JP2009109660A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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正孝 小西
Toshinori Sasaki
俊徳 佐々木
Shogo Kamiya
昌吾 神谷
Yasunori Fujimoto
泰徳 藤本
Satoshi Matsuzaka
聡 松坂
Koichi Kimura
晃一 木村
Keita Yano
啓太 矢野
Hitoshi Hamazaki
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Abstract

【課題】加熱部材としてベルト部材を用いる定着装置において、記録材と接触する領域におけるベルト部材でのしわの発生を低減しながら、ベルト部材の片寄りを補正する。
【解決手段】定着ベルト610と、定着ベルト610を張架する定着ロール611と、定着ベルト610が定着ロール611に張架される領域にて定着ロール611を加圧するように配置された加圧ロール62と、定着ベルト610に生じた片寄りを補正するベルト片寄り補正機構とを備えており、ベルト片寄り補正機構は、定着ベルト610の定着ロール611への張架開始位置が加圧ロール62が定着ロール611を加圧する領域よりも上流側となる範囲内で定着ベルト610の位置を変位させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、複写処理やプリント処理に対する高速化への要求が高い。そのため、トナー像を記録材に定着する定着装置において、トナー像を加熱する加熱部材として定着ロール等のロール部材よりも熱容量の小さなベルト部材を用い、定着可能温度に到達するまでに要する時間を短縮化したものが開発されている。このような定着装置に用いられるベルト部材は、ロール部材を含む複数の部材に張架されながら移動するため、片寄りが生じ易い。そのため、ベルト部材の片寄りを補正する機構が設けられる。
例えば特許文献1には、ベルト部材を張架するアイドルロールがベルト部材の片寄りを補正する機構を備えた定着装置に関する技術が記載されている。
特開2004−309875号公報
ここで一般に、加熱部材としてベルト部材を用いる定着装置では、ベルト部材の片寄り補正はベルト部材の位置を変位させながら行われる。それにより、片寄り補正を行うことで、記録材がベルト部材と接触する領域へのベルト部材の進入角にも変動が生じる。そのため、記録材と接触する領域においてベルト部材にしわが生じ、定着画像に乱れが生じる場合がある。
本発明は、加熱部材としてベルト部材を用いる定着装置において、記録材と接触する領域におけるベルト部材でのしわの発生を低減しながら、ベルト部材の片寄りを補正することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ベルト状に形成され、加熱されながら移動するベルト部材と、前記ベルト部材を張架する定着ロールと、前記ベルト部材が前記定着ロールと接触する領域にて当該定着ロールを加圧するように配置されてニップ領域を形成し、トナー像を保持する記録材を当該ニップ領域を通過させて当該トナー像を定着する加圧ロールと、前記ベルト部材を張架する張架ロールの一方の端部位置を固定し、他方の端部位置を変位させることで当該ベルト部材に生じた片寄りを補正するベルト片寄り補正手段とを備え、前記ベルト片寄り補正手段は、前記ベルト部材の前記定着ロールとの接触開始位置が前記ニップ領域よりも前記張架ロール側の位置となる範囲内で当該張架ロールの前記端部位置を変位させることを特徴とする定着装置である。
請求項2に記載の発明は、前記ベルト片寄り補正手段は、前記張架ロールが前記定着ロールの外径よりも小径に形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項3に記載の発明は、前記定着ロールは、長手方向中央部の外径が大きく、両端部に向かって小径に形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
前記ベルト片寄り補正手段は、前記張架ロールが前記ベルト部材を加熱することを特徴とする請求項1記載の定着装置である。
請求項5に記載の発明は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、前記定着手段は、ベルト状に形成され、加熱されながら移動するベルト部材と、前記ベルト部材を張架する定着ロールと、前記ベルト部材が前記定着ロールと接触する領域にて当該定着ロールを加圧するように配置されてニップ領域を形成し、トナー像を保持する記録材を当該ニップ領域を通過させて当該トナー像を定着する加圧ロールと、前記ベルト部材を張架する張架ロールの一方の端部位置を固定し、他方の端部位置を変位させることで当該ベルト部材に生じた片寄りを補正するベルト片寄り補正手段とを備え、前記ベルト片寄り補正手段は、前記ベルト部材の前記定着ロールとの接触開始位置が前記ニップ領域よりも前記張架ロール側の位置となる範囲内で当該張架ロールの前記端部位置を変位させることを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記定着手段は、前記ベルト片寄り補正手段の前記張架ロールが前記定着ロールの外径よりも小径に形成されたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記定着手段の前記定着ロールは、長手方向中央部の外径が大きく、両端部に向かって小径に形成されたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記定着手段は、前記ベルト片寄り補正手段の前記張架ロールが前記ベルト部材を加熱することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置である。
本発明の請求項1によれば、加熱部材としてベルト部材を用いる定着装置において、本発明を採用しない場合に比べて、記録材と接触する領域におけるベルト部材でのしわの発生を低減しながら、ベルト部材の片寄りを補正することができる。
本発明の請求項2によれば、定着ロールへのベルト部材の接触開始位置を加圧ロールが定着ロールを加圧するニップ領域よりも張架ロール側となる範囲に設定するに際して、本発明を採用しない場合に比べて、張架ロールの設定位置の自由度を広げることができる。
本発明の請求項3によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ベルト部材に生じたしわを矯正する能力を高めることができる。
