JP2009119240A - 消火性シート - Google Patents
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Abstract
【課題】ジブロモメタンからなる消火剤を内包するマイクロカプセルを潰すことなく、高密度に且つ均一に印刷することができ、優れた消火性能を発揮する消火性シートを、良好なる生産性をもって、提供すること。
【解決手段】消火剤としてジブロモメタンを内包し、火の熱によって破裂するマイクロカプセル14が分散、含有せしめられてなる消火性インキを、基材シート12上にスクリーン印刷手法によって印刷して、消火性印刷層16を形成した。
【選択図】図3
【解決手段】消火剤としてジブロモメタンを内包し、火の熱によって破裂するマイクロカプセル14が分散、含有せしめられてなる消火性インキを、基材シート12上にスクリーン印刷手法によって印刷して、消火性印刷層16を形成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、消火性シートに係り、特に、消火剤としてジブロモメタンが内包されたマイクロカプセルを含有する印刷層が形成されてなる消火性シートに関するものである。
近年、家電製品、特に、家電製品に内蔵されるリチウム電池等からの発火事故が、多数報告されている。この対策として、発火を防止する根本的な解決も当然必要ではあるが、予期せぬ事態を想定して、発生した火炎を製品内で自己消火したり、或いは延焼を遅らせる対策も必要となっている。
例えば、家屋等の建築物においては、防火対策として、難燃剤等を添加した難燃性の樹脂材料や表面に無機系塗料を塗工した樹脂材料が、内装材等に広く採用されるようになってきている。しかしながら、それらの樹脂材料は、幾分かは燃焼が抑制され、燃えにくくなるものの、完全に燃焼を止めることはできず、発生した火炎を消すものではない。
一方、特許文献1には、カプセル内部に消火剤を包含した消火性マイクロカプセルが均一に分散された塗料を塗工してなる自己消火性シートが提案されており、このような自己消火性シートを用いることによって、着火しても、その自己消火作用により、火を消すことが可能となっている。しかしながら、そのような自己消火性シートにあっては、塗料として、不燃性の無機質塗料が用いられていることから、塗膜自体に着火が起こり難いといったメリットがあるものの、それに相反して、塗膜内に含有せしめられたマイクロカプセルの破裂が起こり難く、そのため、消火剤の放出が遅れるといった問題を内在するものであった。
また、特許文献1では、消火性マイクロカプセルを含む塗料が、基材上に、グラビアコーターを用いて塗工されているため、印刷時に、圧着ローラー(圧胴)に押圧されて、消火性マイクロカプセルが潰れ、消火剤が洩れてしまうといった問題もある。加えて、グラビア印刷では、高粘度の塗料を使用することができず、塗料の粘度を低くして、その流動性を高める必要があるところから、消火性マイクロカプセルを、塗料中に多量に配合することができず、また印刷層の厚みが薄くなるといった問題もあり、このため、塗膜の単位面積当たりに含有される消火性マイクロカプセルの量が少なく、消火剤による消火効果が充分に発揮され得ないおそれがあった。
かかる状況下、消火剤による自己消火性能を更に高めるべく、インキに多量のマイクロカプセル、例えば、インキと略同じ重量のマイクロカプセルを含有、混合せしめて、消火性インキを調製すると、その得られた消火性インキは、流動性が非常に低く、高粘度となり、しかもパサつくようになる。そして、その消火性インキを、刷毛を用いて、基材上に塗布しようとしても、消火性インキが刷毛にのらず、塗布することが極めて困難となるのである。尤も、消火性インキに含まれるマイクロカプセルの含有量を減らして、その消火性インキを刷毛で同様に塗工すると、前記したグラビア印刷とは違ってマイクロカプセルが潰れるようなことはないが、塗布時に、マイクロカプセルの分散状態が悪化して、塗膜中にマイクロカプセルを均一に分布、含有させることができないことに加えて、刷毛を用いた塗工では、塗膜の厚みが、必要以上に厚くなるという問題も内在している。
また、特許文献2には、40〜60重量%の硬化性樹脂バインダと残りがマイクロカプセル化ジブロモメタン消火剤とからなる消火材料が提案されているが、そこでは、消火材料がモールド成形によって製造されているところから、生産効率が悪いことに加えて、消火材料の厚みを薄くすることが難しく、消火材料を低コストで製造することが困難であった。
