JP2009126841A - 抗菌剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、且つ優れた抗菌作用を示す抗菌剤組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)エタノール 5〜50質量%
(B)カテキン類 0.00625〜0.2質量%
を含有する抗菌剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、化粧品、洗浄剤等に有用な抗菌剤組成物に関する。
抗菌性物質は、微生物による製品の汚染や変質の防止又は感染症の予防等のため、化粧品、医薬品、食品、日用品等の製品に広く配合されており、品質管理や公衆衛生の面から非常に有用である。この抗菌性物質を使用する場合には、抗菌作用を発現又は維持させるため、一定濃度以上製品に含有させる又は微生物に接触させる必要がある。
抗菌性物質としては、手、指や器具等の殺菌に広く用いられ、比較的安全性の高い消毒用エタノール(76.9〜81.4%エタノール溶液:日本薬局方)が知られている。
一方、茶葉から抽出することのできるポリフェノールの一種であり、黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオ等の食中毒細菌、薬剤耐性細菌や植物病原菌に有効であるカテキン類が知られている(特許文献1〜5、非特許文献1)。
そして、エタノールとカテキン類を併用した抗菌剤として、例えば80容量%エタノール溶液にカテキン類0.01〜0.1質量%を配合した消毒剤(特許文献6)、エタノール10質量%と緑茶カテキン0.5質量%を含有する抗菌剤(特許文献7)が知られている。
特開平2−276562号公報 特開平2−117608号公報 特開平3−246227号公報 特開平8−38133号公報 特開2000−328443号公報 特開平9−110615号公報 特開平11−302121号公報 FFI Reports、Technical Reports「カテキン」 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、ホームページ(http://www.saneigenffi.co.jp/foods/index.html)、平成18年9月12日
しかしながら、高い抗菌性を得るためにエタノールの濃度を高くすると、エタノール過敏症や不快なエタノール臭の原因となる。一方、カテキン類は他の抗菌性物質に比べると抗菌性が弱いため高濃度にする必要があるが高濃度にすると、経済性に欠け、また渋味が生じやすい。
従って、本発明の目的は、安全性が高く、且つ優れた抗菌作用を示す抗菌剤組成物を提供することである。
本発明者らは、安全性と抗菌作用の両立を図るべく種々検討した結果、驚くべきことにエタノール及びカテキン類をそれぞれ低濃度にして併用した場合、それらを単独で使用した場合に比べて相乗的に抗菌作用が増強し、それぞれ単独では有効でなかった低濃度でも抗菌作用を有し、それらの使用量をより低減することができることから、安全性や経済性の面でも有用な抗菌剤組成物が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)エタノール 5〜50質量%
(B)カテキン類 0.00625〜0.2質量%
を含有する抗菌組成物を提供するものである。
また、本発明は、化粧品組成物、医薬部外品組成物、医薬品組成物、及びハウスホールド用品組成物から選ばれる組成物に、(A)エタノール 5〜50質量%、及び(B)カテキン類 0.00625〜0.2質量%を配合することを特徴とする、前記組成物に抗菌性を付与する方法を提供するものである。
本発明によれば、エタノール及びカテキン類がそれぞれ低濃度であってもこれらの相乗効果により抗菌活性の高い抗菌剤組成物を提供することができる。また、抗菌作用が高いことからエタノールやカテキン類の使用量を低減することができ、安全性及び経済性の面でも有利である。
本発明に用いられる成分(A)のエタノールは、公知の製造法で得たものでもよく市販で入手したものでもよい。例えば、市販品の消毒用エタノール(76.9〜81.4%エタノール溶液:日本薬局方)を水で所定量に希釈して用いてもよい。なお、エタノールを希釈する際、上記水の他、メタノール、プロパノール等エタノール以外のアルコール類等の有機溶剤又はこれらと水との混合溶液を用いてもよい。
本発明における成分(B)のカテキン類とは、カテキン、カテキンガレート、ガロカテキン及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類の総称であり、これらの一種以上を含有するのが好ましい。また、カテキン類は、非重合体であるのが好ましい。
本発明に使用するカテキン類は、一般的には茶葉から直接抽出すること、又はその茶抽出物を濃縮若しくは精製することにより得ることができるが、他の原料由来のもの、カラム精製品及び化学合成品でもあってもよい。
当該茶葉抽出は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、またはそれらの雑種から得られる茶葉より製茶された茶葉に、水や熱水、場合によってはこれらに抽出助剤を添加して抽出することにより行うことができる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
当該製茶された茶葉には、(1)煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶などの緑茶類;(2)総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶などの半発酵茶;(3)紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマンなどの発酵茶が含まれる。
抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又はこれら有機酸塩類が挙げられる
