JP2009126046A - 加飾体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度と意匠性と耐久性とに優れ、かつ安価に製造されなる加飾体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】液圧転写法によって意匠層が基体に転写されてなる加飾体において、ポリアミド樹脂を主成分としテルペンフェノール系樹脂を含む材料で基体を形成し、基体の表面に凹凸状をなすシボ層を形成し、意匠層をシボ層の上層に形成する。ポリアミド樹脂を主成分とする材料で基体を形成したことで、基体の強度が向上し、強度に優れた加飾体が得られる。基体の材料ににテルペンフェノール系樹脂を配合したことで、意匠層が基体に確実に転写され、意匠性に優れた加飾体が得られる。基体にシボ層を設けたことで、意匠層が基体から剥離し難くなり、耐久性に優れた加飾体が得られる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ポリアミド樹脂を主成分とする材料からなる基体と、この基体の表面に形成されている意匠層と、をもち、液圧転写法を用いて製造された加飾体およびその製造方法に関する。
基体の表面に意匠層を形成して加飾体を製造する方法として、液圧転写法が知られている。液圧転写法は、転写材に予め形成されている意匠層を、液体の圧力によって基体の表面に転写する方法である。液圧転写法に用いられる液体としては、水が一般的である。
液圧転写法を用いて製造する加飾体(以下、単に加飾体と略する)の基体としては、最近では主にアクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(ABS)樹脂製のアウタとポリアミド(PA)樹脂製のインナとからなる多層構造ものが用いられている。すなわちPA樹脂製の基体は、ABS樹脂製の基体に比べて転写性(意匠層の転写され易さ)に劣る。転写性に劣る基体を用いた加飾体は、意匠性に劣る。したがって従来は、基体のなかで意匠層に接触する部分(アウタ)を、転写性に優れるABS樹脂で形成していた。また、ABS樹脂は強度に劣るため、アウタ以外の部分(インナ)を強度に優れるPA樹脂で形成していた。しかし、この種の基体は、異なる材料で形成したインナとアウタとを要するため、製造コストが高くなる問題があった。
また、PA樹脂製の基体は、ABS樹脂製の基体に比べて転写性に劣るだけでなく、付着耐久性(意匠層の剥離し難さ)にも劣る。付着耐久性に劣る基体を用いた加飾体は、耐久性に劣る。PA樹脂製の基体の上層にプライマー層を形成し、このプライマー層の上層に意匠層を転写すれば、基体の転写性や付着耐久性が、プライマー層によって改善される。よって、この場合には、強度と意匠性と耐久性とに優れる加飾体が得られると考えられる。しかしこの場合には、プライマー層を形成することで、加飾体の製造コストが高くなる問題がある。
ところで、基体を構成する樹脂材料にテルペンフェノール系樹脂を配合することで、基体と基体の上層に形成される塗膜との密着性を向上させる技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術を応用すれば、転写性に優れた基体を得ることができると考えられる。すなわち、テルペンフェノール系樹脂を含む樹脂材料で基体を形成し、この基体の上層に意匠層を転写すれば、意匠層が確実に転写されている加飾体が得られる可能性がある。しかし、この技術は塗膜の密着性を向上させる技術であり、液圧転写法により転写されてなる意匠層に対する基体の転写性や付着耐久性を、この技術のみで高めることはできなかった。
特許第3634229号公報
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、強度と意匠性と耐久性とに優れ、かつ安価に製造されなる加飾体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の加飾体は、基体と該基体の表面に形成されている意匠層とを持ち、転写材に予め形成されている該意匠層を液体の圧力によって該基体の表面に転写する液圧転写法を用いて製造された加飾体であって、該基体は、ポリアミド樹脂を主成分としテルペンフェノール系樹脂を含む材料からなり、凹凸状をなすシボ層を表面に持ち、該意匠層は、該シボ層の上層に転写されていることを特徴とする。
