JPH0725727A - 複合球状粉体およびそれを含む化粧料 - Google Patents

複合球状粉体およびそれを含む化粧料

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JPH0725727A
JPH0725727A JP5171735A JP17173593A JPH0725727A JP H0725727 A JPH0725727 A JP H0725727A JP 5171735 A JP5171735 A JP 5171735A JP 17173593 A JP17173593 A JP 17173593A JP H0725727 A JPH0725727 A JP H0725727A
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JP
Japan
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powder
titanium oxide
silicone resin
ultrafine particles
coated
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JP5171735A
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English (en)
Inventor
Chiyuki Shimizu
千之 清水
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Momentive Performance Materials Japan LLC
Original Assignee
Toshiba Silicone Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toshiba Silicone Co Ltd filed Critical Toshiba Silicone Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミナまたはその水和物で被覆された、酸
化チタン超微粒子によって表面がコーティングされてい
る、球状シリコーン樹脂からなる複合球状粉体;さらに
その外層としてポリオルガノシロキサン被膜が形成され
ている複合球状粉体;およびそれらを含む化粧料。 【効果】 紫外線遮蔽性および平滑性に優れ、有機質基
剤に、光照射を受ける条件で酸化や分解などの変質を与
えない複合球状粉体が得られる。また、滑らかさと伸び
に優れ;紫外線遮蔽効果に優れ;そのうえ、紫外線照射
による変色、臭気発生、皮膚への刺激を生じない化粧料
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合球状粉体に関し、さ
らに詳しくは、紫外線遮蔽性および滑り性に優れ、しか
も光活性化作用を示さない、コーティングされた球状シ
リコーン樹脂からなる複合球状粉体に関する。また、本
発明は、そのような複合球状粉体を含む化粧料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリメチルシルセスキオキサンのよう
に、3官能性シルセスキオキサン単位からなるシリコー
ン樹脂微粉末は公知である(特開昭54−72300号
公報および特開昭60−13813号公報)。この微粉
末は、緻密な三次元網状構造の分子骨格を有し、自由流
動性に優れ、光沢を有する不溶・不融の樹脂で、メーク
アップ化粧料の原料として用いられている(上記特開昭
60−13813号公報および特開昭61−19400
9号公報)。このようなポリオルガノシルセスキオキサ
ンを、真球状に、狭い粒径分布に制御して製造する方法
が見出されており(特開昭63−77940号公報)、
そのような球状シリコーン樹脂は、とくに潤滑性が優れ
ているので、これを配合した化粧料は、滑らかさや伸び
に優れている(特開昭63−297313号公報)。
【0003】超微粒子酸化チタンでコーティングされた
熱硬化性シリコーン樹脂を含有する化粧料は公知である
(特開昭63−27410号公報)。この化粧料に含有
される超微粒子酸化チタンでコーティングされた熱硬化
性シリコーン樹脂は、耐熱性と耐油性に優れ、滑り性が
