JP2009116673A - 業務支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークフローの設計・修正を効率的に行う。
【解決手段】業務支援装置は、模範作業者の操作履歴を示す手本ログから一以上の必須手順を設定し、必須手順を並べて順序情報を生成する。順序情報にしたがって各必須手順を画面表示させることにより、一般作業者に標準的な業務手順を示す一方、一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する。所定期間の実績ログにおいて、所定確率以上の確率で実行されていない必須手順があれば、留意手順として外部に通知する。
【選択図】図2

Description

この発明は、オフィス業務等において標準的な業務手順を定めるための技術、に関する。
銀行窓口やコールセンター、レストランなどの業務においては、定型的・標準的な手順を定めることが多い。たとえば、銀行窓口の出金業務は、「顧客の身分証明書を確認」、「印鑑を照合」、「出金希望額を確認して端末に入力」、・・・といった定型的手順の連続として定義できる。
作業者に業務手順を示すことにより業務遂行を支援するための技術として、さまざまなワークフロー管理技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。たとえば、銀行窓口に設置される端末に、「顧客の身分証明書を確認」、「印鑑を照合」、「出金希望額を確認して端末に入力」、・・・といった手順を順次表示させてやれば、出金業務に不慣れな窓口担当者であっても、出金業務を滞りなく遂行しやすくなる。
特開2000−148879公報
とはいえ、多種多様な定型業務それぞれに対応してワークフローを設計するとすれば、ワークフロー設計に要する工数が大きくなる。また、いったんワークフローが設計されても、現場の運用に応じてワークフローは適宜、見直しが必要となることも多く、メンテナンスにも工数がかかる。
本発明は、上記課題に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、ワークフローを効率的に設計・修正するための技術、を提供することにある。
本発明のある態様は、業務支援装置に関する。
この装置は、模範作業者の操作履歴を示す手本ログから一以上の必須手順を設定し、必須手順を並べて順序情報を生成する。順序情報にしたがって各必須手順を画面表示させることにより、一般作業者に標準的な業務手順を示す一方、一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する。所定期間の実績ログにおいて、所定確率以上の確率で実行されていない必須手順があれば、留意手順として外部に通知する。
本発明の別の態様もまた、業務支援装置である。
この装置は、模範作業者の操作履歴を示す手本ログから一以上の必須手順を設定し、必須手順を並べて順序情報を生成する。順序情報にしたがって各必須手順を画面表示させることにより、一般作業者に標準的な業務手順を示す一方、一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する。所定期間の実績ログにおいて、所定確率以上の確率で本来の実行順序とは異なる実行順序にて実行されている必須手順があれば、留意手順として外部に通知する。
本発明の更に別の態様もまた、業務支援装置である。
この装置は、模範作業者の操作履歴を示す手本ログから一以上の必須手順を設定し、必須手順を並べて順序情報を生成する。順序情報にしたがって各必須手順を画面表示させることにより、一般作業者に標準的な業務手順を示す一方、一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する。各必須手順の実行に要する操作時間を計測しておき、所定期間の実績ログにおいて、一般作業者による操作時間のばらつきが所定値以上となる必須手順があれば、留意手順として外部に通知する。
なお、以上に示した構成要素の任意の組合せ、本発明を方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムにより表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ワークフローを効率的に設計・修正しやすくなる。
本実施例においては、銀行の窓口業務、特に、出金業務を例として説明する。
図1は、銀行300におけるハードウェア構成図である。
銀行300は複数の窓口を備え、各窓口には窓口担当者が配置される。窓口担当者ごとにオペレータ端末200a、200b、200c(以下、単に「オペレータ端末200」とよぶ)が設置される。各オペレータ端末200は、一般的なウェブ端末である。オペレータ端末200は、LAN(Local Area Network)208を介して業務システム210と接続される。業務システム210は、オペレータ端末200からの指示に応じて、預金や出金、決済等を処理するためのシステムである。窓口担当者は、顧客との会話から顧客の要望を確認し、オペレータ端末200を介して業務システム210にアクセスし、顧客の注文を発注することにより、窓口業務が実現される。
