JP2009108239A - 液晶性組成物、光学素子および光情報記録再生装置 - Google Patents

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誠 長谷川
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裕 熊井
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Abstract

【課題】高Δnを示すとともに、青色レーザの波長帯域における耐光性も確保できる液晶性組成物を提供する。
【解決手段】式(1A)で表される1種類以上の化合物を5〜30質量%と、式(2)で表される1種類以上の化合物を70〜95質量%とを含む。R,R,Rは、炭素鎖数が1〜12のアルキル基であって、水素原子の一部はフッ素原子で置換されていてもよい。
Figure 2009108239


【選択図】図2

Description

本発明は、液晶性組成物、光学素子および光情報記録再生装置に関する。
CD(compact disk)およびDVD(digital versatile disk)などの光ディスクの表面には、ピットと呼ばれる凹凸が設けられている。光ヘッドは、光ディスクにレーザ光を照射し、その反射光を検出することによって、ピットに記録された情報を読み取ることのできる装置である。
DVDは、CDに比べると、ディジタル情報が高密度に記録されている。このため、CDを再生する光ヘッド装置では、光源の波長が780nmであるのに対して、DVDの場合には、より短波長の650nmまたは635nmとなっている。また、対物レンズの開口数(NA)も、CDの場合には0.45であるのに対して、DVDの場合には0.6となっており、光ディスク面上に集光するスポット径がCDより小さくなるようにしている。
近年、光ディスクの大容量化を図るため、情報の書き込みや読み取りに使用されるレーザ光をさらに短波長化して、光ディスク上でのピットサイズをより小さくすることが進められている。具体的には、波長300〜450nmのレーザ光(以下、青色レーザ光とも記す。)を出射する半導体レーザを光源として用いることが提案されている。また、0.6より大きい開口数を備えた対物レンズを用いることで、より大きな記録密度を得ることも提案されている。さらに、従来の無機材料による光学素子の他に、電圧によって位相差や波面を制御あるいは補正する種々の液晶光学素子も提案されている(例えば、特許文献1〜5参照。)。
特許文献1〜5に記載の光学素子においては、素子に求められる光学特性を備えた液晶材料、具体的には、所望の位相差を発生し得るΔnを有し、青色レーザ光に対する耐性の高い液晶材料の適用が必要となる。しかし、従来の液晶材料は、青色レーザ光に対する耐性が低く、信頼性上大きな問題があった。特に、特許文献2で開示されているような液晶レンズでは、入射光の焦点を変化させるパワー成分に相当する大きな位相差の発生が必要であり、液晶材料にも高いΔnを示すものが求められる。しかし、これは同時に青色レーザ光に対する耐性を低下させるため、信頼性の確保が困難になるという問題があった。
一般に、Δnの大きな液晶材料としては、それを構成する分子の化学構造に、強い電子吸引性基(例えば、シアノ基、ニトロ基またはチオイソシアネート基など)と、電子供与性基(例えば、アミノ基など)とを導入したものが用いられている。また、トラン液晶に見られるように、分子骨格への−C≡C−の導入により共役性の増大を図ったものも用いられている。これらの手法は、同時に、化合物や、それら化合物で構成される組成物の吸収を長波長側にシフトさせて、青色レーザ光の波長帯における吸収と、それに伴う分解とを引き起こす。そのため、青色レーザに対する液晶材料の耐光性を確保しようとする場合には、青色レーザ光の波長帯における液晶材料の吸収係数に配慮することが必要となり、一般的には、Δnが0.1以下であるものが用いられる。例えば、特許文献6では、青色光を始めとする可視域全体で比較的強い光が照射されるとともに、高温下にも曝される液晶プロジェクタ用の液晶材料として、Δnが0.08のものを用いている。
特開2006−79669号公報 特開2006−85801号公報 特開2003−90990号公報 特開2003−36555号公報 特開2003−123304号公報 特開平7−18258号公報 特開2002−193853号公報
