JP2009117260A - Mea部材、及びこれを備えた高分子電解質形燃料電池 - Google Patents

Mea部材、及びこれを備えた高分子電解質形燃料電池 Download PDF

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弘樹 日下部
Eiichi Yasumoto
栄一 安本
Takashi Morimoto
隆志 森本
Yoshiteru Nagao
善輝 長尾
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Abstract

【課題】MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による内側端子部の腐食を十分に防止することができるMEA部材を提供する。また、本発明のMEA部材を備え、内側端子部の接触不良を防止できるので、PEFCの保守の負担を軽減することができるPEFCを提供する。
【解決手段】枠体6のいずれかの主面において第1ガスケット7より外縁側の位置に露出して構成された内側端子部18から、枠体6の側面外側の外側端子部16まで延びるようにして枠体6に埋設されている導電部材17と、内側端子部18を包囲する等圧用環状部19Aを有し、かつ等圧用環状部19Aは差圧用環状部7Aから独立して枠体6に配設されている第2ガスケット19と、を有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、MEA(Membrane-Electrode-Assembly,膜電極接合体)と、MEAの外縁を保持及び包囲している枠体と、前記枠体の両主面に配設されて前記MEA及びマニホールド孔をそれぞれ包囲する複数の環状部を有するガスケットと、を有するMEA部材、及びMEA部材がアノードセパレータ板及びカソードセパレータ板に挟まれてなる高分子電解質形燃料電池に関する。
高分子電解質形燃料電池(以下、PEFCという)は、水素を含有する還元剤ガスと空気など酸素を含有する酸化剤ガスとをMEAにおいて電気化学的に反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させる。
PEFCは、MEAを有するMEA部材がアノードセパレータ板及びカソードセパレータ板に挟まれて構成されるセル(単電池)が複数積層されている。そして、内部マニホールド型のPEFCにおいてはMEA部材、アノードセパレータ板及びカソードセパレータ板周縁部には、還元剤ガス、酸化剤ガス及び冷却水がそれぞれ通流するマニホールド孔が複数形成されている。
MEA部材は、MEAと、MEAの外縁を保持及び包囲している枠体と、枠体の両主面に配設されてMEA及びマニホールド孔をそれぞれ包囲する複数の環状部を有するガスケットと、を有する。
MEAは高分子電解質膜とその両面に形成された一対の電極層とによって構成されている。そして、還元剤ガス及び酸化剤ガスはマニホールド孔からそれぞれのMEAの電極層に分岐して通流し、電極層の両面がそれぞれ還元剤ガス及び酸化剤ガスに曝露されて、電気化学反応が発生する。また、ガスケットの環状部は、MEAあるいはマニホールド孔からアノードセパレータ板あるいはカソードセパレータ板とMEA部材との間隙への還元剤ガス、酸化剤ガス及び冷却水の漏出を防止する。
一方で、PEFCの不具合の有無を点検あるいは不具合の原因を調査するためには、各セルの発電状態を常時あるいは随時監視できることが必要であり、各セルには電気端子が設けられている。特許文献1には、電気端子(同文献では電極13、40)をMEA部材に配設して、アノードセパレータ板及びカソードセパレータ板のいずれかに接触するように構成する技術が提案されている。このような構造によって、個々のセルの発電状態を容易に検出することができるとしている。また、PEFCの組立あるいは分解の作業において電気端子の取り付けあるいは取り外しの作業を省略することができると思われる。
WO02/001659
しかし、特許文献1の技術では、電気端子の腐食を十分に防止するという観点からは、未だ改善の余地があった。すなわち、特許文献1の第10図に示される技術では、ガスケットを内周側及び外周側の二重構造として、該二重のガスケットの間に電極を配設する技術が開示されている(同文献第10図)。一方で、MEAあるいはマニホールド孔内の還元剤ガス、酸化剤ガス及び冷却水の圧力は外圧である大気圧より高いので、MEAあるいはマニホールド孔からそれぞれの環状部のガスケットには、内外圧力差がかかり、何らかの要因によって、PEFCに供給される水分及び電気化学反応によって生成された水が、MEAあるいはマニホールド孔からそれぞれの環状部の外周側に滲み出しやすい構造となっている。このような場合、特許文献1の技術では、このようなMEAあるいはマニホールド孔からの滲出水は容易に電気端子に到達可能であり、電気端子を腐食するおそれがあった。電気端子の腐食によって、電気端子とアノードセパレータ板あるいはカソードセパレータ板との接触不良が発生するという課題があった。そして、PEFCの発電状態の監視においては、各セルの発電状態の異常の原因が接触不良あるいはセルの異常か判然とせず、PEFCの保守の負担が増えるという課題あった。
本発明は、上記従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による電気端子の腐食を十分に防止することができるMEA部材、及びこれを備えたPEFCを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、第1の本発明のMEA部材は、MEAと、
前記MEAの外縁を保持及び包囲しており、かつマニホールド孔が形成されている枠体と、
前記枠体の両主面に配設されて前記MEA及び前記マニホールド孔をそれぞれ包囲する複数の差圧用環状部を有する第1ガスケットと、を有し、アノードセパレータ板とカソードセパレータ板との間に挟まれて単電池を構成するMEA部材であって、
前記枠体のいずれかの主面において前記第1ガスケットより外縁側の位置に露出して構成された内側端子部から、前記枠体の側面外側の外側端子部まで延びるようにして前記枠体に埋設されている導電部材と、