業務支援装置100は、窓口業務における業務手順を窓口担当者に示すために、オペレータ端末200の画面所定領域にワークフローを表示させる。各窓口担当者は、オペレータ端末200のワークフローを参照しながら、オペレータ端末200を操作して窓口業務を遂行する。
ワークフローが複雑であったり、ワークフローの種類が多いときには、ワークフローの設計・保守に要する工数が大きくなる。業務支援装置100は、ワークフローの設計・修正を支援するための機能を有する。業務支援装置100には設計端末240が接続されている。設計端末240は「業務管理者」により操作される一般的なウェブ端末である。業務管理者は、設計端末240を介して業務支援装置100を操作し、ワークフローの設計・保守を行う。
ワークフロー設計における処理過程は以下の通りである。ここでは出金業務についてのワークフロー設計を例として説明する。
A1.業務管理者は、窓口担当者のうち、出金業務に習熟している、あるいは、標準的な操作ができる窓口担当者を「模範作業者」として選ぶ。
A2.模範作業者は、オペレータ端末200を操作して出金業務を遂行する。業務支援装置100は、このときの模範作業者によるオペレータ端末200の操作履歴を「手本ログ」として記録する。
A3.業務管理者は、手本ログを参照し、手本ログに含まれているさまざまな操作手順の中から、出金業務において必須と思われる手順を「必須手順」として選択する。
A4.業務支援装置100は、こうして選択された必須手順を連結することにより、必須手順の内容と実行順序を示す「順序情報」を生成する。
A5.通常業務として、一般的な窓口担当者(以下、「一般作業者」とよぶ)が出金業務を遂行するとき、業務支援装置100は、順序情報にしたがってそのオペレータ端末200の画面上に実行すべき必須手順を適宜示す。
図2は、必須手順選択画面220の画面図である。
上記A3のフェーズにおいて、業務支援装置100は必須手順選択画面220を設計端末240に表示させる。業務支援装置100は、自装置の画面に必須手順選択画面220を表示させてもよいが、本実施例においては、ウェブページとして設計端末240に必須手順選択画面220を表示させるものとする。
手本ログ領域222は、A2のフェーズで取得された手本ログの内容を示す。模範作業者によるオペレータ端末200の操作履歴として、複数の手順が手本ログに記録される。手本ログに記録されている操作名をそのまま手順の名前としてもよいし、業務管理者が別名を設定してもよい。選択領域224は、必須手順を選択するための領域である。業務管理者は、手本ログ領域222に示される各手順のうち、出金業務にとっての必須手順を選択領域224にて選択する。
同図の手本ログによると、模範作業者による出金業務の流れは以下の通りである。
a1.印鑑照合指示:
顧客の印鑑を借り受け、その印影を画像スキャンして業務システム210に送信する。業務システム210は、あらかじめ登録されている顧客の印影画像とオペレータ端末200から受信した印影画像とを照合し、顧客から借り受けた印鑑を認証する。ここでは、「印鑑照合指示」という一つのステートメントにまとめているが、複数のステートメントにより「印鑑照合指示」が示されてもよい。たとえば、「印影スキャン」、「印影送信」という2つの操作を「印鑑照合指示」という手順、いわば、トランザクションとして対応づけてもよい。他の手順についても同様である。
a2.印鑑照合確認:
オペレータ端末200は、業務システム210から照合結果を受信する。顧客の印鑑が認証されていれば、オペレータ端末200の画面上に表示される照合確認ボタン(図示せず)をクリックする。
a3.出金指示画面表示:
顧客口座からの出金を指示するため画面である出金指示画面(図示せず)を表示させる。
a4.出金額入力:
出金指示画面に顧客から要求された出金額を入力する。
a5.金種入力:
紙幣や硬貨の種類と枚数配分を入力する。
a6.出金承認申請:
外部に出金の承認を依頼する。ここでいう外部とは、所定の承認権限者であってもよいが、本実施例においては、業務システム210の承認判定プログラムであるとする。出金指示画面を介して業務システム210に出金承認依頼を発行することにより、出金の承認が依頼される。業務システム210は、顧客の口座残高や一日あたりの取引制限高等を参照して、承認可否を判定する。
a7.出金承認確認:
オペレータ端末200は、業務システム210から出金承認判定結果を受信する。出金が承認されていれば、出金指示画面に表示される承認確認ボタン(図示せず)をクリックする。
a8.出金指示入力:
現金支払機(図示せず)に出金指示し、指定額を顧客に支払う。
同図において業務管理者は、上記a1〜a8の8つの手順のうち、「b1.出金額入力」、「b2.出金承認申請」、「b3.出金承認確認」、「b4.出金指示入力」の4つの手順を選択している。出金業務において、これら4つの手順が必須手順、すなわち、必ず実行すべき手順であるとして選択されたことになる。
