JP2005100609A - 光ヘッド装置 - Google Patents

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裕 熊井
Hiroki Hodaka
弘樹 保高
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Abstract

【課題】 出射光の波長が500nm以下の光源を用いた光ヘッド装置における液晶素子の特性劣化を防ぐ。
【解決手段】 出射光の波長が500nm以下の光源1を用いた光ヘッド装置の液晶素子100として、初期状態では液晶が基板21、21aに対して実質的に垂直に配向しており、基板間に電圧を印加すると、基板方向に傾斜するように構成された素子を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、波長500nm以下のレーザ光を、光ディスク等の光記録媒体に照射して、情報の記録および再生を行うのに適した光ヘッド装置に関する。
光ディスクであるDVDは、同じく光ディスクであるCDに比べデジタル情報が高密度で記録されており、DVDを再生するための光ヘッド装置は、光源の波長をCDの780nmよりも短い650nmまたは635nmとし、または対物レンズの開口数(NA)をCDの0.45よりも大きい0.6として光ディスク面上に集光するスポット径を小さくしている。
さらに、次世代の光記録においては、光源からの出射光の波長を400nm程度、NAを0.6より大きくすることで、より大きな記録密度を得ることが提案されている。しかし、光源の短波長化や対物レンズの高NA化が原因で、光ディスク面が光軸に対して直角より傾くチルトの許容量や光ディスクの厚みムラの許容量が小さくなってしまう。
これらの許容量が小さくなる理由は、光ディスクのチルトの場合にはコマ収差が発生し、光ディスクの厚みムラの場合には球面収差が発生するために、光ヘッド装置の集光特性が劣化して、信号の読み取りが困難になるからである。このため、液晶素子を光路中に設置し、透過する光の波面形状を変えることにより、上記収差を打ち消すことが提案されている。
また、液晶素子を用いて、光源からの光の出力をほとんど変化させずに光ディスクへの到達光量を変化させる方法として、たとえば、透過光の偏光状態を、印加する電圧により変化させることができる液晶素子と、偏光ビームスプリッタのような偏光分離素子とを組み合わせることで、偏光ビームスプリッタ透過後の光量を変化させる方法が知られている。
たとえば、ある直線偏光方向(a方向)の光をほぼ100%透過させ、その偏光方向と直交する直線偏光方向(b方向)の光はほぼ100%反射するような偏光ビームスプリッタを用いた場合について説明する。液晶素子に特定以上の電圧を印加して、直線偏光方向がa方向の入射光を透過させると、ほぼ100%の入射光が偏光ビームスプリッタを透過する。また、液晶素子への印加電圧を調整して素子透過後の偏光状態が円偏光になるようにすると、偏光ビームスプリッタ透過後の光強度は50%になる。このように液晶素子への印加電圧を変えて透過光の偏光状態を変化させることにより、偏光ビームスプリッタ透過後の光強度を変調できる。
また、光ヘッド装置に用いられる従来の液晶素子は、初期(電界非印加)状態において、使用する液晶が基板に対しておおよそ水平配向(ホモジニアス配向)とした水平配向型であった。水平配向型の液晶素子は、正の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用い、基板に水平に配列させた液晶を、印加電圧によって基板の垂線方向に配向させるモード、具体的にはTN(ツイスティッドネマティック)モード、ホモジニアス配向モード等を用いている。
一方、従来の液晶素子に用いられている液晶は、波長500nm以下、特に波長400nm付近の光を照射し続けると、液晶分子が損傷して配向特性が劣化し、得られる電気光学特性が初期レベルからずれてくるため、初期設定した変調特性が得られなくなる問題があった。
このような問題に対処するため、下記特許文献1には、光ヘッド装置の液晶素子を構成する液晶として、不飽和結合(芳香環中の不飽和結合を除く。本発明明細書において以下同じ。)を有する液晶の含有比が20mol%以下の液晶を用い、それによって波長500nm以下の光を照射し続けても配向特性の劣化を防止できることが開示されている。
特開2003−90990号公報
しかし、上記特許文献1に記載された光ヘッド装置においても、波長500nm以下の光を長期にわたって照射し続けた場合、液晶分子の損傷を完全には抑制できず、初期設定した変調特性を長期間にわたって安定して維持するためには、さらなる改善が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、出射光の波長が500nm以下の光源を用いた光ヘッド装置において、液晶素子の特性劣化を防ぐことによって、情報の記録および再生を長期間にわたって安定に行うことができる光ヘッド装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の光ヘッド装置は、波長500nm以下の光を出射する光源と、この光源からの出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、集光されて光記録媒体により反射された出射光を受光する光検出器と、前記光源と前記光記録媒体との間の光路中および/または前記光記録媒体と前記光検出器との間の光路中に設置された液晶素子とを備える光ヘッド装置において、前記液晶素子は、1対の基板と、これらの基板の内面に形成された電極と、これらの電極のさらに内面に形成された配向膜と、前記電極および前記配向膜を介して前記1対の基板間に挟持された負の誘電率異方性を有するネマティック液晶とで構成される少なくとも1層の液晶セルを有しており、前記液晶は、初期状態では前記基板に対して実質的に垂直に配向しており、前記基板の内面に形成された電極を介して前記基板間に電圧を印加すると、前記液晶が前記基板方向に傾斜するように構成されていることを特徴とする。