しかしながら、表示素子と異なり、液晶レンズなどの光学素子においては、上記レベルのΔnで充分なパワーや位相差を発生させるのは困難である。一方、位相差を確保するために、液晶層の厚みを厚くするという手法も考えられるが、これでは、電圧に対する応答時間が低下してしまい、駆動特性に問題が生じる。そのため、充分な位相差が得られる高いΔnと、青色レーザ光に対する耐性とを併せ持った液晶材料の開発が急務となっている。
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、高Δnを示すとともに、青色レーザの波長帯域における耐光性も確保できる液晶性組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、青色レーザに対する耐光性の良好な光学素子と、これを用いた光情報記録再生装置を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、式(1)で表される1種類以上の化合物を5〜30質量%と、式(2)で表される1種類以上の化合物を70〜95質量%とを含み、
Figure 2009108239
Figure 2009108239

,Rは、それぞれ独立に炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、
は、フッ素原子であるか、炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、
〜X12は、いずれか1個または2個がフッ素原子であり、残りは水素原子であって、
1つの環に2個のフッ素原子が結合している場合には、これらのフッ素原子が結合している炭素原子は隣接しており、
誘電率異方性が正であることを特徴とする液晶性組成物に関する。
本発明の第1の態様においては、式(1)で表される化合物が、式(1A)の化合物を5〜30質量%含むことが好ましい。
Figure 2009108239
本発明の第1の態様において、波長400〜420nmにおける複屈折率は0.18以上であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、波長400〜420nmにおける吸収係数は5×10−5/μm以下であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様における液晶性組成物を一対の基板間に封入したことを特徴とする光学素子に関する。
本発明の第3の態様は、光記録媒体に情報を記録する、および/または、光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、
本発明の第2の態様の光学素子を有することを特徴とする光情報記録再生装置に関する。
本発明の第1の態様によれば、高Δnを示すとともに、青色レーザの波長帯域における耐光性も確保できる液晶性組成物とすることができる。
本発明の第2の態様によれば、青色レーザに対する耐光性の良好な光学素子とすることができる。
本発明の第3の態様によれば、大容量化に適した光情報記録再生装置とすることができる。
本発明の液晶性組成物は、式(1)で表される化合物を5〜30質量%と、式(2)で表される化合物を70〜95質量%とを含む。
Figure 2009108239
Figure 2009108239
式(1)および式(2)において、R,Rは、それぞれ独立に炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部はフッ素原子で置換されていてもよい。特に、R,Rは、炭素鎖数が1〜12のアルキル基であることが、耐光性からみて好ましい。Rは、フッ素原子であるか、炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。特に、Rは、炭素鎖数が1〜12のアルキル基であることが、耐光性からみて好ましい。
〜X12は、いずれか1個または2個がフッ素原子であり、残りは水素原子であって、1つの環に2個のフッ素原子が結合している場合には、これら2個のフッ素原子が結合している炭素原子は隣接しているものとする。ここで、「2個のフッ素原子が結合している炭素原子が隣接している」というのは、式(1)の化合物の右端のフェニレン環を例にとれば、XとX、または、X11とX12とがそれぞれフッ素原子で置換されていることを意味する。尚、式(1)、式(2)の化合物におけるシクロヘキサン環、ベンゼン環は、それぞれ、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基を意味する。
