Ca,Sr)Ga:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al):Eu等の硫化物系蛍光体、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のsialon構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体を用いることも可能である。
また、黄色蛍光体としては、例えば、brilliant sulfoflavine
FF (Colour Index Number 56205)、basic yellow HG (Colour Index Number 46040)、eosine (Colour Index Number 45380)、rhodamine
6G (Colour Index Number 45160)等の蛍光染料等を用いることも可能である。
なお、黄色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(第2の蛍光体)
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。
上記のように、第1の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合には、第2の蛍光体としては、例えば橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の緑色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
第1の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合には、第2の蛍光体としては、例えば緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の橙色ないし赤蛍光体以外の蛍光体を用いる。
第1の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合には、第2の蛍光体としては、例えば緑色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体、黄色蛍光体等の青色蛍光体以外の蛍光体を用いる。このとき特に第1の蛍光体が460nmを超え500nm未満の範囲に発光ピークを有する蛍光体(青緑色蛍光体)の場合には、第2の蛍光体としては、上記に加え、410nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有する青色蛍光体を組み合わせて用いると高演色性を示す発光装置となる。
第1の蛍光体として黄色蛍光体を使用する場合には、第2の蛍光体としては、例えば緑色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体等の黄色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
該緑色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体、青色蛍光体及び黄色蛍光体の例としては、前記第1の蛍光体の項で記載したのと同様の蛍光体を挙げることができる。
本発明の発光装置に使用される第2の蛍光体の重量メジアン径は、通常10μm以上、中でも12μm以上が好ましく、また、通常30μm以下、中でも25μm以下が好ましい。重量メジアン径が小さ過ぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大き過ぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
(第2の蛍光体の組み合わせ)
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体のみを使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
また、本発明の蛍光体は、他の蛍光体と混合(ここで、混合とは、必ずしも蛍光体同士が混ざり合っている必要はなく、異種の蛍光体が組み合わされていることを意味する。)して用いることができる。特に、上記に記載の組み合わせで蛍光体を混合すると、好ましい蛍光体混合物が得られる。なお、混合する蛍光体の種類やその割合に特に制限はない。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。
中でも、本発明の発光装置は、第1の発光体として300nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを備えると共に、第2の蛍光体として500nm以上700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体を含有する第2の発光体を備えるようにすることが好ましい。
更にその中でも、本発明の発光装置は、第1の発光体として360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを備えると共に、第2の蛍光体として、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有する第2の発光体とを備えるようにすることがより好ましい。
また、本発明の発光装置は、第1の発光体として360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有するものを備えると共に、第2の蛍光体として、410nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有する第2の発光体とを備えるようにすることがより好ましい。
(封止材料)
本発明の発光装置において、本発明の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて封止した後、熱や光によって硬化させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の[3.蛍光体含有組成物]の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
