JP2009106159A - 融合ポリペプチド結合磁気微粒子による細胞分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便で細胞生存に対する悪影響のない、高収率且つ高純度で細胞を分離する方法の提供。
【解決手段】以下の工程:1)磁性細菌の磁気微粒子膜上に発現できるアミノ酸配列からなるポリペプチド;上記ポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞と結合し得る抗体を固定化する工程;2)該抗体を固定化した磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞を接触させる工程;3)該標的細胞と結合した磁気微粒子を磁気回収する工程、を行うことを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出方法。
【選択図】なし
【解決手段】以下の工程:1)磁性細菌の磁気微粒子膜上に発現できるアミノ酸配列からなるポリペプチド;上記ポリペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞と結合し得る抗体を固定化する工程;2)該抗体を固定化した磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞を接触させる工程;3)該標的細胞と結合した磁気微粒子を磁気回収する工程、を行うことを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、磁性細菌由来磁気微粒子を利用した、試料中の標的細胞を磁気的に分離又は検出する方法及びそのためのキットに関する。
細胞医療は、患者から分離した特定の細胞を、体外にて様々な処理を施した後に再び患者に戻す医療技術であり、悪性腫瘍や感染症など既存の外科的治療や投薬治療が困難とされている様々な疾患に対しても高い治療効果が望める次世代医療として期待されている。その細胞医療を支える基礎技術として細胞分離技術がある。
元来、細胞分離技術として、蛍光標識抗体を用いて標的細胞を分離するフローサイトメーターを用いたセルソーティングシステム(FACS:Fluorescence−Activated Cell Sorter)が開発されてきたが、FACSは、フローサイトメトリーという高価で大規模な装置、それを使用するための熟練した技術が必要であることや、スループットが低いといった問題を有する。一方、抗体を固定化した磁性粒子を用いて標的細胞を磁気標識した後、外部磁場により細胞集団から標的細胞の分離を図る磁気細胞分離システムは、FACSと比較し迅速、簡便且つハイスループットに標的細胞の分離が可能である。
磁気細胞分離システムに用いられる磁性粒子には、マイクロサイズのものとナノサイズのものとが開発されてきた。常磁性体であるマイクロ磁性粒子(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)は、一般的な永久磁石により容易に回収が可能である。しかし、その大きさが故に、細胞表面に結合したマイクロ磁性粒子が分離後の細胞の増殖や代謝に影響を与えることが報告されている。これに対し、ナノ磁性粒子を用いた磁気細胞分離システム(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)を用いて分離された細胞は、正常に増殖・分化し、細胞の機能を保持し、また、生体内へ直接投与した場合においても害を与えないとの報告がある。
従って、現行の磁気細胞分離システムでは主にナノ磁性粒子が利用されるようになってきている。しかし、粒径や形状の均一なナノ磁性粒子を作製するには高い技術が必要である。また、ナノ磁性粒子は超常磁性体であるために、高効率な分離、回収には強磁性のスチールウールを充填した特殊なカラムを用いなければならず、その利用には煩雑さやカラム詰まりによる収率低下の問題が残されている(非特許文献7)。この欠点は、より大きな細胞を分離する場合、特に問題となる。
Babcock, G. J., Mirzabekov, T., Wojtowicz, W., and Sodroski, J. (2001), J Biol Chem 276, 38433-40. Luxton, R., Badesha, J., Kiely, J., and Hawkins, P. (2004), Anal Chem 76, 1715-9. Safarik, I., and Safarikova, M. (1999), J Chromatogr B Biomed Sci Appl 722, 33-53. Cui, Y., Wang, Y., Hui, W., Zhang, Z., Xin, X., and Chen, C. (2005), Biomed Microdevices 7, 153-6. Hutten, A., Sudfeld, D., Ennen, I., Reiss, G., Hachmann, W., Heinzmann, U., Wojczykowski, K., Jutzi, P., Saikaly, W., and Thomas, G. (2004), J Biotechnol 112, 47-63. Weissleder, R., Kelly, K., Sun, E. Y., Shtatland, T., and Josephson, L. (2005), Nat Biotechnol 23, 1418-23. Miltenyi, S., Muller, W., Weichel, W., and Radbruch, A. (1990), Cytometry 11, 231-8.
Babcock, G. J., Mirzabekov, T., Wojtowicz, W., and Sodroski, J. (2001), J Biol Chem 276, 38433-40. Luxton, R., Badesha, J., Kiely, J., and Hawkins, P. (2004), Anal Chem 76, 1715-9. Safarik, I., and Safarikova, M. (1999), J Chromatogr B Biomed Sci Appl 722, 33-53. Cui, Y., Wang, Y., Hui, W., Zhang, Z., Xin, X., and Chen, C. (2005), Biomed Microdevices 7, 153-6. Hutten, A., Sudfeld, D., Ennen, I., Reiss, G., Hachmann, W., Heinzmann, U., Wojczykowski, K., Jutzi, P., Saikaly, W., and Thomas, G. (2004), J Biotechnol 112, 47-63. Weissleder, R., Kelly, K., Sun, E. Y., Shtatland, T., and Josephson, L. (2005), Nat Biotechnol 23, 1418-23. Miltenyi, S., Muller, W., Weichel, W., and Radbruch, A. (1990), Cytometry 11, 231-8.