本発明において、式(1)の好ましい形態であるフッ素原子が2個結合している化合物としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 2009108239
また、式(1)で表される化合物の中で、フッ素原子が1個結合している化合物としては、以下のようなものが挙げられる。
Figure 2009108239
本発明では、高Δnおよび青色レーザ耐光性の点から、式(1)で表される1種類以上の化合物の中に、少なくとも式(1A)の化合物が含まれていることが好ましい。本発明の液晶性組成物では、式(1)で表される1種類以上の化合物が5〜30質量%含まれる。したがって、本発明の好ましい態様としては、式(1)の化合物として式(1A)の化合物のみを5〜30質量%含む液晶性組成物が挙げられる。また、式(1A)の化合物と、他の式(1)の化合物とを合わせて5〜30質量%含む液晶性組成物も挙げられる。
本発明の液晶性組成物は、波長400〜420nmにおける複屈折率(Δn)が0.18以上であることが好ましい。これにより、液晶レンズなどの光学素子に適用した場合において、入射光の焦点を変化させるパワー成分に相当する大きな位相差を発生させることができる。
また、本発明の液晶性組成物は、波長400〜420nmにおける吸収係数が5×10−5/μm以下であることが好ましい。これにより、青色レーザの波長帯域において優れた耐光性を有するものとすることができる。例えば、400〜420nmの発振波長を有し、最大光出力が30mW以上である、記録用の光源を備えた光ヘッド装置において、その光路中に、本発明の液晶性組成物を用いた光学素子を配置した場合、この光学素子は光源の光によるダメージを受け難い。
式(1)で表される化合物では、p−ターフェニル骨格の一方の側方位に1〜2個のフッ素原子が導入されている。また、式(2)で表される化合物では、分子骨格の末端に2個のフッ素原子が導入されている。このような構造とすることによって、フッ素原子の立体障害により、凝集系においても分子間相互作用が小さくなる。その結果、吸収の長波長側への広がりを抑制できるという効果が得られる。
本発明においては、分子骨格の側方へのフッ素原子の導入が特に効果的である。例えば、上記の式(1A)で表される化合物では、ベンゼン環の2’位と3’位にフッ素原子が導入されているが、これにより、フッ素原子自身の嵩高さの効果のみならず、ターフェニル骨格の平面性を崩す効果も増幅される。したがって、ターフェニル骨格における共役性が低下して、分子の吸収が短波長化するという効果が発現する。
上記の理論からは、側方位へのフッ素原子の導入個数が多いほど好ましいように思われる。そこで、フッ素原子の導入個数とこれによる影響について、具体例を挙げて考察する。
特許文献7には、分子の側方位にフッ素原子が導入された化合物群が例示されている。これらの化合物の中には、フッ素原子が3個以上導入されているものがある。しかしながら、こうした化合物では、フッ素原子の電子吸引性によって負の誘電率異方性の傾向が強くなる。それ故、本発明におけるような電界が無印加の状態でホモジニアス配向した液晶光学素子においては、駆動特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、特許文献7に例示される化合物群では、導入されているフッ素原子数は2個であっても、4環中の3環がトランス−1、4−シクロへキシレンで構成された構造となっている。このため、組成物にしたときのΔnが低くなって、所望のリタデーションが得られないおそれもある。
以上より、本発明においては、側方位へのフッ素原子の導入個数を1〜2個とするのが好ましく、2個とするのがより好ましい。また、フッ素原子を導入する部位は、1つの環に2個のフッ素原子を導入する場合には、式(1A)の化合物のように、ベンゼン環に対して同一の側とするのが望ましい。
吸収の短波長化という効果を考えれば、例えば、式(1)におけるXとX10の位置、または、XとXの位置にフッ素原子が結合している組合せが、分子骨格の捩れを増大させる点から有効であると考えられる。しかし、これは、同時に、液晶性の低下や複屈折性の低下を引き起こすおそれがある。したがって、フッ素原子は、分子骨格の同一側方部位に2個導入することが最も望ましい。尚、これらのフッ素原子は、同一の環に2個導入する必要はなく、隣り合った環に一つずつ導入してもよい。
