JP2009110927A - エキシマランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 放電空間を有するシリカガラスよりなる放電容器を備え、当該放電容器を形成するシリカガラスが介在する状態で一対の電極が設けられてなり、前記放電容器の放電空間内にエキシマ放電を発生させるエキシマランプであって、前記放電空間に曝される表面に、シリカ粒子とアルミナ粒子とよりなる紫外線反射膜が形成されており、シリカ粒子として、その中心粒径が前記アルミナ粒子の中心粒径の0.67倍以上の大きさであるものが用いられる。紫外線反射膜におけるアルミナ粒子の含有割合は、シリカ粒子とアルミナ粒子との合計の5wt%以上であることが好ましく、10wt%以上であることがより好ましい。
【選択図】 図1
Description
具体的には、例えば、図4を参照して説明すると、紫外線を透過するシリカガラスよりなる放電容器(51)を備え、この放電容器(51)の内側と外側にそれぞれ電極(55,56)が設けられてなるエキシマランプ(50)において、放電容器(51)の放電空間(S)に曝される表面に、紫外線反射膜(20)を形成することが記載されており、紫外線反射膜としては、シリカ粒子のみからなるもの、およびアルミナ粒子のみからなるものが実施例に例示されている(特許文献1参照)。
このエキシマランプ(50)においては、放電容器(51)の一部に、紫外線反射膜(20)が形成されていないことにより放電空間(S)内で発生した紫外線を出射する光出射部(58)が形成されている。
前記放電容器の、放電空間に曝される表面に、シリカ粒子とアルミナ粒子とよりなる紫外線反射膜が形成されており、
前記シリカ粒子は、その中心粒径が前記アルミナ粒子の中心粒径の0.67倍以上の大きさであるものであることを特徴とする。
このエキシマランプ10は、両端が気密に封止されて内部に放電空間Sが形成された、断面矩形状の中空長尺状の放電容器11を備えており、この放電容器11の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノンガスや、アルゴンと塩素とを混合したガスが封入されている。
放電容器11は、真空紫外光を良好に透過するシリカガラス、例えば合成石英ガラスよりなり、誘電体としての機能を有する。
このような電極は、例えば、金属よりなる電極材料を放電容器11にペースト塗布することにより、あるいは、プリント印刷することによって形成することができる。
紫外線反射膜20の膜厚は、例えば10〜100μmであることが好ましい。
また、紫外線反射膜20は、シリカ粒子およびアルミナ粒子、すなわちセラミックスにより構成されていることにより、不純ガスを発生させず、また、放電に耐えられる特性を有する。
シリカ粒子は、以下のように定義される粒子径が例えば0.01〜20μmの範囲内にあるものであって、中心粒径(数平均粒子径のピーク値)が、例えば0.1〜10μmであるものが好ましく、より好ましくは0.3〜3μmであるものである。
また、中心粒径を有するシリカ粒子の割合が50%以上であることが好ましい。
また、中心粒径を有するアルミナ粒子の割合が50%以上であることが好ましい。
具体的には、図2(a)に示すように、略球状の粒子Aおよび粉砕粒子形状を有する粒子Bなどの粒子が単独で存在している場合には、当該粒子を一定方向(例えば紫外線反射膜20の厚み方向(Y軸方向))に伸びる2本の平行線で挟んだときの当該平行線の間隔を粒径DA,DBとする。
また、出発材料の粒子が溶融して接合した形状を有する粒子Cについては、図2(b)に示すように、出発材料である粒子C1,C2と判別される部分における球状部分のそれぞれについて、一定方向(例えば紫外線反射膜20の厚み方向(Y軸方向))に伸びる2本の平行線で挟んだときの当該平行線の間隔を測定し、これを当該粒子の粒径DC1,DC2とする。
シリカ粒子の粒子径の測定は、基材から剥がした紫外線反射膜を、例えば85%燐酸と97%硫酸の混酸中に入れて、マイクロウェーブオーブンにてアルミナ粒子を溶解させ、この溶解液を加温し蒸発させることにより残るシリカ粒子を取り出して純水にて洗浄、乾燥させたのち、上述した方法に基づいてSEMを利用して測定することができる。
また、アルミナ粒子の粒子径の測定は、基材から剥がした紫外線反射膜を、例えば47%フッ化水素酸を用いてシリカ粒子を溶解させ、この溶解液を加温してシリカ成分とフッ化水素酸を蒸発させることにより残るアルミナ粒子を取り出して純水にて洗浄、乾燥させたのち、上述した方法に基づいてSEMを利用して測定することができる。
