JP2009114330A - 着色有機シリコーン微粒子及び化粧品原料 - Google Patents

着色有機シリコーン微粒子及び化粧品原料 Download PDF

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【課題】比較的簡単に作業性良く表面を均一着色したものとすることができ、それを化粧品原料として使用する場合には肌へののりや密着性に優れ、皮膜によって化粧落ちし難く、しみ等の隠ぺい力にも優れる等、望まれる複数の性能を同時に有する着色有機シリコーン微粒子を提供する。
【解決手段】下記の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させた。
有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は着色有機シリコーン微粒子及びこれを含有する化粧品原料に関し、更に詳しくは化粧品原料として使用する場合に肌のしみ等の隠ぺい力に優れ、また使用時に皮脂を吸収して化粧落ちが少ない等、望まれる複数の性能を同時に有する着色有機シリコーン微粒子に関する。
従来、化粧品原料として、中実球状の有機シリコーン微粒子を用いることが知られている(例えば特許文献1及び2参照)。しかし、これらの有機シリコーン微粒子には、これら自体が白色を呈することに起因して、これらを化粧品原料として使用したときに、化粧品の色調が変わったり、また皮膚上で白化し易いという難点がある。そこで従来、かかる難点を改善するものとして、着色有機シリコーン微粒子が提案されている(例えば特許文献3及び4参照)。これらのうちで特許文献3の着色有機シリコーン微粒子は、製造した中実球状の有機シリコーン微粒子の表面にアミノ基を導入し、このアミノ基を介して染料を吸着させたものであり、また特許文献4の着色有機シリコーン微粒子は、中実球状の有機シリコーン微粒子の製造過程で顔料を混在させ、結果として微粒子中に顔料を含有させたものである。しかし、これらの着色有機シリコーン微粒子には、前記のような難点を改善できるという利点があるものの、もともと中実球状であるため、肌へののりや密着感に劣り、皮脂によって化粧落ちし易く、しみ等の隠ぺい力にも劣るという欠点がある。
一方、化粧品原料として、中空半球状の有機シリコーン微粒子を用いることも知られている(例えば特許文献5参照)。この有機シリコーン微粒子には、それが中空半球状であるため、前記した中実球状のものに比べて、肌へののりや密着感に優れ、皮脂によって化粧落ちし難く、しみ等の隠ぺい力にも優れるという利点がある。しかし、この有機シリコーン微粒子も、これ自体が白色を呈することに起因して、前記した中実球状のものと同様の難点がある。そこで、中空半球状の有機シリコーン微粒子についても、前記した特許文献3や4の着色有機シリコーン微粒子と同様、着色することが考えられる。ところが、そもそも特許文献3や4の着色手段で着色有機シリコーン微粒子を得ようとすると、手間がかかり、作業も煩雑であって、また特許文献3の着色手段による場合は、中空半球状の有機シリコーン微粒子の表面にアミノ基を均一に導入することが難しいため、着色に斑を生じ易く、しかも導入したアミノ基に起因して肌に好ましくない刺激を与える懸念があり、更に特許文献4の着色手段による場合は、所望通りの中空半球状の有機シリコーン微粒子を得ることそれ自体が難しいという問題がある。
特開昭61−194009号公報 特開昭63−297313号公報 特開2003−335632号公報 特開2004−67763号公報 特開2003−128788号公報
本発明が解決しようとする課題は、比較的簡単に作業性良く表面を均一着色したものとすることができ、それを化粧品原料として使用する場合には肌へののりや密着性に優れ、皮脂によって化粧落ちし難く、しみ等の隠ぺい力にも優れる等、望まれる複数の性能を同時に有する着色有機シリコーン微粒子を提供する処にある。
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、全体としては中空半球状体様を呈する所定形状の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させて成るものが正しく好適であることを見出した。
すなわち本発明は、下記の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させて成ることを特徴とする着色有機シリコーン微粒子に係る。また本発明はかかる着色有機シリコーン微粒子を含有する化粧品原料に係る。
有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子。
先ず、本発明に係る着色有機シリコーン微粒子について説明する。本発明に係る着色有機シリコーン微粒子は、ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、全体としては中空半球状体様を呈する所定形状の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させて成るものである。
図1は本発明に供する有機シリコーン微粒子を略示する拡大縦断面図である。本発明に供する有機シリコーン微粒子は、ポリシロキサン架橋構造体から成り、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈するものである。
かかるポリシロキサン架橋構造体は、シロキサン単位が3次元の網目構造を形成した構造体である。ポリシロキサン架橋構造体を構成するシロキサン単位の種類や割合は特に制限されないが、かかるシロキサン単位としては下記の化1で示されるシロキサン単位と化2で示されるシロキサン単位とが好ましい。
Figure 2009114330
Figure 2009114330
化2において、
:ケイ素原子に直結した炭素数1〜12の有機基
化2中のRは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基等の炭素数1〜12の有機基が挙げられるが、なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。化2中のRがかかる有機基である場合、化2で示されるシロキサン単位のうちで好ましいシロキサン単位としては、メチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位、フェニルシロキサン単位等が挙げられる。
