JP2009126730A - セメント硬化体のひび割れ抑制材、セメント硬化体、及びセメント硬化体の製造方法 - Google Patents

セメント硬化体のひび割れ抑制材、セメント硬化体、及びセメント硬化体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート等のひび割れ抑制を低廉なコストで図れる技術を提供することである。
【解決手段】セメント硬化体のひび割れ抑制材であって、前記ひび割れ抑制材は、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさったネット状体であり、(前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30である。
【選択図】図1

Description

本発明はセメント硬化体に関する。
例えば、セメントや高炉スラグ等の水硬性物質を結合材としたモルタル、コンクリート、セメントペースト等のセメント組成物の硬化体(以下、セメント硬化体)は、セメント等の結合材が硬化する過程で発生する水和熱や自己収縮・乾燥収縮などの影響によって、ひび割れが発生していることは周知の通りである。
このひび割れを抑制(防止)する為、繊維で出来たネットをセメント硬化体中に埋設しておくことが提案されている。例えば、合成樹脂製繊維からなる網状物を補強材として含有する繊維補強セメント系複合板において、上記網状物が合成樹脂製モノフィラメント繊維をからみ織りしてなるものであり、該網状物を複数層積層した状態で含有することを特徴とする繊維補強セメント系複合板が提案(特開昭63−107854号公報)提案されている。又、合成樹脂で被覆されたフィラメント糸の複数本を、数軸方向での交錯状態に組織化して成るネット状シートに、耐アルカリ性繊維のパイルを植え付けたことを特徴とするセメントモルタルの厚付け可能な繊維構造体が提案(特開平10−18543号公報)提案されている。又、経糸、緯糸を織物組織に製織してなり、前記経糸、緯糸は、それぞれ所定ピッチごとに配列する耐アルカリ性の合成繊維糸間に炭素繊維糸を配設し、前記合成繊維糸、炭素繊維糸を介して網目を形成することを特徴とする補強用の繊維構造体が提案(特開2003−96643号公報)提案されている。又、板状又は筒状の形状を有すコンクリートの少なくとも一方の長手端部から短手長さの1/1000〜1/3の位置に、合計面積が該コンクリートの長手方向の断面の断面積に対して0.2〜3.0倍の面積のメッシュを内在せしめたコンクリートが提案(特開2005−313483号公報)提案されている。
特開昭63−107854号公報 特開平10−18543号公報 特開2003−96643号公報 特開2005−313483号公報
さて、ネットを埋設したコンクリートとネットを埋設していないコンクリートとを比べると、ネットを埋設したコンクリートのひび割れが抑制されていることは明らかであった。
しかしながら、ひび割れが少なくなっていることは明らかであるものの、ひび割れが皆無と言う訳では無かった。
そこで、ひび割れを一層少なくしようとしてネットにおける糸量を多くしてみた。すなわち、糸量を多くしてネットの強度増加を図ったならば、コンクリートのひび割れが少なくなるであろうと予想し、実施したのである。これは、それなりに効果が認められた。
しかしながら、糸量の増加とコンクリートのひび割れ抑制効果とは、単純に、比例関係と言うものでは無いことが次第に判って来た。
又、糸量を増やすことは、それだけコストアップを引き起こすことにもなる。
従って、本発明が解決しようとする課題は、コンクリート等のひび割れ抑制を低廉なコストで図れる技術を提供することである。
前記の課題は、セメント硬化体のひび割れ抑制材であって、
前記ひび割れ抑制材は、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさったネット状体であり、
(前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30である
ことを特徴とするセメント硬化体のひび割れ抑制材によって解決される。
好ましくは、上記のセメント硬化体のひび割れ抑制材であって、(ネット状体における開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ネット状体の全面積)が0.2〜0.9であることを特徴とするセメント硬化体のひび割れ抑制材によって解決される。