本発明は、簡便で、細胞の生存に悪影響を与えない、高収率且つ高純度で細胞を分離する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、磁性細菌が菌体内で産生する磁気微粒子において、それを被覆する有機膜に、特定のアンカーポリペプチドと抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを発現させ、その抗体結合性ポリペプチド部分に抗体を結合させて抗体固定化磁気微粒子を作製し、この磁気微粒子に当該抗体を介して標的細胞を結合させ、そしてその粒子を磁気的に回収することにより、簡便に、高収率且つ高純度で細胞を分離することができること、及び分離された細胞生存に対する悪影響がほとんど見られないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
(1)以下の工程1)〜3)を行うことを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出方法:
1)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの、融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞と結合し得る抗体を固定化する工程;
2)該抗体を固定化した磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞を接触させる工程;
3)該標的細胞と結合した磁気微粒子を磁気回収する工程。
(2)磁気カラムを使用しない(1)記載の方法。
(3)有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる(1)又は(2)記載の方法。
(4)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子、該抗体結合性ポリペプチド及び標的細胞と結合し得る抗体、並びに該抗体を介して該標的細胞と結合した該磁気微粒子を磁気回収するための手段を含有することを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出キット。
(5)前記手段が磁気カラムを含まない、(4)記載のキット。
(6)有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる(4)又は(5)記載のキット。
(1)以下の工程1)〜3)を行うことを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出方法:
1)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの、融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞と結合し得る抗体を固定化する工程;
2)該抗体を固定化した磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞を接触させる工程;
3)該標的細胞と結合した磁気微粒子を磁気回収する工程。
(2)磁気カラムを使用しない(1)記載の方法。
(3)有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる(1)又は(2)記載の方法。
(4)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子、該抗体結合性ポリペプチド及び標的細胞と結合し得る抗体、並びに該抗体を介して該標的細胞と結合した該磁気微粒子を磁気回収するための手段を含有することを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出キット。
(5)前記手段が磁気カラムを含まない、(4)記載のキット。
(6)有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる(4)又は(5)記載のキット。
本発明の方法によれば、磁性細菌由来磁気微粒子を用いて、簡便に、高収率且つ高純度で、細胞を磁気的に分離することが可能となる。また本発明の方法によれば、従来法における細胞増殖への影響や分離手順の煩雑さの問題が解消され、また磁気カラムを使用しないので、カラム詰まりによる収率低下の問題が解決される。
本発明において、「磁性細菌」とは、体内に磁気微粒子を蓄積する能力を有する細菌をいう。磁性細菌の例としては、Magnetospirillum種の微生物(例えば、Magnetospirillum magneticum AMB−1(FERM BP−5458)、MS−1(IFO 15272、ATCC31632、DSM3856)、SR−1(IFO 15272 DSM 6361)、及びDesulfovibrio種の微生物(例えば、Desulfovibrio sp.RS−1(FERM P−13283))等が挙げられる。このうち、AMB−1が好ましい。
本発明において、「ポリペプチド」とは、複数のペプチド結合を含む物質のことをいい、「ペプチド」および「タンパク質」の両方を包含する概念である。一般に、「ペプチド」とは、ポリペプチドを含む高分子のうち、分子量1万以下のものをいい、「タンパク質」とは、ポリペプチドを含む高分子のうち、分子量1万以上のものをいう。
本発明において、「融合ポリペプチド」とは、2以上のタンパク質またはそのフラグメントが連結されている、天然には見いだされないポリペプチドをいう。
本発明において、「磁性細菌由来磁気微粒子」とは、磁性細菌がその菌体内で産生し得る磁気微粒子をいう。このような磁性細菌により産生された磁気粒子は、磁性細菌粒子(BacMPs:Bacterial Magnetic Particles)と称される。BacMPsは、粒径が50〜100nmのナノ磁性粒子である。BacMPsは、単磁区構造を持つ強磁性体であり、弱い磁界に対しても強く反応する為、水溶液中で効率的に磁気回収が行える。またBacMPsは、表面に荷電を有する脂質膜(有機膜)に覆われている為、水溶液中での分散性にも優れている。
本発明のBacMPsは、その有機膜中に、以下に示すアンカーポリペプチドと抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを有する。
「アンカーポリペプチド」は、磁性細菌の細胞膜上又はBacMPsを覆う脂質二重膜である磁気微粒子膜(有機膜)上に、その一部または全部が結合して発現されるポリペプチドであって、これを含む融合ポリペプチドを当該膜にアンカリングさせる役割を有するものである。本発明のアンカーポリペプチドは、以下の(A)〜(C)から選択される:
(A)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(C)上記(A)又は(B)の部分ポリペプチド。
配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの例としては、例えば、Mms13(Arakaki A.ら、J.Biol.Chem.,278,8745−50,2003)が挙げられる。Mms13は、Magnetosporillum種の磁性細菌に由来する膜タンパク質である。
(A)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(B)配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;
(C)上記(A)又は(B)の部分ポリペプチド。