ポリシロキサン架橋構造体を前記したようなシロキサン単位で構成する場合、双方のシロキサン単位の構成割合は特に制限されないが、化1で示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位=30/70〜70/30(モル比)の構成割合とするのが好ましい。
本発明に供する有機シリコーン微粒子は、以上説明したようなポリシロキサン架橋構造体から成るものであって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈するものである。言い替えれば、中空半球状体を不均等に2分割したときの小分割部側の形状を呈するものである。そして内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にあるものであるが、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.02〜6μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.06〜8μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.03〜6μmの範囲内にあるものが好ましい。本発明に供する有機シリコーン微粒子において、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値、及び外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値はいずれも、本発明に供する有機シリコーン微粒子の走査電子顕微鏡像から抽出した任意の100個についてそれぞれを測定し、その平均を求めた値である。
本発明に供する有機シリコーン微粒子は以下の方法により製造できる。すなわち、下記の化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と下記の化4で示されるシラノール基形成性化合物とを、化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物/化4で示されるシラノール基形成性化合物=30/70〜70/30(モル比)の割合で用い、これらを触媒を存在させた条件下で水と接触させて加水分解することによりシラノール化合物を生成させ、引き続き生成させたシラノール化合物を縮合反応させることによって製造できる。
Figure 2009114330
Figure 2009114330
化3,化4において、
:ケイ素原子に直結した炭素数1〜12の有機基
X,Y:炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化1で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化3中のXは、1)メトキシ基やエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基、2)メトキシエトキシ基やブトキシエトキシ基等の、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、3)アセトキシ基やプロピオキシ基等の、炭素数2〜4のアシロキシ基、4)ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、5)ヒドロキシル基、6)塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、又は7)水素原子である。
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロルシラントリオール、ジクロルジシラノール、テトラクロルシラン、クロルトリハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでもテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランが好ましい。
化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物は、結果として化2で示されるシロキサン単位を形成することとなる化合物である。化4中のYは前記した化3中のXと同様であり、また化4中のRは前記した化2中のRと同様である。
化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルシラントリオール、メチルクロルジシラノール、メチルトリクロルシラン、メチルトリハイドロジェンシラン等が挙げられるが、なかでも化2中のRについて前記したように、結果としてメチルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、プロピルシロキサン単位、ブチルシロキサン単位又はフェニルシロキサン単位を形成することとなるシラノール基形成性ケイ素化合物が好ましい。
本発明に供する有機シリコーン微粒子を製造するに当たっては、先ず、以上説明した化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とを、化3で示されるシラノール基形成性化合物/化4で示されるシラノール基形成性化合物=30/70〜70/30(モル比)の割合で用い、双方を触媒存在下で、水と接触させて加水分解し、シラノール化合物を生成させる。加水分解するための触媒は従来公知のものを用いることができる。これには例えば、塩基性触媒として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基類や、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ドデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド、ナトリウムメトキシド等の有機塩基類が挙げられる。また酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とを、触媒存在下で、水と接触させて加水分解する場合、通常、水にシラノール基形成性ケイ素化合物と触媒とを加えて撹拌し、水に不溶のシラノール基形成性化合物が反応系から消失して均一な液層が形成された時点を加水分解の終点とする。シラノール基形成性ケイ素化合物の種類により、本来的な加水分解反応性の他に、水に対する分散性の差に基づく加水分解反応性が異なるため、反応系に加える触媒の種類、その使用量及び反応温度等を適宜選択するが、シラノール基形成性ケイ素化合物と水との接触反応を容易にするため、反応系に界面活性剤を加えることもできる。