良いという特徴を有する。また、このようなシリコーン
樹脂は、紫外部で顕著な光遮蔽性を示すため、紫外線遮
蔽剤としての利用も考えられる。しかし、このようなコ
ーティングされたシリコーン樹脂は、その表面に存在す
る超微粒子酸化チタンが光活性化作用を有するので、そ
のような被覆シリコーン樹脂粉末を配合した化粧料は、
紫外線を受ける状況で使用すると、化粧料中の有機質基
剤が酸化されて劣化し、分解してその機能を失ったり、
異臭や変色を生じたり、さらには皮膚に刺激を与えるな
どの問題を生ずるので、現実には、そのような紫外線を
受ける状況での使用には適さない。酸化防止剤を配合す
ればこのような現象をある程度防ぐこともできるが、酸
化防止剤の多くは衛生的に問題があるので、化粧料とし
ては好ましくない。
【0004】さらに、前記の特開昭63−77940号
公報に開示された製造方法で得られる球状シリコーン樹
脂は、本来的には疎水性という優れた特性を有したもの
であるが、酸化チタン超微粒子が親水性であるため、こ
のものでコーティングされた特開昭63−27410号
公報のシリコーン樹脂は、疎水性を失って親水性へと変
化してしまうので、その本来の疎水性を生かす用途には
適さない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紫外
線遮蔽性および表面平滑性に優れ、しかも光活性化作用
を示さず、たとえば化粧品に配合された場合に、光照射
を受けた状態でも有機質基剤を変質させない、親水性の
複合球状粉体を提供することである。
【0006】本発明のもうひとつの目的は、疎水性であ
って、それ以外の特徴は上記の粉体と同様な複合球状粉
体を提供することである。
【0007】本発明の他の目的は、紫外線遮蔽性ならび
に滑らかさと伸びに優れ、しかも光照射を受けた状態で
有機質基剤が変質することのない化粧料を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を達成するために鋭意検討を進めた結果、前記の酸化チ
タン超微粒子の表面を、あらかじめアルミナまたはその
水和物で被覆処理することにより、有機質基剤の酸化の
問題を解決しうること;ならびに、このような酸化チタ
ン超微粒子でコーティングして得られる複合球状粉末の
外層として、さらにポリオルガノシロキサン層を形成す
ることにより、該複合球状粉末を容易に疎水化するとと
もに、該粒子の滑り性をいっそう改良して、これらの課
題を達成しうることを見出して、本発明を完成するに至
った。
【0009】すなわち本発明は、1〜20重量%のアル
ミナまたはその水和物で被覆された、平均粒径0.00
1〜0.1μm の酸化チタン超微粒子によって表面がコ
ーティングされている、平均粒径1〜30μm の球状シ
リコーン樹脂からなる親水性の複合球状粉体に関し、ま
た、さらにその外層としてポリオルガノシロキサン被膜
が形成されている疎水性の複合球状粉体に関する。さら
に、本発明は、これらの親水性または疎水性の複合球状
粉体を含む化粧料に関する。
【0010】本発明で使用される球状シリコーン樹脂
は、とくに限定されるものではないが、原料入手と製造
の容易さ、とくに希望の粒径の球体を狭い粒度分布幅で
制御よく得やすいことから、ポリメチルシルセスキオキ
サンであることが好ましい。その製造方法も特に限定さ
れるものではなく、たとえばメチルトリアルコキシシラ
ンまたはその部分加水分解縮合物を、アンモニアまたは
アミン類の水溶液中で加水分解・縮合させる方法が挙げ
られる。酸化チタン超微粒子でコーティングされる前の
球状シリコーン樹脂は、表面にシラノール基やアルコキ
シ基が存在していてもよく、ヘキサメチルジシラザンな
どによってそれらの極性基をシリル化したものでもよ
い。
【0011】該球状シリコーン樹脂の平均粒径は、1〜
30μm の範囲から選ばれ、好ましくは2〜10μm で
ある。平均粒径が1μm 未満でも、または逆に30μm
を越えても、化粧料の滑らかさや伸びの良さが損なわれ
る。また、上記の範囲で粒度分布の狭いものが好まし
い。
【0012】本発明で使用される酸化チタン超微粒子
は、ルチル型でもアナタース型でもよいが、紫外線吸収
性と耐候性の優れていることから、ルチル型が好まし
く、その表面が1〜20重量%、好ましくは3〜15重
量%のアルミナまたはその水和物で被覆されたものであ
