JP2009119623A - パッド印刷機の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷サイクルの全体の時間を大幅に増加させることなく、インキ中の溶剤の揮発を促し、良好な印刷を行うことが可能なパッド印刷機を提供する。
【解決手段】第1のシリンダ107に支持され、下降時に、印版113aからインキが付着し、第2のシリンダによってスライド移動後に、下降して被印刷物へインキを転写する転写パッド109を備えたパッド印刷機において、転写パッド109へ印版113aからインキが付着し、上昇した後と、被印刷物へインキを転写するための下降前、所定時間、前記第1のシリンダによって転写パッド109の可動を静止させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、パッド印刷機の制御方法に関し、特に、印刷の品質を保ち、印刷効率の低下を防止するためのパッド印刷機の制御方法に関する。
樹脂成形品をはじめとする各種の物品に印刷を施す場合にパッド印刷機が用いられている。このパッド印刷機では、インキが塗布される印版と被印刷物とを隣接して設置すると共に、これら印版と被印刷物の間で転写パッドを門型の経路に沿って往復動させることにより、まず、転写パッドをインキが塗布された印版に押し付けて、その印版に設けられた所定の印刷パターンを構成する溝のインキを付着させた後、この転写パッドを所定の位置に配置される被印刷物のところまで移動し、被印刷物に押し付けることにより、印刷パターンを構成するインキを被印刷物に転写する。
ところで、従来のパッド印刷機では、転写パッドに印版からインキが付着されてから、ごく短時間の内にこのインキが被印刷物に転写されるため、インキ中に含まれている溶剤成分が十分に揮発されていない状態で被印刷物に転写されるため、以下のような問題が発生する。
第1に、インキ中の溶剤成分が十分に揮発されていないと、インキの粘度が小さくなって被印刷物に対する所要の接着力が得られず、そのため、被印刷物への転写後に転写パッドにインキが残って、パターンの欠けや印刷濃度の不足等が生じ、また、粘度の小さなインキを被印刷物に押し付けることになるので、印刷パターンを構成する線がにじんだり、太くなったりするといった問題があった。
第2に、印刷を繰り返すことで、転写パッドに吸収されているインキの溶剤が十分に揮発されないために、転写パッドを印版に押し付けた際に、被印刷物に印刷するための必要なインキが転写パッドに付着しないといった問題が発生する。このことから、一旦、印刷作業を中断し、転写パッドに吸収されている溶剤を取り除く作業が必要となり、印刷能率の低下の原因となっていた。
上記のような問題を解決するために、特許文献1に記載の「パッド印刷機」が提案されている。
特許文献1に記載の「パッド印刷機」では、転写パッドを印版に押し付ける前に加熱手段によって加熱し、加熱された転写パッドを印版に押し付けて付着したインキを加熱し、インキ中に含まれる溶剤の揮発を促進させるようにしている。これにより、所要の粘度あるいは被印刷物に対する所要の接着力を得ることができ、インキ量の多い、膜厚の厚い印刷を良好に行うことができる。
特開平11−123810号公報
しかしながら、特許文献1で提案されている発明では、転写パッドを加熱することから、転写パッドの寿命を縮め、また、加熱手段を使用することで消費電力の浪費や加熱工程を含むため、印刷効率の低下につながるという問題がある。
また、特許文献1で提案されている発明では、印刷機の構造的不具合等が生じた場合、緊急に動作を停止して修理を行なう必要があったり、被転写物を除去したりする必要が生じるが、その場合の対処手段が開示されていない。
従って、本発明の目的は、係る問題を鑑みてなされたものであり、印刷サイクルの全体の時間を大幅に増加させることなく、インキ中の溶剤の揮発を促し、良好な印刷を行うことが可能なパッド印刷機の制御方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、昇降手段に支持された転写パッドを下降させて印版のインキを転写パッドに付着させ、該インキが付着した転写パッドを離間上昇させ、該離間上昇した転写パッドをスライド手段によって所定位置にスライド移動させ、該スライド移動した転写パッドを下降させて転写パッドに付着したインキを印刷物に転写するパッド印刷機の制御方法において、前記印版から前記転写パッドにインキを付着させて上昇した後に前記昇降手段による前記転写パッドのスライド移動を所定時間停止させる第1のステップと、前記第1のステップの後前記転写パッドを前記所定位置にスライド移動させ前記印刷物へ転写させるための下降前に前記昇降手段による前記転写パッドの下降移動を所定時間静止させる第2のステップと、を少なくとも含むことを特徴とするパッド印刷機の制御方法を提供するものである。