また、上記課題を解決する本発明の加飾体の製造方法は、基体と該基体の表面に形成されている意匠層とを持つ加飾体を製造する方法であって、該基体を形成する基体形成工程と、転写材に予め形成されている該意匠層を液体の圧力によって該基体の表面に転写する液圧転写工程とを持ち、該基体形成工程において、該基体の材料としてポリアミド樹脂を主成分としテルペンフェノール系樹脂を含むものを用い、凹凸状をなすシボ層を該基体の表面に形成し、該液圧転写工程において、該意匠層を該シボ層の上層に転写することを特徴とする。
本発明の加飾体は、下記の(1)〜(2)の何れかを備えることが好ましい。
(1)上記シボ層の厚さは、5μm〜10μmである。
(2)上記テルペンフェノール系樹脂の配合量は、100質量部の上記ポリアミド樹脂に対して5質量部〜15質量部である。
本発明の加飾体の製造方法は、下記の(3)を備えることが好ましい。
(3)上記液圧転写工程において、上記意匠層を上記基体の表面の一部に転写し、上記基体形成工程と上記液圧転写工程との間に、上記基体の表面のなかで上記意匠層が転写される部分の輪郭線よりも外周側の部分と、外周側の部分に連続する輪郭線の内周側の部分と、に補正塗装層を塗装する補正塗装工程を持つ。
本発明の加飾体における基体は、PA樹脂を主として含む材料からなる。このため、本発明の加飾体は強度に優れる。また、本発明の加飾体における基体は、転写性と付着耐久性とにも優れる。本発明の加飾体における基体が転写性に優れるのは、基体がテルペンフェノール系樹脂を含むことに起因すると考えられる。上述したように、PA樹脂とテルペンフェノール系樹脂とを含む材料からなる基体は、塗膜に対する密着性に優れる。これと同様に、PA樹脂とテルペンフェノール系樹脂とを含む材料からなる基体は、PA樹脂のみからなる基体に比べて、転写された意匠層に対する密着性にも優れる。このため、本発明の加飾体は意匠層が基体に確実に転写され、意匠性に優れると考えられる。
また、本発明の加飾体における基体が付着耐久性に優れるのは、基体がシボ層を持つことに起因すると考えられる。すなわち、基体に転写された意匠層の一部は、シボ層の間に入り込む。シボ層は凹凸状をなすため、意匠層と基体との接触面積が大きくなり、意匠層が基体に強固に固着される。このため本発明の加飾体は意匠層が基体から剥離し難く、耐久性に優れると考えられる。
さらに、これらの協働によって加飾体の耐久性はより一層向上する。シボ層の存在によって意匠層と基体との接触面積を大きくし、かつ、基体の材料としてテルペンフェノール系樹脂を用いて基体と意匠層との密着性を向上させることで、基体と意匠層とを大きな接触面積で強く密着させ得るためである。よって、本発明の加飾体は、強度と意匠性と耐久性とに優れ、かつ安価に製造されてなる。また、本発明の加飾体の製造方法によると、強度と意匠性と耐久性とに優れた加飾体を安価に製造できる。
本発明の加飾体が上記(1)を備える場合には、加飾体の耐久性がさらに向上する。シボ層の厚さが過大である場合(シボ層の凹凸形状が過大である場合)には、意匠層を通してシボ層の凹凸形状が視認されるため、意匠性を向上させるのが困難な場合がある。一方、シボ層の厚さが過小である場合(シボ層の凹凸形状が過小である場合)には、基体(シボ層)と意匠層との接触面積が小さくなる場合がある。したがって、シボ層の厚さには最適な範囲が存在する。シボ層の厚さが5μm〜10μmの範囲であれば、意匠性を向上させることができ、かつ、基体(シボ層)と意匠層との接触面積を大きくすることができるため、基体の付着耐久性がさらに向上し、加飾体の耐久性がさらに向上する。
本発明の加飾体が上記(2)を備える場合には、強度に優れかつ意匠性に優れた加飾体が得られる。
すなわち、テルペンフェノール系樹脂の配合量が過小であると、意匠層に対する基体の密着性が充分に発揮されない場合がある。一方、テルペンフェノール系樹脂の配合量が過大であると、PA樹脂に由来する加飾体の強度および熱的特性の低減や、意匠層の剥離が生じる場合がある。したがって、テルペンフェノール系樹脂の配合量には、好適な範囲が存在する。テルペンフェノール系樹脂の配合量が、PA樹脂を100質量部としたときに5質量部以上であれば、基体が意匠層と充分に密着する。したがって、優れた転写性が基体に付与される。また、テルペンフェノール系樹脂の配合量が、PA樹脂を100質量部としたときに15質量部以下であれば、基体の強度は充分に確保される。また、上述した強度と密着性との観点からみると、テルペンフェノール系樹脂は、PA樹脂を100質量部としたときに8質量部〜12質量部配合するのが特に好ましい。