図3は、図2の選択結果として生成されるワークフローを示す。
業務支援装置100は、業務管理者により選択された4つの必須手順を連結して、順序情報、すなわち、ワークフローを生成する。A5に関連して説明したように、業務支援装置100は、一般作業者が出金業務を遂行するときには、そのオペレータ端末200の画面の一部にb1〜b4の必須手順を順序情報に示される順番どおりに画面表示させる。このため、一般作業者は、「出金額を入力した後に(b1)、出金承認を申請し(b2)、確認の上(b3)、出金指示する(b4)」という出金業務の基本的な流れを理解した上で、出金業務を遂行できる。
ここに示す例の場合、業務管理者は、「a4.金種入力」を必須手順として設定していない。業務管理者は、「a4.金種入力」は、実行されなくても出金業務に支障をきたさない手順であると判断したためである。手本ログに含まれている手順のすべてを必須手順とするのではなく、手本ログのうち、特に重要な手順だけを必須手順とすることにより、一般作業者に、「必ず実行しなければならない手順」を明確に示すことができる。「a4.金種入力」のような本質的でない手順まで必須手順としてワークフローに登録するとワークフローが複雑化しやすく、かえって「a6.出金承認申請」といった手順の重要性を窓口担当者が認識しにくくなる。特に、複雑なワークフローの場合、落としてはならない手順だけを必須手順として選択することは、業務遂行に際して致命的なミスを予防する上で有効である。
一般作業者のオペレータ端末200の画面所定領域には、図3に示す図形態様にてワークフローが表示させる。業務管理者は、必須手順の選択時において、「注意事項」を追記することもできる。たとえば、「b1.出金額入力」という必須手順に対して「出金額を入力して確定させる前に、桁数を間違えていないか再度確認すること」といった注意事項をテキストベースで設定し、順序情報の一部として登録してもよい。この場合、一般作業者のオペレータ端末200には、設定された注意事項が表示される。
順序情報(ワークフロー)が生成されると、一般作業者としての窓口担当者は、業務支援装置100がオペレータ端末200に表示されるワークフローを参照しながら、日々の出金業務を遂行する。この一般作業者による業務遂行状態に応じて、ワークフローは修正される。ワークフロー修正における処理過程は以下の通りである。
B1.一般作業者がオペレータ端末200を操作して出金業務を遂行するとき、業務支援装置100は一般作業者によるオペレータ端末200の操作履歴を「実績ログ」として記録する。
B2.業務支援装置100は、所定期間において生成された複数の実績ログを参照し、統計的にみて、実行されないことが多い必須手順を「留意手順」として抽出する。
B3.留意手順を設計端末240に画面表示させることにより、留意手順があることを業務管理者に通知する。業務管理者は、設計端末240にて手本ログを再表示させ、以降においては留意手順が抽出されないように必須手順の選択を見直すことにより、ワークフローを修正する。
図4は、留意手順の抽出方法を説明するための模式図である。
業務支援装置100は、定期的に、所定期間分、たとえば、直近1ヶ月分の実績ログを参照し、所定確率以上、たとえば、10%以上の確率で実行されていない必須手順を「留意手順」として抽出する(以下、このような留意手順を特に「不実行手順」ともよぶ)。ここでいう「実行されていない」とは、単に実行が省略されている場合もあるし、他の手順が実行されていないことにより当該手順の実行に失敗した場合も含む。図4に示す例によれば、「b3.出金承認確認」という必須手順は、実績ログによれば30%という高確率で失敗している。これは、n枚(nは自然数)の実績ログを参照したとき、そのうちの70%(0.7n枚)の実績ログにおいては「b3.出金承認確認」が実行されているが、残りの30%(0.3n枚)の実績ログにおいては「b3.出金承認確認」の実行に失敗していることを意味する。業務支援装置100は、高確率で実行されていない「b3.出金承認確認」を留意手順として抽出し、設計端末240に通知する。このとき、業務支援装置100は、次に示す必須手順変更画面230を設計端末240に表示させる。
図5は、必須手順変更画面230の画面図である。
上記B3のフェーズにおいて、業務支援装置100は必須手順変更画面230を設計端末240に表示させる。業務管理者は、必須手順変更画面230にて手本ログを再度参照し、必須手順を選択変更する。
業務管理者による調査の結果、「a1.印影照合指示」という手順を怠った一般作業者が多いことが判明したとする。この場合、業務管理者は、必須手順変更画面230において、新たに、「a1.印鑑照合指示」と「a2.印鑑照合確認」を必須手順として順序情報に追加登録する。このため、新たな順序情報においては、a1〜a8の8つの手順のうち、「b1.印鑑照合指示」と「b2.印鑑照合確認」、「b3.出金額入力」、「b4.出金承認申請」、「b5.出金承認確認」、「b6.出金指示入力」の6つの手順が必須手順として登録される。
図6は、図5の選択結果として修正された後のワークフローを示す。
