JP2009113546A - シートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両シートに着座した乗員のサブマリン現象を抑制することができるシートベルト装置を提供する。
【解決手段】本発明のシートベルト装置は、乗員1が着座する腰掛部2aと乗員1の背面に位置する背もたれ部2bとを備えた車両シート2に乗員1を拘束するシートベルト装置であり、乗員1の腰部を拘束するラップベルト部3aと肩部を拘束するショルダーベルト部3bとを備えた主シートベルト3と、主シートベルト3の巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタ4と、を有する主シートベルト機構S1と、ラップベルト部3aに接続された補助シートベルト5と、補助シートベルト5の巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタ6と、を有する補助シートベルト機構S2と、を備え、補助シートベルト機構S2により主シートベルト3の装着時にラップベルト部3aの位置を保持するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載されるシートベルト装置に関し、特に、車両シートに着座した乗員のサブマリン現象を抑制することができるシートベルト装置に関する。
自動車等の車両には、一般に、乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置が設けられている。かかるシートベルト装置は、乗員を拘束するシートベルトと、車両シート内に埋め込まれるとともにシートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行うリトラクタと、車両のBピラー(センターピラー)に設けられたガイドアンカーと、腰掛部のドア側の下面部に配置されたベルトアンカーと、腰掛部の車内側の側面に配置されたバックルと、シートベルトに摺動可能に配置されたトングと、を有し、前記シートベルトは、一端が前記リトラクタに接続され、他端が前記ガイドアンカーに掛け回されて前記ベルトアンカーに接続され、前記ガイドアンカーと前記ベルトアンカーの間に前記トングが配置されている。腰掛部に着座した乗員は、トングを引っ張ってシートベルトを引き出し、バックルにトングを接続することによってシートベルトを装着する。かかるシートベルト装置は、乗員の腰部を拘束するラップベルト部と、乗員の肩部を斜めに拘束するショルダーベルト部とを有しており、一般に3点式シートベルト装置と称されている。
また、背もたれ部の両肩部から引き出された上部シートベルトと、上部シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う上部リトラクタと、腰掛部の両側面から引き出された下部シートベルトと、下部シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う下部リトラクタと、一方の側の上部シートベルトと下部シートベルトに接続されたトングと、他方の側の上部シートベルトと下部シートベルトに接続されたバックルと、を備えたシートベルト装置も存在している。腰掛部に着座した乗員がトングとバックルを接続すると、上部シートベルト及び下部シートベルトが巻き取られて乗員を車両シートに拘束する。かかるシートベルト装置は、一対の下部シートベルトにより構成されるラップベルト部と、一対の上部シートベルトにより構成されるショルダーベルト部を有することから、一般に4点式シートベルト装置と称されている。
ところで、車両の急減速時には、乗員が車両シート上を滑って前方に潜り込んでしまうサブマリン現象が生ずることがある。この現象は、シートベルト装着時に、シートベルトが乗員の腰部よりも上方にずり上がっている場合に生じ易い。特に、4点式シートベルトの場合には、上部リトラクタと下部リトラクタの巻き取り力のバランスからシートベルトが腰部よりも上方にずり上がり易い。このサブマリン現象を防止するために、種々の方法が提案されているが、車両シートに大掛かりで複雑な工夫を講じることが多い。例えば、車両シートを後方に傾斜させたり、腰掛部の前方側を機械的に持ち上げたり、腰掛部の前方側にエアバッグ機構を配置して膨張させたりする等の方法が提案されている。しかしながら、本来、乗員の拘束力はシートベルト装置が最も優れており、シートベルト装置によりサブマリン現象を防止できれば、上述したような車両シートへの大掛かりで複雑な工夫を講じる必要がなくなる。
実際、シートベルト装置によりサブマリン現象を防止する方法もいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、トング・ガイドアンカー間のシートベルトの位置を調節するシートベルト調節装置が開示されている。また、特許文献2には、乗員の腰部前側を拘束するラップベルトと、乗員の腰部下側に配置されるヒップベルトとを有し、ラップベルトとヒップベルトとの間で乗員の腰部を拘束するシートベルト装置が開示されている。
実開平5−35514号公報 特開2004−130920号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたシートベルト調節装置では、トング・ガイドアンカー間のシートベルトの位置のみを調節しており、腰部の拘束に効果的なラップベルト(バックル・ベルトアンカー間のシートベルト)に対しては位置を調節することができず、ラップベルトのずり上がりを防止することが困難である。また、特許文献2に記載されたシートベルト装置では、単にヒップベルトを設けているだけであるため、ラップベルトのずり上がりを防止することができない。さらに、ヒップベルトの上に乗員が着座することになるため、乗員に違和感や不快感を与え易く、快適性に劣っている。
本発明は、上述の課題に鑑み創案された発明であり、車両シートに着座した乗員のサブマリン現象を抑制することができるシートベルト装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置であって、前記乗員の腰部を拘束するラップベルト部と肩部を拘束するショルダーベルト部とを備えた主シートベルトと、該主シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタと、を有する主シートベルト機構と、前記ラップベルト部に接続された補助シートベルトと、該補助シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタと、を有する補助シートベルト機構と、を備え、前記補助シートベルト機構により前記主シートベルト装着時に前記ラップベルト部の位置を保持する、ことを特徴とするシートベルト装置が提供される。また、前記補助リトラクタは、前記腰掛部又は前記乗員の腰部よりも低い位置の前記背もたれ部に配置されていることが好ましい。
