JP2009113090A - マグネシウム合金板材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶粒が微細で、かつ平坦度に優れる、マグネシウム合金板の製造方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム合金の板材Mを複数回の圧延パスを繰り返し圧延して製造するにあたり、前記圧延パス中に、上下ロール6a,6bの周速比を1.05〜1.30の範囲とした少なくとも1パス以上の異周速圧延と、クロス角を0.05〜7.5°の範囲とした少なくとも1パス以上のペアクロス圧延とを含むので、異周速圧延により板厚方向全域にわたって大きなせん断変形が付加され、微細な結晶粒が得られるとともに、ペアクロス圧延で板材の平坦度を高めてプレス精度を向上させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】マグネシウム合金の板材Mを複数回の圧延パスを繰り返し圧延して製造するにあたり、前記圧延パス中に、上下ロール6a,6bの周速比を1.05〜1.30の範囲とした少なくとも1パス以上の異周速圧延と、クロス角を0.05〜7.5°の範囲とした少なくとも1パス以上のペアクロス圧延とを含むので、異周速圧延により板厚方向全域にわたって大きなせん断変形が付加され、微細な結晶粒が得られるとともに、ペアクロス圧延で板材の平坦度を高めてプレス精度を向上させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、結晶粒が微細で、かつ平坦度に優れるマグネシウム合金板材の製造方法に関するものである。
マグネシウム合金の比重はアルミニウムの2/3、鋼の1/4であり、実用合金中で最も軽く、切削性、振動吸収性、耐くぼみ性、比強度に優れている。さらに、プラスチックに比べて熱伝導性、電磁シールド性、リサイクル性に優れている。そのため、ノートパソコンやモバイル品の筐体に、そして自動車部品などに使用されている。それらの多くは、ダイカストやチクソといった鋳造法によるものが主であったが、最近、表面性状と歩留まりの改善、薄肉化および大型化への対応から、マグネシウム合金板材による、プレス成形品が使用されはじめている。
しかしながら、マグネシウム合金はその結晶構造から室温での成形が困難であり、温間での成形が必要で、成形性に優れる板材が求められている。板材の成形性を向上させる一方法としては、圧延時に異周速圧延を行って材料の伸びを向上させる方法が提案されている(例えば特許文献1)
一方、プレス成形において、その仕上がり精度を向上させかつ生産性を上げるのに、フラットで平坦度の高い板材が要求されている。しかしながら、マグネシウム合金板材は温間、熱間による圧延が必要であるため、ロール加熱によるサーマルクラウンの影響を生じやすく、そのため、板の平坦度が高い板材を得るには技術を要す。
特開2006−144062号公報
一方、プレス成形において、その仕上がり精度を向上させかつ生産性を上げるのに、フラットで平坦度の高い板材が要求されている。しかしながら、マグネシウム合金板材は温間、熱間による圧延が必要であるため、ロール加熱によるサーマルクラウンの影響を生じやすく、そのため、板の平坦度が高い板材を得るには技術を要す。
上記のように目標板厚にまで薄肉化する際のパス工程の中で、少なくとも1パス以上の異周速圧延を行なうと、上下ロール間の周速が異なるために、材料の通板速度とロール周速とが同じになる、いわゆる中立点の位置が、その上下ロール間でずれ、高速ロール側のそれは、より出側に近い所に位置する。それら二つの中立点で挟まれた領域においては、材料とロール間で生じる摩擦力の向きが逆方向になるため、その間においては強いせん断変形を材料に付加することができる。そのため、圧縮変形が主である通常圧延材(通常圧延においても板表層では摩擦抵抗によりせん断変形が加わるが、板厚中心部でそれは0となる分布を示し、板厚方向に均一なせん断ひずみは導入されない)に比べ、板厚方向に均一微細な結晶粒を得ることが出来るようになる。結晶粒の微細化により活動する面が増加することから成形性の向上を得ることができる。
