JP2009108465A - 立体構造経編地及び該立体構造経編地を用いてなる繊維製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】立体構造編地のコース方向断面において、二つの地組織面に対して斜交した連結糸が前記二つの地組織を連結している構造を含む立体構造経編地であって、前記二つの地組織のうち、一方の第1地組織は前記連結糸と連結されていないループを所要の間隔で備えている一方、他方の第2地組織は、すべてのループが1本の連結糸と連結編成されている。
【選択図】図2
Description
前記ウレタンフォームは、洗濯耐久性や圧縮回復耐久性に優れるものの、通気性が悪いため着用時の発汗による蒸れが発生しやすいという問題がある。さらに、耐光性が悪いため紫外線によって黄変劣化しやすい等の問題もある。
一方、不織布素材は通気性には優れるが、圧縮回復耐久性に劣り、型崩れが発生しやすいという問題がある。
しかし、前記マルチフィラメント糸では糸が柔らかく、立体構造経編地のクッション性や厚み保持性が低下しやすいことから、クッション性や厚み保持性を維持するために、連結糸の繊度を大きくしたり、連結糸の本数を多くしたりして、連結糸の硬さを高める方法がとられている。しかし、該方法では、立体構造経編地の目付けが重くなり、かつ、地組織間に多くの連結糸を連結することによって連結糸間の空隙が少なくなって通気性が悪化し、さらに、布帛が硬くなりやすい問題がある。
しかし、前記構成としても、着用時に発汗量が多い場合には十分な蒸れ感を抑えることができず、また、洗濯回数を増やすと風合いが変化するという問題もある。
また、前記立体構造経編地を用いてなる繊維製品を提供し、ブラジャーのカップ部など肌に接触する部分に用いたときの着用感を高めることを課題としている。
前記二つの地組織のうち、一方の第1地組織は前記連結糸と連結されていないループを所要の間隔で備えている一方、
他方の第2地組織は、すべてのループが1本の連結糸と連結編成されていることを特徴とする立体構造経編地を提供している。
さらに、連結糸の連結編成されたループの少ない前記第1地組織は、他方の第2地組織に比べて風合いが柔らかくなる。
よって、本発明の立体構造経編地を用いた繊維製品において、第1地組織を肌側として用いると、蒸れを防ぎ着用感を高めることができると共に、着用感をより向上させることもできる。
前記振り巾とは、経編機の筬が経編針列に沿って一方向に移動する際の、移動対象編針の数もしくは移動対象ウエル数のことをいい、振り巾が1針とは、例えば図2に示すように、第1地組織から第2地組織に真っ直ぐに(斜め方向ではなく)連結編成させることをいう。
前記連結糸の振り巾を1〜6針とするのが好ましいのは、振り巾が6針より大きくなると編成しにくくなると共に、布帛の目付けが大きくなりやすいためである。
単糸繊度が3〜6dtexであることが好ましいのは、単糸繊度が3dtex未満であると繊維の強度および弾性力が弱いため形態安定性が低下してコシのない編地になりやすい一方、単糸繊度が6dtexより大きくなると連結糸が硬くなるため、立体構造経編地の表面に連結糸が飛び出して着用感が悪くなったり、布帛が硬化して風合いが悪くなったりするおそれがあることによる。
また、マルチフィラメント糸の繊度を33〜110dtexとするのが好ましいのは、繊度が33dtex未満であると繊維の弾性力が弱いため形態安定性が低下しやすくなる一方、繊度が110dtexより大きくなると布帛が硬化して風合いが悪くなるおそれがあることによる。
一方、連結糸としてモノフィラメント糸を用いると、成形時の高温高圧によって布帛が硬化して柔軟性が損なわれ、布帛の形態安定性や圧縮反発性が悪化したり、連結糸が地組織面に飛び出して着用感が悪化したりするおそれがある。
また、第1、第2地組織を、表面に開口部のない平坦な組織とすることにより、インナー素材やスポーツ素材に用いた場合、開口部から連結糸が飛び出すことを防止して、良好な着用感を得ることができると共に、透けを防止することができる。また、椅子等の表皮材に用いた場合は、良好な着座感と風合を得ることが出来る。また、肌側の地組織上に凹凸やメッシュ構造の組織部を組み合わせて編成することにより、蒸れ感やベトツキ感をさらに低減することができる。