配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの例としては、例えば、Mms13(Arakaki A.ら、J.Biol.Chem.,278,8745−50,2003)が挙げられる。Mms13は、Magnetosporillum種の磁性細菌に由来する膜タンパク質である。
配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドもまた、本発明のアンカーポリペプチドとして使用できる。ここで、「実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド」とは、そのアンカーポリペプチドとしての機能を有する限りにおいて、配列番号1で示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをいう。
1又は複数個の範囲としては、そのアンカーポリペプチドとしての機能を有する限りにおいて限定されないが、例えば、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数個(例えば、1〜10個、より好ましくは1〜5個)が挙げられる。特定アミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸配列を置換、欠失、挿入又は付加する技術は公知であり、例えば、サイトスペシフィック・ミュータゲネシスなどのような各種方法を採用することができる。
「実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド」としてはまた、そのアンカーポリペプチドとしての機能を有する限りにおいて限定されないが、配列番号1で示されるアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性、好ましくは85%以上の配列同一性、より好ましくは90%以上の配列同一性、さらにより好ましくは95%以上の配列同一性を有するポリペプチドが挙げられる。アミノ配列の同一性は、リップマン−パーソン法(Lipman−Pearson法;Science,227,1435(1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx−Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search Homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
上記における、「アンカーポリペプチドとしての機能」とは、磁気微粒子膜への局在化を指示する機能をいい、好ましくは、Mms13が有する当該機能をいう。
上記ポリペプチドの部分ポリペプチドであって、磁気微粒子膜への局在化を指示する機能を有するものもまた、本発明の好ましいアンカーポリペプチドとして用いることができる。好ましい部分ポリペプチドとしては、配列番号1で示されるアミノ酸配列のポリペプチドの少なくとも1〜87番アミノ酸残基からなる、膜結合フラグメントを含むポリペプチドが挙げられる。
本発明の抗体結合性ポリペプチドは、プロテインGの抗体結合ドメインを有するポリペプチドであるが、これには、抗体結合性タンパク質プロテインG(配列番号2)、その抗体結合ドメインを含むフラグメント、及びそれらと実質的に同一なポリペプチドが包含される。
プロテインGは、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなり、複数の抗体結合ドメイン(配列番号2の、アミノ酸残基190〜244番(B1ドメイン)、アミノ酸残基260〜314番(B2ドメイン)またはアミノ酸残基330〜384番(B3ドメイン))を有する抗体結合性タンパク質である。本発明の方法で使用される抗体結合性ポリペプチドとしては、このプロテインGの抗体結合ドメインの1つ又は複数を有するポリペプチドを使用することができる。さらに、プロテインG又はその抗体結合ドメインを含むポリペプチドと実質的に同一なポリペプチドもまた、本発明の抗体結合性ポリペプチドとして使用することができる。ここで、「実質的に同一なポリペプチド」とは、その抗体結合性ポリペプチドとしてプロテインGと同等の機能を有する限りにおいて、プロテインG又はその抗体結合ドメインのアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをいう。
1又は複数個の範囲としては、その抗体結合性ポリペプチドとしてプロテインGと同等の機能を有する限りにおいて限定されないが、例えば、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数個(例えば、1〜10個、より好ましくは1〜5個)が挙げられる。特定アミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸配列を置換、欠失、挿入又は付加する技術は公知であり、例えば、サイトスペシフィック・ミュータゲネシスなどのような各種方法を採用することができる。
「実質的に同一なポリペプチド」としてはまた、その抗体結合性ポリペプチドとしてプロテインGと同等の機能を有する限りにおいて限定されないが、プロテインG又はその抗体結合ドメインのアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性、好ましくは85%以上の配列同一性、より好ましくは90%以上の配列同一性、さらにより好ましくは95%以上の配列同一性を有するポリペプチドが挙げられる。アミノ配列の同一性は、前述のアンカーポリペプチドの説明に関連して記載された手法と同様の手法で計算することができる。
本発明の方法において使用される、アンカーポリペプチドと抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを有する磁気微粒子は、本発明者らによって既に開示されている方法によって作製することができる(特許第3625544号公報;WO97/035964号パンフレット)。あるいは、本発明者らにより、遺伝子組み換え技術によりBacMPs膜タンパク質をアンカー分子として外来タンパク質をBacMPs上にディスプレイする技術が開発されている(Matsunaga,T.,Arakaki,A.,and Takahoko,M.(2002),Biotechnol Bioeng 77,614−8;Ota,H.,Arakaki,A.,Tanaka,T.,Takeyama,H.,and Matsunaga,T.(2003),Biomol Eng 20,305−9;Tanaka,T.,and Matsunaga,T.(2001),Biosens Bioelectron 16,1089−94;Yoza,B.,Arakaki,A.,and Matsunaga,T.(2003),J Biotechnol 101,219−28)。具体的には、本発明のアンカーポリペプチドと抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを有する磁気微粒子は、アンカーポリペプチドをコードする遺伝子断片(例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列又はその断片をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド)と抗体結合性ポリペプチドをコードする遺伝子断片(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はその断片をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド)との融合DNAを含む組換えベクターを磁性細菌に導入して菌を形質転換させ、この形質転換された磁性細菌を培養して菌体内で上記融合DNAを発現させることにより、作製することができる。
