JP2009108309A - 樹脂組成物及びその硬化物を用いた光学部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐光性、耐熱性及び実装信頼性の点で優れた光学部材を形成することが可能な、アクリル系重合体を含む硬化性の樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが共重合した共重合体中のエポキシ基の少なくとも一部に対して不飽和カルボン酸を反応させて得られるアクリル系重合体と、(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体と、(C)ラジカル重合開始剤と、(D)ヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが共重合した共重合体中のエポキシ基の少なくとも一部に対して不飽和カルボン酸を反応させて得られるアクリル系重合体と、(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体と、(C)ラジカル重合開始剤と、(D)ヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物及びその硬化物を用いた光学部材に関する。
光学部材は、透明基板、レンズ、接着剤、光導波路として用いられる部材や、発光ダイオード(LED)パッケージ、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子に用いられる。
従来、光学部材用樹脂にはエポキシ樹脂がよく用いられていた。一般にエポキシ樹脂の硬化物は可視域での透明性は高いが、紫外から近紫外域では十分な透明性が得られない場合が多い。中でも脂環式ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の脂環式エポキシ樹脂の硬化物は比較的透明性が高いが、熱や光によって着色し易い等の問題点がある。脂環式ビスフェノールAジグリシジルエーテルに含まれる着色原因の一つである不純物の低減方法が開示されているが(例えば、特許文献1及び2)、更なる耐熱・耐光着色性の向上が求められている。
また近年、光学部材用途に透明性、耐光性に優れるシリコーンを用いる例が公開されている(例えば、特許文献3)。しかし、シリコーン樹脂は高価である上、一般に取り扱い性が低く、線膨張係数が大きい、他の材料との接着性が小さい等の問題が懸念されている。
一方、光学部材用樹脂には、透明性や耐光性に優れ、比較的安価であるアクリル系重合体、例えばメチルメタクリレートを重合したPMMA等が一般に多用されてきた。
特開2003−171439号公報
特開2004−75894号公報
特開2004−2810号公報
しかしアクリル系重合体は、紫外から近紫外域での透明性や耐光性の点ではエポキシ樹脂と比較して優れるものの、硬化収縮が大きい熱可塑性樹脂であるため耐熱性の点では必ずしも十分ではなかった。特に光・電子機器分野に利用される光学部材の場合、電子基板等への実装プロセスや高温動作下で大きな熱履歴を受けるため、係る用途へアクリル系重合体を適用するためには、高温に曝されたときの着色が十分に抑制されるとともに、十分な実装信頼性を発現することが強く求められる。実装信頼性が十分でないと、冷熱温度サイクルに曝されたときにクラックの発生等の不具合が発生しやすくなる。
さらに、近年、光・電子機器分野において高強度のレーザ光、青色光、近紫外光の利用が広がり、これらの光を受けたときの透過率の低下を抑制するため、耐光性の点でより優れた光学部材が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、耐光性、耐熱性及び実装信頼性の点で優れた光学部材を形成することが可能な、アクリル系重合体を含む硬化性の樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る樹脂組成物は、(A)(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが共重合した共重合体中のエポキシ基の少なくとも一部に対して不飽和カルボン酸を反応させて得られるアクリル系重合体と、(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体と、(C)ラジカル重合開始剤と、(D)ヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する。
上記本発明に係る樹脂組成物は、(A)成分であるアクリル系重合体が有するエポキシ基と不飽和カルボン酸との反応により、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基が導入される。すなわち、アクリル系重合体は、シロキサン構造含有(メタ)アクリレートに由来するシロキサン構造を主鎖中に有し、不飽和カルボン酸に由来する不飽和基を側鎖として有する共重合体である。アクリル系重合体の不飽和基は、樹脂組成物の硬化の際に(B)成分の重合性単量体とともにラジカル重合する。これにより、硬化後に架橋構造が形成されて、耐熱性が良好な硬化物が形成される。また、アクリル系重合体を単量体と組み合わせて用いていることにより、ポリメチル(メタ)アクリレート等の単量体のみを用いた場合と比較して硬化収縮が小さくなる。更に、(c)成分に由来するシロキサン構造がアクリル系重合体に導入されていることにより、光学特性、耐熱性、耐光性が改善され、機械特性においては靭性も改善される。加えて、ヒンダードアミン系光安定剤を適用することで、耐熱、耐光性及び実装信頼性の点で優れた光学部材を形成することが可能なものとなった。