業務支援装置100は、新たに追加された「b1.印鑑照合指示」と「b2.印鑑照合確認」を含む6つの必須手順を連結して、ワークフローを変更する。以後においては、業務支援装置100は、一般作業者が出金業務を遂行するときには、そのオペレータ端末200の画面の一部にb1〜b6の必須手順を順番どおりに画面表示させる。このため、一般作業者は、「印鑑の照合を指示し(b1)、確認の上(b2)、出金額を入力し(b3)、出金承認を申請し(b4)、確認の上(b5)、出金指示する(b6)」という出金業務の一連の流れに導かれることになる。印鑑の照合という手順を必須手順として示すことにより、「b5.出金承認確認」の成功率を高めることができる。結果として、「b5.出金承認確認」が留意手順として抽出されるという現象の再発を防止しやすくなる。
「b5.出金承認確認」のように、承認がないと実行できない必須手順の中から留意手順を抽出する場合に限らず、省略されがちな必須手順を留意手順として抽出してもよい。たとえば、「b4.出金承認申請」をすることなく「b6.出金指示入力」するケースが多発しているときには、「b4.出金承認申請」が留意手順として抽出される。業務管理者は、必須手順変更画面230において必須手順を見直すだけでなく、注意事項を設定することにより、出金業務が滞らないようにワークフローの表示内容を修正してもよい。注意事項の設定例として、「b3.出金額入力」という必須手順に対して「出金額を入力して確定させる前に、桁数を間違えていないか再度確認すること」といったテキストを設定してもよい。この場合、一般作業者が「b3.出金額入力」を実行する段になると、「出金額を入力して確定させる前に、桁数を間違えていないか再度確認すること」という注意事項が画面表示される。
更に、各一般作業者が出金業務に習熟し、「b1.印鑑照合指示」をせずに「b4.出金承認申請」をしてしまうというケースがほとんど発生しなくなったとする。業務支援装置100は、定期的に、所定期間分の実績ログを参照し、所定確率以上、たとえば、99.9%以上の確率で正しく実行されている必須手順を抽出してもよい。この例では、「b1.印鑑照合指示」が抽出されたとする。この場合、業務管理者は、充分に周知徹底された「b1.印鑑照合指示」を順序情報から登録抹消してもよい。このようなワークフロー修正方法によれば、「必ず実行されなければならない手順であって、かつ、必ず実行されるといえるほど周知徹底されていない手順」を必須手順とすることができるため、過度に必須手順が多くなり、ワークフローが複雑化するのを防ぐことができる。すなわち、「業務手順をわかりやすく示し、ミスを減らす」という目的に沿ったワークフローとしやすくなる。
図7は、必須手順の実行順序変更を説明するための模式図である。
同図のワークフローAは、図6に示したワークフローと同一である。一般作業者は、このワークフローAに示される手順にしたがって、出金業務を遂行する。ここで、一般作業者のうちの一部は、同図のワークフローBに示されるような、順序情報において設定されている実行順序とは異なる実行順序にて各必須手順を実行することにより、出金業務を遂行していることが実績ログから判明したとする。すなわち、ワークフローAにおいては、本来、「b2.印鑑照合確認」の後に「b3.出金額入力」すべきであるが、ワークフローBでは逆になっている。業務支援装置100は、定期的に、所定期間分、たとえば、直近1ヶ月分の実績ログを参照し、所定確率以上、たとえば、5%以上の確率でワークフローAとは異なる順序で実行されている必須手順を「留意手順」として抽出する。ここでは、「b2.印鑑照合確認」が留意手順として抽出される(以下、このような留意手順を特に「異順序手順」ともよぶ)。
更に、業務支援装置100は、一般作業者が出金業務の開始から完了に要する時間を「業務時間」として計測し、実績ログに記録する。業務支援装置100は、ワークフローBにより出金業務が実行されているとき、その平均的な業務時間を算出する。ここでは、ワークフローBの平均的な業務時間は18秒であったとする。一方、業務支援装置100は、本来のワークフローAにより出金業務が実行されているときの平均的な業務時間も算出する。ここでは、ワークフローAの平均業務時間は20秒であったとする。これにより、ワークフローAよりも、ワークフローBの方が業務効率が改善されていることが判明する。この理由としては、たとえば、印鑑照合指示を業務システム210に送信した後、照合結果が返信されてくるまで時間がかかるため、「b2.印鑑照合確認」の前に「b3.出金額入力」をしておいた方が、かえって効率的であるからかもしれない。
業務支援装置100は、ワークフローBのように各必須手順の実行順序を変更すると業務効率が改善する旨をしめす所定のテキストデータを設計端末240に表示させる。このような態様によれば、いったんワークフローが決定された後でも、現場の窓口担当者の工夫をワークフローに反映させることができる。
図8は、一般作業者ごとの操作時間のばらつきを説明するための模式図である。