本発明の請求項4によれば、ニップ部の上流側でのベルト部材と定着ロールとの接触面積にベルト部材の幅方向に関するばらつきが生じても、本発明を採用しない場合に比べて、ニップ領域を通過するベルト部材における熱量の幅方向のばらつきを小さくすることができる。
本発明の請求項5によれば、加熱部材としてベルト部材を用いる定着装置を搭載する画像形成装置において、本発明を採用しない場合に比べて、記録材と接触する領域におけるベルト部材でのしわの発生を低減しながら、ベルト部材の片寄りを補正することができる。
本発明の請求項6によれば、定着ロールへのベルト部材の接触開始位置を加圧ロールが定着ロールを加圧するニップ領域よりも張架ロール側となる範囲に設定するに際して、本発明を採用しない場合に比べて、張架ロールの設定位置の自由度を広げることができる。
本発明の請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べて、ベルト部材に生じたしわを矯正する能力を高めることができる。
本発明の請求項8によれば、ニップ部の上流側でのベルト部材と定着ロールとの接触面積にベルト部材の幅方向に関するばらつきが生じても、本発明を採用しない場合に比べて、ニップ部を通過するベルト部材における熱量の幅方向のばらつきを小さくすることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[実施の形態1]
図1は本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等といった外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源50を備えている。
画像形成プロセス部10には、一定の間隔を置いて並列的に配置されるトナー像形成手段の一例である4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11K(「画像形成ユニット11」とも総称する)が備えられている。各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体の一例としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を所定電位で一様に帯電する帯電器13、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像する現像器14、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ15を備えている。
また、各画像形成ユニット11は、現像器14に収納されるトナーを除いて、略同様に構成される。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
さらに、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11それぞれに配置された感光体ドラム12を露光するレーザ露光器40、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色トナー像が多重転写される中間転写ベルト20、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に順次転写(一次転写)する一次転写ロール21、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール22、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着させる定着手段(定着装置)の一例である定着装置60を備えている。なお、本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール21、および二次転写ロール22により転写手段が構成される。
本実施の形態の画像形成装置1において、PC3や画像読取装置4から入力された画像データは、画像処理部35によって所定の画像処理が施された後、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えばイエロー(Y)色トナー像を形成する画像形成ユニット11Yでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により所定電位で一様に帯電され、レーザ露光器40により画像処理部35から送信された画像データに基づいて点灯制御されたレーザ光で走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、イエロー(Y)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像器14により現像され、感光体ドラム12上にはイエロー(Y)色トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11M,11C,11Kにおいても、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色トナー像が形成される。
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、矢印B方向に移動する中間転写ベルト20上に、一次転写ロール21により順次静電吸引されて、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト20上の重畳トナー像は、中間転写ベルト20の移動に伴って二次転写ロール22が配置された領域(二次転写部T)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されると、重畳トナー像が二次転写部Tに搬送されるタイミングに合わせて、選択された用紙保持部71a,71bのいずれかから用紙Pが二次転写部Tに供給される。そして、重畳トナー像は、二次転写部Tにて二次転写ロール22が形成する転写電界の作用により、搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される。
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト20から剥離され、搬送ベルト76,77により定着装置60まで搬送される。定着装置60に搬送された用紙P上のトナー像は、定着装置60によって熱および圧力による定着処理を受けて用紙P上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置1の排出部に設けられた排紙積載部(不図示)に搬送される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。この定着装置60は、定着ベルトモジュール61と、定着ベルトモジュール61に対して圧接して配置された加圧ロール62とを備えている。