水平配向型の液晶素子を有する従来の光ヘッド装置では、波長500nm以下の光を照射し続けると、液晶分子の損傷によって、液晶分子のプレチルト角が増大する傾向があり、それが顕著に起こると最終的には基板に対して垂直となり、液晶素子に電圧を印加しても液晶の屈折率変化はなくなってしまう。
本発明者らは、上記事実に着眼し、液晶素子として、初期状態では、液晶が前記基板に対して実質的に垂直に配向しており、基板間に電圧を印加すると、液晶が基板方向に傾斜するように構成された素子を用いることにより、波長500nm以下の光によって液晶分子が損傷しても、液晶分子は初期状態で基板に対して実質的に垂直に配向しているので、プレチルト角が変化することはなく、液晶素子の特性劣化が起こりにくくなることを見出した。
すなわち、本発明によれば、出射光の波長が500nm以下の光源を用いた光ヘッド装置における液晶素子の特性劣化が防止され、情報の記録および再生を長期間にわたって安定に行うことができる。
本発明においては、前記液晶は、不飽和結合を有する液晶の含有比が0〜20mol%であることが好ましい。また、前記不飽和結合を有する液晶がトラン構造を有する液晶であり、前記液晶中にトラン構造を有する液晶を含有し、かつその含有比が20mol%以下であることが好ましい。これによれば、液晶素子の特性が良好で、かつ、液晶分子が光による損傷を受けにくくなるので、液晶素子の特性劣化をより効果的に防止することができる。
また、前記配向膜は、無機材料を実質的に垂直に蒸着した膜で構成されていることが好ましい。このことにより、配向膜が光による劣化を受けにくく、配向膜の特性が良好に維持されるので、液晶素子の特性劣化をさらに効果的に防止できる。
さらに、前記1対の基板内面に形成された電極は、液晶層に電圧を印加できて前記液晶素子の透過光の波面形状を変化できるように、同心円状に分割された平面状電極をなしていることが好ましい。ここで、同心円状に分割された平面状電極とは、一般に光ピックアップで使用されるレンズ等で収差補正機能を持たせるには、”階段構造状”の段差をレンズに設けて補正することに対して、そのような段差をレンズに設けずに液晶素子の電極を同心円状にパターニングされた平面状電極としたことを意味している。
本発明によれば、光ヘッド装置を構成する液晶素子として、初期状態では、液晶が前記基板に対して実質的に垂直に配向しており、基板間に電圧を印加すると、液晶が基板方向に傾斜するように構成された素子を用いることで、波長500nm以下の光によって液晶分子が損傷しても、液晶分子は初期状態で基板に対して実質的に垂直に配向しているので、プレチルト角が変化しにくくなり、液晶素子の特性劣化が起こりにくくなる。このため、出射光の波長が500nm以下の光源を用いた光ヘッド装置における液晶素子の特性劣化が防止され、情報の記録および再生を長期間にわたって安定に行うことができる。
以下、図面を用いて本発明の光ヘッド装置についてさらに詳細に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、光とはレーザ光を意味する。
図1〜5には、本発明の光ヘッド装置の一実施形態が示されている。
図1において、光源1は半導体レーザからなる光源である。本発明においては、光源として、波長500nm以下、好ましくは波長400nm以上500nm以下の光を出射する光源が使用され、この実施形態では、波長405nmの光を出射する青色レーザ光源が用いられている。半導体レーザの出力は、再生用としては、最大光出力3mW以上であり、20mW以上が好ましい。また、記録用としては、最大光出力30mW以上である。一方、後述する液晶素子100上での積算照射エネルギー密度は、500kJ/cm以上、さらには1000kJ/cm以上となる。
光源1の出射方向には、コリメートレンズ30が配置され、光源1から出射された光を平行光線とする。コリメートレンズ30のさらに前方には、プリズム型のビームスプリッタ2が配置されている。
ビームスプリッタ2を通過した光の進路方向には、光源1からの出射光の波面を変化させる液晶素子100と、4分の1波長板5とが配置され、そのさらに前方には、出射光を光ディスク8に集光させる対物レンズ6が配置されている。液晶素子100、4分の1波長板5および対物レンズ6は、一体化されてアクチュエータ7に搭載されている。なお、アクチュエータ7は、液晶素子100、4分の1波長板5および対物レンズ6等からなる光ピックアップそのものを、トラッキング方向とフォーカシング方向とに移動させる機能を有している。ただし、液晶素子100にフォーカシング機能を持たせることもでき、その場合には、アクチュエータ7はトラッキング方向に移動させる機能だけを有していればよい。
