JP2009120755A - 環状オレフィン重合体の成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液キャスト法により調製され、厚み均一性および透明性に優れ、かつ、残留溶媒の量が低減され、これにより、収縮率が低く、高真空度の確保が可能な環状オレフィン重合体の成形体を提供すること。
【解決手段】環状オレフィン重合体、および前記環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒を含む環状オレフィン重合体溶液を、基材上にキャストする工程と、前記基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥し、凝固させることにより、環状オレフィン重合体の成形体を得る工程と、前記環状オレフィン重合体の成形体を、前記環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および前記良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる工程と、を有し、前記混合溶媒として、前記良溶媒の含有割合が10〜5,000ppmである混合溶媒を用いることを特徴とする環状オレフィン重合体の成形体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】環状オレフィン重合体、および前記環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒を含む環状オレフィン重合体溶液を、基材上にキャストする工程と、前記基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥し、凝固させることにより、環状オレフィン重合体の成形体を得る工程と、前記環状オレフィン重合体の成形体を、前記環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および前記良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる工程と、を有し、前記混合溶媒として、前記良溶媒の含有割合が10〜5,000ppmである混合溶媒を用いることを特徴とする環状オレフィン重合体の成形体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解して得られる溶液を用いた溶液キャスト法(溶液流延法)により、環状オレフィン重合体の成形体を製造するための方法に係り、さらに詳しくは、得られる成形体中の残留溶媒の量が低減された環状オレフィン重合体の成形体の製造方法に関する。また、本発明はこのような方法により得られる環状オレフィン重合体の成形体にも関する。
環状オレフィン重合体は透明性などの優れた光学特性に加え、耐水性、耐湿性、物理的強度、耐熱性などに優れているため、光学材料用途に好適に用いられている。このような環状オレフィン重合体は、光学材料用途に用いられる際には、フィルム状またはシート状に成形されて用いられることが多い。そして、この場合には、厚み均一性に優れ、分子配向性の少ない高品質なフィルム状またはシート状の成形体を得るために、環状オレフィン重合体を溶媒に溶解して得られる環状オレフィン重合体溶液を用いた溶液キャスト法により成形する方法が用いられている。
このような溶液キャスト法により、フィルム状またはシート状の成形体を製造する際には、通常、環状オレフィン重合体溶液を基材上にキャストし、次いで、基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液中の溶媒を除去するという工程が採用される。ここで、環状オレフィン重合体を溶解するための溶媒は、環状オレフィン重合体を溶解させ易く、環状オレフィン重合体との親和性が強いので、常温では揮発し難いという性質を有する。そのため、このような溶媒を除去するために加熱することが行われている。しかしながら、加熱により溶媒を除去する際には、加熱温度・時間の適性範囲が狭く、そのため、溶液キャスト法により得られる成形品は、他の成形方法で成形されたものに比べて、外観不良や耐熱性の低下を起こすことがあった。
これに対して、たとえば特許文献1では、所定の環状オレフィン重合体と、これを溶解可能な第1の溶剤とからなる環状オレフィン重合体溶液を、支持体上にキャストし、次いで、支持体上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を、環状オレフィン重合体を実質的に溶解しない第2の溶剤の液体または蒸気に接触させることにより、環状オレフィン重合体のフィルム状またはシート状の成形体を得る方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、得られる環状オレフィン重合体の成形体中に、残留する溶剤の量が多く、そのため、得られる成形体の加熱時の収縮率が大きくなってしまうという不具合や、さらには、スパッタリングや蒸着工程などの高真空度を要する用途に用いた場合に、溶剤が蒸発してしまい、高真空度を達成できないという不具合があった。
本発明は、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解して得られる溶液を用いた溶液キャスト法により、環状オレフィン重合体の成形体を製造する方法において、得られる成形体中における残留溶媒の量を低減できる環状オレフィン重合体の成形体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような製造方法により製造され、厚み均一性および透明性に優れ、かつ、残留溶媒の量が低減されることにより、収縮率が低く、高真空度の確保が可能な環状オレフィン重合体の成形体を提供することも目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解して得られる溶液を用いた溶液キャスト法(溶液流延法)により、環状オレフィン重合体の成形体を製造する際に、基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥して、環状オレフィン重合体の成形体とした後に、得られた成形体