各必須手順に要する時間は、窓口担当者の習熟度によってさまざまである。業務支援装置100は、一般作業者が各必須手順の開始から完了に要する時間を「操作時間」として計測し、実績ログに記録する。たとえば、「b3.出金額入力」という手順であれば、出金指示画面が表示されてから、出金額が入力され、確定ボタン(図示せず)がクリックされるまでの時間が操作時間として計測される。また、「b4.出金承認申請」という手順であれば、「b3.出金額入力」と「b2.印鑑照合確認」のいずれか遅い方が完了してから、業務システム210に対して出金承認依頼を発行するまでの時間が操作時間として計測される。その他の必須手順についても、操作時間の開始および終了の条件は、設計に応じて任意に設定すればよい。
同図に示すグラフは、横軸が操作時間、縦軸が度数を示す。所定期間、たとえば、直近1ヶ月間を対象として各一般作業者の「b3.出金額入力」について操作時間を集計すると、下限値Tas〜上限値Taeという比較的狭い範囲に収まる。一方、同じ期間を対象として「b4.出金承認申請」について操作時間を集計すると、下限値Tbs〜上限値Tbeという比較的広い範囲に広がっている。このことから、「b4.出金承認申請」は、操作時間がばらつきやすい手順であるといえる。
業務支援装置100は、定期的に、所定期間分、たとえば、直近1ヶ月分の実績ログを参照し、操作時間のばらつきが所定値以上、たとえば、操作時間の範囲が15秒間以上にわたって広がっている必須手順を「留意手順」として抽出する(以下、このような留意手順を特に「逡巡手順」ともよぶ)。ここでは、「b4.出金承認申請」を留意手順として抽出し、設計端末240に通知する。業務管理者は、「b4.出金承認申請」で一般作業者が操作に迷わないように注意事項を追記してもよいし、「b4.出金承認申請」という手順を複数の手順に分解してもよい。このような対応により、手順によって操作時間のばらつきが大きくならないようにワークフローを修正する。
なお、「操作時間のばらつき」を、標準偏差などの統計的指標により定義してもよい。
図9は、業務支援装置100の機能ブロック図である。
ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
業務支援装置100は、ユーザインタフェース処理部110、データ処理部130およびデータ保持部170を含む。
ユーザインタフェース処理部110は、模範作業者や一般作業者、業務管理者といった各種ユーザとのユーザインタフェース処理を担当する。ユーザインタフェース処理部110は、オペレータ端末200にワークフローを表示させる。また、設計端末240に必須手順変更画面230や設計端末240を表示させる。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110やデータ保持部170から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110とデータ保持部170との間のインタフェースの役割も果たす。データ保持部170は、各種データを保持するための記憶領域である。
ユーザインタフェース処理部110:
ユーザインタフェース処理部110は、入力部112と表示部120を含む。入力部112は、必須手順選択画面220や必須手順変更画面230を介して、業務管理者による必須手順の選択を受け付ける。また、模範作業者や一般作業者、すなわち、窓口担当者によるオペレータ端末200の操作を検出する。
表示部120は、オペレータ端末200にワークフローを表示させる。また、設計端末240に必須手順変更画面230等を表示させる。表示部120は、手本ログ表示部122、必須手順表示部126、留意手順通知部124および順序変更通知部128を含む。手本ログ表示部122は、必須手順選択画面220等に示したように手本ログを画面表示させる。必須手順表示部126は、順序情報にしたがって必須手順をオペレータ端末200に示し、窓口業務を支援する。留意手順通知部124は、留意手順が抽出されたとき、設計端末240に留意手順を表示させる。順序変更通知部128は、図7に関連して説明したように、必須手順の実行順序を変更した方が業務効率が向上する場合、設計端末240に順序情報の変更を提案する旨の情報を表示させる。
データ保持部170:
データ保持部170は、手本ログ保持部172、実績ログ保持部174および順序情報保持部176を含む。手本ログ保持部172は、模範作業者の所定業務についての操作履歴を示す手本ログを保持する。実績ログ保持部174は一般作業者の所定業務についての操作履歴を示す実績ログを保持する。順序情報保持部176は、業務管理者の選択結果として生成される順序情報を保持する。順序情報は、必須手順の内容と実行順序とを示すリスト形式のデータである。
データ処理部130:
データ処理部130は、ログ記録部140、順序情報登録部146、時間計測部150および業務検証部160を含む。ログ記録部140は、窓口担当者による各種業務の操作履歴をログとして記録する。ログ記録部140は、手本ログ記録部142と実績ログ記録部144を含む。手本ログ記録部142は、模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録し、手本ログ保持部172に保存する。実績ログ記録部144は、一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録し、実績ログ保持部174に保存する。
