JP2009120337A - エレベータ仮復旧運転システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エレベータまたは建物の地震前後の寸法変化または振動特性の変化の評価結果に応じて自動診断運転後に仮復旧運転をして強い震度の地震後でも運転可能とする。
【解決手段】建物に設置されたエレベータの近傍で建物の揺れを感知して揺れ感知信号を送信する地震感知器と、検出された揺れ感知信号の信号レベルに応じて、通常運転モード、自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかのモードを選択してエレベータの運転を制御する運転制御手段と、を備える。このシステムは、エレベータが設置される建物の昇降路またはエレベータの地震前後の寸法変化または振動特性の変化を検知することによりエレベータの運転安全性を評価する評価手段6,7を備えると共に、運転制御手段は、評価手段からの評価結果に従って自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかの運転モードを選択してエレベータの運転を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】建物に設置されたエレベータの近傍で建物の揺れを感知して揺れ感知信号を送信する地震感知器と、検出された揺れ感知信号の信号レベルに応じて、通常運転モード、自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかのモードを選択してエレベータの運転を制御する運転制御手段と、を備える。このシステムは、エレベータが設置される建物の昇降路またはエレベータの地震前後の寸法変化または振動特性の変化を検知することによりエレベータの運転安全性を評価する評価手段6,7を備えると共に、運転制御手段は、評価手段からの評価結果に従って自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかの運転モードを選択してエレベータの運転を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレベータ仮復旧運転システムに関し、特に、災害の発生で非常停止されたエレベータを災害後に迅速で安全に仮復旧を可能にするエレベータ仮復旧運転システムに関する。
地震発生時のエレベータの被害として、機器の損傷や利用者の乗りかご内への閉じ込めなどがあり、このような閉じ込めへの対策のひとつとして、地震管制が行なわれている。すなわち、比較的小さい加速度レベル(特低レベル加速度)で動作する第1の地震感知器や、前記特低加速度より大きい加速度レベル(低加速度)で動作する第2の地震感知器を備え、第1の地震感知器のみが動作した場合には、一旦、最寄り階にかごを移動して利用者を降ろし所定の時間経過後に平常運転に復帰し、第1および第2の地震感知器が動作した場合には、最寄り階にかごを移動し乗客を降ろした後運転を休止し、専門技術者が点検し異常が無いことを確認した後に平常運転する地震時管制運転が行なわれている(特許文献1参照)。
図7は地震時管制運転のフローチャートである。図7において、エレベータが平常運転されているとき、広域にわたって地震が発生した場合、特低地震感知器が動作したか否かを判断し(ステップST1)、動作しなければ平常運転を続行する(ステップST2)。特低地震感知器が動作したと判断された場合は、低地震感知器が動作したか否かを判断し(ステップST3)、動作しなかったと判断された場合は、走行中か否かが判断され(ステップST4)、走行中の場合には最寄り階まで走行して停止する(ステップST5)。ステップST4で走行中でないと判断された場合、または、ステップST5で最寄り階に停止した場合は、ドアを開き(ステップST6)、15秒後にドアを閉じる(ステップST7)。その後、かご内で戸開ボタンが押されたか否かが判断され(ステップST8)、押された場合には利用者がかご内に残っているので、ステップST6,ST7の動作を繰り返し、押されなかった場合には特低感知器を自動リセットして(ステップST9)、平常運転に復帰する(ステップST10)。
ステップST3で低感知器が動作したものと判断された場合には、動作した場合は走行中か否かが判断され(ステップST11)、走行中の場合には最寄り階まで走行して停止する(ステップST12)。ステップST11の判断で走行中でない場合、または、ステップST12で最寄り階に停止した場合には、ドアを開き(ステップST13)、15秒後にドアを閉じて(ステップST14)、運転を休止する(ステップST15)。次に、かご内で戸開ボタンが押されたか否かが判断され(ステップST16)、押された場合には利用者がかご内に残っているので、ステップST13〜ST16の動作を繰り返し、押されなかった場合には運転休止を継続する(ステップST17)。その後、専門技術者による点検を行ない(ステップST18)、平常運転に復帰する(ステップST19)。