又、好ましくは、上記のセメント硬化体のひび割れ抑制材であって、ネット状体における大きさが縦10mm以上で横10mm以上の開口部の大きさ(矩形換算面積)が100mm2〜10000mm2であることを特徴とするセメント硬化体のひび割れ抑制材によって解決される。
又、好ましくは、上記のセメント硬化体のひび割れ抑制材であって、第1の糸と第2の糸との交点が10cm四方当たり四つ以上有るネット状体であることを特徴とするセメント硬化体のひび割れ抑制材によって解決される。
又、前記の課題は、セメント硬化体に上記のセメント硬化体のひび割れ抑制材が一体的に設けられてなることを特徴とするセメント硬化体によって解決される。
又、前記の課題は、セメント硬化体の製造方法において、上記のセメント硬化体のひび割れ抑制材がセメント硬化体に対して一体的なものとなるよう該セメント硬化体のひび割れ抑制材を配することを特徴とするセメント硬化体の製造方法によって解決される。
(第1の糸の引張剛性)/(第2の糸(該第1の糸より長さが短い第2の糸)の引張剛性)=1.5〜30であるよう第1の糸と第2の糸とをネット状に組み合わせたネット状体を用いるようにしたので、少ない糸量でコンクリートのひび割れ抑制を効果的に図ることが出来た。
本発明になるひび割れ抑制材は、セメントや高炉スラグ等の水硬性物質を結合材としたモルタル、コンクリート、セメントペースト等のセメント組成物の硬化体のひび割れ抑制材である。このひび割れ抑制材は、ネット状体(ネット状物)である。ネット状体(ネット状物)は、少なくとも二つの方向に存する糸(本発明では、単に、糸と称しているが、これは、繊維そのものであったり、複数本の繊維が撚られたものであったり、或いは複数本の繊維が撚られたものが更に撚られたものであったり、或いは紐や幅狭なシート状のものであったりする。)が交差した網状のものである。そして、この交差点(交点)によって囲まれる形状(開口部形状:窓部の形状)は、例えば正方形、菱形、或いは長方形である。勿論、前記の如きの四角形のみならず、その他の多角形であっても良いが、四角形以外の形状のものとなるネットを作製しようとすると、コストが高くなることから、好ましくは開口部形状が四角形(正方形または長方形。特に、長方形)のネット状体(ネット状物)である。そして、本発明にあっては、ネット状体(ネット状物)における二つの方向に存する糸の第1の方向に存する糸(第1の糸)と第2の方向に存する糸(第2の糸:第1の糸より長さが短い第2の糸)とが、次の関係を持つことが最大の特徴である。尚、二つの方向とは、例えば縦方向と横方向とである。そして、ネットを作製しようとした場合、一般的には、長手方向の糸が縦糸であり、短手方向の糸が横糸である。(第1の糸(例えば、縦方向の糸:縦糸)の引張剛性)/(第2の糸(例えば、横方向の糸:横糸)の引張剛性)=1.5〜30。好ましくは、該値が1.8以上である。より好ましくは、該値が5以上である。又、好ましくは、該値が25以下である。より好ましくは、該値が20以下である。すなわち、(第1の糸の引張剛性)/(第2の糸の引張剛性)が上記値となるように構成させたネット状体(ネット状物)を用いることによって、セメント硬化体のひび割れ抑制が効果的に図れ、しかも糸量も少なくて済み、低廉なコストでひび割れ抑制が達成できたのである。ここで、糸の引張剛性は(糸の弾性係数)×(糸の断面積)で求められる。尚、例えば数本の繊維が撚られて糸が出来ている場合、断面を取った場合、該断面には繊維間に隙間が有ることから、本来ならば、断面積には斯かる隙間を除外しなければならないが、(縦糸の引張剛性)/(横糸の引張剛性)にあっては、糸の断面積において前記隙間を無視しても殆ど差し支えが無く、従って糸の断面積は断面における外形によって決まる面積で求めた値である。そして、ネット状体(ネット状物)における(第1の糸の引張剛性)/(第2の糸の引張剛性)が上記値となるように構成させる為には、引張剛性比が上記値となるような糸を各々選定することでも達成できるが、同等な糸を用いる場合にあっては、糸の幅や糸の本数を考慮することによっても達成できる。例えば、実質上同じ糸を用いる場合には、第1の糸を複数本用いることでも達成できる。すなわち、第2の糸1本に対して第1の糸をN(Nは2以上の整数)本の割合で用いてネット状に編んだものでも達成できる。このようにすれば、ひび割れ抑制材の製造に際しての材料調達・保管が非常に容易となる。従って、それだけ低廉なコストで作製できる。