前記内側端子部を包囲する等圧用環状部を有し、かつ前記等圧用環状部は前記差圧用環状部から独立して前記枠体に配設されている第2ガスケットと、を有する。
このような構成によって、第2ガスケットの等圧用環状部の環状内外には有意な圧力差が生じていない。したがって、第1ガスケットの差圧用環状部からの滲出水の内側端子部への到達を第2のガスケットの等圧用環状部によって十分に保護することができるので、MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による内側端子部の腐食を十分に防止することができる。ここで、「独立して」とは、等圧用環状部と差圧用環状部とが離隔して構成されていることをいい、等圧用環状部と差圧用環状部との間に両者よりも低い高さの谷部が形成されていることをいう。
第2の本発明のMEA部材は、前記第2ガスケットは、前記第1ガスケットに接続する連絡部を有し、かつ、前記連絡部は前記等圧用環状部及び前記差圧用環状部よりも低い高さであるとよい。
このような構成によって、第1ガスケット及び第2ガスケットを一体的に構成することができるので、MEA部材の製造工程を簡略化することができる。
第3の本発明のMEA部材は、前記枠体には、前記内側端子部の露出面の背面に弾性部材が配設されているとよい。
このような構成によって、アノードセパレータ板及びカソードセパレータ板のいずれかと内側端子部とをより確実に接触させることができる。
第4の本発明のMEA部材は、前記枠体は、側面の一部が更に外周側に突き出て構成された端子用凸部を有し、
前記外側端子部は、前記端子用凸部の頂面から突き出て構成されているとよい。
このような構成によって、外側端子部における外部回路との接触不良をより確実に防止することができる。
第5の本発明の高分子電解質形燃料電池は、請求項1に記載のMEA部材と、
アノードセパレータ板と、
カソードセパレータ板と、を有し、
前記MEA部材の前記等圧用環状部及び前記差圧用環状部がそれぞれ前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の少なくともいずれかに当接し、かつ前記内側端子部が前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の少なくともいずれかに当接して、前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の間に前記MEA部材を挟んで構成されている。
このような構成によって、MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による内側端子部の接触不良を防止できるので、PEFCの保守の負担を軽減することができる。
第6の本発明の高分子電解質形燃料電池は、前記等圧用環状部の方が前記差圧用環状部よりも弱い圧力で前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板に当接するように構成されているとよい。
このような構成によって、等圧用環状部において生ずる応力による差圧用環状部の封止性能の低下を防止することができる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明のMEA部材は、MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による内側端子部の腐食を十分に防止することができる。また、本発明のMEA部材を備えたPEFCは、内側端子部の接触不良を防止できるので、PEFCの保守の負担を軽減することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の第1実施形態のPEFCの要部の構造を示す部分分解斜視図である。
図1に示すように、PEFC100は、セル10を積層させて構成されている。なお、図示しないが、セル10の両端の最外層には集電板、絶縁板、エンドプレートが取り付けられ、セル10は両端から、ボルト孔4を挿通される締結ボルトとナットとで締結されて構成されている。本実施形態では、セル10は60個積層されて、ボルト孔4に挿通されるボルトとナットとが締結力10kNで締結されている。
セル10は、MEA部材1を一対の導電性のセパレータ板、具体的にはアノードセパレータ板2及びカソードセパレータ板3で挟んで構成されている。これによって、MEA5の電極層のうちの最も外側に配置されているガス拡散層5Cがセパレータ板2,3と当接し、アノードセパレータ板2の還元剤ガス流路溝21及びカソードセパレータ板3の酸化剤ガス流路溝31が、ガス拡散層5Cによって覆われる。つまり、セパレータ板2側のガス拡散層5Cが還元剤ガス流路溝21を流通する還元剤ガスに曝露され、カソードセパレータ板3側のガス拡散層5Cが酸化剤ガス流路溝31を流通する酸化剤ガスに曝露され、PEFC100の電気化学反応を生じさせることができる。また、積層されたセル10においては、隣接したMEA5が互いに電気的に直列に、場合によっては並列に、接続される。
アノードセパレータ板2及びカソードセパレータ板3は、平板状であって、MEA部材1と接触する側の面、すなわち内面は、MEA部材1の形状、より具体的には枠体6とMEA5との厚みの違いによる段差に応じるようにして、中央部が台形状に突出するように段差を有している。ここでは、アノードセパレータ板2及びカソードセパレータ板3には、東海カーボン株式会社製グラッシーカーボン(厚さ3mm)を用いている。セパレータ板2、3の内面には、還元剤ガス流路溝21、酸化剤ガス流路溝31が形成され、セパレータ板2,3の背面には水流路溝50(図3参照)が形成されている。還元剤ガス流路溝21、酸化剤ガス流路溝31、水流路溝50等は切削加工あるいは成形加工により形成される。
また、セパレータ板2,3及びMEA部材1の周縁部、つまり枠体6に、還元剤ガス及び酸化剤ガスが流通するそれぞれ一対の貫通孔、すなわち、還元剤ガスマニホールド孔12、22、32、及び酸化剤ガスマニホールド孔13、23、33が穿たれている。セル10が積層された状態では、これら貫通孔が積層されて結合し、還元剤ガスマニホールド及び酸化剤ガスマニホールドを形成する。