触媒と共に反応系に加える界面活性剤としては、いずれも公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が使用できる。ノニオン性界面活性剤としては、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するα−アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、α−(p−アルキルフェニル)−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油等の、ポリオキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤が挙げられる。なかでもα−アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)が好ましく、α−ドデシル−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシエチレン単位の数が6〜16)がより好ましい。ノニオン性界面活性剤は、反応系に0.001〜0.05質量%の濃度で存在させるのが好ましい。
またアニオン性界面活性剤としては、オクチル硫酸塩、セチル硫酸塩、ラウリル硫酸塩等の炭素数8〜18の有機硫酸塩、オクチルスルホン酸塩、セチルスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ステアリルスルホン酸塩、オレイルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、オレイルベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、ジイソプロピルナフチルスルホン酸塩等の炭素数8〜30の有機スルホン酸塩等が挙げられる。なかでも炭素数8〜30の有機スルホン酸塩が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。アニオン性界面活性剤は、反応系に0.005〜0.55質量%の濃度で存在させるのが好ましい。
反応系に界面活性剤を存在させる場合、以上説明したようなノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤を単独及び又は双方を共存させることができる。ノニオン性界面活性剤を0.001〜0.05質量%の濃度及び又はアニオン性界面活性剤を0.005〜0.55質量%の濃度で存在又は共存させるのが好ましい。
水/シラノール基形成性ケイ素化合物全量の仕込み割合は、通常、10/90〜70/30(質量比)とする。触媒の使用量は、その種類及びシラノール基形成性ケイ素化合物の種類によっても異なるが、通常、シラノール基形成性ケイ素化合物の全量に対して1質量%以下とするのが好ましい。また反応温度は、通常0〜40℃とするが、加水分解反応によって生成させたシラノール化合物の即製的な縮合反応を避けるために30℃以下とするのが好ましい。
化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性化合物とは、例えば水中へ一度にこれらのシラノール基形成性ケイ素化合物を投入してから加水分解してもよいし、又は遂次投入しつつ加水分解してもよい。用いるシラノール基形成性ケイ素化合物の間で加水分解速度が著しく異なるような場合には、予め加水分解速度の遅いシラノール基形成性ケイ素化合物の加水分解を行ない、次いで加水分解速度の速いシラノール基形成性ケイ素化合物を投入して引き続き加水分解を行なうのが好ましい。
以上で生成させたシラノール化合物を含有する反応液を引き続き縮合反応に供し、中空半球状体様を呈した有機シリコーン微粒子を生成させる。本発明において、縮合反応の触媒としては加水分解における前記したような触媒を使用できるので、加水分解させて生成したシラノール化合物を含有する反応液をそのまま或は更に触媒を加え、30〜80℃に加温して反応を続けることにより縮合反応させて有機シリコーン微粒子をその水性懸濁液として得る。かくしてシラノール化合物を縮合反応させた後、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを加えることにより水性懸濁液のpHを8〜10の範囲に調整することが好ましい。またシラノール化合物を縮合反応させた後の水性懸濁液の固形分濃度(有機シリコーン微粒子の濃度)は水の量を調整することにより2〜12質量%の範囲となるようにするのが好ましく、5〜9質量%の範囲となるようにするのがより好ましい。
有機シリコーン微粒子は、前記の水性懸濁液から分離し、例えば金網を通して抜き取り、遠心分離法又は加圧濾過法等により固形分を30〜70質量%に調整した含水物として用いることができる。またかかる含水物を更に100〜250℃で加熱乾燥し、必要に応じて解砕した乾燥物として用いることもできる。
かくして得られる有機シリコーン微粒子は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にあるものである。
本発明に係る着色有機シリコーン微粒子は、以上説明したような全体としては中空半球状体様を呈する所定形状の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させて成るものである。かかる着色有機シリコーン微粒子は、下記の第1工程及び第2工程を経て得ることができる。
第1工程:有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒中に有機シリコーン微粒子又は含水状態の有機シリコーン微粒子を分散させると共に水不溶性植物色素を溶解させた状態の分散液を調製する工程。
第2工程:第1工程の分散液を30〜150℃で加熱処理し、有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させる工程。
第1工程では、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒中に有機シリコーン微粒子又は含水状態の有機シリコーン微粒子を分散させると共に水不溶性植物色素を溶解させた状態の分散液を調製する。第1工程に供する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ギ酸及び酢酸等の水溶性有機溶媒の他に、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類及び塩化メチレン等の水不溶性有機溶媒が挙げられる。