を、環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒と所定量の良溶媒とを含有する混合溶媒に接触させることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、環状オレフィン重合体、および前記環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒を含む環状オレフィン重合体溶液を、基材上にキャストする工程と、前記基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥して、環状オレフィン重合体の成形体を得る工程と、前記環状オレフィン重合体の成形体を、前記環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および前記良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる工程と、を有し、前記混合溶媒として、前記良溶媒の含有割合が10〜5,000ppmである混合溶媒を用いることを特徴とする環状オレフィン重合体の成形体の製造方法が提供される。
本発明において、好ましくは、前記環状オレフィン重合体の成形体を前記混合溶媒に接触させる工程が、前記環状オレフィン重合体の成形体を前記混合溶媒に浸漬させる工程である。
また、本発明によれば、上記いずれかの方法により得られた環状オレフィン重合体の成形体が提供される。
本発明の環状オレフィン重合体の成形体の製造方法によれば、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解して得られる溶液を、基材上にキャストし、これを乾燥して、環状オレフィン重合体の成形体とした後に、得られた成形体を、貧溶媒および所定量の良溶媒を含有する混合溶媒に接触させるものである。そのため、得られる成形体を、厚み均一性および透明性に優れたものとしながら、成形体中における残留溶媒の量を低減することができ、これにより、収縮率が低く、高真空度の確保が可能な環状オレフィン重合体の成形体を提供することができる。
本発明の環状オレフィン重合体の成形体の製造方法は、環状オレフィン重合体、および前記環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒を含む環状オレフィン重合体溶液を、基材上にキャストする工程と、前記基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥して、環状オレフィン重合体の成形体を得る工程と、前記環状オレフィン重合体の成形体を、前記環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および前記良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる工程と、を有し、前記混合溶媒として、前記良溶媒の含有割合が10〜5,000ppm(重量基準)である混合溶媒を用いることを特徴とする。
環状オレフィン重合体
まず、本発明で用いる環状オレフィン重合体について説明する。
本発明で用いる環状オレフィン重合体は、環状オレフィン単量体単位を有する重合体であれば特に限定されず、たとえば、環状オレフィンの単独重合体または2種以上の環状オレフィンの共重合体、さらには、エチレンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンと1種または2種以上の環状オレフィンとの共重合体などが例示される。
本発明においては、透明性、耐熱性、耐薬品性、低吸水性および光学特性の観点から、環状オレフィン重合体としては、ノルボルネン化合物の付加重合体が好ましい。
まず、本発明で用いる環状オレフィン重合体について説明する。
本発明で用いる環状オレフィン重合体は、環状オレフィン単量体単位を有する重合体であれば特に限定されず、たとえば、環状オレフィンの単独重合体または2種以上の環状オレフィンの共重合体、さらには、エチレンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンと1種または2種以上の環状オレフィンとの共重合体などが例示される。
本発明においては、透明性、耐熱性、耐薬品性、低吸水性および光学特性の観点から、環状オレフィン重合体としては、ノルボルネン化合物の付加重合体が好ましい。
〔ノルボルネン化合物付加重合体〕
ノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(I)で示されるノルボルネン化合物のビニル付加重合により形成される、一般式(II)で示される繰返し構造単位を有する重合体であることが好ましい。
ノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(I)で示されるノルボルネン化合物のビニル付加重合により形成される、一般式(II)で示される繰返し構造単位を有する重合体であることが好ましい。
酸素原子を含む官能基の具体例としては、ヒドロキシル、アルコキシル、アリールオキシ、カルボニル、ヒドロキシカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、酸無水物等;窒素原子を含む官能基の具体例としては、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ等;酸素原子及び窒素原子を含む官能基の具体例としては、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル等;硫黄原子を含む官能基の具体例としては、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ等;ケイ素原子を含む官能基の具体例としては、シリル、アルキルシリル、アリールシリル等;酸素原子及びケイ素原子を含む官能基の具体例としては、アルコキシシリル、アリールオキシシリル等;を挙げることができる。
ノルボルネン化合物付加重合体は、一般式(I)で示されるノルボルネン化合物の、一種単独の付加重合体又は二種以上の付加共重合体(両者を総称して、「ノルボルネン化合物のみからなる付加(共)重合体」ということがある。)であってもよく、一般式(I)で示されるノルボルネン化合物とこれと共重合可能なノルボルネン化合物以外の単量体との付加共重合体であってもよい。