また、該液体媒体は、封止部材の屈折率を調整するために、高い屈折率を有する金属酸化物となり得る金属元素を含有させることができる。高い屈折率を有する金属酸化物を与える金属元素の例としては、Si、Al、Zr、Ti、Y、Nb、B等が挙げられる。これらの金属元素は単独で使用されてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で併用されてもよい。
このような金属元素の存在形態は、封止部材の透明度を損なわなければ特に限定されず、例えば、メタロキサン結合として均一なガラス層を形成していても、封止部材中に粒子状で存在していてもよい。粒子状で存在している場合、その粒子内部の構造はアモルファス状であっても結晶構造であってもよいが、高屈折率を与えるためには結晶構造であることが好ましい。また、その粒子径は、封止部材の透明度を損なわないために、通常は、半導体発光素子の発光波長以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、特に好ましくは30nm以下である。例えばシリコーン系材料に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ニオブ等の粒子を混合することにより、上記の金属元素を封止部材中に粒子状で存在させることができる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。なお、これらの添加剤は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[4−2.発光装置の構成(その他)]
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
また、本発明の発光装置では、上述の励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム以外の部材を用いてもよい。その例としては、前述の封止材料が挙げられる。該封止材料は、発光装置において、蛍光体(第2の発光体)を分散させる目的以外にも、励起光源(第1の発光体)、蛍光体(第2の発光体)及びフレーム間を接着する目的で用いたりすることができる。
[4−3.発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
本発明の発光装置の一例における、励起光源となる第1の発光体と、蛍光体を有する蛍光体含有部として構成された第2の発光体との位置関係を示す模式的斜視図を図1に示す。図1中の符号1は蛍光体含有部(第2の発光体)、符号2は励起光源(第1の発光体)としての面発光型GaN系LD、符号3は基板を表す。相互に接触した状態をつくるために、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とそれぞれ別個に作製し、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させてもよいし、LD(2)の発光面上に蛍光体含有部(第2の発光体)を製膜(成型)させてもよい。これらの結果、LD(2)と蛍光体含有部(第2の発光体)(1)とを接触した状態とすることができる。
このような装置構成をとった場合には、励起光源(第1の発光体)からの光が蛍光体含有部(第2の発光体)の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2(a)は、一般的に砲弾型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。該発光装置(4)において、符号5はマウントリード、符号6はインナーリード、符号7は励起光源(第1の発光体)、符号8は蛍光体含有樹脂部、符号9は導電性ワイヤ、符号10はモールド部材をそれぞれ指す。
また、図2(b)は、表面実装型と言われる形態の発光装置の代表例であり、励起光源(第1の発光体)と蛍光体含有部(第2の発光体)とを有する発光装置の一実施例を示す模式的断面図である。図中、符号22は励起光源(第1の発光体)、符号23は蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部、符号24はフレーム、符号25は導電性ワイヤ、符号26及び符号27は電極をそれぞれ指す。
[4−4.発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
[4−4−1.照明装置]
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
図3は、本発明の照明装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、該面発光照明装置は、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース(12)の底面に、多数の発光装置(13)(前述の発光装置(4)に相当)を、その外側に発光装置(13)の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置し、保持ケース(12)の蓋部に相当する箇所に、乳白色としたアクリル板等の拡散板(14)を発光の均一化のために固定してなる。
そして、面発光照明装置(11)を駆動して、発光装置(13)の励起光源(第1の発光体)に電圧を印加することにより光を発光させ、その発光の一部を、蛍光体含有部(第2の発光体)としての蛍光体含有樹脂部における前記蛍光体が吸収し、可視光を発光し、一方、蛍光体に吸収されなかった青色光等との混色により演色性の高い発光が得られ、この光が拡散板(14)を透過して、図面上方に出射され、保持ケース(12)の拡散板(14)面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
[4−4−2.画像表示装置]