第1工程において、含水状態の有機シリコーン微粒子を用いる場合には、水溶性有機溶媒、水溶性有機溶媒と水不溶性有機溶媒との混合溶媒、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒、又は水溶性有機溶媒と水不溶性有機溶媒と水との混合溶媒を使用することができる。なかでも、有機溶媒としてはエタノールが好ましく、混合溶媒としてはエタノールと水の混合溶媒が好ましい。また混合溶媒中の水/有機溶媒の割合は50/50〜10/90(質量比)の範囲内のものが好ましい。更に混合溶媒は水不溶性植物色素を均一に付着させるため30〜150℃の範囲内で均一な溶解状態となるものが好ましい。
第1工程に供する水不溶性植物色素としては、クロロフィル、シソ色素、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色素、クルクミンやウコン色素、コチニール色素、アカキャベツ色素、ムラサキイモ色素、ブドウ果皮色素、エルダーベリー色素、トウガラシ色素、アトナー色素等の食用及び化粧用の植物性色素を挙げることができる。かかる水不溶性植物色素は有機シリコーン微粒子100質量部に対し0.0001〜1質量部、好ましくは0.0003〜0.6質量部の割合となるように付着させる。
第1工程では、水不溶性植物色素を、有機シリコーン微粒子を分散させた分散液中に溶解した状態とする。水不溶性植物色素は、有機シリコーン微粒子を分散させた分散液中に直接添加して溶解した状態とすることもできるが、水不溶性植物色素を予め有機溶媒に溶解しておき、これを有機シリコーン微粒子を分散させた分散液中に添加して溶解した状態とするのが好ましい。
水不溶性植物色素を溶解する有機溶媒としては、前記の水溶性有機溶媒、水不溶性有機溶媒、水溶性有機溶媒と水不溶性有機溶媒との混合溶媒、水溶性有機溶媒と水との混合溶媒又は水溶性有機溶媒と水不溶性有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。水不溶性植物色素は予めかかる有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒に均一になるよう溶解しておいたものを用いるのが好ましい。水不溶性植物色素を溶解するときの濃度は特に限定されないが、0.0001〜1質量%とするのが好ましく、0.0005〜0.5質量%とするのがより好ましい。
第1工程では以上説明したように、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒中に有機シリコーン微粒子又は含水状態の有機シリコーン微粒子を分散させると共に水不溶性植物色素を溶解させた状態の分散液を調製し、好ましくは更に水を加えて分散液中の水/有機溶媒=95/5〜70/30(質量比)の範囲内となるようにして、また好ましくはクエン酸等のpH調製剤により分散液のpHが1〜5の酸性領域となるようにする。
第1工程において、水を含有しない状態の有機シリコーン微粒子(乾燥状態の有機シリコーン微粒子)を用いる場合には、かかる有機シリコーン微粒子を有機溶媒中に分散させると共に水不溶性植物色素を直接添加するか又は予め有機溶媒で溶解しておいたものを添加して溶解した状態とするのが好ましく、ここで用いる有機溶媒としては、含水状態で有機シリコーン微粒子を用いる場合のものと同じものが挙げられるが、ノルマルヘキサンが好ましい。
第2工程では、以上説明したような第1工程の分散液を30〜150℃で加熱処理し、有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させる。加熱処理に要する時間は0.5時間以上、好ましくは1〜12時間、より好ましくは2〜10時間であり、加熱処理と同時に乾燥してもよいし、加熱処理後に乾燥してもよい。加熱処理には公知のヒーターや乾燥機が使用できる。かかるヒーターや乾燥機としては送風乾燥機、熱風式乾燥機、オーブン式乾燥機、マントルヒーター等の直熱式乾燥機、赤外線式乾燥機、スチームヒーター、電気式ヒーター、真空(減圧)乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。これらのヒーターや乾燥機は処理能力や作業性から単独で又は2つ以上を組み合わせて使用することができる。
第2工程では、第1工程の分散液を、30〜150℃、好ましくは70〜120℃で加熱処理して、有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させる。
本発明に係る着色有機シリコーン微粒子としては、作業性や安全性の面から、含水状態の有機シリコーン微粒子を有機溶媒と水との混合溶媒に分散し、この分散液中に、別に予め水不溶性植物色素を水溶性有機溶媒に溶解しておいたものを添加して溶解状態とし、次いで加熱処理して有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させたものが好ましい。
次に、本発明に係る化粧品原料について説明する。本発明に係る化粧品原料は以上説明したような本発明に係る着色有機シリコーン微粒子を含有するものである。
本発明に係る化粧品原料は、液状、クリーム状又はプレス状の基礎化粧品やメークアップ化粧品の成分として用いた場合、肌のしみ等の隠ぺい力及び肌へののりや密着性に優れ、また微粒子の白色による化粧料の色調変化や皮膚上での白化を防ぎ、更には皮脂によって化粧落ちし難くなる。本発明に係る化粧品原料の使用量は、適用する化粧品の使用形態により適宜選択するが、例えばプレス状メークアップ化粧品においては0.5〜50質量%とするのが好ましく、また液状メークアップ化粧品においては0.1〜30質量%とするのが好ましい。
化粧品の製造にあたり、本発明に係る化粧品原料と共に用いることができる他の原料としては、体質顔料、白色顔料、パール顔料、着色顔料(染料)、結合油剤、水、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、香料等が挙げられる。これらは本発明に係る化粧品原料と共に公知の方法で均一分散して化粧品とすることができる。
以上説明した本発明には、比較的簡単に作業性よく表面を均一着色したものとすることができ、またそれを化粧品原料として使用する場合には肌のしみ等の隠ぺい力及び肌へののりや密着性に優れ、微粒子による化粧料の色調の変化や使用する際の皮膚上での白化を防ぎ、肌への刺激性が極めて低く、更には皮脂による化粧落ちが少なくなる等、望まれる複数の性能を同時に有するものになるという効果がある。
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
試験区分1(有機シリコーン微粒子の合成)
・合成例1{有機シリコーン微粒子(SB−1)の合成}