この場合、前記昇降手段は、前記印版へ前記転写パッドが押し付けられた時から上昇開始までの所定時間静止させることが望ましい。
また、前記昇降手段は、非常停止時に前記転写パッドを上昇させるかあるいは上昇させた状態を維持し、前記スライド手段は、作動を停止することが望ましい。
本発明によれば、印版から転写パッドにインキを付着させて上昇した後に昇降手段による転写パッドのスライド移動を所定時間停止させる第1のステップと、第1のステップの後前記転写パッドを所定位置にスライド移動させ前記印刷物へ転写させるための下降前に昇降手段による転写パッドの下降移動を所定時間静止させる第2のステップと、を少なくとも含むようにしたので、インキが付着した転写パッドが所定時間静止されることとなり、インキに含まれる溶剤の揮発時間を十分に確保することができる。このため、印刷の繰り返しで発生する転写パッドへのインキの付着の低下を防ぐことができ、印刷効率の低下を防止することができる。
次に、図面を参照して、本実施の形態に係るパッド印刷機の制御方法が適用されるパッド印刷機について説明する。
まず、パッド印刷機の構成について図1および図2を参照して説明する。図1は、パッド印刷機の概略構成を示した平面図であり、図2は、パッド印刷機の要部の拡大図である。
図1に示すように、パッド印刷機100は、概略、機台101と、該機台101の後部に立設された上方が前方へ突出する側面視逆L字型の本体フレーム102とから構成される。
この本体フレーム102の前方への突出部の先端には、本体フレーム102において動作する機器を非常時に停止するための非常停止ボタン115が設けられている。また、この本体フレーム102の前方への突出部の下方には、前後方向(側面視で左右方向)に伸びるガイドロッド103が架設されている。該ガイドロッド103には、第1のスライダ104が前後方向へスライド自在に支持されており、この第1のスライダ104には第2のスライダ105が垂直方向に垂下可能に支持されている。
この第1のスライダ104は、第2のスライダ105に対して前方(側面視で左側)に配置されると共に、第1のスライダ104には、図2に示すように第1の支持軸106をピストンロッドとする転写パッド昇降用の第1のシリンダ107が本体フレーム102内に上方へ突出するようにして設けられており、この第1の支持軸106は連結部108を介してと転写パッド109と連結している。また、第1のスライダ104の後方には、第1のスライダ104及び第2のスライダ105を前後方向へスライドさせるための第2のシリンダ110が設けられている。
一方、第2のスライダ105の下部には、図1及び図2に示すように、インクローラー111と、該インクローラー111の前方にドクターブレード112が垂下されるようにして取り付けられている。このインクローラー111とドクターブレード112の下方には、前部に印版113aを収容し後部にインキ溜め部(図示せず)を有するインキ皿113が設置されている。そして、このインキ皿113の前方には、被印刷物を載置するための載置台114が設けられている。
このインクローラー111及びドクターブレード112は、第2のスライダ105の動作に合わせて移動する。従って、第2のシリンダ110の作動によって第2のスライダ105がインキ皿113上を移動すると、インクローラー111及びドクターブレード112もこれにあわせてインキ皿113上を移動する。即ち、第2のシリンダ110の前進時には、インキ溜め部にあるインキをインクローラー111及びドクターブレード112がインキ皿113の底面形状に沿って移動しながらインキを印版113aまで運ぶ。第2のシリンダ110の後進時には、インクローラー111及びドクターブレード112が印版113a上の余分なインキを除去しながら、インキ皿113の底面形状に沿って移動する。
次に、図3〜図7を参照して、パッド印刷機100の動作について説明する。
図3は、パッド印刷機100の動作を示したフローチャートであり、図4は、印版113a側での転写パッド109の動作について示した図であり、図5は、被印刷物側での転写パッド109の動作を示した図であり、図6は、印版113aに押し付けられた転写パッド109の状態を示した図であり、図7は、非常停止時におけるパッド印刷機100の動作について示したフローチャートである。