ところで、シロキサン構造を有する単量体とメチルメタクリレート等の単量体との相溶性は一般に低く、アクリル系樹脂の場合、硬化物の透明性を維持しつつ硬化物中にシロキサン構造を導入することは従来困難であった。一方、上記本発明に係る樹脂組成物は、特定構造を有する(A)成分を用いたことにより、高い光学的透明性を維持しつつ耐光性等に優れる硬化物を形成させることが可能となった。
上記共重合体は、共重合体が、当該共重合体中の全単量体単位を基準として、(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート10〜65モル%、(b)重合性単量体20〜80モル%、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレート10〜65モル%の共重合比で共重合した共重合体であることが好ましい。
共重合体中のエポキシ基に対して反応させる不飽和カルボン酸のカルボキシル基の当量比は、共重合体中のエポキシ基の当量に対して0.95〜1.1であることが好ましい。
(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレートは、グリシジル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートは、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
[式中、n1は0〜10の整数を示し、n2は0〜150の整数を示し、R1は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アリール基又はトリアルキルシリルオキシ基を示し、同一分子中の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、R2は水素原子又はメチル基を示す。]
[式中、n1は0〜10の整数を示し、n2は0〜150の整数を示し、R1は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アリール基又はトリアルキルシリルオキシ基を示し、同一分子中の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、R2は水素原子又はメチル基を示す。]
本発明に係る光学部材は、上記いずれかの樹脂組成物を硬化した硬化物からなる。本発明に係る光学部材は、優れた耐光性、耐熱性及び実装信頼性を有する。
本発明に係る樹脂組成物は、光学的透明性が高く、耐光性、耐熱性及び実装信頼性に優れる硬化物を形成することが可能である。本発明に係る樹脂組成物の硬化物は、高温保管後の光透過率の低下が少なく、曲げ試験において破断せず、更には光学部材として用いられたときの冷熱サイクル試験における不良品の発生が十分に抑制される。そのため、本発明に係る樹脂組成物は光半導体用封止樹脂等の電子材料用途に好適に用いることができる。また、本発明に係る樹脂組成物の硬化物を光学部材へ適用することにより、耐熱性、耐光性が良いことから光学素子の寿命や信頼性を向上させることが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本発明における(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
本発明に係る樹脂組成物は、(A)アクリル系重合体と、(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体と、(C)ラジカル重合開始剤と、(D)ヒンダードアミン系光安定剤とを少なくとも含有する。この樹脂組成物は、加熱又は光照射によってラジカル重合反応により硬化して硬化物を形成する。この硬化物は、光学部材として使用が可能な程度の高い光学的透明性を有する。具体的には、例えば、1mm厚の硬化物を透過する400nmの光の透過率が70%以上であることが好ましい。400nmに強い吸収帯を有する成分を樹脂組成物中に多く配合せず、樹脂組成物の各成分として硬化前に互いに相溶するものを選択して用いれば、通常は上記のような透過率を有する硬化物が形成される。
(A)成分であるアクリル系重合体は、(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが共重合した共重合体中のエポキシ基の少なくとも一部に対して不飽和カルボン酸を反応させて得られる重合体である。
(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレートは、エポキシ基及び(メタ)アクリレート基を有する単量体である。(a)成分としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが挙げられ、その中でもグリシジルメタクリレートが好ましい。