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。この水溶液にメチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を添加し、温度を13〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に界面活性剤として10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する透明な反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を遠心分離機に供し、白色微粒子を分離して有機シリコーン微粒子(SB−1)の含水物(固形分約40%)を得た。この有機シリコーン微粒子(SB−1)の含水物を150℃で5時間、熱風乾燥したところ60.1gであった。この熱風乾燥物について、走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、この有機シリコーン微粒子(SB−1)は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が2.64μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が3.02μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が1.53μmの有機シリコーン微粒子であって、化1のシロキサン単位/化2のシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。
尚、有機シリコーン微粒子(SB−1)の形状、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値及び外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値は、走査型電子顕微鏡を用い、5000〜10000倍で任意の100個の有機シリコーン微粒子(SB−1)を観察し、各部位を測定して、その平均を求めた値である。また結合有機基の分析は次のように行なった。有機シリコーン微粒子(SB−1)5gを精秤し、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液250mlに加え、有機シリコーン微粒子中の加水分解性基を全て水溶液に抽出処理した。抽出処理液から超遠心分離により有機シリコーン微粒子を分離し、分離した有機シリコーン微粒子を水洗した後、200℃で5時間乾燥したものを、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析に供して、全炭素含有量及びケイ素含有量を測定すると共に、ケイ素−炭素結合、ケイ素―酸素―ケイ素結合を確認した。これらの分析値と、原料に用いた化4で示されるシラノール形成性ケイ素化合物のRの炭素数より、化1示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位の割合を算出した。
合成例2〜9{有機シリコーン微粒子(SB−2)〜(SB−9)の合成}
有機シリコーン微粒子(SB−1)と同様にして、有機シリコーン微粒子(SB−2)〜(SB−9)を合成し、測定及び分析等を行なった。
・合成例10{有機シリコーン微粒子(SB−10)の合成}
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。この水溶液にメチルトリメトキシシラン74.9g(0.55モル)及びフェニルトリメトキシシラン9.9g(0.05モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を添加し、温度を13〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に界面活性剤として10%ラウリルスルホン酸ナトリウム水溶液3g及び20%α−ドデシル−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシエチレン単位の数が12)水溶液0.3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する透明な反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を遠心分離機に供し、白色微粒子を分離して有機シリコーン微粒子(SB−10)の含水物(固形分約40%)を得た。この有機シリコーン微粒子(SB−10)の含水物を150℃で5時間、熱風乾燥したところ60.1gであった。この熱風乾燥物について、走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、この有機シリコーン微粒子(SB−10)は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が7.55μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が8.22μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が4.89μmの有機シリコーン微粒子であって、化1のシロキサン単位/化2のシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。
・合成例11及び12{有機シリコーン微粒子(SB−11)及び(SB−12)の合成}
有機シリコーン微粒子(SB−10)と同様にして、有機シリコーン微粒子(SB−11)及び(SB−12)を合成し、測定及び分析等を行なった。
・合成例13{比較のための有機シリコーン微粒子(SBR−1)の合成}
