JP2009120923A - 接合用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属粒子を含む接合用材料であって、金属粒子の分散性と低温接合性を両立する接合用材料を提供する。
【解決手段】本発明は、有機物で被覆された金属粒子を含む接合用材料であって、有機物が構造式X−Y−X’で表され、XおよびX’が、それぞれ独立して、金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基であり、Yは非水素原子数が3〜7のスペーサーであり、金属粒子が平均粒径100ナノメートル以下の金、銀もしくは銅の単体またはそれらの合金からなることを特徴とする前記接合用材料に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、平均粒径が1〜100ナノメートルの金属粒子を接合の主剤とする接合用材料に関する。
金属粒子の粒径が100ナノメートル以下のサイズまで小さくなり構成原子数が少なくなると、粒子の表面に露出した原子の割合が急激に増大し、加圧条件下で融点や焼結温度がバルクの状態と比較して大幅に低下することが知られている。この現象を利用して、平均粒径が1〜100ナノメートルの金属粒子を低温接合用材料として用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、平均粒径100ナノメートル以下の金属粒子の周囲を有機物で被覆した接合用材料を用いて、加熱により有機物を分解させて金属粒子同士を焼結させ、接合を行う方法が記載されている。この接合方法を用いると、接合後の金属粒子はバルク金属へと変化し、同時に接合界面は金属結合により接合される。そのため、接合された構造物は高耐熱性、高信頼性および高放熱性を有する。
また、現在はんだにおける鉛フリー化が迫られているが、高温はんだに関しては代替材料が出ていない。半導体装置の実装においては階層はんだを用いることが必要不可欠なため、この高温はんだに代わる材料の出現が望まれている。
粒径が100ナノメートル以下の金属粒子を作製するためには、金属粒子のまわりに有機物からなる被膜を形成する方法がとられる。この被膜材は合成時には金属粒子の凝集を防止し、粒子径を100ナノメートル以下に保つ機能を備えていなければならない。この機能を以下、「分散性」と表現する。金属粒子が分散性をもつためには、被膜材は合成時の温度である40〜100℃では容易に金属粒子から離脱してはならない。
一方で、低温接合性を高めるためには、金属粒子の加熱により被膜材は容易に粒子から分離・蒸発し、粒子同士は鉛はんだによる接合と同等の強度を持つ金属接合を形成する必要がある。ここで「低温」とは300℃以下、より好ましくは250℃以下の温度を意味する。このように分散性と低温接合性は一見相容れない関係にある。
特許文献2、特許文献3には、ドデシルアミンなどのアルキルモノアミンで被覆された金属粒子材料が記載されている。しかしここで開示されている材料は導電性ペーストとして用いられるものであり、焼結した粒子の高導電性は示されているが、接合用材料として用いることについても、その場合の接合強度についても記載されていない。
特許文献4には、ラウリルアミンなどのアルキルモノアミンを分散剤として用いて得られた金属超微粒子分散液が記載されており、該分散液が、高濃度でも流動性があり、配線パターンの形成において有利であることが記載されている。しかし、該分散液を接合用材料として用いることについても、その場合の接合強度についても記載されていない。
特許文献5には、高分子材料分散剤からなる分散層を有する金属コロイドを含む導電性金属ペーストが記載されている。該金属ペーストを加熱硬化することが記載されているが、その接合強度については記載されていない。また、該金属コロイドにおいて分散層を構成する高分子材料分散剤は、分子量が大きく、加熱した際に蒸発しにくい材料である。分散層が蒸発しないと接合に必須となる金属結合の形成が妨げられるため、該金属コロイドを含む導電性ペーストを接合に用いても十分な接合強度を達成することはできない。
特開2004−107728号公報 特開2004−273205号公報 特開2005−36309号公報 特開2002−121606号公報 特開2005−26081号公報
本発明の課題は、金属粒子を含む接合用材料であって、金属粒子の分散性と低温接合性を両立する接合用材料を提供することである。