代表的なノルボルネン化合物として、一般式(I)のpが0であるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類及びpが1であるテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類を挙げることができるが、pが2以上のものも勿論使用できる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類の具体例としては、以下のものを示すことができる。
2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン(5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(「トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン」ともいう。)等の炭化水素基を置換基として有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
2−ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン);5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン(5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン」ともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(「1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン」ともいう。)、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン(「トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン」ともいう。)等の炭化水素基を置換基として有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等のヒドロキシカルボニル基又は酸無水物基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル等のアルコキシカルボニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン等のヒドロキシル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルバルデヒド等のヒドロカルボニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
3−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸等のアルコキシルカルボニル基とヒドロキシカルボニル基とを有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
酢酸5−ノルボルネン−2−イル、酢酸2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル等のカルボニルオキシ基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキサミド、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸イミド等のニトリル基等の窒素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−クロロ−2−ノルボルネン等のハロゲン原子を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン等のケイ素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類。
5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン等のケイ素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類。
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類の具体例としては、以下のものを示すことができる。
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン;9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の炭化水素基を置換基として有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン;9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンテニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等の炭化水素基を置換基として有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル等のアルコキシカルボニル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物等のヒドロキシカルボニル基又は酸無水物基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−オール等のヒドロキシル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルバルデヒド等のヒドロカルボニル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
