JP2009106893A - 吸着素子および冷凍サイクル装置ならびに吸着素子の製造方法 - Google Patents

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Takeshi Maekawa
武之 前川
Hiroyuki Morimoto
裕之 森本
Takeshi Sugimoto
猛 杉本
Tetsuya Yamashita
哲也 山下
Junichiro Hoshizaki
潤一郎 星崎
Koji Yamashita
浩司 山下
Fumio Matsuoka
文雄 松岡
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Abstract

【課題】大きな表面積で優れた吸脱着特性と高い熱伝導をもち、より低い温度で吸着性能を再生できる性能を実現する吸着素子などを提供する。
【解決手段】ハニカム構造またはコルゲート構造をなし、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金を材料とする構造体11を備え、円盤状に形成した吸着素子となるローター10であって、構造体11において吸脱着を行う水蒸気を含む空気が通過する面に、面に対して垂直な方向に、空気中の水蒸気の吸脱着を行うための複数の細孔が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気中の水蒸気を吸脱着する吸着素子、その吸着素子を有する除加湿装置および冷凍サイクル装置ならびに吸着素子の製造方法に関するものである。
所定の空間内の空気調和(空調)制御などをする際、デシカント(除湿)空調と呼ばれる湿度制御方法がある。これは、デシカント装置(除湿装置)を構成する吸着素子が有する吸着材によって、大気中に存在する水蒸気(水分)を吸着することで除湿を行い、湿度をコントロールして空調を行うものである。吸着材としては、例えばシリカゲル、ゼオライト、メソポーラスシリカなど無機系の吸着材がある。
上記デシカント装置では、一般に、連続して大気中の水蒸気の吸着/脱着ができるよう、吸着材を添着した円柱形のローターを吸着素子とし、吸着ゾーンと脱着ゾーンとに分割した同一面内で回転させる回転式デシカントローターが用いられている。回転式デシカントローターでは、回転しているローターに、吸着対象となる空気を連続通風して、吸着ゾーンにおける吸着材に水蒸気を吸着させると同時に、ヒーターなどの加熱手段を設置してローターの一部を高温に加熱することで脱着ゾーンにおける吸着材から水蒸気を脱着し、連続運転を実現している(例えば、特許文献1参照)。
また、大気中の温度を制御する方法として、熱伝導性の高いアルミニウム製のローターを用い、これを風路中で回転させることにより全熱または顕熱を排気から給気に熱回収する蓄熱式熱交換器が知られている。これは、低速で回転するローターが蓄熱をしながら外気と熱交換する方式で、工場やビルなどの冷房/暖房時に外気からの熱負荷を軽減させることが可能となる。蓄熱式熱交換器は、熱伝導性の高いハニカム状のローターと減速モーター駆動部、回転ベルトなどで構成されている。
特開平5−168840号公報
従来のデシカントローターは、ヒーター加熱に対する耐熱性や耐久性を考慮してオールセラミックス製が一般的であるが、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材や基材に使用されるセラミック繊維などのセラミックスは熱伝導性が悪い。そのため、大気中の連続して水蒸気の吸着/脱着する回転式ローターでは、吸着ゾーンと脱着ゾーンとの間に十分な温度差をつけることができず、本来の吸着量の水蒸気を吸着できないまま脱着ゾーンへ、あるいは、吸着した水蒸気に係る水分を完全に脱着できないまま吸着ゾーンへローターが回転してしまうことがあった。このような状態を防ぎ、十分な温度差を得るために、ローターの回転数を落とさねばならず、時間あたりの除湿量の向上が難しかった。
上記のように、従来の吸着材を添着したデシカントローターでは、ローター基材、バインダー、吸着材のいずれにもセラミック材料が用いられている。そして、ガラス繊維やセラミック繊維で形成されたローター基材の空隙に、粒子状の吸着材をバインダーで固定している。そのため、ローター基材(ガラス繊維やセラミック繊維)と吸着材とはバインダーを介して点接触しているにしか過ぎず、ローター回転時や運搬時の振動、あるいは、脱着の際の加熱/冷却の熱履歴によって、ローター基材から吸着材が脱離することが大きな問題となっていた。特に、吸着性能を向上させるために多量の吸着材をローター基材に添着させると、十分に基材に接着してない吸着材の割合が多くなり、吸着材が脱離する割合が増加する。また、吸着材が増えた分だけバインダー量を増加させると、吸着材の細孔がバインダーで閉塞されてしまい、期待していた吸着性能が得られないという問題があった。さらに、従来のデシカントローターのように、繊維状のローター基材に吸着材を添着すると、吸着材の細孔だけでなく、ローター基材のセラミック繊維と吸着材粒子の隙間やセラミック繊維同士の空隙にも水蒸気が吸着、あるいはブリッジングしてしまい、吸着材の細孔がもつ本来の吸着特性が十分に発揮できないという問題があった。
さらに、ローター基材や吸着材そのものの熱伝導性が悪く、ローターの厚み方向の位置によって熱勾配(温度分布)が生じてしまうため、ローターの入口側のようなヒーター近傍の吸着材は十分な水蒸気吸脱着が行われているものの、ヒーターから離れた部分にある吸着材はわずかな量の水蒸気が吸脱着するだけの繰り返しとなり、除湿装置全体の効率面で問題があった。また逆に、ローターの出口側における吸着材の吸着性能を十分に再生させるのに必要な温度となるようにヒーターがローターに与える熱量を多くすると、ヒーターに近いローター入口側の温度が必要以上に高温となり、エネルギーロスが増大して、省エネルギーの観点から問題があった。また、脱着時に必要以上に加熱してしまうと、吸着時においてローターの温度が十分に下がっていない状況となり、吸着ゾーンでの十分な吸着が行えずに吸着特性に悪影響を及ぼす結果となっていた。
これらの問題に対して、上記の特許文献1では、吸着素子を通気方向に少なくとも3つ以上に分割して、隣接する吸着材が添着した基材の間にヒーターを個別に埋めこんで、素子内部から効率よく加熱する方法が開示されている。しかし、回転するローター方式吸着素子の内部にヒーターを埋め込むことは構造的に非常に難しい。また、ヒーター加熱するための入力電力を要するため、ローターにおける吸着性能の再生に要するエネルギーの低減は実現できない。そのため、低温再生可能な特性など吸着材が本来持つ良好な特性を十分に発揮することができなかった。
そこで、本発明の目的は、基材に吸着材を添着する必要がなく、低い温度で吸着性能が再生する吸着素子およびその製造方法ならびに冷凍サイクル装置を得ることを目的とする。
本発明に係る吸着素子は、ハニカム構造またはコルゲート構造であり、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金を材料とする吸着素子であって、吸着素子の壁面に、毛管凝縮により空気中の水蒸気が吸脱着する複数の細孔が形成されている。