本発明者らは鋭意検討の結果、主鎖の両端に金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基を備える有機物で金属粒子を被覆することにより、分散性と低温接合性を両立する接合用材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)有機物で被覆された金属粒子を含む接合用材料であって、
有機物が構造式X−Y−X’で表され、
XおよびX’が、それぞれ独立して、金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基であり、
Yは非水素原子数が3〜7のスペーサーであり、
金属粒子が平均粒径100ナノメートル以下の金、銀もしくは銅の単体またはそれらの合金からなることを特徴とする前記接合用材料。
(2)XおよびX’が、それぞれ独立して、NH、OHまたはSHであることを特徴とする(1)記載の接合用材料。
(3)Yが、炭素数6〜7の直鎖型アルキレン基、または炭素数3〜7の分岐型アルキレン基であることを特徴とする(1)記載の接合用材料。
本発明により、金属粒子を含む接合用材料であって、金属粒子の分散性と低温接合性を両立する接合用材料が提供される。
本発明の接合用材料において、金属粒子を被覆して被覆層を形成する有機物は、分散性を得るため、主鎖の両端に金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基を備える。より具体的には、該有機物は、構造式X−Y−X’で表される。ここでXおよびX’は、それぞれ独立して、金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基であり、Yは非水素原子数が3〜7のスペーサーである。
金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基XおよびX’としては、NH、OHおよびSHが挙げられる。有機物1分子中においてXおよびX’は同一でも異なっていてもよいが、好ましくはXおよびX’は、双方ともNHである。また、XおよびX’が分子間でそれぞれ異なる複数種の有機物を用いて被覆層を形成してもよい。
非水素原子数が3〜7のスペーサーYとは、水素以外の原子を3〜7個有する二価の有機基をさす。例えば、3〜7個、より好ましくは6〜7個の炭素原子および/または複素原子(酸素原子、窒素原子または硫黄原子)を含む二価の有機基である。ここで該有機基は、複素原子を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
スペーサーYとしては、3〜7個、好ましくは6〜7個の炭素原子を含む二価の脂肪族炭化水素基、例えば、炭素数6〜7の直鎖型アルキレン基、炭素数3〜7の分岐型アルキレン基、炭素数6〜7の直鎖型アルケニレン基、炭素数3〜7の分岐型アルケニレン基、炭素数6〜7の直鎖型アルキニレン基、炭素数4〜7の分岐型アルキニレン基が挙げられる。これらの基において、炭素原子の1〜2個、好ましくは1個が複素原子で置き換えられた基もまたスペーサーYとして例示できる。
スペーサーYとしては、例えば、−(CH−(OCHCH−(CH−で表される基も例示できる。ここで、pおよびrはそれぞれ独立して0〜7の整数であり、qは0〜2の整数であり、p+q+rは3〜7の整数である。
本発明において被覆層に用いる有機物の具体例としては、例えば、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミン、2,3−ブタンジアミン、2−メチル−1,2−プロパンジアミン、トリエチレンテトラアミン、アミノアルコール(例えば、6−ヒドロキシヘキシルアミン、7−ヒドロキシヘプチルアミン、2−アミノ−2’−ヒドロキシジエチルアミン)、アミノチオール(例えば、6−メルカプトヘキシルアミン、7−メルカプトヘプチルアミン)、メルカプトアルコール(例えば、6−メルカプトヘキシルアルコール、7−メルカプトヘプチルアルコール)などが挙げられる。
本発明において被覆層に用いる有機物は、金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基(XおよびX’)を少なくとも2つ有することから、1つの官能基が金属粒子表面と結合した場合、別の官能基は金属粒子の外側に伸びる。外側に伸びた官能基は、その周囲にある別の官能基と水素結合を形成し、粒子全体として被覆層表面には水素結合ネットワークが形成される。この水素結合ネットワークにより被覆層表面は金属粒子を包み込む殻の役割を果たすため丈夫になる。そして、この殻の存在により、粒子同士の衝突による凝集が起こりにくくなる。