定着ベルトモジュール61は、ベルト部材の一例としての定着ベルト610、定着ベルト610を張架しながら回転駆動する定着ロール611、内側から定着ベルト610を張架するテンションロール612、外側から定着ベルト610を張架する外部加熱ロール613、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接される領域であるニップ部N内の下流側領域に配置され、用紙Pを定着ベルト610から剥離する剥離パッド64、ニップ部Nの下流側であって、定着ベルト610が再び定着ロール611に張架されるまでの領域において定着ベルト610を張架するアイドラーロール615を備えている。
定着ロール611は、例えば外径60mm、長さ360mm、厚さ10mmのアルミニウムからなる円筒状のコアロール(芯金)に、コアロール表面の金属磨耗を防止する保護層として、厚さ200μmのフッ素樹脂が皮膜して形成されたハードロールである。ただし、定着ロール611は、この構成に限られるものではなく、加圧ロール62との間でニップ部Nを形成する際に、加圧ロール62からの押圧力に対して殆ど変形を生じない充分にハードなロールとして機能する構成であればよい。そして定着ロール611は、図示しない駆動モータからの駆動力を受けて、例えば440mm/sの表面速度で矢印C方向に回転する。
また、定着ロール611の内部には、加熱源として定格900Wのハロゲンヒータ616aが配置され、定着ロール611の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置1の制御部30(図1参照)が定着ロール611の表面温度を150℃に制御している。
定着ベルト610は、例えば周長500mm、幅340mmの変形可能な無端ベルトである。また、定着ベルト610は多層構造を有しており、例えば、厚さ80μmのポリイミド樹脂で形成されたベース層と、ベース層の表面側(外周面側)に積層された厚さ100μmのシリコーンゴムからなる弾性体層と、さらに弾性体層上に被覆された例えば厚さ30μmのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)チューブからなる離型層とで構成される。ここでの弾性体層は、用紙P上のトナー像の凹凸に倣って定着ベルト610表面を変形させ、トナー像の全体に均一に熱を供給することで、カラー画像の画質を向上するために設けられる。なお、定着ベルト610の構成は、使用目的や使用条件等の装置設計条件に応じて、材質・厚さ・硬度等が適宜選択される。そして、定着ベルト610は、定着ロール611によって矢印D方向に移動する。
テンションロール612は、例えば外径30mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。そして、テンションロール612の内部には加熱源として定格1500Wのハロゲンヒータ616bが配置されており、温度センサ617bと制御部30(図1参照)とによって、表面温度が190℃に制御されている。したがって、テンションロール612は、定着ベルト610を張架する機能と、定着ベルト610を内周面側から加熱する機能とを併有する。
また、テンションロール612の両端部には、定着ベルト610を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配置されている。それにより、テンションロール612は、定着ベルト610の張力を所定値(例えば、15kgf)に調整する機能を有する。
さらに、テンションロール612には、後段で詳述するように、ベルト片寄り制御機構が設けられる。すなわち、テンションロール612は、定着ベルト610の片寄り(ベルトウォーク)を補正する片寄り補正ロール(ステアリングロール)としても機能する。
外部加熱ロール613は、例えば外径25mm、肉厚2mm、長さ360mmのアルミニウムで形成された円筒状ロールである。また、外部加熱ロール613の表面には例えば厚さ20μmのPFAからなる離型層が形成されている。この離型層は、定着ベルト610の外周面からの僅かなオフセットトナーや紙粉が外部加熱ロール613に堆積するのを抑制するために形成される。
外部加熱ロール613の内部には、加熱源としての定格1000Wのハロゲンヒータ616cが配置されており、温度センサ617cと制御部30(図1参照)とによって、表面温度が190℃に制御される。したがって、外部加熱ロール613は、定着ベルト610を張架する機能と、定着ベルト610を外周面側から加熱する機能とを併有する。
このように、本実施の形態では、定着ロール611とテンションロール612および外部加熱ロール613とによって定着ベルト610が加熱される構成を採用している。
剥離パッド64は、断面が略円弧形状のブロック部材であり、例えばSUS等の金属や剛性の高い樹脂等といった剛体で構成される。そして、加圧ロール62が定着ベルト610を介して定着ロール611に圧接される領域(「ロールニップ部N1」:後段の図3参照)の下流側近傍位置において、定着ロール611の軸方向全域に亘って固定配置される。また剥離パッド64は、定着ベルト610を加圧ロール62に向けて所定の荷重(例えば、10kgf)で均一に押圧するように設置され、後段で述べる「剥離ニップ部N2」(後段の図3参照)を形成する。
また、アイドラーロール615は、例えば外径12mm、長さ360mmのステンレスで形成された円柱状ロールである。そして、剥離ニップ部N2を通過した定着ベルト610が定着ロール611に向けて円滑に移動するように、剥離パッド64の定着ベルト610移動方向下流側近傍に配置される。
次に、加圧ロール62は、例えば、直径45mm、長さ360mmのアルミニウムからなる円柱状ロール621を基体として、基体側から順に、シリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層622と、膜厚100μmのPFAチューブからなる離型層623とが積層されて構成されたソフトロールである。そして、加圧ロール62は、定着ベルトモジュール61に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール61の定着ロール611が矢印C方向へ回転するのに伴い、定着ロール611に従動して矢印E方向に回転する。その移動速度は、定着ロール611の表面速度と同じ440mm/sである。
続いて、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接されたニップ部Nについて説明する。