また、セパレータ板2,3及びMEA部材1の周縁部に、還元剤ガスマニホールド孔12、22、32、及び酸化剤ガスマニホールド孔13、23、33と同様にして、水が流通する一対のマニホールドを形成する水マニホールド孔14,24,34が穿たれている。これによって、セル10が積層された状態では、これらマニホールド孔はそれぞれ積層して、一対の水マニホールドが形成される。
アノードセパレータ板2の内側の主面には、一対の還元剤ガスマニホールド孔22、22間を結ぶようにして還元剤ガス流路溝21が形成されている。カソードセパレータ板3の内側の主面には、一対の酸化剤ガスマニホールド孔33、33間を結ぶようにして酸化剤ガス流路溝31が形成されている。つまり、酸化剤ガス及び還元剤ガスが、それぞれ一方のマニホールド、すなわち供給側のマニホールドから、流路溝21、31に分岐して、それぞれの他方のマニホールド、すなわち排出側のマニホールドに流通するように構成される。
これによって、還元剤ガスと酸化剤ガスとは、それぞれ供給側の還元剤ガスマニホールド孔22及び酸化剤ガスマニホールド孔33から還元剤ガス流路溝21と酸化剤ガス流路溝31Bとに分岐して流入し、両面のガス拡散層5Cがそれぞれ還元剤ガス及び酸化剤ガスに曝露され、電気化学反応を起こす。そして、それらの余剰のガスや反応生成成分は、排出側の還元剤ガスマニホールド孔22及び酸化剤ガスマニホールド孔33に排出される。
図2は、図1のMEA部材のアノード側主面を模式的に示す平面図である。図2において、還元剤ガス流路溝21は、セル10組立状態においてアノードセパレータ板2の還元剤ガス流路溝21が当接する位置を示す。
図3は、図1のIII−III線におけるセルの積層断面構造を示す断面図である。説明の都合により一部を分解して示す。
図1乃至図3に示すように、MEA部材1は、MEA5と、MEA5の外縁を保持及び包囲している枠体6とを有している。
図3に示すように、MEA5は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜5A、および高分子電解質膜5Aの周縁部より内側の部分の両面に形成された一対の電極層、すなわちアノードとカソードの電極層から構成される。電極層は、ガス拡散層5Cと、ガス拡散層5Cと高分子電解質膜5Aとの間に配置される触媒層5Bとを有する積層構造を有している。触媒層5Bは、通常、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とし、高分子電解質膜5Aの表面に形成される。また、ガス拡散層5Cは、触媒層5Bの外面に形成される、通気性と電子伝導性を併せ持つ。したがって、MEA部材1の枠体6の中央開口部にはガス拡散層5Cが両面に露出している。
枠体6は、MEA5の高分子電解質膜5Aの周縁部5Dを挟み(図2参照)、かつ該高分子電解質膜5Aの外縁に接合している矩形板状の枠体である。
枠体6には、図2に示すように該枠体6を厚み方向に貫通するように、一対の還元剤ガスマニホールド孔12と、一対の酸化剤マニホールド孔13と、一対の水マニホールド孔14と、枠体6の角部近傍に4つのボルト孔4とが形成されている。本実施の形態においては、枠体6は、外形の寸法が200mm×180mm、開口部の寸法が124mm角である、矩形平板状に構成されている。また、枠体6の厚みは、0.8mmである。
ここで、枠体6は熱可塑性樹脂から構成される。この熱可塑性樹脂は、PEFC100の運転温度以下において、化学的に清浄かつ安定であって、適度の弾性率と比較的高い荷重たわみ温度を有する。例えば、セパレータ板2,3の還元剤ガス流路21及び酸化剤ガス流路31の幅が1乃至2mm程度、かつ枠体6の厚みが概ね1mm以下であることを前提とした場合、枠体6の材料の圧縮弾性率は少なくとも2000MPa以上であることが望ましい。ここで、弾性率とは、日本工業規格JIS-K7181に定める圧縮弾性率測定法によって計測された圧縮弾性率を言う。また、PEFC100の運転温度が一般的には90℃以下なので、枠体6の撓み荷重温度は120℃以上であることが好ましい。また、枠体6は化学的安定性の観点から非晶性樹脂ではなく結晶性樹脂が好ましく、その中でも機械的強度が大きく、かつ耐熱性が高い材質が好ましい。
例えば、いわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックグレードのものが好適である。例示をすれば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)等は数千から数万MPaの圧縮弾性率と、150℃以上の撓み荷重温度を有しており、好適な材料である。また、汎用されている樹脂材料であっても、例えばグラスフィラーが充填されたポリプロピレン(GFPP)等は、非充填のポリプロピレン(圧縮弾性率1000〜1500MPa)の数倍の弾性率を有し、かつ150℃近い撓み荷重温度を有しており、好適な材料である。本実施の形態においては、熱可塑性樹脂である、ガラスフィラー添加PPS(大日本インキ株式会社DIC-PPS FZ1140-B2)が用いられている。
枠体6の両面上には、該枠体6を挟むようにして第1ガスケット7が配設されている。第1ガスケット7は、冷却水、酸化剤ガス及び還元剤ガスが、MEA5やマニホールド孔12,13,14から漏出しないように配設されている。すなわち、図2に示すように、第1ガスケット7は、枠体6のそれぞれの主面において、MEA5、一対の還元剤ガスマニホールド孔12、一対の酸化剤マニホールド孔13、及び一対の水マニホールド孔14をそれぞれ包囲する複数の差圧用環状部7Aを有している。本実施形態では複数の差圧用環状部7Aが連結して構成されている。差圧用環状部7Aは、セル10組立状態における締結力によって、アノードセパレータ板2及びカソードセパレータ板3に密着し、MEA5及び各種マニホールド孔12,13,14の内圧に抗して、それぞれの流体の漏出を防止するように構成されている。