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。この水溶液にメチルトリメトキシシラン40.8g(0.3モル)及び3−アミノプロピルトリメトキシシラン53.7g(0.3モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を添加し、温度を13〜15℃に保ちながら1時間加水分解反応を行ない、更に界面活性剤として10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液3gを添加し、同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する透明な反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を遠心分離機に供し、白色微粒子を分離して有機シリコーン微粒子(SBR−1)の含水物(固形分約40%)を得た。この有機シリコーン微粒子(SBR−1)の含水物を150℃で5時間、熱風乾燥したところ60.1gであった。この熱風乾燥物について走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、この有機シリコーン微粒子(SBR−1)は、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体として中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が10.2μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が10.6μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が8.07μmの有機シリコーン微粒子であって、化1のシロキサン単位/化2のシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。
・合成例14{比較のための有機シリコーン微粒子(SBR−2)の合成}
反応容器にイオン交換水3950g及び28%アンモニア水50gを仕込み、室温下で10分間撹拌して均一なアンモニア水溶液とした。このアンモニア水溶液に、メチルトリメトキシシラン600g(4.41モル)をアンモニア水溶液中に混ざらないように加え、上層にメチルトリメトキシシラン層、下層にアンモニア水溶液層の2層状態となるようにした。次いで2層状態を保ちながらゆっくり撹拌し、メチルトリメトキシシランとアンモニア水溶液との界面において加水分解及び縮合反応を進行させた。反応の進行に伴い、反応物が徐々に沈降して下層は白濁し、上層のメチルトリメトキシシラン層は徐々に層が薄くなり、約3時間で消失した。更に温度を50〜60℃に保ち、同条件で3時間撹拌を行った後、25℃に冷却し、懸濁物を濾別して白色微粒子の含水物(SBR−2)を得た。この含水物を水洗し、150℃で3時間、熱風乾燥を行って得た乾燥物について実施例1と同様に測定及び分析等を行なったところ、平均粒子径が3.0μmの中実球状の有機シリコーン微粒子であった。
・合成例15{比較のための着色有機シリコーン微粒子(SBR−3)の合成}
反応容器にイオン交換水700gを仕込み、市販の有機色素である黄色201号1gとα―(p―ノニルフェニル)―ω―ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシエチレン単位の数が10)0.3gを加えて良く混合した後、超音波分散機により撹拌・分散させ、均一な分散液を調製した。得られた分散液の温度を25℃に調整し、その水性液にメチルトリメトキシシラン81.7g(0.6モル)及びテトラエトキシシラン83.2g(0.4モル)を静かに1時間かけて滴下した。得られたシラノール溶液の温度を13〜15℃に保ちながら、48%水酸化ナトリウム水溶液0.3gを添加して水溶液とした。同温度で3時間加水分解反応を行なった。約4時間でシラノール化合物を含有する反応物を得た。次いで得られた反応物の温度を30〜80℃に保ちながら5時間縮合反応を行なって、着色有機シリコーン微粒子を含有する水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を遠心分離機に供し、黄色微粒子を分離して着色有機シリコーン微粒子(SBR−3)の含水物(固形分約40%)を得た。この着色有機シリコーン微粒子(SBR−3)の含水物を150℃で5時間、熱風乾燥したところ60.1gであった。この熱風乾燥物について走査型電子顕微鏡による観察、元素分析、ICP発光分光分析、FT−IRスペクトル分析を行なったところ、この着色有機シリコーン微粒子(SBR−3)は、不定形状を呈し、化1のシロキサン単位/化2のシロキサン単位=40/60(モル比)の割合で有するポリシロキサン架橋構造体から成るものであった。以上で合成した各例の有機シリコーン微粒子の内容を表1及び表2にまとめて示した。







Figure 2009114330
Figure 2009114330
表1において、
割合:モル%
A/B:化1で示されるシロキサン単位/化2で示されるシロキサン単位(モル比)
C/D:化3で示されるシラノール形成性化合物/化4で示されるシラノール形成性化合物(モル比)
S−1:無水ケイ酸単位
S−2:メチルシロキサン単位
S−3:フェニルシロキサン単位
S−4:3−アミノプロピルシロキサン単位
SM−1:テトラエトキシシラン
SM−2:メチルトリメトキシシラン
SM−3:フェニルトリメトキシシラン
SM−4:3−アミノプロピルトリメトキシシラン
A−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
A−2:ラウリルスルホン酸ナトリウム
N−1:α−ドデシル−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)(オキシエチレン単位の数が12)
濃度:加水分解反応系における界面活性剤の濃度(%)
,W,H:単位はμm
範囲:最大値−最小値、単位はμm
形状:
A;粒子全体が中空半球状
B;粒子の1/2以上が中空半球状であり、一部粒子が変形又は凝集した異物がある
C;粒子全体が変形又は凝集しており、中空半球状微粒子が殆ど無い
D;粒子全体が中実球状
E;粒子全体が不定形状
試験区分2(着色有機シリコーン微粒子の調製)
・実施例1{着色有機シリコーン微粒子(P−1)の調製}
合成例1で得た中空半球状体様の有機シリコーン微粒子(SB−1)の含水物(固形分約40%)50質量部を5Lビーカーに計り込み、エタノール200質量部を加え、撹拌して分散液とした。次いで、クルクミン0.35質量部をエタノール70質量部に予め溶解しておいた水不溶性植物色素の溶液を静かに加え、更にpH調製剤としてクエン酸を加えてpHを4.0に調製した後、1時間撹拌した。次に、撹拌しながら30分かけてイオン交換水2430質量部を加えた後、更に1時間撹拌した。撹拌を止め、内容物を縦30cm、横20cm、高さ10cmのステンレス製の容器に移し、雰囲気温度70℃に調整した恒温機を使用して6時間加熱処理を行ない、着色有機シリコーン微粒子(P−1)を得た。乾燥前後の質量から計算した水不溶性植物色素の付着量は0.01%であった。
・実施例2〜12{着色有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−12)}
着色有機シリコーン微粒子(P−1)と同様にして、着色有機シリコーン微粒子(P−2)〜(P−12)を調製した。