組換えベクターとしては、当該細菌内で複製可能なものであって、上記融合ポリペプチドの発現を磁性細菌内で転写制御可能なDNA断片をプロモーターとして含み、且つ当該プロモーターの下流に当該融合ポリペプチドをコードするDNA配列が挿入されたものが使用される。組換えベクターは、当業者が通常行う手順に従って作製することができる。作製には、磁性細菌内で複製可能な公知のベクターのいずれかを用いればよい。例示的ベクターは、プロモーター、複製起点、およびベクターを導入した細菌の選択を容易にするための選択マーカーを有し、好ましくは、プロモーターの下流に、遺伝子の挿入を容易にするための制限酵素部位を有する。さらに、挿入された遺伝子の発現を増強および安定化させるための3’非翻訳領域を有していてもよい。ベクターは、好ましくはプラスミドであり、例えば、特許第3625544号公報に記載されるpRK415、特開平11−285387公報に記載されるpMS−T1またはその誘導体を好適に用いることができる。あるいは、アンカーポリペプチド及びプロモーターが既に組み込まれた公知のプラスミド(例えば、pUMGP16M13(Yoshino T.and Matsunaga T.,Appl.Environ.Microbiol.,72(1),465−471(2006))を使用してもよい。
ベクターに組み込まれるプロモーターとしては、好適には、磁性細菌膜タンパク質を高効率でさせ得るプロモーターが使用される。より好ましいプロモーターとしては、特開2006−75103で開示される、Pmsp1、Pmsp2及びPmsp3が挙げられる。
融合ポリペプチドをコードするDNA配列は、抗体結合性ポリペプチド遺伝子断片をアンカーポリペプチド遺伝子断片の3’末端側及び5’末端側のいずれか一方に融合させたものでもよいし、両末端に融合させたものでもよい。一端のみに融合させた場合には、もう一方の端にマーカー遺伝子等の異なる遺伝子を融合させることもできる。両末端に融合させた場合、磁気微粒子への抗体結合性ポリペプチドの固定化量を向上させることができる。
作製された組換えベクターを磁性細菌に導入することにより、細菌を形質転換させる。導入には、当該技術分野において知られるいずれの方法を用いてもよく、例えば、接合伝達、塩化カルシウム法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、遺伝子銃等の公知の方法を用いることができる。形質転換した細菌は公知の方法で培養され、磁気微粒子を産生する。
こうして産生された磁気微粒子上には、それを被覆する有機膜(磁性微粒子膜)にアンカーポリペプチドを介してアンカリングした状態で、融合ポリペプチドが発現している。融合ポリペプチドと磁気微粒子との連結は、融合ポリペプチドのアンカーポリペプチド部分に拠っているため、融合ポリペプチドの抗体結合性ポリペプチド部分は、その天然のコンフォメーション又はそれに近いコンフォメーションをとることができ、したがって、本来の機能を保持することができる。すなわち、本発明の磁気微粒子は、その表面の抗体結合性ポリペプチドの抗体結合能が高度に保持されているので、高い細胞結合能を発揮することができる。
磁性細菌により産生された磁気微粒子は、磁性細菌培養物から通常の手法に従って回収することができる。例えば、磁気微粒子は、培養された菌体を破壊又は溶菌した後、遠心分離にかけることで単離することが可能である。
本発明の方法で使用される磁気微粒子において、目的の融合ポリペプチド以外のポリペプチドを除去することができる。除去は、特開2006−314314公報に開示されている方法に従って行うことができる。このように目的以外のポリペプチドを除去することにより、非特異的な細胞の吸着を抑制し、目的の細胞の分離効率を向上させることができる。
上記のように作製された磁気微粒子上に存在する融合ポリペプチドの抗体結合性ポリペプチド部分に、標的細胞に対する特異的抗体を結合させて、抗体固定化磁気微粒子を作製し、これと標的細胞を含む試料とを接触させることにより、標的細胞を磁気的に分離することができる。あるいは、上記抗体固定化磁気微粒子を、標的細胞が含まれる可能性のある試料と接触させることにより、その試料中における当該標的細胞の存在の有無を検出することができる。
本発明の方法に用いられる試料としては、標的細胞を含む生体(例えば、動物又は植物の組織、器官、体液、菌体等)及びそれら含み得る検体(例えば、培養物、土壌、水中等)に由来する試料を挙げることができる。これらの試料は、そのまま使用しても、精製して用いてもよく、又は必要に応じて適切な溶媒に懸濁されるか、若しくは適宜希釈されて用いられ得る。
磁気微粒子に固定すべき抗体は、融合ポリペプチドの抗体結合性ポリペプチド部分に結合され得、その結合により分離すべき標的細胞との結合性を失わない任意の抗体が使用できる。本発明で使用される「抗体」とは、標的細胞を特異的に認識する性質を有する限り、抗体又はそのフラグメントを含む。抗体の種類は、抗体結合性ポリペプチドの種類に応じて決定される。例えば、抗体結合性ポリペプチドがプロテインGである場合、抗体としてはIgGファミリー(例えば、ヒトIgG1〜4;マウスIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3;ラットIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c;ウサギIgG;ウシIgG1〜2;ウマIgGab、IgGc;ヤギIgG1〜2;モルモットIgG;イヌIgG;ネコIgG;ヒツジIgG1;及びブタIgG、IgG2)が使用され得る。抗体はまた、分離すべき標的細胞と特異的に結合し得るように、適宜設計され得る。好ましくは、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が挙げられるが、モノクローナル抗体がより好ましい。抗体は、当業者が通常行う手順に従って作製してもよく、また市販品を購入してもよい。
抗体と融合タンパク質が発現したBacMPsとを反応させることにより、抗体固定化磁気微粒子を作製できる。反応は、例えば、目的の抗体と融合タンパク質が発現したBacMPsとを、適切なバッファー中で、室温(20℃〜24℃)で、30分〜60分間インキュベートすることによって行われる。
得られた抗体固定化磁気微粒子を試料と接触させ、抗体と試料中の標的細胞とを結合させる。本発明の方法において、その細胞表面に発現しているタンパク質がわかっており、且つそのタンパク質に対する抗体が得られる限り、標的細胞の種類は特に限定されず、磁気微粒子に固定化する抗体を適宜選択することによって、任意の細胞を標的とすることができる。例えば、本発明で分離検出され得る標的細胞としては、免疫細胞、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞などの多岐にわたる細胞が挙げられる。より具体的には、本発明で使用する抗体が抗CD抗体である場合、標的細胞としては、当該CD抗原発現白血球細胞が挙げられる。