水素結合は、ある金属粒子の外側に伸びた官能基と、別の金属粒子の外側に伸びた官能基の間にも形成されうる。これによって、金属粒子同士は凝集しないが、非常に近い距離に保たれる。
平均粒径100ナノメートル以下の金属粒子の調製を溶媒中で行う場合、溶媒が極性溶媒であれば、水素結合はある金属粒子の外側に伸びた官能基と溶媒分子の間にも形成されうる。これにより金属粒子表面には溶媒分子の層ができるため、金属粒子同士の凝集を防ぐことができる。
被覆層を有する金属粒子2つからなる系に基づいて、図1を用いて、粒子間の距離と系のエネルギーの関係を説明する。図1は、従来のアルキルモノアミンで被覆された金属粒子(以下、従来品)と、本発明の有機物で被覆された金属粒子(以下、本発明品)のポテンシャルエネルギー(以下、エネルギー)の概略図である。ここに示したエネルギーカーブの形状は、量子化学に基づく高精度コンピュータシミュレーションにより確認されている。図の縦軸101はエネルギー、横軸102は粒子間距離を示す。点線103は従来品の、実線104は本発明品のエネルギーである。
粒子間距離が十分大きいときのエネルギー105は従来品でも本発明品でも等しい。しかし、従来品では粒子間距離が小さくなるにつれ、スペーサー同士が衝突するためエネルギーが高くなり、ある一定の距離でエネルギーは極大値106に達する。そして、粒子間距離が十分に大きい時とエネルギーが極大になる時のエネルギー差であるエネルギーバリア107を越えて粒子間距離がさらに小さくなると、粒子同士が凝集する。凝集によるエネルギー安定化の度合いが大きいため、凝集状態のエネルギー108は、粒子間距離が十分大きい場合のエネルギー105よりも低くなる。つまり、粒子の凝集を防ぎ、分散性を高めるにはエネルギーバリアをできるだけ高くすることが重要である。
一方、本発明品では、従来品とはエネルギーカーブの形状が異なる。粒子間距離が十分に大きい場合を起点とし、距離が小さくなるにつれエネルギーが低くなる。そして、ある一定の距離で、エネルギーは極小値109をとる。この極小値は粒子間水素結合による安定化に起因する。この極小値109と、粒子間距離が十分大きいときのエネルギー105の差は粒子間水素結合による安定化エネルギー110である。粒子間距離が極小値を示す距離よりも小さくなると、粒子間水素結合長が短くなりすぎるためエネルギーが高くなる。さらに粒子間距離が短くなると粒子内水素結合も破壊され、スペーサーと末端の水素結合性官能基、またスペーサー同士が衝突するためエネルギーが高くなる。これらすべてのエネルギー増加要因のため、本発明品におけるエネルギーバリア111は従来品におけるエネルギーバリア107よりも高くなる。
従来品と本発明品のエネルギーカーブの比較から以下の二点が示唆される。一点目として、本発明品ではエネルギーバリアが高いため、金属粒子同士の凝集が起こりにくくなる。二点目として、本発明品では粒子間水素結合による安定化のため、金属粒子の密度が上がる。
水素結合ネットワークは、上記のように分散性に寄与するが、低温接合性を阻害するものではない。水素結合はたかだか数kcal/molのエネルギーしか持たない結合であるため、室温あるいはそれ以下の温度では結合構造をかろうじて保持できるが、接合時の加熱状態のような高温では結合構造は容易に破壊される。そのため、有機物分子のそれぞれは周囲の有機物分子から独立して金属粒子と結合した構造となり、接合時の加熱状態においては容易に金属粒子から分離して蒸発する。
本発明において個々の有機物分子は、スペーサーに含まれる非水素原子数が7以下であり、比較的分子量が小さいため、通常200℃以下の低温で蒸発する。スペーサーの非水素原子数が2以下であると、被覆層としての機能が十分に発揮されず、金属粒子の凝集が頻繁に起こる。一方、スペーサーの非水素原子数が8以上の場合は有機物の沸点が上昇するため、加熱しても蒸発せずに接合により形成された構造物中に残留する確率が高くなる。これは、結果として接合強度の低下を引き起こす。
本発明において金属粒子に被覆された有機物は、金属粒子合成時の40〜100℃の温度では金属粒子から離脱せず、従って、得られる金属粒子は分散性に優れ、一方、接合時の温度では、比較的低温、例えば300℃以下、好ましくは250℃以下、100℃以上の温度で容易に金属粒子から分離し蒸発することから接合強度に優れる。