本発明の加飾体の製造方法が上記(3)を備える場合には、意匠性に優れる加飾体を安価に製造できる利点がある。
本発明の加飾体における基体は、PA樹脂を主成分としかつテルペンフェノール系樹脂を含む材料からなる。したがって基体を構成する材料には、PA樹脂やテルペンフェノール系樹脂以外にも離型材や充填材等を配合できる。さらに、酸化、熱、紫外線等による劣化を防止するための安定剤や、エラストマー等の衝撃改良材、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤等を配合しても良い。勿論、基体はPA樹脂とテルペンフェノール系樹脂とのみからなっても良い。
PA樹脂としては、ナイロン6やナイロン66等を好ましく使用できる。また、ナイロン46、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリアミドや、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)等の半芳香族ポリアミド等を使用しても良い。
テルペンフェノール系樹脂としては、分子量300以上であり、全体の質量を100質量部としたときに水酸基を4質量部以上有するものを好ましく使用できる。テルペンとは松の油等を原料とする天然の炭化水素化合物の総称である。分子量300以上のテルペンフェノール系樹脂は、熱安定性に優れ、加工時における分解・飛散等が少ないため好ましく使用できる。このなかでジペンテン−フェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体を用いるのが特に好ましい。
液圧転写法に用いる液体としては、水や各種の油などに代表される種々の材料を用いることができるが、コスト面を考慮すると水を用いるのが好ましい。
本発明の加飾体における意匠層は、基体の表面の一部にのみ転写しても良いし、基体の表面全面に転写しても良い。シボ層もまた基体の表面の一部にのみ形成しても良いし、基体の表面全面に形成しても良い。また、意匠層はシボ層の上層にのみ転写しても良いが、シボ層の外周側にまではみ出しても良い。
シボ層は、型成形によって基体と同時に成形しても良いし、エッチング等の後加工によって基体に形成しても良い。
本発明の加飾体では、意匠層の上層に、さらにコート層を形成しても良い。意匠層の上層にコート層を形成すれば、意匠層がより一層基体から剥離し難くなり、加飾体の耐久性がより一層向上する。また、コート層を形成することで、シボ層に起因する基体表面の凹凸が緩和されて、加飾体の表面が滑らかになる利点もある。なお、本発明の加飾体では、シボ層の上層に意匠層を形成しているため、シボ層に起因する基体表面の凹凸は、意匠層によっても緩和される。
以下、本発明の加飾体およびその製造方法を、図面を基に説明する。
(実施例1)
実施例1の加飾体は、自動車用のカップホルダの蓋であり、上記(1)〜(2)を備える。実施例1の加飾体における基体を模式的に表す斜視図を図1に示す。実施例1の加飾体を厚さ方向に切断した様子を模式的に表す断面図を図2に示す。実施例1の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図を図3〜図5に示す。
実施例1の加飾体は、基体1と意匠層2とを持つ。基体1を構成する材料は、PA樹脂を主成分とし、かつ、テルペンフェノール系樹脂を含む。詳しくは、PA樹脂としては、ナイロン樹脂(東洋紡ナイロン T423TG)を用い、テルペンフェノール系樹脂としてはヤスハラケミカル(株)製YSポリスターS145を用いた。基体1の表面の一部には、シボ層10が形成されている。図1に示すように、シボ層10は、平均深さ7μm、平均ピッチ70μmの凹凸がランダムに配列した形状をなす。シボ層10の厚さw1は7μmであった。なお、シボ層10の厚さw1とは、シボ層10のなかで突起量が最も大きい部分と、凹み量が最も大きい部分との差を指す(図2)。