図3は、ニップ部Nの近傍領域における定着装置60の構成を説明する概略断面図である。図3に示したように、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接されたニップ部Nには、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられた(ラップされた)領域(ラップ領域)内において、加圧ロール62が定着ベルト610の外周面を圧接するように配置される。それにより、ロールニップ部N1が形成される。
ここで、本実施の形態の定着装置60では、上述したように、ロールニップ部N1を形成する一方のロールである定着ロール611は、アルミニウムの芯金(コアロール)の表面に耐熱性樹脂(フッ素樹脂)を被覆して構成されたハードロールであって、定着ロール611には弾性層は設けていない。また、ロールニップ部N1を形成する他方の加圧ロール62は、弾性層622が被覆されたソフトロールである。
このような定着ロール611と加圧ロール62との構成により、加圧ロール62の弾性層622が変形することでロールニップ部N1が形成される。すなわち、ロールニップ部N1では、定着ロール611には凹みが殆ど生じず、加圧ロール62表面のみが凹んだ状態(加圧ロール62の凹み量>定着ロール611の凹み量)が形成されることで、定着ベルト610の移動方向に所定の幅を持ったロールニップ部N1を作り出している。
それにより、ロールニップ部N1では、定着ベルト610は定着ロール611表面の円周面に沿って回転移動し、その回転半径に変動が生じない。そのため、定着ベルト610は移動速度を一定に維持しながらロールニップ部N1を通過する。それによって、定着ベルト610がロールニップ部N1を通過するに際して、定着ベルト610にはしわや歪みが発生し難い。なお、本実施の形態の定着装置60では、ロールニップ部N1は定着ベルト610の移動方向に沿って約15mmの幅に設定されている。
また、ロールニップ部N1の下流側近傍には、剥離パッド64が配置されている。そして、剥離パッド64は定着ベルト610を加圧ロール62表面に向けて押圧する。それにより、ロールニップ部N1の下流側には、ロールニップ部N1に連続して、定着ベルト610が加圧ロール62表面にラップされた剥離ニップ部N2が形成される。
図3に示したように、剥離ニップ部N2を形成する剥離パッド64は、断面が略円弧形状に形成され、ロールニップ部N1の下流側近傍にて定着ロール611の軸方向に沿って配置される。そして、剥離ニップ部N2を通過した後の定着ベルト610は、剥離パッド64の外側面に倣って移動する。それにより、定着ベルト610の移動方向は剥離パッド64によってアイドラーロール615方向に屈曲するように急激に変化する。そのため、ロールニップ部N1および剥離ニップ部N2を通過した用紙Pは、剥離ニップ部N2を出た時点で定着ベルト610の移動方向の変化に追随できなくなり、用紙Pは自身の剛性(所謂「コシ」)によって定着ベルト610から剥離される。このようにして、剥離ニップ部N2の出口部において、用紙Pに対する分離(所謂「曲率分離」)が行われる。なお、本実施の形態の定着装置60では、剥離ニップ部N2は定着ベルト610の移動方向に沿って約8.5mmの幅に設定される。
続いて、剥離パッド64の配置位置と、剥離パッド64により形成される剥離ニップ部N2のニップ圧分布(ニップ圧プロファイル)とについて述べる。
剥離パッド64は、上述したようにロールニップ部N1の下流側近傍に配置される。それにより、ロールニップ部N1および剥離ニップ部N2からなるニップ部N内においては、ロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置(後段の図5参照)から剥離ニップ部N2の最下流位置に至るまでの領域で、ニップ圧が所定値以下に落ち込んだ谷間の領域が発生することを抑制して、ニップ圧が連続的に単調減少するように設定している。
ここでは、まず、ロールニップ部N1の下流側近傍に配置された剥離パッド64により、ニップ圧が所定値以下に落ち込む谷間の領域が発生することが抑制され、ニップ部N内でニップ圧が連続的に単調減少するように設定される点について説明する。
本実施の形態の定着装置60では、加熱部材としての定着ベルト610が定着ロール611を含む複数のロールで張架されて構成された定着ベルトモジュール61を用いる。このような定着ベルトモジュール61を用いた構成は、後段で述べるように、画像形成装置1の高速化が図られた場合にも、定着装置60において所定の定着温度を維持し、また、高速定着動作の開始時に定着温度が落ち込む所謂「温度ドループ現象」の発生を抑制する。
しかし、かかる定着ベルトモジュール61を用いた定着装置60においても、用紙Pの表面にはトナー像が保持されているため、定着ベルト610の熱によってトナー像が溶融した際に、トナー像が接着剤となって用紙Pと定着ベルト610との間に付着力が働く。そのため、従来の定着装置と同様に、定着ベルト610表面から用紙Pを剥離する機構を設ける必要がある。特に画像形成装置の高速化を図った場合には、定着装置60において一旦剥離不良が生じて紙詰まり(ジャム)が生じると、その影響を受けて損傷する後続の用紙Pの枚数も多くなる。そのことから、ニップ部Nを高速で通過した用紙Pを定着ベルト610側から安定的に、かつ確実に剥離する必要がある。
その際に、用紙Pを定着ベルト610表面から剥離する機構として従来からの分離爪を用いるとすると、用紙Pを定着ベルト610側から安定的に剥離するために、分離爪を定着ベルト610に当接させて配置する必要がある。そのために、分離爪を用いた場合には定着ベルト610表面が分離爪によって磨耗され易くなり、次のような問題が発生し易い。すなわち、定着ベルト610表面に分離爪による磨耗痕が生じ、定着画像上に定着ベルト610表面の磨耗痕に対応した定着ムラが発生して画像品質を低下させる場合がある。また、磨耗痕上にオフセットしたトナーが次第に付着堆積して、定着画像上に汚れを生じさせることもある。さらには、薄いフィルム状の定着ベルト610表面の磨耗が進むと、定着ベルト610は最終的に破断するに至り、定着装置60の機能が損なわれるおそれもある。そのため、定着ベルト610を用いる定着ベルトモジュール61において用紙分離を行うには、上述したように、分離爪のような当接部材を必要としない、曲率分離による剥離機構が適する。
そこで、本実施の形態の定着ベルトモジュール61では、ニップ部Nの下流部に定着ベルト610の移動方向を急激に変化させて、用紙Pを定着ベルト610から剥離する剥離部材、すなわち剥離パッド64を設けている。