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
このときのカラーフィルター透過後の光による色再現範囲としては、NTSC比で、通常60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%以上であり、通常150%以下である。
また、カラーフィルター全体からの透過光の量に対する、各カラーフィルターからの透過光の量(光の利用効率)としては、通常20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは28%以上、さらに好ましくは30%以上である。利用効率は高ければ高いほど好ましいが、赤、緑及び青の3つのフィルターを用いている関係上、通常33%以下となる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[1.蛍光体の測定評価方法]
後述の各実施例及び各比較例において、蛍光体粒子の各種の評価は、以下の手法で行った。
[発光スペクトルの測定方法]
発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)用いて測定した。励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長340nm、405nm又は455nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定を行った。
また、発光ピーク波長と半値幅は、得られた発光スペクトルから読み取った。この相対発光ピーク強度は高い方が好ましい。
[励起スペクトルの測定方法]
日立製作所製蛍光分光光度計F−4500を使用して波長が460nm〜480nmの範囲にある青色発光ピークをモニターして250nm〜500nmの波長範囲内の励起スペクトルを得た。
[X線回折]
結晶構造解析には(株)マック・サイエンス社製のMXLaboを用い、Cu Kαの特性X線(1.54Å)を用いて粉末X線回折(XRD)パターンを測定し、相同定用ソフトウェア「Match Maker」等を用いて相同定を行なった。
[元素分析]
・窒素含有率の測定
窒素含有率は、酸素窒素同時分析装置(Leco社製酸素窒素分析装置TC−436型)により、蛍光体の窒素含有量を測定し、蛍光体の窒素含有率は下記(式D)により求めた。
蛍光体の窒素含有率(重量%)
= (窒素含有量/蛍光体の重量)×100 (式D)
・酸素含有率の測定
酸素含有率は、酸素窒素同時分析装置(Leco社製酸素窒素分析装置TC−436型)により、蛍光体の酸素含有量を測定し、蛍光体の酸素含有率は下記(式E)により求めた。
蛍光体の酸素含有率(重量%)
= (酸素含有量/蛍光体の重量)×100 (式E)
[温度特性]
温度特性は、発光スペクトル装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で測定した。
具体的手順としては、まずステージに蛍光体を入れたセルを載せ、温度を20℃から175℃までの範囲で段階的に変化させた。蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で蛍光体を励起して、輝度値及び発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから、発光ピーク強度を求めた。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いた。
[2.蛍光体の合成方法]
[使用原料]
蛍光体の原料化合物としては、SrCO(白辰化学社製、純度98%)、α−Al(住友化学社製、純度99.99%)、Si(宇部興産製、SNE10)、SiO(高純度化学社製、平均粒径約4μm、純度99.99%)、Eu(信越化学社製、純度99.99%)、HBO(和光純薬、純度99.5%)、及び、B(和光純薬、純度90.0%)をそれぞれ使用した。
[合成方法]
試料の合成は以下のように行った。
実施例1〜14、比較例1および2は原料化合物の粉末SrCO、Eu、α−Al、Si及びSiOを表1に示すとおり秤量した。秤量した原料化合物をアルミナ乳鉢にて乾式で20分混合し、ふた付きアルミナ坩堝(内径、高さとも約33mm)にそれぞれ密充填した。これを雰囲気加熱電気炉(温度調節器つき抵抗加熱箱型、(株)モトヤマ製、SHA−2025D−SP)を用いて、流量3.0リットル/分の窒素および1.0リットル/分のアルゴン95体積%、水素5体積%混合ガスからなる混合気流中で1,400℃まで5時間かけて昇温し、その後、6時間保持した。焼成後、250℃まで7時間かけて放冷し、その後室内に取り出した。得られた試料粉末はメノウ乳鉢にて粉砕し、ナイロンメッシュ112番の篩で粗大粒子を除去した後使用した。
実施例15及び16は原料化合物の粉末SrCO、Eu、α−Al、Si及びSiO以外に、フラックス成分としてB及びHBOを表1に示すとおり秤量したこと以外は実施例1〜14と同様に製造した。
尚、表1における数値はg数である。
Figure 2009203466
[部分窒化の効果の検討]
実施例1及び2と比較例1及び2の蛍光体の発光スペクトル及び励起スペクトルを測定した。結果を図4と図5に示した。これらの結果から、窒化珪素を加えて焼成した実施例1及び2は窒化珪素を加えずに焼成した比較例1及び2に比べて発光強度は4倍から6倍に増加したことが分かる。同様に励起強度も増大する結果を得た。この結果より、母体結晶を部分窒化したことによる効果が顕著であることが分かる。
[Eu濃度の最適化の検討]
実施例1〜7の蛍光体の発光スペクトル及び励起スペクトルを図6と図7に示す。これらの図から、Eu濃度が7〜8%付近に最適濃度が存在することが分かった。
[結晶相の同定]
実施例2、実施例9及び比較例2の蛍光体のX線回折パターンを測定した。結果を図8に示す。
図8から、比較例2のX線回折パターンでは、(Rief and Kubel, Acta Cryst. E63, i19 (2007))の文献に基づきSrAl10SiO20と推測される結晶相に類似したX線回折パターンの出現が確認された。