また、4分の1波長板5等の位相差板は、水晶やLiNbOのような複屈折単結晶からなる位相差板であってもよく、高分子液晶やポリカーボネート等の有機材料からなる位相差板であってもよい。さらに、4分の1波長板5は、液晶素子100に接合されていてもよい。
光ディスク8は、図示しない支持台に乗せられており、図示しない駆動装置によって回転するようになっている。
また、ビームスプリッタ2の側方には、もう1つのコリメートレンズ31が配置されており、このコリメートレンズ31を通して集光される光は、光検出器9に照射されるようになっている。
したがって、光源1から出射された光は、コリメートレンズ30を通過して平行光とされ、ビームスプリッタ2を通過して、液晶素子100を透過し、さらに4分の1波長板5を透過した後、対物レンズ6によって集光されて、光ディスク8に照射される。
そして、光ディスク8で反射した光は、対物レンズ6、4分の1波長板5および液晶素子100を、前記とは逆方向に通過し、ビームスプリッタ2によってその一部が直角方向に反射されてコリメートレンズ31を通過し、光検出器9に照射される。
ここで、液晶素子100は、光ディスク8にわずかな反りや厚みのムラがあってコマ収差や球面収差が発生し、対物レンズ6で集光される光のピントが甘くなる(焦点が広がる)場合に、液晶素子100によって透過する光の波面形状を変えることによって上記収差を打ち消し、正確なピント(最小の焦点)が得られるようにする液晶収差補正素子として用いることができる。
また、透過により光の偏光状態が変化する液晶素子と偏光方向によって光の透過率が異なる偏光ビームスプリッタとを組み合わせて、光ディスクへの透過光量を変更できるアクティブアッテネータ等として用いることもできる。
図2には、上記液晶素子100の一例が示されている。この液晶素子100は、一対の基板21、21aと、これらの基板21、21aの内面に形成された電極24、24aと、この電極24、24aのさらに内面に形成された配向膜26、26aと、これらの配向膜26、26aの間に挟まれた液晶層23と、基板21、21aの周囲を封止するシール材22とで構成されている。
基板21、21aとしては、ガラス製、ポリカーボネート系樹脂製、アクリル系樹脂製、エポキシ系樹脂製、塩化ビニル系樹脂製等の透明基板が使用でき、耐久性等の点からガラス製の透明基板が好ましい。
電極24、24aとしては、たとえばITO膜等の透明電極が好ましい。これらの電極24、24aは、平面状電極であり、かつ、液晶素子100に求められる機能に応じた形状にパターニングされている。この場合、たとえば背面側の基板21aに形成される電極24aは、パターニングされずに共通電極となっていてもよい。また、任意の液晶配向を取らせるため、共通電極もパターン電極として、上下の電極電位を制御することにより、たとえば湾曲した電気力線等3次元的な電圧制御を行い、それに応じた液晶の光変調度を変化させることも可能である。
この実施形態では、図5に示すように、少なくとも片方の電極が同心円状の、さらに他の形状のセグメントに分割された形状にパターニングされている。たとえば、この電極パターンに、同心円の中心から外側に向かって電圧値を少しずつ異ならせて印加することにより、出射光の光束の中心から外周に向かって液晶素子100による光の変調効果を変化させ、光ディスク8の反りや厚みのムラに起因するコマ収差や球面収差が発生した際等に、該収差を打ち消す機能を付与することができる。
配向膜26、26aとしては、所望の傾斜角をもった垂直配向を可能とする配向膜であればよい。たとえば、ポリイミド配向膜を基板表面に形成した後、必要に応じてラビング処理した配向膜を使用する例が挙げられる。ポリイミド配向膜の形成方法としては、ポリアミック酸とワニスとの混合物を基板表面に塗布した後に焼成する方法、可溶性ポリイミドを基板表面に塗布した後に溶媒を揮発させる方法等が挙げられる。
また、波長300nm以下の偏光紫外光により、配向膜に配向能を付与する手法も有効である。たとえば、偏光紫外光により、芳香族ポリイミドからなる配向膜中の結合を分解して配向能を付与する手法、桂皮酸等の不飽和カルボン酸、またはその誘導体を基板表面に塗布した後、偏光紫外光照射により2量化させる等の化学結合による手法等がある。本発明の光ヘッド装置に使用する波長400nm以上、500nm以下の光に対しては、後者の化学結合による手法によって形成された配向膜が初期配向能を維持しやすいため有効である。
さらに、酸化珪素、金属酸化物、金属フッ化物、複合酸化物およびこれらの不定比化合物等の無機材料からなる配向膜を用いることもできる。金属酸化物としては、Ta、WO、Biが挙げられ、複合酸化物としては、(1−y)SiO+yZrO、(1−y)SiO+yTiO(0<x<2、0<y<1)が挙げられる。これらのうち、配向状態の安定性に優れることから、SiO(0<x<2)が好ましい。そして、無機材料からなる配向膜の形成方法としては、電子ビーム蒸着法、イオンアシスト蒸着法等により基板表面の略垂直方向から成膜する方法が挙げられる。また、他の方法としては、無機材料からなる斜方蒸着膜の上にシリコーン系垂直配向処理剤を塗布乾燥させる方法も有効である。
