JP2009107475A - 騒音低減装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】騒音低減効果を低減させることなく、振動検出センサの異常を検知することができる騒音低減装置等を提供する。
【解決手段】加速度センサ10によって検出された構造体の振動に基づいて、制御空間Pに発生する騒音を低減するような振動を発生させている時に、制御指令値算出部32は、何れかのピエゾアクチュエータ20によってテスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させたピエゾアクチュエータ20以外のピエゾアクチュエータ20によって当該テスト用振動による制御空間Pの騒音を低減する騒音低減波動を発生させ、テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて加速度センサ10により検出される振動を推定し、当該テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて加速度センサ10により検出される振動の推定値と加速度センサ10により実際に検出された実測値との差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、振動又は音響といった波動を発生させることによって車室内における騒音を低減する騒音低減装置及び方法に関する。
従来から、車室内等において車両の走行に伴って車室内で発生する騒音を計測して、当該騒音を打ち消すような音波を発生することによって、騒音を低減する騒音低減装置等がしられている。この騒音制御装置は、例えば、車体の振動を検出するための振動検出手段(センサ)を複数設け、検出した車体の振動に基づいて車両に設置したスピーカや加振器等のアクチュエータを作動させて、車室内の騒音を低減する。
このような騒音制御装置は、振動検出センサに異常が生じると、効果的に騒音を低減することが難しくなる。このため、従来では、例えば、下記の特許文献1に記載された技術では、振動検出センサの固着等の不具合を想定して、所定時間における振動検出センサの検出値の変化(微分値)が所定値以下である場合には、当該振動検出センサ異常と判断している。
特開2002-22766号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、振動検出センサの剥がれ等という不具合が発生すると、本来検出したい振動とは異なり、振動検出センサ自体が揺らいだ結果としての振動が生されてしまう。このため、従来の技術では、振動検出センサの不具合によっては、一部の周波数帯において正確な振動が検出できないという振動検出センサの異常を検知することができなかった。これによって、従来では、振動検出センサが異常なことによって騒音低減効果が低減する可能性があっても、適切なフェールセーフ処理を施すことができなかった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、騒音低減効果を低減させることなく、振動検出センサの異常を検知することができる騒音低減装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明に係る騒音低減装置は、振動検出手段の異常を判定するために何れかの波動印加手段によってテスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させた波動印加手段以外の波動印加手段によって当該テスト用振動による所定の空間の騒音を低減するような騒音低減波動を発生させる。そして、異常判定手段は、発生されているテスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて振動検出手段により検出される振動を推定し、当該テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて振動検出手段により検出される振動の推定値と振動検出手段により実際に検出された実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定する。
本発明に係る騒音低減装置及び方法によれば、テスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させた波動印加手段以外の波動印加手段によって当該テスト用振動による所定の空間の騒音を低減するような騒音低減波動を発生させるので、騒音低減効果を低減させることなく、振動検出センサの異常を検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明は、例えば図1に示すように、車両構造体によって囲まれた車室内において、座席における乗員頭部を囲む制御空間Pにおける騒音を低減する騒音低減装置に適用される。この騒音低減装置は、騒音を低減させるために振動を検出する加速度センサ(振動検出手段)の異常を検知するために、テスト用振動を発生させて当該加速度センサの異常判定処理を行うと共に、当該テスト用振動の発生と同時に当該テスト用振動により発生する騒音を打ち消す動作をするものである。
先ず、本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置において制御空間Pにおける騒音を低減する一般的な技術について説明し、その後に、本発明を適用した騒音低減装置の特徴的な構成について説明する。
この騒音低減装置が低減させる騒音は、車外から車室内に侵入する車室内騒音である。この車室内騒音の原因は、代表的なものとして、エンジンの振動に起因するエンジン騒音、走行時に路面の凹凸の影響がタイヤからフロアパネルに進入することに起因するロードノイズ騒音、走行時に空気の気流によって発生する風切音などがある。
本発明に係る騒音低減装置は、主にロードノイズの低減を目的とする。図1〜図4に路面の凹凸の影響による車体の振動およびロードノイズ騒音の主な伝播経路を示す。タイヤ2から車体に進入したロードノイズの主成分となる振動は、図2に示すように、まず車軸101及びサスペンション102の取り付け点からメンバ103と呼ばれる剛性の高い梁状の部材に進入する。その後、メンバ103によって囲まれたフロアパネル1と呼ばれる比較的剛性の低い板状の部材に振動が伝播し、このフロアパネル1が振動する。さらに、フロアパネル1の膜振動により車室内の空気振動が引き起こされ、車室内に共振現象を起こすために、車室内の所定空間(制御空間)Pにおいてロードノイズ騒音が聞こえてしまう。フロアパネル1の他にルーフパネルや窓ガラスが振動することにより騒音が発生するが、サスペンション102の取り付け部から主に進入するロードノイズの大部分は、フロアパネル1の振動が原因となっていることがわかっている。
そのために、騒音低減装置は、図3及び図4に示すように、フロアパネル1に加速度センサ10を配置して制御空間Pおける騒音の推定を行い、フロアパネル1に設けられたピエゾアクチュエータ20に対する制御指令信号を生成し、当該ピエゾアクチュエータ20の振動(波動)による制御音を車室内に入力させる。そのため、制御対象としてフロアパネル1が起因となるロードノイズを中心に扱う。
更に詳細には、図3に示すように、路面からタイヤ2に入力される加振力は、フロアパネル1の振動を発生させ、当該フロアパネル1の振動は、図中の点線で示すように、加速度センサ10に伝搬される。これにより、タイヤ2の加振力は、間接的に、加速度センサ10によって検出される。また、フロアパネル1の振動は、制御空間Pにおける騒音を発生させる。このため、タイヤ2の加振力は、図中の実線で示すように、間接的に、制御空間Pにおける騒音となる。
一方、ピエゾアクチュエータ20は、制御指令値に基づいて動作することにより、フロアパネル1に振動を発生させる。このピエゾアクチュエータ20によって発生した波動は、図中の点線で示すように、ピエゾアクチュエータ20からフロアパネル上の加速度センサ10へ伝播する。加速度センサ10は、ピエゾアクチュエータ20の波動に起因した振動が検出される。そして、ピエゾアクチュエータ20の波動は、タイヤ2の加振力の場合と同様に、図中の一点鎖線で示すように、制御空間Pにおける騒音となるが、一方で、タイヤ2の加振力に基づく騒音を打ち消す成分にもなる。
このようにピエゾアクチュエータ20によって制御空間Pにおける騒音を低減させる騒音低減装置は、図4に示すように、加速度センサ10及びピエゾアクチュエータ20をフロアパネル1上に配置する。この例では、制御空間PをPa、Pbの2箇所とし、加速度センサ10は、10a、10b、10c、10d(以下、総称する場合には単に「加速度センサ10」とも呼ぶ。)の4個が配置され、ピエゾアクチュエータ20は、20a、20b、20c(以下、総称する場合には単に「ピエゾアクチュエータ20」とも呼ぶ。)の3個が配置されている。このように制御空間P、加速度センサ10及びピエゾアクチュエータ20を配置した場合、それぞれの加速度センサ10a〜10dのそれぞれは、すべてのタイヤ2の加振力とピエゾアクチュエータ20の波動による振動とが重なり合った波動を検出することになる。また、それぞれの制御空間Pa,Pbには、すべてのタイヤ2の加振力に基づく音とピエゾアクチュエータ20の波動による音とが重なり合った音が発生することになる。