また、図8から、実施例2のX線回折パターンは主に比較例2のSrAl10SiO20と極めて類似したパターンが存在することが確認できた。本来、実施例2においてはSrAl10SiO20の構造が部分窒化の影響を受けて変化しているはずであるが、窒化量が少ないので回折パターンでそれを確認することは困難であることが分かる。またSrAl10SiO20類似の単一相ではなく13°、23°、28°及び35゜付近にSrAlSiと同定される相を含んでいることが分かった。
ただし、この異相SrAlSiはEuにより付活しても400nm付近にのみ発光ピーク波長を有することが文献(Zhiyu Wang, Yinhai Wang, Pengyue Zhang, Xianping Fan and Guodong Qian、J.Lumin.124, 140 (2007))で知られており、本発明の蛍光体が呈する470nm付近に発光ピーク波長を持つ青緑色発光にはまったく寄与しないと考えられる。
ところで、上記のように実施例8〜14においては原料配合組成を変化させて蛍光体の合成を行った。このうち実施例9のX線回折パターンは比較例2と良く一致しており、異相が観測されず、単一相とみなすことが出来る。観測された粉末X線回折データから単位胞の体積を精密化プログラムUnitCell(T.J.B.Holland and S.A.T.Redfern、Mineralogical Magazine 61, 65 (1997))より求めたところ、実施例9の単位胞の体積は789.9385Å、比較例2の単位胞の体積は790.2166Åという結果になり、部分窒化の影響で該酸窒化物(実施例9)の格子体積が該酸化物(比較例2)より小さくなったことが確認できた。
[元素分析]
実施例9と比較例2の蛍光体について、酸素及び窒素の元素分析を行い、実施例9は窒素を0.4重量%含有していることを確認した。
Figure 2009203466
図9に実施例9と比較例2の発光スペクトルを示す。また図10に励起スペクトルを波長350nmにおいて規格化した結果を示す。これらの図から、部分窒化が行われることにより長波長の光により励起されやすくなり、発光強度が増大することが示される。
[フラックスの効果の検討]
図11と図12に、フラックスを添加しない実施例2と、フラックスとしてB及びHBOを添加した実施例15及び16の発光スペクトル及び励起スペクトルを示す。図11に示す発光スペクトルからはHBOが発光強度の増大に寄与しており、図12に示す励起スペクトルからはB及びHBOが370nm以上の長波長で添加効果があることが認められた。
[温度特性の検討]
図13に実施例1と比較例1の温度特性を示す。この図13から部分窒化により温度特性が改善されることが分かる。
[実施例17及び18]
試料の合成は以下のように行った。
実施例17及び18は下記表3に示すように、実施例9に対して、原料化合物であるSi及びSiOの使用量を変化させたものである。
Figure 2009203466
秤量した原料化合物をアルミナ乳鉢にて乾式で20分混合し、ふた付きアルミナ坩堝(内径、高さとも約33mm)にそれぞれ密充填した。これを雰囲気加熱電気炉(温度調節器つき抵抗加熱箱型)を用いて、流量0.5リットル/分の窒素96体積%、水素4体積%混合ガスからなる混合ガス気流中で、120℃まで11時間で昇温し、1400℃まで4時間40分間で昇温し、1400℃で6時間保持した。その後、800℃まで2時間かけて降温し、次いで、300℃まで降温した。300℃以下になったところで混合ガスの導入を止め、代わりに窒素ガスを導入し、室温まで降温してから、室内に取り出した。得られた試料粉末はメノウ乳鉢にて粉砕し、ナイロンメッシュ112番の篩で粗大粒子を除去した後使用した。
実施例17及び18共に、405nmの励起光照射時の発光ピーク波長が478nm、半値幅が55nmであった。
また、そのX線回折パターンを図14に示す。
さらに、実施例9、17及び18、並びに比較例2の蛍光体について、中性子線による構造解析を行なった。この構造解析では、まず独立行政法人日本原子力研究開発機構が所管する研究炉JRR−3の1Gポートに設置されている高分解能粉末中性子回折装置(HRPD)を使用して回折実験を行なった。
この回折実験によれば、X線の散乱能は電子数、つまり、原子番号に比例することから、7番のNと8番のOを区別することが難しいが、中性子線は原子番号に比例せず、干渉性散乱径(bc)と呼ばれる散乱能の基準値に依存し、N(bc=9.36fm)とO(bc=5.803fm)の両者を区別することができ、O/Nの位置及びそれぞれの占有数を調べることができる。
専用のバナジウムホルダーをアルミの台座に取り付け、各蛍光体の粉末試料を入れた。このバナジウムホルダーの上下にはアルミ製の部品が取り付けられ、中性子の吸収が強いGdのペーストの表面に塗布している。準備された試料をHRPDに設置して測定を行なった。この際に試料の選択配向を抑制するために回転台を導入し、回転させた状態で測定を行なった。
測定前に、まず、水素の非干渉性散乱を利用し(HOを使用)、64本の検出器についてそれぞれの検出効率を調べ、検出器間の感度補正を行なった。次いで、本測定においてモノクロメータ散乱角を89°、モノクロメータをGeの(331)面を選択した。第1コリメータ水平発散角を12’とし、標準試料(NST Si640c)により中性子線の波長較正を行なった1.8232Å波長を用いて、室温、大気圧下において約25時間の測定を行なった。測定範囲角は散乱角2θで2.5°から162.45°までを0.05°間隔で測定したデータを得た。
こうして、得られた回折データは構造精密化ソフトRIETAN−2000(F. Izumi and T. Ikeda, Mater. Sci. Forum, 321−324 (2000) 198−203)を用いて構造精密化を行ない、各蛍光体の結晶学的パラメータを得た。結果を表4〜7(順に実施例9、実施例17、実施例18、比較例2の蛍光体の結果である。)に示す。また、これらの試料間における格子定数および格子体積の変化をグラフ化したものが図15A〜図15Eである。
Figure 2009203466