具体的には、例えば、シリカ粒子は、塩化ケイ素と酸素を900〜1000℃で反応させることにより、アルミナ粒子は、原料の塩化アルミニウムと酸素を1000〜1200℃で加熱反応させることにより、合成することができ、粒子径は、原料濃度、反応場での圧力、反応温度を制御することにより調整することができる。
然るに、紫外線反射膜20がシリカ粒子とアルミナ粒子とからなり、シリカ粒子がその中心粒径がアルミナ粒子の中心粒径に対して一定の範囲内の大きさであるものであることにより、上記構成のエキシマランプ10によれば、プラズマによる熱にさらされた場合であっても、シリカ粒子より高い融点を有するアルミナ粒子は溶融しないため、互いに隣接するシリカ粒子とアルミナ粒子とが粒子同士で結合されることが防止されて粒界が維持されるので、長時間点灯された場合であっても、真空紫外光を効率よく拡散反射させることができて反射率の低下の程度を小さく抑制することができ、しかも、紫外線反射膜を形成するに際して調製される分散液において、シリカ粒子とアルミナ粒子との比重差による質量差が一定の範囲内に収まる状態となるよう補償されて、シリカ粒子とアルミナ粒子との流動性を揃えることができるので、紫外線反射膜をシリカ粒子とアルミナ粒子とが均一に分散された状態で形成することができ、放電容器の軸方向(紫外線反射膜を例えば流下法によって形成する場合の傾斜方向)に対して均一な照度分布を得ることができる。
また、アルミナ粒子はシリカ粒子よりも高い屈折率を有するため、シリカ粒子のみからなる紫外線反射膜に比して、高い反射率を得ることができる。
<実験例1>
図1に示す構成に従って、紫外線反射膜におけるシリカ粒子の中心粒径D1とアルミナ粒子の中心粒径D2との比D1/D2が下記表1に従って変更されたことの他は同一の構成を有する8種類のエキシマランプを作製した。各エキシマランプの基本構成は以下に示す通りである。
〔エキシマランプの構成〕
放電容器の寸法は、10×40×900mm、肉厚が3mmである。
放電容器内に封入される放電用ガスは、キセノンガスであり、その封入量は50kPaである。
高電圧供給電極および接地電極の寸法は、30×800mmである。
エキシマランプの発光長は800mmである。
紫外線反射膜を構成するシリカ粒子は、中心粒径を有する粒子の割合が50%であるものであり、アルミナ粒子は、中心粒径を有する粒子の割合が50%であるものである。
ここに、シリカ粒子およびアルミナ粒子の粒子径の測定は、日立製電界放射型走査電子顕微鏡「S4100」を用い、加速電圧を20kVとし、拡大投影像における観察倍率を、粒子径が0.1〜1μmである粒子については20000倍、粒子径が1〜10μmである粒子については2000倍として、行った。
紫外線反射膜は、流下法によって、焼成温度を1100℃として得られたものであり、その膜厚は30μmであり、アルミナ粒子の含有割合が10wt%である。
発光長を1600mmとしたことの他は、実験例1で使用したものと同一の構成を有する、紫外線反射膜におけるシリカ粒子の中心粒径D1とアルミナ粒子の中心粒径D2との比D1/D2が下記表2に従って変更された8種類のエキシマランプを作製し、実験例1と同様の実験を行い、各エキシマランプの相対照度分布を調べた。結果を下記表2に示す。
中心粒径(D1)が0.3μmのシリカ粒子と、中心粒径(D2)が0.3μmのアルミナ粒子(D1/D2=1.00)とからなり、アルミナ粒子の含有割合が、0wt%、10wt%、33wt%、50wt%と変更された紫外線反射膜を30μmの膜厚で平板状のシリカガラス製基材上に形成することにより、4種類の試験片を作製した。
そして、各試験片について、紫外線反射膜を1000℃に加熱したとき(図3において一点鎖線で示す直線(イ))と、1300℃に加熱したとき(図3において破線で示す直線(ロ))の、それぞれの、波長170nmの光の反射光強度を測定した。結果を図3に示す。ここに、紫外線反射膜の加熱温度である1000℃は、紫外線反射膜を形成するに際しての焼成温度に相当する温度であり、1300℃は、紫外線反射膜にプラズマが作用したときの加熱温度に相当する温度である。
そして、アルミナ粒子の含有割合が増えるに従って、熱による紫外線反射膜の反射率の低下の程度を小さく抑えることができ、例えば、アルミナ粒子が50wt%添加されたものにおいては、1000℃に加熱されたときの反射光強度と、1300℃に加熱されたときの反射光強度が一致しており、熱によって紫外線反射膜の反射率が低下することを抑えることができることが確認された。