なお、加速度センサ10、ピエゾアクチュエータ20及び制御空間Pの位置の設定例は、図4に示した構成に限らない。ただし、加速度センサ10の数は、一般に振動源の数より多いことが必要とされる。具体的な加速度センサ10の数および設置位置は、下記の式1に示すような各加速度センサ10と制御空間Pにおける騒音の音圧との間のコヒーレンシーCxy(ω)とが十分に高くなるように決定される。なお、このコヒーレンシーCxy(ω)は0.9以上であることが望ましい。
Figure 2009107475
ここで、式1におけるPxy(ω)は加速度(信号x)と音圧(信号y)の間のクロスパワースペクトラム、Pxx(ω)とPyy(ω)はそれぞれ加速度と音圧のオートパワースペクトラムを表している。また、PはPのエルミート転置行列を表す。このようなコヒーレンシーCxy(ω)は、タイヤ2によって与えられるフロアパネル1の振動の加速度と、音圧との間の因果関係の度合いを表している。
また、ピエゾアクチュエータ20は、制御空間Pでの騒音を低減するために十分な数が車体のフロアパネル1の適切な位置に貼り付けられていればよい。このようなことから、この実施形態において、加速度センサ10は、加速度センサ10a,10b,10c,10dの4個とし、ピエゾアクチュエータ20は、ピエゾアクチュエータ20a,20b,20cの3個としている。なお、制御空間Pは、例えば車室内の乗員位置を検出する赤外線センサなどを用いて、乗員の数や位置などに応じて適切な位置に設定されていればよい。
このように、本発明を適用した騒音低減装置は、制御空間Pの騒音を検出するマイクロフォンを設けることなく、フロアパネル1に設置した加速度センサ10のセンサ信号に基づいて、制御空間Pにおける騒音を推定する。この騒音は、フロアパネル1に振動を与えるロードノイズとなる。加速度センサ10をフロアパネル1に設けた理由は、ロードノイズがフロアパネル1の振動と関連が高く、ロードノイズと車室内騒音との間で高いコヒーレンシーを得ることができるからである。
なお、フロアパネル1を発生源となる騒音には制御対象としてすべて含まれるため、エンジンの騒音の一部や車体底部を流れる空気が発生する風切音についても同様に扱うことができる。また、本発明の効果の範囲はフロアパネル1の振動による騒音低減の範疇にはとどまらず、例えばダッシュパネルやフロントガラス、さらにルーフパネルといった同じメカニズムで発生する車室内騒音発生源に対しても、当該部位に加速度センサ10及びピエゾアクチュエータ20を設ければ、同様に、当該部位の振動によって発生する騒音を低減させることができる。
上述したような騒音低減装置は、フロアパネル1に設けた加速度センサ10に異常が発生した場合、ロードノイズを低減するためのパラメータとなるフロアパネル1の振動状態を適切に検出することができなくなり、騒音制御を効果的に行うことが難しくなってしまうばかりか、状況によってはピエゾアクチュエータ20から不適切な波動が発生して、制御空間Pにおける騒音が増大してしまう可能性がある。この加速度センサ10の異常としては、加速度センサ10がフロアパネル1から剥がれて、フロアパネル1の振動を正確に検出できなくなることなどが挙げられる。また、加速度センサ10の他の異常とは、加速度センサ10単体の断線、破損、変形、劣化などの直接的な異常、フロアパネル1の変形などの設置状態の悪化による意図しない検出値が現れるなど、加速度センサ10が設計時に想定した振動検出動作ができないなどの間接的な異常も含む。
そこで、本発明を適用した騒音低減装置は、加速度センサ10の異常を判定して、加速度センサ10の異常が検出された場合には、当該異常となっている加速度センサ10の実測値を用いないで制御空間Pにおける騒音を低減するという、制御系の再構成を行う。以下、このように制御系の再構成を行う騒音低減装置について詳細に説明する。
騒音低減装置は、具体的な構成例を図5に示すように、制御空間Pとして、運転席又は助手席の制御空間Pa,後部席の制御空間Pbそれぞれについて発生する騒音を低減させる。また、騒音低減装置は、車体の振動を検出する振動検出手段である複数の加速度センサ10a,10b,10c,10dからなる加速度センサ10と、車室内の騒音を低減させる振動又は音響などの波動を発生する波動印加手段である複数のピエゾアクチュエータ20a、20b、20cからなるピエゾアクチュエータ(Piezo-electric actuator)20と、当該加速度センサ10及びピエゾアクチュエータ20と接続され、車両に搭載される制御装置30とを備える。なお、図5においては、制御装置30の説明のために、車両外に記載している。
なお、この実施の形態では、波動印加手段として、ピエゾアクチュエータ20のように振動を発生させるものを説明するが、スピーカのように直接的に音響を発生させることによって騒音を低減させるようにしても良い。また、騒音低減装置は、振動検出手段としてマイクロフォンを使用せず、加速度センサ10の信号を制御装置30によって検出して、制御空間Pの騒音を推定する。
制御装置30は、加速度センサ10のそれぞれと接続された検出信号増幅用の増幅部31a及びピエゾアクチュエータ20のそれぞれと接続された出力信号増幅用の増幅部31bと、車室内騒音を低減する制御指令値を算出して出力する制御指令値算出部32とを備える。なお、検出信号増幅用の増幅部31aは、加速度センサ10がいわゆるチャージタイプである場合には、電荷と電圧との間の変換機能も備えることになる。
制御装置30は、制御空間Pにおける騒音を低減するに際して、加速度センサ10からの検出信号を増幅部31aによって増幅して制御指令値算出部32によって入力する。そして、制御装置30は、増幅された検出信号を用いて制御指令値算出部32によって、騒音の推定を行い、当該騒音を低減させるような制御指令値を生成して、増幅部31bを介してピエゾアクチュエータ20に供給して、フロアパネル1を振動させる。
制御指令値算出部32は、その内部構成を図6に示すように、増幅部31aによって増幅されたセンサ信号が供給されるA/D変換部41と、騒音制御部42と、異常検出部43と、増幅部31bと接続されたD/A変換部44と、演算器46,47とを備える。なお、制御装置30における騒音制御部42,異常検出部43は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図6においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。また、本実施形態では、この制御指令値算出部32をいわゆるディジタルコンピュータ上に実装し、例えば1msecの制御周期毎に演算を実行している。
A/D変換部41は、加速度センサ10a,10b,10c,10dのそれぞれで検出されて増幅部31aから供給されたそれぞれのセンサ信号をディジタル値の加速度情報α,α,α,αに変換して、騒音制御部42及び異常検出部43に出力する。
騒音制御部42は、A/D変換部41から供給された加速度情報α,α,α,αを用いて、制御空間Pにおける騒音を低減するようにピエゾアクチュエータ20a,20b,20cのそれぞれを動作させるための制御指令値uを算出する。後述するが、騒音制御部42は、加速度センサ10a,10b,10c,10dの実測値である加速度信号α(加速度情報α,α,α,αを要素に持つベクトル)から、ピエゾアクチュエータ20a,20b,20cがテスト用振動を発生させた時に加速度センサ10a,10b,10c,10dが検出すると推定される振動推定値α2hatを減算した差異情報が所定値よりも高い時に、制御空間Pにおける騒音を低減するようにピエゾアクチュエータ20a,20b,20cを動作させる制御指令値uを演算する。
この騒音制御部42は、例えば以下のようにH2制御法を用いることによって設計され、加速度情報α,α,α,αに基づいて制御指令値uを演算する。
すなわち、騒音制御部42は、図7に示すように、第1伝達関数演算部51、第2伝達関数演算部52、重み関数演算部53、第3伝達関数演算部54、第4伝達関数演算部55、第6伝達関数演算部56、演算器57,演算器58,演算器59を備える。