一方、最近発生した千葉県北西部を震源とする地震では、1都3県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)で、上記のような地震管制運転装置を備えたエレベータのうちのおよそ44%(64,000台)のエレベータにおいて、第2の地震感知器まで動作して停止した。このため、エレベータ専門技術者による点検後にエレベータを再稼動させるため、復旧まで多くの時間(最大24時間)を要した。このようなエレベータの停止台数を削減する対策として、図8に示すように、低加速度よりも大きい加速度(高加速度) で動作する第3の地震感知器を設置し、第2の地震感知器が動作しても第3の地震感知器が動作していなければ、一定時間経過後、自動的に機器の損傷がないかを確認し、さらに自動診断運転を行ない異常が無いことを確認し、地震感知器をリセットした後に、仮復旧運転を行なうシステムが開発されている。
図8において、図7のステップST16とST17との間に、第3の感知器としての高感知器が動作したか否かを判断するステップST20が追加され、高感知器が動作したものと判断された場合には、図7と同様のステップST17〜ST19が行なわれ、ステップST20で高感知器が動作しなかったものと判断された場合には、自動診断運転が行なわれ(ステップST21)、異常がないか否かが判断され(ステップST22)、異常がある場合にはステップST17〜ST19の動作を行ない、異常がない場合には仮復旧運転を行なって(ステップST23)から専門技術者による点検(ステップST18)をしてから平常運転に復帰する(ステップST19)。
特開平11−171423号公報
上記仮復旧運転を行なうシステム(以下、自動診断・復旧システムとする)は、現状では震度5程度までを想定しているが、地震時の防災拠点となる建物や超高層ビルなどの重要な建物では、建物の利用者の避難のために、少なくとも震度6強くらいまでは地震後に稼動できるエレベータが望まれている。特に、超高層ビルでは、少なくとも1台のエレベータが稼動していないと、建物の利用者が避難する際に苦痛を強いられることになる。
しかし、前記第3の地震感知器の設定レベルを上げて震度6 強まで、仮復旧運転を行なうようにし、エレベータ本体に大きな損傷を受けていなくても、建物自体が損傷を受けている可能性があり、建物自体の健全性を確認しなければ、エレベータを仮復旧することはできないという課題があった。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、エレベータが設置されている建物の地震前後の寸法変化(例えば、層間変位) または振動特性の変化を評価する手段を有し、その評価結果に応じて、自動診断運転後、仮復旧運転を行なうことにより、震度6強程度の地震後も運転可能なエレベータ仮復旧運転システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の基本構成となる第1構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、建物に設置されたエレベータと、前記エレベータの近傍に設けられて前記建物の揺れを感知して揺れ感知信号を送信する地震感知器と、前記地震感知器により検出された揺れ感知信号の信号レベルに応じて、通常運転モード、自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかのモードを選択して前記エレベータの運転を制御する運転制御手段と、を少なくとも備えるエレベータ仮復旧運転システムにおいて、前記エレベータが設置される前記建物の昇降路および前記エレベータの少なくとも一方の地震前後の寸法変化または振動特性の変化を検知することによりエレベータの運転安全性を評価する評価手段を備えると共に、前記運転制御手段は、前記評価手段からの評価結果に従って前記自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかの運転モードを選択してエレベータの運転を制御することを特徴とする。
本発明の第2構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第1構成に記載のものにおいて、前記評価手段が、建物の層間変位が所定のレベルを超えたか否かによって建物の地震前後の寸法変化を判断することを特徴とする。
本発明の第3構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第1構成に記載のものにおいて、前記評価手段が、エレベータの三方枠の変形量をもとに建物の地震前後の寸法変化を判断することを特徴とする。