意匠層2は、シボ層10の上層に形成されている。意匠層2は水圧転写フィルムからなる。意匠層2の厚さw2は3μmである。
実施例1の加飾体の製造方法を以下に説明する。
(基体形成工程)
PA樹脂100質量部とテルペンフェノール系樹脂10質量部とを混合して溶融混練した材料を射出成形して、基体1を得た。基体1のシボ層10は、基体1を成形する際に型成形した。
(補正塗装工程)
基体形成工程で得た基体1の表面に、アクリル系ウレタン樹脂からなる塗料を塗装して補正塗装層5を形成した。詳しくは、図4中広幅の斜線で示すように、基体1の表面のなかで意匠層2を転写する部分の輪郭線20よりも外周側の部分1Aと、この外周側の部分1Aに連続する輪郭線20の内周側の部分1Bと、に補正塗装層5を塗装した。なお、補正塗装層5の色は、意匠層2の色とほぼ同じ色であった。
(液圧転写工程)
補正塗装工程後、補正塗装層5を形成した基体1に、意匠層2を転写した。
先ず、図3(a)に示すように、液体30を収容した液槽31を準備し、この液槽31の上方にシート状の転写材40を配し、転写材40の上方に基体1を配した。なお、図3では略してあるが、基体1はシボ層を液槽31側に向けている。実施例1では、液体30として水を用いた。転写材40としては、意匠層2が転写基材41に印刷されてなり、シート状をなすものを用いた。転写基材41は液体に可溶な材料からなる。転写材40は、意匠層2を基体1に向け、転写基材41を液体30に向けている。
次いで、図3(b)に示すように、基体1を液体30方向に移動させた。この移動に伴って、基体1は転写材40に圧接した。転写材40の下方には液体30が配されているため、転写材40は液体30の圧力によって基体1方向に押圧された。このとき転写基材41は液体30に溶け、意匠層2は基体1に加わった押圧力と液体30の圧力とによって基体1に圧接した。
その後、図3(c)に示すように、基体1を液体30からぬき出すことで基体1の表面に転写材40の意匠層2が転写された。
以上の工程によって、図5に示すように、基体1と補正塗装層5と意匠層2とからなる実施例1の加飾体が得られた。
実施例1の加飾体における基体1は、PA樹脂を含むため、強度に優れる。また、実施例1の加飾体における基体1は、PA樹脂に加えてテルペンフェノール系樹脂を含むため、転写性に優れる。さらに、実施例1の加飾体における基体1は、シボ層10を持つため、付着耐久性に優れる。したがって、実施例1の加飾体は、強度と、意匠性と、耐久性とに優れる。
ところで、液圧転写法で転写された意匠層2の輪郭線20は、図5に示すように波状をなす。したがって、加飾体における意匠層2の外周側の部分の見た目(色、模様、明度、質感等)と意匠層2の見た目とが大きく異なる場合には、波状の輪郭線20が目立って加飾体の意匠性が悪くなる場合がある。
実施例1の加飾体においては、基体1の表面のなかで意匠層2の輪郭線20よりも外周側の部分1Aと、この外周側の部分1Aに連続する輪郭線20の内周側の部分1Bとに補正塗装層5が塗装されている。補正塗装層5の色は意匠層2の色とほぼ同じである。このため、波状の輪郭線20が目立たず、意匠性に優れた加飾体が得られる。なお、補正塗装層5はプライマー層と同様に機能する。このため意匠層2は、補正塗装層5の上層に転写され易く、補正塗装層5から剥離し難かった。
(実施例2)
実施例2の加飾体は、シボ層の厚さ以外は実施例1の加飾体と同じである。すなわち、実施例2の加飾体における基体は、PA樹脂100質量部に対して10質量部のテルペンフェノール系樹脂を含む。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は5μmである。
(実施例3)
実施例3の加飾体は、テルペンフェノール系樹脂の配合量以外は実施例1の加飾体と同じである。すなわち、実施例2の加飾体における基体は、PA樹脂100質量部に対して10質量部のテルペンフェノール系樹脂を含む。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は7μmである。
(実施例4)