しかしながら、異周速圧延あがりの状態では、低速ロール側に大きな反りを生じやすく、プレス成形に際し、高い精度でのプレスを行うことが難しい。また、先に述べたように、マグネシウム合金の圧延は温間・熱間による圧延を必要とするため、ロールのサーマルクラウンの影響を受けやすく、その結果、中伸びを生じやすく、一層平坦性を損なうことになる。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、微細組織により強度、伸び、成形性に優れるとともに、平坦性に優れたマグネシウム合金板材の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のマグネシウム合金板材の製造方法は、マグネシウム合金の板材を複数回の圧延パスを繰り返し圧延して製造するにあたり、前記圧延パス中に、上下ロールの周速比を1.05〜1.30の範囲とした少なくとも1パス以上の異周速圧延と、クロス角を0.05〜7.5°の範囲とした少なくとも1パス以上のペアクロス圧延とを含むことを特徴とする。
本発明は、複数の圧延パス中に、上記のように少なくとも1パス以上の異周速圧延と、少なくとも1パス以上のペアクロス圧延が含まれている。通常は、異周速圧延の後の圧延パスでペアクロス圧延がなされる。
以下に、各圧延での作用と、規定された圧延条件について説明する。
異周速圧延:周速比1.05〜1.30
前記したようにマグネシウム合金板材に異周速圧延を行うことで、強いせん断変形が材料に付加され、板厚方向に均一微細な結晶粒が得られ、強度、伸び、成形性が向上する。なお、異周速圧延の際のせん断応力の変量は、上下ロール間の周速比(高速ロール側周速/低速ロール側周速)で調節を行ない、周速比を高めることで、より大きなせん断変形の付加が可能である。本発明では、周速比1.05〜1.30が適切な範囲である。1.05よりも低い周速比であればせん断変形付与の効果が少なく、1.30より高くしても、高速ロール側の中立点がロールギャップより出側に出てしまい、その効果はほぼ飽和するためである。また、材料の反りが大きくなりすぎるといった問題も生じる。したがって、異周速圧延での周速比を上記範囲内とする。
異周速圧延:周速比1.05〜1.30
前記したようにマグネシウム合金板材に異周速圧延を行うことで、強いせん断変形が材料に付加され、板厚方向に均一微細な結晶粒が得られ、強度、伸び、成形性が向上する。なお、異周速圧延の際のせん断応力の変量は、上下ロール間の周速比(高速ロール側周速/低速ロール側周速)で調節を行ない、周速比を高めることで、より大きなせん断変形の付加が可能である。本発明では、周速比1.05〜1.30が適切な範囲である。1.05よりも低い周速比であればせん断変形付与の効果が少なく、1.30より高くしても、高速ロール側の中立点がロールギャップより出側に出てしまい、その効果はほぼ飽和するためである。また、材料の反りが大きくなりすぎるといった問題も生じる。したがって、異周速圧延での周速比を上記範囲内とする。
ペアクロス圧延:クロス角0.05〜7.5°
ペアクロス圧延は上下のロールをクロスさせることにより、板の平坦度すなわちエッジドロップ制御を目的にしており、各ロールの軸方向にスラスト力が作用することによって、板材の板幅方向に変形力としてせん断変形を付加して平坦度を高めることができ、さらに板材の長手方向の反りを軽減する作用も得られる。
ペアクロス圧延には、平坦度の改善だけでなく、異周速圧延と同様にせん断変形が付与できることから、異周速と同じく板幅方向に均一微細な結晶粒を得ることができ、更に、異周速圧延とペアクロス圧延とを組み合わせることで、板幅方向全域および板厚方向の全域にわたって大きなせん断応力を付加することが可能で、それぞれを単独で用いた場合よりも更に結晶粒を細かくすることが可能である。