又、上記ひび割れ抑制材において、好ましくは、(ネット状体における開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ネット状体の全面積)が0.2〜0.9である。更に好ましくは該値が0.4以上のものである。又、該値が0.8以下のものである。又、縦10mm以上で横10mm以上の開口部の大きさ(矩形換算面積)が、好ましくは100mm2〜10000mm2である。特に、長方形状に換算した場合、その長辺が、好ましくは10mm以上である。そして、400mm以下である。更に好ましくは15mm以上である。そして、300mm以下である。特に好ましくは20mm以上である。そして、200mm以下である。また、上記ひび割れ抑制材において、好ましくは、第1の糸と第2の糸との交点が10cm四方当たり四つ以上有るネット状体である。更に好ましくは、20以上である。そして、500以下である。特に好ましくは、40以上である。そして、300以下である。これは、開口部が上記のような大きさの場合に、コンクリートの充填に悪影響を及ぼし難いからによる。又、上記ひび割れ抑制材において、好ましくは、糸の幅が0.1〜30mm程度のものである。更に好ましくは1mm以上である。そして、10mm以下である。すなわち、幅が小さ過ぎる糸では強度がそれだけ乏しくなることから、逆に、幅が大き過ぎる糸では、これによってひび割れ抑制材の両側に位置するセメント硬化体の一体性がそれだけ乏しくなることから、上記寸法の幅の糸が好ましいものであった。尚、交点において、長さが短い第2の糸(横糸)を波打たせるようにして、長さが長い第1の糸(縦糸)の上下に位置させることから、又、第1の糸(縦糸)の中を通すようにすることから、第1の糸(縦糸)の厚みを第2の糸(横糸)の厚みより厚くしている方が好ましい。又、第1の糸(縦糸)の幅を第2の糸(横糸)の幅より広くしている方が好ましい。
ひび割れ抑制材(ネット状体:ネット状物)を構成する糸には、アラミド繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維を選択できる。すなわち、弾性係数が高い繊維が好ましい。但し、セメントとの親和性やコストを鑑みると、ガラス繊維製の糸が好ましい。中でも、耐アルカリ性のガラス繊維が好ましい。例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)を14質量%以上含有するガラス繊維が挙げられる。
本発明になるセメント硬化体は、セメントや高炉スラグ等の水硬性物質を結合材としたモルタル、コンクリート、セメントペースト等のセメント組成物の硬化体である。そして、上記のひび割れ抑制材が一体的に設けられたものである。ここで、一体的に設けられたとは、例えば未硬化のセメント組成物の混練物中にひび割れ抑制材を埋設して一体化した形態、ひび割れ抑制材を配置した型枠内に未硬化のセメント組成物の混練物を打ち込んで一体化した形態、ひび割れ抑制材を接着剤によりセメント硬化体表面に貼り付けた形態など種々の形態が考えられる。勿論、前記形態に限られるものでは無い。但し、硬化体中にひび割れ抑制材が埋設された形態のものが最も好ましい。
本発明になるセメント硬化体の製造方法は、上記セメント硬化体の製造方法である。すなわち、上記のひび割れ抑制材がセメント硬化体に対して一体的なものとなるよう該セメント硬化体のひび割れ抑制材を配するものである。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
図1は本発明になるセメント硬化体のひび割れ抑制材の一部の概略平面図である。
本ひび割れ抑制材は、縦方向(ロール状に巻かれた場合、その巻回方法)が数十m、例えば50mの長さのものであって、ロール状に巻かれたものである。そして、巻き解きしながらひび割れ抑制材を所定箇所に配置して行くことが出来るようになっている。そして、横方向は、例えば数cm〜数十cmである。現実的には1mを越える程の幅広いものでは無い。例えば、約15〜20cm程度である。そして、これより幅が広いセメント硬化体に対しては複数条にひび割れ抑制材を設けるようにする。