ただし、本実施形態では、アノードセパレータ板2側では、セル10組立状態において還元剤ガス流路溝21が通る位置には、第1ガスケット7は配設されず、かつ還元剤ガスマニホールド孔12とMEA5とが一体的に包囲されるように差圧用環状部7Aが配設されている。図示しないが、同様にして、カソードセパレータ板3側では、セル10組立状態において酸化剤ガス流路溝31が通る位置には、差圧用環状部7Aは配設されず、かつ酸化剤ガスマニホールド孔13とMEA5とが一体的に包囲されるように第1ガスケット7が配設されている。これによって、第1ガスケット7は、還元剤ガスマニホールド孔22とMEA5との間を流通する還元剤ガス、及び酸化剤ガスマニホールド孔33とMEA5との間を流通する酸化剤ガスの流路抵抗とならず、かつ第1ガスケット7の差圧用環状部7Aによって、還元剤ガス及び酸化剤ガスの外部への漏出が遮断あるいは抑制される。
なお、セル10組立状態において還元剤ガス流路溝21及び酸化剤ガス流路溝31が当接する位置にガスケット7の環状部7Aは配設されてもよい。この場合、環状部ガスケット7の環状部7Aは還元剤ガス流路溝21及び酸化剤ガス流路溝31をある程度狭小化させるが、還元剤ガス流路溝21及び酸化剤ガス流路溝31を十分掘り下げることによって、還元剤ガス及び酸化剤ガスの流路抵抗を軽微にすることができる。
また、隣接するセル10間には、水流路溝50、マニホールド孔22,23,24、32,33,34から外部に流体が漏出しないようにシール部材9が配設されている。本実施形態では、図3に示すように、カソードセパレータ板3の背面側にシール部材9が配設されている。図示しないが、シール部材9は、水流路溝50、マニホールド孔32,33,34をそれぞれ包囲するように配設され、セル10組立状態において、隣接するセル10のアノードセパレータ板2にシール部材9が密着して構成される。
ここで、本発明の特徴である導電部材17及び第2ガスケット19を詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、枠体6には第1ガスケット7より外縁側の位置に導電部材17が埋設されている。より正確には、導電部材17は内側端子部18及び外側端子部16を除いて枠体6に埋設されている。すなわち、導電部材17は、内側端子部18から外側端子部16まで延びている。
内側端子部18は、アノード側主面6Pにおいて第1ガスケット7より外縁側の位置に露出して構成されている。
内側端子部18は、図3に示すように、枠体6のアノード側主面6Pの凹部6Fの底面において露出している。さらに、凹部6Fの周囲には、第2ガスケット19の等圧用環状部19Aが形成されている。
また、図1及び図3に示すように、本実施形態では、アノードセパレータ板2の枠体6側の面に凸部2Aが形成されている。凸部2Aは、セル10組立状態において枠体6の凹部6Fに入り込み、かつ凹部6Fの底面の内側端子部18に当接するような位置及び形状に形成されている。
ここで、導電部材17としては銅、真鍮、銀、SUSなどの金属が使用される。また、その表面が、金、銀、ニッケル、錫などの金属で被覆したものが好適である。これによって、耐腐食性、及び内側端子部18とアノードセパレータ板2との導電性を向上させることができる。
内側端子部18の周囲のアノード側主面6Pには、内側端子部18を包囲するようにして第2ガスケット19の等圧用環状部19Aが形成されている。等圧用環状部19Aは差圧用環状部7Aから独立して形成されている。このような構造によって、等圧用環状部19Aの外圧及び内圧はほぼ大気圧となるので、MEA5及び各種マニホールド孔12,13,14の内圧は等圧用環状部19Aにはかからない。
ここで、第1ガスケット7及び第2ガスケット19は熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーからなる群より選択される少なくとも1種から構成される。この熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは、PEFC100の運転温度以下において、化学的に安定で、特に加水分解を起こさない等耐熱水性を有する。例えば、第1ガスケット7及び第2ガスケット19の圧縮弾性率は200MPa以下であることが望ましい。
好適な材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン−ジエン元共重合体(EPDM:Ethylene-Propylene-Diene Methylene linkage)ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および熱可塑性ポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
これによって、PEFC100の締結荷重において良好なシール性を確保することができる。本実施形態において第1ガスケット7及び第2ガスケット19には、PP及びEPDMを有してなるポリオレフィン系熱可塑性エラストマーであるサントプレン8101-55(Advanced Elasotomer System社製)を用いている。
第1ガスケット7及び第2ガスケット19は、互いに異なる材質を用いても良い。
以上のような構造により、セル10組立て状態において、内側端子部18は、PEFCに印加される締結力によって、アノードセパレータ板2の凸部2Aと接触する。また、等圧用環状部19Aはセル10組立状態においてアノードセパレータ板2と枠体6との間の押圧力によって内側端子部18を封止し、かつ等圧用環状部19Aには環の内外における有意な圧力差が生じない。したがって、差圧用環状部7Aからの滲出水の内側端子部18への到達を等圧用環状部19Aによって十分に防止することができる。すなわち、内側端子部18の腐食を防止し、接触不良に起因する燃料電池システムの誤動作を防止することが可能となる。
また、図1及び図2に示すように、枠体6の側面6Qの一部には、端子用凸部6Eが枠体6の外周側に突き出て構成されている。外側端子部16は、端子用凸部6Eの頂面から突き出て構成されている。外側端子部16に外部回路200が接続されて、個々のセル10の発電状態を検知することが可能となる。