試料を含む液体に抗体固定化磁気微粒子を添加し、例えば、4℃で、10〜15分間インキュベートすることによって、試料中の標的細胞を抗体固定化磁気微粒子に結合させる。次いで、磁気微粒子を、磁気を利用して分離・回収する。この磁気的分離・回収には、従来法のような特殊な磁気カラムを使用する必要はなく、磁性体が設置できるような容器である限り、材質に関係なく、任意の容器を使用することができる。例えば、分離・回収のための容器としては、通常の免疫学的実験又は細胞学的実験で使用される容器(例えば、ガラス製またはプラスチック製の試験管、フラスコ、ビーカー、チューブ、シャーレなど)を用いることができる。磁気的分離・回収に使用される磁性体としては、強磁性を有する任意の磁性体を使用することができる。当該磁性体の形状や大きさは、上記分離・回収用容器に設置可能であり、且つ容器内の磁気微粒子の分離・回収に十分な磁力を提供できる限り、特に制限されない。例えば、磁性体としては、Neodymium−iron−boron(Nd−Fe−B)磁石(20×12×5mm)を用いることができる。
回収した磁気微粒子を適切な溶媒で1〜数回洗浄することにより、夾雑物が除去され、磁気微粒子とともにそれに特異的に結合した細胞が単離される。回収には、遠心分離やろ過等の公知の方法を組み合わせて使用することもできる。
上記のように分離・回収された磁気微粒子から、さらに、結合した標的細胞を回収することができる。磁気微粒子の分離後、プロテインGと結合性を有する抗体(例えばヒトIgG)を過剰に加え、加えた抗体とプロテインG上に結合していた抗体(細胞と結合している抗体)との置換反応を起こさせることで、細胞表面から磁性細菌粒子を外すことができる。あるいは、プロテインGとMms13タンパク質の間にプロテアーゼ(例えばトロンビン)切断部位を設け、分離後にプロテアーゼ処理することによって、細胞表面から磁性細菌粒子を外すことができる。こうして得られた細胞は、その分離工程においてほとんど悪影響を受けておらず、その増殖、分化能を失っていないので、培養し増殖させることによって、研究及び臨床における種々の用途に使用することができる。
本発明によれば、上記融合ポリペプチドをその有機膜上に有するBacMPsを用いて細胞を分離又は検出するためのキットが提供される。キットは、上記融合ポリペプチドをその有機膜上に有するBacMPsと、標的細胞と結合した当該BacMPsを磁気回収するための手段とを含み得る。キットにおいて、当該BacMPは、抗体固定化磁気微粒子の形態で提供されてもよい。キットは、抗体固定化磁気微粒子の作製に必要な抗体を別途含む形態で提供されてもよい。あるいは、キットは、抗体を含まない形態で提供され、使用者が自身で適切な抗体を結合させてから使用してもよい。
以下の実施例により、本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)プロテインG発現BacMPsの作製
プロテインG発現BacMPsの作製を行った(図1)。BacMPs上へのプロテインGのディスプレイを目的とし、プラスミドの構築を行った。プロテインGのIgG binding domain(B1−domain)をコードする遺伝子(174bp)が導入されたプラスミド(pPCR−Script)(Operon社に遺伝子合成を発注)から制限酵素SspIを用いてB1−domain遺伝子を切り出し、Mms13及びプロモーター領域を含むプラスミドpUMGP16M13(Yoshino T.and Matsunaga T.,Appl.Environ.Microbiol.,72(1),465−471(2006))のSspIサイトに導入した。これをプロテインG発現用プラスミド(pUM13B1)とした。pUM13B1を磁性細菌AMB−1にエレクトロポレーションにて導入、培養後、得られた形質転換体より抽出したBacMPsを1%SDS中で30分煮沸することでBacMPs膜タンパク質を回収し、SDS−PAGEによりプロテインGのBacMPs膜への発現を確認した。
その結果、形質転換体より抽出したBacMPsの膜タンパク質のSDS−PAGEにおいて、アンカータンパク質:Mms13とプロテインGの融合ポリペプチドに相当するバンドが確認された(図2)。これより、pUM13B1を磁性細菌に導入することでプロテインG発現BacMPs(プロテインG−BacMPs)が作製されたことが示された。
プロテインG発現BacMPsの作製を行った(図1)。BacMPs上へのプロテインGのディスプレイを目的とし、プラスミドの構築を行った。プロテインGのIgG binding domain(B1−domain)をコードする遺伝子(174bp)が導入されたプラスミド(pPCR−Script)(Operon社に遺伝子合成を発注)から制限酵素SspIを用いてB1−domain遺伝子を切り出し、Mms13及びプロモーター領域を含むプラスミドpUMGP16M13(Yoshino T.and Matsunaga T.,Appl.Environ.Microbiol.,72(1),465−471(2006))のSspIサイトに導入した。これをプロテインG発現用プラスミド(pUM13B1)とした。pUM13B1を磁性細菌AMB−1にエレクトロポレーションにて導入、培養後、得られた形質転換体より抽出したBacMPsを1%SDS中で30分煮沸することでBacMPs膜タンパク質を回収し、SDS−PAGEによりプロテインGのBacMPs膜への発現を確認した。
その結果、形質転換体より抽出したBacMPsの膜タンパク質のSDS−PAGEにおいて、アンカータンパク質:Mms13とプロテインGの融合ポリペプチドに相当するバンドが確認された(図2)。これより、pUM13B1を磁性細菌に導入することでプロテインG発現BacMPs(プロテインG−BacMPs)が作製されたことが示された。
(実施例2)プロテインG−BacMPsの抗体結合能評価
プラスミドpUM13B1またはpUM13ZZ(特開2006−314314)を導入したAMB−1の形質転換体よりプロテインG−BacMPs、プロテインA−BacMPをそれぞれ抽出した。HEPESによる洗浄後、各BacMPsとmouse IgG1、mouse IgG2a又はrat IgG2a(0.8〜50μg/ml)とをインキュベート(RT、60分)することで、BacMPs上に各抗体を固定化した。20μgのMouse IgG1固定化またはmouse IgG2a固定化BacMPsに対し、ALP標識goat F(ab)2anti−mouse IgG Ab(10μg/ml)20μlを、20μgのrat IgG2a固定化BacMPsに対し、ALP標識goat F(ab)2anti−rat IgG Ab(10μg/ml)20μlを反応させた(RT、30分)。磁気的に分離して洗浄した後、BacMPs懸濁液(20μl)にルミホス530(80μl)を加え、5分後の発光強度を測定した。ALP標識Abを用いて作製した検量線を基に、測定さえた発光強度からBacMPs上に固定化された固定化量を算出した。さらに、下記条件を用い、BacMPs上に固定化された抗体量から、BacMPの1粒子上に固定化された抗体量を算出した(抗体分子量:150kDa、BacMP直径:75nm、BacMP密度:5.2g/cm3)。
その結果、Mouse IgG1(図3(A))及びrat IgG2a(図3(C))については、プロテインA−BacMPsに固定化した場合と比較し、プロテインG−BacMPsに固定化した場合において、多数の抗体がBacMPs上に固定化された。一方、mouse IgG2a(図3(B))については、プロテインA−BacMPsに固定化した場合及びプロテインG−BacMPsに固定化した場合の両方において、多数の抗体がBacMPs上に固定化された。これより、作製したプロテインG−BacMPsは幅広い種の抗体を固定化するのに有用であることが示された。