順序情報登録部146は、業務管理者により選択された必須手順を連結して順序情報を生成・変更し、順序情報保持部176に保存する。必須手順表示部126は、この順序情報にしたがって、オペレータ端末200に各必須手順の実行順序を表示させる。
時間計測部150は、一般作業者が業務遂行に要した時間を計測する。業務時間計測部152は、所定業務、たとえば、出金業務が開始してから完了するまでの時間を業務時間として計測し、実績ログに記録する。操作時間計測部154は、所定業務に含まれる各種手順の開始から完了までに要した時間を操作時間として計測し、実績ログに記録する。このため、実績ログには、一般作業者により実行された手順、各手順に要した操作時間および業務に要した業務時間が記録されることになる。
業務検証部160は、一般作業者の業務遂行状態を解析し、順序情報の修正・変更の要否を判定する。業務検証部160は、留意手順抽出部162と順序変更判定部164を含む。留意手順抽出部162は、所定期間において取得された複数の実績ログを参照して、留意手順を抽出する。本実施例における留意手順は、以下のいずれかに該当したときに抽出される。
1.不実行手順:実行されない確率が所定確率以上となっている必須手順
2.異順序手順:本来の実行順序とは異なる実行順序にて実行される確率が所定確率以上となっている必須手順
3.逡巡手順:窓口担当者による操作時間のばらつきが所定の閾値よりも大きい必須手順
順序変更判定部164は、異順序手順として留意手順が抽出された場合であって、本来とは異なる順序にて留意手順が実行されることにより業務時間が短縮されているかを判定する。順序変更により業務時間が短縮される場合、順序変更通知部128は順序変更を業務管理者に提案する。
図10は、順序情報更新処理の処理過程を示すフローチャートである。
業務支援装置100は、定期的、たとえば、1ヶ月ごとに同図に示す順序情報更新処理を実行する。まず、留意手順抽出部162は、直近1ヶ月間において収集された実績ログ群を参照して統計解析し、異順序手順の有無を判定する(S10)。異順序手順があれば(S10のY)、順序変更判定部164は異順序手順を含む実績ログについて、平均業務時間を算出し、本来の実行順序による平均業務時間よりも短縮されているかを判定する(S12)。短縮されていれば(S12のY)、順序変更通知部128は設計端末240に対して、順序変更を提案する旨の情報を表示させる(S14)。短縮されていなければ(S12のN)、S14はスキップされる。その後、留意手順通知部124は、留意手順として、異順序手順を業務管理者に通知する(S20)。
次に、留意手順抽出部162は、直近1ヶ月間において収集された実績ログ群を参照して統計解析し、不実行手順の有無を判定する(S16)。不実行手順があれば(S16のY)、留意手順通知部124は、留意手順として、不実行手順を業務管理者に通知する(S22)。
最後に、留意手順抽出部162は、直近1ヶ月間において収集された実績ログ群を参照して統計解析し、操作時間のばらつきが所定の閾値よりも大きい必須手順、すなわち、逡巡手順の有無を判定する(S18)。逡巡手順があれば(S18のY)、留意手順通知部124は、留意手順として、逡巡操作を業務管理者に通知する(S24)。
S10、S16、S18のいずれかにおいて留意手順が抽出されたときには(S26のY)、手本ログ表示部122は必須手順変更画面230を表示させることにより、手本ログを再表示させる(S28)。業務管理者は、S14の順序変更提案や各種留意手順を参照しつつ、必須手順変更画面230を介して順序情報の内容を変更する。
以上、業務支援装置100を実施例に基づいて説明した。
業務支援装置100によれば、手本ログから必須操作を選択するという簡単なユーザインタフェースにより、ワークフローを生成できる。また、ワークフローにしたがって、実際に業務運用がなされていくなかで、不実行手順、異順序手順、逡巡手順といった留意手順を抽出することにより、ワークフロー、あるいは、オペレータ端末200のユーザインタフェースの改善ポイントが特定されやすくなる。異順序手順によってかえって業務効率が改善するときにも、ワークフローにそのような改善ポイントを反映させやすくなる。業務支援装置100によれば、手軽にワークフローを作成でき、しかも、運用に応じて柔軟に変更できる。
なお、窓口担当者のスキルレベルに応じてワークフローを変化させてもよい。たとえば、勤続6ヶ月以上の窓口担当者に限った実績ログによれば、「印鑑照合指示」が間違いなく実行されている場合、このような窓口担当者用のワークフローからは「印鑑照合指示」を登録抹消し、勤続6ヶ月未満の窓口担当者についてはそのまま残すとしてもよい。