前記主シートベルト機構は、前記主シートベルトの先端を保持するとともに前記腰掛部の一側面に配置されたベルトアンカーと、前記主シートベルトの途中に配置されたトングと、該トングを着脱可能に係止するとともに前記腰掛部の他側面に配置されたバックルと、を有し、前記補助リトラクタは、前記ベルトアンカーと同じ側に配置されていてもよい。前記ベルトアンカーは車両のドア側に配置されており、前記主シートベルトは車両のピラーに固定されたガイドアンカーに掛け回されて前記ベルトアンカーに接続されていてもよい。また、前記バックルは車両のドア側に配置されており、前記主シートベルトは前記ベルトアンカーと同じ側の背もたれ部から引き出されて前記ベルトアンカーに接続されていてもよい。さらに、前記主シートベルトは、前記背もたれ部に接続された固定端部と前記背もたれ部よりも前方に突出した自由端部と前記固定端部から前記自由端部に向かって形成された筒部とを有するガイド部材により案内されて引き出されていてもよい。
前記ラップベルト部は、前記乗員の一方の腰部を拘束する第一ラップベルト部と前記乗員の他方の腰部を拘束する第二ラップベルト部とに分離され、前記ショルダーベルト部は、前記乗員の一方の肩部を拘束する第一ショルダーベルト部と前記乗員の他方の肩部を拘束する第二ショルダーベルト部とに分離されており、前記主リトラクタは、前記第一ラップベルト部、前記第二ラップベルト部、前記第一ショルダーベルト部及び前記第二ショルダーベルト部のそれぞれに接続されており、前記主シートベルト機構は、前記第一ラップベルト部と前記第一ショルダーベルト部とに接続されたトングと、前記第二ラップベルト部と前記第二ショルダーベルト部とに接続されたバックルと、を有し、前記補助シートベルトは、前記トング又は前記バックルに接続されていてもよい。また、前記補助シートベルト機構は、前記トングに接続された第一補助シートベルト機構と、前記トングに接続された第二補助シートベルト機構と、を有していてもよい。
また、本発明によれば、乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置であって、前記乗員の腰部を拘束するラップベルト部と肩部を拘束するショルダーベルト部とを備えた主シートベルトと、該主シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタと、を有する主シートベルト機構と、前記ショルダーベルト部が拘束する肩部と反対側の肩部を拘束する補助シートベルトと、該補助シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタと、を有する補助シートベルト機構と、を備え、前記補助シートベルト機構は、前記主シートベルト機構から独立して前記肩部を拘束する、ことを特徴とするシートベルト装置が提供される。ここで、前記補助リトラクタは、前記背もたれ部に配置されており、前記補助シートベルトは前記背もたれ部から引き出されて前記車両シートに接続されていることが好ましい。
前記補助シートベルト機構は、前記補助シートベルトの内部で膨張可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を有していてもよい。さらに、前記エアバッグは、前記補助シートベルトを突き破って車内に膨張展開可能に構成されている部分を有していてもよい。また、前記補助シートベルトは、前記腰掛部の側面に沿って移動可能に接続されていてもよい。また、前記補助シートベルトは、前記背もたれ部に接続された固定端部と前記背もたれ部よりも前方に突出した自由端部と前記固定端部から前記自由端部に向かって形成された筒部とを有するガイド部材により案内されて引き出されていてもよい。
上述した本発明のシートベルト装置によれば、従来のシートベルト装置に相当する主シートベルト機構に、ラップベルト部の位置を保持する補助シートベルト機構を設置したことにより、ラップベルト部のずり上がりを効果的に抑制することができ、車両シートに着座した乗員のサブマリン現象を抑制することができる。さらに、本発明のシートベルト装置によりサブマリン現象を抑制することができるため、車両シートへの大掛かりで複雑な工夫を講じる必要もない。また、補助シートベルト機構の補助リトラクタを乗員の腰部よりも低い位置に配置することにより、補助リトラクタで補助シートベルトを巻き取るだけでラップベルト部の位置を容易に保持することができる。
上述した本発明のシートベルト装置は、主シートベルト機構が、いわゆる3点式シートベルト装置であっても4点式シートベルト装置であっても適用することができ、汎用性に優れている。3点式シートベルト装置においては、例えば、ピラーにガイドアンカーを固定した通常の3点式シートベルト装置やシートベルトが乗員の左肩部から引き出される左右反転型の3点式シートベルト装置に適用することができる。特に、後者の場合には、引き出し部にガイド部材を設けることにより、シートベルトを引き出し易くすることができる。
また、上述した本発明のシートベルト装置によれば、従来のシートベルト装置に相当する主シートベルト機構に加えて、独立した補助シートベルト機構を設置したことにより、主シートベルト機構のラップベルト部がずり上がった場合でも、乗員の両肩部を拘束することができ、車両シートに着座した乗員のサブマリン現象を抑制することができる。さらに、本発明のシートベルト装置によりサブマリン現象を抑制することができるため、車両シートへの大掛かりで複雑な工夫を講じる必要もない。また、補助シートベルトを背もたれ部から巻き取り可能に引き出す構成としたことにより、補助シートベルトと車両シートの隙間に腕及び肩部を通すだけで補助シートベルトを装着することができる。
また、補助シートベルトの内部にエアバッグを装備することにより、車両の衝突検知時又は衝突予知時に効果的に乗員を拘束することができる。さらに、エアバッグを補助シートベルトから車内に開放させるように形成することにより、エアバッグの衝撃吸収力を向上させることができる。
また、補助シートベルトを腰掛部の側面に沿って移動可能に接続することにより、補助シートベルト装着時における車両シートと補助シートベルトとの隙間を大きくすることができ、無理なく補助シートベルトを装着することができる。さらに、補助シートベルトの引き出し部にガイド部材を設けることにより、車両シートと補助シートベルトとの隙間を大きく保つことができ、補助シートベルトの装着を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施形態について図1〜図10を用いて説明する。ここで、図1は、車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第一実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)はドア側から見た側面図である。