る。それに加えてさらに5重量%以下のシリカまたはジ
ルコニアを含む酸化物もしくはその水和物で被覆された
ものでもよい。
【0013】本発明で使用されるアルミナは、分子式A
23 で表され、製造方法および結晶構造はとくに限
定されない。またアルミナ水和物は、分子式Al23
・nH2 Oで表され、製造方法および結晶構造はとくに
限定されず、水酸化アルミニウムを包含する。このよう
なアルミナまたはその水和物は、酸化チタン超微粒子の
表面を層状に被覆していることが好ましい。
【0014】アルミナまたはその水和物による被覆量が
1重量%に満たない場合は、酸化チタンの光酸化作用を
十分に防止できず、さらに後述のシリコーン樹脂へのコ
ーティングの際に、シリコーン樹脂と同じマイナスの電
荷を帯びやすいので、均一なコーティングが困難となる
ため、好ましくない。逆に20重量%を越えると、紫外
線遮蔽効果が十分でなく、また、形状が不定形に近づい
て、シリコーン樹脂への均一なコーティングが困難とな
るため、好ましくない。なお、シリカまたはジルコニア
もしくはその水和物の含有量が5重量%を越える場合
も、同様な理由により好ましくない。
【0015】被覆された該酸化チタンの平均粒径は、
0.001〜0.1μm 、好ましくは0.01〜0.0
7μm の範囲から選ばれる。平均粒径が0.001μm
よりも小さくても、逆に0.1μm より大きくても、前
述のシリコーン樹脂の表面を均一に覆うことが困難であ
り、また紫外線遮蔽効果が低下するため、好ましくな
い。
【0016】またその形状は、前述の球状シリコーン樹
脂の表面を均一に被覆しやすいことから、ほぼ球状であ
ることが好ましい。
【0017】本発明の親水性複合球状粉体は、上述のよ
うな、アルミナまたはその水和物で被覆された酸化チタ
ン超微粒子でコーティングされている球状シリコーン樹
脂である。その断面の一部の模式図を、図1に示す。
【0018】疎水性の複合球状粉体、またはさらに優れ
た滑り性を有する複合球状粉体を得るためには、このよ
うな親水性複合球状粉体の外層として、ポリオルガノシ
ロキサン被膜を形成する。そのような複合球状粉体の断
面の一部の模式図を、図2に示す。
【0019】ポリオルガノシロキサン被膜の分子構造は
とくに限定されないが、上述の親水性複合球状粉体の表
面に容易に皮膜を形成しうることから、ケイ素原子に結
合した有機基は、少なくともその大部分がメチル基であ
ることが好ましく、炭素数2〜22のアルキル基、たと
えば直鎖状または分岐状のエチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル
など;またはフェニル基が存在しても差支えない。合成
が容易なことから、メチル基とフェニル基からなること
がより好ましく、処理に用いるポリシロキサンの表面張
力が小さくて、上述のような超微粒子でコーティングさ
れている親水性複合球状粉体の表面の微細構造に滲透し
て、球状シリコーン樹脂および超微粒子の表面に被膜を
形成しうることと、その被膜の耐候性から、実質的にす
べての有機基がメチル基であることがとくに好ましい。
シロキサン骨格は、直鎖状または分岐状のポリオルガノ
シロキサンが、基材となる粉体の表面と結合するか、適
宜架橋していてもよく、網状でもよい。上記の結合およ
び/または架橋を形成するのに用いられるケイ素官能
基、たとえば水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシル
基などがケイ素原子に結合して残存していてもよい。ポ
リオルガノシロキサン被膜の厚さはとくに限定されない
が、少なくとも単分子の被膜を形成する必要がある。
【0020】本発明の複合球状粉体は、前述の球状シリ
コーン樹脂と、あらかじめアルミナまたはその水和物で
被覆された酸化チタン超微粒子とを混合して、高速撹拌
装置のような、粉体を乾式で高速度で混合できる装置に
仕込み、撹拌することによって得られる。高速度の撹拌
による粒子どうしの摩擦、衝突により、シリコーン樹脂
はマイナス電荷を、また上記の被覆された酸化チタン超
微粒子はプラス電荷を帯びる。この静電荷のために、シ
リコーン樹脂は上記の被覆された酸化チタン超微粒子に
よって均一にコーティングされる。さらに、衝突のエネ
ルギーで発生した熱により、それぞれの粉体の表面に残
存する水酸基どうしの部分的な縮合が起こり、図1に示