(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体は、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合したシロキサン構造を有しない重合性単量体であれば、特に制限なく用いられる。ただし、(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレートとは異なる単量体が(b)成分として用いられる。(b)成分としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシ(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンを有するモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、(b)成分としては、下記一般式(2a)又は(2b)で表される化合物を用いてもよい。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
[式(2a)中、m1は0〜20の整数を示し、R3は水素原子又はメチル基を示す。]
[式(2b)中、m2及びm3はそれぞれ独立に0〜20の整数を示し、R4は水素原子
又はメチル基を示す。]
[式(2a)中、m1は0〜20の整数を示し、R3は水素原子又はメチル基を示す。]
[式(2b)中、m2及びm3はそれぞれ独立に0〜20の整数を示し、R4は水素原子
又はメチル基を示す。]
(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートは、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合したシロキサン構造と、(メタ)アクリレート基とを有する単量体である。シロキサ
ン構造は、例えば、下記一般式(3)で表される2価の基である。式(3)中のR1及び
n2は、その好ましい態様も含めて式(1)中のR1及びn2と同義である。
ン構造は、例えば、下記一般式(3)で表される2価の基である。式(3)中のR1及び
n2は、その好ましい態様も含めて式(1)中のR1及びn2と同義である。
(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートは、上記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。式(1)中、n1は0〜10の整数を示し、n2は0〜150(好ましくは0〜30)の整数を示し、R1は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アリール基又はトリアルキルシリルオキシ基を示す。R1は炭素数1〜9のアルキル基であることが好ましく、最も典型的にはR1はメチル基である。
式(1)のシロキサン構造含有(メタ)アクリレートの具体例としては、n1=3、n2=0、R1=トリメチルシリルオキシ基である3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、n1=3、n2=27、R1=メチル基である片末端メタクリル変性シリコーンオイル(官能基当量2100)、n1=3、n2=61、R1=メチル基である片末端メタクリル変性シリコーンオイル(官能基当量4600)、n1=3、n2=161、R1=メチル基である片末端メタクリル変性シリコーンオイル(官能基当量12000)が挙げられる。これらの中でも、溶剤との相溶性等の観点から、3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、及びn1=3、n2=27、R1=メチル基である片末端メタクリル変性シリコーンオイルが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含む単量体を共重合して得られる共重合体の重量平均分子量は、1000〜50000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。この重量平均分子量が1000未満では樹脂組成物から形成される硬化物の機械特性(曲げ強度、可撓性)及び光学特性が低下する傾向があり、50000を超えると(B)成分に溶解し難くなる傾向がある。
重量平均分子量が1000〜50000の共重合体は、当業者であれば理解されるように、重合の際の連鎖移動剤の有無、ラジカル重合開始剤の種類及び量、重合温度等を調節することによって得られる。例えば、連鎖移動剤を用いたり、ラジカル重合開始剤を多く加えたり、より高温条件下で反応を行ったりしたときに、共重合体の重量平均分子量が低く(例えば、重量平均分子量が1000〜10000)なる傾向がある。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により、標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定したものであり、測定条件は次のとおりである。
〈GPC条件〉
使用機器:日立L−6000型[(株)日立製作所製]
カラム :ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)[いずれも日立化成工業(株)製、商品名〕
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量 :1.75ml/min.
検出器 :L−3300RI[(株)日立製作所製〕
〈GPC条件〉
使用機器:日立L−6000型[(株)日立製作所製]
カラム :ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)[いずれも日立化成工業(株)製、商品名〕
溶離液 :テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量 :1.75ml/min.