ここで、端子用凸部6Eは外側端子部16における接触不良を防止する効果を有する。つまり、PEFC100が断熱材(図示せず)によって覆われる場合、枠体6の側面6Qは断熱材によって覆われるので、側面6Qと断熱材との間の環境の湿度が高まり、側面6Qには水分が付着しやすくなる。しかし、外側端子部16は端子用凸部6Eによって断熱材の外側に位置することができる。これによって、断熱材の内側において外側端子部16が湿度の高い雰囲気に晒されることを防止することができるので、外側端子部16における外部回路200との接触不良をより確実に防止することができる。
次に、MEA部材1の製造方法を説明する。
まず、MEA5は、高分子電解質膜5Aの中央部両面それぞれに触媒層5B及びガス拡散層5Cを一般的な方法により形成して作製する。例えば、以下のようにして作製する。
まず、触媒層5Bを以下のようにして形成する。ケッチェンブラックEC(KETJENBLACK INTERNATIONAL社製ファーネスブラック、比表面積800m2/g、DBP吸油量360ml/100g)に、白金を重量比1:1の割合で担持させる。次に、この触媒粉末10gに、水35gおよび水素イオン伝導性高分子電解質のアルコール分散液(旭硝子株式会社製、9%FSS)59gを混合し、超音波攪拌機を用いて分散させて、触媒層インクを作製する。そして、この触媒層インクを、高分子電解質膜5Aの両主面に、20μmの厚みにスプレー塗工し、その後115℃において20分間の熱処理をして、触媒層5Bが形成される。なお、スプレー塗工に際しては、高分子電解質膜5Aに120mm×120mmの開口部をもつマスクを被せて行っている。ここで、高分子電解質膜5Aには、外形寸法が140mm角、厚さ50μmのパーフルオロカーボンスルホン酸膜(DUPONT社製 Nafion117(登録商標))が用いられている。
次に、触媒層5Bに重ねるようにしてガス拡散層5Cを形成する。ガス拡散層5Cは微細な孔部を多数有する多孔質体によって構成されている。これによって、還元剤ガスあるいは酸化剤ガスが孔部に侵入することによって、それらガスが拡散して、触媒層5Bに到達しやすくなる。本実施の形態においては、123mm角の炭素繊維布(JAPAN GORE-TEX社製Carbel CL400、厚み400μm)を触媒層5Bが塗布されている高分子電解質膜5Aの両主面に被せる。そして、この炭素繊維布を、圧力0.5MPa、135度、5分間の条件でホットプレスすることによって、高分子電解質膜5A両主面の触媒層5B上に接合するようにしてガス拡散層5Cが形成される。
あるいは一般に販売されているMEAを利用してもよい。
次に、MEA5の周縁部5Dに枠体6を形成する。
図4は、図3の断面におけるMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。
まず、図4(a)に示すように、第1工程において、枠体6の片側部材6Cを成形する。第1金型T1と第2金型T2とが接合され、第1金型T1と第2金型T2との間隙に熱可塑性樹脂が射出等によって流し込まれ、片側部材6Cが成形される。
片側部材6Cの第2金型T2側の面には、枠体6の枠部を縁取るようにして平坦部6C1が環状に形成される。また、導電部材17が配置される位置に凹部6C2が形成される。さらに、片側部材6Cの平面図は図示しないが、片側部材6Cの側面6Qの一部がさらに外周側に突き出て端子用凸部6Eが形成される。そして、凹部6C2は、導電部材17の平面形状を縁取るような平面形状に形成されていて、枠体6の端子用凸部6Eの先端まで延びている。
片側部材6Cの第1金型T1側の面は、片側部材6Cのカソード側主面6Rを形成している。図示しないが、片側部材6Cには各マニホールド孔12,13,14となる孔部が形成されている。そして、片側部材6Cの第1金型T1側の面には、一対の還元剤ガスマニホールド孔12及び一対の水マニホールド孔14をそれぞれ包囲するようにして、溝部6Aが環状に形成されている。また、複数の環状の溝部6Aは、枠体6の枠部を包囲するようにして連結して延びている。この溝部6Aの延伸方向断面は深さ約0.5mm、幅約0.5mmである。この溝部6Aによって、第1ガスケット7の差圧用環状部7Aを枠体6のカソード側主面6Rにより強固に固定することができる。
なお、第1金型T1が溝部6Aを省略して成形加工され、枠体6の成形加工完了後に切削加工によって溝部6Aを形成することもできる。
また、枠体6がマニホールド孔12,13,14を省略して成形加工され、枠体6の成形加工完了後に切削加工あるいは打ち抜き加工によってマニホールド孔12,13,14を形成することもできる。
ここで、第1金型T1において、片側部材6Cの枠内に相当する部分には、MEA5を平面状に収容して配置できるような平坦部T1Aが形成されている。つまり、平坦部T1Aは、ガス拡散層5Cの外縁よりも数ミリ程度延伸している広さで、底部は平坦部6C1よりもMEA5の触媒層5B及びガス拡散層5Cの厚さ程度掘り下げた位置に窪んで形成されている。
次に、図4(b)に示すように、第2工程において、第1金型T1に片側部材6Cを載置したまま、第2金型T2を取り払う。そして、MEA5を平坦部T1Aに収容し、かつMEA5の周縁部5Dを片側部材6Cの平坦部6C1に配置するようにしてMEA5を第1金型T1に載置する。また、導電部材17を片側部材6Cの凹部6C2に収容するようにして載置する。導電部材17は長板状の金属である。導電部材17は、片側部材6Cの枠内に向けて延びるように配設され、かつ、片側部材6Cの端子用凸部6Eから更に外側に突き出て配設される。導電部材17は、端子用凸部6Eから突き出ている部分が外側端子部16を構成する。
次に、図4(c)に示すように、第3工程においては、第1金型T1に片側部材6C、導電部材17及びMEA5を載置したまま、第1金型T1に第3金型T3が接合され、第1金型T1と第3金型T3との間隙に熱可塑性樹脂が射出等によって流し込まれ、枠体6が成形される。熱可塑性樹脂は片側部材6Cとの間にMEA5の周縁部5D及び導電部材17を挟み込んで、枠体6を形成する。これによって、MEA5は枠体6に保持される。
