JP2009106143A - ブラシレス電気機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレス電気機械を提供する。
【解決手段】第1の移動部材(40a)は、同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石(10)を含む磁石集合体(20)を備えている。第2の移動部材(50a)は、電磁コイル(30)を含み、第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成されている。磁石集合体(20)は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、磁石集合体(20)から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生している。
【選択図】図2

Description

この発明は、永久磁石と電磁コイルとを利用したブラシレス電気機械に関する。
ブラシレス電気機械は、ブラシレスモータとブラシレス発電機とを包含する意味を有する用語である。ブラシレスモータとしては、例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2001−298982号公報
しかし、従来のブラシレス電気機械では、永久磁石の磁束を必ずしも十分効率よく利用できないという問題があった。
本発明は、永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレス電気機械を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1] ブラシレス電気機械であって、
同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の移動部材と、
電磁コイルを含み、前記第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成された第2の移動部材と、
を備え、
前記磁石集合体は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、前記磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されている、ブラシレス電気機械。
この構成によれば、磁石集合体の同極接触面において、磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生することができる。従って、永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレス電気機械を実現することが可能である。
[適用例2] 適用例1記載のブラシレス電気機械であって、さらに、
前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路を備え、
前記制御回路は、
(i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
(ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
のうちの少なくとも一方を実行可能である、ブラシレス電気機械。
この構成によれば、永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレスモータやブラシレス発電機を実現することが可能である。
[適用例3] 適用例1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
前記複数の永久磁石はそれぞれ平板状の形状を有しており、
前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を前記同極接触面と垂直な方向に積層した積層体である、ブラシレス電気機械。
この構成では、積層方向と垂直な方向に向かって強い磁場を発生することができるので、この磁場を利用した高効率なブラシレス電気機械を実現することができる。
[適用例4] 適用例1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
前記複数の永久磁石はそれぞれ扇状又は弧状の形状を有しており、
前記磁石集合体は、前記扇状の複数の永久磁石を円盤状に配置した形状、又は、前記弧状の複数の永久磁石を円環状に配置した形状を有している、ブラシレス電気機械。
この構成では、円盤状形状又円環状形状の円の径方向に沿って強い磁場を発生することができるので、この磁場を利用した高効率なブラシレス電気機械を実現することができる。
[適用例5] 適用例1ないし4のいずれかに記載のブラシレス電気機械であって、
前記第1と第2の移動部材は、前記同極接触面に対して垂直な方向に沿って相対的に移動可能に構成されている、ブラシレス電気機械。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電動モータ、発電機、それらの制御方法、それらを用いたアクチュエータや電子機器、燃料電池使用機器、ロボット、移動体等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.磁石集合体の構成:
B.各種の実施例:
C.回路構成:
D.変形例:
A.磁石集合体の構成:
図1(A)〜(E)は、本発明の各種実施例で利用される磁石集合体の概略構成を示す説明図である。図1(A)は、1つの永久磁石10を示している。この磁石10は、上下方向に磁化されている。N極から出る矢印及びS極に入る矢印は、磁力線を示している。図1(B)は、2つの磁石10で構成される永久磁石対10pairを示している。この永久磁石対10pairは、2つの磁石10が、N極同士が互いに接した状態で保持されたものである。この状態で2つの磁石10を保持すると、太い矢印で示されるように、その同極接触面10cから外部に向けた磁場方向MDに沿って、最も強い磁場が発生する。ここで、「同極接触面」とは、互いに接する同極同士の表面で規定される平面を意味している。図1(C)は、永久磁石対10pairの表面磁束密度の分布を示している。なお、磁場方向MDは、同極接触面10c上の方向であって、永久磁石対10pairの内部から(より好ましくは中央から)外側に向かう方向である。磁石10のサイズが小さい場合には、この磁場方向MDは、永久磁石対10pairの内部から(より好ましくは中央から)外側に向かう放射状の方向となる。発明者の実験によれば、永久磁石対10pairの磁場方向MDの表面磁束密度は、単一の磁石10の表面磁束密度(すなわち図1(A)の上面の磁束密度)の約2倍に達することが見いだされた。そこで、本発明の各種実施例では、磁場方向MDの強い磁場を利用して、モータや発電機を構成している。なお、N極でなく、S極同士を接するように永久磁石対10pairを構成してもよい。
図1(D)は、6つの平板状の永久磁石10を含む磁石集合体20を示している。磁石集合体20の隣接する磁石同士は、N極同士又はS極同士が互いに接した状態で保持されている。図1(E)は、磁石集合体20の表面磁束密度の分布を示している。このグラフから理解できるように、磁石集合体20の周囲(図1(D)の左右位置)では、N極同士の同極接触面10cとS極同士の同極接触面10cとにおいて、それぞれ大きな表面磁束密度が発生している。この例から理解できるように、3個以上の磁石を含む磁石集合体は、N極とS極のそれぞれにおいて大きな磁束密度を発生することが可能である。なお、一般に、磁石集合体20は、互いに同極同士が接した状態で保持された複数の永久磁石で構成することが可能である。
B.各種の実施例:
図2(A)は、第1実施例としてのブラシレスリニアモータの構成を示す従断面図である。このリニアモータ100aは、磁石集合体20を含む第1の移動部材40aと、電磁コイル30を含む第2の移動部材50aとを有している。この例では、磁石集合体20は、8つの平板状の永久磁石を積層した積層体である。図2(B)は、第2の移動部材50aのみを描いたものである。この移動部材50aは、中空円筒状のフレーム(枠部材)52と、フレーム52に配置された複数の電磁コイル30と、これらの電磁コイル30の周囲を囲む電磁ヨーク材56と、磁気センサ54とを有している。磁気センサ54は、2つの移動部材40a,50aの相対的な位置関係を検出するための位置センサとして使用される。個々の電磁コイル30は、水平方向(図の左右方向)にそれぞれ巻き回されている。また、図2(A)に示すように、電磁コイル30は、磁石集合体20内の複数の磁石(ここでは5個の磁石)のN極とS極に対応する位置に配置されている。なお、コイルの断面に描かれた2種類のマークのうち、丸の中に黒点がある第1のマークは電流が紙面の裏側から表側に流れていることを示しており、丸の中に×がある第2のマークは電流が紙面の表側から裏側に流れていることを示している。なお、電流方向が互いに逆である2つの電磁コイル30は、位相が互いにπだけ異なるコイルである。モータの分野において、位相がπだけ異なるコイルは同一相のコイルと考えることが可能である。この定義に従えば、このリニアモータ100aは、一相モータである。
図2(C)は、リニアモータ100aの底面図である。N極近傍の磁場方向MDは、磁石集合体20の内部(又は中央)から外側に向けて放射状に延びている。図2(C)において、電流方向CDに沿って電磁コイル30に電流が流れると、電磁コイル30には紙面の裏から表に向かう方向に駆動力が働く。電磁コイル30を有する第2の移動部材50aが固定されている場合には、第1の移動部材40aが図2(C)の紙面の表から裏に向かう方向に駆動される。この電流方向は、各コイル30が磁石集合体20のN極とS極の中間の位置に来るタイミングで切り換えられる。このように、このブラシレスリニアモータ100aでは、電磁コイル30に流す電流を適切なタイミングで切り換えることによって、図2(A)の駆動方向DD(上下方向)に沿って磁石集合体20を動作させることが可能である。
図2(C)の例では、磁石集合体20の水平断面は矩形状であったが、磁石集合体20の水平断面形状としては、円形や三角形などの任意の形状を採用することが可能である。但し、磁石集合体20を構成する個々の永久磁石10は、磁極間の距離が大きな棒状の形状で無く、磁極間の距離(厚み)が小さい板状の形状を有していることが好ましい。この理由は、磁石集合体20を用いた電気機械では、同極接触面10cで発生する強い磁場を利用するので、磁石10の厚みが小さい方が効率が良いからである。この意味では、永久磁石10の磁化方向は、最も厚みの小さい方向と一致していることが好ましい。