図1から判る通り、縦方向(図1中、上下方向)には、3本の固まった(3本が一組に纏まった)ガラス繊維(耐アルカリ性のガラス繊維)製の糸(糸幅:約3mm、糸厚:約0.7mm)が約17〜19mmの間隔(図1中、左右方向において約17〜19mmの間隔)を開けて設けられている。尚、固まって設けられている3本の糸は、互いに、接していても良い。従って、糸幅が約3mmの糸を3本用いる代わりに、糸幅が9mmの糸を用いても良い。但し、本実施形態では、図1から判る通り、糸幅が約3mmの糸を3本用いたことから、3本の糸が固まっているとは言うものの、現実的には、縦糸間に、僅かな隙間、例えば1mm程度の隙間が設けられている。そして、このような僅かと雖も隙間の有る方が、該隙間を介してひび割れ抑制材の両側のセメント組成物同士が一体化するので、ひび割れ抑制の観点から好ましいものであった。
さて、図1中、左側から1,2,3番目の糸が固まって縦方向に設けられ、4番目の糸が3番目の糸とは約17〜19mmの間隔を開けて縦方向に設けられ、そして4,5,6番目の糸が、また、同様に固まって縦方向に設けられ、又、7番目の糸が6番目の糸とは約17〜19mmの間隔を開けて縦方向に設けられ、そして7,8,9番目の糸が、また、同様に固まって縦方向に設けられ、又、10番目の糸が9番目の糸とは約17〜19mmの間隔を開けて縦方向に設けられ、そして10,11,12番目の糸が、また、同様に固まって縦方向に設けられ、又、13番目の糸が12番目の糸とは約17〜19mmの間隔を開けて縦方向に設けられ、そして13,14,15番目の糸が、また、同様に固まって縦方向に設けられたものである。
横方向(図1中、左右方向)には、ガラス繊維(耐アルカリ性のガラス繊維)製の糸(糸幅:約2.3mm、糸厚:約0.5mm、糸長:約155mm)1本が約30〜32mmの間隔(図1中、上下方向において約30〜32mmの間隔)を開けて設けられている。尚、この横方向の糸は、上記縦方向の糸(3本の糸)に対して、順に、裏・表となるように配されている。すなわち、左から1,2,3番目の縦糸の上(表面上)に横糸が配されているとすると、左から4,5,6番目の縦糸の下(裏面下)に横糸が配され、そして左から7,8,9番目の縦糸の上(表面上)に横糸が配され、次の10,11,12番目の縦糸の下(裏面下)に横糸が配され、そして次の13,14,15番目の縦糸の上(表面上)に横糸が配されると言った形態である。又、上記の横糸に隣接する横糸は、左から1,2,3番目の縦糸の下(裏面下)に横糸が配されているとすると、左から4,5,6番目の縦糸の上(表面上)に横糸が配され、そして左から7,8,9番目の縦糸の下(裏面下)に横糸が配され、次の10,11,12番目の縦糸の上(表面上)に横糸が配され、そして次の13,14,15番目の縦糸の下(裏面下)に横糸が配さると言った形態である。勿論、この上下関係は、3本の糸が一塊では無く、1本1本が順に交互と言った形態でも差し支え無い。又、縦糸や横糸は複数の繊維で出来ており、従って縦糸と横糸との交点においては、縦糸の間を横糸が抜けるようになっている。すなわち、縦糸の繊維間を横糸が抜けるように縦糸と横糸とは編まれている。そして、縦糸と横糸との交点には樹脂が含浸させられていて、縦糸と横糸とは交点でズレが起きないように互いに接着されている。
上記の如くに縦糸と横糸とが編まれていることから、縦糸と横糸との4個の交点で形成される開口部(窓部)は、その形状が、略長方形(長手方向寸法:30〜32mm、短手方向寸法:約17〜19mm)である。
そして、上記のように構成させたネット状のひび割れ抑制材を型枠内に配置し、コンクリート組成物を打設し、ひび割れ抑制材が内部に埋設されたセメント硬化体を得た。
又、上記ひび割れ抑制材(No.1)における縦糸または横糸の一部を除去し、或いは上記ひび割れ抑制材2枚を樹脂で貼り合わせて、下記の表−1になるひび割れ抑制材(No.2〜No.6)を作製した。
表−1
Figure 2009126730
*No.1のひび割れ抑制材は図1に示されたものである。但し、No.1のひび割れ抑制材は図1よりも縦方向に更に伸びており、図1はNo.1のひび割れ抑制材の一部を示している概略平面図である。
*No.1〜No.4は、本発明のひび割れ抑制材である。
*No.5,6は、本発明外のひび割れ抑制材である。