検出器 :L−3300RI[(株)日立製作所製〕
(a)成分、(b)成分及び(c)成分は、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合法等の公知の方法にて共重合させて上記共重合体とすることができる。一例を示すと、反応容器中に溶剤を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm2)の加圧条件にて攪拌しながら140℃まで加熱する。そして、140℃で(a)成分、(b)成分、(c)成分及びラジカル重合開始剤からなる混合液を均一滴下し、滴下終了後、更に反応を続け共重合体が得られる。
ラジカル熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。アゾ開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイルが挙げられる。過酸化物開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ヘキシルパーオキシド等が挙げられる。
共重合の際の(a)成分の配合比は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総モル数に対して、10〜65モル%であることが好ましく、20〜55モル%であることがより好ましい。この配合比が10モル%未満であるか又は65モル%を超えると、樹脂組成物から形成される硬化物の曲げ強度や可撓性が低下する傾向がある。
共重合の際の(b)成分の配合比は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総モル数に対して、20〜75モル%であることが好ましく、30〜65モル%であることがより好ましい。この配合比が20モル%未満であるか又は75モル%を超えると、樹脂組成物から形成される硬化物の曲げ強度や可撓性が低下する傾向がある。
共重合の際の(c)成分の配合比は、(a)成分、(b)成分及び(c)成分の総モル数に対して、10〜65モル%であることが好ましく、20〜55モル%であることがより好ましい。この配合比が10モル%未満であるか又は65モル%を超えると、樹脂組成物から形成される硬化物の曲げ強度や可撓性が低下する傾向がある。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の共重合により生成する共重合体中の各単量体単位の比率は、通常、共重合の際の上記配合比と実質的に同一である。
上記共重合体中のエポキシ基と不飽和カルボン酸とを反応させて、(A)アクリル系重合体が得られる。不飽和カルボン酸としては、典型的には(メタ)アクリル酸が用いられ
る。
る。
この反応の際、(共重合体中のエポキシ基)/(不飽和カルボン酸のカルボニル基)が当量比で0.95〜1.1になるような比率で共重合体及び不飽和カルボン酸を反応させることが好ましい。この比率が0.95未満では過剰に残存する不飽和カルボン酸の影響により硬化物の機械特性が低下する傾向があり、1.1を超えると樹脂組成物の硬化性、及び貯蔵安定性が全般的に低下する傾向がある。
上記反応は塩基性触媒(例えば、N,N'−ジエチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン)、またリン系触媒(例えば、トリフェニルフォスフィン)等の存在下、例えば105℃で8〜10時間反応させることにより行うことができる。
生成したアクリル系重合体を精製することにより、硬化物の耐光性及び耐熱着色性を更に向上させることができる。精製法としては、公知の精製方法にて行うことができるが、例えば、再沈法にて精製することができる。再沈法としては、例えば、アクリル系重合体溶液を10倍量の貧溶媒(メタノール:水=50:50)に攪拌しながら滴下し、滴下終了後、上澄液を除去、沈殿物を得た。その沈殿物を溶剤で溶かし、硫酸マグネシウムを加えて脱水した後ろ過する。そして、その溶液を脱溶剤して、精製されたアクリル系重合体を得る。
(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体は、熱又は光によって重合する不飽和結合(不飽和2重結合)を1分子中に少なくとも1個有し、好ましくはケイ素原子と酸素原子とが交互に結合したシロキサン構造を有しない単量体である。不飽和結合は、(メタ)アクリレート基として、(B)成分中に導入されていることが好ましい。この重合性単量体は、耐熱性の観点からエーテル構造を有さないことが好ましい。また、耐光性の観点からは芳香環の数が1個以下であることが好ましい。
(B)成分としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシ(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシ(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンを有するモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオールジ(メタ)クリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオ―ルジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、カプロラクトン変性トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、片末端(メタ)アクリル変性シリコーンオイル、両末端(メタ)アクリル変性シリコーンオイルが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