図3は、図2に示した第1実施例のモータの変形例を示している。この変形例では、コイルのコア材として磁気ヨーク部材58が追加されている。磁気ヨーク部材58を追加すれば、より大きなトルクを得ることが可能である。
図4(A)は、第2実施例としてのブラシレスリニアモータの構成を示す従断面図である。このリニアモータ100bは、磁石集合体20を含む第1の移動部材40bと、電磁コイル30を含む第2の移動部材50bとを有している。図4(B)は、第2の移動部材50bのみを描いたものである。この移動部材50bは、図2(B)に示した移動部材50aと異なり、A相コイル30AとB相コイル30Bの2相分のコイルを含んでいる。また、磁気センサも、A相センサ54AとB相センサ54Bの2つが設けられている。更に、駆動制御回路500がフレーム52上に設置されている。A相コイル30AとB相コイル30Bは同一ピッチで交互に配置されている。なお、A相コイル30AとB相コイル30Bの間のピッチは、磁石集合体20の同極接触面のピッチと同じに設定されている。
図4(A),(B)に示す状態では、B相コイル30Bには電流が流れているが、A相コイル30Aには電流が流れていない。但し、図4(A)の状態から2つの移動部材40b、50bの相対位置が変化すると、A相センサ54Aが1つの磁石のN極とS極の中間の位置にきたタイミングでA相コイル30Aに電流が流れ、B相コイル30Bの電流は停止する。このように、A相コイル30AとB相コイル30Bの電流(すなわち印加電圧)を適宜切り換える2相駆動を実行することによって、駆動方向DDに沿った駆動を行うことが可能である。
図5(A)は、第3実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図であり、図5(B)はそのB−B断面図である。この回転式モータ100cは、磁石集合体20cを含むロータ(第1の移動部材)40cと、電磁コイルを含むステータ(第2の移動部材)50cとを有している。電磁コイルは、ケーシング130の内周に固定されている。ロータ40cの上部軸110と下部軸120は、それぞれ軸受け112,122で保持されている。磁石集合体20cの下端部は、固定ネジ124で下部軸120と連結されている。一方、磁石集合体20cの上端部に連結された上部軸110の回りには、バネ114が設けられており、このバネ114によって磁石集合体20cの上端がケーシング130の内面から押力を受けている。但し、このような連結構造は単なる一例であり、他の種々の連結構造を採用することが可能である。
第3実施例の磁石集合体20cは、図5(B)に示すように、扇状の複数の永久磁石が、同極同士が互いに接した状態で保持された円盤状の形状を有している。磁石の上部と下部と外周の一部は、電磁ヨーク部材26で保持されている。従って、最も強い磁場は、黒い矢印で示される様に、放射状の複数の方向に沿って発生する。
電磁コイルとしては、A相コイル30AとB相コイル30Bとが設けられている。図5(B)の例では、A相コイル30AとB相コイル30Bはそれぞれ6個ずつ設けられており、A相コイル30Aがより外周側に配置され、B相コイル30Bがより内周側に配置されている。また、B相コイル30Bの外側には、電磁ヨーク材56が配置されている。個々のコイルは、図5(B)において、モータの中心から外側に向かう放射状の方向を中心として巻き回されている。なお、磁気センサの図示は、省略されている。このモータ100cにおいても、A相コイル30AとB相コイル30Bの電流方向を適宜切り換えることによって、正転及び逆転の方向に駆動することが可能である。
なお、第3実施例では、6つの永久磁石を用いた6極2相モータの例を示ししているが、他の極数や相数を採用することも可能である。但し、軸回りの振動を減少するという意味では、極数を2n 個(nは2以上の整数)に設定することが好ましい。
図6は、第3実施例のモータの変形例を示している。このモータ100c'は、複数の磁石20cが全体としてドーナツ状(円環状)の構成を有している。なお、これらの複数の磁石20cの内周側に磁気ヨーク部材を配置してもよい。また、このモータ100c’では、A相コイル30AとB相コイル30Bとが同一円周上に配置されている。さらに、A相コイル30AとB相コイル30Bのそれぞれのコア材として磁気ヨーク部材32が追加されている。この変形例においても、第3実施例と同様の効果が得される。また、磁気ヨーク部材32を追加しているので、より大きなトルクを得ることが可能である。
図7は、第4実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。この回転式モータ100dは、リング状の磁石集合体20dを利用した点、及び、A相コイル30Aを磁石集合体20dの内周側に配置した点が第3実施例と異なる。磁石集合体20dを構成する個々の永久磁石は、弧状(より正確には円弧状)の形状を有しており、これらの弧状の複数の永久磁石を用いてリング状の磁石集合体20dが形成されている。このモータ100dにおいても、ステータ50dに対してロータ40dを正転及び逆転の方向に駆動することが可能である。また、この実施例では、リング状の磁石集合体20dの内側と外側の磁束密度を両方ともに利用できるので、より効率を向上させることが可能である。