本発明においては、無機材料を実質的に垂直に蒸着してなる配向膜が好ましい。「実質的に垂直」とは、後述する微小角αを持って、液晶を配向させうる角度のことを意味する。ポリイミドからなる配向膜を備える液晶素子は、短波長で高強度の光照射を続けると、液晶分子の配向特性に劣化を来す場合がある。これに対し、無機材料からなる配向膜を備える液晶素子は、波長400nm以上500nm以下、特に波長400nm付近の短波長の光照射を継続しても(積算照射エネルギー密度として1000kJ/cm2以上の光照射)、配向膜は劣化することなく、液晶分子の配向特性の劣化を防止できる。
液晶層23の液晶としては、誘電率異方性(Δε)が負のネマティック液晶が用いられる。該液晶は、ディスプレイ用途等に用いられる公知のネマティック液晶を用いることができ、カイラル剤の添加により液晶分子をツイストさせて用いてもよい。そして、前記液晶は、初期状態において略垂直に配向した電界制御複屈折効果を利用する垂直配向モードの液晶素子として使用される。
上記複屈折モードによる変調原理は、以下のように説明される。液晶分子には、長軸ディレクタ方向に係る屈折率neと、それに垂直な方向に係る屈折率noとが存在する。液晶分子の長軸ディレクタ方向と所定の角度で振動する直線偏光を入射させると、入射した直線偏光の振動ベクトルは長軸ディレクタの方向の異常光とそれに垂直な方向の常光に分かれて液晶分子内を進むが、異常光と常光はそれぞれ屈折率がneとnoの媒体内を進むために進行速度が異なる。従って、液晶分子の出口では前記の屈折率の差に応じた位相のズレが発生しており、液晶分子から出ると光は同一媒体内を同一速度で進むが、進行速度が同一でありながら前記のように位相ズレが発生しているため、異常光と常光を再度合成すると振動ベクトルの方向が時間と共に回転し、一般に楕円偏光となる。その振動ベクトルの回転方向は液晶分子の対称性で定まるが、何れにしてもその楕円偏光に対して偏向板を置くと、偏向板と軸が一致した偏光のみが通過し、光は弱められるが入射光と異なった直線偏光となる。そして、液晶素子では、その液晶の複屈折モードに基づく偏光軸の変化を印加電圧で制御することによって変調光が得られる。
これにより、液晶層全体の光透過率は、液晶分子の長短軸の複屈折異方性(Δn=ne−no)と、液晶層の厚さdの積Δn・dであるリタデーション値の関数として表される。たとえば、垂直配向型の液晶素子において、電圧印加状態の液晶層で180°だけ位相がずれるようにリタデーション値を設定すれば、その液晶層へ入射する直線偏光を90°回転した直線偏光とすることができる。そして、電圧非印加状態では、リタデーション値がほぼ0であるため入射光の偏光状態は変わらず、偏光板をほぼ全ての直線偏光が透過する状態であり、印加電圧で液晶の配向を変えることで位相差を制御して透過光量を変化させることができる。
ここで使用される垂直配向型液晶素子は、液晶表示装置に広く用いられている水平配向型のTN(Twisted Nematic)液晶素子と比較して、印加電圧に対する光透過率の変化が急峻であり、多階調でかつ消光比が大きくとれるために、光量変調性、位相制御性に優れる。また、液晶素子を構成する液晶セルのセルギャップを2μm程度以下とすることで、電気光学効果の高速応答性を有し、光量調整、位相制御を高速で行うことが可能となる。垂直配向型液晶素子に使用される液晶自体は古くから知られており、たとえば負の誘電率異方性を示す液晶の物性についても、すでにD. de Rossi 等が報告している(J. Appl. Phys. 49(3), March 1978)。また、従来より、垂直配向型液晶素子を液晶表示に使用することも、たとえば、複屈折媒体との組み合わせで表示を行う例が、特開平3−5721号公報に例示されている。
図3は本発明で用いる垂直配向型液晶素子のセル内での液晶の配向状態を模式的に示し、図4は同垂直配向型液晶素子における液晶分子の配向を模式的に示している。
図3に示すように、基板21上には電極24が形成され、基板21a上には電極24aが形成されており、基板21上の電極24の表面および基板21a上の電極24aの表面には、たとえばSiOを実質的に垂直に蒸着することにより形成された配向膜26、26aが形成されている。そして、この基板21、21a間に、液晶が封入されて液晶層23をなしている。液晶としては、負の誘電率異方性を有するネマティック液晶が用いられている。
図4に示すように、液晶層23において、初期配向状態では液晶分子23aが基板法線方向Lに対し略平行方向に配列している(すなわち、液晶が基板に対して実質的に垂直に配向している。)。本発明において「液晶が基板に対して実質的に垂直に配向している。」とは、基板の法線に対し微小角αの傾斜角を持っていることを意味し、該傾斜角としては1〜7°が好ましい。
電圧非印加時に基板の法線に対し傾斜角が0であると、電圧印加時に液晶分子の傾斜方向が定まりにくく、ディレクタが相互に逆の方向になるリバースティルトが発生してディスクリネーションによる消光比ムラが現れる場合がある。よって、初期配向状態の液晶に対して傾斜角を付与することは、前記消光比ムラを抑制する効果がある。
従って、本発明における垂直配向型液晶素子では、配向膜26、26aにより、液晶分子23aに基板21、21aの法線に対して1〜7°程度の傾斜角を与えておき、配向規制力を大きくしてディスクリネーションの発生を抑制することが好ましい。ただし、この傾斜角を大きくしすぎると消光比が低下する問題が生じる。よって、配向不良やディスクリネーションを抑制し、高い消光比を得るように、基板21、21aの凹凸や基板内面のITO膜等の電極24、24aの形状等を勘案し、対向する基板21、21aの傾斜角を同一にしたり、いくらかの差異を持たせたりすることが行われる。