プラスミドpUM13B1またはpUM13ZZ(特開2006−314314)を導入したAMB−1の形質転換体よりプロテインG−BacMPs、プロテインA−BacMPをそれぞれ抽出した。HEPESによる洗浄後、各BacMPsとmouse IgG1、mouse IgG2a又はrat IgG2a(0.8〜50μg/ml)とをインキュベート(RT、60分)することで、BacMPs上に各抗体を固定化した。20μgのMouse IgG1固定化またはmouse IgG2a固定化BacMPsに対し、ALP標識goat F(ab)2anti−mouse IgG Ab(10μg/ml)20μlを、20μgのrat IgG2a固定化BacMPsに対し、ALP標識goat F(ab)2anti−rat IgG Ab(10μg/ml)20μlを反応させた(RT、30分)。磁気的に分離して洗浄した後、BacMPs懸濁液(20μl)にルミホス530(80μl)を加え、5分後の発光強度を測定した。ALP標識Abを用いて作製した検量線を基に、測定さえた発光強度からBacMPs上に固定化された固定化量を算出した。さらに、下記条件を用い、BacMPs上に固定化された抗体量から、BacMPの1粒子上に固定化された抗体量を算出した(抗体分子量:150kDa、BacMP直径:75nm、BacMP密度:5.2g/cm3)。
その結果、Mouse IgG1(図3(A))及びrat IgG2a(図3(C))については、プロテインA−BacMPsに固定化した場合と比較し、プロテインG−BacMPsに固定化した場合において、多数の抗体がBacMPs上に固定化された。一方、mouse IgG2a(図3(B))については、プロテインA−BacMPsに固定化した場合及びプロテインG−BacMPsに固定化した場合の両方において、多数の抗体がBacMPs上に固定化された。これより、作製したプロテインG−BacMPsは幅広い種の抗体を固定化するのに有用であることが示された。
(実施例3)細胞表面への抗体固定化プロテインG−BacMPsの結合分布解析
Raji細胞懸濁液90μl(1×105cells)に対し、FcR blocking reagent(Miltenyi Biotec社から購入)10μlを反応させた(4℃、15分)。遠心洗浄後、細胞懸濁液100μlに対し、anti−CD19 mAb固定化Cy3標識プロテインG−BacMPs 100μl(10μg)を反応させた(4℃、10分)。さらに、Alexaflour−488標識anti−CD19 mAb(BioLegend社から購入)10μlを反応させた(4℃、10分)。磁気分離洗浄後、回収された細胞を共焦点蛍光顕微鏡により観察した。
その結果、Cy3由来の蛍光より、anti−CD19 mAbを固定化したCy3標識プロテインG−BacMPsは細胞表面全体にほぼ単分散した状態で結合していることが観察された(図4(A))。また、Alexaflour−488(BioLegend社から購入)由来の蛍光観察結果(図4(B))との比較より、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPsは、Raji細胞表面のCD19タンパク質を認識し結合していることが確認された(図4(C))。抗体固定化プロテインG−BacMPsは高特異性で標的細胞(細胞表面タンパク質)と結合することから、優れた細胞分離用磁気担体であることが示された。
Raji細胞懸濁液90μl(1×105cells)に対し、FcR blocking reagent(Miltenyi Biotec社から購入)10μlを反応させた(4℃、15分)。遠心洗浄後、細胞懸濁液100μlに対し、anti−CD19 mAb固定化Cy3標識プロテインG−BacMPs 100μl(10μg)を反応させた(4℃、10分)。さらに、Alexaflour−488標識anti−CD19 mAb(BioLegend社から購入)10μlを反応させた(4℃、10分)。磁気分離洗浄後、回収された細胞を共焦点蛍光顕微鏡により観察した。
その結果、Cy3由来の蛍光より、anti−CD19 mAbを固定化したCy3標識プロテインG−BacMPsは細胞表面全体にほぼ単分散した状態で結合していることが観察された(図4(A))。また、Alexaflour−488(BioLegend社から購入)由来の蛍光観察結果(図4(B))との比較より、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPsは、Raji細胞表面のCD19タンパク質を認識し結合していることが確認された(図4(C))。抗体固定化プロテインG−BacMPsは高特異性で標的細胞(細胞表面タンパク質)と結合することから、優れた細胞分離用磁気担体であることが示された。
(実施例4)プロテインG−BacMPsを用いた末梢血単核球(PBMCs)からの細胞分離
末梢血10mlをPBS 25mlで希釈した後、HISTOPAQUE−1077(Sigma社から購入)15mlに重層し遠心分離を行った(1800rpm,30分)。抽出した単核球(PBMCs)層を更に遠心洗浄した(1500rpm、6分)。抗体固定化プロテインG−BacMPsを用いたPBMCsからの細胞分離は以下の手順で行った(図5)。PBMCs懸濁液80μl(1×106cells)に対し、FcR blocking reagent 20μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、mouse IgG1 anti−CD3、CD19、mouse IgG2a anti−CD14、CD20、rat IgG2a anti−CD2mAbを各々固定化したプロテインG−BacMPs 5μl(5μg)をそれぞれ反応させた(4℃、10分)。さらに、PE標識anti−CD2、CD3、CD14、CD19mAb、FITC標識anti−CD20mAb 10μlをそれぞれ反応させた(4℃、5分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析し標的細胞回収純度を評価した。
その結果、PBMCs中にそれぞれ異なる割合で含まれた細胞(CD2+、CD3+細胞−T細胞、CD19+、CD20+細胞−B細胞、CD14+細胞−単球)を、各種抗体を固定化したプロテインG−BacMPsを用いて一様に高い純度で分離されたことが確認された(図6、表1)。これより、抗体固定化プロテインG−BacMPsはPBMCsからの磁気細胞分離における磁気担体として優れていることが示された。
末梢血10mlをPBS 25mlで希釈した後、HISTOPAQUE−1077(Sigma社から購入)15mlに重層し遠心分離を行った(1800rpm,30分)。抽出した単核球(PBMCs)層を更に遠心洗浄した(1500rpm、6分)。抗体固定化プロテインG−BacMPsを用いたPBMCsからの細胞分離は以下の手順で行った(図5)。PBMCs懸濁液80μl(1×106cells)に対し、FcR blocking reagent 20μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、mouse IgG1 anti−CD3、CD19、mouse IgG2a anti−CD14、CD20、rat IgG2a anti−CD2mAbを各々固定化したプロテインG−BacMPs 5μl(5μg)をそれぞれ反応させた(4℃、10分)。さらに、PE標識anti−CD2、CD3、CD14、CD19mAb、FITC標識anti−CD20mAb 10μlをそれぞれ反応させた(4℃、5分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析し標的細胞回収純度を評価した。
