JP5689915B2 - 銀微粒子の製造方法及び銀微粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又はシュウ酸銀−アルコキシアミン錯体の熱分解により、プレート状に形状が制御された銀微粒子の製造方法及び該製造方法により得られる銀微粒子に関する。
近年、電子部品装置の進展はめざましいものがあり、それらに使用される電子デバイスやプリント配線板の高性能化、小型化、軽量化に伴い、高密度配線などの技術革新が著しい。さらに、ダイアタッチペースト用途にはSiCデバイスの発展やRoHS指令によるPb(鉛)フリー化に伴い、ハンダに代わる高熱伝導性を有する接合材料が求められている。
この高密度配線を形成する材料としては、導電性インク、導電性ペーストなどがあり、これらの材料には導電性を付与するために金属粒子が含有されている。この金属粒子としては、例えば銅粒子や銀粒子が用いられ、特にその特性上から銀粒子が好ましく用いられている。このような銀粒子についても、その形状や大きさ等が検討され、最近では、溶剤への分散性が良好であることや、低温焼結が可能であることなどからナノオーダーの銀微粒子が使用されるようになってきている。
このようなナノオーダーの銀微粒子を得るには、例えば、水溶性の銀塩を分散剤、還元剤の存在下、この混合液中で銀イオンを還元することによって、主としてプレート状の銀粒子を製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、シュウ酸銀等の銀化合物を短鎖アルキルアミン及び短鎖アルキルジアミンと混合し錯化合物を調製し、該錯化合物を加熱して銀化合物を熱分解させることによって、低温での焼結が可能な被覆銀微粒子を製造する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。また、硝酸銀水溶液、塩化アンモニウム水溶液、ポリビニルピロリドン(PVP)水溶液の混合液にN・HO及びNHCl溶液の混合液を加えた後、遠心分離してプレート状銀粒子を含むナノ銀粒子を合成する方法(例えば、非特許文献1参照)が知られている。
特開2007−138249号公報 特開2010−265543号公報
リュウ MZ(Liu MZ)、他4名,「六角形状銀ナノプレートの選択的合成(Selective synthesis of hexagonal Ag nanoplates)」,ナノ リサーチ(Nano Reserch),(米国),2010年,第3巻,第12号,p.843−851
しかしながら、特許文献2に記載の導電性微粒子は、球状の銀微粒子のみの生成であり、焼結時の体積収縮が大きい。これに対して、プレート状の導電性微粒子は、焼結時の体積収縮が小さいため、プリント配線板等に形成される配線の安定性に優れ、さらに充填性も良好であるためその特性を向上させることができることがわかった。
また、特許文献1や非特許文献1に記載の導電性微粒子は、プレート状の粒子を主な生成物とするものであるが、それ以外の形状の粒子も多く含み、かつ、反応に長時間を要するため、この製造方法で得られる導電性微粒子をそのまま導電性の無機充填材として使用しても、上記利点が十分に得られるとは言えないものであった。
そこで、本発明は、上記問題点を解消するため、短時間で効率的に製造でき、かつ、粒子形状がプレート状に制御された銀微粒子の製造方法及び該製造方法により得られるプレート状の銀微粒子を提供することを目的とする。
本発明の銀微粒子の製造方法は、シュウ酸銀とアルキルアミン又はアルコキシアミンとを混合して、シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又はシュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を生成させる第1工程と、前記シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又は前記シュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を、アルコール溶媒中で酸化剤と混合し、熱分解させて前記アルキルアミン又は前記アルコキシアミンで被覆されたプレート状の銀微粒子を生成させる第2工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の銀微粒子は、上記本発明の銀微粒子の製造方法により得られ、長径が10〜1000nmで、かつ、厚さが5〜100nmのプレート状であることを特徴とする。
本発明の銀微粒子の製造方法によれば、プレート形状をした銀微粒子を、簡便な操作により、短時間で、かつ、効率的に製造できる。
本発明の銀微粒子は、上記銀微粒子の製造方法によりプレート形状で得られ、低温焼成が可能で、焼結時の体積収縮率も小さいものである。この銀微粒子は、例えば、導電性接着剤や導電性ペーストに配合させたとき、一般的な球状の銀微粒子に比べて、高充填、低温焼結が可能で、焼結時に反りが小さく、アウトガスの排出量が抑制される。