また、実質的に垂直とした初期配向のプレチルト角を安定に維持するために、本発明における液晶に、重合性液晶モノマーを液晶に対して1〜7質量%、より好ましくは2〜5質量%含ませ、配向を維持した状態で該モノマーを光または熱により重合硬化することで略垂直の初期配向を安定に維持することもできる。
該重合性液晶モノマーは、本発明におけるネマティック液晶と相溶性があることが好ましい。さらに重合後の高分子液晶も、該液晶と相分離せず相溶することが好ましい。このことにより、電圧印加時、非印加時の両方において、光の散乱を低減でき、透過光の透過率ロスを小さくできる。
また、該重合性液晶モノマーは、500nm以下の光照射に対して耐性ある骨格を有していることが好ましいことから、飽和炭素環または飽和へテロ環を有する重合性液晶化合物であることが好ましい。また、−Ph−CO−を含む重合性液晶モノマーは、500nm以下の光に対する耐久性が低いため使用しないことが好ましい。重合性液晶モノマーとしては、具体的には、下記式(1)、(2)、(3)で表される化合物が好ましく、下記式(1)、(2)で表される化合物が特に好ましい。ただし式中の符号は以下の意味を表す。
CH=CRCOO−Ph−OCO−Cy−R…(1)
CH=CRCOO−(CH−O−Cy−Cy−R…(2)
CH=CRCOO−(CH−O−Ph−Ph−R…(3)
:水素原子またはメチル基
:置換基を有していてもよいアルキル基、水素原子、ハロゲン原子、またはシアノ基
Ph:1、4−フェニレン基
Cy:トランス−1、4−シクロヘキシレン基
より安定な初期配向を得るために、重合性液晶モノマーとして多官能型重合性液晶モノマーを使用することもできる。なお、ここで多官能型とは、重合性基を2以上有することを意味する。
多官能型重合性液晶モノマーとしては、2官能性の重合性液晶モノマーであることが特に好ましい。2官能性の重合性液晶モノマーは、本発明における液晶との相溶性が良好であり、初期配向安定能に優れる利点がある。
本発明で用いる、垂直配向型の液晶素子100は、高応答速度、多階調変調性、高消光比特性を有し、特にセルギャップを2μm程度以下に構成することで、光ヘッド装置における高速記録・再生に対応可能な、変調特性の高速応答性が得られる。また、記録容量を大きくする手法としてディスクに多層記録面を持った光ディスクが提案されている。記録再生光の多記録層の層間異動等に対応するためには、液晶素子による位相差変調幅が大きいことが必須となり、一般にはセルギャップを大きくするか、液晶の屈折率異方性(Δn)を大きくすることで対応できる。
一般に、初期(電界非印加)状態において、使用する液晶が基板に対しておおよそ水平配向(ホモジニアス配向)とした水平配向型の液晶素子では、誘電率異方性が正の液晶を用い基板間に電界を印加することで、徐々に基板の法線方向に液晶が並ぶことにより位相差制御をおこなっている。そして、前述したように、上記水平配向型の液晶素子では、液晶分子中の不飽和結合や極性基が、500nm以下のレーザ光照射により化学開裂を起すことによって発生したラジカルおよび原子イオン等が液晶分子の初期配向を規定している配向膜層に影響を与える。具体的には、初期状態の液晶分子と基板との角度を示すプレチルト角が徐々に大きくなり、当初設計した外部印加電圧に対する獲得位相差量が得られなくなり、最後には完全に基板法線とほぼ同一方向にならび、電界を印加しても位相差を制御できなくなる。
本発明で用いる液晶素子は、垂直配向型の液晶素子であって、液晶として負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用いている。この液晶を、初期配向状態では基板法線方向とほぼ同一方向に配列させ、電界印加に伴い基板と水平方向に並ぶことにより位相差を獲得することを特徴としている。初期状態で略垂直配向をとっているため、前述の500nm以下の光照射による液晶分子の開裂が水平配向型の液晶素子と同じように起きたとしても、そもそも初期状態で略垂直であるため、配向膜ダメージによる配向変化(具体的には初期状態の液晶分子と基板との角度を示すプレチルト角の増大)を受けにくく、TN素子等初期状態で基板に対して略水平配向の液晶素子に比べて、長期にわたって安定した位相差獲得が可能となる。
本発明の液晶素子で用いる誘電率異方性が負の液晶としては、たとえば、P.Kirsch等が報告している(Liquid Crystals,26,449(1999))ように、芳香環を含む環構造を連結基で結合して分子長軸を形成し、長軸方向にはアルキル基、アルコキシル基が結合しており、誘電率異方性を負とするため、短軸方向に1つ以上の極性基を有する液晶を少なくとも1種含む液晶が使用される。
一般に、液晶の屈折性異方性(Δn)は、液晶分子の双極子モーメントと強い相関があり、不飽和結合を有する構造、あるいは極性基により制御されている。ここで不飽和結合とは炭素−炭素不飽和結合を意味する(ただし、本発明では芳香環中の不飽和結合を除く。)。そして、不飽和結合を有する構造としては、トラン構造、スチルベン構造、ブタジエン構造等が挙げられる。また極性基とは、たとえば芳香環などの環構造に結合した電気陰性度の大きな置換基を指し、フッ素原子、塩素原子に代表されるハロゲン原子や、-CN(シアノ)、-NO、-NCS(イソチオシアネート)、−CF、−OCF等が例示される。