本発明の第4構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第2または第3構成に記載のものにおいて、前記評価手段が、光を投受光する投光部と受光部を含む層間変位検知光学系と、前記受光部における受光結果に基づいて前記層間変位を検知する層間変位検知部と、を備え、前記運転制御手段は、前記層間変位検知部における層間変位検知結果に基づいて、建物の地震前後の寸法変化を判断してエレベータの運転を制御することを特徴とする。
本発明の第5構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第1構成に記載のものにおいて、前記評価手段が、建物の上部に設置された加速度センサにより計測した加速度データから固有振動数を求め、その固有振動数の変化率が所定のレベルを超えたか否かによって建物の地震前後の振動特性の変化を判断することを特徴とする。
本発明の第6構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第1ないし第5構成の何れかに記載のものにおいて、前記評価手段からの評価結果を少なくともサービスセンタへ送信する評価結果送信手段と、前記サービスセンタ側に設けられ前記評価結果送信手段より送信された前記評価結果に基づいて専門技術者の派遣を指令する派遣指令手段と、をさらに備えることを特徴とする。
本発明の第7構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第6構成に記載のものにおいて、前記エレベータ制御装置内に設けられて前記評価結果を保存する評価結果保存手段をさらに備え、前記評価結果送信手段は前記サービスセンタからの指令に基づいて前記評価結果を前記サービスセンタへ送信することを特徴とする。
本発明の第8構成に係るエレベータ仮復旧運転システムは、第6または第7構成に記載のものにおいて、少なくとも前記サービスセンタに設けられて、前記評価結果を所定範囲の地図上に表示することにより前記エレベータやこのエレベータが設置された建物の被害状況を地図上に表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明によれば、エレベータが設置されている建物の地震前後の寸法変化(例えば、層間変位) または振動特性の変化を評価する手段を有し、その評価結果に応じて、自動診断運転後、仮復旧運転を行なうことができ、震度6強程度の地震後も運転可能なエレベータ仮復旧運転システムを提供することができる。
本発明の特徴の1つは、エレベータの自動診断・仮復旧システムにおいて、地震後エレベータに大きな損傷が無いことを確認するだけでなく、地震前後の建物の寸法(たとえば層間変位) や振動特性に大きな変化が無いことを確認した後に、自動診断運転を開始することにある。
以下、本発明にかかわるエレベータ装置の実施例について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
まず、図1ないし図4を用いて第1実施形態を説明する。図1ないし図4は本発明によるエレベータ装置の第1実施形態を示す構成図および説明図である。このエレベータ装置は、図1に示すように、建物の天上1と床3との間の壁2に設けられたエレベータドア5を囲繞する三方枠4の部分に、距離センサ6(例えば、赤外線式距離センサ、超音波式距離センサ、レーザ式距離センサなど)と、ターゲット7とが記設されている。
まず、図1ないし図4を用いて第1実施形態を説明する。図1ないし図4は本発明によるエレベータ装置の第1実施形態を示す構成図および説明図である。このエレベータ装置は、図1に示すように、建物の天上1と床3との間の壁2に設けられたエレベータドア5を囲繞する三方枠4の部分に、距離センサ6(例えば、赤外線式距離センサ、超音波式距離センサ、レーザ式距離センサなど)と、ターゲット7とが記設されている。
図2を用いて、建物に層間変位が発生した場合の層間変位測定方法について説明する。地震などによって、例えば建物に層間変位(ΔL/H)が発生した場合を考える。このとき、三方枠4に設置された距離センサ6とターゲット(受光部)7との距離は、元の距離Sから伸び量ΔSだけ長くなる。逆方向に変形すれば伸び量ΔSだけ短くなる。この伸び量ΔS(=ΔL*L/S)と層間変位量(ΔL/H)とは、次式(1)の関係を有する。したがって、距離センサ6により測定した距離に基づいて、層間変位量(ΔL/H)を求めることができる。
ΔL/H=ΔS*S/(H*L) (1)
ΔL/H=ΔS*S/(H*L) (1)
次に、地震発生時のエレベータ仮復旧までのフローを図3、図4を用いて説明する。図3はフローの概要図を示し、図4はより具体的に記述した詳細フロー図である。地震発生によって、第1の地震感知器(特低)と第2の地震感知器(低)が動作し、第3の地震感知器(高)が、動作しなかった場合に、従来のエレベータと異なる動作をする。