ペアクロス圧延は上下のロールをクロスさせることにより、板の平坦度すなわちエッジドロップ制御を目的にしており、各ロールの軸方向にスラスト力が作用することによって、板材の板幅方向に変形力としてせん断変形を付加して平坦度を高めることができ、さらに板材の長手方向の反りを軽減する作用も得られる。
ペアクロス圧延には、平坦度の改善だけでなく、異周速圧延と同様にせん断変形が付与できることから、異周速と同じく板幅方向に均一微細な結晶粒を得ることができ、更に、異周速圧延とペアクロス圧延とを組み合わせることで、板幅方向全域および板厚方向の全域にわたって大きなせん断応力を付加することが可能で、それぞれを単独で用いた場合よりも更に結晶粒を細かくすることが可能である。
ペアクロス圧延に関しては、材料の圧延方向に対し、垂直な方向を基準の0°とし、その基準方向に対し、ロールの主軸ズレをクロス角として表し、その値が大きくなるほど、板幅方向へのせん断変形を大きくできる。本発明では、クロス角0.05〜7.5°までを適切な範囲とする。クロス角が0.05°未満であると、十分なせん断変形を与えることが困難であり、一方、7.5°を超えると逆に、材料のシェーブに悪影響を及ぼす。
これら特殊なせん断変形は、通常の圧延と組み合わせて行なうことができるが、いずれの圧延でも、ロール自体を加熱可能とするのが望ましい。ロール加熱方法としては、ロール自体にシーズヒーターを内蔵したものや、ボイラ加熱等を用いることが可能で、室温から350℃までのロール表面温度にまで設定可能である。更に、それら圧延には、前記圧延に使用されるそれぞれの圧延装置に関し、入出側の端部に巻出し、巻取り装置を設けるとともに、巻出しからミルまでの間に材料加熱装置を設けることも望ましい形態である。材料加熱装置はヒーター加熱やハロゲンランプによる輻射熱加熱、高周波誘導加熱などが適応できる。
すなわち、本発明のマグネシウム合金板材の製造方法によれば、マグネシウム合金の板材を複数回の圧延パスを繰り返し圧延して製造するにあたり、前記圧延パス中に、上下ロールの周速比を1.05〜1.30の範囲とした少なくとも1パス以上の異周速圧延と、クロスを角0.05〜7.5°の範囲とした少なくとも1パス以上のペアクロス圧延とを含むので、異周速圧延により、板厚方向全域にわたって大きなせん断変形が付加され、微細な結晶粒が得られるとともに、ペアクロス圧延で板材の平坦度を高めることができ、プレス精度を向上させることができる。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
所望の組成を有するマグネシウム合金材を用意し、圧延に供する。
本発明に用いるマグネシウム合金の組成は、特に限定をされるものではなく、求める特性などに応じて適宜の成分を含有するマグネシウム合金を用いることができる。
圧延に供するマグネシウム合金材が得られるまでの製造方法も本発明としては特に限定をされるものではなく、常法により溶製したマグネシウム合金インゴットを熱間圧延し、これをさらに本発明における異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することができる。また、上記マグネシウム合金インゴットを押出しして異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することができる。さらに、連続鋳造圧延によって帯状板に製造し、これを本発明における異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することもできる。
所望の組成を有するマグネシウム合金材を用意し、圧延に供する。
本発明に用いるマグネシウム合金の組成は、特に限定をされるものではなく、求める特性などに応じて適宜の成分を含有するマグネシウム合金を用いることができる。