実施例4の加飾体は、テルペンフェノール系樹脂の配合量以外は実施例1の加飾体と同じである。すなわち、実施例4の加飾体における基体は、PA樹脂100質量部に対して1質量部のテルペンフェノール系樹脂を含む。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は7μmである。
(実施例5)
実施例5の加飾体は、テルペンフェノール系樹脂の配合量以外は実施例1の加飾体と同じである。すなわち、実施例5の加飾体における基体は、PA樹脂100質量部に対して17質量部のテルペンフェノール系樹脂を含む。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は7μmである。
(比較例1)
比較例1の加飾体は、基体がPA樹脂のみからなること以外は実施例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例1の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まない。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は7μmである。
(比較例2)
比較例2の加飾体は、シボ層の厚さ以外は比較例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例2の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まない。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は5μmである。
(比較例3)
比較例3の加飾体は、シボ層の厚さ以外は比較例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例3の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まない。また、この基体におけるシボ層の厚さw1は3μmである。
(比較例4)
比較例4の加飾体は、シボ層を持たないこと以外は比較例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例4の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まず、シボ層を持たない。
(比較例5)
比較例5の加飾体は、シボ層にかえてプライマー層を持つこと以外は、比較例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例5の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まず、シボ層を持たず、プライマー層を持つ。プライマー層は、オリジン電機製オリジンプレート Z−NYからなり平均厚さが20μmであった。
比較例5の加飾体の製造方法を以下に説明する。
(基体形成工程)
PA樹脂と着色材を混合して溶融混練した材料を射出成形して、基体1を得た。基体1は着色材を含むため、基体1の色は意匠層2の色とほぼ同じであった。
(プライマー層形成工程)
基体形成工程で得た基体1の表面に、カラープライマー(アクリル系ウレタン樹脂塗料)をスプレーしてプライマー層6を形成した。このとき、図6に示すように、意匠層2を転写する部分の輪郭線20よりも外周側の部分をマスク7で覆って、基体1の裏側(図6中下側部分、意匠層2と逆側の部分)へのプライマー層6の付着を防止した。プライマー層6の色は基体1の色および意匠層2の色とほぼ同じであった。
(液圧転写工程)
プライマー層形成工程後、プライマー層6を形成した基体1に、実施例1の液圧転写工程と同様の工程で意匠層2を転写した。このとき意匠層2の輪郭線20はプライマー層6の内周側に形成された。
以上の工程によって、図7に示すように、基体1とプライマー層6と意匠層2とからなる比較例5の加飾体が得られた。
比較例5の加飾体における意匠層2の輪郭線20は、図7に示すように波状をなすが、上述したように意匠層2の色とプライマー層6の色とはほぼ同じであるため、意匠層2の輪郭線20は目立たなかった。また、プライマー層6の色と基体1の色とはほぼ同じであるため、プライマー層6の輪郭線60もまた目立たなかった。