本発明によれば、アルミニウム素材をベースとしたハニカム構造またはコルゲート構造の壁面に水蒸気が吸脱着する細孔を形成するようにしたので、例えば従来のようにセラミックスを材料とするローターと比べて熱伝導性がはるかに良好である。さらに、ハニカム構造またはコルゲート構造が水蒸気の吸脱着を行うため、基材に吸着材を添着する必要がなく、吸着材が基材から脱離することのない吸着素子および冷凍サイクル装置を得ることができる。
図1は本発明に係るローター10を中心とした除湿装置の構成図である。まず、図1に基づいて、各実施の形態における本発明のローター10の構成、機能などについて説明する。除湿装置において、実際に水蒸気を吸脱着する吸着素子となるローター10は、円盤(円柱)状をしている。ローター10は、吸着構造体である構造体11と、ローター10の回転中心となるボア穴13および構造体11の外周部分に設けられた枠体(フレーム)12を有している。
構造体11は、ローター10において吸脱着に係る空気が通過し、水蒸気の吸脱着を行う部分である。ここで、構造体11の構造(形状)については、特に限定するものではない。例えばハニカム構造でもよいし、コルゲート(波)構造でもよい。図1に示すように、構造体11が露出している面(ローター10の円形面)に対して2つの風路がそれぞれ直交する方向に形成されるように設計する。例えば境界板(図示せず)などにより仕切ることで、一方の風路には湿潤空気21を導き、他方の風路には再生用空気31を導く。この仕切りに合わせた形で、構造体11は、吸着ゾーン11Aと脱着ゾーン11Bとに分割される。本実施の形態においては、構造体11において、60:40(3:2)の面積比で吸着ゾーン11Aと脱着ゾーン11Bとに分割されるようにする。
ここで、構造体11は、軽量であり、かつ熱伝導性が高いアルミニウム又はアルミニウムを含む合金を材料として構成するものとする。また、後に詳述するように、構造体11は空気が通過する面(アルミニウム両面)に細孔を有している。アルミニウムの構造体は軽量で熱伝導性が良好であり、例えば、蓄熱式熱交換器の回転式低圧損ローター基材(熱交換素子)として使用されているだけでなく、構造体のサンドイッチパネル芯材、オゾン分解用などの各種フィルター基材などにも用いられている。また、アルミニウムは金属の中でも高い熱伝導性をもつため、これをローター10のような吸着素子として用いることで、セラミックス製のローター基材に比べて極めて良好な熱特性を得ることができる。吸着材を必要とせず、アルミニウムを材料とする構造体11自体が水蒸気の吸脱着を行うため、熱の伝達がスムーズに行われるだけでなく、後述する陽極酸化処理を行うことで同じ程度の細孔径を有する細孔を多く形成することができ、容易に均一な細孔径をもつ細孔が得られる。セラミックなどのように、脆くないため、衝撃、振動などの物理的な負荷にも強く、破損しない。また、製品としても様々な厚みのものが用意されており、ハニカム、コルゲートなど、所望する構造に容易に加工することができる。そして、構造体11が有する細孔は、最も面密度が大きくなるように、陽極酸化処理により、空気が通過する面に対して直交する方向に形成する。
ボア穴13は、ローター10が回転する中心となる穴を形成する。ローター10を作成する際には、例えば、ボア穴13を中心として、構造体11となるシートを周回巻きして形成する。円筒(円柱)形状の枠体12は、構造体11を円筒内に固定し、補強するための補強リングである。枠体12の材料については特に限定するものではないが、構造体11と類似する吸脱着特性を有する材料または逆に水蒸気を吸着しない材料で形成することが望ましい。ここでは銅を材料とするものとする。そして、このような構成のローター10を、回転力伝達用ベルト15を介してモーターなどを有するローター駆動機構16が、ローター10に力を伝達して円周方向に一定速度で回転させるようにする。
このとき、空気調和をはかる目的の空間(以下、空調空間という)の湿潤空気21を例えば約1m/sの風速で導き、一定の速度で回転するローター10の構造体11の吸着ゾーン11Aを通過させ、湿潤空気21に含まれる水蒸気を吸着させるようにする。このようにして、吸着ゾーン11Aを通過した空気が乾燥空気22となって排出し、空調空間に戻される。これにより空調空間の除湿を実現する。
一方、別の風路においては、脱着ゾーン11Bとなる位置の近くに、再生用空気31を加熱するための面状ヒーター14を設ける。そして、導入した再生用空気31を面状ヒーター14により90℃に加熱して、脱着ゾーン11Bを通過させる。上記したように、加熱された再生用空気31により、構造体11の脱着ゾーン11Bの箇所において、吸着した水蒸気に係る水分の脱着が生じる。脱着に係る水蒸気は再生用空気31に含まれ、湿潤空気32となって脱着ゾーン17から排出される。ここで、面状ヒーター14については、構造体11に接触しないように設ける。また、特に限定するものではないが、ここでは面状ヒーター14により、脱着ゾーン11Bにおける構造体11を約50℃に加熱するものとする。なお、ここでは面状ヒーターと使った脱着方法について説明しているが、脱着に必要な加熱を行うことができれば、とくに面状ヒーターの個数や形状、または加熱方式などに限定するものではなく、熱交換器など熱源の近傍に構造体11を配置し、凝縮排熱を利用して脱着を行ってもよい。
本発明に係る吸着素子となるローター10は、空気が通過する構造体11に直接細孔を設け、その細孔に対象空間の環境下における空気中の水分(水蒸気)を吸着し、また脱着させる機能をもたせたものである。ここでは、水蒸気の相対圧力(相対湿度)が約0.3(30%RH)以上約0.9(90%RH)以下の範囲のいずれかの段階で、細孔において毛管凝縮現象が生じることにより、空気中に水蒸気として存在する水分の急峻な吸脱着が生じるようにする。
また、複数の細孔における吸着について考える。所定の相対圧力において効率よく吸着量を増大させるためには、その相対圧力において毛管凝縮を生じる細孔ができる限り多い方がよい。つまり、同じ直径を有する細孔が多い方がよい。ただ、ナノオーダーの細孔を形成において、すべての細孔を厳密に同じ直径にすることは困難である。
以上のことから、本発明においては、細孔の平均直径を約1nm以下約20nm以下(実際の適用について考えたときには、1nm以下10nm以下である方がよい)の範囲内で形成するようにし、かつ、除湿を行う対象空間の環境下にあるローター10の所定の範囲(例えばローター10(構造体11)全体)の、例えば約50%以上の細孔について、その直径が、平均直径を中心として約±2nmの範囲内に分布しているようにする。そして、ローター10における空気との接触面(伝熱面)に対して直交する方向に細孔を形成する。これにより、限られたローター10の構造体11の表面積に対して、最大の細孔容積を得られるようにする。また、例えば吸着材などのような不規則に細孔が形成されている場合に比べて、冷媒の熱の伝わり方にバラツキなどがなく、エネルギー的にも効率よく吸脱着を行うことができる。
ここで、毛管凝縮現象について説明する。凝縮現象とは、温度が下がった場合などに気体の一部が液体に相変化する現象である。例えば、細孔内部のような3次元的に制限された空間(毛管)では、界面で発生する表面張力のために、細孔内部の気体分子が分子同士で引き合うよりも、細孔壁に引かれるほうが安定な場合があり、この場合に細孔壁に引かれた気体分子は容易に液化(凝縮)することが知られている。気体分子が次々と液化していくことで、細孔内部は液体で満たされることになり、その数が多ければ、細孔内部を埋め尽くす大きな吸着量が期待できる。さらには、通常の気体分子の吸着現象では、細孔壁との相互作用で気体分子は強く吸着されているため、脱着する際には大きな脱着エネルギーが必要となる。これに対して、毛管凝縮で細孔内部に満たされた分子は比較的弱い脱着エネルギーで脱離が可能なことから、脱着に必要な入力エネルギーを小さくすることができ、特に繰り返し吸脱着を行うような場合にはエネルギー的に非常に有利となる特徴をもつ。