すように、被覆された酸化チタン超微粒子は、球状シリ
コーン樹脂粒子の表面に固定される。
【0021】なお、このような高速撹拌の際に、加熱を
行ったり、セラミックビーズのような衝撃媒体を用い
て、処理効果を挙げてもよい。
【0022】このようにして、親水性の複合球状粉体が
得られる。粉体が親水性を必要とするか、親水性でも使
用可能な用途には、このまま複合球状粉体として使用さ
れる。粉体が疎水性を必要とする用途、またはさらに優
れた滑り性が必要な用途には、図2に示すように、外層
にポリオルガノシロキサン層を形成することにより、こ
の複合球状粉体を疎水化する。
【0023】ポリオルガノシロキサン被膜の形成方法は
とくに限定されず、処理剤としては、直鎖状、分岐状、
環状または網状のいずれのポリオルガノシロキサンを用
いてもよいが、合成が容易で、常温ないし比較的低温の
加熱で容易に被膜を形成しうることから、ケイ素原子に
結合した水素原子を有するポリオルガノハイドロジェン
シロキサンを用いることが好ましい。
【0024】ポリオルガノハイドロジェンシロキサンと
しては、一般式:
【0025】
【化1】
【0026】で示される鎖状ポリオルガノハイドロジェ
ンシロキサンが、合成および分子構造の制御の点で好ま
しい。ここで、R1 〜R3 は、それぞれ互いに同一でも
異なっていてもよく、前述のポリオルガノシロキサン被
膜の有機基を与えるような、炭素数1〜22のアルキル
基またはフェニル基であり、前述の理由により、メチル
基またはフェニル基が好ましく、実質的にすべてメチル
基であることがとくに好ましい。R4 は上記のR1 〜R
3 と同様に定義される有機基でもよく、水素原子でもよ
い。
【0027】取扱いやすく、また粉体表面を均一に処理
しやすいことから、m、nの合計は5〜1,000の範
囲から選ばれる。また、m、nはそれぞれの構成単位が
規則的または不規則的に結合していてもよく、それぞれ
の構成単位が何個か集まったものが、規則的または不規
則的に結合していてもよい。
【0028】ケイ素原子に結合した水素原子の数は、S
iH当量として30〜550の範囲から選ばれることが
好ましい。SiH当量が30未満では、処理の際に粒子
どうしの固着が生じやすくなり、また均一な処理が困難
になるため好ましくなく、逆に550を越えると、粉体
表面との反応性に乏しくなるため好ましくない。
【0029】ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの
量は、前述の粉体の総量100重量部に対して0.1〜
20重量部の範囲から選ばれることが好ましく、0.5
〜3重量部がさらに好ましい。使用量が0.1重量部未
満では、粉体に疎水性が十分に付与されないため好まし
くなく、逆に20重量部より多いと、粒子どうしの凝集
が生じやすくなるため好ましくない。
【0030】粉体表面の処理は、ポリオルガノハイドロ
ジェンシロキサンをそのまま、または溶媒に溶解させて
粒子に添加し、撹拌することによって行われる。溶媒と
しては、n−ヘキサン、トルエン、キシレンのような炭
化水素系溶媒;ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化
水素系溶媒などが例示される。この場合、反応は、粉体
表面に存在する水酸基と、ポリオルガノハイドロジェン
シロキサンのケイ素原子に結合した水素原子との間の脱
水素反応によって進行する。
【0031】処理の際に、反応を促進するために、触媒
を使用することができる。触媒としては、塩酸、リン酸
のような無機酸;クエン酸、リンゴ酸、乳酸のような有
機酸;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチ
ウムのようなアルカリ金属水酸化物;アンモニア、ジエ
チルアミン、ジブチルアミンのようなアミン類;オクタ
ン酸亜鉛、オクタン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン
酸スズのような脂肪酸金属塩;ジブチルスズジアセテー
ト、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウ
レートのような有機スズ化合物;チタン酸テトラプロピ
ル、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチ
ル、チタン酸テトラ(2−エチルヘキシル)のようなチ
タン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチ
ルアセトネート)、ジイソプロポキシチタンビス(メチ
ルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス
(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキ
シチタンビス(エチルアセトアセテート)のようなチタ
ンキレート化合物;アルミニウムプロピレート、アルミ
ニウムブチレート、アルミニウムイソブチレートのよう
なアルミニウムアルコレート;ジイソプロポキシアルミ
ニウムエチルアセトアセテート、ジブトキシアルミニウ
ムエチルアセトアセテート、アルミニウムトリス(エチ
ルアセトアセテート)のようなアルミニウムキレート化
合物などが例示される。
【0032】また反応の際に200℃程度までの任意の
温度に加熱したり、前述の高速気流撹拌装置やボールミ
ルなどを用いて、衝突による発熱により、反応を促進す
ることもできる。このようにして、図2に示すように、
球状シリコーン樹脂と、その表面に存在する、アルミナ
またはその水和物で被覆された酸化チタン超微粒子の双
方の表面に、ポリオルガノシロキサン被膜を形成するこ
とができる。
【0033】また、環状ポリメチルハイドロジェンシロ
キサン、たとえば1,3,5,7−テトラメチルシクロ
テトラシロキサンを用いる化学気相蒸着法を用いてもよ
く、粉体表面、とくにアルミナまたはその水和物で被覆
された酸化チタン超微粒子の表面にポリオルガノシロキ
サンの均一な超薄膜を形成するには、このような方法が
きわめて有効である。
【0034】本発明の化粧料は、その必要な特徴に応じ
て、本発明の親水性または疎水性の複合球状粉体を紫外
線遮蔽剤および滑り性向上剤として含むものであり、こ
のような複合球状粉体を、通常の化粧料用基剤およびそ
の他の成分と、常法により混合することによって得られ
る。複合球状粉体の量は、紫外線遮蔽効果および滑り性
向上効果を得ることから、通常、1〜50重量部、好ま
しくは3〜30重量部の範囲である。
【0035】基剤としては、固体状もしくは液状のパラ
フィン、スクアラン、スクアレン、ワセリン、地ろう、
セレシン、オゾケライト、モンタンろうなどの炭化水素
類;オリーブ油、ラノリン、みつろう、キャンデリラろ
う、カルナウバろうなどの植物油もしくは動物性油脂や
ろう;パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの
脂肪酸類;グリセリンモノステアリン酸エステル、グリ
セリンジステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイ
ン酸エステル、イソプロピルミリスチン酸エステル、イ
ソプロピルステアリン酸エステル、ブチルステアリン酸
エステルなどの脂肪酸エステル類;エチルアルコール、
イソプロピルアルコール、セチルアルコール、ステアリ
ルアルコール、2−ヘキシルデシルアルコール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソ
ルビトールなどのアルコール類;ポリジメチルシロキサ
ン、環状ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニル
シロキサンなどのシリコーン油類などが挙げられる。
【0036】その他、必要に応じてマイカ、セリサイ
ト、タルク、カオリンなどの粉体;酸化鉄、赤色202
号、赤色226号、黄色4号などの着色料をはじめ;本
発明の特徴を損ねない範囲で、化粧料に通常使用されて
いる水、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、酸化防止剤、公
知の紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0037】本発明の化粧料としては、例えばパウダー
ファンデーション、クリーム状ファンデーション、O/
W型またはW/O型の乳液状ファンデーション、O/W
型またはW/O型のオイルケーキ状ファンデーションな
どのファンデーション類;O/W型またはW/O型のク
リーム、W/O型またはO/W型の乳液などのクリーム