酢酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、アクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、メタクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル等のカルボニルオキシ基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボキサミド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸イミド等のニトリル基等の窒素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン等のハロゲン原子を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、4−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン等のケイ素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類。
これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、無置換又は炭化水素置換基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類や無置換又は炭化水素置換基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類等であって、官能基を有さないノルボルネン化合物が好ましい。
なお、炭化水素置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
なお、炭化水素置換基としては、炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(I)で示されるノルボルネン化合物とこれと共重合可能なノルボルネン化合物以外の単量体は、特に限定されないが、その具体例としては、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;シクロペンテン等のモノ環状オレフィン;スチレン等のスチレン類等を挙げることができる。
ノルボルネン化合物付加重合体において、重合体中のノルボルネン化合物由来の構造単位の割合は、通常、50モル%、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、特に好ましくは100モル%(「ノルボルネン化合物のみからなる付加(共)重合体」)である。
そして、上記一般式(I)で表されるノルボルネン化合物を含む単量体混合物を、重合触媒の存在下で、従来公知の方法で付加重合させることにより、上記一般式(II)で表される繰返し単を有するノルボルネン化合物付加重合体を得ることができる。付加重合させるために用いる重合触媒としては特に限定されず、従来公知のものを使用すれば良いが、たとえば、[6−メトキシノルボルネン−2−イル−5−パラジウム(シクロオクタジエン)]ヘキサフルオロホスフェート、(アリル)パラジウムクロリドダイマー/トリシクロヘキシルホスフィン/リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート・2.5エーテル、(フェニル)パラジウムビス(トリフェニルホスフィン)イオダイド/メチルアルミノキサン等の第10族遷移金属触媒からなる重合触媒が挙げられる。また、上記ノルボルネン化合物を含む単量体混合物を付加重合させて得られた重合体中に、オレフィン性不飽和結合が存在することとなる場合には、オレフィン性不飽和結合を従来公知の方法で水素化して用いることが好ましい。
本発明で用いる環状オレフィン重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定して得られるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が300,000〜700,000の範囲であることが好ましく、また、数平均分子量(Mn)が80,000〜350,000の範囲であることが好ましい。
また、本発明で用いる環状オレフィン重合体の示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)の下限は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは230℃以上であり、上限は、好ましくは400℃以下、より好ましくは370℃以下、特に好ましくは350℃以下である。
また、本発明で用いる環状オレフィン重合体の示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)の下限は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上、特に好ましくは230℃以上であり、上限は、好ましくは400℃以下、より好ましくは370℃以下、特に好ましくは350℃以下である。
環状オレフィン重合体の成形体の製造方法
次いで、本発明の環状オレフィン重合体の成形体の製造方法について、説明する。
(1)まず、環状オレフィン重合体と、環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒とを含有する環状オレフィン重合体溶液を調製する。環状オレフィン重合体溶液は、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解し、必要に応じて濾過および/または脱法処理を行うことにより調製される。なお、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解する際には、良溶媒の沸点未満の温度で加温しながら溶解させても良い。
次いで、本発明の環状オレフィン重合体の成形体の製造方法について、説明する。
(1)まず、環状オレフィン重合体と、環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒とを含有する環状オレフィン重合体溶液を調製する。環状オレフィン重合体溶液は、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解し、必要に応じて濾過および/または脱法処理を行うことにより調製される。なお、環状オレフィン重合体を良溶媒に溶解する際には、良溶媒の沸点未満の温度で加温しながら溶解させても良い。