第1伝達関数演算部51は、ロードノイズ源加振力d11、d12、d13、d14を要素に持つベクトルdを入力し、伝達関数(G SPL(s))の演算を行うことによって、フロアパネル1の振動が制御空間Pに与える音圧ベクトルを演算する。第2伝達関数演算部52は、ロードノイズ源加振力d11、d12、d13、d14を要素に持つベクトルdを入力し、伝達関数(G α(s))の演算を行うことによって、フロアパネル1の振動が加速度センサ10に与える振動(音圧)レベルを演算する。重み関数演算部53は、加速度センサ10a,10b,10c,10dの異常時に実測値に混入する外乱である加振力d21、d22、d23、d24を要素に持つベクトルdを入力し、所定の重み係数W(s)を用いて、外乱となる加振力の演算を行う。
第3伝達関数演算部54は、H2制御器であり、騒音制御部42に相当する。この第3伝達関数演算部54を設計して、制御空間Pにおける騒音を低減させることができる制御指令値uを演算する騒音制御部42を設計できる。この制御指令値uは、3つのピエゾアクチュエータ20への制御指令値u11、u12、u13を要素に持つベクトルである。第4伝達関数演算部55は、第3伝達関数演算部54が演算した制御指令値uによってピエゾアクチュエータ20を動作させた時に、伝達関数(G α(s))の演算を行うことによって、当該ピエゾアクチュエータ20から加速度センサ10に与える振動(音圧)ベクトルを演算する。したがって、第3伝達関数演算部54は、第2伝達関数演算部52及び重み関数演算部53によって演算された演算器57からの振動(音圧)レベルと、第4伝達関数演算部55によって演算された振動(音圧)レベルとが演算器58によって加算された振動(音圧)レベルαが供給される。このαは、加速度センサ10で検出された加速度情報α、α、α、αを要素に持つベクトルである。
第6伝達関数演算部56は、第3伝達関数演算部54によって演算された制御指令値uを入力し、伝達関数(G SPL(s))の演算を行うことによって、制御指令値uによってピエゾアクチュエータ20が動作した時に、ピエゾアクチュエータ20から制御空間Pに与える振動(音圧)レベルを演算する。
第1伝達関数演算部51によって演算された、ロードノイズが制御空間Pに与える振動(音圧)レベルと、ピエゾアクチュエータ20によって制御空間Pに与える振動(音圧)レベルとが演算器59によって加算され、実際に制御空間Pに与える振動(音圧)レベルSPL1が演算される。この振動(音圧)レベルSPL1は、タイヤ2の加振力と制御指令値uによってピエゾアクチュエータ20が動作した時の2つの制御空間Pa、Pbの振動(音圧)ベクトル(SPL1)となる。このSPL1は、タイヤ2の加振力と制御指令値uによる各々の制御空間(Pa、Pb)の音圧ベクトルであり、制御空間数の2個の要素数となっている。
このような設計モデルにおいて、加速度情報α,α,α,αが第3伝達関数演算部54に与えられ、実際にロードノイズの加振力が与えられて制御空間Pにおける振動(音圧)レベルSPL1へのH2ノルムを最小とするように、H2制御器の第3伝達関数演算部54が設計される。
なお、このような設計モデルにおいて、αは下記の式2,7のように定義され、ロードノイズの加振力dは下記の式3、外乱である加振力dは下記の式4のように定義され、SPL1は下記の式5,6のように定義され、制御指令値uは下記の式8のように定義される。
Figure 2009107475
ここで、加速度センサ10の異常時には、異常が生じた加速度センサ10の検出値において異常のある周波数帯に、重み関数W(s)で重み付けされた外乱である加振力dが混入するという形で制御系に組み込んでいる。
よって、例えば、異常検出部43から入力する加速度センサ10の異常状態が変化したときに、その都度の加速度センサ10の異常状態に応じて重み関数W(s)を再設定して、図7に示すブロック図に基づいて、ロードノイズの加振力d及び外乱である加振力dから音圧ベクトルSPL1へのH2ノルムを最小化するようにH2制御を用いて第3伝達関数演算部54の伝達関数C(s)を再設計すれば、異常のある加速度センサ10の周波数帯を用いずに音圧ベクトルSPL1を低減する伝達関数C(s)が得られる(H2制御に関しては、Active Structural Acoustic Control in a car cabin using a virtual sound sensing method、メンスレミシェル(日産自動車)、高松吉郎、出口欣高、屋代春樹、Dynamics and Design Conference 2006 (D&D2006)参照)。ここで、加速度センサ10が正常に動作している周波数帯では、重み関数W(s)を非常に小さくすることで、加速度センサ10の検出値に対する外乱が小さい、すなわち加速度センサ10が正常状態である時における動作を考慮した設計ができる。
このような設計モデルによって伝達関数C(s)に設計された騒音制御部42は、演算器46から供給された加速度信号αに基づいて、制御空間Pにおける騒音を最小とする制御指令値uを演算できる。
また、騒音制御部42は、詳細は後述するが、異常検出部43によって加速度センサ10の異常が検知された場合に、異常状態を表す信号が供給される。この時、騒音制御部42は、制御空間Pにおける騒音制御効果を低減させるものの、少なくとも異常が検出されない加速度センサ10を用いて騒音制御を行うために、新たに制御指令値uの演算を行う制御系の再構成を実行する。
異常検出部43は、A/D変換部41から供給された加速度情報αに基づいて、加速度センサ10の異常を検出する。異常検出部43が加速度センサ10の異常を検出した場合、その異常状態を表す信号は、騒音制御部42に供給される。また、異常検出部43は、加速度センサ10の異常を検知するために、テスト用振動を発生させるための制御指令値uを出力する。なお、この制御指令値uは、加速度センサ10の異常を判定するタイミングのみで出力される。
具体的には、異常検出部43は、何れかのピエゾアクチュエータ20によってテスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させたピエゾアクチュエータ20以外のピエゾアクチュエータ20によって当該テスト用振動による所定の空間の騒音を低減するような騒音低減波動を発生させる。そして、発生されているテスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて加速度センサ10により検出される振動を推定し、当該テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて加速度センサ10により検出される振動の推定値(振動推定値α2hat)と加速度センサ10により実際に検出された実測値である加速度信号αとの差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定する。
なお、この異常検出部43は、後述の図8を参照して説明する。
騒音制御部42では、加速度信号α(α、α、α、αを要素に持つベクトル)から後述するテスト用振動に基づいて推定した振動推定値αhatを差し引いた差異を表す信号(差異信号α)を演算器46から入力して、制御空間Pにおける騒音を低減するように制御指令値uを算出する。
騒音制御部42から出力された制御空間Pにおける騒音を低減する制御指令値uと、異常検出部43から出力されたテスト用振動を発生させるための制御指令値uとは、演算器47によって加算されて、D/A変換部44に供給される。
D/A変換部44は、騒音制御部42から出力された制御指令値uと異常検出部43から出力された制御指令値uの和をアナログ信号に変換する。変換されたアナログ信号は、増幅部31bを介してそれぞれのピエゾアクチュエータ20a,20b,20cを駆動させる。
図8に、異常検出部43の機能的な構成を表すブロック図を示すように、異常検出部43は、テスト用振動印加部61と、異常判定部62とを有する。異常検出部43は、テスト用振動印加部61が加速度センサ10の異常を検知するための制御指令値uを出力し、その制御指令値uに応じて加速度センサ10が振動を検知した結果としての加速度情報αに基づいて、異常判定部62が異常判定を行う。
テスト用振動印加部61は、テスト用振動を発生させる制御指令値uを出力する。異常判定部62は、このテスト用振動を発生させる制御指令値uによって検出される加速度情報αから加速度センサ10の異常を検出する。
テスト用振動印加部61は、例えば、加速度情報αと、予め内部に記憶したピエゾアクチュエータ20から制御空間Pへの周波数ωにおける伝達関数G SPL(ω)と、ピエゾアクチュエータ20から加速度センサ10への周波数ωにおける伝達関数G α(ω)とから、テスト用振動を発生させる制御指令値uを算出する。このテスト用振動を発生させる制御指令値uは、当該制御指令値uによってピエゾアクチュエータ20が振動を発生させたときに制御空間Pでの音圧増加が少なくなるように設計されている。