本発明において金属粒子は、平均粒径100ナノメートル以下の金、銀もしくは銅の単体またはそれらの合金からなる。金、銀もしくは銅は、導電性の点で優れており、平均粒径100ナノメートル以下、好ましくは30ナノメートル以下とすることにより、粒子の表面に露出した原子の割合が急激に増大し、加圧条件下で融点や焼結温度がバルクの状態と比較して大幅に低下することから、優れた低温接合性が得られる。ただし、上記平均粒径はあくまで平均値であって、金属粒子全体の中に少量のマイクロメートルサイズの粒径をもつ金属粒子が混入していてもよい。本発明の接合用材料に用いる有機物は、金属粒子との結合性を有する官能基を2つ以上有するため、当該官能基を1つしか持たないアルキルモノアミンよりも金属粒子への被覆速度の点で優れている。そのため、より粒径の小さい金属粒子を形成することが可能となる。
本発明の接合用材料における有機物で被覆された金属粒子は、例えば、溶媒中に金、銀または銅の塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などの酸付加塩)と有機物を加えて攪拌し、その中に還元剤を加えてさらに攪拌することにより調製することができる。ここで、溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましい。極性溶媒としては、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどの低級アルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、水およびこれらの混合物が挙げられる。水、エタノール又はその混合物を用いるのが、廃液の処理が簡便であることから好ましい。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、メバロン酸、キナ酸、没食子酸などのヒドロキシ酸や、水素化ホウ素ナトリウムなどの無機物が挙げられる。
本発明により、分散性に優れた金属粒子が得られ、平均粒径30ナノメートル以下の金属粒子を合成することも可能となる。また、本発明の接合用材料を用いた金属材料(特に、金、銀または銅材料)の接合においては、従来よりも低温で鉛はんだに匹敵する接合強度を達成することができる。
[実施例1]ヘキサメチレンジアミン被覆銀粒子の作製
ヘキサメチレンジアミンで表面を被覆した銀粒子は、200mLのエタノール溶液中に硝酸銀4.0gとヘキサメチレンジアミン4.2gを加えて攪拌し、その中にアスコルビン酸0.5gを混合させ、その後1時間ほど攪拌を続けることで作製した。エタノールを蒸発させた後に灰色粉末が得られた。この粉末状粒子に付着した未反応の硝酸銀およびアスコルビン酸の除去を行うため、粉末に約200mLの純水を加え上澄み液を取り除いた。エタノールやアスコルビン酸は水と任意の割合で混合する非常に水和性の高い物質であるため純水を加えると容易に溶解する。一方で、ヘキサメチレンジアミンで表面を被覆した銀粒子も表面のアミノ基の存在により水に溶けるが、溶解度はエタノールやアスコルビン酸と比較して低い。そのため、純水を加えて上澄み液を取り除く操作によりエタノールとアルコルビン酸を効率的に取り除くことができる。上澄み液を取り除いた後の残余物から水を蒸発させ、淡緑色粉末を得た。凝集しバルクとなった銀の特徴を示す光沢は見られなかったことから、粒子には分散性があると判断した。得られた銀粒子の平均粒径は、約50ナノメートルであった。
[比較例1]オクチルアミン被覆銀粒子の作製
200mLのエタノール溶液中に硝酸銀4.0gとオクチルアミン4.2gを加えて攪拌し、その中にアスコルビン酸0.5gを混合させ、その後1時間ほど攪拌を続けたが、粒子の分散性が悪く、オクチルアミン被覆銀粒子を得ることができなかった。そこで、溶媒をトルエンに変更して、以下のとおり調製を行った。
オクチルアミンで表面を被覆した銀粒子は、200mLのトルエン溶液中に硝酸銀4.0gとオクチルアミン5.0gを加えて攪拌し、その中にアスコルビン酸4.0gを混合させ、その後1時間半ほど攪拌を続けることで作製した。その後、定量濾紙(No5C)を用いてろ過を行い、未反応の硝酸銀、アスコルビン酸の除去を行った。さらに、ろ過をして得られた、表面がオクチルアミンで被覆された銀粒子を有するトルエン溶液に約200mLのアセトン溶液を加え、上記銀粒子を沈殿させて上澄み液を取り除き、銀粒子に被覆していない過剰なオクチルアミンおよび合成時に出来た副生成物を取り除くことで、精製を行った。この工程を全部で3回行った。さらに、得られた銀粒子を湯浴の温度を40℃程度にしたエバポレーターで有機溶媒を蒸発させた後、2.5gの黒色粉末を得た。凝集しバルクとなった銀の特徴を示す光沢は見られなかったため、得られた粒子には分散性があると判断した。