・乳液類;リップクリーム、サンケアオイルなどが挙げ
られる。
【0038】
【発明の効果】本発明によって、親水性で、紫外線遮蔽
性および平滑性に優れるとともに、これを配合した化粧
料、塗料、表面処理剤などにおける有機質基剤に、光照
射を受ける条件で酸化や分解などの変質を与えることの
ない複合球状粉体が得られる。
【0039】さらに、本発明によって、疎水性であって
油性基剤などの疎水性基剤に対する分散性に優れ、紫外
線遮蔽性および平滑性に優れるとともに、これを配合し
た化粧料、塗料、表面処理剤などにおける有機質基剤
に、光照射を受ける条件で酸化や分解などの変質を与え
ることのない複合球状粉体が得られる。
【0040】これらの本発明の複合球状粉体は、化粧
料、塗料、表面処理剤、つや出し剤、消泡剤などに配合
されて有用であり、また、各種プラスチックの改質剤と
しても有用である。
【0041】さらに、本発明によって、滑らかさと伸び
に優れ;紫外線遮蔽効果に優れ;そのうえ、不飽和度が
高くて酸化されやすい有機質基剤を用いた場合でも、衛
生有害な酸化防止剤を添加しなくても、紫外線照射によ
る有機質の変質や、それに伴う変色、臭気発生、皮膚へ
の刺激を生じない化粧料が得られる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例、比較例および測定例
によって詳細に説明する。これらの例において、部は重
量部を表す。本発明は、これらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0043】親水性複合球状粉体の構造 実施例1 平均粒径3.5μm 、真比重1.32の真球状ポリメチ
ルシルセスキオキサン100部と、10重量%のアルミ
ナで被覆された平均粒径0.03μm 、真比重4.20
のほぼ球状のルチル形酸化チタン10部とを、高速気流
撹拌装置に仕込み、ジャケット温度150℃、回転速度
2,500rpm で3時間撹拌して、図1に示すような構
造の複合球状粉体を得た。得られた粉体は滑らかな感触
を有し、流動性に優れており、顕微鏡観察により、ポリ
メチルシルセスキオキサン粒子の表面が、酸化チタン粒
子で覆われていることを確認した。このようにして得ら
れた複合球状粉体を、以後、P−1という。
【0044】実施例2 平均粒径5.3μm 、真比重1.32の真球状ポリメチ
ルシルセスキオキサン100部、ならびに7.5重量%
のアルミナと2.5重量%のシリカとで被覆された平均
粒径0.04μm 、真比重4.20のほぼ球状のルチル
形酸化チタン7部を、高速気流撹拌装置に仕込み、ジャ
ケット温度150℃、回転速度2,500rpm で3時間
撹拌して、図1に示すような構造の複合球状粉体を得
た。得られた粉体は滑らかな感触を有し、流動性に優れ
ており、顕微鏡観察により、ポリメチルシルセスキオキ
サン粒子の表面が、酸化チタン粒子で覆われていること
を確認した。このようにして得られた複合球状粉体を、
以後、P−2という。
【0045】実施例3 平均粒径4.5μm 、真比重1.32の真球状ポリメチ
ルシルセスキオキサン100部と、12重量部%のアル
ミナ水和物で被覆された平均粒径0.05μm、真比重
4.20のほぼ球状のルチル形酸化チタン10部とを、
高速気流撹拌装置に仕込み、ジャケット温度150℃、
回転速度2,500rpm で3時間撹拌して、図1に示す
ような構造の複合球状粉体を得た。得られた粉体は滑ら
かな感触を有し、流動性に優れており、顕微鏡観察によ
り、ポリメチルシルセスキオキサン粒子の表面が、酸化
チタン粒子で覆われていることを確認した。このように
して得られた複合球状粉体を、以後、P−3という。
【0046】比較例1 平均粒径4.5μm 、真比重1.32の真球状ポリメチ
ルシルセスキオキサン100部と、平均粒径0.04μ
m 、真比重4.30の無被覆のほぼ球状のルチル形酸化
チタン10部とを、高速気流撹拌装置に仕込み、ジャケ
ット温度150℃、回転速度2,500rpm で3時間撹
拌して、表面が酸化チタン超微粒子で被覆された複合球
状粉末を得た。このようにして得られた複合球状粉体
を、以後、P−4という。
【0047】疎水性複合球状粉体の製造 実施例4 実施例1で製造したP−1を50部とり、あらかじめア
ルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)を2%溶