テスト用振動印加部61は、テスト用振動を発生させる制御指令値uに、少なくとも1つ以上の周波数成分を含める。この第1実施形態においては、テスト用振動印加部61は、単一の周波数成分のテスト用振動を発生させる制御指令値uを生成する。このテスト用振動を発生させる制御指令値uの周波数としては、可聴領域外の周波数を設定することによって、制御空間Pの音圧を気にすることなくテスト用振動を印加できる。但し、可聴領域以下の周波数でフロアパネル1に振動を発生させるためには、大きなピエゾアクチュエータ20のパワーが必要となる。また、可聴領域以上の周波数の制御指令値uでは、ピエゾアクチュエータ20から加速度センサ10への振動減衰が大きくなってしまい、加速度センサ10で十分にテスト用振動による振動を検出できない可能性があることや、加速度センサ10のサンプリング周期を短く取る必要があるために計算負荷が大きくなるなど、可聴領域外の周波数を使える場面は限られる。
テスト用振動印加部61は、それぞれのピエゾアクチュエータ20a,20b,20cごとに、テスト用振動を発生させる制御指令値uを生成して、演算器47に出力する。ピエゾアクチュエータ20a,20b,20cごとの制御指令値uは、当該それぞれの制御指令値uによって各ピエゾアクチュエータ20a,20b,20cを動作させて、それぞれのテスト用振動を発生させた場合に、テスト用振動に起因する制御空間Pにおける騒音をテスト用振動同士で相殺するように、周波数成分及び強度が演算される。
なお、テスト用振動印加部61は、車両に搭載された座席ごとに、乗員の有無を検知する乗員センサからのセンサ信号を受信して、乗員が着座していることが検知された座席における乗員頭部を囲む制御空間Pにおいてテスト用振動に起因して発生する騒音を低減させる制御指令値uを生成することが望ましい。
異常判定部62は、加速度センサ10のテスト用振動の実測値である加速度情報αと、テスト用振動を発生させる制御指令値uから推定した振動推定値αhatとの差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定する。この振動推定値αhatは、騒音制御部42によって制御空間Pにおける騒音を低減するために、演算器46にも供給される。
このような異常検出部43において、テスト用振動印加部61は、単一もしくは複数の周波数を有するテスト用振動を発生させるための制御指令値uを演算する。例えば、テスト用振動を正弦波振動とする。なお、この第1実施形態においては、単一周波数のテスト用振動を発生させる場合について説明する。
ここで、テスト用振動を発生させる制御指令値uと、テスト用振動を発生させたことによる制御空間Pでの音圧ベクトルSPL2との関係は、下記の式9で表される。
Figure 2009107475
また、テスト用振動を発生させる制御指令値uと、テスト用振動による加速度センサ10における振動推定値αとの関係は、下記の式10で表される。
Figure 2009107475
また、ある周波数ωにおけるテスト用振動を発生させる制御指令値u(ω)と、テスト用振動による制御空間での音圧ベクトル成分SPL2(ω)との関係は、下記の式11で表される。
Figure 2009107475
ある周波数ωにおけるテスト用振動を発生させる制御指令値u(ω)と、テスト用振動による加速度センサ10での周波数ωにおける振動推定値α(ω)との関係は、下記の式12で表される。
Figure 2009107475
よって、テスト用振動を発生させる制御指令値uは、制御空間Pにおいて低減させた周波数成分をωとして設定し、上記の式11を用いて、周波数ωにおける音圧ベクトルSPL2(ω)が十分小さくなるように設計される。これにより、騒音低減装置は、制御空間Pでの音圧上昇を抑えながら、加速度センサ10の異常を検知するテスト用振動を発生させて、加速度センサ10の異常を判定できる。
また、ピエゾアクチュエータ20によって振動を発生させながら、この振動による制御空間Pでの音圧を少なくするためには、少なくとも2つ以上のピエゾアクチュエータ20で振動を発生させる必要がある。そこで、加速度センサ10の異常を判定するためのテスト用振動を発生させるピエゾアクチュエータ20と、当該テスト用振動に起因する音を低減するピエゾアクチュエータ20との2種類の役割のいずれかを各々のピエゾアクチュエータ20に振り分ける必要がある。加速度センサ10の異常を判定するためのテスト用振動をf、当該テスト用振動に起因する音を低減する振動(騒音低減振動)をfとすると、このテスト波動fと騒音低減波動fと、テスト用振動を発生させる制御指令値uとの関係は下記の式13で表される。
Figure 2009107475
よって、上記の式9と式13とから、テスト波動fと騒音低減波動fと制御空間Pでの音圧ベクトルSPL2との関係は、下記の式14で表される。
Figure 2009107475
また、上記の式10と式13とから、テスト波動fと騒音低減波動fと加速度センサ10における振動推定値αとの関係は下記の式15で表される。
Figure 2009107475
よって、少なくとも1つのピエゾアクチュエータ20はテスト波動を出力するために使用されるので、m個のテスト波動を設定した場合にp個の制御空間Pにおける音をゼロにするためには、伝達関数G SPL(s)をフルランクとし、テスト用振動に起因する音を低減させるピエゾアクチュエータ20の数nを、制御空間Pの数とテスト用振動の数との和(p+m)以上とすることが望ましい。したがって、テスト用振動を発生させる制御指令値uの決め方は、次の3つの場合で異なる。
(i)p=n−m
(ii)p>n−m
(iii)p<n−m
以下、これら3つの場合について、テスト用振動の数m=1の場合を説明する。
(i)p=n−1の場合、騒音低減波動を出力するピエゾアクチュエータ20の数n(3個)と制御空間Pの数が同じとなる。テスト用振動印加部61によってテスト用振動を発生させる制御指令値uを求める場合、テスト用振動印加部61は、図9に示すように、先ずステップS1において、各々のピエゾアクチュエータ20が振動を発生させることができる余裕代fと、各々の加速度センサ10が振動を検知できる余裕代αとを、制御空間Pの騒音を低減させる振動を発生させるための制御指令値u及び加速度信号αから算出する。
ピエゾアクチュエータ20が振動を発生させることができる余裕代fは、予め設定されているピエゾアクチュエータ20出力制限値から、現時刻から所定時間前までにおける制御指令値uの最大値を差し引いた数値である。なお、このピエゾアクチュエータ20出力制限値から現時刻から所定時間前までにおける制御指令値uの最大値を差し引いた数値に、所定の安全率を乗算して余裕代fを小さくしても良い。
また、加速度センサ10が振動を検知できる余裕代αは、加速度センサ10の検出制限値から、現時刻から所定時間前までにおける加速度情報αの最大値を差し引いた数値である。なお、加速度センサ10の検出制限値から、現時刻から所定時間前までにおける加速度情報αの最大値を差し引いた数値に、所定の安全率を乗算して余裕代αを小さくしても良い。
次のステップS2においては、テスト用振動印加部61によって、例えば正弦波の振幅といったテスト用振動fの大きさを、当該テスト用振動fを出力するピエゾアクチュエータ20の余裕代fに応じて仮設定する。例えば、テスト用振動fの大きさの仮設定値f1aは、余裕代fと同じ値に設定する。なお、テスト用振動fのテスト用振動を出力するピエゾアクチュエータ20は任意に決めてよいが、余裕代fに応じて決めてもよい。
次のステップS3においては、テスト用振動印加部61によって、騒音低減波動fの大きさを仮決定する。例えば、上記の式14において制御空間Pでの音圧ベクトルSPL2をゼロと仮定すると、下記のような式16が得られる。
Figure 2009107475
また、p=n−1の場合には、騒音低減波動fを出力するピエゾアクチュエータ20の数と制御空間Pの数とが同じとなるため、ピエゾアクチュエータ20が騒音低減波動fを発生させた時に制御空間Pに与える音を求める伝達関数のG SPL(s)Fは、正方行列である。よって、式16を用いて、テスト波動fの仮設定値f1aから騒音低減波動fの仮設定値f2aが、下記の式17のように得られる。
Figure 2009107475
更に、p=n−1の場合には、ピエゾアクチュエータ20が騒音低減波動fを発生させた時に制御空間Pに与える音を求める伝達関数のG SPL(s)がフルランクならば理論的には制御空間Pでの音圧上昇をゼロにできる。
次のステップS4においては、テスト用振動印加部61によって、テスト波動fの仮設定値f1aと騒音低減波動fの仮設定値f2aが出力されたときの、これら異常検知周波数における加速度センサ10によって検出される振動加速度上昇度合いα2gを、テスト用振動fの仮設定値f1aと騒音低減波動fの仮設定値f2aとから、上記の式15を用いて、下記の式18のように算出する。
Figure 2009107475