図1(A)及び(B)に示したシートベルト装置は、乗員1が着座する腰掛部2aと乗員1の背面に位置する背もたれ部2bとを備えた車両シート2に乗員1を拘束するシートベルト装置であり、乗員1の腰部を拘束するラップベルト部3aと肩部を拘束するショルダーベルト部3bとを備えた主シートベルト3と、主シートベルト3の巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタ4と、を有する主シートベルト機構S1と、ラップベルト部3aに接続された補助シートベルト5と、補助シートベルト5の巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタ6と、を有する補助シートベルト機構S2と、を備え、補助シートベルト機構S2により主シートベルト3の装着時にラップベルト部3aの位置を保持するようにしたことを特徴とする。
前記主シートベルト機構S1は、主シートベルト3の先端を保持するとともに腰掛部2aのドア側に配置されたベルトアンカー7と、主シートベルト3の途中に配置されたトング8と、トング8を着脱可能に係止するとともに腰掛部2aの車内側に配置されたバックル9と、を有している。また、主シートベルト3は、車両のピラー10(ここでは、Bピラー)に固定されたガイドアンカー11に掛け回されてベルトアンカー7に接続されている。かかる主シートベルト機構S1は、一般的に使用されている3点式シートベルト装置に相当するものである。
前記主シートベルト3は、先端がベルトアンカー7により車両シート2に固定されるとともに、ガイドアンカー11を介して主リトラクタ4に接続されており、主リトラクタ4により巻き取り及び巻き戻し可能に構成されている。主シートベルト3の途中にはトング8が配置されており、トング8をバックル9に接続することにより乗員1を拘束することができる。主シートベルト3の装着時において、主シートベルト3は、ベルトアンカー7とバックル9に接続されたトング8の間の部分(ラップベルト部3a)と、トング8とガイドアンカー11の部分(ショルダーベルト部3b)に区分される。そして、ラップベルト部3aは、乗員1の右腰部から左腰部に掛け渡されて乗員1の腰部(脚の付根付近も含む)を拘束し、ショルダーベルト部3bは、乗員1の右肩部から左腰部に掛け渡されて乗員1の肩部を拘束する。
前記主リトラクタ4は、従来のシートベルト装置に通常用いられている部品を使用することができる。例えば、ばね式のリトラクタ、ばねとモータを併用したリトラクタ、モータ式のリトラクタ等、種々のものを選択して使用することができる。なお、ここでは、リトラクタ4を車両シート2の背もたれ部2bに埋め込んだ状態を図示したが、背もたれ部2bの背面や側面に設けてもよいし、腰掛部2aに埋め込んでもよいし、腰掛部2aの下面に設けてもよいし、ピラー10に埋め込むようにしてもよい。
前記ベルトアンカー7は、主シートベルト3の先端を車両又は車両シート2に固定できるものであればよい。ここでは、車両シート2の腰掛部2aの下面にボルト等の固定具により固定する場合について図示したが、腰掛部2aの側面に沿って移動できるように構成してもよい。この場合、ベルトアンカー7の駆動機構には、例えば、ピニオン・ラック機構や伸縮可能なアクチュエータ等を使用し、これらの機器を腰掛部2aの内部に配置すればよい。かかる構成とすることにより、トング8を前方に移動させることができ、上体を捻ることなくトング8を掴むことができる。また、衝突検知時や衝突予知時にベルトアンカー7を引き込むことによって、主シートベルト3を乗員1に押付けて拘束力を向上させることもできる。
前記トング8及び前記バックル9は、従来のシートベルト装置に通常用いられている部品を使用することができる。トング8は、例えば、主シートベルト3を通すための挿通孔を有し、ベルトアンカー7とガイドアンカー11の間の主シートベルト3に通されて配置されている。トング8に主シートベルト3を単に通すだけの場合、トング8はベルトアンカー7寄りに滑り落ちてしまうため、トング8の自重を支えることができる程度の力で主シートベルト3に止めておくことができるようにしておいた方が好ましい。例えば、トング8の挿通孔に棒部材を配置し、主シートベルト8を棒部材に掛け回すようにした構造が考えられる。なお、バックル9は、ベルトアンカー7と同様に腰掛部2aの側面に沿って移動できるように構成されていてもよい。
前記補助シートベルト機構S2は、主シートベルト機構S1のラップベルト部3aのずり上がりを抑制するための機構である。したがって、補助シートベルト機構S2を構成する補助シートベルト5がラップベルト部3aの一部に接続されており、補助リトラクタ6の巻き取り動作により補助シートベルト5に張力を与え、ラップベルト部3aの位置を保持している。
前記補助シートベルト5は、ラップベルト部3aを下方側に引っ張ることができる位置であれば、ラップベルト部3aのどの位置に接続してもよい。ただし、乗員1が主シートベルト3を装着した時に左腰部寄りとなる位置に補助シートベルト5を接続すると、補助シートベルト5に補助リトラクタ6で巻き取った時に乗員1に違和感や不快感を与えるおそれがあるため、乗員1が主シートベルト3を装着した時に右腰部寄りとなる位置に補助シートベルト5を接続する方が好ましい。
前記補助リトラクタ6は、補助シートベルト5を巻き取ってラップベルト部3aを下方側に引っ張るものであるため、乗員1の腰部よりも低い位置に配置される。ここでは、腰掛部2aの内部に配置した場合を図示したが、腰掛部2aの側面に配置してもよいし、背もたれ部2aの内部又は背面に配置してもよい。この補助リトラクタ6は、主リトラクタ4と同様に、ばね式のリトラクタ、ばねとモータを併用したリトラクタ、モータ式のリトラクタ等、種々のものを選択して使用することができる。なお、腰掛部2aの側面には、補助リトラクタ6から引き出された補助シートベルト5が通過できる開口部が形成されている。
上述した本発明のシートベルト装置によれば、従来のシートベルト装置に相当する主シートベルト機構S1に、ラップベルト部3aの位置を保持する補助シートベルト機構S2を設置したことにより、ラップベルト部3aのずり上がりを抑制することができ、車両シート2に着座した乗員1のサブマリン現象を抑制することができる。
続いて、上述した第一実施形態の変形例について説明する。ここで、図2は、図1に示した第一実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例を示している。