以上のように、比較例5の加飾体の製造方法によると、意匠層2の輪郭線20が目立たない加飾体を製造することができる。しかし、基体1の材料として顔料を配合する必要があるために、基体1の材料コストは高い。また、高価なプライマー層6を形成する必要があり、かつ、プライマー層6を形成する際にマスク7を必要とするため、比較例5の加飾体に要する製造コストは実施例1の加飾体に要する製造コストよりも高かった。
(比較例6)
比較例6の加飾体は、基体がABS樹脂のみからなり、シボ層を持たないこと以外は、比較例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例6の加飾体における基体は、テルペンフェノール系樹脂を含まず、シボ層を持たない。
(比較例7)
比較例7の加飾体は、シボ層を持たないこと以外は、実施例1の加飾体と同じである。すなわち、比較例7の加飾体における基体は、PA樹脂100質量部に対して10質量部のテルペンフェノール系樹脂を含み、シボ層を持たない。
(耐久性評価試験)
実施例1〜4の加飾体各30個および比較例1〜7の加飾体各30個について、耐久性(基体の付着耐久性)を評価した。耐久性は、JISーK−5600−5−6のクロスカット法によって評価した。試験の結果、意匠層2が全く剥離しなかったものを○と評価し、意匠層2が一箇所でも剥離したものを×と評価した。各加飾体の耐久性を表1に示す。
(意匠性評価試験)
実施例1〜4の加飾体各30個および比較例1〜7の加飾体各30個について、意匠性(基体の転写性)を評価した。意匠性は、目視によって意匠層2の柄抜け(転写されていない部分)の有無を確認することで評価した。試験の結果、意匠層2が全く柄抜けしなかったものを○と評価し、意匠層2が一箇所でも柄抜けしたものを×と評価した。各加飾体の意匠性を表1に示す。
Figure 2009126046
表1に示すように、実施例1〜4の加飾体は耐久性に優れる。これは、実施例1〜4の加飾体における基体がシボ層を持つためである。また、実施例1〜4の加飾体は比較例1〜4の加飾体に比べて意匠性に優れる。これは、実施例1〜3の加飾体における基体がテルペンフェノール系樹脂を含むためである。
なお、形状等を種々に変化させた各加飾体について、意匠性評価試験を再度行ったところ、実施例4の加飾体については僅かに柄抜けした個体が見られた。このときの柄抜けの個数は、比較例1の加飾体における柄抜けの個数よりも少なかった。実施例1〜3の加飾体については、柄抜けの発生はなかった。この結果から、基体にテルペンフェノール系樹脂を少しでも配合した加飾体(すなわち本発明の加飾体)は、基体にテルペンフェノール系樹脂を配合しなかった加飾体に比べて、意匠性に優れることがわかる。また、1質量部を超えるテルペンフェノール系樹脂が配合されている加飾体は、より一層意匠性に優れることがわかる。さらにこの結果から、基体にシボ層を設けかつテルペンフェノール系樹脂を配合することで、加飾体の耐久性と意匠性とを両立させ得ることがわかる。
また、表1に示すように、比較例1〜2の加飾体は耐久性に優れるが、比較例4の加飾体は耐久性に劣る。これは、比較例1〜2の加飾体における基体がシボ層を持つのに対して、比較例4の加飾体における基体はシボ層を持たないためであると考えられる。この結果からも、基体がシボ層を持つ本発明の加飾体は耐久性に優れることがわかる。
さらに、シボ層の厚さが5μm以上である比較例1〜2の加飾体は、シボ層の厚さが5μmに満たない比較例3の加飾体に比べて、耐久性に優れる。この結果から、シボ層の厚さを5μm以上にすることで、加飾体に優れた耐久性を付与できることがわかる。
さらに、比較例7の加飾体は柄抜けが無く意匠性に優れるのに対して、比較例4の加飾体は柄抜けが多く意匠性に劣る。これは、比較例7の加飾体における基体はテルペンフェノール系樹脂を含むのに対して、比較例4の加飾体における基体はPA樹脂のみからなるためであると考えられる。この結果からも、基体がテルペンフェノール系樹脂を含む本発明の加飾体は意匠性に優れることがわかる。
さらに、実施例5の加飾体は、比較例に比べて耐久性および意匠性に優れるものの、意匠層と基体との剥離強度が低下して、不良品が発生する場合がある。このため、加飾体の意匠性や耐久性を考慮すると、PA樹脂100質量部に対するテルペンフェノール系樹脂の配合量を17質量部未満にするのが好ましいことがわかる。