・実施例13{着色有機シリコーン微粒子(P−13)の調製}
合成例3で得た有機シリコーン微粒子(SB−3)を150℃で5時間、熱風乾燥し、熱風乾燥した有機シリコーン微粒子50質量部を5Lビーカーに計り込み、ノルマルヘキサン200質量部を加え分散させた。水不溶性植物色素としてクルクミン0.02質量部を静かに加え、1時間撹拌して分散液を得た。撹拌を止め、この分散液を縦30cm、横20cm、高さ10cmのステンレス製の容器に移し、雰囲気温度70℃に調整した定温恒温機を使用して6時間加熱処理を行ない、着色有機シリコーン微粒子(P−13)を得た。乾燥前後の質量から計算した水不溶性植物色素の付着量は0.008%であった。
・実施例14及び15{着色有機シリコーン微粒子(P−14)及び(P−15)}
着色有機シリコーン微粒子(P−13)と同様にして、着色有機シリコーン微粒子(P−14)及び(P−15)を調製した。
・比較例1{着色有機シリコーン微粒子(R−1)の調製}
合成例13で得た有機シリコーン微粒子(SBR−1)を10質量部、エタノール20質量部、イオン交換水20質量部、青色染料(クラリアント社製の商品名サンドランブルーE−HRLN)0.03質量部を反応容器に仕込み、室温で10分間撹拌した後、10%酢酸水溶液0.05質量部を添加し、110℃で2時間加熱撹拌した。かくして得た着色有機シリコーン微粒子を分離し、イオン交換水150質量部で洗浄した。110℃で10時間乾燥し、青色に着色した比較用の着色有機シリコーン微粒子(R−1)を得た。
・比較例2{着色有機シリコーン微粒子(R−2)の調製}
合成例13で得た有機シリコーン微粒子(SBR−1)を使用し、着色有機シリコーン微粒子(R−1)と同様にして、着色有機シリコーン微粒子(R−2)を調製した。
・比較例3{着色有機シリコーン微粒子(R−3)の調製}
合成例14で得た有機シリコーン微粒子(SBR−2)を使用し、着色有機シリコーン微粒子(P−1)と同様にして、着色有機シリコーン微粒子(R−3)を調製した。
・比較例4{着色有機シリコーン微粒子(R−4)の調製}
合成例15で得た着色有機シリコーン微粒子(SBR−3)を用いた。
・比較例5{有機シリコーン微粒子(R−5)の調製}
合成例4で得た有機シリコーン微粒子(SB−4)を用いた。
以上の各例で調製した着色有機シリコーン微粒子(但し、比較例5は無着色)の内容を表3に示した。


























Figure 2009114330
表3において、
分散液混合比:質量比
E−1:メタノール(水溶性有機溶媒)
E−2:エタノール(水溶性有機溶媒)
E−3:イソプロピルアルコール(水溶性有機溶媒)
F−1:ノルマルヘキサン(非水溶性有機溶媒)
F−2:ジエチルエーテル(非水溶性有機溶媒)
試験区分3(評価その1)
・着色性の評価
表3の着色有機シリコーン微粒子について、走査型電子顕微鏡により形状を観察し、また目視による着色度合いを観察して、以下の基準で評価した。結果を表4に示した。
着色性の評価基準:
A:粒子全体が均一に着色し、着色異物が無い
B:着色異物は無いが、粒子の一部に着色していない部分がある
C:粒子全体に着色斑があり、着色異物が多い。
D:粒子全体が白色であり、着色されていない。
・着色維持性の評価
表3の着色有機シリコーン微粒子(P−1)0.5gと水50gとを500mlビーカーで混合し、撹拌羽根を使用して200rpmで30分間撹拌した。撹拌を停止してそのまま放置し、液体と着色有機シリコーン微粒子とを分離させ、液体への水不溶性植物色素の移行の程度を目視により確認し、以下の基準で評価した。また、水を化粧用油剤であるイソノナン酸イソノニルに換えて同様に実施し、評価した。結果を表4に示した。
着色維持性の評価基準:
A:液体への色素の移行が認められない。
B:液体が色素で僅かに着色している。
C:液体が色素で明らかに着色している。
・吸油量の測定
精製あまに油の代わりに油剤としてイソノナン酸イソノニルを使用したこと以外はJIS K 5101−13−1:2004と同様にして吸油量を測定した。結果を表4に示した。吸油量はその数値が大きいほど、化粧落ちし難いことを示す。
Figure 2009114330
表4において、
吸油量:ml/100g
X:イソノナン酸イソノニル
試験区分4(評価その2)
・皮膚外用剤であるファンデーション原料としての評価
表3の着色有機シリコーン微粒子5.0部、酸化チタン15.0部、カオリン35.0部、タルク20.0部、流動パラフィン5.0部、オクタメチルシクロテトラシロキサン5.0部、パルミチン酸イソプロピル3.0部、イソノナン酸イソノニル3.0部及びグリセリン3.0部を均一混合し、プレス成型してファンデーションを調製した。無着色の有機シリコーン微粒子を使用した比較例10のみクルクミンを0.0005部加えて混合した。30人のパネラーの官能試験に供し、密着性等を以下の基準で評価した。結果を表5に示した。
密着性の評価基準
AA:密着性に優れ、肌への乗りが大変よい。
A:密着性が良く、肌への乗りがよい。
B:密着性がやや悪く、肌への乗りがやや悪い。
C:密着性が悪く、肌に乗らない。
肌への刺激性の評価基準
A:肌への刺激性が感じられない。
B:肌への刺激性が僅かに感じられ、1日後に肌が赤くなる。
C:肌への刺激性を感じ、赤い発疹が発生する。
滑り性の評価基準
AA:滑り性に優れ、肌上での伸びが大変良い。
A:滑り性が良く、肌上での伸びが良い。
B:滑り性がやや悪く、肌上での伸びが悪い。
C:滑り性が悪く、化粧が塗れない。
・隠ぺい力の評価
密着性の評価に供した試料にイソノナン酸イソノニルを更に6.0部追加し、60℃で加熱して流動化させ、これをその塗布量が15g/mとなるようマイヤーバーを用いて、ガラス板上に置いたJIS K 5101−4:2004に規定する隠ぺい率試験紙に均一に塗り、目視により隠ぺい力を判定した。
隠ぺい力評価基準
AA:優れている
A:良好である。
B:やや悪い。
C:悪い。
























Figure 2009114330
表5において、
使用量:化粧料100質量部に対する有機シリコーン微粒子の質量部
本発明に供する有機シリコーン微粒子を略示する拡大縦断面図。
符号の説明
11 内側小劣弧
21 外側大劣弧
31 稜線
小劣弧の端部間の幅
外側大劣弧の端部間の幅
H 外側大劣弧の高さ

Claims (17)

  1. 下記の有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させて成ることを特徴とする着色有機シリコーン微粒子。