図2は毛管凝縮現象で得られる特徴ある吸着特性(脱着特性)を、吸着等温線(脱着に係るものも含む。以下同じ)として模式的に示した図である。吸着等温線とは、一定の温度(等温)条件下での各圧力(濃度)における平衡吸着時の吸着量を示したものである。図2では、縦軸が吸着物質(ここでは水分子である)の単位重量あたりの平衡吸着量[g/g](吸着とするが脱着も含むものとする。以下、単に吸着量という)を表し、横軸がその温度における飽和蒸気圧力を1とした場合の相対分圧(相対圧力)を表す。一般に、毛管凝縮を伴う吸着現象は、吸着時と脱着時で吸着量にヒステリシスをもつので、吸着時と脱着時でそれぞれ異なる特性をもつ吸着等温線となる。図2では、例として、吸着物質の相対圧力が0.3付近で細孔による吸着量が急峻に増大して、やがて、プラトー(横ばい)となる吸着等温線を模式的に示している。これは、吸着量の急峻な増大が見られる相対圧力領域(0.3付近)で毛管凝縮がはじまり、細孔内部は吸着に係る液体で満たされ、大きな吸着量が得られることで説明できる。
さて、図2のような急峻な吸着特性をもつ細孔の場合には、吸着物質の相対圧力が約0.3以上において吸着量が著しく増加することになる。そこで、周囲(その環境における)の相対圧力を約0.3以上にすれば、吸着物質を多量に、かつ、速やかに細孔に吸着させることが可能となる。相対圧力を大きくする効果的な方法は、吸着する細孔の周囲環境の温度を下げることである。例えばローター10の吸着時において、空気が通過する面を冷却することができれば、細孔付近の相対圧力が大きくなり、吸着量を増大させることができる。
また逆に、相対圧力が0.3以下では吸着量が著しく減少することになる。そこで、この場合には、周囲の相対圧力を0.3以下にすれば、吸着物質を細孔から逆に脱着させることが可能となる。同じく、相対圧力を小さくする効果的な方法は、細孔の周囲環境の温度を上げることである。例えば、図1に示すように、ローター10の脱着時において、面状ヒーター14などにより細孔を加熱すれば、脱着量を増大させることができる。
さて、吸着等温線がどのあたりの相対圧力領域で急峻に立ち上がるか、すなわち、どのあたりの相対圧力領域で毛管凝縮が生じるかは、細孔のサイズ(直径)に依存している。例えば図2の吸着特性をもつ細孔より小さくなった場合には、0.3よりも低相対圧力側で毛管凝縮が生じ、吸着量の増大が始まる(図2の一点鎖線)。大きくなった場合には、逆に0.3よりも高相対圧力側で毛管凝縮が生じ、吸着量の増大が始まることになる(図2の点線)。一般に、どの相対圧力領域で毛管凝縮が生じるかが吸着特性を大きく左右するが、両者の関係は次式(1)のケルビン式で示すことができる。毛管凝縮が発生する際の相対圧力(平衡圧)をP/P0 で示した場合の両者の関係を(1)式に示す。
Figure 2009106893
ここで、vl は凝縮分子体積、γは表面張力、θは毛細管に接触する際の角度、Rは気体定数(8.31[J/mol・K])、Tは絶対温度、rは細孔の半径を示している。この関係は水蒸気の場合にも成立し、ある相対圧力P/P0 に対して、水蒸気が毛管凝縮を生じるために必要な細孔の半径rを理論的に求めることができる。
図3は25℃における水蒸気の相対圧力と毛管凝縮が生じる細孔直径(細孔サイズ)の関係を示す図である。横軸は細孔直径[nm(ナノメートル)]、縦軸は25℃において毛管凝縮が発生する水蒸気の相対圧力、すなわち、25℃において毛管凝縮が発生する相対湿度を表す。図2より、例えば25℃において、例えば居住空間の一般的な条件である水蒸気の相対圧力0.5(相対湿度50%RH)の環境で毛管凝縮が生じるような細孔直径は約3nm(半径は約1.5nm)であることがわかる。また、年間を通して低湿度を要求される美術館などの空間では、水蒸気の相対圧力が0.3(相対湿度30%RH)の環境が必要とされる。このとき、毛管凝縮が生じるような細孔直径は約2.0nm(半径は約1.0nm)であることがわかる。
逆に言えば、対象とする環境下において、細孔内部で発生する毛管凝縮を利用して大きな吸着量を得るためには、その環境における相対圧力で毛管凝縮が起こるようなサイズの細孔を多く形成するように制御すればよい。具体的には、例えば、細孔の平均直径を1nm〜20nmの範囲内に形成するように制御し、かつ、50%以上の細孔の直径について、平均直径を中心として±2nmの範囲内に分布していれば十分な毛管凝縮が生じる。
ここで、必要以上に小さな細孔サイズにすると、毛管凝縮は生じるものの、毛管となる細孔の内容積が小さくなってトータルの吸着量が減少する。また、それだけでなく、細孔サイズが小さくなることで、細孔壁との相互作用が大きくなって強い吸着となり、その結果、脱着するために大きなエネルギーが必要となる。以上のことから、対象とする環境における水蒸気の相対圧力に最も適した細孔サイズが存在するといえる。例えば、1nm以下の細孔直径では水蒸気の相対圧力が0.1以上の環境でも毛管凝縮が生じる場合があるものの、細孔の容積が小さく十分な吸着量が得られないだけでなく、細孔壁との相互作用も強くなって、ゼオライト並に大きな脱着エネルギーが必要となってしまう。
一方、20nm以上の細孔直径では、水蒸気の相対圧力が0.9以上にならないと毛管凝縮が生じず、現実的な使用環境とはいえない。また、図2でもわかるように、水蒸気の相対圧力が0.9以上の相対圧力領域では、細孔サイズの依存性が少なくなるので、細孔直径を厳密に、かつ、均一(複数の細孔の直径をできる限り同じ程度にする)に制御すること自体、意味をもたなくなる。
これらのことから、本発明におけるローター10の構造体11に設ける細孔直径は、水蒸気の相対圧力が0.3以上0.9以下(相対湿度が30%RH〜90%RH)の範囲でそれぞれ毛管凝縮が生じる1nm以上20nm以下の範囲であることを特徴としている。
さらに、前出のように、細孔サイズにより毛管凝縮が生じる水蒸気の相対圧力が異なる。そのため、例えば、同じ伝熱面上にさまざまなサイズを有する細孔が混在すると、特定の環境下における湿度条件や温度条件で優れた吸着性能を得るサイズを有する細孔が減少するために十分な吸着能力を示すことができない。そこで、例えば、ローター10に設けた細孔の50%以上が、平均直径を中心として±2nmの範囲内のサイズを有するようにすることが望ましい。
次に細孔の深さについて説明する。毛管凝縮により細孔内に吸着できる水蒸気の量は細孔の深さにも依存する。そのため、本発明のローター10に設ける細孔の深さは1μm〜1000μm(1mm)の範囲であることを特徴としている。例えば、1μm以下の細孔の深さでは、毛管凝縮して吸着した液体(水分)を保持できる容積の絶対量が不足する。また、吸脱着の回数も増えるため効率的ではない。一方、1000μm以上の細孔の深さでは、ナノオーダーである細孔の直径に対して、約106 倍以上もの深さ/径の比をもつことになる。そのため、吸着時に水分子を細孔底部まで到達させ、脱着時に開口部から水分子を排出させるために長時間を要する。また、両面に細孔を形成するとなると、2000μm以上の厚さのアルミニウムが必要となるため、重量増、圧力損失を招き、現実的ではない。そして、細孔形成処理時間など、現実面をさらに考慮すると、5μm〜200μm(より具体的には100μm前後)の間で形成することが好ましいものと考えられる。