次のステップS5においては、テスト用振動印加部61によって、ステップS4において推定した加速度センサ10によって検出される振動加速度上昇度合いα2gが、ステップS1にて計算した加速度センサ10の余裕代αより小さいか否かを判定し、更に、ステップS6においては、テスト用振動印加部61によって、テスト用振動fの仮設定値f1a、騒音低減波動fの仮設定値f2aがピエゾアクチュエータ20の余裕代fより小さいか否かを判定する。
そして、ステップS5の判定及びステップS6の判定が、共に肯定判定である場合、テスト用振動fの仮設定値f1aをテスト用振動の大きさに決定して処理を終了する。一方、ステップS5の判定及びステップS6の判定の何れかが否定判定である場合には、ステップS7に処理を進める。
ステップS7においては、テスト用振動印加部61によって、テスト用振動fの仮設定値f1aを等倍率で低減させて、ステップS4に処理を戻す。これによって、テスト用振動印加部61は、加速度センサ10の検出値を飽和させることを回避した大きさの制御指令値uによってテスト用振動を発生させて、異常判定部62によって加速度センサ10の異常を判定することができる。
つぎに、(ii)p>n−1の場合は、制御空間Pの数が騒音低減波動fを出力するピエゾアクチュエータ20の数より多くなる。この場合、テスト用振動印加部61は、図9におけるステップS3のテスト用振動fの仮設定値f1aの決定処理以外は、上述した(i)p=n−1の場合と同じである。
このステップS3においては、テスト用振動印加部61によって、上記の式14における制御空間Pの音圧ベクトルSPL2をゼロと仮定すると、下記の式19が得られる。
Figure 2009107475
ただし、(ii)p>n−1の場合には、制御空間Pの数に対して騒音低減波動の数が少ないため、音圧上昇をゼロにできない場合が多い。そこで、音圧上昇が最小になるように騒音低減波動を設定すればよい。例えば、ピエゾアクチュエータ20が騒音低減波動fを発生させた時に制御空間Pに与える音を求める伝達関数のG SPL(s)Fは縦長の行列であるから、下記の式19を用いて、テスト波動fの仮設定値f1aから、騒音低減波動fの仮設定値f2aが下記の式20のように得られ、音圧上昇を最小化する騒音低減波動fの仮設定値f2aが得られる。
Figure 2009107475
そして、テスト用振動印加部61は、ステップS3にて演算した騒音低減波動fの仮設定値f2aを、ステップS6においてピエゾアクチュエータ20の余裕代fと比較して、騒音低減波動fを設定することができ、更に、ステップS2において演算したテスト用振動fの仮設定値f1aによってテスト用振動を発生させる制御指令値uを設定することができる。
つぎに、(iii)p<n−1の場合は、制御空間Pの数が騒音低減波動fを出力するピエゾアクチュエータ20の数より少なくなる。したがって、ピエゾアクチュエータ20が騒音低減波動fを発生させた時に制御空間Pに与える音を求める伝達関数のG SPL(s)がフルランクであれば、理論的には制御空間Pでの音圧上昇をゼロにできる。しかし、騒音低減波動fの自由度が多いため騒音低減波動fが一意に決まらない。
そこで、テスト用振動印加部61は、例えば、(i)p=n−1になるようにピエゾアクチュエータ20の数を絞り込んでテスト用振動を発生させる制御指令値uを求めることが望ましい。又は、p=n−1となるように複数のピエゾアクチュエータ20の組を設定して、各々の場合でp=n−1の場合にテスト用振動fと騒音低減波動fとを算出して、それらを重ね合わせればよい。また、p/(n−1)が整数ではない場合、1つのピエゾアクチュエータ20で複数のテスト用振動fの重ね合わせが必要になる。そこで、ピエゾアクチュエータ20の出力最大値を超える制御指令値を算出するという、ピエゾアクチュエータ20の飽和状態を回避するためにも、重ね合わせが必要なピエゾアクチュエータ20を、当該ピエゾアクチュエータ20の余裕代fの大きな順に選択することが望ましい。
各々の組み合わせにおけるテスト用振動を発生させる制御指令値uの設定手順は、p=n−1の場合と同じである。しかし、図9における処理のステップS4において、テスト用振動印加部61は、すべての組のテスト用振動を加算した上で振動加速度上昇度合いα2gを算出する。これによって、ステップS5、S6及びステップS7における加速度センサ10に検出最大値を超えるような振動を与えることなく、且つ、ピエゾアクチュエータ20に最大出力を超える振動を発生させる制御指令値を供給することを回避させることができる。
このように、テスト用振動印加部61は、制御空間Pの数とピエゾアクチュエータ20の数との関係に関わらず、加速度センサ10の異常を検知するためのテスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させることができる。
なお、テスト用振動印加部61は、車両に搭載された座席ごとに、乗員の有無を検知する乗員センサからのセンサ信号を受信して、乗員が着座していることが検知された座席における乗員頭部を囲む制御空間Pにおいてテスト用振動に起因して発生する騒音を低減させる制御指令値uを生成することが望ましい。
また、加速度センサ10で検出される加速度情報αには、テスト用振動を発生させる制御指令値uに従ってピエゾアクチュエータ20が動作したことによって加速度センサ10で検知される加速度以外に、タイヤ2の加振力による加速度及び制御指令値uに従ってピエゾアクチュエータ20がフロアパネル1を振動させた結果に基づく加速度が含まれる。このため、テスト用振動を発生させる制御指令値uに従ってピエゾアクチュエータ20が発生させた加速度以外の加速度成分は、異常を検知するためのテスト用振動に対するノイズだと考えられる。特に、車両の走行中などのノイズが大きい場合には、加速度センサ10の異常を検知する精度が低下する可能性がある。これに対して、テスト用振動印加部61は、ピエゾアクチュエータ20が振動を発生させることができる余裕代f及び加速度センサ10が振動を検知できる余裕代αを設定して、ピエゾアクチュエータ20によって発生させるテスト用振動の大きさ余裕代fと同じように設定することができ、できる限り高い実測値を加速度センサ10によって得ることができる。これによって、加速度センサ10によって検出される振動レベルを、ノイズに対して十分大きくすることができ、車両の走行中においても正確な加速度センサ10の異常判定を行うことができる。
このようにテスト用振動印加部61によってテスト用振動を発生させたことに対して、加速度センサ10が加速度情報αを検知した場合、異常判定部62は、テスト用振動を発生させる制御指令値uから、上記の制御指令値u及びピエゾアクチュエータ20から加速度センサ10への伝達関数G α(s)と加速度情報αとの関係を示す式10又は式12を用いて、制御指令値uに基づく振動推定値αhatを算出する。
テスト用振動を発生させる制御指令値uの大きさをピエゾアクチュエータ20が振動を発生させることができる余裕代fまで十分大きくしたので、加速度センサ10の実測値αが、上記式10又は式12によって求めた振動推定値αhatにほぼ等しいとなる。したがって、異常判定部62は、加速度センサ10によって検出した実測値αと、演算した振動推定値αhatとの差異が所定値以上となった加速度センサ10については、異常であるものと判定する。
この異常判定部62を異常と判定する所定値は、例えばノイズによる実測値αと振動推定値αhatとの差異を考慮して設定すればよく、車速が高いほどロードノイズ加振力によるノイズは大きくなるので、図10に示すように、車速が高いほど、加速度センサ10を異常であるとする所定値を大きくする。また、この所定値は、加速度センサ10のテスト用振動の検出値及び騒音低減波動の検出値を除く振動検出値が低いほど小さくしても良い。これにより、テスト用振動及び騒音低減波動以外による加速度センサ10の実測値が小さいほど、ノイズによる差異が小さくなることを考慮して所定値を小さくするので、加速度センサ10の異常が検知できない不感帯を小さくでき、加速度センサ10の異常検出ミスを減少させることができる。
また、異常判定部62は、異常判定を行っている全ての加速度センサ10を同時に異常と判定した場合には、加速度センサ10ではなくピエゾアクチュエータ20の異常と判定しても良い。この理由は、1つのピエゾアクチュエータ20の振動が、複数の加速度センサ10で検出されるので、ピエゾアクチュエータ20が異常の場合には一部の加速度センサ10ではなくすべての加速度センサ10で実測値αと振動推定値αhatとの差異が大きくなるからである。