なお、良溶媒とは、温度25℃の条件において、環状オレフィン重合体を5重量%の濃度で完全に溶解できる溶媒をいう。良溶媒は特に限定されず、用いる環状オレフィン重合体を構成する構造単位の種類や含有される官能基の種類・含有量等に応じて、選択すれば良い。このような良溶媒としては、たとえば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素;クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;等が挙げられる。なお、これらの溶媒は混合して用いても良い。
良溶媒の沸点は、好ましくは40〜300℃、より好ましくは60〜200℃、特に好ましくは80〜150℃である。
良溶媒の沸点は、好ましくは40〜300℃、より好ましくは60〜200℃、特に好ましくは80〜150℃である。
環状オレフィン重合体溶液中における、環状オレフィン重合体の比率は、得られる成形体の厚みに応じて適宜決定すれば良いが、環状オレフィン重合体溶液全体100重量部に対して、好ましくは5〜40重量部であり、より好ましくは5〜30重量部である。環状オレフィン重合体の比率が低すぎると、得られる溶液の粘度が低くなりすぎてしまい、成形が困難となる傾向にある。一方、環状オレフィン重合体の比率が高すぎると、得られる溶液の粘度が高くなりすぎてしまい、同様に成形が困難となる傾向にある。
(2)次いで、上記にて調製した環状オレフィン重合体溶液を、所定の基材上にキャストして薄膜状に形成し、続いて、薄膜状に形成した環状オレフィン重合体溶液を乾燥して、環状オレフィン重合体のフィルム状またはシート状の成形体を得る。
環状オレフィン重合体溶液を、所定の基材上にキャストして薄膜状に形成する方法としては、特に限定されないが、たとえば、環状オレフィン重合体溶液を基材上に流す方法の他、塗布する方法などが挙げられる。
薄膜状に形成した環状オレフィン重合体溶液を乾燥させる際の温度は、特に限定されず、環状オレフィン重合体溶液中に含有される良溶媒を除去することができ、成形体を得ることができる温度とすれば良いが、好ましくは30〜80℃であり、より好ましくは35〜60℃である。乾燥温度が低すぎると、良溶媒の除去に時間がかかり過ぎてしまい、生産性が低下してしまう。一方、乾燥温度が高すぎると、得られる環状オレフィン重合体の耐熱性が劣化したり、成形前の溶液が発泡を起こす傾向にある。なお、乾燥時間は、好ましくは0.5〜30分であり、より好ましくは1〜20分である。
なお、乾燥後の成形体中における残留溶媒の含有割合は、通常、5,000〜100,000ppm(重量基準)の範囲である。
(3)次いで、得られた環状オレフィン重合体の成形体を、環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および所定量の良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる。環状オレフィン重合体の成形体を、このような所定の混合溶媒に接触させることにより、成形体中に残留する良溶媒の含有量を低減するこができる。
混合溶媒を構成する貧溶媒は、温度25℃の条件において、環状オレフィン重合体を1重量%の濃度で完全に溶解できない溶媒をいう。本発明において貧溶媒は、環状オレフィン重合体溶液を調製する際に用いる良溶媒と均一に混合可能な溶媒であることが好ましい。貧溶媒として、良溶媒と均一に混合可能な溶媒を用いることにより、成形体中に残留する良溶媒の含有量の低減効果を大きくすることができる。
このような貧溶媒としては、用いる環状オレフィン重合体を構成する構造単位の種類や含有される官能基の種類・含有量等に応じて、選択すれば良いが、たとえば、メタノール、エタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、アセトン等の炭素数1〜8の含酸素炭化水素;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等の炭素数1〜10の含ハロゲン炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭素数5〜8の脂肪族炭化水素;アセトニトリルに代表される低級ニトリル;等が挙げられる。なお、これらの溶媒は混合して用いても良い。
貧溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜90℃である。
貧溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜90℃である。
また、混合溶媒中には、上記貧溶媒に加えて、環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒が含有される。良溶媒としては、たとえば、上述した環状オレフィン重合体溶液を調製する際に用いる溶媒と同様のものを用いることができる。混合溶媒中における、良溶媒の含有割合は、重量基準で10〜5,000ppmであり、好ましくは10〜1,000ppm、より好ましくは20〜1,000ppmである。混合溶媒として、良溶媒を含有しない溶媒を用いた場合や、混合溶媒中における良溶媒の含有割合が低すぎると、得られる成形体が白化したり、透明性が低下したり、さらにはクラック発生したりしてしまう。一方、混合溶媒中における良溶媒の含有割合が高すぎると、成形体中に残留する良溶媒の含有量の低減効果が得られなくなる。なお、混合溶媒として、良溶媒を含有しない溶媒を用いた場合や、混合溶媒中における良溶媒の含有割合が低すぎる場合に、成形体の白化や、透明性の低下、クラックの発生などが起こる理由としては、たとえば、混合溶媒と環状オレフィン重合体との親和性が著しく低いことによると考えられる。