しかし、被覆のための有機物としてオクチルアミンを用いる場合は、溶媒としてエタノールを使用できないため廃液処理が容易ではなく、また精製処理も煩雑なものとなった。
[比較例2]オレイルアミン被覆銀粒子の作製
比較例1と同様の方法で、オクチルアミンの代わりにオレイルアミンで表面を被覆した銀粒子を合成した。硝酸銀とオレイルアミンは1モル:1.5モルの混合比とした。
[比較例3]オレイン酸被覆銀粒子の作製
比較例1と同様の方法で、オクチルアミンの代わりにオレイン酸で表面を被覆した銀粒子を合成した。硝酸銀とオレイン酸は1モル:1.5モルの混合比とした。
[実施例2]
実施例1で作製した銀粒子を含む粉末材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。用いた試験片は銅に銀メッキを施したものであり、大きさは上側が直径5mm、厚さ2mmで下側が直径10mm、厚さ5mmのものを用いた。この試験片に上記粉末材料を塗布した後、接合を行った。接合温度は250℃、接合時間は2分30秒、加圧の大きさは2.5MPaとして低温接合性の評価実験を行った。次に、上記接合法により得られた試料を用い、純粋せん断応力下での接合部強度を測定した。せん断試験には西進商事製ボンドテスターSS−100KP(最大荷重100kg)を用いた。せん断速度は30mm/minとし、試験片をせん断ツールで破断させ、破断時の最大荷重を測定した。この最大荷重を接合面積で割り、せん断強度とした。なお、せん断強度は、高融点はんだを用い、接合温度350℃、接合時間5分、無加圧で作製した接合継手のせん断強度を指標として、これに対する相対強度比として算出した。
実施例1で作製した銀粒子を含む粉末材料を用いて接合した場合のせん断強度比は0.35であった。
[比較例4]
次に、比較例1で作製した銀粒子を含む粉末材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。試験条件は実施例2の場合と同様である。得られたせん断強度比は0.07であった。
[比較例5]
次に、比較例2で作製した銀粒子を含む粉末材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。試験条件は実施例2の場合と同様である。得られたせん断強度比は0.00であった。
[比較例6]
次に、比較例3で作製した銀粒子を含む粉末材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。試験条件は実施例2の場合と同様である。得られたせん断強度比は0.06であった。
従来の被膜材であるアルキルアミンで被覆された金属粒子と本発明の被膜材で被覆された金属粒子の粒子間反発ポテンシャルの概略図を示す。
符号の説明
101 縦軸(エネルギー)
102 横軸(粒子間距離)
103 点線(従来品)
104 実線(本発明品)
105 粒子間距離が十分大きいときのエネルギー
106 エネルギー極大値
107 従来品のエネルギーバリア
108 凝集状態のエネルギー
109 エネルギー極小値
110 粒子間水素結合による安定化エネルギー
111 本発明品のエネルギーバリア

Claims (3)

  1. 有機物で被覆された金属粒子を含む接合用材料であって、
    有機物が構造式X−Y−X’で表され、
    XおよびX’が、それぞれ独立して、金属粒子の表面と結合する性質と水素結合を形成する性質を併せ持つ官能基であり、
    Yは非水素原子数が3〜7のスペーサーであり、
    金属粒子が平均粒径100ナノメートル以下の金、銀もしくは銅の単体またはそれらの合金からなることを特徴とする、前記接合用材料。
  2. XおよびX’が、それぞれ独立して、NH、OHまたはSHであることを特徴とする請求項1記載の接合用材料。
  3. Yが、炭素数6〜7の直鎖型アルキレン基、または炭素数3〜7の分岐型アルキレン基であることを特徴とする請求項1記載の接合用材料。
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