また、第3金型T3の凸部T3Aが導電部材17に当接するように突き出ている。これによって、枠体6に凹部6Fが形成され、凹部6Fの底面には導電部材17の内側端子部18が露出する。また、第3金型T3は第1金型T1と同様にして、外側端子部16を残して端子用凸部6Eが導電部材17を覆うように構成されている。したがって、導電部材17は、端子用凸部6Eから延びる外側端子部16及び内側端子部18を除いて枠体6に埋設される。これによって、導電部材17への水分の付着を防止することができ、導電部材17の腐食を防止することができる。
枠体6の第3金型T3側の面は、枠体6のアノード側主面6Pを形成している。図2に示すように、枠体6には各マニホールド孔12,13,14となる孔部が形成されている。そして、枠体6の第3金型T3側の面には、一対の酸化剤ガスマニホールド孔13及び一対の水マニホールド孔14をそれぞれ包囲するようにして、溝部6Aが環状に形成されている。また、複数の環状の溝部6Aは、枠体6の枠部を包囲するようにして連結して延びている。
また、凹部6Fの周囲の枠体6の第3金型T3側の面には、溝部6Bが環状に形成されている。この溝部6Bによって、第2ガスケット19の等圧用環状部19Aを枠体6により強固に固定することができる。これら溝部6A,6Bの延伸方向断面は深さ約0.5mm、幅約0.5mmである。この溝部6A、6Bによって、第1ガスケット7及び第2ガスケット19を枠体6のアノード側主面6Pにより強固に固定することができる。
次に、図4(d)に示すように、第4工程において、枠体6に第1ガスケット7及び第2ガスケット19を成形する。本実施形態では、枠体6から第1金型T1及び第3金型T3を取り払い、カソード側主面6R及びアノード側主面6Pにそれぞれ第4金型T4及び第5金型T5が接合され、第4金型T4と第5金型T5と枠体6との間隙に熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマーが射出等によって流し込まれ、カソード側主面6R及びアノード側主面6Pに第1ガスケット7及び第2ガスケット19が成形される。第1ガスケット7の差圧用環状部7Aはカソード側主面6R及びアノード側主面6Pの溝部6Aを覆うようにして成形される。また、第2ガスケット19の等圧用環状部19Aはアノード側主面6Pの溝部6Bを覆うようにして形成される。
ここで、差圧用環状部7Aは等圧用環状部19Aに比べて大きく形成されている。これによって、セル10組立状態において、等圧用環状部19Aの方が差圧用環状部7Aよりも弱い圧力でアノードセパレータ板2に当接するように構成される。したがって、セル10組立状態において、等圧用環状部19Aにおいて生ずる応力による差圧用環状部7Aの押圧力の減少を防止することができる。つまり、差圧用環状部7Aの封止性能の低下を防止することができる。これによって、MEA5あるいはマニホールド孔12,13,14からアノードセパレータ板2とMEA部材1との間隙への還元剤ガス、酸化剤ガス及び冷却水の漏出をより確実に防止することができる。
なお、第2ガスケット19には第1ガスケット7よりも柔らかい樹脂材料を用いても良い。例えば、充填材を凹部6F周囲の枠体6に塗布して形成することもできる。
次に、図4(e)に示すように、第5工程において、枠体6から第4金型T4及び第5金型T5を取り払い、MEA部材1が完成する。導電部材17において枠体6の凹部6Fの底面に露出する部分が、内側端子部18を構成する。また、導電部材17において枠体6の端子用凸部6Eの頂面から突き出ている部分が、外側端子部16を構成する。
以上のように、本発明のMEA部材1の製造方法は、MEA部材1は第2工程においてMEA5および導電部材17を配置する以外は成形加工である。したがって、MEA部材1は成形機内で製造され、第2工程では予め製作されたMEA5および導電部材17を成形機内に搬入して配置するだけで製造することができるので、本発明のMEA部材1の製造方法は、大量生産に適している。
加えて、スライド金型または回転金型を用いることにより、一つの成形機内で第1工程乃至第3工程を連続して行うことが可能である。これによって、各工程間に要する作業時間がさらに簡素され、MEA部材1の量産性をさらに向上させることができる。
ここで、本実施形態では、内側端子部18の構成を変形して、アノードセパレータ板2の凸部2Aと内側端子部18とがより確実に接触するように構成することもできる。具体的には、変形例1に例示する。
[変形例1]
図5は、第1実施形態の変形例1のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。本変形例は、内側端子部18周囲の枠体6の構造を変形する変形例である。したがって、図5において図4と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
まず、図5(a)に示すように、第1工程において、片側部材6Cの凹部6C2の内側端子部18に相当する位置とカソード側主面6Rとの間に孔部6Gが形成される。第1金型T1の凸部T1Bが第2金型T2に当接するように突き出ている。これによって、片側部材6Cに孔部6Gが形成される。
次に、図5(b)に示すように、第2工程において導電部材17が第1金型T1の凸部T1Bの頂面を覆って配設される。
そして、図5(d)に示すように、第4工程において、熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性エラストマーが射出等によって流し込まれ、孔部6G内及びカソード側主面6Rから突き出るようにして弾性部材8が形成される。
このようにして製造されたMEA部材1は、内側端子部18の背面に弾性部材8が構成されている。セル10組立状態において、弾性部材8はカソードセパレータ板3に当接する。これによって、弾性部材8は内側端子部18をアノードセパレータ板2側に押すので、アノードセパレータ板2の凸部2Aと内側端子部18とをより確実に接触させることができる。