(C)成分のラジカル重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生するラジカル熱重
合開始剤又は光によりラジカルを発生する光重合開始剤が用いられる。
合開始剤又は光によりラジカルを発生する光重合開始剤が用いられる。
ラジカル熱重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等、通常のラジカル重合に使用できるものはいずれも使用することができる。アゾ開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等が挙げられる。過酸化物開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ヘキシルパーオキシド等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物の架橋反応は比較的進行し難い傾向があるため、より効率的に反応を進行させるには、半減期温度の異なる複数のラジカル熱重合開始剤を併用すると効果的である。例えば、過酸化ラウロイル及びt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートを併用する場合、60℃で5時間の加熱により主として過酸化ラウロイルの作用によって架橋反応を進行させ、その後、120℃で1時間の加熱により主としてt−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネートの作用によって架橋反応を進行させることができる。
光重合開始剤としては、工業的UV照射装置の紫外線を効率良く吸収して活性化し、硬化樹脂を黄変させないものが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4―(1−メチルビニル)フェニル)プロパノンとトリプロピレングリコールジアクリレートとの混合物、及びオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ)−エチルエステルとオキシーフェニルーアセチックアシッド2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステルの混合物等が挙げられる。
(D)ヒンダートアミン系光安定剤は、別名HALSとも称される。(D)ヒンダートアミン系光安定剤としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−52」)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタン−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−57」)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル、及びトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−62」)、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジノールとトリデシルアルコールと1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸との縮合物(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−67」)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)−ジエタノールとの縮合物(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−68LD」)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−77Y」)、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−82」)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−87」)、高分子量ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「CHIMASSORB 119FL」、「CHIMASSORB 2020FDL」)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「CHIMASSORB 944FDL」)、高分子立体障害型アミン誘導体(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「TINUVIN 622LD」)、(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名TINUVIN144)、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名TINUVIN 765)等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、耐熱性、耐光性を著しく向上させるものとして、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種をヒンダートアミン系光安定剤として用いることが好ましい。
樹脂組成物中の(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜70質量部であることが好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。10質量部より小さいと、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎ、扱い難くなる傾向があり、一方、70質量部より大きいと、硬化物の曲げ強度が低下する傾向がある。