当該茶抽出物の濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤やカラムを用いて精製することにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。
例えば、当該茶抽出物(茶カテキンともいう。)は、特開昭59-219384号、特開平4-20589号、特開平5-260907号、特開平5-306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、(株)伊藤園「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、DSMニュートリショナル・プロダクツ「テアビゴ」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
当該茶抽出物中のカテキン類は、非重合体若しくは重合体で存在し、かつ液に溶解しているもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものとして存在する。
また、茶葉中のカテキン類の大部分はエピ体カテキン類として存在しており、このエピ体カテキン類を用いて熱や酸やアルカリ等の処理により立体異性体である非エピ体に変化させることができる。従って、非エピ体カテキン類を使用する場合には、緑茶類、半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶抽出液の濃縮物を水溶液にして、例えば40〜140℃、0.1分〜120時間加熱処理して得ることができる。また非エピカテキン類含有量の高い茶抽出液の濃縮物を使用してもよい。それらは単独又は併用してもよい。
後記実施例に示すとおり、エタノールとカテキン類を共に低濃度で併用した場合、これらの相乗効果によって、それぞれ単独では有効でなかった低濃度でも抗菌作用が認められる。従って、これらを配合してなる組成物は、抗菌剤組成物として有用である。また、これらを配合してなる組成物を化粧品、医薬部外品、医薬品、又はハウスホールド製品(以下、単に製品ということがある。)に配合又は使用することにより抗菌性を付与することができる。
本発明において、成分(A)と成分(B)を上記組成物又は製品に配合した場合、組成物又は製品中の、成分(A)のエタノールの含有量は、抗菌効果及び安全性の点から、5〜50質量%であり、低濃度でもカテキン類との相乗効果によって抗菌作用を発揮するため5〜8質量%が好ましい。
本発明において、成分(A)と成分(B)を上記組成物又は製品に配合した場合、組成物又は製品中の成分(B)のカテキン類の含有量は、抗菌効果及び安全性の点から、0.00625〜0.2質量%であり、低濃度でもエタノールとの相乗効果によって抗菌作用を発揮するため0.00625〜0.1質量%が好ましい。
このとき、成分(A)のエタノール:成分(B)カテキン類の配合質量比は、25:1〜6400:1が好ましく、25:1〜800:1がより好ましく、50:1〜128:1が更に好ましい。
本発明の抗菌剤組成物は、微生物である細菌及び真菌の何れでも有効であるが、好ましくは細菌に有効であり、これら菌の状態が芽細胞及び/又は栄養細胞であっても有効である。
本発明の組成物が有効な細菌としては、グラム陽性菌又はグラム陰性菌に限定されない。
例えば、グラム陰性菌としては、S. dysenteria(赤痢菌A亜群),S. flexneri(赤痢菌B亜群),S. boydii(赤痢菌C亜群),S. sonnei(赤痢菌D亜群)等の赤痢属(Shigella)細菌:ブルセラ属(Brucella)細菌:E. coli.O157等の大腸菌群(Escherichia coli):S. typhi(チフス菌),S. paratyphi A(パラチフスA菌),S. paratyphi B(パラチフスB菌),S. Typhimurium (ネズミチフス菌)S. Enteritidis(ゲルトネル菌)等のサルモネラ属(Salmonella)細菌:V. cholerae(コレラ菌),V. parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)等のビブリオ属(Vibrio)細菌:緑膿菌(P. aeruginosa)等のシュードモナス属(Pseudomonas)細菌等が挙げられる。
また、例えば、グラム陽性菌としては、枯草菌(B. subtilis)、炭疽菌(B. anthracis)、セレウス菌(B. cereus)等のバシラス属(Bacillus)細菌:リステリア・モノサイトゲネス菌(L. monocytogenes)リステリア・イバノヴィ菌(L. ivanovii)、リステリア・シーリゲリー菌(L. seeligeri)等のリステリア属(Listeria)細菌:Al. acidoterrestris(旧B. acidoterrestris)等のアリシクロバチルス属(Alicyclobacillus)細菌:S. aureus(黄色ブドウ球菌),S. pyogenes等のブドウ球菌属(Staphylococcus)細菌:C. botulinum(ボツリヌス菌),C. perfringens(ウェルシュ菌),C. difficile, C. sporogens等のクロストリジウム属(Clostridium)細菌:Leuconostoc mesenteroides等のリューコノストック属(Leuconostoc)細菌:Desulfotomaculum nigrificans等のデスルフォマクルム属(Desulfotomaculum)細菌:Enterococcus faecalis等のエンテロコッカス属(Enterococcus)細菌等が挙げられる。
エタノールとカテキン類を併用した場合に、より有効な細菌としては、グラム陽性菌、陰性菌ともに効果であるが、特に大腸菌及び黄色ブドウ球菌が挙げられる。