式(1)の化合物の代表例である式(1A)の化合物は、例えば、以下の反応式にしたがって製造される。
Figure 2009108239
まず、臭素化合物(31)をブチルリチウム化物、トリエトキシホウ素とで反応させて、2環の化合物(32)を合成する。次いで、化合物(32)と化合物(33)とをテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムの存在下で反応させて、3環の化合物(34)を合成する。次いで、化合物(34)と化合物(35)とをテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムの存在下で反応させて、目的とする4環の化合物(36)を合成する。
本発明の液晶性組成物は、高Δnと青色レーザ耐久性を損しない範囲内、具体的には、50質量%以下、好ましくは20質量%以下の割合で、式(1)の化合物および式(2)の化合物以外の液晶性化合物または液晶性化合物に類似した構造の非液晶性の化合物を含んでいてもよい。これらの液晶性化合物または非液晶性の化合物は、液晶性組成物の相溶性、液晶温度範囲、応答性、Δn、Δε等を調整する目的で、必要に応じて添加される。具体的には、2〜4個の環が直結または連結基を介して直線状または略直線状に連結した構造を持ち、両末端がアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子等である化合物であり、本発明の液晶性組成物としたときに、本発明の効果の効果を消失させないもの、すなわち、使用温度域で液晶性を示し、高Δnと青色レーザ耐久性に問題を生じさせないものが使用できる。
本発明の液晶性組成物は、上述したような液晶性または非液晶性の化合物以外の成分(以下、他の成分と称す。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤または光安定材などが挙げられる。
液晶性組成物に含まれる液晶の総量と他の成分の割合は、用途によって調整することが好ましい。例えば、他の成分として、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤および光安定剤などを使用する場合は、これらの成分の量は、液晶性組成物に対して5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
本発明の液晶性組成物は、一対の基板間に封入して光学素子として用いられる。この光学素子は、液晶を単なる複屈折材料として用いたものであってもよいし、基板上に形成した電極への電圧の印加状態を変化させることにより、液晶の光学特性を切り替えて使用するものであってもよい。具体的な用途としては、回折格子、レンズ(焦点距離可変)、開口制御または収差補正等が挙げられる。
まず、透明基板を準備する。透明基板としては、例えば、可視光に対する透過率が高い材料からなる基板を用いることができる。具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラスおよび石英ガラスなどの無機ガラスの他に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、および、ポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーなどの透明樹脂からなる基板が挙げられる。剛性が高い点で、無機ガラスからなる基板を用いることが好ましい。透明基板の厚みは、特に限定は無いが、通常は0.2mm〜1.5mmとすることができ、好ましくは0.3mm〜1.1mmである。この透明基板には、必要に応じて、アルカリ溶出防止、接着性向上、反射防止またはハードコートなどを目的とした、無機物または有機物などからなる表面処理層が設けられていてもよい。また、基板表面に電極を形成したり、凹凸(回折格子の凹凸やフレネルレンズ構造の凹凸等)を形成したり、反射膜を形成したりしてもよい。
次に、透明基板の表面に配向処理を施す。例えば、透明基板の上に配向膜を形成し、配向膜に対して配向処理を行う。配向膜は、液晶を配向させる機能を有するものであればよく、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルシンナメートおよびポリスチレンなどの有機材料、または、SiOおよびAlなどの無機材料を用いることができる。配向処理は、具体的には、ラビング法などを用いて行うことができる。例えば、ナイロンやレーヨンなどのラビング布で、配向膜の表面を一方向に擦ることによって、その方向に液晶分子が配向するようにする。また、ラビング法以外にも、SiOの斜め蒸着、イオンビーム法または光配向膜などによって、液晶分子の配向を揃えることもできる。