樹脂組成物中の(C)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜1質量部とすることがより好ましい。この配合量が5質量部を超えると、硬化物が熱や近紫外線によって着色し易くなる傾向があり、0.01質量部より少ないと、硬化し難くなる傾向がある。半減期温度の異なる複数の熱ラジカル重合開始剤を用いた場合においては、合計の配合量が上記の範囲になることが好ましい。
(D)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜1質量部とすることがより好ましい。この配合量が5質量部を超えると、硬化物が熱や近紫外線によって着色し易くなる傾向があり、0.01質量部より少ないと、着色を抑える効果が小さくなる傾向がある。
樹脂組成物には、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の他に、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。例えば、フェノール系やリン系の酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、重合禁止剤を添加することができる。また、成形性の観点から離型剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加してもよい。
以上説明した本実施形態に係る樹脂組成物は、その硬化物の光学的透明性が高く、耐熱性、耐光性及び機械特性に優れる。この樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、透明基板、接着剤、レンズ又は光導波路として用いられる部材や、発光ダイオード(LED)、フォトトランジスタ、フォトダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子における透明部材として用いられる光学部材に好適に用いられる。
図1は、光学部材を備えた光半導体素子の一実施形態を示す概略端面図である。図1に示す光半導体素子100は、チップ型又は表面実装型と呼ばれる発光ダイオードである。光半導体素子100は、発光ダイオード素子2と、発光ダイオード素子2を封止するように設けられた透明な光学部材1とを備える。発光ダイオード素子2は、ケース部材5により形成されたキャビティー10の底部に配置されている。発光ダイオード素子2は、接続層20を介してリードフレーム7aに電気的に接続されており、ワイヤー8を介してリードフレーム7bと電気的に接続されている。
光学部材1は、発光ダイオード素子2を覆うとともにキャビティー10を充填している。光学部材1は、発光ダイオード素子2を外気から保護すると共に、蛍光体を担持する役割を主に担っている。
光学部材1は、例えば、上述の樹脂組成物の溶液をキャビティー10内に流し込み、キャビティー10内の樹脂組成物を加熱又は光照射によって硬化する方法により形成される。硬化阻害や着色防止のため、予め窒素バブリングによって樹脂組成物中の酸素濃度を低減しておくことが望ましい。
熱硬化の場合は、最終的に硬化が完結するように、(C)成分の種類、組み合わせ、添加量等に応じて温度、時間が適宜調節される。典型的には、60〜150℃で1〜5時間程度の加熱により硬化が行われる。急激な硬化反応により発生する内部応力を低減するために、硬化温度を段階的に昇温することが望ましい。
本実施形態の場合、光学部材1の外表面S1は平坦であるが、本発明はこれに限られない。例えば、光学部材の外表面を凹レンズ状又は凸レンズ状とすることにより、光半導体素子に集光機能を付与してもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明の範囲を限定するものではない。
(アクリル系重合体の合成)
(製造例1)
反応容器中にトルエン101質量部を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm2)の加圧条件にて攪拌しながら140℃まで加熱した。140℃で下記表1記載の組成を有する重合性単量体組成物114質量部を2時間かけて均一に滴下した。
(製造例1)
反応容器中にトルエン101質量部を入れ、窒素ガス雰囲気下、0.15MPa(1.5kgf/cm2)の加圧条件にて攪拌しながら140℃まで加熱した。140℃で下記表1記載の組成を有する重合性単量体組成物114質量部を2時間かけて均一に滴下した。
滴下終了後、更に4時間反応を続け共重合体を合成した。得られた共重合体のモル比は、(a)/(b)/(c)=40/30/30であり、重量平均分子量は2000であった。
次に、この共重合体214質量部に対してアクリル酸13.9質量部、トリフェニルフォスフィン1質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.3質量部を加え、大気圧下、空気を吹き込みながら100℃で10時間加熱攪拌し、アクリル基が側鎖として導入されたアクリル系重合体(酸価1.5)の溶液(固形分50質量%)を得た。
更にこのアクリル系重合体溶液を10倍量の貧溶媒(メタノール:水=50:50)に攪拌しながら滴下し、数時間静置させた後、上澄液を除去し沈殿物を得た。その沈殿物をTHFで溶かし、硫酸マグネシウムで脱水した後ろ過した。その溶液をエバポレータによりトルエン含有量が1質量%以下になるまで脱溶剤し、精製されたアクリル系重合体を得た。
(製造例2〜8)
重合性単量体組成物の組成を、下記表1に記載した組成に変えたこと以外は製造例1と