環状オレフィン重合体の成形体を、貧溶媒および良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる方法としては特に限定されないが、環状オレフィン重合体の成形体を液体状の混合溶媒に浸漬する方法や、混合溶媒の蒸気に曝す方法などが挙げられるが、本発明では、液体状の混合溶媒に浸漬する方法が好ましい。たとえば、環状オレフィン重合体の成形体が、長さ方向に連続したフィルム状またはシート状である場合には、ロール状に巻き取られた成形体を、混合溶媒槽中に連続的に送り、巻き取るという工程を採用することにより、連続的に混合溶媒中に浸漬させることができる。なお、この場合には、たとえば、混合溶媒槽に溶媒分離処理装置を設けることにより、混合溶媒中における良溶媒の含有割合を一定に保てるような構成を採用することができる。また、必要に応じて、混合溶媒と接触させる工程を数段階に分けてもよく、たとえば、良溶媒の含有比率を変化させた複数の混合溶媒を用い、成形体を、複数の混合溶媒に順次接触させるという方法を採用することができる。
環状オレフィン重合体の成形体を、貧溶媒および良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる際における、混合溶媒の温度は、20〜Tb℃とすることが好ましく、より好ましくは20〜(Tb−10)℃である(「Tb」は、混合溶媒中の最も沸点が低い成分の沸点を表す)。混合溶媒の温度が低すぎると成形体中における良溶媒の含有割合の低減効果が不十分となる傾向にあり、高すぎると溶媒が沸騰を起こし成形体に欠陥を作ってしまう傾向にある。
環状オレフィン重合体の成形体を、貧溶媒および良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる際の時間は、好ましくは10秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分である。
環状オレフィン重合体の成形体を、貧溶媒および良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる際の時間は、好ましくは10秒〜10分、特に好ましくは30秒〜5分である。
以上のようにして、本発明に係る環状オレフィン重合体の成形体は製造される。このようにして得られる本発明に係る環状オレフィン重合体の成形体は、厚み均一性および透明性に優れ、白化やクラックの発生が有効に防止されており、しかも、成形体中における残留溶媒量が重量基準で、好ましくは1,000ppm以下、より好ましくは500ppm以下に低減されており、これにより、加熱時の収縮率を低くすることができ、さらには、スパッタリングや蒸着工程などの高真空度を要する用途に用いた場合において、高真空度の確保が可能となる。
そして、このような発明に係る環状オレフィン重合体の成形体は、上記特性を生かし、カラーフィルター用基板、導光板、保護フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、タッチパネル、透明電極基板、CD、MD、DVD等の光学記録基板、TFT用基板、液晶表示基板、有機EL表示基板等や光伝送用導波路、光学レンズ類、封止材等の光学部品として、好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例における部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
また、各特性は、下記に示す方法により測定した。
成形体中の残留溶媒量
成形体中の残留溶媒量は、まず、成形体から1gの試験片を調製し、これを30℃のトルエン50g中に浸漬させて、カラムとしてPhenomenex社製の製品番号ZB−5を用いたガスクロマトグラフィーにより、30℃から200℃まで5℃/minで昇温してトルエン中に溶解または抽出された成形体中の溶媒量(主に、トルエン以外の溶媒の量)を測定・定量した。次いで、上記とは別の1gの試験片を調製し、シクロヘキサン中に浸漬させ、30℃のシクロヘキサン50gに溶解または抽出された成形体中の溶媒量(主に、トルエンの量)を、上記と同様にして測定・定量した。そして、これらの結果に基づき、成形体中の残留溶媒量を測定した。
成形体中の残留溶媒量は、まず、成形体から1gの試験片を調製し、これを30℃のトルエン50g中に浸漬させて、カラムとしてPhenomenex社製の製品番号ZB−5を用いたガスクロマトグラフィーにより、30℃から200℃まで5℃/minで昇温してトルエン中に溶解または抽出された成形体中の溶媒量(主に、トルエン以外の溶媒の量)を測定・定量した。次いで、上記とは別の1gの試験片を調製し、シクロヘキサン中に浸漬させ、30℃のシクロヘキサン50gに溶解または抽出された成形体中の溶媒量(主に、トルエンの量)を、上記と同様にして測定・定量した。そして、これらの結果に基づき、成形体中の残留溶媒量を測定した。
成形体フィルムの収縮率
厚さ50μmの成形体フィルムを、縦横100mmのフィルムに裁断し、フィルム端から2mm以上内側の所に約90mm間隔の2本の標線を描く。25℃におけるこの各標線間の距離を測定した。この距離をX1とした。次に、測定サンプルを大気中、220℃で1時間加熱した。その後、25℃における上記標線間の距離を再び測定した。加熱後の各標線間の距離の測定値をX2として、次式により加熱前後の収縮率を求めた。
収縮率(ppm)={(X2−X1)/X1}×1,000,000
なお、上記標線は9対とし、それぞれの収縮率を単純平均して求めた。
厚さ50μmの成形体フィルムを、縦横100mmのフィルムに裁断し、フィルム端から2mm以上内側の所に約90mm間隔の2本の標線を描く。25℃におけるこの各標線間の距離を測定した。この距離をX1とした。次に、測定サンプルを大気中、220℃で1時間加熱した。その後、25℃における上記標線間の距離を再び測定した。加熱後の各標線間の距離の測定値をX2として、次式により加熱前後の収縮率を求めた。
収縮率(ppm)={(X2−X1)/X1}×1,000,000
なお、上記標線は9対とし、それぞれの収縮率を単純平均して求めた。
全光線透過率
厚さ50μmの成形体フィルムについて、紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400から700nmの範囲で、全光線透過率を測定した。
厚さ50μmの成形体フィルムについて、紫外・可視分光計(JASCO社製、商品名「V−550」)を用いて、波長400から700nmの範囲で、全光線透過率を測定した。