    有機シリコーン微粒子:ポリシロキサン架橋構造体から成る有機シリコーン微粒子であって、縦断面で見て内側小劣弧(11)とこれを覆う外側大劣弧(21)と双方の端部間に渡る稜線(31)とで形成された、全体としては中空半球状体様を呈し、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.01〜9.5μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.05〜10μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.015〜9μmの範囲内にある有機シリコーン微粒子。
  2. 有機シリコーン微粒子が、内側小劣弧(11)の端部間の幅(W)の平均値が0.02〜6μm、外側大劣弧(21)の端部間の幅(W)の平均値が0.06〜8μm、且つ外側大劣弧(21)の高さ(H)の平均値が0.03〜6μmの範囲内のものである請求項1記載の着色有機シリコーン微粒子。
  3. 有機シリコーン微粒子が、下記の化1で示されるシロキサン単位/下記の化2で示されるシロキサン単位=30/70〜70/30(モル比)の割合で有するものである請求項1又は2記載の着色有機シリコーン微粒子。
    Figure 2009114330
    Figure 2009114330
    (化2において、
    :ケイ素原子に直結した炭素数1〜12の有機基)
  4. 有機シリコーン微粒子が、下記の化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と下記の化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物とを、化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物/化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物=30/70〜70/30(モル比)の割合で用い、これらを触媒を存在させた条件下で水と接触させて加水分解することによりシラノール化合物を生成させ、引き続き生成させたシラノール化合物を縮合反応させることによって製造されるものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
    Figure 2009114330
    Figure 2009114330
    (化3,化4において、
    :ケイ素原子に直結した炭素数1〜12の有機基
    X,Y:炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシエトキシ基、炭素数2〜4のアシロキシ基、炭素数1〜4のアルキル基を有するN,N−ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は水素原子)
  5. 有機シリコーン微粒子が、化3で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物と化4で示されるシラノール基形成性ケイ素化合物とを、触媒の他に、更にノニオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤を存在させた条件下で水と接触させて製造されるものである請求項4記載の着色有機シリコーン微粒子。
  6. ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有するα―アルキル−ω−ヒドロキシ(ポリオキシアルキレン)及び炭素数8〜30の有機スルホン酸塩から選ばれる一つ又は二つ以上である請求項5記載の着色有機シリコーン微粒子。
  7. 有機シリコーン微粒子が、シラノール化合物を縮合反応させた後、pHを8〜10の範囲に調整した水性懸濁液から得られるものである請求項4〜6のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  8. 有機シリコーン微粒子が、シラノール化合物を縮合反応させた後、生成した有機シリコーン微粒子を2〜12質量%の濃度で含有することとなる水性懸濁液から得られるものである請求項4〜7のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  9. 着色有機シリコーン微粒子が、下記の第1工程及び第2工程を経て得られるものである請求項1〜8のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
    第1工程:有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒中に有機シリコーン微粒子又は含水状態の該有機シリコーン微粒子を分散させると共に水不溶性植物色素を溶解させた状態の分散液を調製する工程。
    第2工程:第1工程の分散液を30〜150℃で加熱処理し、有機シリコーン微粒子の表面に水不溶性植物色素を付着させる工程。
  10. 有機溶媒が水溶性有機溶媒である請求項9記載の着色有機シリコーン微粒子。
  11. 有機溶媒と水との混合溶媒が、30〜150℃の範囲内で均一溶解状態となるものである請求項9又は10記載の着色有機シリコーン微粒子。
  12. 有機溶媒と水との混合溶媒が、水/有機溶媒=50/50〜10/90(質量比)の範囲内のものである請求項9〜11のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  13. 第1工程の分散液を、pH1〜5の酸性領域のものとする請求項9〜12のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  14. 第1工程の分散液を、水/有機溶媒=95/5〜70/30(質量比)の範囲内で有するものとする請求項9〜13のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  15. 有機溶媒がエタノールである請求項9〜14のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  16. 有機シリコーン微粒子100質量部に対し、水不溶性植物色素を0.0001〜1質量部の割合で付着させた請求項1〜15のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子。
  17. 請求項1〜16のいずれか一つの項記載の着色有機シリコーン微粒子を含有する化粧品原料。
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