ここで、ナノオーダーの均一な細孔を安価に、かつ、制御よく形成することができる陽極酸化処理について説明する。特にアルミニウムの陽極酸化処理は、耐食性や意匠性を向上させるためのアルマイト処理として広く知られている。陽極酸化処理による方法は処理対象となる金属を陽極とし、不溶性電極を陰極として電解質溶液(以下、電解液という)中で直流電解操作を行うものである。通電することにより、陽極である金属の表面が酸化し、金属の一部がイオン化して電解液中に溶解する。その金属イオンが電解液中の水と反応して、金属酸化物を生成する。陽極酸化処理により得られる金属表面の形態は、金属酸化物がどのような電子伝導性を有するかによって変わる。特に、アルミニウム、ニオブ、タンタルなど、いわゆるバルブ金属と呼ばれる金属では、形成される酸化皮膜が電子伝導性に乏しいため、陽極酸化が進行するにつれて金属酸化物(アノード酸化皮膜。アルミニウムの場合にはアルミナ)が素地金属上に成長する。このとき、適当な電解質溶液(以下、電解液という)と電流および/または電圧の条件などを選択することによって、規則正しく成長した細孔構造を形成することができる。
図4は陽極酸化処理により形成された細孔断面構造の模式図である。図4(a)に示すように、陽極酸化処理により、表面にはアノード酸化皮膜41が形成される。アノード酸化皮膜41は、素地金属45に対して直交する方向に成長し、細孔42が形成された多孔質層部分43と金属に接するバリア層部分44からなり、六角セルの細孔構造を有している。
ここでは、図4(b)、図4(c)に示すように、ローター10の構造体11において空気が通過する面(アルミニウムの両面)に細孔を形成する。陽極酸化処理により構造体11に細孔を形成するにあたり、細孔の直径や単位面積当たりの細孔数および細孔径は、経験的に電極間の電圧および/または電流に比例することが知られている。例として、電気化学便覧 第5版(電気化学会編、丸善)p.449〜453には、次式(2)で示すように、細孔の直径2r[nm]と電極間の電圧Ea[V]との関係が示されている。
電圧Ea<15Vの場合、2r=13.9+0.21×Ea
電圧Ea>15Vの場合、2r= 4.2+0.84×Ea …(2)
この(2)式は経験式であり、必ずしもすべての陽極酸化処理に当てはまるものではない。また、陽極酸化される金属の表面状態や、陽極酸化処理で使用する電解液の種類や濃度、液温などに影響を受けるため、細孔直径の決定条件を一般化することは難しい。ただ、陽極酸化処理における電極間の電流や電圧を制御することで、所望する細孔直径を形成するための制御が可能であることを示している。
一方、細孔の深さもまた、陽極酸化処理における条件を適切に設定すれば制御することができる。前出のアルミニウムのように、アノード酸化皮膜が電子伝導性に乏しい場合、陽極酸化の駆動力となる電場は電子伝導性の高い方のバリア層に印加され、バリア層部分の厚さは一定で形成されていく。そして、多孔質層部分とバリア層部分の境界、すなわち、多孔質層の底部でのみ酸化が進行してアノード酸化皮膜が成長する。その結果、細孔の厚みは陽極酸化処理の時間または印加した電流量(皮膜に与えたクーロン量)とともに厚くなる。
本発明は上記の陽極酸化処理により、吸着対象となる水蒸気の相対圧力に最も適した細孔サイズと細孔の深さを得るため、陽極酸化処理の電流または電圧を変えることで細孔の直径サイズを、陽極酸化処理の時間または電極間に流れる電流量を変える(これによってクーロン量(電流×時間)が変わる)ことで細孔の深さを制御することができる。
通常、陽極酸化処理に用いる電解液には、硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸などの酸性溶液や、ホウ酸アンモニウムのような中性溶液、水酸化ナトリウムやリン酸ナトリウムなどのアルカリ性溶液などが使用される。ここで、水分の吸脱着に好適なナノオーダーサイズの細孔を形成するためには、陽極酸化処理の電解液に酸性水溶液を用いることが望ましく、特に、強酸である硫酸や塩酸が望ましい。
また、陽極酸化処理で形成したナノオーダーの細孔が、空気中の水蒸気や周囲の温度などで変質して封孔してしまわない(塞がってしまわない)ように、陽極酸化処理により細孔を形成した後、ただちに水の蒸発温度である100℃以上(より好ましくは約150℃以上)で熱処理して、水分を除去することで細孔構造を安定化させることが重要となる。
次に、ローター10が曝される、ある特定の環境における水蒸気の相対圧力に応じて毛管凝縮が生じ、かつ、十分な水分の吸着を行うことができるような細孔の必要条件について説明する。
ローター10が使用される、すなわち、湿度を制御する冷熱機器が使用される場所はさまざまである。例えば、一般的に人が活動する居住空間では、25℃における水蒸気の相対圧力が0.3〜0.6であることが知られている。近年、ビル管理法が制定され、温度:17〜28℃、相対湿度:40〜70%RH(水蒸気の相対圧力:0.4〜0.7)が基準として設定されるようになったため、さらに温度湿度管理の重要性が高まっている。また、食品加工を取り扱う工場などでは、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)管理の観点から、防カビや菌対策に食品に応じた低温・低湿度(例えば、5℃、30%RH以下など)の管理値が設定されている。さらに、美術館や博物館などは急激な温度変化による展示物の膨張/収縮や、60%RH以上の湿度環境になると急激に増加するカビの活動を抑制するために、展示室内の気温は20〜22℃、相対湿度は50%〜55%の一定値になるように設定されていることが多い。
このように、ローター10は、その環境におけるさまざまな温度・湿度条件で使用されているため、ローター10の構造体11に細孔を設け、その細孔に水蒸気を吸脱着させるには、それぞれの使用環境に対応させたサイズの細孔が必要となる。
例えば、居住空間に位置する空調機器のローター10が、前記の相対圧力範囲である0.5(相対湿度50%RH)の環境に曝された場合を考える。ローター10が有する細孔に毛管凝縮が生じるためには、(1)式より、細孔半径が約1.5nm、すなわち、細孔直径が約3.0nmの細孔サイズが必要となる。また、食品加工場など30%RH以下の低湿度環境が求められる空間では、同じく(1)式より、細孔半径が約1.0nm、すなわち、細孔直径が約2.0nmの細孔サイズが必要となる。
また、ローター10が使用される湿度領域によって吸着できる総吸着量は大きく異なる。例えば、前出のような、人が活動する居住空間の場合には、100〜200g(水蒸気)/h程度の速度で水蒸気が吸着できれば除湿効果が得られると見積もれる。つまり、毛管凝縮による除湿を実現するためには、空気中からワンパスで100〜200g(水蒸気)程度の水蒸気を吸着できればよい。ここで、全体の水分(水蒸気)の総吸着量は細孔の深さによっても決まる。例えば、3.0nm程度のサイズを有する細孔について、これだけの量の水分(水蒸気)をワンパスで吸着するには25〜50μm程度の細孔の深さがあればよいことになる。以上のことを踏まえて、以下、各実施の形態について説明する。
実施の形態1.