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、ジブロモメタンからなる液状の消火剤を内包するマイクロカプセルを、潰すことなく、高密度に且つ均一に印刷して、優れた消火性能を発揮するようにした消火性シートを、良好なる生産性をもって、提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、消火剤としてジブロモメタンが内包された、火の熱によって破裂するマイクロカプセルを、分散、含有せしめてなる消火性印刷層が、所定の基材上にスクリーン印刷にて形成されていることを特徴とする消火性シートにある。
なお、本発明に従う消火性シートの好ましい態様の一つによれば、前記基材として、被印刷面とされる面とは反対側の面に接着層が設けられた印刷用シートと、該印刷用シートの接着層に対して剥離可能に積層された剥離シートとを備えるものが用いられている。
このように、本発明に従う消火性シートにあっては、スクリーン印刷手法によって、消火性印刷層が形成されるようにしているところから、印刷時に、消火性インキに含まれるマイクロカプセルが潰れて、そこに内包されている消火剤としてのジブロモメタンが漏れ出てしまうようなことが、有利に防止され得るようになっているのである。
しかも、スクリーン印刷手法によれば、生産効率が向上すると共に、使用インキとして、高粘度のインキを採用することができるところから、つまり、マイクロカプセルの配合量の多いインキを用いることができるところから、消火性印刷層に、より一層多くのマイクロカプセルを均一に分散、含有せしめることが可能となるのである。
その結果、本発明によれば、消火性印刷層の単位面積あたりに含まれるマイクロカプセルの量が増大し、消火剤としてのジブロモメタンによる消火効果が、極めて効果的に発現され得るようになる特徴を発揮することとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る消火性シートの具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1及び図2には、本発明に従う消火性シートの一実施形態が、その平面形態及び断面形態において、それぞれ、概略的に示されている。それらの図からも明らかなように、本実施形態に係る消火性シート10は、基材としての基材シート12を有し、その上面に対して、多量のマイクロカプセル14を均一に含有する消火性印刷層16が、形成されている。なお、図2、更には後述する図3のそれぞれにおいては、消火性シートの構造の理解を容易とするために、基材シート、消火性印刷層等が、誇張されて、極端に厚い厚さをもって示されていることが、理解されるべきである。
より具体的には、本実施形態においては、被印刷対象である基材シート12として、矩形のシール状のシートが用いられている。かかる基材シート12は、紙材料や合成樹脂材料、金属材料等からなる矩形薄肉平板状の印刷用シート18と、接着剤又は粘着剤からなる接着層20と、この接着層20との剥離性が良好な材料からなる矩形薄肉平板状の剥離シート22とを有し、これらが、印刷用シート18、接着層20及び剥離シート22の順に積層されてなるものである。換言すれば、基材シート12は、接着層20が設けられた印刷用シート18における接着層20側の面に、剥離シート22が重ね合わされてなる構造を有している。そして、このような基材シート12においては、上面が被印刷面24とされており、この被印刷面24の縁部を除く略全面に対して、消火性印刷層16が、形成されている。なお、剥離シート22は、一般的なシールと同様に、消火性シート10の使用時に、剥離されて、取り除かれるものである。
そして、本実施形態では、かかる消火性印刷層16が、所定の消火性インキを、基材シート12の被印刷面24にスクリーン印刷手法で印刷することによって、形成されているのである。より具体的には、消火性インキとして、ジブロモメタンからなる消火剤を内包するマイクロカプセル14が含有せしめられた有機系インキを用い、これを、公知のスクリーン印刷装置を用いて基材シート12の被印刷面24に印刷することによって、消火性印刷層16が形成されているのであり、それ故、消火性印刷層16の内部には、図3に拡大して示されるように、粒状の多数のマイクロカプセル14が、高密度に且つ均一に分散せしめられている。