解させておいたSiH当量65、25℃における粘度が
25cSt の鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン1
部を添加し、ヘンシェルミキサーによって70℃で3時
間撹拌して、疎水性の白色粉体を得た。得られた粉体は
滑らかな感触を有し、流動性に優れていた。このように
して得られた複合球状粉体を、以後、Q−1という。
【0048】実施例5 実施例2で製造したP−2を50部とり、SiH当量1
45、25℃における粘度が60cSt の鎖状ポリメチル
ハイドロジェンシロキサン1部と、クエン酸0.2部を
仕込み、ヘンシェルミキサーによって70℃で3時間撹
拌して、疎水性の白色粉体を得た。得られた粉体は滑ら
かな感触を有し、流動性に優れていた。このようにして
得られた複合球状粉体を、以後、Q−2という。
【0049】実施例6 実施例3で製造したP−3を50部とり、SiH当量2
15、25℃における粘度が250cSt の鎖状ポリメチ
ルハイドロジェンシロキサンの50%ジクロロメタン溶
液にあらかじめ1%のチタン酸テトラプロピルを加えて
おいたもの2部を加え、ヘンシェルミキサーを用いて、
50℃で30分間撹拌した後、100℃で2時間加熱撹
拌してジクロロメタンを除去し、疎水性の白色粉体を得
た。得られた粉体は滑らかな感触を有し、流動性に優れ
ていた。このようにして得られた複合球状粉体を、以
後、Q−3という。
【0050】疎水性と親水性の測定 測定例 実施例1〜3で得られた複合球状粉体P−1〜P−3、
ならびに実施例4〜6で得られた複合球状粉体Q−1〜
Q−3について、水との接触角を測定することによっ
て、疎水性および親水性の確認を行った。
【0051】すなわち、これらの複合粉体を、それぞれ
豚皮に擦り付け、余剰の粉体を払い落とした後、これら
粉体の付着した豚皮表面の、水との接触角を測定した。
それらの結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1より明らかなように、ポリメチルシロ
キサン被膜のない粉体P−1〜P−3の付着した豚皮が
親水性なのに対して、ポリメチルシロキサン被膜を形成
した粉体Q−1〜Q−3の付着した豚皮は、優れた疎水
性を示した。
【0054】化粧料の調製と評価 実施例7〜9、比較例2 表2に示す組成で、実施例1〜3および比較例1で得ら
れた複合球状粉体P−1〜P−4のいずれか1種をそれ
ぞれ用いて、O/W型クリームを調製した。すなわち、
プロピレングリコールを水に混合、撹拌して水相部を得
た。一方、複合球状粉体およびその他の成分を混合し、
80℃まで加温して撹拌することにより、上記の球状粉
体が分散し、その他の成分が相互に溶解した油相部を得
た。この油相部に、80℃に加温した上記の水相部を加
えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化して室温で
冷却し、O/W型クリーム試料を得た。
【0055】こうして得られた試料を、ガラス板上に厚
さ約1mmになるように塗布し、1時間乾燥させた後、試
料側が照射面となるようにキセノンウェザーメータに取
り付け、紫外線を8時間照射した後、外観および性状を
観察した。それらの結果を、表2に併せて示す。
【0056】
【表2】
【0057】表2に見られるように、本発明の複合球状
粉体P−1〜P−3を用いた本発明の化粧料には、異常
が認められなかった。それに対して、P−4を用いた比
較例の化粧料は、炭素−炭素二重結合の酸化重合による
劣化や変色という、化粧料としては好ましくない変質が
観察された。
【0058】実施例10〜12、比較例3 表3に示す組成で、複合球状粉体P−1〜P−4のいず
れか1種をそれぞれ用いて、パウダーファウンデーショ
ンを調製した。すなわち、マイカ粉、タルク、ベンガ
ラ、黄色酸化鉄および複合球状粉体を高速ブレンダーに
仕込んで撹拌した後、あらかじめ80℃で溶解、混合し
た流動パラフィンとみつろうを加えて混合し、取り出し
てふるいに通し、パウダーファウンデーションを得た。
【0059】得られたパウダーファウンデーションにつ
いて、皮膚への付着性を観察した。一方、プレスを用い
て、これをアルミニウム板上に厚さ約1mmになるように
圧着し、試料側が照射面になるようにキセノンウェザー
メータに取り付け、紫外線を12時間照射した。照射
