JP2009114223A - 移動体通信端末用両面粘着シート及び移動体通信端末 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿条件下等の過酷な環境下におかれても、被着体に対して、浮きや剥がれが生じることがなく、かつ、長期的に表示品質が高く保持される移動体通信端末用両面粘着シート及び該移動体通信端末用両面粘着シートを用いてなる移動体通信端末を提供する。
【解決手段】移動体通信端末の表示装置と該表示装置の表面を保護する保護板とを貼り合わせるための移動体通信端末用両面粘着シートであって、(メタ)アクリル樹脂からなり、ゲル分率が50〜90%、かつ、JIS Z 0237に準拠する方法により測定した60〜100℃でのアクリル板に対する180度剥離力が0.4N/10mm以上である移動体通信端末用両面粘着シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、移動体通信端末用両面粘着シートに関し、より詳細には、高温高湿条件下等の過酷な環境下に置かれても、被着体に対して浮きや剥がれが生じることがなく、かつ、長期的に表示品質が高く保持される移動体通信端末用両面粘着シート、及び、該移動体通信端末用両面粘着シートを用いてなる移動体通信端末に関する。
携帯電話機等のモバイル型電話機端末やPDA(Personal Digital Assistant)端末等の表示装置を有する移動体通信端末では、より薄型化、軽量化、低消費電力化、高精細化及び高輝度化等が図られてきている。前記移動体通信端末の表示装置には、通常、偏光板を含む表示装置の表面保護のため、偏光板表面の外周付近に枠状に設けられた接着層を介して保護板が貼り付けられている。
上記構造の表示装置では、保護板と偏光板との間に空間が形成されていることから、移動体通信端末の表示装置に外力が加えられた場合には、該空間により外力が緩和され、表示装置の損傷が防止される。しかしながら、上記構造の移動体通信端末の表示装置では、光散乱の発生等で、表示品質を更に向上させるのには限界があり、また、移動通信端末に比較的大きな歪みが生じた場合、保護板に割れが発生するという問題があった。
上記問題に対し、更なる表示品質の向上が可能であり、かつ、大きな外力に対する耐久性を有する移動体通信端末の表示装置として、偏光板と保護板の全面を透明両面粘着シートで貼り合わせた構造のものが考えられてきている。ここで、前記透明両面粘着シートとしては、一般にアクリル系樹脂が用いられており、例えば、特許文献1、2、3、4及び5では、粘着力が改良されたアクリル系透明両面粘着シート又はテープが開示されている。
しかしながら、これらの特許文献に記載されたアクリル系透明両面粘着シートでは、移動体通信端末が、高温高湿条件下等の過酷な環境下に置かれた場合に、粘着シート接着界面に気泡や剥離が生じ、結果として、表示画面の視認性が著しく低下することがあるという問題があった。
特開2003−342542号公報 特開2003−238915号公報 特開2004−231723号公報 特開2005−154581号公報 特開2005−255877号公報
本発明は、上記現状に鑑み、高温高湿条件下等の過酷な環境下におかれても、被着体に対して、浮きや剥がれが生じることがなく、かつ、長期的に表示品質が高く保持される移動体通信端末用両面粘着シート及び該移動体通信端末用両面粘着シートを用いてなる移動体通信端末を提供することを目的とする。
本発明は、移動体通信端末の表示装置と該表示装置の表面を保護する保護板とを貼り合わせるための移動体通信端末用両面粘着シートであって、(メタ)アクリル樹脂からなり、ゲル分率が50〜90%、かつ、JIS Z 0237に準拠する方法により測定した60〜100℃でのアクリル板に対する180度剥離力が0.4N/10mm以上である移動体通信端末用両面粘着シートである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、移動体通信端末を高温高湿条件下等の過酷な環境下に置いたときに粘着シート接着界面に生ずる気泡や剥離が、被着体から発生する水蒸気等のガスや粘着シート自体から発生するガスに起因することを突き止めた。更に鋭意検討を行った結果、粘着シートの被着体に対する粘着力を高くして気泡の発生や剥離に抗するとともに、発生するガスが粘着シートに及ぼす応力を粘着シート自身で物理的に緩和させることで、従来法と比較して、気泡や剥離の発生が格段に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明において、移動体通信端末とは、例えば、携帯電話やPHS(Personal Handy−phone System)等のモバイル型電話機端末や、PDA端末等の表示装置を備えた従来公知のものをいう。また、表示装置とは、データ処理の流れの中で出力を担当する装置のことをいい、例えば、偏光板等の部材が含まれたものをいう。また、保護板とは、前記表示装置の表面を保護するために、表示装置の外面側に配置される板のことをいい、例えば、アクリル板やポリカーボネート板等の透明プラスチック板やガラス板、タッチパネル等が挙げられる。また、移動体通信端末用両面粘着シート(以下、「粘着シート」という。なお、本明細書において、「シート」とは、一定の幅と長さを備えた面状の部材のみならず、帯状のいわゆるテープ状のものも含むものである。)とは、前記移動体通信端末の表示装置と保護板との貼り合わせに用いられるものをいう。
本発明の移動体通信端末用両面粘着シートは、(メタ)アクリル樹脂からなるものであって、そのゲル分率の下限が50%、上限が90%である。50%未満であると、凝集力が不充分となって粘着力が低下し、高温高湿下において被着体と粘着シートとの接着界面において気泡が発生しようとしたときに、その圧力に抗しきれず浮きや剥がれが発生する。90%を超えると、シートが硬くなりすぎて応力分散性が低下し、高温高湿下において被着体と粘着シートとの接着界面において気泡が発生しようとしたときに、その圧力を分散することができず浮きや剥がれが発生する。好ましい下限は55%、好ましい上限は88%である。