なお、ここにおいて、消火性インキに含有されるマイクロカプセル14としては、消火剤としてジブロモメタンを内包し、火の熱によって破裂する、公知のマイクロカプセル14が、適宜に選択されて用いられることとなる。そこで、そのようなマイクロカプセル14を構成する殻物質(膜物質)としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ポリビニルアルコール等の高分子材料がある。また一方、マイクロカプセル14に内包される消火剤としては、常温で液状のジブロモメタンが用いられることとなる。このように、本発明においては、消火性能の観点から、消火剤としてジブロモメタンが内包された、ゼラチン等のタンパク質を殻物質とするマイクロカプセル14が、用いられるのである。
また、かかるマイクロカプセル14の粒径は、通常、ミクロンオーダー(1μm〜1000μm)とされるが、マイクロカプセル14の粒径が小さすぎると、内包される消火剤が少なく十分な消火効果が得られないおそれがあり、また、マイクロカプセル14の粒径が大きすぎると、有機系インキへの混合性が悪化するところから、一般に50〜700μm程度、好ましくは100〜400μm程度の粒径のものが、有利に採用される。なお、本発明において、マイクロカプセル14の粒径は、電子顕微鏡等で容易に測定され得るところである。
ところで、本発明において採用されるマイクロカプセル14は、火で熱せられることによって、その外壁が破裂(破壊)せしめられ、以て、そこに内包されている消火剤が、外部に放出されるようになっている。特に、消火剤として、ジブロモメタンからなる液状消火剤を内包せしめたものは、火炎の熱によって、主として、液状消火剤が気化せしめられて膨張し、その内圧によってマイクロカプセル14の外壁が破裂して、ガス化された消火剤が外部に放出される。
一方、上述の如きマイクロカプセル14と混ぜ合わされて、消火性インキを構成するインキとしては、無機系塗料に比して燃焼しやすい有機成分、例えば、感光性プレポリマー、感光性プレポリマー、有機樹脂等を主たる構成成分とする有機系インキであれば、その組成は特に限定されるものではなく、従来から公知の各種の有機系インキを使用することができ、例えば、紫外線によって硬化せしめられる紫外線硬化型インキであっても、溶剤を蒸発乾燥させる溶剤型インキであっても、或いは、熱によって硬化せしめられる熱硬化型インキであってもよい。
また、有機系インキには、従来より、無機顔料、有機顔料を始めとする各種の配合剤が添加されているが、本発明においては、それらの配合剤がマイクロカプセル14に対して悪影響を及ぼさない範囲において添加されたものが、適宜に選択されて用いられることが望ましい。
そして、このような有機系インキを使用することによって、消火性印刷層16自体の難燃性が低下して、消火性印刷層16が燃えやすくなるものの、これによって、マイクロカプセル14が、速やかに破裂せしめられて、内包される消火剤がその消火効果を早期に発現せしめることができるようになっている。
ここにおいて、上記有機系インキへのマイクロカプセル14の配合量は、用いるマイクロカプセル14の消火性能等に応じて適宜に設定され得るが、一般に、有機系インキの100重量部に対して、100〜150重量部となる量において含有せしめられることとなる。このように、マイクロカプセル14を高濃度で含有せしめることによって、マイクロカプセル14を、消火性印刷層16により一層高密度で含有せしめることが可能となる。つまり、消火性印刷層16の単位面積当たりに分散せしめられるマイクロカプセル14の含有量がより一層高められる。
また、消火性インキを調製するに際しては、何等特殊な方法は必要とされず、有機系インキに、所定量のマイクロカプセル14を添加、混合せしめるようにすればよく、これにて、マイクロカプセル14が均一に分散せしめられた消火性インキが調製され得る。
かくして、上述の如き消火性インキを用いて、本実施形態に係る消火性シート10を製造するには、公知のスクリーン印刷手法にて、基材シート12の被印刷面24に印刷が施されることとなる。このスクリーン印刷手法を採用することにより、印刷時、マイクロカプセル14へのダメージが小さくなり、マイクロカプセル14が潰れて、そこに内包されている消火剤が漏れ出るようなことが有利に防止され得ると共に、消火性インキとして、マイクロカプセル14が高濃度において含有されたものを用いることが可能となる。また、スクリーン印刷手法によれば、消火性印刷層16の厚みを容易に調整することが可能となって、グラビア印刷にて形成される薄い印刷層のみならず、厚めの印刷層を形成することも可能となる。