実施例1で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例2で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例3で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例4で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例5で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。 比較例2で得られた銀微粒子の電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の銀微粒子の製造方法は、まず、シュウ酸銀とアルキルアミン又はアルコキシアミンとを混合して、シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又はシュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を生成させる第1工程を行う。
この第1工程では、シュウ酸銀の銀原子に対して、アルキルアミン又はアルコキシアミンの非共有電子対が配位結合することにより錯化合物を形成する工程である。この形成反応は、25℃(室温)〜50℃程度の温度で5〜60分間程度、撹拌して容易に行うことができる。
ここで用いるシュウ酸銀は、金属銀を生成させ銀微粒子とするための材料であり、銀含有率が高く、加熱によりシュウ酸イオンが二酸化炭素として分解除去され、還元剤を必要とせず金属銀がそのまま得られ、不純物が残留しにくいため、本発明の銀原料として好適である。このシュウ酸銀は、分解の際に銀以外の不純物を生じにくいためその他の銀化合物、例えば、ギ酸、酢酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸と銀が化合したカルボン酸銀、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等より有利である。
ここで用いるアルキルアミン又はアルコキシアミンは、シュウ酸銀に含まれる各銀原子に対してアミンの窒素原子が有する非共有電子対が配位結合して、錯化合物を形成しているものである。このアルキルアミンとしては、置換基としてアルキル基等の脂肪族炭化水素基を有するアミン化合物であれば、特にその構造に制限がなく、例えば、アミノ基を1個有するアルキルモノアミン、アミノ基を2個有するアルキルジアミンが挙げられる。具体的には、アルキルモノアミンとしては、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ドデシルアミン等、アルキルジアミンとしては、エチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N´−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N´−ジエチルエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N´−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、N,N´−ジメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン等、が挙げられる。なお、シュウ酸銀と反応して上記錯化合物を効率的に形成するため、一級アミン(RNH)又は二級アミン(RNH)等のアルキルモノアミンであることが好ましい。
また、アルコキシアミンとしては、置換基としてアルコキシル基を有するアミン化合物であれば、特にその構造に制限がなく、例えば、アミノ基を1個有するアルコキシモノアミン、アミノ基を2個有するアルコキシジアミンが挙げられる。具体的には、アルコキシモノアミンとしては、メトキシエチルアミン、2−エトキシエチルアミン、3−ブトキシプロピルアミン等が、アルコキシジアミンとしては、N−メトキシ−1,3−プロパンジアミン、N−メトキシ−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。なお、シュウ酸銀と反応して上記錯化合物を効率的に形成するため、一級アミン(RONH)又は二級アミン(R(RO)NH)等のアルキルモノアミンであることが好ましい。