図2(A)に示した第一変形例は、主シートベルト機構S1における主シートベルト3の引き出し方法を変更した変形例である。すなわち、主シートベルト3は、車両シート2の背もたれ部2bに形成された開口部21から引き出されてベルトアンカー7に接続されている。そして、補助シートベルト5は、主シートベルト3の開口部21とベルトアンカー7の間の部分におけるラップベルト部3aに接続されている。なお、トング8は、主シートベルト3と補助シートベルト5の接続部と開口部21との間に配置されている。かかる構成の主シートベルト機構S1に補助シートベルト機構S2を適用することにより、シートベルト装置の据付けや組付けに際し、車両本体との取合部を軽減することができ、労力軽減や時間短縮等を図ることができる。
図2(B)に示した第二変形例は、図2(A)に示した第一変形例を左右反転させたものである。すなわち、バックル9は車両のドア側に配置されるとともに、ベルトアンカー7は車両の車内側に配置されており、主シートベルト3はベルトアンカー7と同じ側の背もたれ部2bに形成された開口部21から引き出されてベルトアンカー7に接続されている。その他の構成については第一変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図2(C)に示した第三変形例は、図2(B)に示した第二変形例にガイド部材22を設けたものである。すなわち、主シートベルト3は、背もたれ部2bに接続された固定端部22aと背もたれ部2bよりも前方に突出した自由端部22bと固定端部22aから自由端部22bに向かって形成された筒部22cとを有するガイド部材22により案内されて引き出されている。主シートベルト機構S1にかかるガイド部材22を設けることにより、主シートベルト3及びトング8を前方に配置しておくことができ、車両シート2に着座した乗員1が上体を捻ることなく容易にトング8を掴み、主シートベルト3を装着することができる。その他の構成については第二変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
ここで、前記ガイド部材22の詳細について説明する。図3は、ガイド部材の説明図であり、(A)は上面図、(B)は裏面図、(C)は断面図、(D)は伸縮部を備えたガイド部材の上面図、(E)はエアバッグ機構を備えたガイド部材の断面図を示している。
図3(A)〜(C)に示すように、ガイド部材22は、剛性を担保する表皮部31と、表皮部31の乗員1と接触する側(裏側)に配置された緩衝部32とを有する。表皮部31は、例えば、樹脂等の素材により構成され、自由端部22bが撓み過ぎない程度の剛性と主シートベルト3の装着時に乗員1に違和感を与えない程度の可撓性を有する。この表皮部31の剛性は、主シートベルト3の装着時に主シートベルト3を乗員1から離間させる方向の力を働かせるため、主シートベルト3の締め付け感を低減する機能も発揮する。また、表皮部31の固定端部22a側は、背もたれ部2bの肩部への接続時及び主シートベルト3の装着時に邪魔にならないように幅が狭く形成されており、表皮部31の自由端部22b側の乗員と接触する部分は、乗員1に対する接触面圧を低減して乗員1の拘束性能を向上させるために、主シートベルト3よりも幅が広く形成されている。また、表皮部31の固定端部22a側には、車両シート2に固定するための留め孔31aが形成されている。
ガイド部材22の緩衝部32は、弾力性のあるクッション材やゴム材等の素材により構成され、表皮部31の裏側に縫合部32a,32bにより縫い付けられている。ここで、縫合部32aは、主に表皮部31と緩衝部32を連結するための縫合部であり、縫合部32bは主に表皮部31と緩衝部32の間に主シートベルト3を通すための筒部22cを形成するための縫合部である。なお、表皮部31の縫合部32a,32bに対応する位置には縫合糸を通すための縫合孔が形成されている。また、表皮部31と緩衝部32とは、接着剤やリベット等の固定手段により連結するようにしてもよい。なお、筒部22cは、表皮部31と緩衝部32との間に形成する場合に限られるものではなく、表皮部31や緩衝部32を加工して表皮部31又は緩衝部32に形成するようにしてもよい。
また、ガイド部材22の表皮部31には、図3(D)に示すように、固定端部22a側に伸縮部33を設けるようにしてもよい。ここでは、伸縮部33として蛇腹機構を採用している。かかる伸縮部33を設けることにより、主シートベルト3の装着時にガイド部材22を主シートベルト3の動きに追従させることができる。なお、伸縮部33は、蛇腹機構に限られず、スライド機構や伸縮素材を用いた機構で構成するようにしてもよい。
また、ガイド部材22の緩衝部32には、図3(E)に示すように、エアバッグ機構を設けるようにしてもよい。ここで、エアバッグ機構は、緩衝部32内に折り畳まれて収納されたエアバッグ34と、車両シート2に内蔵されたインフレータ35と、インフレータ35からエアバッグ34にガスを供給する送給路36と、から構成されている。インフレータ35は、図示しないECU(電子制御ユニット)に接続されており、ECUからの点火電流により点火され、インフレータ35内部に格納された薬剤を燃焼させてガスを発生させ、エアバッグ34に送給路36を介してガスを供給する。ガスが供給されたエアバッグ34は、緩衝部32内で膨張を開始し、緩衝部32を突き破って破線で示したように膨張展開する。なお、エアバッグ34は、緩衝部32の筒部22c側に縫い付けられて固定されている。また、緩衝部32そのものをエアバッグで形成するようにしてもよい。さらに、インフレータ35に替えて又は加えてエアポンプを設けて、主シートベルト3の装着時における乗員1と主シートベルト3の隙間を緩衝部32で埋めるように制御するエアクッション機能を持たせるようにしてもよい。
次に、ガイド部材22の固定構造について説明する。ここで、図4は、ガイド部材の固定構造を示す部品展開図である。図4に示すように、ガイド部材22の固定構造は、車両シート2に固定される固定台41と、固定台41の略中心部に配置された固定軸42と、固定軸42に挿通されるとともに固定台41及びガイド部材22に接続されるコイルばね43と、ガイド部材22を固定台41に封じ込める蓋部材44と、蓋部材44を固定するキャップ45とから構成されている。