なお、本実施例においては、1つの業務システム210を対象としてログを取得・解析するとして説明したが、これは本発明の範囲をたった1つの業務システム210に限る趣旨ではない。たとえば、印鑑照合のための業務システムと出金管理のための業務システムとが別々の業務システムとして形成されるかもしれない。手本ログや実績ログは、所定の窓口業務について、さまざまな業務システムに対する操作履歴として記録されてもよい。たとえば、印鑑照合のための業務システムと出金管理のための業務システムのそれぞれに対する操作履歴として、窓口業務の手本ログを取得してもよい。そして、この手本ログから、複数の業務システムを対象とした必須手順を選択し、この窓口業務の順序情報を生成してもよいことは当業者には理解されるところである。
以上、本発明について実施例をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
銀行におけるハードウェア構成図である。 必須手順選択画面の画面図である。 図2の選択結果として生成されるワークフローを示す図である。 留意手順の抽出方法を説明するための模式図である。 必須手順変更画面の画面図である。 図5の選択結果として修正された後のワークフローを示す図である。 必須手順の実行順序変更を説明するための模式図である。 一般作業者ごとの操作時間のばらつきを説明するための模式図である。 業務支援装置の機能ブロック図である。 順序情報更新処理の処理過程を示すフローチャートである。
符号の説明
100 業務支援装置、 110 ユーザインタフェース処理部、 112 入力部、 120 表示部、 122 手本ログ表示部、 124 留意手順通知部、 126 必須手順表示部、 128 順序変更通知部、 130 データ処理部、 140 ログ記録部、 142 手本ログ記録部、 144 実績ログ記録部、 146 順序情報登録部、 150 時間計測部、 152 業務時間計測部、 154 操作時間計測部、 160 業務検証部、 162 留意手順抽出部、 164 順序変更判定部、 170 データ保持部、 172 手本ログ保持部、 174 実績ログ保持部、 176 順序情報保持部、 200 オペレータ端末、 208 LAN、 210 業務システム、 220 必須手順選択画面、 222 手本ログ領域、 224 選択領域、 230 必須手順変更画面、 240 設計端末、 300 銀行。

Claims (9)

  1. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する手本ログ記録部と、
    前記手本ログを画面表示させる手本ログ表示部と、
    前記手本ログに記録された複数の手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する順序情報登録部と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる必須手順表示部と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する実績ログ記録部と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順のうち所定確率以上の確率で実行されていない必須手順を留意手順として抽出する留意手順抽出部と、
    前記留意手順を外部に通知する留意手順通知部と、
    を備えることを特徴とする業務支援装置。
  2. 前記留意手順抽出部は、外部からの承認を条件として実行可能な必須手順の中から、前記留意手順を抽出することを特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
  3. 前記手本ログ表示部は、前記留意手順が抽出されたときに前記手本ログを再度画面表示させ、
    前記順序情報登録部は、前記手本ログの中から業務管理者により新たな必須手順が選択されたとき、前記新たな必須手順を前記順序情報に登録することを特徴とする請求項1または2に記載の業務支援装置。
  4. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する手本ログ記録部と、
    前記手本ログを画面表示させる手本ログ表示部と、
    前記手本ログに記録された手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する順序情報登録部と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる必須手順表示部と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する実績ログ記録部と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順のうち所定確率以上の確率で本来の実行順序とは異なる実行順序にて実行されている必須手順を留意手順として抽出する留意手順抽出部と、
    前記留意手順を外部に通知する留意手順通知部と、
    を備えることを特徴とする業務支援装置。