図3は、第1実施形態によるエレベータ仮復旧運転システムの動作の概要を示すフローチャートである。図3において、地震が発生して、地震感知器が作動すると(ステップST30)、ステップST31でエレベータの運転が休止され、自動診断と仮復旧動作が行なわれる。まず、一定時間が経過したか否かが判断され(ステップST32)、一定時間経過していない場合にはステップST31の運転休止状態を維持する。一定時間が経過したものと判断された場合には、エレベータを動作させるのに必要な機器に大きな損傷がなかったか否かが判断され(ステップST33)、機器に大きな損傷があった場合にはステップST34で運転の休止が維持される。次に、エレベータが設置された建屋に大きな損傷がないか否かが判断され(ステップST35)、建屋に大きな損傷があった場合にはステップST34で運転の休止が維持される。
ステップST35で建屋に大きな損傷がなかったものと判断されたときには、ステップST36で自動診断運転が開始される。次に、二次災害の発生する可能性がないか否かが判断され(ステップST37)、二次災害が発生する虞がある場合にはステップST34で運転が休止され、二次災害の発生の可能性がない場合には地震感知器がリセットされて(ステップST38)、仮復旧運転が行なわれる(ステップST39)。
次に、図4を用いて、より詳細な動作について説明する。図4において、エレベータが平常運転されているとき、広域にわたって地震が発生した場合、特低地震感知器が動作したか否かを判断し(ステップST1)、動作しなければ平常運転を続行する(ステップST2)。特低地震感知器が動作したと判断されたときには、低地震感知器が動作したか否かを判断し(ステップST3)、動作しなかった場合は走行中か否かが判断され(ステップST4)、走行中の場合には最寄り階まで走行して停止する(ステップST5)。ステップST4の判断で走行中でない場合、または、ステップST5で最寄り階に停止した場合には、ドアを開き(ステップST6)、15秒後にドアを閉じる(ステップST7)。その後、かご内で戸開ボタンが押されたか否かが判断され(ステップST8)、押された場合には利用者がかご内に残っているので、ステップST6,ST7の動作を繰り返し、押されなかった場合には特低感知器を自動リセットして(ステップST9)、平常運転に復帰する(ステップST10)。
ステップST3で低感知器が動作したものと判断された場合には、動作した場合は走行中か否かが判断され(ステップST11)、走行中の場合には最寄り階まで走行して停止する(ステップST12)。ステップST11の判断で走行中でない場合、または、ステップST12で最寄り階に停止した場合には、ドアを開き(ステップST13)、15秒後にドアを閉じて(ステップST14)、運転を休止する(ステップST15)。次に、かご内で戸開ボタンが押されたか否かが判断され(ステップST16)、押された場合には利用者がかご内に残っているので、ステップST13〜ST16の動作を繰り返し、戸開ボタンが押されなかった場合には、第3の感知器としての高感知器が動作したか否かが判断される(ステップST20)。ステップST20で高感知器が動作したものと判断された場合には、図7、図8と同様のステップST17〜ST18が行なわれ、ステップST20で高感知器が動作しなかったものと判断された場合には、ステップST25において建物の層間変位が所定値以下であるか否かが判断される。建物の層間変位が所定値以下でないものと判断された場合にはステップST17〜ST18が行なわれ、ステップST25で建物の層間変位が所定値以下であるものと判断された場合には、自動診断運転が行なわれ(ステップST21)、異常がないか否かが判断され(ステップST22)、異常がある場合にはステップST17〜ST18の動作を行ない、異常がない場合には仮復旧運転を行なって(ステップST23)から専門技術者による点検(ステップST18)をしてから平常運転に復帰する(ステップST19)。
すなわち、第2の地震感知器(低)が動作して一定時間経過後に、エレベータ機器に損傷が無いことと、建物の寸法(層間変位量)が所定の値以下であることを確認してから、その後で、自動診断運転を開始する。そこで、異常が検出されなければ、地震感知器をリセットして、仮復旧運転を行なう。その後、専門技術者による点検を行った後に平常運転に復帰する。なお、震度6強まで自動診断して仮復旧させるためには、第3の地震感知器の設定は、従来の(高)レベルよりも高く設定しておく必要がある。