ところが、剥離パッド64を設けることにより、ロールニップ部N1に連続して剥離ニップ部N2を形成すると、剥離ニップ部N2内の剥離パッド64が配置された領域(剥離パッド64と加圧ロール62との圧接部)N2Tよりもロールニップ部N1側に位置する境界領域N2S(図3参照)では、定着ベルト610を定着ロール611および加圧ロール62のいずれにも直接押圧する部材が存在しない。そのため、この境界領域N2Sでは定着ベルト610の張力のみによって加圧ロール62に圧接されることとなり、この境界領域N2Sでのニップ圧(以下、境界領域N2Sでのニップ圧をPnとする。)は定着ベルト610の張力のみで形成されることとなる。そのために、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側端部N1E(図3参照)から所定の距離以上に離隔して配置すると、境界領域N2Sのニップ圧Pnは、ロールニップ部N1のニップ圧と剥離パッド64が配置された領域N2Tでのニップ圧との狭間となって、ニップ圧Pnが所定値(これをPn1とする。)よりも低く落ち込んだ谷間の領域として形成される。そして、境界領域N2Sのニップ圧Pnは、ロールニップ部N1のニップ圧および剥離パッド64が配置された領域N2Tのニップ圧よりも相対的に低くなる。
ここで図4は、剥離パッド64をロールニップ部N1の下流側端部N1Eから所定の距離以上に離隔して配置した場合のニップ部N(ロールニップ部N1および剥離ニップ部N2)のニップ圧プロファイルの概略を示した図である。図4に示したように、この場合には、剥離ニップ部N2において、ロールニップ部N1との境界領域N2Sにニップ圧Pnが所定値Pn1以下に落ち込んだ谷間の領域が形成される。
ところで、本実施の形態の定着装置60による定着プロセスでは、トナー像を保持した用紙Pは、ロールニップ部N1において加熱および加圧されてトナーが溶融圧着される。その際に、ロールニップ部N1内において熱を受けた用紙Pやトナーからは、用紙P中の水分が気化して水蒸気を発生させ、トナー中の空気が熱膨張しようとする。ところが、ロールニップ部N1では高いニップ圧が印加されているため、定着ベルト610と加圧ロール62との間に水蒸気や膨張した空気によるエアーギャップ(気泡)が生じることは殆どない。
しかし、剥離ニップ部N2内のロールニップ部N1との境界領域N2Sにおけるニップ圧Pnが所定値Pn1以下の低い状態に形成されていると、ロールニップ部N1で抑え込まれていた気泡が境界領域N2Sにおいては抑止できずに発生する。そして、気泡が発生した状態で、用紙Pが剥離パッド64に設けられたニップ圧の高い領域N2Tに進入すると、境界領域N2Sにおいて発生した気泡がその高いニップ圧によって用紙Pの表面上を動き回る。そうすると、用紙P上のトナー像は、ロールニップ部N1を通過した直後であって、溶融したトナーが未だ完全に固化されていない状態にあるため、気泡が動き回ることによってトナー像が乱される現象が生じる。
そこで、本実施の形態の定着装置60では、剥離パッド64は、ロールニップ部N1の下流側近傍に配置している。このように剥離パッド64を配置することで、剥離ニップ部N2内におけるロールニップ部N1と剥離パッド64が配置された領域N2Tとの間の境界領域N2Sの幅が極力狭く設定される。それにより、定着ベルト610の張力のみによって加圧ロール62に圧接される領域が狭くなる。そのため、図5(本実施の形態の剥離パッド64を配置した場合のニップ部Nのニップ圧プロファイルの概略を示した図)に示したように、境界領域N2Sにおいてニップ圧Pnが所定値Pn1よりも落ち込む谷間の領域の発生が抑制される。それによって、ニップ部N内におけるロールニップ部N1内でニップ圧がピークとなる位置から剥離ニップ部N2の最下流位置に至る領域において、ニップ圧は、連続的に単調減少するように設定される。
このように、境界領域N2Sのニップ圧Pnが所定のPn1よりも高く設定されるので、境界領域N2Sでの気泡の発生が抑えられる。さらには、ロールニップ部N1内でのニップ圧が、ピークとなる位置から剥離ニップ部N2の最下流位置に至るまで連続的に単調減少するように設定されることにより、ロールニップ部N1にて抑え込まれていた水蒸気や熱膨張しようとする空気は、剥離ニップ部N2を通過するまでの経路で徐々に開放され、上記したような気泡が動き回る現象が抑えられる。そのため、未だ完全に固化されていない状態のトナー像の乱れが抑制される。
続いて、本実施の形態の定着装置60における定着ベルト610の片寄りを補正するベルト片寄り補正手段の一例としてのベルト片寄り補正機構について説明する。図6は、本実施の形態のベルト片寄り補正機構を説明する図である。図6に示したように、本実施の形態のベルト片寄り補正機構は、定着ベルト610を張架する張架ロールの一例としてのテンションロール612にて構成される。すなわち、ベルト片寄り補正機構は、テンションロール612の回転軸71の一方の端部(例えば、図中手前側端部)を回転自在に支持し、揺動させることで回転軸71の一方の端部を変位させる揺動アーム72、揺動アーム72を所定の角度範囲で揺動させるパルスモータ70、テンションロール612の回転軸71の揺動軌跡を設定する回転軸ガイド部材73、定着ベルト610の端部に設けられ、定着ベルト610の移動方向と直交する方向(幅方向)に関する片寄り方向(図中、手前側方向か奥側方向か)および片寄り量を検出する片寄り検出部74を備えている。なお、テンションロール612の回転軸71の他方の端部(例えば、図中奥前側端部)は、回転自在に支持されるが、位置は固定され変位はされない。
本実施の形態のベルト片寄り補正機構では、片寄り検出部74は例えばLED等の光源とフォトセンサとにより構成される。そして、定着ベルト610の端部エッジの位置を常時計測して、所定の基準位置に対する端部エッジの位置ずれ量を検出する。そして片寄り検出部74は、検出された基準位置からの位置ずれ量を制御部30に送る。制御部30は、片寄り検出部74からの検出結果に基づき、その位置ずれが定着ベルト610の幅方向の手前側方向へのものか、または奥側方向へのものか(片寄り方向)を判定するとともに、その位置ずれ量(片寄り量)を算出する。さらには、算出された片寄り方向および片寄り量に対応して、定着ベルト610の片寄りを補正するために必要となるテンションロール612の回転軸71における変位量を算出する。そして、制御部30はパルスモータ70を制御し、テンションロール612の回転軸71が算出された変位量だけ変位するように揺動アーム72を揺動させる。
ここで、本実施の形態のベルト片寄り補正機構においては、テンションロール612の回転軸71の変位量は、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられるラップ領域(張架される領域)がニップ部Nの上流側から形成されるように設定される。すなわち、図6において、テンションロール612の回転軸71を変位させることによって生じる、定着ベルト610が定着ロール611への巻き付きを開始する位置(接触開始位置)における定着ベルト610の角度変位量θ1が、初期設定時における定着ベルト610の接触開始位置Pとニップ部Nの最上流点Sとがなす角度(初期ラップ角度)θ2よりも小さく設定される。