ここで、上記一級アミンの置換基Rはアルキル基を表し、炭素数3〜18のアルキル基であることが好ましい。また、二級アミンの置換基R及びRは、アルキル基を表し、共に炭素数3〜18のアルキル基であることが好ましい。置換基R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。さらに、これらのアルキル基には、水酸基、アルコキシル基、シリル基、グリシジル基等の置換基を有していてもよい。
なお、ここで用いるアルキルアミン又はアルコキシアミンは、最終的に得られる銀微粒子の表面に残留し、銀微粒子の焼結性へ影響を与えると考えられるため、その沸点は250℃以下であることが好ましい。このようにアルキルアミン又はアルコキシアミンの沸点を低いものとしておくことで、銀微粒子の低温焼結性を確保できる。ちなみに、この第1工程において気化により消失しないように、アルキルアミン又はアルコキシアミンの沸点は50℃以上であることが好ましく、第1工程の反応温度以上とすることがより好ましい。
250℃以下の沸点を有するアルキルアミン及びアルコキシアミンとしては、例えば、ブチルアミン(73℃)、2−メトキシエチルアミン(95℃)、2−エトキシエチルアミン(105℃)、ジプロピルアミン(107℃)、3−メトキシプロピルアミン(120℃)、3−エトキシプロピルアミン(132℃)、4,4−ジメトキシブチルアミン(136℃)、ジブチルアミン(159℃)、イソプロパノールアミン(160℃)、ヘキシルアミン(131℃)、シクロヘキシルアミン(134℃)、ヘプチルアミン(155℃)、3−ブトキシプロピルアミン(170℃)、オクチルアミン(176℃)、ノニルアミン(201℃)、デシルアミン(217℃)、3−アミノプロピルエトキシシラン(217℃)、ドデシルアミン(248℃)等が挙げられる。
ここで用いるアルキルアミンのシュウ酸銀とのモル比は、アルキルモノアミンを用いる場合、シュウ酸銀:アルキルアミン=1:2〜8であることが好ましい。第1工程では、銀原子1個に対してアミノ基1個が結合し、シュウ酸−アルキルアミン錯体が生成する。したがって、シュウ酸銀分子とアルキルアミンとの化学量論比(モル比)は1:2となる。そのため、シュウ酸銀分子に対してアルキルアミンのモル比が2倍未満になると、未反応の銀成分が残るため、錯化合物の均一な低温分解が阻害され、被覆銀微粒子の収率が低下する場合がある。逆に、モル比が8倍を超えると、上記錯化合物の均一熱分解は進むが、アルキルアミンを無駄に使用するばかりか、廃棄物の増大に繋がるため経済性の面で好ましくない。したがって、アルキルアミンの配合量はシュウ酸銀1モルに対して2〜8モルが好ましく、2〜6モルがより好ましい。また、アルキルアミンとしてアルキルジアミンを用いる場合、アルキルアミン1分子中にアミノ基を2個有するため、2配位する場合もあるが、立体障害により1配位となることが多いと考えられ、上記モル比は、シュウ酸銀:アルキルジアミン=1:1〜8であることが好ましく、1:2〜6がより好ましい。なお、アルコキシアミンを用いる場合も上記アルキルアミンと同様にアミノ基の個数により好ましいモル比の範囲が定まる。
なお、第1工程において、脂肪族カルボン酸等の添加剤を適宜配合することができる。脂肪族カルボン酸を少量添加することで、シュウ酸銀及びアルキルアミン又はアルコキシアミンの溶剤に対する分散性を向上させることができる。
次に、上記第1工程で得られたシュウ酸銀−アルキルアミン錯体又はシュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を、アルコール溶媒中で酸化剤と混合し、加熱により熱分解させてアルキルアミン又はアルコキシアミンで被覆されたプレート状の銀微粒子を生成させる第2工程を行う。
この第2工程では、酸化剤の存在下、シュウ酸銀を熱分解することにより金属銀を生成するものであり、アルキルアミン又はアルコキシアミンは金属銀の生成においても大部分が気化せず残留し、銀微粒子の表面に存在する。
シュウ酸銀は、単に加熱するだけでも分解して金属銀が生成するが、酸化剤を存在させることにより、熱分解で還元された金属銀(Ag)が銀イオン(Ag)へと酸化される。これにより、系全体の見かけの反応速度を遅延させることにより、結晶成長が熱力学的ではなく、速度論に支配され、積層欠陥が生じ、プレート状のナノ粒子を生成できる。
また、この第2工程におけるシュウ酸銀を熱分解するための加熱温度は、25℃(室温)〜200℃であり、70〜150℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。一般に、加熱温度は熱分解が進行する温度とすればよく、熱分解を効率よく進行させるために熱分解温度〜熱分解温度+10℃の温度範囲とするのが好ましい。加熱温度が25℃未満であると分解反応が十分に進まず金属銀の析出量が少なくなってしまい、200℃を超えると反応が爆発的に進行して、得られる粒子が粗大な粒子となってしまう。なお、この加熱温度が、アルキルアミン又はアルコキシアミンの沸点よりも高い温度だと、アルキルアミン又はアルコキシアミンが揮発していくため銀粒子が大きくなる傾向があり、アルキルアミン又はアルコキシアミンの沸点よりも低い温度だと、保護分子としてアルキルアミン又はアルコキシアミンが十分に機能して銀粒子が小さくなる傾向がある。