固定台41は、背もたれ部2bの肩部上にボルト等で固定されるか、背もたれ部2bに埋め込まれて固定される。また、固定台41の外周部には、コイルばね43の鉤部43aを係止するための係止孔41aが形成されている。さらに、固定台41の外周部には、ガイド部材22の設置空間及び回動空間を確保するための切欠部41bが形成されている。固定軸42は、固定台41の底部に立設されており、先端部にはキャップ45を螺合するためのネジが切られている。コイルばね43は、固定軸42に挿通されて固定台41内に収容される。また、コイルばね43の一端には、鉤部43aが形成されており、鉤部43aを係止孔41aに挿通して係止させることによって、コイルばね43が固定台41に接続される。また、コイルばね43の他端は、ガイド部材22の表皮部31の裏側に固定される。なお、ガイド部材22の表皮部31には、コイルばね43の他端を挿通するための係止穴が形成されている。ガイド部材22は、コイルばね43が接続された状態で留め孔31aを固定軸42に挿通することによって固定台41に接続される。その後、蓋部材44が固定軸42に挿通され、キャップ45が固定軸42の先端に螺合され、各部品が固定台41に固定される。かかるガイド部材22の固定構造によれば、コイルばね43の作用により、ドア側から車内側に向かう方向(付勢方向)にガイド部材22を付勢することができるとともに、車内側からドア側に向かう方向(回動方向)にガイド部材22を回動させることができる。したがって、主シートベルト3の装着時には、主シートベルト3の移動に伴ってガイド部材22を回動させることができ、円滑に主シートベルト3を装着することができる。また、主シートベルト3を解除した時には、ガイド部材22を自動的に前方に向いた状態にすることができる。
次に、本発明に係るシートベルト装置の第二実施形態について説明する。ここで、図5は、車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第二実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は車内側から見た側面図である。
図5(A)及び(B)に示した第二実施形態は、主シートベルト機構S1に4点式シートベルト装置を採用したものである。すなわち、ラップベルト部は、乗員1の右腰部を拘束する第一ラップベルト部51Rと乗員1の左腰部を拘束する第二ラップベルト部51Lとに分離され、ショルダーベルト部は、乗員1の右肩部を拘束する第一ショルダーベルト部52Rと乗員1の左肩部を拘束する第二ショルダーベルト部52Lとに分離されている。また、主リトラクタ53a,53b,53c,53dは、第一ラップベルト部51R、第二ラップベルト部51L、第一ショルダーベルト部52R及び第二ショルダーベルト部52Lのそれぞれに接続されている。また、主シートベルト機構S1は、第一ラップベルト部51Rと第一ショルダーベルト部52Rとに接続されたトング54と、第二ラップベルト部51Lと第二ショルダーベルト部52Lとに接続されたバックル55と、を有している。なお、主リトラクタは、第一ラップベルト部51R及び第二ラップベルト部51Lで1つ、第一ショルダーベルト部52R及び第二ショルダーベルト部52Lで1つの合計2つで構成するようにしてもよい。例えば、対となる各ベルト部(第一ラップベルト部51Rと第二ラップベルト部51L、第一ショルダーベルト部52Rと第二ショルダーベルト部52L)を車両シート2の内部で所定の連結金具に接続し、該連結金具に主リトラクタにより巻き取り及び巻き戻し可能なベルトを接続し、主リトラクタを駆動させて該ベルトを車両シート2に沿って前後方向又は上下方向に移動させることにより、各ベルト部51R,51L,52R,52Lの引き込み及び送り出しを行うように構成する。
そして、第二実施形態における補助シートベルト機構S2は、車両シート2の左右両側に配置されており、それぞれ補助シートベルト56R,56Lと補助リトラクタ57a,57bとにより構成されている。ここで、補助シートベルト56Rはトング54に接続されており、補助シートベルト56Lはバックル55に接続されている。また、補助リトラクタ57aは、乗員1の右腰部背面の背もたれ部2bの内部に配置されており、補助リトラクタ57bは、乗員1の左腰部背面の背もたれ部2bの内部に配置されている。ただし、補助リトラクタ57a及び補助リトラクタ57bは、図5(B)に示すように、乗員1の腰部よりも低い位置に配置する必要がある。なお、補助リトラクタ57a,57bは腰掛部2aに配置してもよいし、補助リトラクタ57a,57bは1つで構成するようにしてもよいし、補助シートベルト56R,56Lは第一ラップベルト部51R及び第二ラップベルト部51Lに接続してもよい。
上述した第二実施形態に係るシートベルト装置によれば、トング54をバックル55に接続するとともに各主リトラクタ53a,53b,53c,53dを巻き取り駆動させることにより、第一ラップベルト部51R、第二ラップベルト部51L、第一ショルダーベルト部52R及び第二ショルダーベルト部52Lで乗員1を拘束することができる。また、補助リトラクタ57a,57bを巻き取り駆動させて補助シートベルト56R,56Lに張力を与えることにより、トング54及びバックル55を介して第一ラップベルト部51R及び第二ラップベルト部51Lの位置を保持することができ、ラップベルト部のずり上がりを抑制することができる。
次に、本発明に係るシートベルト装置の第三実施形態について説明する。ここで、図6は、車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第三実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は車内側から見た側面図である。なお、本第三実施形態において、第一実施形態と同じ構成部品については同じ符号を付し重複した説明を省略する。
図6(A)及び(B)に示したシートベルト装置は、乗員1が着座する腰掛部2aと乗員1の背面に位置する背もたれ部2bとを備えた車両シート2に乗員1を拘束するシートベルト装置であり、乗員1の腰部を拘束するラップベルト部3aと肩部を拘束するショルダーベルト部3bとを備えた主シートベルト3と、主シートベルト3の巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタ4と、を有する主シートベルト機構S1と、ショルダーベルト部3bが拘束する乗員1の右肩部と反対側の左肩部を拘束する補助シートベルト61と、補助シートベルト61の巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタ62と、を有する補助シートベルト機構S3と、を備えている。
前記補助シートベルト機構S3は、主シートベルト機構S1から独立して乗員1の肩部(ここでは左肩部)を拘束することができるように構成されている。したがって、主シートベルト機構S1のラップベルト部3aがずり上がった場合でも、乗員1の両肩部を主シートベルト機構S1及び補助シートベルト機構S3により拘束することができ、車両シート2に着座した乗員1のサブマリン現象を抑制することができる。