本明細書において、ゲル分率とは、下記式(1)から算出される値を意味する。
ゲル分率(%)=(B/A)×100 (1)
式(1)中Aは、粘着剤の重量を示し、Bは、重量Aの粘着剤を23℃の酢酸エチルに24時間浸漬後、濾別した不溶解成分を110℃にて乾燥させた後の重量を意味する。
本発明の移動体通信端末用両面粘着シートは、JIS Z 0237に準拠する方法により測定した60〜100℃でのアクリル板に対する180度剥離力の下限が0.4N/10mmである。0.4N/10mm未満であると、粘着シートの被着体に対する粘着力が不足し、高温高湿下において被着体と粘着シートとの接着界面において気泡が発生しようとしたときに、その圧力に抗しきれず浮きや剥がれが発生する。好ましい下限は0.5N/10mmである。上限については特に限定されないが、実質的には6N/10mm程度が上限となる。
なお、「60〜100℃での」と規定したのは、移動体通信端末の通常の使用状態を考えたときに想定し得る高温領域を考慮したためであり、「アクリル板に対する」と規定したのは、現在保護板の多くがアクリル板やポリカーボネート板等の透明プラスチック板からなることを考慮したためである。
本発明の移動体通信端末用両面粘着シートは、60〜100℃での貯蔵弾性率の好ましい下限が2.0×10Paである。2.0×10Pa未満であると、粘着シートが柔らかすぎて、高温高湿下において気泡が発生しようとしたときに、その圧力に抗しきれずに変形してしまい浮きや剥がれが発生することがある。より好ましい下限は2.5×10Paである。上限については特に限定されないが、好ましい上限は6.0×10Paである。6.0×10Paを超えると、シートが硬くなりすぎて応力分散性が低下し、高温高湿下において被着体と粘着シートとの接着界面において気泡が発生しようとしたときに、その圧力を分散することができず浮きや剥がれが発生することがある。より好ましい上限は5.0×10Paである。
本発明の移動体通信端末用両面粘着シートは、可視光波長領域における全光線透過率の好ましい下限が85%であり、かつ、ヘイズの好ましい上限が2.0%である。可視光波長領域における全光線透過率が85%未満であると、及び/又は、ヘイズが2.0%を超えると、本発明の粘着シートを用いてなる移動体通信端末の表示装置の表示品質が低下してしまうことがある。上記可視光波長領域における全光線透過率のより好ましい下限は90%であり、ヘイズのより好ましい上限は1.0%である。
本発明の移動体通信端末用両面粘着シートは、(メタ)アクリル樹脂からなる。
本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂又はメタクリル樹脂を意味する。
上記(メタ)アクリル樹脂としては特に限定されないが、上記ゲル分率及びアクリル板に対する180度剥離力を達成するためには、アルキル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの共重合体が好適である。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(アミル)(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチ(メタ)ルアクリレート、イソオクチ(メタ)ルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(ドデシル(メタ))アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、ガラス転移温度(Tg)の調整、他の原料樹脂との相溶性の観点から、炭素数が4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好適である。上記アルキル(メタ)アクリレートは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、1分子中に、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。多官能(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートと共重合することで、高い架橋構造が形成された化合物が得られ、両面粘着シートの耐熱性等が向上し、高温高湿下に置かれても物性の維持が図られ、高い耐久性が期待される。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては特に限定されず、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトシキ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、エトシキ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロキシ化グリセリルトリアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジアクリレート、液状水素化1,2ポリブタジエンアクリレート等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレートは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記多官能(メタ)アクリレートとしては、なかでも数平均分子量が400以上の多官能(メタ)アクリレートが好適である。このような多官能(メタ)アクリレートを用いた場合には、架橋点間分子量が増大することにより応力分散性が向上し、上記アクリル板に対する180度剥離力を達成することができる。数平均分子量が800以上の多官能(メタ)アクリレートがより好適である。