また、本実施形態では内側端子部18は凹部6Fの底面に形成され、アノードセパレータ板2の凸部2Aが当接するように構成されている。ここで、内側端子18の構成を変形してアノードセパレータ板2の凸部2Aを省略して構成することもできる。具体的には、変形例2乃至3に例示する。
[変形例2]
図6は、第1実施形態の変形例2のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。本変形例は、内側端子部18に部材を追加する変形例である。したがって、図6において図4と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
本変形例の導電部材17は、長板状の金属板の第1部材17A及びコイル状の金属部材である第2部材17Bからなる。第2部材17Bは、導電性を有する弾性材料であればよく、例えば、導電性を有する樹脂であっても良い。
第1部材17Aは、第1工程乃至第4工程において枠体6に埋設されて、その一部が外側端子部16を構成する。
また、図6(e)に示すように、第4工程後、枠体6の凹部6Fの底面に露出する第1部材17Aに第2部材17Bが接合される。当該接合にはハンダ付け、銀ロウ止め等の導電性を損なわない接合方法が用いられる。
これによって、第2部材17Bの頂面に内側端子部18が構成される。内側端子部18のアノード側主面6Pからの突出高さ18Zは、等圧用環状部19Aのアノード側主面6Pからの突出高さ19Zとほぼ同等、あるいは突出高さ19Zよりも高い。したがって、アノードセパレータ板2の凸部2Aを省略して、セル10組立状態において、内側端子部18をアノードセパレータ板3に当接させることができる。
[変形例3]
図7は、第1実施形態の変形例3のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。本変形例は、導電部材17の形状を変更する変形例である。したがって、図7において図4と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
まず、図7(a)に示すように、第1工程において、片側部材6Cの凹部6C2は、板状の導電部材17の厚さと同等の深さを有して形成されている。また、片側部材6Cの凹部6C2は導電部材17の平板部がほぼ固定される程度の大きさ及び形状に形成される。これによって、導電部材17の位置ズレを防止することができる。
次ぎに、図7(b)に示すように、第2工程において導電部材17が凹部6C2に配設される。
ここで、導電部材17は、内側端子部18に相当する部位が屈曲して構成されている。
次ぎに、図7(c)に示すように、第3工程において、第3金型T3は導電部材17の内側端子部18を収容するように構成されている。つまり、内側端子部18を周囲から隔離するように環状凸部T3Bが形成されている。環状凸部T3Bの内部には内側端子部18を収容する程度の深さ及び形状を有する凹部T3Bが形成されている。これによって、内側端子部18周囲への射出成形材料の侵入を防止することができ、かつ、第3金型T3が内側端子部18を変形させることなく、枠体6を形成させることができる。
次ぎに、図7(d)に示すように、第4工程において、第5金型T5は、導電部材17の内側端子部18を収容するように構成されている。つまり、内側端子部18を収容する程度の深さ及び形状を有する凹部T5Aが形成されている。これによって、第5金型T5が内側端子部18を変形させることなく、第1ガスケット7及び第2ガスケット19を形成させることができる。
このようにして製造されたMEA部材1は、内側端子部18の屈曲部頂上のアノード側主面6Pからの突出高さ18Zは、等圧用環状部19Aのアノード側主面6Pからの突出高さ19Zとほぼ同等、あるいは突出高さ19Zよりも高い。したがって、アノードセパレータ板2の凸部2Aを省略して、セル10組立状態において、内側端子部18をアノードセパレータ板3に当接させることができる。
また、変形例2及び変形例3において、コイル状の第2部材17B及び屈曲した導電部材17の形状効果により、第2部材17B及び導電部材17は、内側端子部18に弾性を生じさせることができるので、セル10組立状態において、内側端子部18はアノードセパレータ板3に押し当てられても柔軟に対応することができる。さらに、アノードセパレータ板2の凸部2Aの加工を不要とし、追加の部材も要しないので、より低い製造コストで本発明を実現することができる。
さらに、本実施形態では第1ガスケット7及び第2ガスケット19はそれぞれ分離して構成されている。ここで、第1ガスケット及び第2ガスケットの構成を変形して両者を連結させて構成することもできる。具体的には、変形例4に例示する。
[変形例4]
図8は、第1実施形態の変形例4のMEA部材のアノード側主面を模式的に示す平面図である。図9は、図9のIX−IX線におけるセルの積層断面構造を示す断面図である。説明の都合により一部を分解して示す。本変形例は、第2ガスケット19の構成を追加する変形例である。したがって、図8及び図9において図2及び図3と同一又は相当する部分には同一の符号を付してその説明を省略し、相違点のみを説明する。
図8に示すように、第2ガスケット19は等圧用環状部19Aと連絡部19Bとを有している。
連絡部19Bは等圧用環状部19Aから延びて、第1ガスケット7に繋がっている。これによって、第1ガスケット7及び第2ガスケット19を連結させることができる。ここで、連絡部19Bは、第1ガスケット7の差圧用環状部7Aに繋がる必要性はなく、それ以外の部位に繋がっていても良い。
図9に示すように、連絡部19Bは等圧用環状部19A及び差圧用環状部7Aのよりも低い高さである。連絡部19Bの高さは、セル10組立状態において、連絡部19Bがアノードセパレータ板2に触れる程度以下であればよい。これによって、等圧用環状部19AにMEA5あるいはマニホールド孔12,13,14と外部との圧力差がかかることを防止することができる。これによって、図4(d)の第4工程において、第1ガスケット7の射出成形及び第2ガスケット19の射出成形を統合させることができるので、MEA部材5の製造工程を簡素化することができる。