その結果、PBMCs中にそれぞれ異なる割合で含まれた細胞(CD2+、CD3+細胞−T細胞、CD19+、CD20+細胞−B細胞、CD14+細胞−単球)を、各種抗体を固定化したプロテインG−BacMPsを用いて一様に高い純度で分離されたことが確認された(図6、表1)。これより、抗体固定化プロテインG−BacMPsはPBMCsからの磁気細胞分離における磁気担体として優れていることが示された。
(実施例5)プロテインG−BacMPs及び細胞分離システムの細胞毒性評価
Raji細胞懸濁液80μl(5×105cells)に対し、FcR blocking reagent 20μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPs 20μl(20μg)を反応させた(4℃、10分)。磁気分離洗浄後、回収された細胞をRPMI1640(10%FBS、100U/ml penicillin−streptomycin)中で培養した(5×104cells/ml)。培養24時間後の細胞生存率をセルカウンター;CASYにて測定した。
その結果、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPsを用いて分離されたRaji細胞の生存率は95.8±0.5%であり、非分離Raji細胞の95.0±1.5%と同等であった。これより、抗体固定化プロテインG−BacMPs及び本細胞分離システムは、分離対象細胞の生存にほぼ悪影響を与えないことが示された。
Raji細胞懸濁液80μl(5×105cells)に対し、FcR blocking reagent 20μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPs 20μl(20μg)を反応させた(4℃、10分)。磁気分離洗浄後、回収された細胞をRPMI1640(10%FBS、100U/ml penicillin−streptomycin)中で培養した(5×104cells/ml)。培養24時間後の細胞生存率をセルカウンター;CASYにて測定した。
その結果、anti−CD19 mAb固定化プロテインG−BacMPsを用いて分離されたRaji細胞の生存率は95.8±0.5%であり、非分離Raji細胞の95.0±1.5%と同等であった。これより、抗体固定化プロテインG−BacMPs及び本細胞分離システムは、分離対象細胞の生存にほぼ悪影響を与えないことが示された。
(実施例6)プロテインG−BacMPsを用いた細胞分離精度とプロテインA−BacMPsを用いた細胞分離精度の比較
PBMCs懸濁液90μl(1×106cells)に対し、FcR blocking reagent 10μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、PE標識anti−CD3、CD19 mAb、FITC標識anti−CD2 mAb 3μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄後、mouse IgG1 anti−CD3、CD19、rat IgG2a anti−CD2 mAbを各々固定化したプロテインG−BacMPs及びプロテインA−BacMPs 5μl(5μg)を、それぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析した。また、ヘマサイトメーターを用いて細胞数を計測し、標的細胞回収率を算出した。
その結果、CD19+細胞の分離に関しては、プロテインG−BacMPs、プロテインA−BacMPsを用いた場合共に同等の純度で標的CD19+細胞が分離されたことが確認された(図7(A))。一方、CD2+及びCD3+細胞の分離に関しては、プロテインG−BacMPsを用いた場合の方がより高純度で標的細胞の分離が可能であったことが確認された(図7(B)及び(C))。また、回収率に関しては、CD2+、CD3+及びCD19+細胞の分離全てにおいて、プロテインG−BacMPsを用いた方がより高回収率での標的細胞の分離が可能であった(表2)。これより、プロテインG−BacMPsはプロテインA−BacMPsよりも優れた磁気細胞分離用磁気担体であることが示された。
PBMCs懸濁液90μl(1×106cells)に対し、FcR blocking reagent 10μlを反応させた(4℃、15分)。続いて、PE標識anti−CD3、CD19 mAb、FITC標識anti−CD2 mAb 3μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄後、mouse IgG1 anti−CD3、CD19、rat IgG2a anti−CD2 mAbを各々固定化したプロテインG−BacMPs及びプロテインA−BacMPs 5μl(5μg)を、それぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析した。また、ヘマサイトメーターを用いて細胞数を計測し、標的細胞回収率を算出した。
その結果、CD19+細胞の分離に関しては、プロテインG−BacMPs、プロテインA−BacMPsを用いた場合共に同等の純度で標的CD19+細胞が分離されたことが確認された(図7(A))。一方、CD2+及びCD3+細胞の分離に関しては、プロテインG−BacMPsを用いた場合の方がより高純度で標的細胞の分離が可能であったことが確認された(図7(B)及び(C))。また、回収率に関しては、CD2+、CD3+及びCD19+細胞の分離全てにおいて、プロテインG−BacMPsを用いた方がより高回収率での標的細胞の分離が可能であった(表2)。これより、プロテインG−BacMPsはプロテインA−BacMPsよりも優れた磁気細胞分離用磁気担体であることが示された。
(実施例7)ガラス管を用いた細胞分離システム(本発明方法)と磁気カラムを用いた細胞分離システム(従来法)の非標的細胞洗浄効率の比較
培養細胞株;cos7,Raji,THP−1細胞(1×106cells)懸濁液各々1mlをガラス管(日電理化硝子社から購入 Dispo Tube/DP−10S、外径:10mm、全長:75mm、肉厚:0.8mm、内径:8.4mm)又は磁気カラム(Miltenyi Biotec社から購入(130−042−201))内に導入し、磁気洗浄操作を行った。洗浄後、ガラス管ではPBS buffer(2mM EDTA、0.5% BSA含有)で再懸濁することで、また磁気カラムではPBS buffer(2mM EDTA、0.5% BSA含有)で押し出すことで、ガラス管又は磁気カラム内に残存した細胞を取り出し、細胞数をカウントした。
その結果、ガラス管を用いた場合において、導入した各細胞全てにおいてガラス管内への残存は殆ど確認されなかった(表3)。磁気カラムを用いた場合においては、ガラス管を用いた場合と比較し残存細胞数は多く、特にcos7及びRaji細胞に関しては多数の細胞の残存が確認された。3種の細胞それぞれの特徴が、cos7細胞(接着細胞,大きさ:15−30μm)、Raji細胞(浮遊細胞、大きさ:15−20μm)、及びTHP−1細胞(浮遊細胞、大きさ:10μm)であることから、磁気カラムを用いた場合、大きな細胞ほど洗浄しきれず残存すると考えられた。これより、ガラス管を用いた本発明の細胞分離方法は、従来の磁気カラムを用いた細胞分離法と比較し、大きな細胞を含んだ細胞集団(組織由来の細胞懸濁液や接着細胞懸濁液など)からの細胞分離に特に有用であることが示された。また、ガラス管を用いた本発明の細胞分離方法では、細胞の残存が殆どないことから、より精度の必要な希少細胞の分離、検出にも適していることが示された。