ここで用いられるアルコール溶媒は、反応溶媒として用いることができるものであれば特に限定されずに使用でき、1級アルコール又は2級アルコールであることが好ましい。また、このアルコール溶媒としては、炭素数が1〜8で極性を示すアルコールが好ましい。アルコール化合物の極性の強さを定量的に測定することは困難であるが、極性溶媒である水(HO)に対する溶解度で、半定量的に評価することができる。つまり、極性の高いアルコールは水に対する溶解度が大きく、極性の低下と共に溶解度が低下する傾向がある。また、炭素数が9以上のアルコールでは、実質的に水に溶解せず極性が低いために、シュウ酸銀アルキルアミン錯体との相溶性が悪い。言い換えれば、わずかに水溶性を示すオクタノール(0.3g/L(20℃))以下の炭素数を持つアルコールであれば、シュウ酸銀アルキルアミン錯体との相溶性を有し、反応場のバラつきを抑制でき好ましい。反応場のバラつきが抑えられ均一になるほど、本発明の銀微粒子の合成に適した条件と考えられる。
そのため、炭素数が8以下であれば良いが、炭素数が1又は2程度であるとアルコールの沸点が反応温度以下となりやすく、分解反応中に溶媒が沸騰してしまうと、分解が激しくなりすぎてしまい好ましくない。したがって、このアルコール溶媒の炭素数は3〜8がより好ましく、炭素数が4〜6が特に好ましい。このようなアルコール溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールなどが挙げられ、中でもブタノールがその反応性に適しており特に好ましい。
なお、アルコール溶媒の沸点は、60〜250℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。また、アルコール溶媒の沸点はアルキルアミン又はアルコキシアミンの沸点よりも高いことが好ましい。これは、第2工程の反応において、反応中にアルコール溶媒が沸騰することなく反応を進行させるためである。
また、ここで用いられる酸化剤は、銀原子(Ag)を銀イオン(Ag)へと酸化させ、系全体の見かけの反応速度を遅延させるものであればよく、その構成成分としてCl、S2−又はCO 2−の陰イオンを含有するものが挙げられ、Clを構成成分とするものが好ましい。
このClを構成成分として有する酸化剤としては、例えば、NaCl、KCl、ZnCl、NiCl,CoCl,CuCl、FeClなどが挙げられ、これらは1種又は複数種を混合して用いることができる。
2−を構成成分として有する酸化剤としては、例えば、NaS、NaHSなどが挙げられる。CO 2−を構成成分として有する酸化剤としては、例えば、NaCO、NaHCOなどが挙げられる。
この酸化剤としてClを用いる場合には、アルコール溶媒中に0.01〜0.6mmol/Lの濃度範囲が好ましい。酸化剤の濃度が、0.01mmol/L未満となると、粒子が球状で粗大になる傾向があり、0.6mmol/Lを超えると、結晶生成が遅くなり、さらに、Ag塩を形成しやすく、また、酸化剤の除去のため、粒子合成後の洗浄回数を増やす必要が出てきてしまう。なお、S2−、CO 2−の場合には、2価の陰イオンであるため、その濃度は上記Clの場合の1/2となる範囲、すなわち0.005〜0.3mmol/Lが好ましい。
このように、本発明で得られるプレート状の銀微粒子は、球状ではなく、例えば、長径が10〜1000nm、厚さが5〜100nmの多角形状のものとなる。なお、このような大きさ、形状は走査電子顕微鏡により確認できる。また、上記プレート状の銀微粒子は、本発明の諸特性を効果的に発揮するために、その平面視したときの長径と短径とのアスペクト比(長径/短径)が1〜3の範囲のものであることが好ましい。また、長径と厚みのアスペクト比(長径/厚み)が2〜50の範囲のものであることが好ましい。
上記の本発明の銀微粒子の製造方法により得られたプレート状の銀微粒子は、低温焼成が可能で、かつ、低体積収縮の特性を有しており、これを用いた導電性接着剤又は導電性ペーストは、一般的な球状の銀微粒子を使用する場合に比べ、フィラーの高充填化が可能で、焼結後の体積収縮率が低く、また、アウトガスの排出量が少ない。
次に、本発明を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(参考例1)
硝酸銀(関東化学株式会社製、一級) 203gとシュウ酸アンモニウム一水和物(関東化学株式会社製、特級) 82gとを、順番に純水に溶解させ、室温で12時間撹拌混合し、シュウ酸銀 180gを得た。
(実施例1)
参考例1で得られたシュウ酸銀 238mg(0.78mmol)とn−ブチルアミン(関東化学株式会社製) 348mg(3.12mmol)とを混合し、室温で1分間撹拌し、シュウ酸銀−アルキルアミン錯体を調製した。