前記補助リトラクタ62は、車両シート2の背もたれ部2bの内部に配置されており、車両シート2の肩部から補助シートベルト61が引き出されている。勿論、補助シートベルト61は、図2(B)に示した主シートベルト3と同様に、背もたれ部2bに形成した開口部から車内に引き出すようにしてもよい。また、補助シートベルト61の先端は、バックル9と一緒に腰掛部2aの側面に固定されている。すなわち、ここではバックル9がベルトアンカーの機能を担っている。なお、補助シートベルト61の先端は、バックル9とは別にボルト等の固定具により腰掛部2aの側面に固定してもよいし、背もたれ部2bに固定するようにしてもよい。さらに、補助リトラクタ62を腰掛部2aの内部に配置し、補助シートベルト61を腰掛部2aの側面から引き出して車両シート2の肩部に固定するようにしてもよい。
かかる構成の補助シートベルト機構S3を追加することにより、乗員1が車両シート2と補助シートベルト61との隙間に左腕及び左肩を通過させた後に、補助リトラクタ62を駆動させて補助シートベルト61を巻き取ることにより、乗員1を車両シート2に拘束することができる。そして、この補助シートベルト機構S3は、主シートベルト機構S1から独立しているため、主シートベルト機構S1のラップベルト3aがずり上がったとしても、それに影響されることなく乗員1を拘束し続けることができる。したがって、乗員1の両肩部が主シートベルト機構S1のショルダーベルト部3bと補助シートベルト機構S3により拘束されているため、乗員1のサブマリン現象を抑制することができる。
また、補助シートベルト機構S3は、エアバッグ機構を備えていてもよい。ここで、図7は、補助シートベルト機構S3がエアバッグ機構を備えた第三実施形態の第一変形例を示す図であり、(A)は車両シートの正面図、(B)は補助シートベルトの断面図、(C)は車両シートの車内側から見た側面図である。なお、図7(C)は、エアバッグを膨張させた状態を示している。
図7(A)及び(B)に示すように、補助シートベルト機構S3は、補助シートベルト61の内部で膨張可能なエアバッグ71と、エアバッグ71にガスを供給するインフレータ72と、から構成されるエアバッグ機構を有している。図7(B)に示すように、補助シートベルト61は、車内側に曝される表面を構成する表側基布61aと、乗員1に接触する裏面を構成する裏側基布61bとを縫い合わせた筒形状に構成されており、その内部にエアバッグ71が折り畳まれて収納されている。エアバッグ71の折り畳み方法は図示したものに限定されるものではなく、蛇腹折り、内折り等の種々の方法を採用することができる。また、エアバッグ71は、補助シートベルト61の全長に渡って収納されている必要はなく、乗員1と接触可能な部分にのみ収納しておけばよい。また、インフレータ72は、背もたれ部2bの内部に配置されており、車両シート2の肩部から補助シートベルト61内を通過してエアバッグ71にガスを供給する供給路が接続されている。なお、インフレータ72を腰掛部2aの内部に配置して、補助シートベルト61の先端側からエアバッグ71にガスを供給するようにしてもよい。
かかるエアバッグ機構を補助シートベルト機構S3に付加することにより、車両の衝突検知時又は衝突予知時に、ECU(電子制御ユニット)の指令に基づいてインフレータ72を作動させてガスをエアバッグ71に供給して、図7(C)に示すように、補助シートベルト61の内部でエアバッグ71を膨張させることにより、乗員1と補助シートベルト61との隙間を埋めて乗員1の拘束力を向上させることができる。また、エアバッグ71及び補助シートベルト61にエアバッグ71の内部ガスを排気するベントホールを形成して、衝突時の衝撃吸収力を向上させるようにしてもよい。さらに、図7(C)において、一点鎖線で示すように、補助シートベルト61を突き破って車内に膨張展開される車内展開部73をエアバッグ71に形成してもよい。この車内展開部73を、図7(C)に示すように、乗員1の頭部付近に設置することにより、乗員1の頭部を効果的に保護することができ、エアバッグ機構の衝撃吸収力を向上させることができる。なお、車内展開部73が設置された部分の補助シートベルト61の表側基布61aには、車内展開部73の膨張時に開裂可能に構成された縫合部を形成しておくことが好ましい。
また、補助シートベルト61は、腰掛部2aの側面に沿って車両進行方向の前後に移動可能に接続されていてもよい。ここで、図8は、補助シートベルト機構S3がスライド駆動手段を備えた第三実施形態の第二変形例における作用説明図であり、(A)は乗車前、(B)は着座時、(C)は主シートベルト接続時、(D)は補助シートベルト装着完了時を示している。
図8(A)に示すように、腰掛部2aの内部にはスライド駆動手段81が配置されており、腰掛部2aの側面には長孔82が形成されている。そして、バックル9及び補助シートベルト61は、長孔82を介してスライド駆動手段81に接続されており、スライド駆動手段81の作用により腰掛部2aの側面に沿って移動される。スライド駆動手段81には、例えば、ピニオン・ラック機構やアクチュエータ等が使用される。乗員1の乗車前の状態において、車両シート2に配置されたシートセンサにより乗員1が降車したことを検知した場合、バックル9に配置されたバックルセンサによりトング8が解除されたことを検知した場合、ドア部に配置されたドアセンサにより乗員1が乗車するためにドアを開放されたことを検知した場合等には、それぞれのセンサから出力される信号に基づいてECU(電子制御ユニット)からスライド駆動手段81に作動指令が発信され、バックル9及び補助シートベルト61が前方に移動される。
図8(B)に示すように、乗員1が腰掛部2aに着座する場合、乗員1は車両シート2と補助シートベルト61の隙間に左腕と左肩を通過させる。このとき、補助シートベルト61の先端が前方に移動しているため、車両シート2と補助シートベルト61の間に十分な隙間が確保されており、乗員1は容易に左腕と左肩を通過させることができる。
図8(C)に示すように、乗員1は主シートベルト3のトング8を掴みバックル9に接続する。このとき、バックル9が前方に移動しているため、乗員1は上体を捻ることなく容易にトング8をバックル9に接続することができる。なお、トング8もバックル9と同様に前方に配置できるように、主シートベルト3のベルトアンカーを腰掛部2aの側面に沿って移動可能に構成してもよい。
図8(D)に示すように、スライド駆動手段81を作動させてバックル9及び補助シートベルト61を後方に移動させつつ主シートベルト3及び補助シートベルト61を巻き取ることにより、主シートベルト3及び補助シートベルト61の装着が完了する。スライド駆動手段81は、バックルセンサの信号(トング8が接続されたことを示す信号)に基づくECU(電子制御ユニット)の指令により作動される。