圧延に供するマグネシウム合金材が得られるまでの製造方法も本発明としては特に限定をされるものではなく、常法により溶製したマグネシウム合金インゴットを熱間圧延し、これをさらに本発明における異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することができる。また、上記マグネシウム合金インゴットを押出しして異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することができる。さらに、連続鋳造圧延によって帯状板に製造し、これを本発明における異周速圧延、ペアクロス圧延を含む圧延に供することもできる。
異周速圧延:
上記圧延工程の一部で異周速圧延を行う。異周速圧延のパス数は少なくとも1パスが必要であるが、それ以上にパス数が限定されるものではない。この異周速圧延時に、上下ロールのロール周速比が1.05より小さくなると、十分な付加せん断変形が得られないため、微細な結晶粒が得られない。一方、ロール周速比が1.30より大きくなると、結晶粒微細化への効果がそれほど向上しないばかりでなく、操業が困難になる恐れがある。
また、圧延時の温度は350℃以下が望ましい。圧延温度が350℃を超えると、結晶粒の成長が顕著になり、微細な結晶粒組織が得られ難くなる。なお、異周速圧延を行う異周速圧延機の構成は本発明として特に限定されるものではなく、既知の装置を用いることができる。
上記圧延工程の一部で異周速圧延を行う。異周速圧延のパス数は少なくとも1パスが必要であるが、それ以上にパス数が限定されるものではない。この異周速圧延時に、上下ロールのロール周速比が1.05より小さくなると、十分な付加せん断変形が得られないため、微細な結晶粒が得られない。一方、ロール周速比が1.30より大きくなると、結晶粒微細化への効果がそれほど向上しないばかりでなく、操業が困難になる恐れがある。
また、圧延時の温度は350℃以下が望ましい。圧延温度が350℃を超えると、結晶粒の成長が顕著になり、微細な結晶粒組織が得られ難くなる。なお、異周速圧延を行う異周速圧延機の構成は本発明として特に限定されるものではなく、既知の装置を用いることができる。
図1(a)は、異周速(通常)圧延機の概略を示すものであり、ワークの巻き出しリール1側にガイドロール2を介してインライン加熱装置3を設置し、インライン加熱装置3の下流側にガイドロール4を介してホットプレート5が配置されている。ホットプレート5の下流直後には、それぞれの周速を可変とした圧延ロール6a、6bが配置され、該ロールの下流側にワークの巻き取りリール7が配置されている。インライン加熱装置3は、ハロゲンランプによる輻射熱での加熱装置である。圧延ロール6a、6bは、ツインモーター駆動式で、それぞれのロールには、図示しないシーズヒーターが内蔵されており、ロール加熱が可能となっている。
上記巻き出しリール1に巻き取られているマグネシウム合金板Mは、巻きだしリール1から巻き出され、ガイドロール2で案内されつつインライン加熱装置3によって所定の温度に加熱する。インライン加熱装置3で加熱されたマグネシウム合金板Mは、さらにガイドレール4でガイドされつつホットプレート5、5間を通過して温度調整され、シーズヒータで好適には350℃以下に加熱された圧延ロール6a、6bで圧下して圧延する。この際に圧延ロール6a、6bの周速を1.05〜1.30の範囲の比率で異なるものにすることで異周速圧延を行う。また、異周速圧延を行わない場合には、圧延ロール6a、6bの周速を同一(周速比1)にすることで通常圧延を行うことができる。圧延が行われたマグネシウム合金板Mは、巻き取りリール7に巻き取られる。マグネシウム合金板Mに対し、さらに通常圧延または異周速圧延を行う場合には、巻き取りリール7を巻き出しリール1として図1(a)示右側に設置することで、上記動作を繰り返して複数の圧延パスで通常圧延または異周速圧延を行うことができる。
ペアクロス圧延:
さらに、上記圧延工程の一部でペアクロス圧延を行う。ペアクロス圧延のパス数としては少なくとも1パスが必要であるが、それ以上にパス数が特に限定されるものではない。
ペアクロス圧延により、平坦度の改善とせん断変形の付与による結晶粒の微細化がなされる。この作用のために、上記のように、クロス角を0.05°以上とする。また、7.5°を超えると、逆にシェーブに悪影響を及ぼすため、クロス角の上限を7.5°以下とする。なお、ペアとなる圧延ロールは、いずれもこのクロス角の範囲を満たすことが必要である。