なお、本発明において、「スクリーン印刷」は、公知のスクリーン印刷装置を用いて行われる印刷であって、版として、絹や、ポリエステル、ナイロン等の化学繊維、ステンレス等の金属繊維等からなるメッシュ状のスクリーン版を用いて、それに設けられた孔からインキをスキージ(ヘラ)等で押し出して行う印刷である。
かかるスクリーン印刷を実施するにあたって用いられる版としては、消火性インキに含有せしめられたマイクロカプセル14が破壊されることがないように、十分なオープニング(孔の大きさ)を有するスクリーン版が採用される。このオープニングは、マイクロカプセル14の粒径に応じて適宜に設定されるものであり、例えば、粒径が100〜400μmのマイクロカプセル14が含有せしめられている場合には、オープニングが400μm以上の版が好適に用いられる。これは、オープニングが小さすぎると、マイクロカプセル14が孔(網目)を通ることができなかったり、例え、孔を通ることができたとしても、マイクロカプセル14にストレスがかかってマイクロカプセル14が破壊されたり、マイクロカプセル14を消火性印刷層16中に均一に且つ高濃度で含有せしめることが不可能となるおそれがあるからである。
また、スクリーン印刷に用いられる版の厚みも、消火性インキに含有せしめられたマイクロカプセル14を破壊するようなことがないように、マイクロカプセル14の粒径に応じて適宜に設定されることが望ましい。
そして、このようなスクリーン版がスクリーン印刷装置に取り付けられ、常法に従って、スクリーン印刷操作が実施されることによって、基材シート12の被印刷面24上に消火性インキからなる消火性印刷層16が形成されることとなる。この際、版の厚みやオープニング、スキージ印圧等を適宜に設定することにより、消火性インキの塗布量をコントロールして、消火性印刷層16の厚み(表面が凹凸である場合は、平均厚み)を、マイクロカプセル14の粒径に応じて、一般に10〜600μm程度とすることが望ましい。このような厚みとすることによって、発火時に効率良くマイクロカプセル14が破裂されて消火剤が放出せしめられ、優れた消火効果を実現することが出来る。
なお、図1〜3に示される本実施形態においては、消火性インキとして、UVインキに100〜400μm程度の粒径のマイクロカプセル14を含有せしめたものが用いられて、スクリーン印刷が実施されており、これによって、消火性印刷層16の表面がマイクロカプセル14の形状に応じて、凹凸面となっている。このため、消火性印刷層16の表面が平滑とされ、マイクロカプセル14が消火性印刷層16の表面に何等突出することなく、その全体が消火性印刷層16内に埋没するように含有せしめられる場合よりも、火の熱がマイクロカプセル14に効率的に伝わり、マイクロカプセル14がより一層早期に破裂(破壊)せしめられるようになっている。また、マイクロカプセル14の表面に最小限の有機樹脂しか存在しないため、マイクロカプセル14の破裂時に消火剤がより一層広い範囲に亘って放出され得るようになっている。
以上のように、本発明においては、消火性印刷層16がスクリーン印刷によって形成されるところから、消火性インキに含まれるマイクロカプセル14を潰すことなく印刷することができ、マイクロカプセル14の消火効果を最大限に活用することができる。また、高粘度の消火性インキを用いて、消火性印刷層16の厚みを所望の範囲に容易に調整することが可能となる。従って、本発明によれば、マイクロカプセル14を消火性印刷層16中に、高密度に且つ均一に分散せしめることができ、消火性能が効果的に高められた消火性シート10を、良好なる作業性をもって、容易に製造することができる。また、本発明によれば、スクリーン印刷手法の採用により、優れた生産性をもって消火性シート10を製造することが可能となり、以て、消火性シート10を大量に且つ経済的に生産することができる。