一般に、液晶のもつ屈折率異方性(Δn)が大きいほど、位相差の変化量を大きくすることができ、また、駆動電圧を小さくすることができる。
したがって、前述の多層光ディスクの層間に亘る位相補正に用いる等、補正量を大きくする必要がある場合には、不飽和結合を有する構造、および極性基の種類、およびその割合を、素子が光による劣化を受けない程度に制御して屈折率異方性(Δn)を大きくすることが必要となる。すなわち、不飽和結合を有する液晶を含有しない液晶では、1000kJ/cm程度の非常に強い光照射を受けても、液晶分子の配向特性の劣化や屈折率異方性の低下はほとんど見られないが、前記層間に亘る位相補正等、用途によっては良好な変調特性を得るため、液晶中にある程度の割合で不飽和結合や極性基を有する液晶を含有することが必要となる。よって、液晶中の不飽和結合および極性基の種類、およびその割合を、素子の光による劣化を受けない程度に制御して屈折率異方性(Δn)を大きくすることが必要となる。
具体的には、負の誘電率異方性を有する液晶中の不飽和結合を有する液晶の含有比は0〜20mol%であることが好ましく、不飽和結合を有する液晶が存在する場合は、その含有比は1〜20mol%であることが特に好ましい。不飽和結合を有する液晶の含有比が0〜20mol%であると、波長500nm以下、さらには400nm付近のレーザ光を発振し、かつ、最大光出力30mW以上の(記録用の)光源を有する光ヘッド装置の光路中に液晶素子を配置しても光源の光によるダメージを受けにくいという効果がある。より好ましくは、不飽和結合を実質的に含まない液晶を使用する。
不飽和結合を有する液晶が存在する場合、その液晶としては、トラン構造を有する液晶(以下、トラン系液晶という。)が好ましく、その含有比は液晶の20mol%以下であることが好ましい。この液晶を用いることで、500nm以下、さらには400nm付近の光を照射し続けても、液晶層を構成する液晶分子の配向性に影響を与えず好ましい。
光に対する耐久性の観点から、トラン系液晶の含有比は、液晶の1〜10mol%であることが好ましい。ただし、トラン系液晶を含むことによって液晶の屈折率異方性を大きくできることから、用途によっては1〜20mol%の範囲でトラン系液晶を含んでいてもよい。
トラン系液晶としては、液晶を構成する他成分との相溶性が良好等の理由により、誘電率異方性が負もしくはゼロ付近であるトラン系液晶化合物を含むこと好ましい。さらに、芳香環に結合する極性基がフッ素原子であると、波長500nm以下、さらには400nm付近の光に対する耐性があることから好ましい。
このようなトラン系液晶化合物としては下記式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)ともいう)が好ましい。ただし、式中の符号は以下の意味を示す。
:トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基または単結合。
ただし、トランス−1,4−シクロヘキシレン基である場合、環基は非置換であるか、または置換基として1個以上のフッ素原子もしくは塩素原子を有していてもよく、環を構成する1個以上の−CH−基は酸素原子に置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基の場合、環基は非置換であるか、または置換基として1個以上のフッ素原子もしくは塩素原子を有していてもよく、環を構成する1個以上の=CH−基は窒素原子に置換されていてもよい。
:単結合、−COO−、−OCO−、−CHCH−または−CHO−。
、Q:それぞれ独立にフッ素原子または塩素原子。
r、s:それぞれ独立に0〜4の整数。
、R:それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のアルコキシ基。ただし、R、Rがアルキル基の場合には、このアルキル基中の炭素−炭素結合間もしくはこのアルキル基と隣接する環基との間の炭素−炭素結合間に、カルボニルオキシ基、もしくはオキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、このアルキル基中の炭素−炭素結合の一部が二重結合に置換されていてもよく、また、このアルキル基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子で置換されていてもよい。
より具体的には以下の化合物が例示される。
また、本発明における液晶は、エステル結合を有する液晶を含有していてもよい。その場合、その含有比が液晶の20mol%以下である液晶を用いることにより、液晶の特性が良好で、かつ波長500nm以下、さらには400nm付近の光を照射し続けても、液晶層を構成する液晶分子の配向性に影響を与えず好ましい。さらに、エステル結合を含む分子の含有比は10mol%以下であることが特に好ましい。
本発明における液晶の例としては1)エステル結合を含む液晶の含有比が20mol%以下(0を含む)で、他の80mol%以上(100mol%を含む)は不飽和結合もエステル結合も含まない液晶である場合、2)エステル結合を含む液晶の含有比が10mol%以下(0を含む)、トラン結合を含む液晶の含有比が10mol%以下(0を含まない)で、他の80mol%以上は、トラン結合以外の不飽和結合もエステル結合も含まない液晶である場合等の多数の組み合わせを挙げることができる。