本実施の形態では、一般的な居住空間のような水蒸気の相対圧力で0.5(相対湿度50%RH)付近の環境下で使用することを前提に、その環境下において最も能力を発揮することができる吸着素子を作製する。ここでは、ハニカム構造にした構造体11を有するローター10を作製する。まず、材料(素材)となるアルミニウムとして、純アルミニウム箔(例えばJIS1060 グレード、厚み100μm以上を準備する。この純アルミニウム箔を六角形に折り曲げて稜辺の一部をエポキシ系接着剤で接着し、対向する2辺間の距離(セルサイズ)が例えば1.2mmとなるように、40mm厚のシート状ハニカムセルを作製する。
また、ハニカムセルは電気的にもすべてのセルが導通していた。次に、このシート状ハニカムセルから、直径200mmの円盤を切り出して構造体11を作成する。そして、切り出した構造体11の周端部に銅製の補強リングである枠体12を取り付け、構造体11のハニカム構造を有する面に通風が可能なアルミニウム製のハニカム構造を有するローター10を作製する(ただし、この時点では細孔を形成していない)。
図5はローター10が有する細孔形成に係る処理工程のプロセスフローチャート例を表す図である。ここでは、図5の処理工程を中心に説明する。次に、ローターアルミニウムの表面に存在する有機物汚染を除去する目的で、ローター10を50℃に加熱した市販の脱脂溶液中に例えば2分間ディップ(浸漬)し、脱脂処理を行う(S1)。その後、イオン交換水による水洗処理を行う(S2)。
図6は陽極酸化処理に係る装置を中心として示した工程を表す模式図である。続いて、ローター10の表面に形成された自然酸化膜を除去する目的で、約60℃に加熱したアルカリ性エッチング溶液(例えば、濃度が1M(mol/l)のNaOH(水酸化ナトリウム)水溶液など)中に1分間ディッピングしてアルカリエッチング(ウェットエッチング)処理を行う(S3)。その後、イオン交換水による水洗処理を行う(S4)。次に、図6(a)に示すように、ウェットエッチングにより表面に生成した反応生成物(不純物、スマット)を除去する(デスマット)目的で、室温管理したデスマット溶液(0.5M−H2SO4(硫酸)溶液)51に30秒浸漬し、デスマット処理を行う(S5)。その後、同様にイオン交換水による水洗処理を行う(S6)。
図6(b)は陽極酸化処理に係る模式図を示している。1M−H2SO4水溶液の電解液65が電解槽(ウォーターバス)61内を満たしている。電解槽63により浴温を10℃にコントロールした後、直流電源61に接続され、電圧が印加されたローター10を陽極とし、例えば平面状の2枚のカーボン板64を陰極にして電解液62中に浸漬する。そして、両極間に1.0A/dm2 の定電流が流れるように定電流制御しながら陽極酸化処理を行う(S7)。ここでは、水洗処理後、ローター10を乾燥させることなく、反応初期の表面状態を維持するために、ホットスタート(あらかじめ両極間に電圧を印加しておき、電解液に浸漬すると同時に電流が流れる)により直ちに電解液62中に浸積し、陽極酸化を開始するものとする。そして、陽極酸化処理時間は20分とする。ローター10を中央にして、各カーボン板64がローター10の構造体11と対向するかたちで処理を行っているため、両面から同時に陽極酸化が進行することになる。
ここで、前出したように、形成される細孔の直径は、できる限り同じ程度のものが多い(均一である)方が望ましいため、構造体11(ローター10)全体の電流密度を均一にするようにするなどの対策を行うようにすることが望ましい。このため、例えば、陰極であるカーボン板64の大きさを構造体11(ローター10)と同じかそれ以上にする、電解液62の振動を抑えるなどにより、金属イオンの析出、反応が均一に起こるようにする。また、ローター65の両面を同条件で陽極酸化するため、ローター10と2つのカーボン板64との間におけるそれぞれの間隔を同じにする。
陽極酸化が進むにつれて、構造体11の表面に酸化物(アノード酸化皮膜)が成長し、界面抵抗が大きくなっていく。前出のように陽極酸化処理においては定電流制御を行っているため、両電極間の電圧は次第に上昇していく。
陽極酸化処理を終了すると、図6(c)に示すように、すぐにローター10を電解液62内から引き上げてイオン交換水71による水洗処理を行う(S8)。そして、水洗でローター10の表面に付着した水滴をブロワで吹き飛ばした後、陽極酸化により形成された細孔の構造を強化するため、図6(d)に示すように、ただちに、あらかじめヒーター82により加熱しておいたオーブン81(大気中)に入れる。ここでは、オーブン81内の温度を約150℃とする。そして、60分間の熱処理を行い、オーブンから取り出して徐冷する(S9)。このような方法で伝熱面となる部分に細孔を形成したローター10を作製することができる。
熱処理をした後、ローター10の中心部にΦ15mmの穴を開け、回転軸を通すためのボア穴13を回転中心位置に埋め込んで設置した。そして、ローター10の外周に回転力伝達用ベルト15を配設し、ローター駆動機構16と繋げて、回転力伝達用ベルト15を介して、前述したように、ローター10が30rphの一定速度で回転するような除湿装置を製造する。
ここで、ローター10の構造体11に形成した細孔の吸着特性を確認するために、陽極酸化処理と熱処理とを完了したアルミニウム製ハニカム片をサンプリングし、水蒸気と窒素の吸着等温線および細孔サイズ分布を測定した。まず、ローター10から切りだした10mm×10mmサイズの試験片をサンプル管に詰め、真空中で150℃×60分間の前処理を行った。
図7は実施の形態1におけるローター10の25℃における水蒸気吸着等温線を表す図である。室温まで真空中で徐冷した後、自動ガス/蒸気吸着量測定装置を使って、25℃における水蒸気の吸着等温線測定を行った。図7より、およそ水蒸気の相対圧力p/p0 が0.5付近で水蒸気吸着の急峻な立ち上がりがみられ、毛管凝縮が生じていることが確認された。また、断面SEM観察の結果、60分間の陽極酸化処理を行うことで、約80μmの深さの細孔が形成されており、十分な水蒸気吸着特性を示していることがわかった。
図8は細孔サイズの分布を表す図である。図8は相対圧力が0.5付近で毛管凝縮を示す、上記試験片における細孔サイズをBJH(Barrett-Joyner-Halenda)法により求めたものである。細孔分布は3.2nm付近で極大を迎えており、急峻な細孔分布ピークが得られていることから、細孔の50%以上が細孔直径3.2nm±2nmの範囲に含まれていることを確認した。
ここで、実施の形態1では、セルサイズが1.2mm、厚みが25μmの六角のハニカム構造にした円盤状の構造体11をローター10に用いた。そして、構造体11の材料となるアルミニウム両面に直径3nm程度の細孔を形成した。ただし、これらの数値に限定するものではなく、例えば、総水蒸気量や単位時間当たりの能力、圧力損失、風量などを考慮して適宜最適化するようにして構造体11(ローター10)を有する除湿装置を製造することができる。
ここで、従来使用されていたセラミック繊維を素材とする直径200mmのローター基材に、約0.7nmの細孔直径をもつY型ゼオライト粒子(平均粒径5μm)をアルミナ系無機バインダー(アルミナゾル)を用いて添着し、600℃×60分間の熱処理を行って、水蒸気の吸脱着を目的としたローターを作製した。
次に、このローターを実施の形態1と同様に、回転力伝達用ベルトを配設し、ローター駆動機構16と繋げて、ローターが一定速度で回転するような除湿装置を製造した。そして、この除湿装置により、上記で説明した方法と同様の方法で水蒸気の吸脱着試験を行った。
しかし、ヒーターによって脱着ゾーンを50℃に加熱するだけでは、加えた熱量のほとんどが比熱の大きなローター基材の加熱に使われてしまい、吸着エネルギーが大きなY型ゼオライト粒子からは、十分に水蒸気を脱着させることができなかった。