これに、1−ブタノール(関東化学株式会社製) 6mLとNaClを0.141mg加え、100℃で15分間加熱撹拌すると、COの発泡を伴う反応が完結し、銀色の沈殿物が生成した。これにメタノール(関東化学株式会社製、一級) 5mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、銀色の固体生成物 162mg(銀基準収率 95.1%)が得られた。
得られた固体生成物を走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JSM−7600F;SEM)で観察したところ、厚さ20nm、長径100nm程度の鱗片状(プレート状)のナノ粒子が主な生成物として観察された(図1)。
(実施例2)
実施例1と同様の方法でシュウ酸銀−アルキルアミン錯体を調製し、これにエチレングリコール(東京化成株式会社製) 6mLとNaClを0.52mg(0.0089mmol)加え、150℃で15分間加熱し撹拌した。COの発泡を伴う反応が完結し、銀色の沈殿物が生成した。これにメタノール(関東化学株式会社製、一級) 5mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、銀色の固体生成物 150mg(銀基準収率 87.8%)が得られた。得られた固体生成物をSEMで観察したところ、長径300nm〜数μm、厚さ20nmのほぼ均一のプレート状の粒子が主な生成物として観察された(図2)。
(実施例3)
実施例2のブチルアミンをオクチルアミン(関東化学株式会社製) 405mg(3.12mmol)に置き換えた以外は同様の方法で操作したところ、銀色の固体生成物 163mg(銀基準収率 94.7%)が得られた。
得られた固体生成物をSEMで観察したところ、長径50nm〜300nm、厚さ20nm〜50nmのプレート状の粒子が主な生成物として観察された(図3)。これは実施例2よりも保護能が大きいオクチルアミンを用いたことにより粒子の成長が抑制されたためと考えられる。
(実施例4)
実施例2のNaClをNaCO(和光純薬工業株式会社製、特級) 0.47mg(0.0044mmol)に置き換えた以外は同様の方法で操作したところ、銀色の固体生成物 142mg(銀基準収率 90.6%)が得られた。
得られた固体生成物をSEMで観察したところ、長径50nm〜500nm、厚さ20nm〜50nmのプレート状の粒子が主な生成物として観察された(図4)。この実施例では、粒子径、粒子形状が共にばらつきが比較的大きかった。
(実施例5)
実施例1のn−ブチルアミンを2−メトキシエチルアミン(234mg、3.12mol)に置き換えた以外は同様の方法で操作したところ、銀色の固体生成物が得られた。
得られた固体生成物をSEMで観察したところ、長径50nm〜100nm、厚さ20nm程度のプレート状の粒子が主な生成物として観察された(図5)。
(比較例1)
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成工業株式会社製、特級) 2.04g(20.0mmol)、n−オクチルアミン(花王株式会社製、純度:98%) 1.94g(15.0mmol)、n−ドデシルアミン(関東化学株式会社製、特級) 0.93g(5.0mmol)を混合し、この混合溶液に参考例1で得られたシュウ酸銀 6.08g(20.0mmol)を加え、3分間撹拌し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物を調製した。これを95℃で20〜30分間加熱撹拌すると、二酸化炭素の発泡を伴う反応が完結し、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール(関東化学株式会社製、一級)を10mL加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色光沢の被覆銀微粒子の固体生成物 4.62g(銀基準収率97.0%)が得られた。
得られた固体生成物をSEMで観察したところ、10nm〜20nmの球状微粒子が観察された(図6)。
(比較例2;ポリオール法)
シュウ酸銀(東洋化学工業株式会社製) 238mgとポリビニルピロリドン(分子量40000;PVP) 218mgをエチレングリコール 6mL中に溶解させ、0.52mgのNaClを加え、150℃で1時間加熱撹拌した。得られた銀色の懸濁液にアセトンとエタノールを2.5mLずつ加え、遠心分離により得られた固体生成物を自然乾燥させ、銀色の固体生成物152mg(銀基準収率 90%)が得られた。
得られた固体生成物をSEMで観察したところ、ミクロンオーダーの粗大なフレークが主な生成物で、一部ワイヤー状の銀粒子が観察された(図7)。
(試験例)