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置によれば、加速度センサ10の異常を判定するために、ピエゾアクチュエータ20によってテスト用振動を発生させた時に加速度センサ10によって検出される振動推定値αhatと、加速度センサ10の実測値である加速度情報αとの差異を演算し、且つ、テスト用振動によって制御空間Pに発生する騒音を低減させるので、騒音低減効果を低減させることなく、振動検出センサの異常を検知することができる。
また、この騒音低減装置によれば、テスト用振動として、単一の周波数成分からなる振動を発生させるので、走行中におけるロードノイズ振動によるセンサ加速度検出値など、異常検知の観点からはノイズとされる加速度信号に対して、異常検知信号による加速度信号を大きくでき、ノイズが少なくなるため異常検知の精度が向上する。
更に、この騒音低減装置によれば、図10に示したように、車両の車速が低いほど、加速度センサ10が異常であるという所定値を小さくするので、車速が小さいほどロードノイズ源の振動が小さく、ノイズによって加速度センサ10の実測値αと振動推定値αhatとの差異が小さくなることを考慮して所定値を小さくするので、加速度センサ10の異常が検知できない不感帯を小さくでき、加速度センサ10の異常検出ミスを減少することができる。
更にまた、この騒音低減装置によれば、異常判定部62によって異常であることが判定された加速度センサ10以外の加速度センサ10によって検出されたフロアパネル1の振動に基づいて、制御空間Pに発生する騒音を低減するような振動を発生させるようにピエゾアクチュエータ20を制御するので、異常のある加速度センサ10によって又は異常のある周波数帯の信号を用いないように制御系を再構成することができる。これにより、加速度センサ10の異常時の外乱による振動低減効果の悪化を抑えられるとともに、加速度センサ10の異常判定に使用できない周波数を、制御空間Pの騒音低減波動として利用することができるので、加速度センサ10が異常である時の騒音低減効果の減少を少なくできる。
更にまた、この騒音低減装置によれば、車両に搭載された座席ごとに、乗員の有無を検知する乗員検知手段を備えて、乗員頭部を囲む空間においてテスト用振動に起因して発生する騒音を低減させるので、乗員のいる制御空間Pのみにおいて騒音を低減をすればよく、ピエゾアクチュエータ20の自由度を多く使えるようになり、乗員位置での騒音低減効果を向上させることができる。
なお、上述した騒音低減装置においては、異常判定部62によって、更に精度良くテスト用振動を発生させた時に加速度センサ10によって検出される加速度成分を抽出できるようにすることが望ましい。
この騒音低減装置は、テスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させた時の加速度情報αからテスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させていない時の加速度情報αを引き算する。これにより、騒音低減装置は、ピエゾアクチュエータ20によってテスト用振動を発生させた時に検出した加速度情報αに含まれるノイズをさらに少なくし、テスト用振動による加速度成分を精度よく抽出できる。
但し、異常判定部62は、テスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させた時の加速度情報αと、テスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させていない時の加速度情報αとは同じ時刻に計測できないので、テスト用振動の周波数を時間的に変化させる。そして、現在のテスト用振動の周波数ωnにおいて、当該ωnの周波数でテスト用振動を出力している間の加速度情報αの周波数ωn成分から、テスト用振動の周波数がωnになる直前の時間帯における加速度情報αの周波数ωn成分を引いた成分を、加速度センサ10の実測値である加速度情報αの周波数ωn成分とし、当該実測値の周波数ωn成分とテスト用振動による振動推定値αhatの周波数ωn成分との差異と所定値とを比較して、加速度センサ10の異常判定を行う。
ここで、異常判定部62は、車両が定常状態である場合に、加速度センサ10の異常を判定することが望ましい。この車両の定常状態とは、例えば、運転者によるアクセルやブレーキやステアリングの操作がなく、車両直進時で車速一定の状態などが挙げられる。車両の定常状態において加速度センサ10の異常判定を行うことにより、テスト用振動による加速度情報αの周波数ωn成分の時間的な変化が少ない状態で加速度センサ10の異常判定を行うことができ、テスト用振動のみによる加速度情報αの周波数ωn成分を精度良く抽出できる。
[第2実施形態]
つぎに、第2実施形態に係る騒音低減装置について説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第2実施形態に係る騒音低減装置は、複数の周波数成分のテスト用振動を用いて加速度センサ10の異常を判定する。このようにテスト用振動として複数のテスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させる処理は、テスト用振動印加部61によって行われる。
上述した騒音低減装置において、テスト用振動に含まれる周波数の数を増やすと、複数の周波数のテスト用振動が加速度センサ10によって重畳して検出されるため、テスト用振動に含まれる周波数の数が多いほど、1つの周波数成分における加速度信号αのレベルが小さくなる。
一方、複数の周波数成分をテスト用振動に含めることにより、一度に複数の周波数成分の加速度信号αを得て、加速度センサ10の異常を判定できる。このため、例えば所定の周波数帯域において等間隔で周波数成分をテスト用振動に含めると、時間的にテスト用振動に含める周波数を変化させて所定の周波数帯域の全域に亘るテスト用振動によって加速度センサ10の異常を判定するために要する時間が、テスト用振動に含める周波数の数が多いほど、短くなる。このように、テスト用振動に含める周波数の数を多くするほど、ノイズに対する耐性が低下するが、異常判定に要する時間が短くできるという、トレードオフの関係がある。
そこで、第2実施形態に係る騒音低減装置は、例えば、テスト用振動に対するノイズ成分が小さい状態ほど、テスト用振動に含める周波数の数を増加させる。このテスト用振動に対するノイズ成分が小さい状態とは、一般に、車速が低いほどロードノイズ加振力は小さいので、図11に示すように、車速が低いほどテスト用振動に含める周波数の数を多くする。
但し、テスト用振動に含める周波数の数を設定する処理は、これに限定されず、複数の周波数を用いて行っていれば良い。例えば、テスト用振動印加部61は、加速度センサ10によって検出されたテスト用振動及び騒音低減波動以外のロードノイズに相当する加速度信号αが小さいほど、テスト用振動に含める周波数の数を多くしても良く、路面の凹凸状態を検出するセンサ(図示せず)から供給された路面の凹凸が小さいほどテスト用振動に含める周波数の数を多くしても良い。
以上説明したように、第2実施形態に係る騒音低減装置によれば、所定の周波数帯域において離散された複数の周波数を選択し、当該選択された複数の周波数を含むテスト用振動を発生させて、各周波数のテスト用振動ごとに加速度センサ10の異常を判定するので、同時に異常検知できる周波数が広げたり、時間的にテスト用振動の周波数を変化させる際の変化させる周波数範囲を狭くすることによって、加速度センサ10の異常検知に要する時間を短縮できる。
また、この騒音低減装置によれば、加速度センサ10のテスト用振動の検出値及び騒音低減波動の検出値を除くロードノイズ等の加速度信号αが低いほど、テスト用振動に含める周波数の数を増加させるので、テスト用振動に含まれる周波数成分ごとのS/N比を維持することができ、且つ加速度センサ10の異常検知に要する時間を短くできる。また、ノイズが大きいほどテスト用振動に含まれる周波数の数を減らして、テスト用振動に含まれる各周波数成分の振動レベルを上げて加速度センサ10によって検出される加速度信号αのS/N比を向上できる。
更に、この騒音低減装置によれば、車速が低いほど、テスト用振動に含める周波数の数を増加させるので、車速が低いほど小さくなるロードノイズを考慮して、テスト用振動に含まれる周波数成分ごとのS/N比を維持することができ、且つ加速度センサ10の異常検知に要する時間を短くできる。
更にまた、この騒音低減装置によれば、所定の周波数帯域において均等な周波数間隔の周波数を選択して、複数の周波数を含むテスト用振動動をピエゾアクチュエータ20によって発生させるので、加速度センサ10の異常を検知するテスト用振動における周波数的な偏りを少なくできるとともに、所定の周波数帯域の全域にわたる加速度センサ10の異常を検知する場合に要する時間を最も短くできる。