そこで、ヒーター温度を180℃まで上げて脱着ゾーンを加熱し、ローターの回転数を12rphにし、吸着ゾーンと脱着ゾーンの温度差が十分に得られるようにローターの運転条件を調整した。この場合には、1パスあたりの水蒸気の吸脱着量は増加したが、熱容量の大きなローターを高温に加熱するため、ヒーターによる大きな熱量の入力が必要となった。また、ローターの回転数も低下させたため、単位時間あたりの水蒸気の総吸脱着量は減少する結果となった。さらに、ローターの運転に伴い、ローターからはゼオライト粒子の脱離が確認され、ローターの経時安定性にも問題があった。
以上のように、実施の形態1によれば、アルミニウムをベースとした構造体11を有し、構造体11に水蒸気の吸脱着を行う細孔を複数形成するようにしたので、構造体11自体が、水蒸気を吸着する手段として機能し、例えばシリカゲルなどの粉末状の吸着材などのような特別な手段などを必要とせず、構造体11を通過する空気から水蒸気を吸着することができる。また、当然のことながら、ローター10(構造体11)は、アルミニウムの面に直接細孔を形成し、粒子である吸着材を有していないため、吸着材が剥離することがなく、衛生面などからも安全で管理を行いやすい。また、構造体11がハニカム構造であるため十分な強度を保持しており、これにより安定したローター10の形状と吸脱着特性を維持することができる。
また、実施の形態1によるローター10において、構造体11の材料をアルミニウムとしたので、熱伝導が良好で、暖まりやすく、かつ、冷えやすいために、吸着素子が脱着ゾーン11Bの面状ヒーター14を通過した空気により直ちに所定の温度(ここでは約50℃)に到達させることができ、効率よく熱が細孔に伝達されて、短時間で効率よく脱着を行うことができる。そして、吸着ゾーン11Aにおいても、直前の脱着ゾーン11Bにおいて面状ヒーター14により加熱された構造体11が、吸着ゾーン11Aで湿潤空気21が通過することで直ちに冷却されて所定の温度に戻って吸着を行うことができる。そのため、低エネルギーで、効率よく、水蒸気の吸着を達成することができる。このように、吸着ゾーン11Aと脱着ゾーン11Bの間の温度差が短時間で得られるため、ローター10の回転数を上げても十分に水蒸気を吸脱着することができ、ローター10を従来よりもさらに高速に回転させて運転することができる。したがって、単位時間あたりの水蒸気の吸脱着量をローター10の回転数に比例して増大させることができる。また、アルミニウムは加工が容易であり、構造体11を様々な構造(形状)、厚みに加工することができ、製品としても様々な厚さの平板等が用意されているため、例えば、ハニカム構造の開口面をそのまま円盤状に切り出して構造体11を作製するなど、任意の大きさや強度、圧損をもつローター10を作製することができる。
そして、水蒸気の相対圧力が約0.3〜約0.9の所定の範囲において、水分を吸脱着できるように、細孔の平均直径を約10nm〜約20nmにおいて形成し、その環境下における約50%以上の細孔について、その直径が、平均直径を中心として約±2nmの範囲内に分布するような直径にするようにし、また、所望する吸着量に合わせた深さを形成するようにしたので、環境下の相対圧力付近において吸着能力が最も高いローター10を有する除湿装置を得ることができる。細孔の深さは1μm〜1000μm(1mm)の範囲としたので、毛管凝縮して吸着した液体(水)を保持することができる。
また、ローター10に陽極酸化処理を行うことにより、面に対して略直交する方向に細孔を形成することができ、そのため、面密度を最大まで高めることができる。このとき、電解液として酸性水溶液を用いることでアルミニウムの溶解と細孔壁の酸化成長とのバランスがよく、所定の細孔直径を効率よく形成することができる。このとき、陽極と陰極との間に印加する電圧及び/又は流す電流を制御することで細孔の直径を所定の大きさにすることができる。また、陽極と陰極との間に流す電流及び所定の時間の少なくとも一方を制御することで、クーロン量を変化させ、細孔の深さを所定の深さにすることができる。そして、水の蒸発温度である100℃以上(より好ましくは約150℃以上)で熱処理することで、空気中の水蒸気や周囲の温度などで変質して封孔してしまわない(塞がってしまわない)ようにすることができる。
実施の形態2.
実施の形態1は、相対湿度50%RHの環境下で使用することを前提とした吸着素子であるローター10を作製するものであった。本実施の形態では、低湿度環境である水蒸気の相対圧力で0.3(相対湿度30%RH)付近で使用される場合を前提として、本発明のローター10を作製する。材料(素材)として耐食性に優れたアルミニウム合金箔(JIS5052 グレード、厚み500μm)を準備する。本実施の形態では、コルゲート構造にした構造体11を有するローター10を作製するものとする。そのため、上記のアルミニウム合金箔を直線状のライナー(板)と波状のコルゲート(板)に加工した後、シリコーン系樹脂接着剤で両者を点接着して、ピッチ2.4mm、高さ1.5mm、厚み50mmのコルゲート加工シートを作製する。
そして、このコルゲート加工シートをΦ15mmのボア穴13の周りに周回状に巻きつけながら、隣り合うシートのライナーとコルゲートを点接着し、直径200mmの円盤を作製する。そして、円盤の最外周部分には、銅製の補強リングとなる枠体12を取り付け、構造体11により形成した面に通風が可能なアルミニウム製のハニカム構造を有するローター10を作製する。
次に、実施の形態1と同様の方法で、コルゲート構造を有する構造体11のアルミニウム合金の両面に細孔形成を行う。まず、実施の形態1と同様の条件および溶液により脱脂処理、アルカリエッチング処理およびデスマット処理を行う(各処理の間には水洗処理も行う)。
さらに、細孔を形成するために陽極酸化処理を行う。ここで、実施の形態2においては、5℃に制御した2M−HCl(塩酸)水溶液を陽極酸化の電解液として使用して、両極間に1.0A/dm2 の定電流を流して90分間の陽極酸化処理を行うものとする。
陽極酸化処理を終了した後、実施の形態1と同様に、直ちにイオン交換水で水洗処理し、150℃に加熱しておいたオーブンで60分間の熱処理を行う。以上のような方法で実施の形態2においても、伝熱面となる部分に細孔を形成したローター10を作製することができる。
熱処理をした後、ローター10の中心部にΦ15mmの穴を開け、回転軸を通すためのボア穴13を回転中心位置に埋め込んで設置した。そして、ローター10の外周に回転力伝達用ベルト15を配設し、ローター駆動機構16と繋げて、回転力伝達用ベルト15を介して、ローター10が35rphの一定速度で回転するような除湿装置を製造する。
除湿装置を使って、相対湿度が30%の環境下で、導入した再生用空気31をヒーター19により加熱して、脱着ゾーン17を約75℃に加熱し、通過させる。このとき、脱着ゾーン11Bの構造体11において、吸着した水蒸気に係る水分の脱着が生じる。脱着に係る水蒸気は再生用空気31に含まれ、湿潤空気20となって脱着ゾーン17から排出することで、効率よく水蒸気の吸脱着を行うことができる。
図9は実施の形態2におけるローター10の25℃における水蒸気吸着等温線を表す図である。実施の形態1と同様に、室温まで真空中で徐冷した後、自動ガス/蒸気吸着量測定装置を使って、25℃における水蒸気の吸着等温線測定を行った。図4より、およそ水蒸気の相対圧力p/p0 が0.3付近で水蒸気吸着の急峻な立ち上がりがみられ、毛管凝縮が生じていることが確認された。また、断面SEM観察の結果、90分間の陽極酸化処理を行うことで、約140μmの深さの細孔が形成されており、十分な水蒸気吸着特性を示していることがわかった。
実施の形態3.