なお、本明細書において数平均分子量とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法によりポリスチレン換算分子量として測定した値を意味する。
上記アルキル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの共重合体における多官能(メタ)アクリレートの配合量は好ましい下限は0.02重量%、好ましい上限は5重量%である。この範囲外であると、上記ゲル分率を達成できないことがある。より好ましい下限は0.05重量%、更に好ましい下限は0.6重量%、より好ましい上限は3重量%である。
上記(メタ)アクリル系樹脂には、粘着シートのTgや粘着力等を調整する目的で、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸;前記ビニル基を有するカルボン酸の無水物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーといったモノマーを共重合させてもよい。これらのモノマーは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
これらのモノマーの含有量は、添加しすぎると得られる粘着シートの柔軟性が低下し、粘着力の低下を引き起こす可能性があるので、アルキル(メタ)アクリレートとの合計量100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
本発明の粘着シートには、本発明の課題達成を阻害しない限り必要に応じて、熱可塑性樹脂類、熱可塑性エラストマー類、架橋ゴム、オリゴマー類、無機化合物、造核剤、酸化防止剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、増粘剤、難燃助剤、帯電防止剤、防曇剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、着色剤等の従来公知の添加剤が配合されてもよい。
本発明の粘着シートの製造方法としては特に限定されないが、例えば、無溶剤の原料モノマーに光重合開始剤を混合したモノマー混合物を調製し、これを一定間隔に保持した2枚の透明離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム間に挟んだ状態で紫外線等の光を照射して重合させる方法等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては特に限定されず、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシー2−プロピル)ケトン[商品名:ダロキュアー2959、メルク社製]等のケトン系光重合開始剤;α−ヒドロキシ−α、α’−ジメチル−アセトフェノン[商品名:ダロキュア1173、メルク社製]、メトキシアセトフェン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェン[商品名:イルガキュア651、チバガイギー社製]、2−ヒドロキシー2−シクロヘキシルアセトフェノン[商品名:イルガキュア184、チバガイギー社製]等のアセトフェノン系光重合開始剤;ベンジルジメチルケタール等のケタール系光重合開始剤;その他、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等の光重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤の添加量としては、上記原料モノマー成分100重量部に対して好ましい下限0.01重量部、好ましい上限が5重量部である。0.01重量部未満であると、原料モノマーの重合が不完全となり、粘着シートとした際に凝集力低下等が原因で必要な物性が得られにくくなることがあり、5重量部を超えると、紫外線等の光照射時にラジカル発生量が多くなり、粘着シートを構成する成分の分子量やゲル分率が低下し、高温時に粘着シート接着界面に気泡や剥離が多く発生することがある。より好ましく下限は0.03重量部、より好ましい上限は1重量部である。
上記紫外線等の光照射に用いられるランプ類としては特に限定されず、例えば、波長400nm以下に発光分布を有するものが挙げられる。具体的には、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウエーブ励起水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。なかでもケミカルランプは、光重合開始剤の活性波長領域の光を効率よく発光すると共に、光重合開始剤を除くモノマー混合物中の光吸収が少なくて済むことから、内部まで光が透過し、効果的な製造を可能とするため好ましい。
上記ランプによるモノマー混合物への光照射強度は、重合によって得られるポリマーの重合度を左右する因子であり、目的製品の性能毎に適宜制御されるものである。一般的に使用されるアセトフェノン系光重合開始剤を用いた場合、光重合開始剤の光分解に有効な波長領域(用いる光重合開始剤によって異なるが、通常365nm〜420nmの光が用いられる)の光強度は0.1〜100mW/cmが好ましい。
本発明の粘着シートは、移動体通信端末の表示装置と該表示装置を保護する保護板との貼り合わせに用いられる。
本発明の粘着シートを用いて、上記表示装置と保護板とを貼り合わせて製造した移動体通信端末は、高温高湿条件下等の過酷な環境下で使用された場合でも、粘着シート粘着界面に気泡や剥離が生じることがなく、長期的に視認性及び接着性に優れたものとなる。本発明の粘着シートを用いてなる移動体通信端末もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、高温高湿条件下等の過酷な環境下に置かれても、被着体に対して浮きや剥がれが生じることがなく、かつ、長期的に表示品質が高く保持される移動体通信端末用両面粘着シートを提供することができる。すなわち、本発明によれば、移動体通信端末用両面粘着シートの被着体に対する接着力、剥離力が大きく向上し、結果として、移動体通信端末が、高温高湿条件下等の過酷な環境下に置かれた場合でも、粘着シートは、被着体や粘着シートから発生するガスに対し、充分な剥離抵抗力、密着力を有するので、粘着シート接着界面に気泡や剥離が生じることはない。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