後、試料をアルミニウム板より採取し、再び皮膚への付
着性を観察した。また、色差計を用いて、未照射試料と
の間の色調の比較を行った。これらの結果を、表3に併
せて示す。
【0060】
【表3】
【0061】表3に見られるように、本発明の複合球状
粉体P−1〜P−3を用いた本発明の化粧料には、異常
が認められなかった。それに対して、P−4を用いた比
較例の化粧料は、有機質の酸化による退色や、この酸化
分解で有機質が喪失したことに起因する皮膚への付着性
の低下という、化粧料としては好ましくない変質が観察
された。
【0062】実施例13〜15 表4に示す組成で、実施例4〜6で得られた複合球状粉
体Q−1〜Q−3のいずれか1種をそれぞれ用いて、O
/W型クリームを調製した。すなわち、プロピレングリ
コールを水に混合、撹拌して水相部を得た。一方、複合
球状粉体およびその他の成分を混合し、80℃まで加温
して撹拌することにより、上記の球状粉体が分散し、そ
の他の成分が相互に溶解した油相部を得た。この油相部
に、80℃に加温した上記の水相部を加えて予備乳化
し、ホモミキサーで均一に乳化して室温まで冷却し、O
/W型クリーム試料を得た。
【0063】こうして得られた試料を、ガラス板上に厚
さ約1mmになるように塗布し、1時間乾燥させた後、試
料側が照射面となるようにキセノンウェザーメータに取
り付け、紫外線を8時間照射した後、外観および性状を
観察した。それらの結果を表4に併せて示す。
【0064】
【表4】
【0065】表4に見られるように、本発明の複合球状
粉体Q−1〜Q−3を用いた本発明の化粧料には、異常
が認められなかった。
【0066】実施例16〜18 表5に示す組成で、複合球状粉体Q−1〜Q−3のいず
れか1種をそれぞれ用いて、パウダーファウンデーショ
ンを調製した。すなわち、マイカ粉、タルク、ベンガ
ラ、黄色酸化鉄および複合球状粉体を高速ブレンダーに
仕込んで撹拌した後、あらかじめ80℃で溶解、混合し
た流動パラフィンとみつろうを加えて混合し、取り出し
てふるいに通し、パウダーファウンデーションを得た。
【0067】得られたパウダーファウンデーションにつ
いて、皮膚への付着性を観察した。一方、プレスを用い
て、これをアルミニウム板上に厚さ約1mmになるように
圧着し、試料側が照射面になるようにキセノンウェザー
メータに取り付け、紫外線を12時間照射した。照射
後、試料をアルミニウム板より採取し、再び皮膚への付
着性を観察した。また、色差計を用いて、未照射試料と
の間の色調の比較を行った。これらの結果を、表5に併
せて示す。
【0068】
【表5】
【0069】表5に見られるように、本発明の複合球状
粉体Q−1〜Q−3を用いた本発明の化粧料には、異常
が認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の親水性複合球状粉体の部分断面の模式
図である。
【図2】本発明の疎水性複合球状粉体の部分断面の模式
図である。
【符号の簡単な説明】
1 球状シリコーン樹脂 2 酸化チタン超微粒子 3 アルミナまたはその水和物層 4 ポリオルガノシロキサン被膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1〜20重量%のアルミナまたはその水
    和物で被覆された、平均粒径0.001〜0.1μm の
    酸化チタン超微粒子によって表面がコーティングされて
    いる、平均粒径1〜30μm の球状シリコーン樹脂から
    なる複合球状粉体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複合球状粉体を含む化粧
    料。
  3. 【請求項3】 1〜20重量%のアルミナまたはその水
    和物で被覆された、平均粒径0.001〜0.1μm の
    酸化チタン超微粒子によって表面がコーティングされ、
    さらにその外層としてポリオルガノシロキサン被膜が形
    成されている、平均粒径1〜30μm の球状シリコーン
    樹脂からなる複合球状粉体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の複合球状粉体を含む化粧
    料。
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