本発明の抗菌剤組成物には、その形態及び用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲内で上記必須成分以外の成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、安定剤、無機塩、pH調整剤、植物エキス等を適宜配合することができる。
pH調整剤としては、酢酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸等の有機酸塩、リン酸、塩酸、硫酸等の無機塩、水酸化ナトリウム等の水酸化物、アンモニア又はアンモニア水、エタノールアミン類、低級アルカノールアミン類、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよく、さらに他のpH調整剤と適宜組み合わせてもよい。
このときの組成物又は製品のpHは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、具体的には組成物又は製品を水溶液(20℃)とした時のpHを6〜9とするのが好ましく、6.5〜8とするのがより好ましい。
本発明の組成物は、成分(A)と成分(B)を一つの製剤とするものでもよく、また別々の製剤とし使用時に混合するものでもよい。
本発明の組成物は、常法に従って、例えば水、メタノール等公知の溶剤を適宜用いて製造できる。また、その形態は、特に制限されず、溶液、固形物、乳化物、可溶化物、分散物、ジェル等の形態で使用することができる。
斯くして製造された本発明の組成物は、化粧品、医薬部外品、医薬品、又はハウスホールド製品の何れにも配合又は使用することができ、例えば、口紅、乳液、保湿パック、美容液、化粧水等の化粧品:液剤、ゲル剤、クリーム剤、パップ剤、エアゾール剤、ローション剤等の皮膚外用剤:洗顔料、メイク落とし、ボディシャンプー、ハンドソープ等の皮膚洗浄剤、シェービングフォーム、シャンプー等の毛髪洗浄剤、デオドラント剤等のトイレタリー用品:歯磨剤、洗口剤、口中清涼剤、義歯用品等のオーラルケア用品:台所用洗剤、衣類洗浄剤や柔軟剤、トイレ洗浄剤等の洗浄剤:殺虫剤、防虫剤、除湿剤、除菌剤、抗菌剤、消臭剤、芳香剤等の家庭用化学製品に配合することができる。また、紙製品、生理用品、紙おむつ、医療品等の衛生用品等には、例えば紙おむつ等に本発明の組成物を吹き付けることやシート状の紙・不職布製品に本発明の組成物を含む抗菌剤等を含浸することで使用できる。また、コンタクトレンズ洗浄・保存剤等に配合できる。
ここで、ハウスホールド製品とは、衣料・台所・住居用洗剤、柔軟仕上剤、掃除用紙製品、トイレタリー用品及びペット用品等広く一般家庭において使用される製品をいう
また、上記化粧品等の他、保存剤、防腐剤、抗菌剤や抗菌剤等として飲食品に使用することができる。
(1)試験菌:
試験菌として、大腸菌:Escherichia coli O157:H7株、黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus IFO3060株を用いた。
(2)試験用溶液調製
a)50%LB培地:組成:0.5%トリプトン、0.25%酵母エキス、pH6.5に調製後、オートクレーブ滅菌し、50%LB液体培地を作製した。
b)カテキン類溶液:カテキン類(「POLYPHENON 70A」カテキン製剤、三井農林(株)製)を1.0%(W/V)となるように純水に溶解し、更に10000, 5000, 2500, 1250, 625, 312.5, 156, 78,0ppmになるように各溶液を調製後、濾過滅菌(孔径0.2μm、関東化学社製)した。
c)エタノール溶液:エタノールを純水に溶解し、1, 5, 10, 50, 80質量%の濃度になるように調製後、濾過滅菌(孔径0.2μm、関東化学社製)した。
(3)接触試験
上記の50%LB培地(8mL)、カテキン類溶液(1mL)及びエタノール溶液(1mL)を混合した試料用溶液(10mL)に、105〜106CFU/mLに調製した菌液100μLを添加(終菌数103〜105CFU/mL)し、表1〜2に示すエタノール及びカテキン類の最終濃度並びにpHに調製した。この菌を接種した試料用溶液を、37℃で48時間静置(時々ボルテックス)した。静置後の生菌数を平板塗抹法により求めた。TSA培地上のコロニー数から生菌濃度を算出した。
TSA(Tryptic Soy Agar)寒天培地(Becton Dickinson 社):1.7%カゼイン分解物、0.3%大豆酵素分解物、0.25%デキストロース、0.5%塩化ナトリウム、1.5%寒天、pH7。
(4)結果
下記の表1〜2に示すように、大腸菌及び黄色ブドウ球菌共に、エタノール、カテキン類単独で抗菌作用が認められなかった低濃度でも、エタノール及びカテキン類を併用すると抗菌効果が相乗的に高まった。
試験例1:エタノール及びカテキン類(大腸菌)
Figure 2009126841
試験例2:エタノール及びカテキン類(黄色ブドウ球菌)
Figure 2009126841

Claims (6)

  1. 次の成分(A)及び(B):
    (A)エタノール 5〜50質量%
    (B)カテキン類 0.00625〜0.2質量%
    を含有する抗菌剤組成物。
  2. 成分(A)エタノールの濃度が5〜8質量%である請求項1に記載の抗菌剤組成物。
  3. 成分(A)エタノール及び成分(B)カテキン類の配合比が25:1〜6400:1である請求項1又は2に記載の抗菌剤組成物。
  4. 化粧品組成物、医薬部外品組成物、医薬品組成物、及びハウスホールド用品組成物から選ばれる組成物に、(A)エタノール 5〜50質量%、及び(B)カテキン類 0.00625〜0.2質量%を配合することを特徴とする、抗菌性を付与する方法。
  5. 成分(A)エタノールの濃度が5〜8質量%である請求項4に記載の抗菌性を付与する方法。
  6. 成分(A)エタノール及び成分(B)カテキン類の配合比が25:1〜6400:1である請求項4又は5に記載の抗菌性を付与する方法。
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