(実施例1)
表1に示した配合に従って、各原料をディゾルバーにて均一に混合した後、窒素パージすることにより溶存酸素が除去されたモノマー混合物を調製した。
離型処理した50μm厚のPETフィルム上に厚さ0.3mmのスペーサーを設置し、得られたモノマー混合物を離型処理PET上に展開した後、別の離型処理した50μm厚のPETフィルムを離型処理面がモノマー混合物に接するように被覆した。
この状態で、被覆側のPETフィルムにおける紫外線照射強度が3mW/cmとなるようにケミカルランプのランプ強度を調整し、5分間紫外線を照射した。更に、残存モノマーを低減する目的で、被覆側のPETフィルムにおける紫外線照射強度が20mW/cmとなるように調整した高圧水銀ランプで、5分間紫外線を照射した。紫外線照射後、両面のPETフィルムを除いて、厚さ0.3mmの粘着シートを得た。
(実施例2〜4、比較例1〜5)
各原料の配合量を表1に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
(実施例及び比較例の評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5で作製した粘着シートについて、以下の評価を行った。評価結果を表1に示した。
(1)ゲル分率の測定
粘着シートの重量Aを測定した。次に、この重量Aの粘着シートを23℃の酢酸エチルに24時間浸漬した後、不溶解成分を200メッシュの金網で濾別後、110℃に加熱して1時間乾燥させ、不溶解成分の乾燥重量Bを測定した。得られたA、Bの値から上記式(1)によりゲル分率を算出した。
(2)剥離力の測定
粘着シートに25μm厚のPETフィルムを裏打ち後、10mm幅の短冊状に裁断した。この短冊状物をアクリル樹脂板からなる被着体上に、2kgゴムローラ1往復の荷重にて貼り合わせ、23℃で24時間放置した。その後、JIS Z 0237に準ずる方法にて、60、80及び100℃の雰囲気下、剥離速度50mm/minで180°方向のピール試験を行い、剥離力を測定した。
(3)貯蔵弾性率測定
動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、DVA−200)を用いて−50〜200℃の温度範囲において、昇温速度3℃/min、周波数10Hzにて、せん断法により動的粘弾性測定を行った。測定結果をもとに、60、80及び100℃の貯蔵弾性率を求めた。
(4)全光線透過率及びヘイズ測定
JIS K 7105に準ずる方法にて、積分球式光線透過率装置により粘着シートの全光線透過率及びヘイズ値を測定した。但し、粘着シートは、単体では非常に軟らかかったので、両面にPETフィルムを貼り付けた状態で測定し、基準値としてPETフィルムにエタノールを挟み込んだものと比較した値とした。
なお、ヘイズ値(%)は下記の式により算出した。
ヘイズ値(%)=(H/H)×100
:拡散透過率(%)
:全光線透過率(%)
(5)耐熱試験
粘着シートを40×50mmに切断し、切断後の粘着シートサンプルをガラス板で裏打ち補強された0.2mm厚の偏向板と0.5mm厚のアクリル板とで挟み込み、2kgゴムローラにて粘着シートの接着界面に気泡が入らないように均一に貼り合わせ、23℃で24時間養生させることで耐熱試験に供する試験サンプルを得た。この試験サンプルを、ギアオーブンにて80℃で3時間加熱処理した後、粘着シート接着界面に発生した気泡及び剥離の個数を目視にて計数した。耐熱性評価は、下記基準にて行った。
○:3個以下
△:4〜10個
×:11個以上
Figure 2009114223
本発明によれば、高温高湿条件下等の過酷な環境下に置かれても、被着体に対して浮きや剥がれが生じることがなく、かつ、長期的に表示品質が高く保持される移動体通信端末用両面粘着シートを提供することができる。

Claims (6)

  1. 移動体通信端末の表示装置と該表示装置の表面を保護する保護板とを貼り合わせるための移動体通信端末用両面粘着シートであって、(メタ)アクリル樹脂からなり、ゲル分率が50〜90%、かつ、JIS Z 0237に準拠する方法により測定した60〜100℃でのアクリル板に対する180度剥離力が0.4N/10mm以上であることを特徴とする移動体通信端末用両面粘着シート。
  2. 60〜100℃での貯蔵弾性率が2.0×10Pa以上であることを特徴とする請求項1記載の移動体通信端末用両面粘着シート。
  3. 可視光波長領域における全光線透過率が85%以上、かつ、ヘイズが2.0%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の移動体通信端末用両面粘着シート。
  4. 上記(メタ)アクリル系樹脂が、アルキル(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとの共重合体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の移動体通信端末用両面粘着シート。
  5. 多官能(メタ)アクリレートの数平均分子量が400以上であることを特徴とする請求項4記載の移動体通信端末用両面粘着シート。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の移動体通信端末用両面粘着シートを用いてなることを特徴とする移動体通信端末。
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