*引張剛性比は、(縦糸の引張剛性)/(横糸の引張剛性)である。即ち、10cm四方当たりの(縦糸の断面積)/(横糸の断面積)である。
*10mm四方以上の開口部の割合は、(ひび割れ抑制材における開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ひび割れ抑制材の全面積)である。
No.1〜No.6のひび割れ抑制材をコンクリートに埋設したセメント硬化体の供試体(No.1〜No.7)及びひび割れ抑制材をコンクリートに埋設しないセメント硬化体の供試体(No.8)を作製し、JIS A 1151:2002「拘束されたコンクリートの乾燥収縮ひび割れ試験方法」に準じて試験を行い、乾燥開始後56日におけるセメント硬化体の短手方向に沿って生じた該セメント硬化体を貫通するひび割れ発生の有無および供試体の成形状況を肉眼観察によって確認した。その結果を表−2に示す。供試体No.1〜No.6は、上記No.1〜No.6のひび割れ抑制材を型枠内の直径13mmの棒鋼に針金で取り付けた後にコンクリートを打設して、ひび割れ抑制材が内部に埋設されたセメント硬化体を得た。又、供試体No.7は、コンクリートを打ち込んだ直後に上記No.4のひび割れ抑制材を該コンクリートに埋設することで、ひび割れ抑制材が内部に埋設されたセメント硬化体を得た。
表−2
Figure 2009126730
これによれば、縦糸と横糸の引張剛性比を上記本発明の如くにしていた場合、ひび割れが一段と改善されていることが判る。すなわち、引張剛性比が1.5未満の値の場合と、引張剛性比が1.5以上の場合とで、ひび割れ特性が大きく変化しており、縦糸と横糸の引張剛性比を上記本発明の如くにしていた場合、セメント硬化体のひび割れが一段と改善されていることが判る。
又、開口部寸法、開口部面積比、交点数を上記で述べた通りのものとしたひび割れ抑制材は、セメント硬化体のひび割れ発生を抑制していることが判る。特に、(ひび割れ抑制材における開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ひび割れ抑制材の全面積)を0.2〜0.8とした本発明のひび割れ抑制材(No.1〜No.3)は、コンクリート打ち込み前に型枠内に設置してもコンクリートが充填不良とならずに優れていたが、該値がこの範囲内では無いNo.4のひび割れ抑制材は、コンクリート打ち込み前に型枠内に設置してもコンクリートが充填不良となってしまった。
本発明になるセメント硬化体のひび割れ抑制材の概略平面図 代 理 人 宇 高 克 己

Claims (6)

  1. セメント硬化体のひび割れ抑制材であって、
    前記ひび割れ抑制材は、第1の糸と該第1の糸より長さが短い第2の糸とがネット状に組み合わさったネット状体であり、
    (前記第1の糸の引張剛性)/(前記第2の糸の引張剛性)が1.5〜30である
    ことを特徴とするセメント硬化体のひび割れ抑制材。
  2. (ネット状体における開口部の中の縦10mm以上で横10mm以上の大きさの開口部の全面積)/(ネット状体の全面積)が0.2〜0.9である
    ことを特徴とする請求項1のセメント硬化体のひび割れ抑制材。
  3. ネット状体における大きさが縦10mm以上で横10mm以上の開口部の大きさ(矩形換算面積)が100mm2〜10000mm2である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のセメント硬化体のひび割れ抑制材。
  4. 第1の糸と第2の糸との交点が10cm四方当たり四つ以上有るネット状体である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかのセメント硬化体のひび割れ抑制材。
  5. セメント硬化体に、請求項1〜請求項4いずれかのセメント硬化体のひび割れ抑制材が一体的に設けられてなる
    ことを特徴とするセメント硬化体。
  6. セメント硬化体の製造方法において、
    請求項1〜請求項4いずれかのセメント硬化体のひび割れ抑制材がセメント硬化体に対して一体的なものとなるよう該セメント硬化体のひび割れ抑制材を配する
    ことを特徴とするセメント硬化体の製造方法。
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