更にまた、この騒音低減装置によれば、所定の周波数帯域において選択した複数の周波数を所定期間ごとに切り換えるようにピエゾアクチュエータ20によってテスト用振動を発生させて、周波数が異なるテスト用振動を発生させるごとに、加速度センサ10の異常を判定することもでき、テスト用振動の周波数を制御帯域内で時間的に変化させることで、制御帯域全体にわたる周波数毎に加速度センサ10の異常を判定することができる。
更にまた、この騒音低減装置によれば、ある周波数において異常のある加速度センサ10が存在しても、異常のない周波数帯におけるテスト用振動をピエゾアクチュエータ20によって発生させて、制御空間Pにおける騒音を低減させることができ、加速度センサ10の異常時における騒音低減効果の減少を少なくできる。
[第3実施形態]
つぎに、第3実施形態に係る騒音低減装置について説明する。なお、上述の実施形態と同様の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
第3実施形態に係る騒音低減装置は、テスト用振動を発生させずに、車両構造体に与えられている振動を検出して、加速度センサ10の異常を判定するものである。すなわち、騒音低減装置は、車両の加速時に、異常判定部62によって、車両の駆動力源が動作することによって発生して加速度センサ10により検出される振動を推定した推定値と、加速度センサ10により検出された振動の実測値との差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定するものであります。この車両の駆動源としては、エンジン3が挙げられ、当該エンジン3の振動を既知の振動として記憶しておいて、加速度センサ10によって検出される振動を推定する。
この騒音低減装置は、図12に示すように、エンジン3に接続されたエンジン制御部70を備える。このエンジン制御部70は、エンジン3の状態を示すエンジン状態信号を制御指令値算出部32に供給する。このエンジン状態信号は、クランク信号θ、点火情報などが挙げられる。制御指令値算出部32は、増幅部31aから供給された加速度信号とエンジン制御部70から供給されたエンジン状態信号とに基づいて、制御空間Pにおける騒音を低減する制御指令値を生成する。
制御指令値算出部32は、図13に示すように、異常検出部43によってエンジン状態信号に含まれるクランク信号θ、点火情報を入力する。異常検出部43は、エンジン制御部70からエンジンのクランク信号θと点火情報を入力し、外部の既知信号であるエンジン3の振動による加速度信号αを用いて、加速度センサ10の異常を判定する。
例えば、異常検出部43は、クランク角を表すクランク信号θと点火情報に応じて、エンジン3の振動dを推定する。このとき、異常検出部43は、エンジン3の振動を模擬した波形を時間的に伸び縮みさせるなどの処理を行って、エンジン3の振動を推定する。
そして、異常検出部43は、推定したエンジン3の振動dと加速度センサ10の加速度信号αとの関係を示す
α=Gde α(s)d
なる伝達関数を用いて、エンジン振動dの推定値を用いて、加速度センサ10によって検出される加速度信号を推定する。ここで、上記式におけるGde α(s)は、エンジン3の振動dから加速度センサ10に伝達される加速度αへの伝達関数である。
そして、異常検出部43は、推定した加速度信号と実際に検出された加速度信号αとの差異が所定値以上となった場合には、当該加速度センサ10が異常であると判定する。このような騒音低減装置において、加速度センサ10の異常を判定する精度を高めるためには、エンジン3の振動dが加速度センサ10に与える振動が、他の振動に対し十分大きいことが望ましい。したがって、騒音低減装置は、エンジン3の振動などの駆動力源の振動を用いる場合には、駆動力源の振動が大きくなる車両加速時に行うことによって、車両の駆動力源の振動に基づいて加速度センサ10の異常を判定する精度を高めることができる。
なお、車両における駆動力源としては、エンジン3に限らず、加速度センサ10によって検知できる振動であって、予め推定できるような振動であれば、推定値と加速度センサ10の実測値との差異が所定値を超えた時に、加速度センサ10の異常を判定することができる。
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第3実施形態に係る騒音低減装置によれば、車両の加速時に、車両の駆動力源が動作することによって発生して加速度センサ10により検出される振動を推定した推定値と、加速度センサ10により検出された振動の実測値との差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定するので、制御空間Pにおける騒音の原因となる振動以外の振動が大きくなる状況においても、駆動力源の振動を利用して加速度センサ10の異常を判定することができる。また、この騒音低減装置によれば、駆動力源の振動が大きく、テスト用振動を発生させても加速度センサ10の異常判定精度が低くなる状況であっても、加速度センサ10の異常判定を精度よく行うことができる。
また、第3実施形態に係る騒音低減装置のように、エンジン3の振動から推定した加速度信号と加速度センサ10の実測値との差異から加速度センサ10の異常を判定する処理は、上述した第1実施形態、第2実施形態に係る騒音低減装置であっても適用することができる。すなわち、異常検出部43は、車両の定常走行時には、テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて振動検出手段により検出される振動を推定する処理を行う。一方、車両の加速時には、テスト用振動を用いて加速度センサ10の異常を判定する処理に代えて、異常検出部43は、車両の駆動力源が動作することによって発生する振動から推定した推定値と、加速度センサ10により検出された振動の実測値との差異に基づいて、当該加速度センサ10の異常を判定する。
これによって、騒音低減装置は、車両の定常状態時、車両の加速時によって加速度センサ10の異常を検出する処理を切り換えることができる。したがって、例えば凹凸が多い道路や、山道を走行している車両の加速走行が多い状況であっても、加速度センサ10に異常が発生しても速やかに当該異常を検知することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明を適用した騒音低減装置の概略を説明する図である。 フロアパネルの構成を示す概略図である。 振動の伝達経路などを示す図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置における加速度センサ及びピエゾアクチュエータの配置例を示す図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置の概略を説明するブロック図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置における制御指令値算出部の内部構成を示すブロック図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音制御部の構成を示すブロック図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る異常検出部の構成を示すブロック図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置のテスト用振動印加部によってテスト用振動の大きさを設定する処理手順を示すフローチャートである。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置において、加速度センサを異常と判定する所定値と車速との関係を示す図である。 本発明を適用した第1実施形態に係る騒音低減装置において、テスト用振動に含める周波数成分の数と車速との関係を示す図である。 本発明を適用した第3実施形態に係る騒音低減装置の構成を示すブロック図である。 本発明を適用した第3実施形態に係る騒音低減装置における制御指令値算出部の内部構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 フロアパネル
2 タイヤ
3 エンジン
10 加速度センサ
20 ピエゾアクチュエータ
30 制御装置
31a,31b 増幅部
32 制御指令値算出部
41 変換部
42 騒音制御部
43 異常検出部
44 D/A変換部
46,47 演算器
51 第1伝達関数演算部
52 第2伝達関数演算部
54 第3伝達関数演算部
55 第4伝達関数演算部
56 第6伝達関数演算部
57,58,59 演算器
61 テスト用振動印加部
62 異常判定部
70 エンジン制御部
101 車軸
102 サスペンション
103 メンバ

Claims (16)

  1. 所定の制御空間における騒音を低減する騒音低減装置であって、
    構造体に配置され、当該構造体の振動を検出する複数の振動検出手段と、