同様の工程を経てアクリル系重合体を得た。
重合性単量体組成物の組成を、下記表1に記載した組成に変えたこと以外は製造例1と
同様の工程を経てアクリル系重合体を得た。
表1中の組成の数値単位は全て質量部である。
GMA:グリシジルメタクリレート、ライトエステルG、共栄社化学株式会社製
MMA:メチルメタクリレート、和光純薬工業株式会社製
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ライトエステルHO、共栄社化学株式会社製
TM−0701T:3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、チッソ株式会社製
パーヘキシルD:ジ−t−ヘキシルパーオキシド、日本油脂株式会社製
(実施例1)
製造例1により得られたアクリル系重合体50質量部、ラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトアクリレートLA」)50質量部、過酸化ラウロイル(日本油脂株式会社製、商品名「パーロイルL」)0.5質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルI」)0.5質量部、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−52」)0.15質量部を常温にて混合し、樹脂組成物を調整した。
製造例1により得られたアクリル系重合体50質量部、ラウリルアクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトアクリレートLA」)50質量部、過酸化ラウロイル(日本油脂株式会社製、商品名「パーロイルL」)0.5質量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、商品名「パーブチルI」)0.5質量部、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名「アデカスタブLA−52」)0.15質量部を常温にて混合し、樹脂組成物を調整した。
この樹脂組成物を、3mm及び1mm厚のシリコーン製のスペーサーをガラス板で挟んだ型の中に流し入れ、オーブン中で60℃3時間、120℃1時間の条件で加熱し、3mm及び1mm厚の硬化物を得た。
(実施例2〜11、及び比較例1〜2)
製造例2〜8により得られた(A)アクリル系重合体を使用して、実施例1と同様に、下記表2及び表3に示す組成を有する樹脂組成物を調製し、それを用いて3mm及び1mm厚の板状の硬化物を得た。
製造例2〜8により得られた(A)アクリル系重合体を使用して、実施例1と同様に、下記表2及び表3に示す組成を有する樹脂組成物を調製し、それを用いて3mm及び1mm厚の板状の硬化物を得た。
表2及び表3中の組成の数値単位は全て質量部である。
LA:ラウリルアクリレート、NKエステルLA、新中村化学工業株式会社製
MMA:メチルメタクリレート、ライトエステルM、共栄社化学株式会社製
1.6HX−A:1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ライトアクリレート1.6HX−A、共栄社化学株式会社製
LPO:過酸化ラウロイル、パーロイルL、日本油脂株式会社製
PBI:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、パーブチルI、日本油脂株式会社製
LA−52:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、アデカスタブ LA−52、ADEKA株式会社製
LA:ラウリルアクリレート、NKエステルLA、新中村化学工業株式会社製
MMA:メチルメタクリレート、ライトエステルM、共栄社化学株式会社製
1.6HX−A:1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ライトアクリレート1.6HX−A、共栄社化学株式会社製
LPO:過酸化ラウロイル、パーロイルL、日本油脂株式会社製
PBI:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、パーブチルI、日本油脂株式会社製
LA−52:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、アデカスタブ LA−52、ADEKA株式会社製
(硬化物の評価)
上記実施例、比較例で得られた硬化物の機械特性及び光学特性を以下に示す方法により測定した。
上記実施例、比較例で得られた硬化物の機械特性及び光学特性を以下に示す方法により測定した。
(曲げ試験)
3mm厚の板状の硬化物から20×50mmのサイズの試験片を切り出し、三点曲げ試験装置を用いてJIS−K−6911に準拠した3点支持による曲げ試験を行い、下記式(1)から曲げ強度を算出した。支点間距離は24mm、クロスヘッド移動速度は0.5mm/分、測定温度は室温(25℃)及び半導体パッケージ実装時のリフロー温度に近い250℃で行った。
3mm厚の板状の硬化物から20×50mmのサイズの試験片を切り出し、三点曲げ試験装置を用いてJIS−K−6911に準拠した3点支持による曲げ試験を行い、下記式(1)から曲げ強度を算出した。支点間距離は24mm、クロスヘッド移動速度は0.5mm/分、測定温度は室温(25℃)及び半導体パッケージ実装時のリフロー温度に近い250℃で行った。
上記式において、σfB:曲げ強さ(MPa)、P’:破断荷重又は最大荷重(N)であり、L:支点間距離、W:試験片の幅、h:試験片の厚さである。
(透過率、黄変度)