上記の透明基板(以下、第1の基板と称す。)とは別に、表面に配向膜が形成された第2の基板を新たに準備する。この配向膜については、第1の基板と同様にして形成すればよい。次に、この第2の基板に第1の基板を配向膜面が対向するように重ね合わせ、周辺をシール材で接着する。シール材には、基板間隙を制御するために、通常、スペーサを混入しておく。また、シール材を設けない面内部分にも、基板間隙制御用のスペーサを散布しておくことが好ましい。このシール材の一部には、外部から液晶性組成物を充填可能な開口部を設けておく。次いで、この開口部を通じて、基板間に液晶性組成物を注入した後、開口部を接着剤で封止する。注入には、真空注入法を用いてもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法を用いてもよい。また、シール材には開口部を設けずに、いずれか一方の基板に貫通孔を開けておき、貫通孔から液晶性組成物を注入した後、貫通孔を接着剤で封止することもできる。また、第1の基板の周辺にシール材を付与した後に、その内側に液晶性組成物を滴下し、上方から第2の基板を重ね合わせて、液晶の注入とシールとを同時に行ってもよい。
本発明の光学素子は、本発明の液晶性組成物を基板間に挟持している。この場合、液晶性組成物に接する基板の面には、必要に応じて、凹状や凸状などの曲面を形成することができる。例えば、基板の表面に、フレネルレンズ構成または回折格子用の格子を設けることができる。また、光学特性制御の目的で電極を設けたり、反射型素子として使用する目的で反射膜を設けたりすることもできる。さらに、目的に応じて、色調調整用の着色層または迷光抑制用の低反射層などを設けることも可能である。
本発明の光学素子は、2個の光学素子が組み合わされていてもよい。また、光学素子に他の光学素子、例えば、レンズ、波面補正面、位相差板、絞りまたは回折格子等を組み合わせて用いてもよい。光学素子を2個組み合わせる場合には、それぞれ2枚の基板を用いた光学素子を形成してから重ねてもよいし、3枚の基板の中に2層の液晶層を形成するようにしてもよい。
本発明の光学素子は、光記録媒体に情報を記録する、および/または、光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置に用いるのに適している。具体的には、光情報記録再生装置のレーザ光の光路中に好ましく配置される。特に、BD(Blue-ray Disk)やHDDVD(High-Definition Digital
Versatile Disk)のような青色レーザ光を用いた光情報記録再生装置用の光ヘッドに好適である。
図1に、本発明による光情報記録再生装置の一例を示す。図1において、光源1から出射された光は、回折格子2を透過し、対物レンズ3によって光ディスク4に集光される。次いで、光ディスク4で反射した光は、再び対物レンズ3を透過した後に、回折格子2によって回折されて、光検出器5に到達する。光源1には、通常の光情報記録再生装置に使用される通常のレーザ光源が使用される。具体的には、半導体レーザが好適であるが、他のレーザであってもよい。本発明の回折格子は、青色レーザに対する耐光性が良好であるので、青色レーザを光源として使用することにより、光情報記録再生装置の大容量化を図ることができる。図1において、回折格子2は、ホログラムビームスプリッタとして機能する。そして、回折格子2と光ディスク4との間に、1/4波長板6を挿入することにより、光源1から出射された直線偏光の偏光方向を、往路と復路とで90度回転させることができる。これにより、往路の偏光方向の光に対しては回折格子2の透過率を高めることができ、復路の偏光方向の光に対しては回折格子2の回折効率を高めることができるので、光情報記録再生装置全体の光の利用効率をさらに向上させることができる。
本発明の光学素子は、図1において、偏光回折格子として回折格子2に用いられてもよいし、図示されていない焦点可変レンズに使用されてもよい。また、複数の波長を有する光源を用いる場合には、複数の回折格子を光路上に配置することがあり、こうした回折格子に本発明の光学素子を用いることもできる。さらには、焦点可変レンズ、収差補正レンズまたは開口制御素子に使用することもできる。