白化の有無
厚さ50μmの成形体フィルムを目視により観察することにより、白化の有無について評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。
○:成形体フィルム全体にわたり、白化が全く認められない。
×:成形体フィルムの一部に、白化が認められる。
厚さ50μmの成形体フィルムを目視により観察することにより、白化の有無について評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。
○:成形体フィルム全体にわたり、白化が全く認められない。
×:成形体フィルムの一部に、白化が認められる。
クラックの有無
厚さ50μmの成形体フィルムを目視により観察することにより、クラックの有無について評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。
○:成形体フィルム全体にわたり、クラックが全く認められない。
×:成形体フィルムの一部に、クラックが認められる。
厚さ50μmの成形体フィルムを目視により観察することにより、クラックの有無について評価した。なお、評価基準は以下の通りとした。
○:成形体フィルム全体にわたり、クラックが全く認められない。
×:成形体フィルムの一部に、クラックが認められる。
実施例1
環状オレフィン重合体の合成
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB;分子量=122)915部、分子量調整剤としてスチレン1,300部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(1)2,462部を得た。
共重合体(1)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は140,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は502,000、重合体中のNB単位/EtNB単位組成比は71/29(モル/モル)で、ガラス転移温度(Tg)は277℃であった。
環状オレフィン重合体の合成
窒素置換したガラス反応器に、(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)クロリド0.77部及びリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.14部を入れ、続けてトルエン2部を加え触媒液を調製した。
窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB;分子量=94)1,650部、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB;分子量=122)915部、分子量調整剤としてスチレン1,300部及び重合溶媒としてトルエン7,200部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。45℃で4.5時間反応させた後、重合反応液を多量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して共重合体(1)2,462部を得た。
共重合体(1)の数平均分子量(以下、「Mn」と略称することがある。)は140,000、重量平均分子量(以下、「Mw」と略称することがある。)は502,000、重合体中のNB単位/EtNB単位組成比は71/29(モル/モル)で、ガラス転移温度(Tg)は277℃であった。
成形体の製造
上記にて得られた環状オレフィン重合体10部を、良溶媒としてのトルエン90部に添加し、40℃、120分の条件で撹拌することにより、環状オレフィン重合体のトルエン溶液を調製した。そして、得られた環状オレフィン重合体のトルエン溶液を、基材としてのポリエステルフィルム(東洋包材製:PET A8300)上にキャストし、40℃、10分の条件で乾燥させることにより、フィルム状の成形体とした(残留溶媒量6900ppm)。次いで、得られたフィルム状の成形体を、貧溶媒としての酢酸メチルと良溶媒としてのトルエンとの混合溶媒(トルエンの含有量:25ppm)に、45℃、1分の条件で浸漬させ、その後オーブンで100℃、15分乾燥させることにより、厚さ50μmの環状オレフィン重合体の成形体フィルムを製造した。
得られた環状オレフィン重合体の成形体フィルムについて、上記した方法により、成形体中の残留溶媒量、成形体フィルムの収縮率、全光線透過率、白化の有無およびクラックの有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
上記にて得られた環状オレフィン重合体10部を、良溶媒としてのトルエン90部に添加し、40℃、120分の条件で撹拌することにより、環状オレフィン重合体のトルエン溶液を調製した。そして、得られた環状オレフィン重合体のトルエン溶液を、基材としてのポリエステルフィルム(東洋包材製:PET A8300)上にキャストし、40℃、10分の条件で乾燥させることにより、フィルム状の成形体とした(残留溶媒量6900ppm)。次いで、得られたフィルム状の成形体を、貧溶媒としての酢酸メチルと良溶媒としてのトルエンとの混合溶媒(トルエンの含有量:25ppm)に、45℃、1分の条件で浸漬させ、その後オーブンで100℃、15分乾燥させることにより、厚さ50μmの環状オレフィン重合体の成形体フィルムを製造した。
得られた環状オレフィン重合体の成形体フィルムについて、上記した方法により、成形体中の残留溶媒量、成形体フィルムの収縮率、全光線透過率、白化の有無およびクラックの有無の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
成形体フィルムを、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒に浸漬させる際の条件を、20℃、5分に変更した以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒に浸漬させる際の条件を、20℃、5分に変更した以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