なお、上記実施形態においては、距離センサとターゲットとの距離を計測して、層間変位量を求めているが、センサ6からターゲット7へ向かう軸からのターゲットのズレ量を計測することによっても、層間変位量を計測することができる。この方式にすれば、エレベータの左右方向だけでなく、前後方向の建物の層間変位量を計測することができる。また、所定の値以上のズレ量が発生した場合には、反射光が著しく少なくなるようにすることで、反射光量の強弱により自動診断運転におけるオン・オフを判定するように設定することもできる。
また、上記実施形態においては、層間変位量を計測することにより、建物の健全性を評価しているが、建物の上部(例えば、機械室)に加速度センサを設置し、この加速度センサによって計測された加速度データを周波数分析することにより固有振動数を求め、地震前後の固有振動数の変化率が所定のレベルを超えたか否かにより建物の健全性を評価しても良い。
以上のように、本発明によれば、震度6強程度の地震が発生した場合でも、地震前後の建物の層間変位量または固有振動数を求めることにより建物の健全性を確認することができ、エレベータ機器に損傷が無いことを確認した後で自動診断運転を開始する。この自動診断運転において、昇降動作に異常が検出されなければ、仮復旧運転を行なうことができると共に、地震発生時の復旧に要する時間の短縮が可能なエレベータ仮復旧運転システムを提供することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。図5において、エレベータが設置された建物側にはエレベータ制御盤10が設けられ、一定の地域の複数の建物に設置された複数のエレベータ制御盤10との間で情報を交換しながら集中制御するサービスセンタ15が設けられている。エレベータ制御盤10は、建物に設置された地震感知器の作動状況などの情報を送信する送信部11と、エレベータそのものの被害状況などの情報を送信する送信部12と、建物の被害状況などの情報を送信する送信部13とを備えている。送信部11ないし13から送信された各種の情報は、サービスセンタ15に設置されたエレベータ監視端末16に送られて、そのエレベータが設置された建物の情報ばかりでなく周辺の一定地域の建物の情報やそれらの建物に設置されているエレベータに関する情報などをサービスセンタが一括して監視する。
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。図5において、エレベータが設置された建物側にはエレベータ制御盤10が設けられ、一定の地域の複数の建物に設置された複数のエレベータ制御盤10との間で情報を交換しながら集中制御するサービスセンタ15が設けられている。エレベータ制御盤10は、建物に設置された地震感知器の作動状況などの情報を送信する送信部11と、エレベータそのものの被害状況などの情報を送信する送信部12と、建物の被害状況などの情報を送信する送信部13とを備えている。送信部11ないし13から送信された各種の情報は、サービスセンタ15に設置されたエレベータ監視端末16に送られて、そのエレベータが設置された建物の情報ばかりでなく周辺の一定地域の建物の情報やそれらの建物に設置されているエレベータに関する情報などをサービスセンタが一括して監視する。
第1実施形態においては、エレベータ仮復旧運転システムが単独で、自動診断運転から仮復旧運転までを行なっているが、第2実施形態においては、自動診断運転前に地震感知器の動作状況や建物の健全性評価結果、エレベータの被害状況などをサービスセンタ側に送信することにより、サービスセンタ側では、保守員(専門技術者)を効率的に派遣することができ、復旧作業に要する時間を短縮することができる。
また、地震感知器の動作状況、建物の健全性評価結果、エレベータの被害状況などのデータを一時的にエレベータ制御盤内に保存しておいて、サービスセンタ側から送信指令が出された後にこの送信指令に応答して保存していたデータを送信することにより、電話回線の輻輳を防止することができる。
さらに、サービスセンタ側で、収集したエレベータや建物の被害状況をマップ化(地図上に表示) することにより、エレベータそのものや設置されている建物の被害状況を明確にすることもできる。また、建物の層間変位量の測定を各階において実施すれば、建物の高さ方向の被害状況も把握することができる。
なお、建物およびエレベータの被害状況を感知するための構成として、図6に示す損傷感知器20を昇降路8の天井と床面に設置するようにしても良い。昇降路8内にはロープ9の一端に結合された乗りかご14が設置され、ロープの他端は図示されないカウンタウェイトに連結される。乗りかご14の各階のホール側には三方枠4に囲まれたドア5が設けられている。損傷感知器20は、昇降路8の天井側に設けられた発光部21と、昇降路8の床側に設けられた受光部22とを備え、損傷感知器20は昇降路8内の乗りかご14の両側に2つ設けられている。