例えば、テンションロール612の回転軸71を変位させた際に定着ベルト610が定着ロール611と巻き付きを開始する位置(接触開始位置)をPとする。そうすると、初期設定時における張架開始位置Pから、テンションロール612の回転軸71を変位させたことにより張架開始位置Pに移動した場合の定着ベルト610の角度変位量θ1は、定着ロール611の回転中心をKとして、∠PKPと一致する。すなわち、θ1=∠PKPとなる。また、初期ラップ角度θ2は、θ2=∠PKSであるから、θ1<θ2という条件を満たすようにテンションロール612の回転軸71の変位量の上限値を設定すれば、定着ベルト610の定着ロール611への接触開始位置Pは、ニップ部Nの最上流点Sよりも上流側に位置する。それにより、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられるラップ領域は、ニップ部Nの上流側から形成されるように設定される。
定着ベルト610の片寄りを補正するに際して、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられるラップ領域がニップ部Nの上流側から形成されると、定着ベルト610のニップ部N入口側上流においては、定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域が確保される。すなわち、図6に示した領域Mが確保される。そして、定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域Mは、定着ベルト610がこの領域Mを通過する際に、定着ベルト610が定着ロール611に密着されながら巻き付くことで、定着ベルト610に生じたしわを矯正してしわを低減するように作用する。すなわち、ニップ部Nでは、定着ベルト610には当初よりしわが生じていない。そのため、定着ベルト610が領域Mを定着ロール611に密着されながら通過することで、ニップ部Nにおけるしわが生じていない定着ベルト610に倣うように、定着ベルト610には幅方向両端部側に引っ張られる力が作用して、しわが矯正される。
このように、定着ベルト610の片寄りを補正する際にも領域Mが確保されることで、定着ベルト610がニップ部Nに進入する際には、定着ベルト610のしわが矯正され、しわが低減されたほぼ平坦な状態で用紙P上のトナー像と接触することとなる。それによって、用紙P上でのトナー像の乱れが抑制される。
これに対して、定着ベルト610への片寄り補正によって生じる定着ベルト610の角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2以上(θ1≧θ2)となるような、テンションロール612の回転軸71の変位量を設定したとすれば、定着ベルト610のニップ部N入口側上流において、定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域M(図6参照)が形成されない。図7は、定着ベルト610の角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2以上(θ1≧θ2)となるテンションロール612の回転軸71の変位量を設定した場合に、定着ベルト610が定着ロール611と接触する状態を示した図である。図7に示したように、この場合には、定着ベルト610はニップ部Nの最上流点Sから定着ロール611に巻き付き(張架)を開始することとなる。そのため、定着ベルト610の片寄りを補正する際に定着ベルト610にしわが生じた場合には、生じたしわは矯正されないままにニップ部Nに進入する場合も発生する。その場合には、定着ベルト610のしわによって、用紙P上のトナー像に乱れが生じる場合がある。
そこで、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト610の片寄りの補正を行うに際して、定着ベルト610の角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)という条件を満たすように、テンションロール612の回転軸71の変位量の上限値を設定している。それにより、定着ベルト610が定着ロール611に張架される領域(ラップ領域:すなわち、「定着ベルト610が定着ロール611と接触する領域」)がニップ部Nの上流側から形成されるので、定着ベルト610がニップ部Nに進入する前に、定着ベルト610に生じたしわを矯正し、しわを低減する。それによって、ニップ部Nにおいては、定着ベルト610はしわが矯正され、しわが低減されたほぼ平坦な状態で用紙P上のトナー像と接触することとなる。
ここで、テンションロール612の外径は、定着ロール611の外径よりも小径に形成してもよい。それにより、定着ベルト610の角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)という条件を満たすようなテンションロール612の配置位置の自由度が広がる。
また、定着ロール611の外径形状は、軸方向中央部で大きく、両端部に向かう程小径である所謂クラウン形状で形成してもよい。それにより、ニップ部N入口側上流の定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域での定着ベルト610のしわを矯正する機能が高まる。
ところで、定着ベルト610の片寄りの補正を行うことにより、定着ロール611に対する定着ベルト610の角度変位量θ1には、定着ベルト610の幅方向の手前側と奥側とで異なりが生じる。そのため、定着ベルト610の張架開始位置Pは定着ベルト610の幅方向の手前側と奥側とで異なる位置となり、定着ベルト610と定着ロール611との接触面積(領域Mの表面積)に幅方向に関する差が発生する。それにより、定着ベルト610が定着ロール611から受ける熱量にも幅方向のばらつきが生じる。
ところが、本実施の形態のベルト片寄り補正機構は、定着ロール611の上流側の最も近接した位置に配置されるとともに、定着ベルト610を内周面側から加熱する機能を有するテンションロール612に構成される。それにより、定着ベルト610が片寄り補正されて定着ロール611に進入する際には、定着ベルト610にはテンションロール612から充分な熱が供給されているので、領域Mの表面積にて定着ロール611から受ける熱量に幅方向のばらつきが生じても、ニップ部Nを通過する定着ベルト610における熱量の幅方向のばらつきは小さい。