さらに、上記圧延工程の一部でペアクロス圧延を行う。ペアクロス圧延のパス数としては少なくとも1パスが必要であるが、それ以上にパス数が特に限定されるものではない。
ペアクロス圧延により、平坦度の改善とせん断変形の付与による結晶粒の微細化がなされる。この作用のために、上記のように、クロス角を0.05°以上とする。また、7.5°を超えると、逆にシェーブに悪影響を及ぼすため、クロス角の上限を7.5°以下とする。なお、ペアとなる圧延ロールは、いずれもこのクロス角の範囲を満たすことが必要である。
図1(b)は、ペアクロス圧延機の概略を示すものであり、ワークの巻き出しリール11側にガイドロール12を介してインライン加熱装置13を設置し、インライン加熱装置13の下流側にガイドロール14を介してホットプレート15が配置されている。ホットプレート15の下流直後には、それぞれのペアクロスロール16a、16bが配置されており、これらペアクロスロール16a、16bは、図2に示すように、材料の圧延方向に対し、垂直な方向を基準の0°とし、その基準方向に対し、ロールの主軸ズレ(クロス角θ1、θ2)がそれぞれ異なる角度方向において0.05〜7.5°の範囲となるようにクロスして配置されている。
ペアクロスロール16a、16bは、スチームにてロール表面温度を約120℃にまで加熱可能とされており、クロス角は、それぞれのロールチョック部受けのライナーの肉厚で制御可能とされている。
該ペアクロスロール16a、16bの下流側にワークの巻き取りリール17が配置されている。インライン加熱装置13は、ハロゲンランプによる輻射熱での加熱装置である。ペアクロースローラ16a、16bは、ツインモーター駆動式で、それぞれのロールには、図示しないシーズヒーターが内蔵されており、ロール加熱が可能となっている。
該ペアクロスロール16a、16bの下流側にワークの巻き取りリール17が配置されている。インライン加熱装置13は、ハロゲンランプによる輻射熱での加熱装置である。ペアクロースローラ16a、16bは、ツインモーター駆動式で、それぞれのロールには、図示しないシーズヒーターが内蔵されており、ロール加熱が可能となっている。
上記巻き出しリール11に巻き取られているマグネシウム合金板Mは、巻きだしリール11から巻き出され、ガイドロール12で案内されつつインライン加熱装置13によって所定の温度に加熱する。インライン加熱装置13で加熱されたマグネシウム合金板Mは、さらにガイドレール14でガイドされつつホットプレート15、15間を通過して温度調整され、スチームにて好適には120℃以下に加熱されたペアクロスロール16a、16bで圧下して圧延する。この際にペアクロスロール16a、16bがクロスしていることによってマグネシウム合金板Mの平坦度が幅方向は勿論のこと長手方向においても改善される。また、せん断力の付与によって結晶粒がさらに微細化される。
ペアクロス圧延が行われたマグネシウム合金板Mは、巻き取りリール17に巻き取られる。マグネシウム合金板Mに対し、さらにペアクロス圧延を行う場合には、巻き取りリール17を巻き出しリール11として図2示右側に設置することで、上記動作を繰り返して複数の圧延パスでペアクロス圧延を行うことができる。
また、ペアクロス圧延を行ったマグネシウム合金板は、ペアクロス圧延を最終パスとしてもよいが、さらに図1(a)に示す圧延機での圧延を行うこともできる。その際には、巻き取りリール17を巻き出しリール1として図1(a)示右側に設置することで、通常圧延等を繰り返して複数の圧延パスで圧延を行うことができる。
また、ペアクロス圧延を行ったマグネシウム合金板は、ペアクロス圧延を最終パスとしてもよいが、さらに図1(a)に示す圧延機での圧延を行うこともできる。その際には、巻き取りリール17を巻き出しリール1として図1(a)示右側に設置することで、通常圧延等を繰り返して複数の圧延パスで圧延を行うことができる。