Figure 2009203466
Figure 2009203466
Figure 2009203466
表4〜7より、比較例2、実施例9、実施例17、実施例18の順に3配位の酸素位置(O1/N1)における窒素の占有数が大きくなっていることが分かる。つまり、窒化珪素を原料に加えて焼成することにより酸素が窒素に置換されること、添加する窒化珪素量が過剰であるほど酸素が窒素で置換される割合が増えていることが明らかになった。このように酸素から窒素への置換が進むことによって全ての格子定数および格子体積が変化することが図15A〜図15Eより分かる。特に、窒素置換の割合が大きくなるにつれて、a軸長は長くなり(図15A)、b軸長は短くなり(図15B)、βの角度は広がり(図15D)、単位胞体積は縮小する(図15E)という傾向が明らかである。
本発明は蛍光体を用いる産業上の任意の分野で使用可能であり、特に、照明、画像表示装置等の光を使用する用途に用いて特に好適である。
1:第2の発光体
2:面発光型GaN系LD
3:基板
4:発光装置
5:マウントリード
6:インナーリード
7:第1の発光体
8:蛍光体含有樹脂部
9:導電性ワイヤー
10:モールド部材
11:面発光照明装置
12:保持ケース
13:発光装置
14:拡散板
22:第1の発光体
23:第2の発光体
24:フレーム
25:導電性ワイヤ
26,27:電極

Claims (11)

  1. 下記式[1]で表わされる
    ことを特徴とする蛍光体。
    3−x 10−y−z1+y 20−u [1]
    (式[1]において、Mは2価の元素、Eは付活元素、Aは3価の元素、Lは4価の元素、Eは共付活元素をそれぞれ表し、x、y、z、及びuは、それぞれ、
    0<x≦3、
    0<y≦2、
    0<u≦2、
    0≦z、
    0<y+z≦2、及び
    0<u+z≦2を満たす数を表す。)
  2. MがMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、
    がPb、Bi、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、
    AがB、Al及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、
    LがSi及びGeからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み、
    がCr、Mn及びFeからなる群より選ばれる少なくとも1種類の元素を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の蛍光体。
  3. Mの50モル%以上がSrであり、
    の50モル%以上がEuであり、
    Aの50モル%以上がAlであり、
    Lの50モル%以上がSiである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光体。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の蛍光体と、液状媒体とを含有する
    ことを特徴とする蛍光体含有組成物。
  5. 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
    該第2の発光体が、請求項1〜3の何れか一項に記載の蛍光体を少なくとも1種類、第1の蛍光体として含有する
    ことを特徴とする発光装置。
  6. 該第2の発光体が、該第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる少なくとも1種類の蛍光体を、第2の蛍光体として含有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
  7. 該第1の発光体が、300nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
    該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、500nm以上700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体を含有する
    ことを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
  8. 該第1の発光体が、360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
    該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有する
    ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の発光装置。
  9. 該第1の発光体が、360nm以上410nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
    該第2の発光体が、該第2の蛍光体として、410nm以上460nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、500nm以上570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体と、570nmより大きく700nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種類の蛍光体とを含有する
    ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の発光装置。
  10. 請求項5〜9の何れか一項に記載の発光装置を備える
    ことを特徴とする画像表示装置。
  11. 請求項5〜9の何れか一項に記載の発光装置を備える
    ことを特徴とする照明装置。
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