そして、このようにして製造された消火性シート10にあっては、上述のように、消火効果が顕著に高められたものであり、火炎を消すための消火用品、延焼を防止乃至は遅延させるための防火用品等として、各種の分野において有利に用いられることとなる。例えば、消火性シート10は、必要に応じて、所望の大きさや形状に裁断された後、剥離シート22が剥がされて、発火が惹起されるおそれのある部品が収容された筺体の内壁面やその蓋体の内面等、熱や炎が及びやすい部分に貼付されて、使用されることとなる。このとき、消火性シート10の大きさや形状は、消火性が付与されるべき部材の大きさや形状等に応じて、所望とする消火性能が確保され得るように適宜に設定される。そして、貼付された消火性シート10の消火性印刷層16には、上述のように、多数のマイクロカプセル14が均一に且つ高密度で分散、含有せしめられているところから、筺体内で発生した火炎が早期に消火せしめられたり、或いは、火炎による延焼が効果的に防止乃至は遅延され得る。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約を受けるものではない。
例えば、上例では、マイクロカプセル14が、消火性印刷層16中に、その厚さ方向に重なりあうことなく、一層状に均一に分散された状態が示されていたが(図3参照)、消火性印刷層16の厚さ方向に何層にも重なり合うように含有せしめられてもよいことは、言うまでもないところである。
また、上例では、基材シート12に、接着層20が形成されていたため、消火性を付与すべき部材の所望とする部位に、消火性シート10を容易に取り付けることが可能となっていたが、本発明において、接着層20は必ずしも必要ではない。接着層20が設けられていないシート状等の基材を用いる場合には、消火性を付与すべき部材の形状等に応じて、例えば、基材に、取付孔や係合突起を設ける等して、消火性を付与すべき部材に取り付けるようにすればよい。更には、消火性を付与すべき部材(例えば、筺体状や蓋体状の成形体)を基材として、これに直接、消火性印刷層16を形成することも可能である。
さらに、上例においては、消火性印刷層16が、基材シート12の略全面に亘って、矩形状に印刷されていたが(図1参照)、消火性印刷層16の印刷パターンはベタ柄に何等限定されるものではなく、各種の絵柄を採用し得ることは、勿論、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例の幾つかを示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
(実施例1)
先ず、消火剤を内包するマイクロカプセルとして、液状のジブロモメタン(CH2Br2)を内包する、橙色のタンパク質材質のマイクロカプセル(販売元:ビジョン開発株式会社、粒径:100〜400μm程度)を準備する一方、有機系インキとして、透明な紫外線硬化型のスクリーンインキを準備した。そして、有機系インキに、マイクロカプセルを、重量比で、有機系インキ:マイクロカプセル=1:1.5となるように添加、混合せしめることにより、消火性インキを調製した。
先ず、消火剤を内包するマイクロカプセルとして、液状のジブロモメタン(CH2Br2)を内包する、橙色のタンパク質材質のマイクロカプセル(販売元:ビジョン開発株式会社、粒径:100〜400μm程度)を準備する一方、有機系インキとして、透明な紫外線硬化型のスクリーンインキを準備した。そして、有機系インキに、マイクロカプセルを、重量比で、有機系インキ:マイクロカプセル=1:1.5となるように添加、混合せしめることにより、消火性インキを調製した。
その後、スクリーン印刷装置に、ポリエステル版(厚さ:340μm)からなるスクリーン版をセットして、公知のスクリーン印刷手法により、上記消火性インキを、基材表面にべた塗りし、引き続き、これに、紫外線を照射することにより、消火性インキを硬化せしめて、消火性シートを作製した。なお、基材としては、白色の粘着剤付きシートを用いた。
このようにして作製された消火性シートの基材表面には、消火性印刷層が、約300μmの平均厚みにおいて形成されていた。また、消火性印刷層には、マイクロカプセルが厚さ方向にあまり重なり合うことなく、印刷面の約70%程度の面積を占めるような分散量で、潰れることなく、均一に含有せしめられていた。
そして、消火性を評価するために、下記の消火テストを行ったところ、約10秒で消火を行うことができた。
<消火テスト>
(1)先ず、図4に示されるように、高さ:93mm、底面の直径:130mmφ、上部開口端の直径:135mmφのブリキ缶を準備し、このブリキ缶の底面から10mmの高さの部位に、直径5mmの穴を、周方向に間隔をあけて、4箇所形成し、これを、空気を取り込むための空気穴とした。