実施例1及び比較例1で得られた銀微粒子について、保護分子量、粘度、体積抵抗、反り、についてそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
[アウトガス量]:得られた銀微粒子の乾粉を、示差熱‐熱重量同時測定(TG−DTA)により40から500℃まで、昇温速度10℃/minにて測定し、測定前後の質量減少分をアウトガス量(%)とした。
[粘度]:得られた銀微粒子が80質量%となるようにターピオネールを加えて溶液を調整し、遊星撹拌(2000rpm×2min)で銀ペーストを作製した。作製したペースト0.4ccを用いE型粘度計により0.5rpmで粘度を測定した。
[体積抵抗]:粘度測定で得られた銀ペーストをスライドガラス上にスキージし、150℃×0.5hで硬化(焼結)させ、5mm×50mm×20mm(厚さ)の硬化物を作製した。この硬化物について、抵抗率計(三菱化学アナリテック株式会社製、商品名:ロレスター)により、体積抵抗を測定した。
[反り]:粘度測定で得られた銀ペーストを、硬化後の厚さが20μmとなるようにCuフレーム上に塗布し、Siチップ(8mm×8mm×厚さ300μm)をマウント、オーブン硬化(150℃、0.5h)した。得られたSiチップ上をαステップIQ(KLA−Tencor Corporation社製、商品名)にてスキャンし、測定により取得された高低差を反りとした。ここでαステップIQの、スキャンレートを0.2mm/s、スキャン長さを7.5mmとして測定した。
これらの結果から明らかなように、実施例では、プレート状に制御された微小な粒子を効率的に製造でき、このようにして得られた銀微粒子は、アウトガス量が少なく、これを接着剤組成物とした際には、導電性に優れ、反りの少ない製品が得られることがわかった。すなわち、本発明の銀微粒子は、接着剤組成物等にしたときに充填性に優れ、低温焼結が可能で、焼結時の体積収縮率も低く、かつ、アウトガス量も低減でき、高密度配線やダイアタッチペースト用途に適したものである。一方、比較例1では、アウトガス量が多く、粒子形状が球状であるため、実際に体積抵抗や反りが大きくなっており、体積収縮率が大きく、充填性も劣る。また、比較例2では粒径が大きいため、焼結温度が高くなってしまっていた。

Claims (7)

  1. シュウ酸銀とアルキルアミン又はアルコキシアミンとを混合して、シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又はシュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を生成させる第1工程と、
    前記シュウ酸銀−アルキルアミン錯体又は前記シュウ酸銀−アルコキシアミン錯体を、アルコール溶媒中で、構成成分としてCl 又はCO 2− の陰イオンを含有し、金属銀を銀イオンに酸化する酸化剤と混合し、加熱分解させて前記アルキルアミン又は前記アルコキシアミンで被覆されたプレート状の銀微粒子を生成させる第2工程と、
    を含むことを特徴とする銀微粒子の製造方法。
  2. 前記アルキルアミン又は前記アルコキシアミンの沸点が50〜250℃であり、アルキルアミン又はアルコキシアミンとしてモノアミンを使用する場合、その配合量は前記シュウ酸銀1モルに対して2〜8モル、アルキルアミン又はアルコキシアミンとしてジアミンを使用する場合、その配合量は前記シュウ酸銀1モルに対して1〜8モルであることを特徴とする請求項1記載の銀微粒子の製造方法。
  3. 前記アルコール溶媒は、1級又は2級アルコールであることを特徴とする請求項1又は2記載の銀微粒子の製造方法。
  4. 前記第2工程において加熱温度が200℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の銀微粒子の製造方法。
  5. 前記酸化剤として、Clを用いる場合には、前記アルコール溶媒中に0.01〜0.6mmol/Lの濃度範囲で、C 2−を用いる場合には、前記アルコール溶媒中に0.005〜0.3mmol/Lの濃度範囲で酸化剤を含有させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の銀微粒子の製造方法。
  6. 前記酸化剤が、NaCl、KCl、ZnCl、NiCl、CoCl、CuCl、FeCl 、NCO及びNaHCOから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の銀微粒子の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の銀微粒子の製造方法により得られ、長径が10〜1000nmで、かつ、厚さが5〜100nmのプレート状であることを特徴とする銀微粒子。
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