成形体フィルムを浸漬する際に用いる酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒として、良溶媒であるトルエンの含有量が45ppmである混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを浸漬する際に用いる酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒として、良溶媒であるトルエンの含有量が45ppmである混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、貧溶媒としての酢酸エチルと良溶媒としてのトルエンとの混合溶媒(トルエンの含有量:25ppm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、貧溶媒としての酢酸エチルと良溶媒としてのトルエンとの混合溶媒(トルエンの含有量:25ppm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
成形体フィルムを、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒に浸漬させなかった以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒に浸漬させなかった以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、良溶媒であるトルエンを含有しない溶媒(すなわち、実質的に酢酸メチルのみからなる溶媒)を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、良溶媒であるトルエンを含有しない溶媒(すなわち、実質的に酢酸メチルのみからなる溶媒)を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、良溶媒であるトルエンの含有量が8,000ppmである混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
成形体フィルムを浸漬させる際に用いる溶媒として、酢酸メチルとトルエンとの混合溶媒の代わりに、良溶媒であるトルエンの含有量が8,000ppmである混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にして、環状オレフィン重合体の成形体フィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、環状オレフィン重合体のトルエン(良溶媒)溶液を、基材上にキャストし、これを乾燥し、凝固させて、成形体とした後に、得られた成形体を、酢酸メチルまたは酢酸エチル(貧溶媒)および10〜5000ppmのトルエン(良溶媒)を含有する混合溶媒に接触させるという工程を採用することにより、得られる成形体フィルムの厚み均一性および透明性を良好とし、白化およびクラックの発生を有効に防止しながら、成形体フィルム中の残留溶媒量の低減および収縮率の低下が可能となる。そして、成形体フィルム中の残留溶媒量の低減が可能となることにより、高真空度の確保も可能となる(実施例1〜4)。
一方、成形体フィルムを、酢酸メチル(貧溶媒)とトルエン(良溶媒)との混合溶媒に浸漬させなかった場合には、成形体フィルム中の残留溶媒量が多くなり、収縮率に劣る結果となった。また、残留溶媒量が多くなることにより、高真空度の確保も困難となる結果となった(比較例1)。
また、成形体フィルムを、トルエン(良溶媒)を含有しない溶媒(すなわち、実質的に酢酸メチル(貧溶媒)のみからなる溶媒)を用いた場合には、得られる成形体フィルムは、透明性が低下するとともに、白化やクラックが発生する結果となった(比較例2)。
さらに、混合溶媒中のトルエン量が多すぎる場合には、成形体フィルム中の残留溶媒量が多くなり、収縮率に劣る結果となった。また、残留溶媒量が多くなることにより、高真空度の確保も困難となる結果となった(比較例3)。
また、成形体フィルムを、トルエン(良溶媒)を含有しない溶媒(すなわち、実質的に酢酸メチル(貧溶媒)のみからなる溶媒)を用いた場合には、得られる成形体フィルムは、透明性が低下するとともに、白化やクラックが発生する結果となった(比較例2)。
さらに、混合溶媒中のトルエン量が多すぎる場合には、成形体フィルム中の残留溶媒量が多くなり、収縮率に劣る結果となった。また、残留溶媒量が多くなることにより、高真空度の確保も困難となる結果となった(比較例3)。
Claims (3)
- 環状オレフィン重合体、および前記環状オレフィン重合体を溶解可能な良溶媒を含む環状オレフィン重合体溶液を、基材上にキャストする工程と、
前記基材上にキャストした環状オレフィン重合体溶液を乾燥して、環状オレフィン重合体の成形体を得る工程と、
前記環状オレフィン重合体の成形体を、前記環状オレフィン重合体を溶解しない貧溶媒および前記良溶媒を含有する混合溶媒に接触させる工程と、を有し、
前記混合溶媒として、前記良溶媒の含有割合が10〜5,000ppmである混合溶媒を用いることを特徴とする環状オレフィン重合体の成形体の製造方法。 - 前記環状オレフィン重合体の成形体を前記混合溶媒に接触させる工程が、前記環状オレフィン重合体の成形体を前記混合溶媒に浸漬させる工程である請求項1に記載の環状オレフィン重合体の成形体の製造方法。
- 請求項1または2に記載の方法で得られた環状オレフィン重合体の成形体。
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JP7191795B2 (ja) | 2014-06-13 | 2022-12-19 | コニカミノルタ株式会社 | 環状ポリオレフィンフィルム |
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2007
- 2007-11-16 JP JP2007297511A patent/JP2009120755A/ja active Pending
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