  5. 前記所定の業務の遂行に要する業務時間を計測する業務時間計測部と、
    前記留意手順が抽出されたとき、所定期間において収集された実績ログを参照して、前記留意手順を前記本来の実行順序にて実行するときの業務時間と前記留意手順を前記異なる実行順序にて実行するときの業務時間を比較し、前記異なる実行順序にて実行するときの業務時間の方が短いときには、前記留意手順の実行順序変更を提案する旨を外部に通知する順序変更提案部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の業務支援装置。
  6. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する手本ログ記録部と、
    前記手本ログを画面表示させる手本ログ表示部と、
    前記手本ログに記録された手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する順序情報登録部と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる必須手順表示部と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する実績ログ記録部と、
    各必須手順の実行に要する操作時間を計測する操作時間計測部と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順うち一般作業者による操作時間のばらつきが所定値以上となる必須手順を留意手順として抽出する留意手順抽出部と、
    前記留意手順を外部に通知する留意手順通知部と、
    を備えることを特徴とする業務支援装置。
  7. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する機能と、
    前記手本ログを画面表示させる機能と、
    前記手本ログに記録された手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する機能と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる機能と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する機能と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順のうち所定確率以上の確率で実行されていない必須手順を留意手順として抽出する機能と、
    前記留意手順を外部に通知する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする業務支援プログラム。
  8. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する機能と、
    前記手本ログを画面表示させる機能と、
    前記手本ログに記録された手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する機能と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる機能と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する機能と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順のうち所定確率以上の確率で本来の実行順序とは異なる実行順序にて実行されている必須手順を留意手順として抽出する機能と、
    前記留意手順を外部に通知する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする業務支援プログラム。
  9. 模範作業者により所定の業務が遂行されるとき、前記模範作業者の操作履歴を手本ログとして記録する機能と、
    前記手本ログを画面表示させる機能と、
    前記手本ログに記録された手順のうち業務管理者により指定された一以上の手順を必須手順として設定し、一以上の必須手順を並べて順序情報を生成する機能と、
    一般作業者に前記所定の業務の手順を示すために、前記順序情報にしたがって前記一以上の必須手順を画面表示させる機能と、
    前記一般作業者により前記所定の業務が遂行されるとき、前記一般作業者の操作履歴を実績ログとして記録する機能と、
    各必須手順の実行に要する操作時間を計測する機能と、
    所定期間において収集された実績ログを参照し、前記一以上の必須手順うち一般作業者による操作時間のばらつきが所定値以上となる必須手順を留意手順として抽出する機能と、
    前記留意手順を外部に通知する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする業務支援プログラム。
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