図10は本発明の実施形態3に係る空気調和装置の構成を説明する概略図である。本実施の形態では、空気調和装置を冷蔵倉庫の冷蔵、冷凍に適用する例を示す。図10において、空気調和装置は冷凍手段200と除湿装置300とを備える。また、例えば、圧縮機200aの駆動周波数、膨張弁200cの開度、ファン310a、310bの回転数などを制御する制御装置(図示せず)を有している。
冷凍手段200は、圧縮機200a、凝縮器200b、絞り装置である膨張弁200cおよび蒸発器200dを配管接続し、例えばHFC(ハイドロフルオロカーボン)系の冷媒であるR404Aを循環させて、空調空間内を冷却する。ここで、冷媒はR134a、R407C、R410A、自然冷媒などでもよい。
圧縮機200aは、冷媒を吸入して、その冷媒を圧縮して高温・高圧のガス状態にして冷媒配管に流す。凝縮器200bは、冷媒と外気との間で熱交換を行なって冷媒を凝縮液化する熱交換器である。膨張弁200cは、一般に減圧弁、電子式膨張弁等の膨張弁で構成されており、冷媒を減圧して膨張させるものである。蒸発器200dは、冷媒と空気との熱交換によって、その冷媒を蒸発させて気化させる。
また、除湿装置300は、前述の実施の形態1または2で説明した除湿装置であり、アルミニウムを材料とする構造体11に形成した細孔により水蒸気を吸脱着することができるローター10を有している。また、前述した回転力伝達用ベルト15およびローター10を一定速度で回転するためのモーターなどの駆動手段(図示せず)も有している。そして、本実施の形態では、外気空間側100aの空気である第1の空気400aをローター10へ供給するための第1の送風手段であるファン310aおよび空調空間である冷蔵室100bの空気である第2の空気400bをローター10へ供給するための第2の送風手段であるファン310bを有している。
ファン310aが回転することにより、第1の空気400aは、凝縮器200bと熱交換した後、構造体11の脱着ゾーン11Bを通過するように気流を形成する。そのため、凝縮器200bは、ローター10に対し第1の空気400aの風上側に配置される。また、ファン300bが回転することにより、第2の空気400bは、構造体11の吸着ゾーン11Aを通過した後、蒸発器200dと熱交換するように気流を形成する。そのため、蒸発器200dは、ローター10に対し第2の空気400bの風上側に配置される。
図11は実施の形態3における空気調和装置の動作を説明するための空気線図である。ここで、空調空間となる冷蔵倉庫内の冷蔵室100bについては、その気温である乾球温度が10[℃]、相対湿度が60%、絶対湿度が4.56[g/kg]であるものとする。一方、外気空間100aは、乾球温度が30[℃]、相対湿度が60[%]、絶対湿度が16.04[g/kg]であるものとする。なお、外気空間100aは開放された空間であり、調整を行ってはいないが、ここでは、乾球温度、相対湿度および絶対湿度が、それぞれ30[℃]、60%、および16.04[g/kg]に維持されるものとする。
次に、本実施の形態における空気調和装置1の動作について説明する。前述したように、ローター10における構造体11のうち、冷蔵室100b側に位置する構造体11が吸着ゾーン11Aとなり、外気空間100a側が脱着ゾーン11Bとなる。冷蔵室100b側に位置する構造体11(ローター10)の吸着ゾーン11Aを通過する第2の空気400bに対し、構造体11(除湿装置300)を通過する前における空気の状態を(1)とする。また、構造体11(除湿装置300)を通過した直後の空気の状態を(2)とし、蒸発器200dと熱交換した直後の空気の状態を(3)とする。さらに、外気空間100a側に位置する構造体11(ローター10)の脱着ゾーン11Bを通過する第1の空気400aに対し、凝縮器200bの風上側の空気の状態を(4)とする。また、凝縮器200bと熱交換した直後の空気の状態を(5)とし、ローター10の通過直後の空気の状態を(6)とする。
まず、図11に沿ってローター10が冷蔵室100b内の水蒸気を吸着する動作を説明する。状態(1)の空気は、乾球温度が10[℃]、相対湿度が60%、絶対湿度が4.56[g/kg]である。ローター10を通過する前の状態(1)の第2の空気400bは、吸着ゾーン11Aを通過することによって、等エンタルピー線に沿って、相対湿度が60%から例えば30%まで除湿される。また、絶対湿度は4.56[g/kg]から2.96[g/kg]まで除湿され、乾球温度は10[℃]から14[℃]まで上昇し、状態(2)の第2の空気400bとなる。ローター10は、相対湿度30%以上の領域では吸着できる水分量が大きいので、状態(1)の空気を除湿できる。そして、状態(2)の第2の空気400bは、蒸発器200dへ向かう。
状態(2)の第2の空気400bは蒸発器200dで熱交換され、絶対湿度が一定の状態で顕熱のみが除去されて冷却され、相対湿度が100%未満、乾球温度が−2[℃]である状態(3)の空気となる。ここで、蒸発器200dに着霜しないようにするために、蒸発器200dの蒸発温度が状態(3)の第2の空気400bにおける露点温度(本実施の形態では−2.96[℃])よりも高くなるように、制御装置は、膨張弁200cの開度、圧縮機200aの回転数、ファン310bの回転数(風量)などを調節している。状態(3)の第2の空気400bは冷蔵室100b内へ拡散され、冷蔵室100bの乾球温度を10[℃]に保つ。
一方、ローター10の構造体11が吸着ゾーン11Aにおいて吸着した水蒸気は、駆動手段(図示せず)により、外気空間側100aに位置する脱着ゾーン11Bに移動し、後述するように外気空間側100aにおいて脱着されることになる。
次に、図11に沿ってローター10の構造体11が吸着ゾーン11Aにおいて吸着した水蒸気を外気空間100aに脱着するための動作を説明する。状態(4)における第1の空気400aは、気温である乾球温度が30[℃]、相対湿度が60%、絶対湿度が16.04[g/kg]である。凝縮器200bを通過する前において状態(4)の第1の空気400aは、凝縮器200bを通過する際、凝縮器200bとの熱交換により冷媒の熱を吸収して絶対湿度が一定の状態で顕熱のみが加わる。そのため、乾球温度が43[℃]まで上昇し、相対湿度が30%まで除湿された状態(5)の第1の空気400aとなる。ここで、凝縮器200bの凝縮温度が43[℃]になるように、制御装置は、膨張弁200c、圧縮機200aの回転数、ファン310aの回転数などを調節する。状態(5)の第1の空気400aはローター10へ向かう。
そして、第1の空気400aがローター10を通過する際、吸着した水蒸気に係る水分を第1の空気400aに脱着する。これにより、状態(5)の第1の空気400aは、等エンタルピー線に沿って、相対湿度が30%から60%まで加湿され、絶対湿度が16.04[g/kg]から19.72[g/kg]まで加湿され、乾球温度が43[℃]から34[℃]まで低下した状態(6)の第1の空気400aとなり、外気空間側100aへ放出される。相対湿度が30%の空気内において、ローター10(構造体11)が保持できる水蒸気(水分)量は、相対湿度40%以上の空気内において保持できる水蒸気(水分)量よりも極端に少なくなる。そのため、相対湿度が30%である状態(5)の第1の空気400aがローター10を通過することで、外気側100aの空気に水分を放出することができる。