次に、本実施の形態の定着装置60における定着動作について説明する。
画像形成装置の二次転写部T(図1参照)において未定着トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト76,77および定着装置60の入口ガイド78により、定着装置60のニップ部Nに向けて(図2参照:矢印F方向)搬送される。そして、ニップ部Nを通過する用紙P表面の未定着トナー像は、主としてロールニップ部N1に作用する圧力と熱とにより用紙Pに定着される。
このとき、本実施の形態の定着装置60では、ニップ部Nに作用する熱は、主として定着ベルト610によって供給される。定着ベルト610は、定着ロール611の内部に配置されたハロゲンヒータ616aから定着ロール611を通じて供給される熱と、テンションロール612の内部に配置されたハロゲンヒータ616bからテンションロール612を通じて供給される熱と、外部加熱ロール613の内部に配置されたハロゲンヒータ616cから外部加熱ロール613を通じて供給される熱とによって加熱されるように構成されている。そのため、主にテンションロール612および外部加熱ロール613から速やかに定着ベルト610に熱エネルギーを補給されるので、ニップ部Nにおいては、プロセススピードが440mm/sという高速であっても充分な熱量が確保される。
すなわち、本実施の形態の定着装置60では、直接的な加熱部材として機能する定着ベルト610は、熱容量が小さい。加えて、定着ベルト610は、熱供給部材である定着ロール611と、テンションロール612および外部加熱ロール613とに広いラップ面積(大きなラップ角度)で接触するように構成される。そのため、定着ベルト610が1回転する短期間に、定着ロール611やテンションロール612および外部加熱ロール613から充分な熱量が供給されるので、定着ベルト610は、必要な定着温度まで短時間に復帰する。それにより、ニップ部Nにおいては、定着装置60が高速化されても、所定の定着温度が維持される。
その結果、連続通紙時においても定着温度が略一定に維持される。また、高速定着動作の開始時に定着温度が落ち込む温度ドループ現象の発生が抑制される。特に、熱容量の大きな厚紙等への定着時にも、定着温度の維持および温度ドループの発生が抑制される。さらには、紙種に対応させて定着温度を途中で切り替える(定着温度のアップおよびダウンの双方を含む。)必要がある場合にも、定着ベルト610は熱容量が小さいので、ハロゲンヒータ616a、さらにはハロゲンヒータ616b、ハロゲンヒータ616cの出力調整により、所望の温度への切り替えが容易、かつ速やかに行われる。
引き続いて、ロールニップ部N1を通過した後には、用紙Pは剥離ニップ部N2に搬送される。剥離ニップ部N2では、加圧ロール62に剥離パッド64が押圧されて、定着ベルト610が加圧ロール62に圧接される。したがって、図3に示したように、ロールニップ部N1は定着ロール611の曲率によって下に凸である湾曲した形状を形成するのに対し、剥離ニップ部N2は加圧ロール62の曲率によって上に凸である湾曲した形状を形成する。
そのため、ロールニップ部N1において定着ロール611の曲率の下で加熱加圧された用紙Pは、剥離ニップ部N2において加圧ロール62による相反する方向に向いた曲率に移動方向を変化させる。その際に、用紙P上のトナー像と定着ベルト610表面との間で微小なマイクロスリップが生じる。それによって、トナー像と定着ベルト610との付着力が弱められ、用紙Pは定着ベルト610から剥離され易い状態が形成される。したがって、剥離ニップ部N2は、最終の剥離工程で確実に剥離が行われるための準備工程にも位置付けられる。
そして、剥離ニップ部N2の出口では、定着ベルト610は剥離パッド64に巻き付くように搬送されるので、定着ベルト610の移動方向はそこで急激に変化する。すなわち、定着ベルト610は剥離パッド64の外側面64bに沿って移動するため、定着ベルト610の屈曲は大きなものとなる。そのため、剥離ニップ部N2内において定着ベルト610との付着力が予め弱められた用紙Pは、用紙P自身が有している紙のコシによって定着ベルト610から剥離する。
そして、定着ベルト610から分離された用紙Pは、剥離ニップ部N2の下流側に配置された剥離案内板67により、その移動方向が導かれる。剥離案内板67により案内された用紙Pは、その後、排紙ガイド65および排紙ロール66によって機外に排出されて(図2参照)、定着処理が完了する。
以上説明したように、本実施の形態の定着装置60では、定着ベルト610の片寄りの補正を行うに際して、定着ベルト610の角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2よりも小さい(θ1<θ2)という条件を満たすように、テンションロール612の回転軸71の変位量の上限値を設定している。それにより、定着ベルト610が定着ロール611に張架される領域(ラップ領域:「接触する領域」)がニップ部Nの上流側から形成されるので、定着ベルト610がニップ部Nに進入する前に、定着ベルト610に生じたしわが矯正されて、しわが低減される。そのため、ニップ部Nにおいては、定着ベルト610はしわが矯正され、しわが低減されたほぼ平坦な状態で用紙P上のトナー像と接触し、用紙P上でのトナー像の乱れが抑制される。
[実施の形態2]
実施の形態1では、定着装置60において、定着ベルト610を張架する機能と定着ベルト610を内周面側から加熱する機能とを併有するテンションロール612にベルト片寄り補正機構を備えた構成について説明した。本実施の形態では、テンションロール612と定着ロール611との間にベルト片寄り補正機構を設けたベルト片寄り補正ロールを配置した構成について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
図8は、本実施の形態の定着装置90の構成を示す側断面図である。本実施の形態の定着装置90は、上記した実施の形態1の定着装置60において、テンションロール612と定着ロール611との間にベルト片寄り補正機構を備えたベルト片寄り補正ロール614を配置した点が異なる点を除いて、実施の形態1の定着装置60と同様である。
図9は、本実施の形態のベルト片寄り補正機構を説明する図である。図9に示したように、本実施の形態のベルト片寄り補正機構は、テンションロール612と定着ロール611との間に配置されたベルト片寄り補正ロール614にて構成される。すなわち、ベルト片寄り補正機構は、ベルト片寄り補正ロール614の回転軸81の一方の端部(例えば、図中手前側端部)を回転自在に支持し、揺動することで回転軸81の一方の端部を変位させる揺動アーム82、揺動アーム82を所定の角度範囲で揺動させるパルスモータ80、ベルト片寄り補正ロール614の回転軸81の揺動軌跡を設定する回転軸ガイド部材83、定着ベルト610の端部に設けられ、定着ベルト610の移動方向と直交する方向(幅方向)に関する片寄り方向(図中、手前側方向か奥側方向か)および片寄り量を検出する片寄り検出部84を備えている。