以上の結果から、テルペンフェノール系樹脂は、PA樹脂100質量部に対して1質量部を超え17質量部未満配合するのが好ましいことがわかる。テルペンフェノール系樹脂のより好ましい配合量は、PA樹脂100質量部に対して5〜15質量部である。
さらに、実施例1の加飾体の製造方法では、基体1の表面に補正塗装層5を塗装することで、意匠層2の境界線20が目立たない加飾体を得ることができる。また、実施例1の製造方法によると、意匠層2の境界線20が目立たない加飾体を比較例5の製造方法よりも安価に製造できる。上述したように、実施例1の製造方法では、基体1の色を意匠層2の色と同じ色にしなくても良いために基体1の材料コストを低減でき、高価なプライマー層6を形成しなくても良く、さらにプライマー層6を形成する際のマスク7を省略できるためである。なお、実施例1の加飾体の製造方法では、意匠層2の境界線20を目立たなくするために、補正塗装層5の色を意匠層2とほぼ同じ色にしたが、補正塗装層5の明度、模様、質感等に代表される色以外の要素を意匠層2とほぼ同じにすることでも、意匠層2の境界線20を目立たなくすることができる。
実施例1の加飾体における基体を模式的に表す斜視図である。 実施例1の加飾体を厚さ方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。 実施例1の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図である。 実施例1の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図である。 実施例1の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図である。 比較例5の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図である。 比較例5の加飾体を製造している様子を模式的に表す説明図である。
符号の説明
1:基体、2:意匠層、10:シボ層、20:意匠層の輪郭線、30:液体、5:補正塗装層

Claims (7)

  1. 基体と該基体の表面に形成されている意匠層とを持ち、転写材に予め形成されている該意匠層を液体の圧力によって該基体の表面に転写する液圧転写法を用いて製造された加飾体であって、
    該基体は、ポリアミド樹脂を主成分としテルペンフェノール系樹脂を含む材料からなり、凹凸状をなすシボ層を表面に持ち、
    該意匠層は、該シボ層の上層に転写されていることを特徴とする加飾体。
  2. 前記シボ層の厚さは、5μm〜10μmである請求項1に記載の加飾体。
  3. 前記テルペンフェノール系樹脂の配合量は、100質量部の前記ポリアミド樹脂に対して5質量部〜15質量部である請求項1または請求項2に記載の加飾体。
  4. 基体と該基体の表面に形成されている意匠層とを持つ加飾体を製造する方法であって、
    該基体を形成する基体形成工程と、転写材に予め形成されている該意匠層を液体の圧力によって該基体の表面に転写する液圧転写工程とを持ち、
    該基体形成工程において、該基体の材料としてポリアミド樹脂を主成分としテルペンフェノール系樹脂を含むものを用い、凹凸状をなすシボ層を該基体の表面に形成し、
    該液圧転写工程において、該意匠層を該シボ層の上層に転写することを特徴とする加飾体の製造方法。
  5. 前記シボ層の厚さは、5μm〜10μmである請求項4に記載の加飾体の製造方法。
  6. 前記テルペンフェノール系樹脂の配合量は、100質量部の前記ポリアミド樹脂に対して5質量部〜15質量部である請求項4または請求項5に記載の加飾体の製造方法。
  7. 前記液圧転写工程において、前記意匠層を前記基体の表面の一部に転写し、
    前記基体形成工程と前記液圧転写工程との間に、前記基体の表面のなかで前記意匠層が転写される部分の輪郭線よりも外周側の部分と、該外周側の部分に連続する該輪郭線の内周側の部分と、に補正塗装層を塗装する補正塗装工程を持つ請求項4〜請求項6の何れか一つに記載の加飾体の製造方法。
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