    前記構造体に騒音低減用振動を印加する複数の波動印加手段と、
    前記振動検出手段によって検出された構造体の振動に基づいて、前記所定の制御空間に発生する騒音を低減するような振動を発生させるように前記波動印加手段を制御する制御手段と、
    前記何れかの波動印加手段によってテスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させた波動印加手段以外の波動印加手段によって当該テスト用振動による所定の空間の騒音を低減するような騒音低減波動を発生させ、前記発生されているテスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動を推定し、当該テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動の推定値と前記振動検出手段により実際に検出された実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定する異常判定手段と
    を備えることを特徴とする騒音低減装置。
  2. 前記異常判定手段は、前記テスト用振動として、単一の周波数成分からなる振動を発生させることを特徴とする請求項1に記載の騒音低減装置。
  3. 前記異常判定手段は、所定の周波数帯域において離散された複数の周波数を選択し、当該選択された複数の周波数を含むテスト用振動を発生させて、各周波数のテスト用振動ごとに前記振動検出手段の異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の騒音低減装置。
  4. 前記異常判定手段は、前記振動検出手段の前記テスト用振動の検出値及び前記騒音低減用振動の検出値を除く振動検出値が低いほど、前記テスト用振動に含める周波数の数を増加させることを特徴とする請求項3に記載の騒音低減装置。
  5. 前記構造体は、車両を構成する車両構造体であり、
    車速を検出する車速検出手段を備え、
    前記異常判定手段は、前記車速検出手段により検出された車速が低いほど、前記テスト用振動に含める周波数の数を増加させることを特徴とする請求項3に記載の騒音低減装置。
  6. 前記異常判定手段は、所定の周波数帯域において均等な周波数間隔の周波数を選択して、複数の周波数を含むテスト用振動動を前記波動印加手段によって発生させることを特徴とする請求項3に記載の騒音低減装置。
  7. 前記異常判定手段は、所定の周波数帯域において選択した複数の周波数を所定期間ごとに切り換えるように前記波動印加手段によってテスト用振動を発生させて、周波数が異なるテスト用振動を発生させるごとに、前記振動検出手段の異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の騒音低減装置。
  8. 前記異常判定手段は、前記波動印加手段によってテスト用振動を発生させた時に前記振動検出手段によって検出した振動から、前記波動印加手段によってテスト用振動を発生させていない時に前記振動検出手段によって検出した振動を除いた振動の周波数成分を当該振動検出手段が検出したテスト用振動の実測値であるとして、当該振動検出手段の異常を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  9. 前記構造体は、車両を構成する車両構造体であり、
    前記異常判定手段は、前記車両が定常状態である場合に、前記振動検出手段の異常を判定することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  10. 前記構造体は、車両を構成する車両構造体であり、
    前記異常判定手段は、前記車両の加速時には、前記テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動を推定する処理に代えて、前記車両の加速時に、車両の駆動力源が動作することによって発生して前記振動検出手段により検出される振動を推定した推定値と、前記振動検出手段により検出された振動の実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定することを特徴とする請求項1に記載の騒音低減装置。
  11. 前記異常判定手段は、テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動の推定値と前記振動検出手段により実際に検出された実測値との差異が所定値以上である場合に、前記振動検出手段が異常であると判定するものであり、前記振動検出手段の前記テスト用振動の検出値及び前記騒音低減用振動の検出値を除く振動検出値が低いほど、前記所定値を小さくすることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  12. 前記構造体は、車両を構成する車両構造体であり、
    前記異常判定手段は、テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動の推定値と前記振動検出手段により実際に検出された実測値との差異が所定値以上である場合に、前記振動検出手段が異常であると判定するものであり、前記構造体を備えた車両の車速が低いほど、前記所定値を小さくすることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  13. 前記制御手段は、前記異常判定手段により異常であることが判定された振動検出手段以外の前記振動検出手段によって検出された構造体の振動に基づいて、前記所定の制御空間に発生する騒音を低減するような振動を発生させるように前記波動印加手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  14. 車両に搭載された座席ごとに、乗員の有無を検知する乗員検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記乗員検知手段により乗員が着座していることが検知された座席における乗員頭部を囲む空間において前記テスト用振動に起因して発生する騒音を低減させることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか一項に記載の騒音低減装置。
  15. 車室内の所定の制御空間における騒音を低減する騒音低減装置であって、
    車両構造体に配置され、当該車両構造体の振動を検出する複数の振動検出手段と、
    前記車両構造体に騒音低減用振動を印加する複数の波動印加手段と、
    前記振動検出手段によって検出された車両構造体の振動に基づいて、前記所定の制御空間に発生する騒音を低減するような振動を発生させるように前記波動印加手段を制御する制御手段と、
    前記振動検出手段により検出される振動を推定した推定値と前記振動検出手段により実際に検出された実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定する異常判定手段とを備え、
    前記異常判定手段は、前記車両の加速時に、車両の駆動力源が動作することによって発生して前記振動検出手段により検出される振動を推定した推定値と、前記振動検出手段により検出された振動の実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定することを特徴とする騒音低減装置。
  16. 所定の制御空間における騒音を低減する騒音低減方法であって、
    構造体に配置された複数の振動検出手段によって、当該構造体の振動を検出するステップと、
    前記振動検出手段によって検出された構造体の振動に基づいて、複数の波動印加手段によって、前記所定の制御空間に発生する騒音を低減するような振動を前記構造体に対して発生させるステップとを有し、
    前記所定の制御空間に発生する騒音を低減させている最中に前記振動検出手段の異常を判定する時に、前記何れかの波動印加手段によってテスト用振動を発生させると共に、当該テスト用振動を発生させた波動印加手段以外の波動印加手段によって当該テスト用振動による所定の空間の騒音を低減するような騒音低減波動を発生させるステップと、
    前記発生されているテスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動を推定するステップと、
    当該テスト用振動及び騒音低減用振動に基づいて前記振動検出手段により検出される振動の推定値と前記振動検出手段により実際に検出された実測値との差異に基づいて、当該振動検出手段の異常を判定するステップと
    を有することを特徴とする騒音低減方法。
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