本発明における液晶素子100は、上述の液晶からなる液晶層23が透明な基板21、21aに挟持されて構成された液晶セルを少なくとも1層有していればよく、使用目的に応じて液晶セルの積層数を選択すればよい。液晶セルは、1層に限定されず、2層でも、3層でもよい。また、必要に応じて液晶層に接する透明な基板の面に凹状、凸状等の曲面を形成してもよい。
また、液晶セルを複数層重ねて配置する場合、セルとセルとの境界部に位置する基板は共用することもできる。たとえば液晶セルを2層重ねて形成する場合、中間の基板を共通基板として、3枚の透明な基板で構成してもよい。液晶セルを3層以上重ねて形成する場合も同様である。
液晶素子100を、複数層のセルが積層された液晶セルで構成する場合には、それぞれの液晶セルによって異なる光変調機能を得ることができ、たとえば1つの液晶セルで収差の補正を行い、もう1つの液晶セルによって光強度の調整を行うこと等ができる。
本発明の光ヘッド装置に用いられる液晶素子は透過型方式で用いても反射型方式で用いてもよい。前者は液晶層を介して共通電極膜を成膜した透明基板と所望のパターン電極をマトリクス状に配設した基板とを対向させた液晶素子を用いて光の位相差制御を行ったり、偏光面を回転させたりする方式であり、対向する両基板とも異なるパターン電極をマトリックス状に設けていてもよい。後者は液晶素子を構成する片側基板にミラー層を設けて光の位相差制御を行ったり、偏光面を回転させたりする方式である。反射型の場合には、液晶層を通過する光路長が2倍になることから、透過型に対して同じ位相差を狭セルギャップで得られるため、駆動電圧を低くしたり応答時間を短くしたりすることが可能となる。
図6には、本発明の光ヘッド装置の他の実施形態が示されている。なお、前記図1〜5の実施形態と実質的に同一部分には同符号を付して、その説明を省略することにする。
この実施形態では、液晶素子101が、光源1の出射方向に配置されたコリメートレンズ30と、ビームスプリッタ2との間、具体的にはビームスプリッタ2の光源1からの出射光の導入側の端面に配置されている。また、4分の1波長板5は、ビームスプリッタ2の光源1からの出射光の導出側の端面に取付けられている。このように、液晶素子は、光源1と光ディスク8との間の光路中及び/又は光ディスク8と光検出器9との間の光路中に設置されていればよい。ただし、少なくとも光源1と光ディスク8との間の光路中に設置されていることが好ましい。
[実施例1]
本実施例の光ヘッド装置は、光ディスクの厚み偏差により生ずる球面収差を補正する位相補正素子を備えている。また、光源である半導体レーザの出射光の波長は405nmである。対物レンズは、光ディスクの厚さが設計値からずれると球面収差を発生し、信号の読み取り精度が低下する。この球面収差を補正する位相補正素子を、図1に示した光ヘッド装置の液晶素子100として組み込んだ。
この液晶素子100は、図2、3に示した断面図と同じ構造を有する。使用した液晶は、負の誘電率異方性を有するネマティック液晶(Δε=−4.8、Δn=0.05)である(ただし、このネマティック液晶は不飽和結合もエステル結合も含まない。)。
電圧を印加しない初期状態でこの液晶に垂直配向性を付与するため、垂直配向用ポリイミド(商品名;「SE1211」 日産化学製)を、電極24、24a上に塗布し、ラビングして配向膜26、26aとした。このように初期配向状態は基板21、21aに対し略垂直であるが、電界印加時の液晶分子23aの配向方向は、光源1である半導体レーザからの出射光の波面を変化させるように、液晶層を透過する前の出射光の偏光方向に平行とした。
この液晶素子100は、図2に示すように、液晶層23を、シール材22で囲み、配向膜26、26aおよび電極24、24aが形成された基板21、21aで挟む構成とした。この実施例では液晶層23を挟む2枚の透明な基板21、21aには、液晶層23に電圧を印加できるように、図5に示す同心円状のセグメントに分割されたITO膜よりなる電極24、24aを形成した。ITO膜よりなる同心円状の電極24、24aの各セグメントには、光ディスクの厚み偏差による球面収差を補正するよう所望の電圧を印加した。
対物レンズのNAは0.85とし、光ディスクの反射面までのカバー層(保護層)の厚さが0.10mm、0.11mm、0.09mmの3種類の光ディスクについて再生特性を調べた。光ヘッド装置として、光ディスクのカバー層の厚さ0.10mmで球面収差が最小になるように調整されたものを用いた。厚さ0.10mmの光ディスクでは、液晶層に電圧を印加しなくても良好な再生特性が得られた。これに対して厚さ0.11mmと0.09mmの光ディスクでは、球面収差の影響で再生特性がよくなかった。
液晶層に印加する電圧分布をそれぞれの光ディスクの厚さに応じて調整し、光ディスクのカバー層の厚み偏差により発生する球面収差と逆符号の球面収差を発生させることで光ディスク上での光は良好な集光特性を示し、再生特性を改善できた。また、波長407nm、出力30mWのレーザ光を9,000時間照射する光照射試験を行った後も、集光特性に問題はなく再生特性は良好であった。
[比較例1]