1mm厚の試験片の透過スペクトルを、分光光度計(製品名「U−3410」,日立製作所製)を用いて測定し、400nmにおける透過率を求めた。また、得られた透過スペクトルから標準光Cの場合の三刺激値X、Y、Zを求め、下記式(2)により黄変度(YI)を算出した。透過率及び黄変度は、硬化後(初期)に加えて、耐熱変色性の評価として150℃で144時間加熱した後(高温放置後)の試験片についても測定した。
1mm厚の試験片の透過スペクトルを、分光光度計(製品名「U−3410」,日立製作所製)を用いて測定し、400nmにおける透過率を求めた。また、得られた透過スペクトルから標準光Cの場合の三刺激値X、Y、Zを求め、下記式(2)により黄変度(YI)を算出した。透過率及び黄変度は、硬化後(初期)に加えて、耐熱変色性の評価として150℃で144時間加熱した後(高温放置後)の試験片についても測定した。
(パッケージの実装信頼性)
各実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて形成された硬化物を光学部材として備えるパッケージを作製した。このパッケージに対して−40℃/30分及び85℃/30分を1サイクルとする冷熱温度サイクルを100サイクル負荷した。初期(0サイクル)及び100サイクルでのパッケージ内の光学部材のひび割れ(クラック)及びはく離等の欠陥の有無を確認した。複数のパッケージについて評価を行い、欠陥が発生した不良品の数を確認した。そして、不良品率(=(不良の数/試験に供したパッケージの数)×100)(%)を算出し、その数値を実装信頼性の指標とした。
各実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて形成された硬化物を光学部材として備えるパッケージを作製した。このパッケージに対して−40℃/30分及び85℃/30分を1サイクルとする冷熱温度サイクルを100サイクル負荷した。初期(0サイクル)及び100サイクルでのパッケージ内の光学部材のひび割れ(クラック)及びはく離等の欠陥の有無を確認した。複数のパッケージについて評価を行い、欠陥が発生した不良品の数を確認した。そして、不良品率(=(不良の数/試験に供したパッケージの数)×100)(%)を算出し、その数値を実装信頼性の指標とした。
各測定の評価結果を表4及び表5にまとめて示す。表4及び表5に示される曲げ強度において、不等号を用いて表されている数値は、試験片が破断しなかったため最大荷重の値に基づいて算出された強度の値を示す。
表4及び表5に示されるように、実施例1〜11の硬化物は、いずれも曲げ試験において室温で破断せず、機械特性(可撓性)に優れ、実装信頼性にも優れることが明らかである。さらに、実施例1〜11は初期の透過率が高く、黄変度が小さいとともに、高温放置後における透過率の低下が少なく、黄変度の変化量も小さいことが明らかである。
一方、比較例1のように(D)ヒンダードアミン系光安定剤を含まないアクリル系重合体を用いた場合、高温放置後での透過率の低下が大きく、黄変度の変化量も大きいことが分かる。
1…光学部材、2…発光ダイオード素子、5…ケース部材、7a,7b…リードフレーム、8…ワイヤー、10…キャビティー、100…光半導体素子。
Claims (6)
- (A)(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート、(b)重合性不飽和結合を1個有する非シリコーン系の重合性単量体、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが共重合した共重合体中のエポキシ基の少なくとも一部に対して不飽和カルボン酸を反応させて得られるアクリル系重合体と、
(B)重合性不飽和結合を有する重合性単量体と、
(C)ラジカル重合開始剤と、
(D)ヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する樹脂組成物。 - 前記共重合体が、当該共重合体中の全単量体単位を基準として、(a)エポキシ基含有(メタ)アクリレート10〜65モル%、(b)重合性単量体20〜80モル%、及び(c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレート10〜65モル%の共重合比で共重合した共重合体である、請求項1記載の樹脂組成物。
- 前記共重合体中のエポキシ基に対して反応させる不飽和カルボン酸のカルボキシル基の
当量比が、前記共重合体中のエポキシ基の当量に対して0.95〜1.1である、請求項1又は2記載の樹脂組成物。 - (a)エポキシ基含有(メタ)アクリレートがグリシジル(メタ)アクリレートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- (c)シロキサン構造含有(メタ)アクリレートが、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[式中、n1は0〜10の整数を示し、n2は0〜150の整数を示し、R1は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、アリール基又はトリアルキルシリルオキシ基を示し、同一分子中の複数のR1は同一でも異なっていてもよく、R2は水素原子又はメチル基を示す。] - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物を硬化した硬化物からなる光学部材。
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JP2007327031A (ja) * | 2006-05-10 | 2007-12-20 | Hitachi Chem Co Ltd | 樹脂組成物及びその硬化物を用いた光学部材 |
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