すなわち、本発明における、「等圧用環状部19Aは差圧用環状部7Bから独立して」とは、等圧用環状部19Aと差圧用環状部7Aとが離隔して構成されていることをいい、等圧用環状部19Aと差圧用環状部7Aとの間に両者よりも低い高さの谷部が形成されていればよい。
以上、本発明の実施形態及びその変形例を詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において当業者はいろいろな改良や代替手段を用いることができる。例えば、上記実施形態では、枠体6の一つの主面のうちアノード側主面6Pに内側端子部18が構成されているが、カソード側主面6Rに内側端子部18が構成されていてもよい。すなわち、内側端子部18は、枠体6のいずれかの主面において第1ガスケット7より外縁側の位置に構成されていればよい。
また、MEA部材1の製造方法は、MEA5の形成と、枠体6などの構成とを順序を入れ替えてもよい。つまり、高分子電解質膜5Aが接合された枠体6を製造し、さらに枠体6に第1ガスケット7及び第2ガスケット19を構成した後に、高分子電解質膜5Aに触媒層5B及びガス拡散層5Cを形成しても良い。
本発明のMEA部材は、MEAあるいはマニホールド孔からの滲出水による内側端子部の腐食を十分に防止することができるMEA部材として有用である。また、本発明のMEA部材を備えたPEFCは、内側端子部の接触不良を防止できるので、PEFCの保守の負担を軽減することができるPEFCとして有用である。
本発明の第1実施形態の第1実施形態のPEFCの要部の構造を示す部分分解斜視図である。 図1のMEA部材のアノード側主面を模式的に示す平面図である。 図1のIII−III線におけるセルの積層断面構造を示す断面図である。 図3の断面におけるMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。 第1実施形態の変形例1のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。 第1実施形態の変形例2のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。 第1実施形態の変形例3のMEA部材の各製造工程を概略的に示す製造工程図である。 第1実施形態の変形例4のMEA部材のアノード側主面を模式的に示す平面図である。 図9のIX−IX線におけるセルの積層断面構造を示す断面図である。
符号の説明
1 MEA部材
2 アノードセパレータ板
2A 凸部
3 カソードセパレータ板
4 ボルト孔
5 MEA
5A 高分子電解質膜
5B 触媒層
5C ガス拡散層
5D 周縁部
6 枠体
6A、6B 溝部
6C 片側部材
6C1 平坦部
6C2 凹部
6E 端子用凸部
6F 凹部
6G 孔部
6P アノード側主面
6Q 側面
6R カソード側主面
7 第1ガスケット
7A 差圧用環状部
8 弾性部材
9 シール部材
10 セル
11A 外側接合部
11B 内側接合部
12、22、32 還元剤ガスマニホールド孔
13、23、33 酸化剤ガスマニホールド孔
14,24,34 水マニホールド孔
16 外側端子部
17 導電部材
17A 第1部材
17B 第2部材
18 内側端子部
18Z 突出高さ
19 第2ガスケット
19A 等圧用環状部
19B 連絡部
19Z 突出高さ
21 還元剤ガス流路溝
50 水流路溝
100 高分子電解質形燃料電池(PEFC)
200 外部回路
T1 第1金型
T1A 平坦部
T1B 凸部
T2 第2金型
T3 第3金型
T3A 凸部
T3B 環状凸部
T3C 凹部
T4 第4金型
T5 第5金型
T5A 凹部

Claims (6)

  1. MEAと、
    前記MEAの外縁を保持及び包囲しており、かつマニホールド孔が形成されている枠体と、
    前記枠体の両主面に配設されて前記MEA及び前記マニホールド孔をそれぞれ包囲する複数の差圧用環状部を有する第1ガスケットと、を有し、アノードセパレータ板とカソードセパレータ板との間に挟まれて単電池を構成するMEA部材であって、
    前記枠体のいずれかの主面において前記第1ガスケットより外縁側の位置に露出して構成された内側端子部から、前記枠体の側面外側の外側端子部まで延びるようにして前記枠体に埋設されている導電部材と、
    前記内側端子部を包囲する等圧用環状部を有し、かつ前記等圧用環状部は前記差圧用環状部から独立して前記枠体に配設されている第2ガスケットと、を有するMEA部材。
  2. 前記第2ガスケットは、前記第1ガスケットに接続する連絡部を有し、かつ、前記連絡部は前記等圧用環状部及び前記差圧用環状部よりも低い高さである、請求項1に記載のMEA部材。
  3. 前記枠体には、前記内側端子部の露出面の背面に弾性部材が配設されている、請求項1に記載のMEA部材。
  4. 前記枠体は、側面の一部が更に外周側に突き出て構成された端子用凸部を有し、
    前記外側端子部は、前記端子用凸部の頂面から突き出て構成されている、請求項1に記載のMEA部材。
  5. 請求項1に記載のMEA部材と、
    アノードセパレータ板と、
    カソードセパレータ板と、を有し、
    前記MEA部材の前記等圧用環状部及び前記差圧用環状部がそれぞれ前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の少なくともいずれかに当接し、かつ前記内側端子部が前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の少なくともいずれかに当接して、前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板の間に前記MEA部材を挟んで構成されている、高分子電解質形燃料電池。
  6. 前記等圧用環状部の方が前記差圧用環状部よりも弱い圧力で前記アノードセパレータ板及び前記カソードセパレータ板に当接するように構成されている、請求項4に記載の高分子電解質形燃料電池。
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