まず、印刷が開始されると(ステップS100)、図4(a)に示すように、転写パッド109が昇降用の第1のシリンダ107の動作によってA地点から印版へ下降する(ステップS101)。転写パッド109は、図4(b)に示すように印版113aに押し付けられ(ステップS102)、印版113aから転写パッド109へインキが転写されると共に、所定時間が経過後に(ステップS103/YES)、図4(c)に示すように転写パッド109が再度、第1のシリンダ107の作動によりA地点へ上昇する。なお、所定時間が経過していない場合には(ステップS103/NO)、所定時間が経過するまで印版113aに転写パッド109を押し付ける。
次に、A地点に上昇した転写パッド109が所定時間を経過するまで、静止する(ステップS105/YES)。所定時間が経過していない場合には(ステップS105/NO)、A地点において静止し続ける。このA地点で印版113aのインキが付着した転写パッド109を所定時間静止することによって、転写パッド109に付着しているインキの溶剤を揮発させる時間を確保することができる。
次に、図5(a)に示すように、所定時間が経過後に、転写パッド109は、第2のシリンダ110の作動により第1のスライダ104と共に、A地点から前進位置であるB地点へ移動する(ステップS106)。ここでも、同様に、転写パッド109がB地点へ移動後に、所定時間が経過するまで静止する(ステップS107)。このB地点で転写パッド109が所定時間静止することによって、被印刷物へインキを転写する前に、転写パッド109に付着しているインキの溶剤を揮発させる時間を確保することができる。そして、所定時間が経過後(ステップS107/YES)、図5(b)に示すように、第1のシリンダ107の作動によってB地点から下降し、転写パッド109を被印刷物へ押し付ける(ステップS108)。
これにより、転写パッド109に付着しているインキが被印刷物へ転写される。なお、ステップS107において、所定時間が経過していない場合には、そのまま静止を続ける(ステップS107/NO)。次に、図5(c)に示すように、第1のシリンダ107の作動によって、転写パッド109がB地点へ上昇し(ステップS109)、第2のシリンダ110の作動によって第1のスライダ104が後進し、A地点へ移動する(ステップS110)。以上の工程を印刷が続く限り繰り返す。
次に、図6を参照して、印版113aから転写パッド109にインキが付着する様子について説明する。
図6(a)〜(d)は、転写パッド109が印版113aに押し付けられた時の様子を示した図である。
まず、図6(a)に示すように、転写パッド109は、凹刻溝が設けられている印版113aへ下降する。次に、転写パッド109が印版113aへ所定時間で押し付けられると(図6(b))、転写パッド109が印版113aに接触した時の力を受けて、印版113から反発力が発生する。転写パッド109はこの反発力を受けて一旦、撓み(図6(c))、転写パッド109が第1のシリンダ107の作動により上昇すると、撓んだ転写パッド109の復元力により、凹刻溝部分と接触している転写パッド109の一部が、凹刻溝に入り込み、インキがもれなく転写パッド109に付着する。(図6(d))。
転写パッド109を印版113aに所定時間押し付ける動作および所定時間静止させる動作は、ダブルソレノイドの制御によるものであって、各ソレノイドへの通電を切り換えることにより第1のシリンダ107を作動させるための空気回路を切り換えて行う。これは、これは公知の方法により実現可能である。
なお、転写パッド109を印版113a側と被印刷物側の上方で所定時間静止させる時間は0.1秒〜1.0秒であり、好ましくは0.1秒〜0.3秒である。さらに、印版113へ転写パッド109を押し付ける時間は、0.1秒〜0.3秒である。この時間は、転写パッド109の大きさや硬さ、形状及び印版113aに形成されている凹刻溝の形状や凹刻パターン、使用するインキの種類によって適宜変更可能である。
次に、図7を参照して、パッド印刷機100の非常停止時における動作について説明する。
図7は、パッド印刷機100の非常停止時における動作を説明するフローチャートである。
パッド印刷機100は、非常停止ボタン115が押下されると(ステップS200/YES)、転写パッド109が印版113a又は載置台114の位置まで下降していた場合には、ダブルソレノイドの制御により第1のシリンダ107の第1の支持軸106を上方へ上昇させる(ステップS201/YES)。この場合、転写パッド109は、非常停止ボタン115が押下された時点の位置から上方へ上昇し停止する(ステップS202)。同時に、第2のシリンダ110を大気開放して作動を停止させる。