以上の構成により、地震等の揺れにより建物が変形して乗りかご14の三方枠4に損傷を与えた場合には、三方枠4の両側に設置された損傷感知器20の発光部21から照射された例えばレーザビームが受光部22により感知されなくなることにより建物の昇降路または乗りかご14の三方枠4に損傷が生じたことを感知することができる。尚損傷感知器20は、三方枠4の両側に2つ設置するだけでなく、昇降路の四隅の4つ設置するようにしても良い。また、損傷感知器20は、建物または昇降路8の損傷のみを感知するのに用いて、三方枠の変位や変形については第1実施形態のセンサ6およびターゲット7の構成を用いるようにしても良い。
このように、サービスセンタ側でエレベータや建物の被害状況を把握することで、被害状況を明確にすることができ、仮復旧作業に要する時間を短縮することができる利点がある。また、周辺一帯の被害状況なども考慮して、特定の建物やエレベータのみでなく、周囲の建物やエレベータを含めて総合的な地震対策を講じることもできる。
1 天井
2 壁
3 床
4 三方枠
5 乗り場ドア
6 距離センサ
7 ターゲット(受光部)
8 昇降路
10 エレベータ制御盤
14 乗りかご
15 サービスセンタ
16 エレベータ監視端末
2 壁
3 床
4 三方枠
5 乗り場ドア
6 距離センサ
7 ターゲット(受光部)
8 昇降路
10 エレベータ制御盤
14 乗りかご
15 サービスセンタ
16 エレベータ監視端末
Claims (8)
- 建物に設置されたエレベータと、前記エレベータの近傍に設けられて前記建物の揺れを感知して揺れ感知信号を送信する地震感知器と、前記地震感知器により検出された揺れ感知信号の信号レベルに応じて、通常運転モード、自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかのモードを選択して前記エレベータの運転を制御する運転制御手段と、を少なくとも備えるエレベータ仮復旧運転システムにおいて、
前記エレベータが設置される前記建物の昇降路および前記エレベータの少なくとも一方の地震前後の寸法変化または振動特性の変化を検知することによりエレベータの運転安全性を評価する評価手段を備えると共に、
前記運転制御手段は、前記評価手段からの評価結果に従って前記自動復旧管制運転モード、手動復旧管制運転モードのうちの何れかの運転モードを選択してエレベータの運転を制御することを特徴とするエレベータ仮復旧運転システム。 - 前記評価手段が、建物の層間変位が所定のレベルを超えたか否かによって建物の地震前後の寸法変化を判断することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 前記評価手段が、エレベータの三方枠の変形量をもとに建物の地震前後の寸法変化を判断することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 前記評価手段が、光を投受光する投光部と受光部を含む層間変位検知光学系と、前記受光部における受光結果に基づいて前記層間変位を検知する層間変位検知部と、を備え、前記運転制御手段は、前記層間変位検知部における層間変位検知結果に基づいて、建物の地震前後の寸法変化を判断してエレベータの運転を制御することを特徴とする請求項2または請求項3の何れかに記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 前記評価手段が、建物の上部に設置された加速度センサにより計測した加速度データから固有振動数を求め、その固有振動数の変化率が所定のレベルを超えたか否かによって建物の地震前後の振動特性の変化を判断することを特徴とする請求項1に項記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 前記評価手段からの評価結果を少なくともサービスセンタへ送信する評価結果送信手段と、前記サービスセンタ側に設けられ前記評価結果送信手段より送信された前記評価結果に基づいて専門技術者の派遣を指令する派遣指令手段と、をさらに備えることを特徴とする請求頃1ないし請求項5の何れかに記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 前記エレベータ制御装置内に設けられて前記評価結果を保存する評価結果保存手段をさらに備え、前記評価結果送信手段は前記サービスセンタからの指令に基づいて前記評価結果を前記サービスセンタへ送信することを特徴とする請求項6に記載のエレベータ仮復旧運転システム。
- 少なくとも前記サービスセンタに設けられて、前記評価結果を所定範囲の地図上に表示することにより前記エレベータやこのエレベータが設置された建物の被害状況を地図上に表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項6または請求項7の何れかに記載のエレベータ仮復旧運転システム。
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