このように、補助シートベルト61を腰掛部2aの側面に沿って移動可能に接続することにより、補助シートベルト61の装着時における車両シート2と補助シートベルト61との隙間を大きくすることができ、無理なく補助シートベルト61を装着することができる。さらに、併せてバックル9も同時に腰掛部2aの側面に沿って移動可能に接続することにより、主シートベルト3の装着も容易に行うことができる。
続いて、上述した第三実施形態の更なる変形例について説明する。ここで、図9は、図6に示した第三実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図であり、(A)は第三変形例、(B)は第四変形例を示している。
図9(A)に示した第三変形例は、主シートベルト機構S1における主シートベルト3の引き出し方法を変更した変形例である。すなわち、主シートベルト3は、車両シート2の背もたれ部2bに形成された開口部21から引き出されてベルトアンカー7に接続されている。かかる構成の主シートベルト機構S1に補助シートベルト機構S3を追加することにより、シートベルト装置の据付けや組付けに際し、車両本体との取合部を軽減することができ、労力軽減や時間短縮等を図ることができる。
図9(B)に示した第四変形例は、図9(A)に示した第三変形例の主シートベルト機構S1と補助シートベルト機構S3の配置を左右反転させたものである。すなわち、バックル9は車両のドア側に配置されるとともに、ベルトアンカー7は車両の車内側に配置されており、主シートベルト3はベルトアンカー7と同じ側の背もたれ部2bに形成された開口部21から引き出されてベルトアンカー7に接続されている。その他の構成については第一変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
続いて、上述した第三実施形態の更なる変形例について説明する。ここで、図10は、図6に示した第三実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図、(A)は第五変形例、(B)は第六変形例を示している。
図10(A)に示した第五変形例は、図9(B)に示した第四変形例にガイド部材22を設けたものである。すなわち、主シートベルト3は、背もたれ部2bに接続された固定端部22aと背もたれ部2bよりも前方に突出した自由端部22bと固定端部22aから自由端部22bに向かって形成された筒部22cとを有するガイド部材22により案内されて引き出されている。主シートベルト機構S1にかかるガイド部材22を設けることにより、主シートベルト3及びトング8を前方に配置しておくことができ、車両シート2に着座した乗員1が上体を捻ることなく容易にトング8を掴み、主シートベルト3を装着することができる。その他の構成については第四変形例と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、ガイド部材22に関しても、図2(C)に示したものと同様であるため重複した説明を省略する。
図10(B)に示した第六変形例は、図6(A)に示した第三実施形態の補助シートベルト61にガイド部材22を設けたものである。すなわち、補助シートベルト61は、背もたれ部2bに接続された固定端部22aと背もたれ部2bよりも前方に突出した自由端部22bと固定端部22aから自由端部22bに向かって形成された筒部22cとを有するガイド部材22により案内されて引き出されている。補助シートベルト機構S3にかかるガイド部材22を設けることにより、補助シートベルト61を前方に配置しておくことができ、乗員1が乗車する前の状態において車両シート2と補助シートベルト61との隙間を大きく保つことができ、補助シートベルト61の装着を容易に行うことができる。その他の構成については第三実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
上述した第三実施形態及びその変形例について、主シートベルト機構S1が3点式シートベルト装置の場合を例にして説明したが、主シートベルト機構S1が4点式シートベルト装置の場合にも適用できることは勿論である。この場合、例えば、補助シートベルト機構S3を車両シート2の左右両側に主シートベルト機構S1から独立して配置すればよい。補助シートベルト機構S3により乗員1の左右両肩部を別途拘束することにより、主シートベルト機構S1のラップベルト部(トング及びバックル)がずり上がった場合でも、乗員1のサブマリン現象を抑制することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、本発明の各実施形態は助手席や後部座席のシートベルト装置に適用してもよい、本発明の第三実施形態において各変形例を適宜組み合わせるようにしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第一実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)はドア側から見た側面図である。 図1に示した第一実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図であり、(A)は第一変形例、(B)は第二変形例、(C)は第三変形例を示している。 ガイド部材の説明図であり、(A)は上面図、(B)は裏面図、(C)は断面図、(D)は伸縮部を備えたガイド部材の上面図、(E)はエアバッグ機構を備えたガイド部材の断面図を示している。 ガイド部材の固定構造を示す部品展開図である。 車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第二実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は車内側から見た側面図である。 車両の運転席に本発明のシートベルト装置を適用した第三実施形態を示す図であり、(A)は正面図、(B)は車内側から見た側面図である。 補助シートベルト機構S3がエアバッグ機構を備えた第三実施形態の第一変形例を示す図であり、(A)は車両シートの正面図、(B)は補助シートベルトの断面図、(C)は車両シートの車内側から見た側面図である。 補助シートベルト機構S3がスライド駆動手段を備えた第三実施形態の第二変形例における作用説明図であり、(A)は乗車前、(B)は着座時、(C)は主シートベルト接続時、(D)は補助シートベルト装着完了時を示している。 図6に示した第三実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図であり、(A)は第三変形例、(B)は第四変形例を示している。 図6に示した第三実施形態に係るシートベルト装置の変形例を示す正面図、(A)は第五変形例、(B)は第六変形例を示している。