また、非常停止ボタン115が押下された時点で転写パッド109が上昇していた場合(ステップS201/NO)、第1のシリンダ107の作動を維持させると共に(ステップS203)、第2のシリンダ110を大気開放して作動を停止させる。そして、非常停止時の原因が判明した後、印刷を再開するときは、非常停止ボタン115を再度押下するか、またはスタートボタン(図示せず)を押下し印刷を再開させる(ステップS204)。このように、非常停止ボタン115が押下されると、転写パッド109が強制的に上昇させられるか、または上昇の状態が維持され、第1、第2のスライダ104、105を前後方向にスライドさせる第2のシリンダ110の作動状態を解除させる。これにより、使用者は、転写パッド109が上昇されたままの状態で第2のスライダ105を手動で前後方向に移動させることができるため、転写パッド109に触れることなく、被印刷物を取り除いたり、その他の措置を図ることができる。同時に、パッド印刷機100に発生した異常状態を確認するのが容易となる。
以上の説明から、本発明のパッド印刷機の制御方法では、転写パッドを所定時間、印版に押し付けることにより、転写パッドの復元力を利用してインキをもれなく転写パッドへ付着させることができる。これにより、印刷工程の繰り返しで発生する文字欠けや印刷領域の周縁部でヒゲ等といった印刷不良を防止することができる。
また、転写パッドが印版から離反した後と、被印刷物へ転写する前に、所定時間、転写パッドを静止させることにより、転写パッドに付着しているインキに含まれる溶剤の揮発時間を確保することができる。これにより、印刷の1工程の中で、十分に溶剤を揮発させることができるため、転写パッドへのインキの付着の低下や、印刷を中断して転写パッドを頻繁に交換するといったことを防止することができる。さらに、転写パッドの静止時間が極短い時間であるため、印刷効率の妨げにもならずに、スムーズな印刷工程を繰り返すことができる。
さらに、非常停止時においては、転写パッドが下降状態にある場合には、一旦上昇してから停止し、昇降状態の場合には、それを維持することができ、第2のシリンダの作動を解除して手動で前後方向に移動が可能であることから、転写パッドに触れることなく、非常停止の原因を排除することができ、転写パッドを傷つけることを防止することができる。
本実施形態に係るパッド印刷機が適用されるパッド印刷機の概略側面図である。 図1の要部拡大図である。 転写パッドの動作を示したフローチャートである。 印版側における転写パッドの動作を示した模式図である。 被印刷物側における転写パッドの動作を示した模式図である。 転写パッドが印版に押し付けられた時の様子を示した図である。 非常停止時におけるパッド印刷機の動作を示したフローチャートである。
符号の説明
100 パッド印刷機
101 機台
102 本体フレーム
103 ガイドロッド
104 第1のスライダ
105 第2のスライダ
106 第1の支持軸
107 第1のシリンダ
108 連結部
109 転写パッド
110 第2のシリンダ
111 インクローラー
112 ドクターブレード
113 インキ皿
113a 印版
114 載置台
115 非常停止ボタン

Claims (3)

  1. 昇降手段に支持された転写パッドを下降させて印版のインキを転写パッドに付着させ、該インキが付着した転写パッドを離間上昇させ、該離間上昇した転写パッドをスライド手段によって所定位置にスライド移動させ、該スライド移動した転写パッドを下降させて転写パッドに付着したインキを印刷物に転写するパッド印刷機の制御方法において、
    前記印版から前記転写パッドにインキを付着させて上昇した後に前記昇降手段による前記転写パッドのスライド移動を所定時間停止させる第1のステップと、
    前記第1のステップの後前記転写パッドを前記所定位置にスライド移動させ前記印刷物へ転写させるための下降前に前記昇降手段による前記転写パッドの下降移動を所定時間静止させる第2のステップと、
    を少なくとも含むことを特徴とするパッド印刷機の制御方法。
  2. 前記昇降手段は、前記印版へ前記転写パッドが押し付けられた時から上昇開始までの所定時間静止させることを特徴とする請求項1記載のパッド印刷機の制御方法。
  3. 前記昇降手段は、非常停止時に前記転写パッドを上昇させるかあるいは上昇させた状態を維持し、前記スライド手段は、作動を停止することを特徴とする請求項1または2記載のパッド印刷機の制御方法。
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