立体構造経編地の通気度測定値が0.02KPa・s/m以下であることが好ましいのは、通気度測定値が0.02KPa・s/mを超えると、該立体構造経編地を胸衣用として用いた場合に、蒸れ感を生じるおそれがあることによる。
なお、本発明における布帛硬度とは、JIS L 1018 カンチレバー法にて測定したものである。
布帛の厚みを2〜12mmとするのが好ましいのは、厚みが2mm未満であると形態安定性や圧縮反発性が損なわれるおそれがある一方、厚みが12mmを越えると布帛が重くなったり、風合いが悪くなったりするおそれがあることによる。
立体構造経編地の質量を250〜370g/m2とすることが好ましいのは、質量が250g/m2未満であると反発力や形態安定性が損なわれるおそれがある一方、質量が370g/m2を越えると柔軟性が損なわれるおそれがあることによる。
前述したように、前記立体構造経編地を用いてなる繊維製品は、優れた形態安定性や厚み保持性、クッション性を保持させることができるうえ、通気性に優れるので、ブラジャー等のカップ部の素材、スポーツ衣料資材のほか、シューズ素材や椅子張り素材等の繊維製品に好適に用いられる。特に、ブラジャー等のカップ部を有する衣類としていることが好ましい。
また、前述した理由により、前記立体構造経編地の第1地組織を肌側に位置させていることが好ましい。
前記カップ部は加熱プレスして膨出部を形成することが好ましい。
このように、立体構造経編地を加熱プレスしてカップ部の膨出部を形成した後においても、カップ部は優れたクッション性や厚み保持性、形態安定性を保持すると共に、通気性や風合いも良好な状態を保つことができる。したがって、前記カップ部を有する衣類を着用したとき、乳房形状の適度な補正力を保持しつつ、発汗などによる蒸れ感やベトツキ感、肌への不快な刺激などのない優れた着用感を得ることができる。
また、成型後のカップ部の厚みとしては、成型前の立体構造経編地の厚みの半分程度となることが好ましい。
成型後のカップ部の通気度としては、KES−F8通気性試験機による通気度測定値が0.025KPa・s/m以下であることが好ましい。
布帛の厚みを2〜6mmとするのが好ましいのは、厚みが2mm未満であると形態安定性や圧縮反発性が損なわれたり、透けやすくなったりするおそれがある一方、厚みが6mmを越えると布帛が重くなったり、風合いが悪くなったりするおそれがあることによる。
布帛の厚みは、実施例に記載の方法で測定している。
さらに、前記のように立体構造経編地を加熱プレスせず、立体構造経編地を縫製処理することによってカップ部を形成してもよい。
また、前記したように、連結糸が連結されていない地組織部分は通気性がよいため、前記連結糸で連結されないループを有する第1地組織を肌に接触する側の面とすることにより、発汗による水分をすばやく乾燥させ、蒸れ感やベトツキ感を減少させることができる。
図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示し、図1および図2に示す立体構造経編地10でブラジャーのカップ部を形成している。
第1実施形態においては、第1地組織11における連結糸13の連結密度を50%とし、連結糸13の振り巾を1針及び2針としている。
したがって、連結糸で連結されない部分11a−2や連結糸13間の通気性向上によって、立体構造経編地10全体の通気性を向上させることができる。
また、前記のように、連結糸13が連結されていない地組織部分11a−2は通気性がよいため、連結糸13で連結されない部分11a−2を有する第1地組織11の面を肌に接触する側の面とすることにより、発汗による水分をすばやく乾燥させ、蒸れ感やベトツキ感を減少させることができる。
カップ部21は、立体構造経編地10を裁断し、成型温度230℃、成形時間45秒で加熱プレスを行って膨出部を形成することにより作製している。
なお、立体構造経編地10の、連結されないループを所定間隔で有する第1地組織11面を肌に接触する側の面とし、すべてのループが連結される第2地組織12面を外面側の面としている。