培養細胞株;cos7,Raji,THP−1細胞(1×106cells)懸濁液各々1mlをガラス管(日電理化硝子社から購入 Dispo Tube/DP−10S、外径:10mm、全長:75mm、肉厚:0.8mm、内径:8.4mm)又は磁気カラム(Miltenyi Biotec社から購入(130−042−201))内に導入し、磁気洗浄操作を行った。洗浄後、ガラス管ではPBS buffer(2mM EDTA、0.5% BSA含有)で再懸濁することで、また磁気カラムではPBS buffer(2mM EDTA、0.5% BSA含有)で押し出すことで、ガラス管又は磁気カラム内に残存した細胞を取り出し、細胞数をカウントした。
その結果、ガラス管を用いた場合において、導入した各細胞全てにおいてガラス管内への残存は殆ど確認されなかった(表3)。磁気カラムを用いた場合においては、ガラス管を用いた場合と比較し残存細胞数は多く、特にcos7及びRaji細胞に関しては多数の細胞の残存が確認された。3種の細胞それぞれの特徴が、cos7細胞(接着細胞,大きさ:15−30μm)、Raji細胞(浮遊細胞、大きさ:15−20μm)、及びTHP−1細胞(浮遊細胞、大きさ:10μm)であることから、磁気カラムを用いた場合、大きな細胞ほど洗浄しきれず残存すると考えられた。これより、ガラス管を用いた本発明の細胞分離方法は、従来の磁気カラムを用いた細胞分離法と比較し、大きな細胞を含んだ細胞集団(組織由来の細胞懸濁液や接着細胞懸濁液など)からの細胞分離に特に有用であることが示された。また、ガラス管を用いた本発明の細胞分離方法では、細胞の残存が殆どないことから、より精度の必要な希少細胞の分離、検出にも適していることが示された。
(実施例8)プロテインG−BacMPsを用いた全血からの細胞分離
ヒト末梢血:500μlに対し、FcR blocking reagent 8μlとプレインキュベーション(4℃、10分)させたmouse IgG1由来anti−CD19、CD3 mAb固定化プロテインG−BacMPs 48μl(20μg)を反応させた(4℃、10分)。さらに、PE標識anti−CD19mAb、PE標識anti−CD3mAb 50μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析した。磁気分離洗浄2回目のみ懸濁bufferとして、溶血buffer(VersaLyse)を用いた。また、ヒト末梢血に含まれたCD19+、CD3+細胞の割合を評価するため以下の実験を行った。ヒト末梢血100μlに対し、PE標識anti−CD19mAb、PE標識anti−CD3mAb 5μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。さらに、VersaLyse 1mlを加え反応させた(RT、10分)。遠心洗浄後、フローサイトメトリーにより回収細胞(白血球)の蛍光を解析した。また、ヘマサイトメーターを用いて細胞数を計測し、末梢血中に含まれた各細胞数を算出した。
抗体を用いて白血球中のCD19+細胞及びCD3+細胞の含有率を評価した結果、CD19+細胞は白血球の4.9±0.5%、CD3+細胞は30.3±3.5%含まれていた。白血球は末梢血由来血球細胞中の約0.1%に当たることから、CD19+細胞は末梢血由来血球細胞中に約0.5×10-3%、CD3+細胞は約0.3×10-2%含まれていたと考えられた。また、anti−CD19、CD3mAb固定化プロテインG−BacMPsを用いて、ヒト末梢血よりCD19+細胞またはCD3+細胞の磁気細胞分離を行なった結果、CD19+細胞は97.0±2.0%、CD3+細胞は96.8±1.0%の回収純度で分離されたことが確認された(図8)。これより、プロテインG−BacMPsを用いた磁気細胞分離システムは、全血からの標的細胞の高純度分離回収システムとしても応用可能であることが示された。
ヒト末梢血:500μlに対し、FcR blocking reagent 8μlとプレインキュベーション(4℃、10分)させたmouse IgG1由来anti−CD19、CD3 mAb固定化プロテインG−BacMPs 48μl(20μg)を反応させた(4℃、10分)。さらに、PE標識anti−CD19mAb、PE標識anti−CD3mAb 50μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。遠心洗浄、磁気分離洗浄を行なった後、フローサイトメトリーにより分離細胞の蛍光を解析した。磁気分離洗浄2回目のみ懸濁bufferとして、溶血buffer(VersaLyse)を用いた。また、ヒト末梢血に含まれたCD19+、CD3+細胞の割合を評価するため以下の実験を行った。ヒト末梢血100μlに対し、PE標識anti−CD19mAb、PE標識anti−CD3mAb 5μlをそれぞれ反応させた(4℃、10分)。さらに、VersaLyse 1mlを加え反応させた(RT、10分)。遠心洗浄後、フローサイトメトリーにより回収細胞(白血球)の蛍光を解析した。また、ヘマサイトメーターを用いて細胞数を計測し、末梢血中に含まれた各細胞数を算出した。
抗体を用いて白血球中のCD19+細胞及びCD3+細胞の含有率を評価した結果、CD19+細胞は白血球の4.9±0.5%、CD3+細胞は30.3±3.5%含まれていた。白血球は末梢血由来血球細胞中の約0.1%に当たることから、CD19+細胞は末梢血由来血球細胞中に約0.5×10-3%、CD3+細胞は約0.3×10-2%含まれていたと考えられた。また、anti−CD19、CD3mAb固定化プロテインG−BacMPsを用いて、ヒト末梢血よりCD19+細胞またはCD3+細胞の磁気細胞分離を行なった結果、CD19+細胞は97.0±2.0%、CD3+細胞は96.8±1.0%の回収純度で分離されたことが確認された(図8)。これより、プロテインG−BacMPsを用いた磁気細胞分離システムは、全血からの標的細胞の高純度分離回収システムとしても応用可能であることが示された。
Claims (6)
- 以下の工程1)〜3)を行うことを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出方法:
1)配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞と結合し得る抗体を固定化する工程;
2)該抗体を固定化した磁性細菌由来磁気微粒子に、標的細胞を接触させる工程;
3)該標的細胞と結合した磁気微粒子を磁気回収する工程。 - 磁気カラムを使用しない、請求項1記載の方法。
- 有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる請求項1又は2記載の方法。
- 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;配列番号1で示されるアミノ酸配列と実質的に同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド;及びそれらの部分ポリペプチドから選択されるアンカーポリペプチドとプロテインGの抗体結合ドメインを有する抗体結合性ポリペプチドとの融合ポリペプチドを、その有機膜中に有する磁性細菌由来磁気微粒子、該抗体結合性ポリペプチド及び標的細胞と結合し得る抗体、並びに該抗体を介して該標的細胞と結合した該磁気微粒子を磁気回収するための手段を含有することを特徴とする、試料中の標的細胞の分離又は検出キット。
- 前記手段が磁気カラムを含まない、請求項4記載のキット。
- 有機膜から融合ポリペプチド以外のポリペプチドが除去されてなる請求項4又は5記載のキット。
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