実験例3において、アルミナ粒子の含有割合を、0wt%から10wt%までの範囲内において適宜に変更したことの他は実験例3と同様にして、紫外線反射膜を30μmの膜厚で平板状のシリカガラス製基材上に形成することにより複数種の試験片を作製し、これにより得られた試験片の各々について、実験例3と同様にして、紫外線反射膜を1000℃に加熱したときと、1300℃に加熱したときの、それぞれの、波長170nmの光の反射光強度を測定することにより紫外線反射膜におけるアルミナ粒子の含有量の影響について調べた。結果を下記表3に示す。ここにおいて、アルミナ粒子の含有割合が0wt%である場合およびアルミナ粒子の含有割合が10wt%である場合の結果は、上記実験例3において得られたものである。
これに対して、アルミナ粒子を5wt%添加したものにおいては、1000℃に加熱された場合の反射光強度がシリカ粒子のみからなる反射光強度よりも低く、例えば0.0235に低下することになるが、1300℃に加熱された場合には、反射光強度は0.016とアルミナ粒子が添加されていない場合よりも高く、熱による紫外線反射膜の反射率の低下を68%程度抑制することができることが確認された。
従って、実際のエキシマランプにおいては、紫外線反射膜がアルミナ粒子が5wt%以上添加されたものであることにより、エキシマランプが長時間点灯されて紫外線反射膜がプラズマの熱にさらされた場合であっても、シリカ粒子が溶融することによる反射率の低下を抑制することができ、このような紫外線反射膜が形成されたエキシマランプによれば、管軸方向に対して均一な照度分布が得られる状態を長時間の間にわたって確実に維持されるものと想定される。
そして、紫外線反射膜がアルミナ粒子が10wt%以上添加されたものであることにより、上記効果が一層確実に得られるものと想定される。
本発明は、上記構成のエキシマランプに限定されるものではなく、図4に示すような、二重管構造のエキシマランプや、図5に示すような、いわゆる「角型」のエキシマランプにも適用することができる。
図4に示すエキシマランプ50は、シリカガラスよりなる円筒状の外側管52と、この外側管52内においてその管軸に沿って配置された、当該外側管52の内径より小さい外径を有する例えばシリカガラスよりなる円筒状の内側管53とを有し、外側管52と内側管53とが両端部において溶融接合されて外側管52と内側管53との間に環状の放電空間Sが形成されてなる二重管構造の放電容器51を備えており、例えば金属よりなる一方の電極(高電圧供給電極)55が内側管53の内周面に密接して設けられていると共に、例えば金網などの導電性材料よりなる他方の電極56が外側管52の外周面に密接して設けられており、放電空間S内に、例えばキセノンガスなどのエキシマ放電によってエキシマ分子を形成する放電用ガスが充填されて、構成されている。
このような構成のエキシマランプ50においては、例えば放電容器51の内側管53の内表面における全周にわたって上記紫外線反射膜20が設けられると共に、外側管52の内表面に、光出射部58を形成する一部分の領域を除いて上記紫外線反射膜20が設けられる。
このような構成のエキシマランプ40においては、放電容器41の内表面における、各々の外側電極45,45に対応する領域およびこれらの領域に連続する一方の内面領域にわたって、上記紫外線反射膜20が設けられ、紫外線反射膜20が設けられていないことにより光出射部44が形成されている。
11 放電容器
15 一方の電極(高電圧供給電極)
16 他方の電極(接地電極)
18 光出射部(アパーチャ部)
20 紫外線反射膜
40 エキシマランプ
41 放電容器
42 排気管
43 ゲッター
44 光出射部
45 外側電極
50 エキシマランプ
51 放電容器
52 外側管
53 内側管
55 一方の電極(高電圧供給電極)
56 他方の電極
58 光出射部
S 放電空間
Claims (3)
- 放電空間を有するシリカガラスよりなる放電容器を備え、当該放電容器を形成するシリカガラスが介在する状態で一対の電極が設けられてなり、前記放電容器の放電空間内にエキシマ放電を発生させるエキシマランプであって、
前記放電容器の、放電空間に曝される表面に、シリカ粒子とアルミナ粒子とよりなる紫外線反射膜が形成されており、
前記シリカ粒子は、その中心粒径が前記アルミナ粒子の中心粒径の0.67倍以上の大きさであるものであることを特徴とするエキシマランプ。 - 紫外線反射膜におけるアルミナ粒子の含有割合が、前記シリカ粒子とアルミナ粒子との合計の5wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
- 紫外線反射膜におけるアルミナ粒子の含有割合が、前記シリカ粒子とアルミナ粒子との合計の10wt%以上であることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
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