得られたカップ部21は、布帛の厚みが2〜4mm、KES−F8通気性試験機による通気度測定値が0.025KPa・s/m以下である。
第2実施形態は、立体構造経編地の作製方法のみが第1実施形態と異なり、以下の方法で図5および図6に示す立体構造経編地40を作製している。
他の構成及び効果は実施例1と同様のため、説明を省略する。
図7及び図8の立体構造経編地30は、第1、第2地組織31、32を連結糸33で連結した立体構造経編地10のコース方向(矢印A方向)断面において、第1地組織31が連結糸33で連結される部分31a−1を2ループ連続で有し、該連続の2ループの間に連結糸33で連結されない部分31a−2を2ループ間隔で有する点で第1実施形態と異なる。
他の構成及び効果は第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
前記第1実施形態と同様の方法で作製した立体構造経編地を実施例1とした。
図10に示したものと同様の方法で作製した従来の立体構造経編地を比較例1とした。
なお、第2地組織の編成比率は実施例1及び比較例1のいずれも100%である。
JIS L 1018に準拠して標準状態における単位面積当たりの質量を測定した。
(厚み)
JIS L 1018の厚さの測定法に準拠して測定した。
(通気度)
KES−F8通気性試験機により通気度測定値を求めた。
(布帛硬度)
JIS L 1018 カンチレバー法にて測定した。
(厚み保持率)
立体構造経編地を7cm×7cmに切断し、厚みの変化がわかり易いように4枚重ねて、その上に直径7.5cmの円柱型の4kgの重りを載せた。この状態で厚みの変化が出易いように100℃の温度下で2時間放置した。
2時間後、重りを取り除いた直後の厚みを試験後の厚みL2とし、重りを載せる前の厚みをL1として、下記式より厚み保持率(%)を得た。
厚み保持率(%)=(L2/L1)×100
これに対し、比較例1の立体構造経編地は、形態安定性、厚み保持性及びクッション性には優れるものの、実施例1よりも通気性が劣り、風合いも硬めであった。そのため、肌と接触している部分での空気の循環が十分に行われず、蒸れの解消が不十分でベトツキ感を感じることがある。
11、31、41 第1地組織
11a、31a、41a ループ
11a−1、31a−1、41a−1 連結されるループ
11a−2、31a−2、41a−2 連結されないループ
12、32、42 第2地組織
12a、32a、42a ループ
13、33、43 連結糸
14 連結糸間の空隙
20 ブラジャー
21 カップ部
22 脇部
Claims (6)
- 立体構造編地のコース方向断面において、二つの地組織面に対して斜交した連結糸が前記二つの地組織を連結している構造を含む立体構造経編地であって、
前記二つの地組織のうち、一方の第1地組織は前記連結糸と連結されていないループを所要の間隔で備えている一方、
他方の第2地組織は、すべてのループが1本の連結糸と連結編成されていることを特徴とする立体構造経編地。 - コース方向における前記連結糸と第2地組織のループとの編成比率を100%とすると、該連結糸と第1地組織のループとの編成比率は30〜75%とされ、かつ、該第1地組織における前記連結糸の振り巾は1〜6針とされ、該第1地組織ではコース方向に1〜6ループをあけて連結糸で連結編成されている請求項1に記載の立体構造経編地。
- 請求項1または請求項2に記載の立体構造経編地を用いてなることを特徴とする繊維製品。
- 前記立体構造経編地の第1地組織を肌側に位置させている請求項3に記載の繊維製品。
- 前記立体構造経編地をカップ部、またはカップ部と該カップ部に接する脇側の少なくとも一部に用いたカップ部を有する衣類としている請求項3または請求項4に記載の繊維製品。
- 前記カップ部では、前記立体構造経編地を加熱プレスにより膨出部を形成している請求項5に記載の繊維製品。
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