尚、上記の焦点可変レンズには、2種類の態様がある。その1つは、光ディスクが記録層を複数層持つ構造の場合であり、同じ光ディスクであっても、記録層に合わせて焦点を切り替えて使用される。2つ目は、複数種類の光ディスクを用いる場合であり、光ディスクの種類により記録層の位置が異なるため、それぞれの光ディスクの記録層に合わせて焦点を切り替えて使用される。
上記の収差補正レンズは、波長に応じて対物レンズでの収差を補正するために用いられる。また、上記の開口制御素子は、波長により開口数を変えるために用いられる。尚、回折格子は、図1の例のようなホログラムビームスプリッタのみでなく、3ビーム発生用の回折格子としたり、回折格子を波長により回折特性を切り替えて使用するような波長依存性の回折格子としたりすることもできる。
以上述べたように、本発明によれば、式(1)および(2)で示される化合物を適宜調合することによって、青色レーザの波長帯域において優れた耐光性を発現し、且つ、高いΔnを示す液晶性組成物を得ることができる。また、この液晶性組成物を用いることにより、青色レーザに対する耐光性の良好な光学素子を得ることができる。さらに、この素子を適用することにより、大容量化に適した光情報記録再生装置とすることができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を述べる。
実施例1
<液晶性組成物>
下記式に示す、化合物(2−2)を20質量%、化合物(2−3)を21質量%、化合物(2−5)を46質量%、化合物(1A−3−3)を13質量%の割合で調合して、液晶性組成物(C1)を得た。液晶性組成物(C1)の室温における相は、ネマチック相であり、液晶相−等方相相転移温度は122℃であった。また、くさび法によって求められた波長405nmにおける液晶性組成物(C1)のΔnは、0.196であった。さらに、波長405nmにおける液晶性組成物(C1)の吸収係数は3.3×10−5/μmであり、青色レーザの波長帯において良好な耐光性を有することが分かった。
Figure 2009108239
<液晶光学素子>
ガラス基板(厚さ0.5mm)上に、ITO(Indium Tin Oxide)による透明導電膜を形成し、その上に、配向膜材料としてのポリアミック酸を塗布し、焼成して硬化させた。次いで、ラビング法による配向処理を行って、配向膜を形成した。他のガラス基板にも同様の処理を施し、2枚の透明電極付きのガラス基板を得た。
次に、一方のガラス基板の周辺部にシール材を付与し、3.5μm径のスペーサを配向膜の表面に散布した。そして、2枚のガラス基板の配向処理方向が平行になるように、他方のガラス基板を重ねて空セルを形成した。この空セルのシール材に設けておいた切り欠きである注入口から、液晶性組成物(C1)を注入した後、注入口を封止して、液晶光学素子(E1)を得た。
<耐光性試験>
上記の液晶光学素子(E1)について、耐光性試験を行った。光源として、コヒーレント社製のKrレーザ(波長:405nmおよび413nm、強度:40mW)の直線偏光を用い、光の偏光方向が液晶光学素子のラビング方向と平行になるようにした。試験は、70℃の温度下で、液晶光学素子にレーザ光を入射させながら、液晶光学素子の両透明電極間に交流電圧(周波数:1kHz、電圧:9V)を印加して行なった。
液晶性組成物(C1)の耐光性は、レーザ光の照射開始から500時間を経過した後の液晶光学素子中における高分子液晶層の比抵抗を測定することにより評価した。比抵抗の測定には、ソーラトロン社製のインピーダンスアナライザー(商品名:SI1260)を用いた。その結果を図2に示す。
図2に示すように、液晶性組成物(C1)の比抵抗値は、初期には、5.3×1010Ω・cmであったのに対して、レーザ光の照射開始から500時間を経過した後には、6.1×1010Ω・cmであり、大きな変化は見られなかった。また、レーザ光照射後の液晶光学素子には、パネルの焼き付きや、配向欠陥の発生などの不良も見られなかった。さらに、この液晶光学素子(E1)について、電圧−透過率特性の閾値電圧の変化を調べたところ、問題のないレベルであった。
実施例2
<液晶性組成物>
化合物(2−2)を20質量%、化合物(2−3)を21質量%、化合物(2−5)を46質量%、下記式に示す化合物(1N−3−3)を13質量%の割合で調合して、液晶性組成物(C2)を得た。液晶性組成物(C2)の室温における相は、ネマチック相であり、液晶相−等方相相転移温度は123℃であった。また、くさび法によって求められた波長405nmにおける液晶性組成物(C2)のΔnは、0.197であった。さらに、波長405nmにおける液晶性組成物(C2)の吸収係数は、9.4×10−5/μmであった。