符号の説明
1 乗員
2 車両シート
2a 腰掛部
2b 背もたれ部
3 主シートベルト
3a ラップベルト部
3b ショルダーベルト部
4,53a,53b,53c,53d 主リトラクタ
5,56R,56L,61 補助シートベルト
6,57a,57b,62 補助リトラクタ
7 ベルトアンカー
8,54 トング
9,55 バックル
10 ピラー
11 ガイドアンカー
21,58 開口部
22 ガイド部材
22a 固定端
22b 自由端
22c 筒部
31 表皮部
31a 留め孔
32 緩衝部
32a,32b 縫合部
33 伸縮部
34 エアバッグ
35 インフレータ
36 送給路
41 固定台
41a 係止孔
41b 切欠部
42 固定軸
43 コイルばね
43a 鉤部
44 蓋部材
45 キャップ
51R 第一ラップベルト部
51L 第二ラップベルト部
52R 第一ショルダーベルト部
52L 第二ショルダーベルト部
61a 表側基布
61b 裏側基布
S1 主シートベルト機構
S2,S3 補助シートベルト機構
71 エアバッグ
72 インフレータ
73 車内展開部
81 スライド駆動手段
82 長孔

Claims (14)

  1. 乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置であって、
    前記乗員の腰部を拘束するラップベルト部と肩部を拘束するショルダーベルト部とを備えた主シートベルトと、該主シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタと、を有する主シートベルト機構と、
    前記ラップベルト部に接続された補助シートベルトと、該補助シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタと、を有する補助シートベルト機構と、を備え、
    前記補助シートベルト機構により前記主シートベルト装着時に前記ラップベルト部の位置を保持する、ことを特徴とするシートベルト装置。
  2. 前記補助リトラクタは、前記腰掛部又は前記乗員の腰部よりも低い位置の前記背もたれ部に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
  3. 前記主シートベルト機構は、前記主シートベルトの先端を保持するとともに前記腰掛部の一側面に配置されたベルトアンカーと、前記主シートベルトの途中に配置されたトングと、該トングを着脱可能に係止するとともに前記腰掛部の他側面に配置されたバックルと、を有し、前記補助リトラクタは、前記ベルトアンカーと同じ側に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
  4. 前記ベルトアンカーは車両のドア側に配置されており、前記主シートベルトは車両のピラーに固定されたガイドアンカーに掛け回されて前記ベルトアンカーに接続されている、ことを特徴とする請求項3に記載のシートベルト装置。
  5. 前記バックルは車両のドア側に配置されており、前記主シートベルトは前記ベルトアンカーと同じ側の背もたれ部から引き出されて前記ベルトアンカーに接続されている、ことを特徴とする請求項3に記載のシートベルト装置。
  6. 前記主シートベルトは、前記背もたれ部に接続された固定端部と前記背もたれ部よりも前方に突出した自由端部と前記固定端部から前記自由端部に向かって形成された筒部とを有するガイド部材により案内されて引き出されている、ことを特徴とする請求項5に記載のシートベルト装置。
  7. 前記ラップベルト部は、前記乗員の一方の腰部を拘束する第一ラップベルト部と前記乗員の他方の腰部を拘束する第二ラップベルト部とに分離され、前記ショルダーベルト部は、前記乗員の一方の肩部を拘束する第一ショルダーベルト部と前記乗員の他方の肩部を拘束する第二ショルダーベルト部とに分離されており、
    前記主リトラクタは、前記第一ラップベルト部、前記第二ラップベルト部、前記第一ショルダーベルト部及び前記第二ショルダーベルト部のそれぞれに接続されており、
    前記主シートベルト機構は、前記第一ラップベルト部と前記第一ショルダーベルト部とに接続されたトングと、前記第二ラップベルト部と前記第二ショルダーベルト部とに接続されたバックルと、を有し、
    前記補助シートベルトは、前記トング又は前記バックルに接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
  8. 前記補助シートベルト機構は、前記トングに接続された第一補助シートベルト機構と、前記トングに接続された第二補助シートベルト機構と、を有する、ことを特徴とする請求項7に記載のシートベルト装置。
  9. 乗員が着座する腰掛部と乗員の背面に位置する背もたれ部とを備えた車両シートに乗員を拘束するシートベルト装置であって、
    前記乗員の腰部を拘束するラップベルト部と肩部を拘束するショルダーベルト部とを備えた主シートベルトと、該主シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う主リトラクタと、を有する主シートベルト機構と、
    前記ショルダーベルト部が拘束する肩部と反対側の肩部を拘束する補助シートベルトと、該補助シートベルトの巻き取り及び巻き戻しを行う補助リトラクタと、を有する補助シートベルト機構と、を備え、
    前記補助シートベルト機構は、前記主シートベルト機構から独立して前記肩部を拘束する、ことを特徴とするシートベルト装置。
  10. 前記補助リトラクタは、前記背もたれ部に配置されており、前記補助シートベルトは前記背もたれ部から引き出されて前記車両シートに接続されている、ことを特徴とする請求項9に記載のシートベルト装置。
  11. 前記補助シートベルト機構は、前記補助シートベルトの内部で膨張可能なエアバッグと、該エアバッグにガスを供給するインフレータと、を有することを特徴とする請求項9に記載のシートベルト装置。
  12. 前記エアバッグは、前記補助シートベルトを突き破って車内に膨張展開可能に構成されている部分を有する、ことを特徴とする請求項11に記載のシートベルト装置。
  13. 前記補助シートベルトは、前記腰掛部の側面に沿って移動可能に接続されている、ことを特徴とする請求項9に記載のシートベルト装置。
  14. 前記補助シートベルトは、前記背もたれ部に接続された固定端部と前記背もたれ部よりも前方に突出した自由端部と前記固定端部から前記自由端部に向かって形成された筒部とを有するガイド部材により案内されて引き出されている、ことを特徴とする請求項9に記載のシートベルト装置。
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