(2)一方、上記で得られた消火性シートを80mm×80mmとなるように、ブリキ缶の蓋の内面に貼付した。
(3)かかるブリキ缶内に、キシレンを染み込ませた布(5g程度)を入れ、更に上方から、15mlのキシレンを振りかけた後、この布に火をつけた。
(4)点火後、速やかに、ブリキ缶の開口端に、高さ:15mm程度の、空気穴の設けられたスペーサを載せた。そして、このスペーサの上から、消火性シートを貼付したブリキの蓋を被せ、ブリキ缶の炎が消えるまでの時間を測定した。この際、ブリキ缶内には、底側に設けられた空気穴とスペーサに設けられた空気穴から空気が十分に供給されていた。
(1)先ず、図4に示されるように、高さ:93mm、底面の直径:130mmφ、上部開口端の直径:135mmφのブリキ缶を準備し、このブリキ缶の底面から10mmの高さの部位に、直径5mmの穴を、周方向に間隔をあけて、4箇所形成し、これを、空気を取り込むための空気穴とした。
(2)一方、上記で得られた消火性シートを80mm×80mmとなるように、ブリキ缶の蓋の内面に貼付した。
(3)かかるブリキ缶内に、キシレンを染み込ませた布(5g程度)を入れ、更に上方から、15mlのキシレンを振りかけた後、この布に火をつけた。
(4)点火後、速やかに、ブリキ缶の開口端に、高さ:15mm程度の、空気穴の設けられたスペーサを載せた。そして、このスペーサの上から、消火性シートを貼付したブリキの蓋を被せ、ブリキ缶の炎が消えるまでの時間を測定した。この際、ブリキ缶内には、底側に設けられた空気穴とスペーサに設けられた空気穴から空気が十分に供給されていた。
(実施例2)
40メッシュのポリエステル版からなるスクリーン版に代えて、図5に示される如きドットパターンを有するマスク版(厚さ:200μm)を使用する以外は、上記実施例1と同様にして、スクリーン印刷機で印刷を行い、次いで、紫外線を照射することにより、消火性インキを硬化せしめて、消火性シートを作製した。
40メッシュのポリエステル版からなるスクリーン版に代えて、図5に示される如きドットパターンを有するマスク版(厚さ:200μm)を使用する以外は、上記実施例1と同様にして、スクリーン印刷機で印刷を行い、次いで、紫外線を照射することにより、消火性インキを硬化せしめて、消火性シートを作製した。
このようにして作製された消火性シートの基材表面には、消火性印刷層が、約530μmの厚さにおいて形成されていた。また、消火性印刷層には、マイクロカプセルが厚さ方向に重なった状態で、印刷面の略100%程度の面積を占めるような分散量で、潰れることなく、均一に含有せしめられていた。
そして、このようにして得られた実施例2に係る消火性シートを用いて、上記実施例1と同様に消火テストを行ったところ、15秒で消火することができた。
(比較例1)
比較のために、消火性シートが貼付されていない蓋を用いて、上記実施例1と同様な消火テストを行った。その結果、54秒後に小爆発が起き、その後も、更に燃え続けた。
比較のために、消火性シートが貼付されていない蓋を用いて、上記実施例1と同様な消火テストを行った。その結果、54秒後に小爆発が起き、その後も、更に燃え続けた。
上記の結果からも明らかなように、消火性シートを使用しない比較例1では、消火を行うことができず、小爆発が惹起せしめられたのに対し、実施例1及び実施例2に係る消火性シートを用いた場合には、それぞれ、約10秒及び15秒で消火が行われ、優れた消火効果が発揮されることが認められた。
10 消火性シート 12 基材シート
14 マイクロカプセル 16 消火性印刷層
18 印刷用シート 20 接着層
22 剥離シート 24 被印刷面
14 マイクロカプセル 16 消火性印刷層
18 印刷用シート 20 接着層
22 剥離シート 24 被印刷面
Claims (2)
- 消火剤としてジブロモメタンが内包された、火の熱によって破裂するマイクロカプセルを、分散、含有せしめてなる消火性印刷層が、所定の基材上にスクリーン印刷にて形成されていることを特徴とする消火性シート。
- 前記基材として、被印刷面とされる面とは反対側の面に接着層が設けられた印刷用シートと、該印刷用シートの接着層に対して剥離可能に積層された剥離シートとを備えるものが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の消火性シート。
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