Figure 2009108239
<液晶光学素子>
注入する液晶性組成物を液晶性組成物(C2)に代えた他は実施例1と同様にして、液晶光学素子(E2)を得た。
<耐光性試験>
上記の液晶光学素子(E2)について、実施例1と同様にして耐光性試験を行った。その結果を図2に示す。
図2に示すように、液晶性組成物(C2)の比抵抗値は、初期には、6.0×1010Ω・cmであったのに対して、レーザ光の照射開始から500時間を経過した後には、4.1×1010Ω・cmであった。しかしながら、レーザ光照射後の液晶光学素子には、パネルに配向欠陥が生じていた。また、この液晶光学素子(E2)について、電圧−透過率特性の閾値電圧の変化を調べたところ、レーザ光照射後に閾値電圧の低下が見られた。
比較例
<液晶性組成物>
下記式に示す、化合物(2−2)を15質量%、化合物(2−3)を15質量%、化合物(2−5)を34質量%、化合物(4)を36質量%の割合で調合して、液晶性組成物(C3)を得た。液晶性組成物(C3)の室温における相は、ネマチック相であり、液晶相−等方相相転移温度は83℃であった。また、くさび法によって求められた波長405nmにおける液晶性組成物(C3)のΔnは、0.188であった。さらに、波長405nmにおける液晶性組成物(C3)の吸収係数は、1.8×10−4/μmであった。
Figure 2009108239
<液晶光学素子>
注入する液晶性組成物を液晶性組成物(C3)に代えた他は実施例1と同様にして、液晶光学素子(E3)を得た。
<耐光性試験>
上記の液晶光学素子(E3)について、実施例1と同様にして耐光性試験を行った。その結果を図2に示す。
図2に示すように、液晶性組成物(C3)の比抵抗値は、初期には、9.8×1011Ω・cmであったのに対して、レーザ光の照射開始から500時間を経過した後には、7.2×10Ω・cmとなって大きく低下した。また、レーザ光照射後の液晶光学素子(E3)には、パネルに焼き付きが発生しており、電圧−透過率特性の測定は不可能であった。
本発明の光情報記録再生装置の構成図の一例である。 実施例および比較例について、レーザ光照射前後での比抵抗の変化を比較した図である。
符号の説明
1 光源
2 回折格子
3 対物レンズ
4 光ディスク
5 光検出器
6 1/4波長板

Claims (6)

  1. 式(1)で表される1種類以上の化合物を5〜30質量%と、式(2)で表される1種類以上の化合物を70〜95質量%とを含み、

    Figure 2009108239

    Figure 2009108239
    ,Rは、それぞれ独立に炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、
    は、フッ素原子であるか、炭素鎖数が1〜12のアルキル基またはアルコキシ基であって、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよく、
    〜X12は、いずれか1個または2個がフッ素原子であり、残りは水素原子であって、
    1つの環に2個のフッ素原子が結合している場合には、これらのフッ素原子が結合している炭素原子は隣接しており、
    誘電率異方性が正であることを特徴とする液晶性組成物。
  2. 式(1)で表される化合物が、式(1A)の化合物を5〜30質量%含む請求項1に記載の液晶性組成物。
    Figure 2009108239
  3. 波長400〜420nmにおける複屈折率が0.18以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶性組成物。
  4. 波長400〜420nmにおける吸収係数が5×10−5/μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶性組成物を一対の基板間に封入したことを特徴とする光学素子。
  6. 光記録媒体に情報を記録する、および/または、光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、
    請求項5に記載の光学素子を有することを特徴とする光情報記録再生装置。
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