本実施の形態のベルト片寄り補正機構においても、実施の形態1の場合と同様に、テンションロール612の回転軸81の変位量は、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられるラップ領域(張架される領域)がニップ部Nの上流側から形成されるように設定される。すなわち、図9において、テンションロール612の回転軸81を変位させることによって生じる、定着ベルト610が定着ロール611への巻き付きを開始する位置(接触開始位置)における定着ベルト610の角度変位量θ1が、初期設定時における定着ベルト610の接触開始位置Pとニップ部Nの最上流点Sとがなす初期ラップ角度θ2よりも小さく設定される。
ベルト片寄り補正ロール614を用いて定着ベルト610の片寄りを補正する際にも、定着ベルト610が定着ロール611に巻き付けられるラップ領域がニップ部Nの上流側から形成されると、定着ベルト610のニップ部N入口側上流においては、定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域が確保される。すなわち、図9に示した領域Mが確保される。そして、定着ベルト610が定着ロール611とのみ接触する領域Mは、定着ベルト610がこの領域Mを通過する際に、定着ベルト610が定着ロール611に密着されながら巻き付くことで、定着ベルト610に生じたしわを矯正して、しわを低減するように作用する。そのため、定着ベルト610の片寄りを補正する際にも領域Mが確保されることで、定着ベルト610がニップ部Nに進入する際には、定着ベルト610はしわが矯正され、しわが低減されたほぼ平坦な状態で用紙P上のトナー像と接触することとなる。それによって、用紙P上でのトナー像の乱れが抑制される。
本発明の画像形成装置の全体構成を示した図である。 実施の形態1の定着装置の構成を示す側断面図である。 ニップ部の近傍領域における定着装置の構成を説明する概略断面図である。 剥離パッドをロールニップ部から所定の距離以上に離隔して配置した場合のニップ部のニップ圧分布の概略を示した図である。 剥離パッドをロールニップ部の下流側近傍に配置した場合のニップ圧分布の概略を示した図である。 実施の形態1のベルト片寄り補正機構を説明する図である。 定着ベルトの角度変位量θ1が初期ラップ角度θ2以上(θ1≧θ2)となるテンションロールの回転軸の変位量を設定した場合に、定着ベルトが定着ロールと接触する状態を示した図である。 実施の形態2の定着装置の構成を示す側断面図である。 実施の形態2のベルト片寄り補正機構を説明する図である。
符号の説明
1…画像形成装置、11(11Y,11M,11C,11K)…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、60,90…定着装置、61…定着ベルトモジュール、62…加圧ロール、64…剥離パッド、70,80…パルスモータ、71,81…回転軸、72,82…揺動アーム、73,83…回転軸ガイド部材、74,84…片寄り検出部、610…定着ベルト、611…定着ロール

Claims (8)

  1. ベルト状に形成され、加熱されながら移動するベルト部材と、
    前記ベルト部材を張架する定着ロールと、
    前記ベルト部材が前記定着ロールと接触する領域にて当該定着ロールを加圧するように配置されてニップ領域を形成し、トナー像を保持する記録材を当該ニップ領域を通過させて当該トナー像を定着する加圧ロールと、
    前記ベルト部材を張架する張架ロールの一方の端部位置を固定し、他方の端部位置を変位させることで当該ベルト部材に生じた片寄りを補正するベルト片寄り補正手段とを備え、
    前記ベルト片寄り補正手段は、前記ベルト部材の前記定着ロールとの接触開始位置が前記ニップ領域よりも前記張架ロール側の位置となる範囲内で当該張架ロールの前記端部位置を変位させることを特徴とする定着装置。
  2. 前記ベルト片寄り補正手段は、前記張架ロールが前記定着ロールの外径よりも小径に形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  3. 前記定着ロールは、長手方向中央部の外径が大きく、両端部に向かって小径に形成されたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  4. 前記ベルト片寄り補正手段は、前記張架ロールが前記ベルト部材を加熱することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  5. トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、
    前記定着手段は、
    ベルト状に形成され、加熱されながら移動するベルト部材と、
    前記ベルト部材を張架する定着ロールと、
    前記ベルト部材が前記定着ロールと接触する領域にて当該定着ロールを加圧するように配置されてニップ領域を形成し、トナー像を保持する記録材を当該ニップ領域を通過させて当該トナー像を定着する加圧ロールと、
    前記ベルト部材を張架する張架ロールの一方の端部位置を固定し、他方の端部位置を変位させることで当該ベルト部材に生じた片寄りを補正するベルト片寄り補正手段とを備え、
    前記ベルト片寄り補正手段は、前記ベルト部材の前記定着ロールとの接触開始位置が前記ニップ領域よりも前記張架ロール側の位置となる範囲内で当該張架ロールの前記端部位置を変位させることを特徴とする画像形成装置。
  6. 前記定着手段は、前記ベルト片寄り補正手段の前記張架ロールが前記定着ロールの外径よりも小径に形成されたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  7. 前記定着手段の前記定着ロールは、長手方向中央部の外径が大きく、両端部に向かって小径に形成されたことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  8. 前記定着手段は、前記ベルト片寄り補正手段の前記張架ロールが前記ベルト部材を加熱することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
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