なお、上記圧延工程では、中間焼鈍工程を含むことができる。、中間焼鈍の条件としては、300〜350℃の温度範囲で1〜8時間または350〜450℃の温度範囲で1分以下を例示することができる。中間焼鈍は、バッチ炉、連続炉のいずれであってもよい。
以下に、本発明の実施例を説明する。
供試材には、常法により製造した、板厚2mm、板幅100mmのAZ31マグネシウム合金押出フラットバーを使用した。試験は、図1(a)(b)に示す温間異周速圧延機、温間ペアクロス圧延機を使用して行なった。
供試材には、常法により製造した、板厚2mm、板幅100mmのAZ31マグネシウム合金押出フラットバーを使用した。試験は、図1(a)(b)に示す温間異周速圧延機、温間ペアクロス圧延機を使用して行なった。
温間異周速圧延、通常圧延、ペアクロス圧延ともに、ワークを右(巻き出し)、左(巻取り)リールの適切な位置にセットし、張力をかけた状態で圧延した。ワークはインライン加熱装置で加熱され、加熱装置出側で280℃になるよう制御した。異周速圧延には、ツインモーター駆動式で、ロールサイズはφ406×600mm、最大圧延荷重300トンの装置を用いた。また、併せて、通常圧延にも、この異周速圧延装置を使用した。通常圧延の場合は、周速比を1に設定し、上下ロール周速を同じとして圧延した。
ペアクロス圧延機は、ロール寸法がφ400×550mmで、クロス角は、θ1=θ2とした。これらの装置を用い、材料加熱温度280℃、ロール表面温度80℃の条件で、板厚0.6mmを目標板厚に圧延を実施した。
本発明における実施例と比較例を表1に示す。なお、板材の平坦度を求めるため、急峻度を用いた。急峻度の測定は、図3に示す平面距離2lにおける板材の円弧長さmと反り高さδを用いて、下記式1(mをδで除する)より求めた値であり、値が小さい程反りが大きいことを示している。
急峻度 K=m/δ …式(1)
板厚のバラツキは板幅方向に10点板厚を一定間隔で測定し、その標準偏差を用いた。
ミクロ組織の観察は圧延方向に平行な断面で行ない、観察面をエメリー#1000で研磨仕上げした後に、蒸留水20ml、ピクリン酸32ml、エチルアルコール18ml、氷酢酸20mlの混合液で20秒間エッチング処理し、平均結晶粒サイズは切断法で評価した。
急峻度 K=m/δ …式(1)
板厚のバラツキは板幅方向に10点板厚を一定間隔で測定し、その標準偏差を用いた。
ミクロ組織の観察は圧延方向に平行な断面で行ない、観察面をエメリー#1000で研磨仕上げした後に、蒸留水20ml、ピクリン酸32ml、エチルアルコール18ml、氷酢酸20mlの混合液で20秒間エッチング処理し、平均結晶粒サイズは切断法で評価した。
表から明らかなように、適切な周速比での異周速圧延と、適切なクロス角でのペアクロス圧延を施したマグネシウム合金板では、微細な結晶粒(4.5μm以下)が得られるとともに、板厚のばらつきが小さく、平坦度に優れた結果が得られた。一方、通常圧延のみおこなったものでは(比較例1)、結晶粒が大きくなり、板厚のばらつき、反りが大きく現れた。異周速圧延のみまたはペアクロス圧延のみを行ったもの(比較例2、3)では、結晶粒は小さくなるが板厚のばらつき、反りは大きいままであった。さらに、異周速圧延とペアクロス圧延とを組み合わせた場合(比較例4)でも、周速比、クロス角を適切に設定しないと、平坦度の改善効果が得られなかった。
6a、6b 圧延ロール 16a、16b ペアクロスロール
θ1、θ2 クロス角 M マグネシウム合金板
θ1、θ2 クロス角 M マグネシウム合金板
Claims (1)
- マグネシウム合金の板材を複数回の圧延パスを繰り返し圧延して製造するにあたり、前記圧延パス中に、上下ロールの周速比を1.05〜1.30の範囲とした少なくとも1パス以上の異周速圧延と、クロス角を0.05〜7.5°の範囲とした少なくとも1パス以上のペアクロス圧延とを含むことを特徴とするマグネシウム合金板材の製造方法。
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