一方、ローター10の構造体11において、脱着ゾーン11Bにおいて脱着された部分はローター駆動機構16により、冷蔵室100b側に位置する吸着ゾーン11Aに移動する。この動作を繰り返すことにより、連続運転により空調空間である冷蔵室100b内を除湿する。
このようにして実施の形態3における空気調和装置では、除湿装置300により冷蔵室100b内を除湿し、さらに、除湿した後の第2の空気400bが、冷蔵室100bを低温に保つ蒸発器200dを通過するようにしたので、蒸発器200dの熱交換による空気の冷却により、水蒸気が蒸発器200dに着霜することを防ぐことができる。また、本実施の形態では、相対湿度が30%から40%の範囲において、毛管凝縮現象による吸脱着が行われるローター10を用いるようにしたので、凝縮器200bによる冷凍サイクルにおける凝縮排熱を用いて、吸着した水蒸気を脱着させることができる。ここで、吸脱着が行われる相対湿度を30%から40%としているが、ローター10に設ける細孔径を適切に選択することで、その範囲を適宜設定することができる。
このように、冷凍手段200と実施の形態1、2で説明したローター10を有する除湿装置300を組み合わせることで、従来、頻繁に発生していた除霜運転を行わずにすむため、消費電力を低減できる。このとき、前述したように、凝縮器200bの排熱を利用することができるので、ヒーターなどを用いることなく、消費電力を低減することができる。
上述の実施の形態では、主に除湿を行う装置について説明したが、特に限定するものではない。例えば、ローター10の構造体11について、脱着ゾーン11Bを空調空間側、吸着ゾーン11Aを外部の空間に位置するように配置する。そして、吸着ゾーン11Aにおいて吸着した水蒸気に係る水分を、脱着ゾーン11Bにおいて空調空間に脱着させるようにし、加湿装置として利用することもできる。
上述した実施の形態では、冷蔵庫に適用する空気調和装置への適用について説明したが、本発明は、冷暖房切換運転が可能な他の空気調和装置についても適用することができる。また、例えばヒートポンプ装置等、冷媒回路を構成する他の冷凍サイクル装置にも適用することができる。さらに、水蒸気の吸脱着について説明したが、水蒸気以外の他の気体の吸脱着についても本発明の吸着素子を利用することができる。
本発明に係るローター10を中心とした除湿装置の構成図である。 毛管凝縮現象による吸着等温線の模式図である。 細孔直径と毛管凝縮が生じる相対圧力の関係である。 陽極酸化により形成された細孔断面構造の模式図である。 実施の形態1に係る陽極酸化処理のプロセスフローである。 実施の形態1に係る陽極酸化処理装置の構成図である。 実施の形態1のローター10の水蒸気吸着等温線を表す図である。 実施の形態1に係る細孔直径の分布曲線である。 実施の形態1のローター10の水蒸気吸着等温線を表す図である。 実施の形態3に係る空気調和装置の構成を説明する概略図である。 実施の形態3における空気調和装置の動作を説明する空気線図である。
符号の説明
10 ローター、11 構造体、11A 吸着ゾーン、11B 脱着ゾーン、12 枠体、13 ボア穴、14 面状ヒーター、15 回転力伝達用ベルト、16 ローター駆動機構、21 湿潤空気、22 乾燥空気、31 再生用空気、32 湿潤空気、41 アノード酸化皮膜、42 細孔、43 多孔質層、44 バリア層、45 素地金属、51 デスマット溶液、61 直流電源、62 電解液、63 電解漕、64 カーボン板、71 イオン交換水、81 オーブン、82 ヒーター、100a 外気空間、100b 冷蔵庫、200 冷凍機、200a 圧縮機、200b 凝縮器、200c 絞り装置、200d 蒸発器、300 除湿装置、310a、310b ファン、400a 第1の空気、400b 第2の空気。

Claims (7)

  1. ハニカム構造またはコルゲート構造であり、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金を材料とする吸着素子であって、
    前記吸着素子の壁面に、水蒸気が吸脱着する複数の細孔が形成されていることを特徴とする吸着素子。
  2. 前記複数の細孔の平均直径が1nm以上20nm以下の範囲内にあり、かつ、50%以上の前記細孔の直径が、前記平均直径を中心として±2nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の吸着素子。
  3. 円盤状である請求項1または2のいずれか1項に記載の吸着素子及び該吸着素子を回転させる回転駆動機構を有する除加湿装置と、
    前記対象空間の内部において前記除加湿装置の風下に位置し、冷媒を蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器からの冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記対象空間の外において前記除加湿装置の風上に位置し、前記圧縮機により圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と
    を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
  4. アルミニウム又はアルミニウムを含む合金を材料とするシートを組み合わせて、ハニカム構造またはコルゲート構造を形成する工程と、
    前記ハニカム構造または前記コルゲート構造を円盤状に加工する工程と、
    前記ハニカム構造または前記コルゲート構造を陽極として、前記ハニカム構造または前記コルゲート構造と陰極とを電解液内に浸漬させ、前記ハニカム構造または前記コルゲート構造と前記陰極との間に、所定の時間、電流または電圧を印加して、前記ハニカム構造または前記コルゲート構造の壁面に複数の細孔を形成する陽極酸化処理を行う工程と、
    形成した前記複数の細孔が塞がるのを防ぐための熱処理を行う工程と
    を有することを特徴とする、水蒸気を吸脱着する複数の細孔を壁面に有する吸着素子の製造方法。
  5. 前記陽極酸化処理を行う前に、陽極酸化対象の表面の酸化物を除去するための酸処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の水蒸気を吸脱着する複数の細孔を壁面に有する吸着素子の製造方法。
  6. 前記陽極酸化処理において、酸性水溶液を前記電解液とすることを特徴とする請求項4または5のいずれか1項に記載の水蒸気を吸脱着する複数の細孔を壁面に有する吸着素子の製造方法。
  7. 100℃以上の熱を加えて前記熱処理を行うことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の水蒸気を吸脱着する複数の細孔を壁面に有する吸着素子の製造方法。
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