液晶として、誘電率異方性が正のネマティック液晶(Δε=+9、Δn=0.11)を使用すること、配向膜として、電圧を印加しない初期状態でこの液晶に水平(ホモジニアス)配向性を付与する水平配向用ポリイミド(商品名;「SE150」 日産化学製)を電極上に塗布しラビングして略水平配向膜とすること、初期配向状態の液晶分子の配向方向を、半導体レーザからの出射光の波面を変化させるように液晶層を透過する前の出射光の偏光方向に平行とした以外は実施例1と同様にして、光ディスクの反射面までのカバー層の厚さが0.10mm、0.11mm、0.09mmの3種類の光ディスクを用いて光ヘッド装置を作製し、再生特性を調べた。光ヘッド装置として、カバー層厚さが0.10mmの時の光ディスクで球面収差が最小となるように調整し、カバー層厚さの異なる光ディスクに対し、電圧で逆収差を発生させて補正したところ、実施例1と同様に、光ディスク上での光の集光特性は良好となり再生特性を改善することができた。しかし、波長407nm、出力30mWのレーザ光を照射し続けると、電圧印加で発生する逆収差の絶対値変動が約900時間経過から徐々に生じはじめ、その後、絶対量が減少することにより集光特性劣化による再生特性不良が生じ、最終的に8,000時間経過後では電圧印加しても全く液晶が動作せず補正機能を完全に失っていた。
[実施例2]
液晶として、トラン構造を有する液晶を10mol%含む以外は、不飽和結合を有する液晶を含まず、かつエステル結合を有する液晶も含まない負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を用いた。ここで使用する液晶中のすべての極性基は、フッ素原子を含有する基とした。この液晶の相転移温度TNIは95℃、屈折率異方性Δnは0.14、誘電率異方性Δεは−5であった。
配向膜は、電極上に厚さ40nmのSiO蒸着膜を電子線加熱(EB)法により真空蒸着した。蒸着時の基板温度を80℃とし、基板法線が蒸着源の垂直(鉛直)線となす角度が略垂直となるようにした。つぎに大気中において200℃で1時間の焼成を行い、垂直配向膜を形成した。
前記液晶および前記配向膜を用いて、実施例1と同様に光ヘッド装置を作製して球面収差を補正した。初期においては、電圧により発生させた逆符号の球面収差により、実施例1と遜色なく再生特性を改善できた。また、波長407nm、出力30mWのレーザ光を10,000時間照射する光照射試験を行ったところ、再生特性の改善は初期と同様に良好であった。
本発明の光ヘッド装置は、波長500nm以下の光を長期に渡って安定に変調することができるため、光記録装置等に有用に用いうる。
本発明の光ヘッド装置の一実施形態を示す概略構成図である。 同光ヘッド装置で用いる液晶素子の一例を示す模式断面図である。 本発明で用いる垂直配向液晶のセル内での配向状態を模式的に示す説明図である。 同垂直配向液晶の分子配向を模式的に示す説明図である。 同光ヘッド装置で用いる液晶素子の電極パターンの一例を示す平面図である。 本発明の光ヘッド装置の他の実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
1:光源
2:ビームスプリッタ
30、31:コリメートレンズ
5:4分の1波長板
6:対物レンズ
7:アクチュエータ
8:光ディスク
9:光検出器
100、101:液晶素子
21、21a:基板
22:シール材
23:液晶層
24、24a:電極
26、26a:配向膜

Claims (5)

  1. 波長500nm以下の光を出射する光源と、この光源からの出射光を光記録媒体上に集光させる対物レンズと、集光されて光記録媒体により反射された出射光を受光する光検出器と、前記光源と前記光記録媒体との間の光路中および/または前記光記録媒体と前記光検出器との間の光路中に設置された液晶素子とを備える光ヘッド装置において、前記液晶素子は、1対の基板と、これらの基板の内面に形成された電極と、これらの電極のさらに内面に形成された配向膜と、前記電極および前記配向膜を介して前記1対の基板間に挟持された負の誘電率異方性を有するネマティック液晶とで構成される少なくとも1層の液晶セルを有しており、前記液晶は、初期状態では前記基板に対して実質的に垂直に配向しており、前記基板の内面に形成された電極を介して前記基板間に電圧を印加すると、前記液晶が前記基板方向に傾斜するように構成されていることを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 前記液晶は、不飽和結合(芳香環中の不飽和結合を除く)を有する液晶の含有比が0〜20mol%である請求項1記載の光ヘッド装置。
  3. 前記不飽和結合を有する液晶がトラン構造を有する液晶であり、前記液晶中にトラン構造を有する液晶を含み、かつ、その含有比が20mol%以下である請求項2記載の光ヘッド装置。
  4. 前記配向膜は、無機材料を実質的に垂直に蒸着した膜で構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ヘッド装置。
  5. 前記1対の基板内面に形成された電極は、液晶層に電圧を印加できて前記液晶素子の透過光の波面形状を変化できるように、同心円状に分割された平面状電極をなしている請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ヘッド装置。
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