図8(A)は、第5実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図であり、図8(B)〜(D)はその横断面図である。この回転式モータ100eは、図8(C)に示すように、複数の扇状の永久磁石で構成される円盤状の磁石集合体20eを備えたロータ40eを有している。磁石集合体20eの内周と外周は、電磁ヨーク部材26で保持されている。従って、磁石集合体20eは、図8(C)の紙面と垂直な方向(図8(A)の上下方向)に向かって強い磁場を発生する。ステータ50eには、図8(B)に示すA相コイル30Aと、図8(D)に示すB相コイル30Bとが設けられている。図8(A)からも理解できるように、A相コイル30AとB相コイル30Bとは、ロータ40eを挟んだ両側に(すなわち上下に)配置されている。磁石集合体20eの磁場は、主として図8(A)の上下方向に向かっているので、これらのコイル30A,30Bを用いて強い磁場(磁束密度)を有効に利用することが可能である。
図9(A)は、第6実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図であり、図9(B)〜(D)はその横断面図である。この回転式モータ100fのロータ40fは、上部磁石集合体20fuと下部磁石集合体20fdとを有している。これらの磁石集合体20fu,20fdのそれぞれは、図9(B),(D)に示すように、それぞれ複数の扇状の永久磁石で構成された円盤状の形状を有している。また、これらの磁石集合体20fu,20fdの個々の磁石の位置は、それぞれの磁極ピッチの1/2だけ相互にずれている。ステータ50fは、磁石集合体20fu,20fdにそれぞれ対面するA相コイル30AとB相コイル30Bとを有している。図9(C),(E)に示すように、これらのコイル30A,30Bの位置も、それぞれのコイルピッチの1/2だけ相互にずれている。この第6実施例のモータによっても、第5実施例のモータと同様に、磁石集合体30fu,20fdから発生する上下方向の強い磁場を有効に活用することが可能である。
以上の各種の実施例から理解できるように、本発明の実施例によるブラシレス電気機械は、複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の部材(「第1の移動部材」とも呼ぶ)と、電磁コイルを備える第2の部材(「第2の移動部材」とも呼ぶ)と、を備え、第1と第2の移動部材とが相対的に移動できるように構成された種々のブラシレス電気機械として実現可能である。なお、極数や相数としては、任意の数を採用することが可能である。
C.回路構成:
図10は、実施例におけるブラシレス電気機械の制御回路の構成を示すブロック図である。この制御回路は、CPUシステム300と、駆動信号生成部200と、駆動ドライバ部210と、回生制御部220と、蓄電器230と、蓄電制御部240とを備えている。駆動信号生成部200は、駆動ドライバ部210に供給する駆動信号を生成する。
図11は、駆動ドライバ部210の構成を示す回路図である。この駆動ドライバ部210は、H型ブリッジ回路を構成している。駆動信号生成部200からは、第1の駆動信号DRVA1と、第2の駆動信号DRVA2のうちの一方が駆動ドライバ部210に供給される。図10に示す電流IA1,IA2は、これらの駆動信号DRVA1,DRVA2に応じて流れる電流(「駆動電流」とも呼ぶ)の方向を示している。なお、電流IA1,IA2の切り換えは、磁気センサ54からの出力信号に応じて適宜実行される。
図12は、回生制御部220の内部構成を示す回路図である。回生制御部220は、電磁コイル30に対して駆動ドライバ部と並列に接続されている。回生制御部220は、ダイオードで構成される整流回路222と、スイッチングトランジスタ224とを備えている。蓄電制御部240によってスイッチングトランジスタ224がオン状態になると、電磁コイル30で発生した電力を回生して蓄電器230を充電することが可能である。また、蓄電器230から電磁コイル30に電流を供給することも可能である。なお、制御部から、回生制御部220と蓄電器230と蓄電制御部240を省略してもよく、或いは、駆動信号生成部200と駆動ドライバ部210を省略してもよい。また、図10〜図12は、一相モータ用の制御回路であるが、2相以上の任意の相数のための制御回路も容易に構成することが可能である。
このように、上述した各実施例のブラシレスモータでは、同極同士が互いに接した状態で保持された磁石集合体を構成することによって強い磁場を発生させ、この磁場と電磁コイルとの電磁相互作用で駆動力を発生させるようにしたので、電磁コイルに電流を流すことによって、モータに効率良く駆動力を発生させることができる。また、ブラシレス電気機械をブラシレス発電機として構成した場合には、効率良く発電を行うことが可能である。また、永久磁石の同極同士による磁場形成のため、同極同士の間隔が非常に狭くでき極数を非常に多く構成出来るために低回転で高トルク型の高効率な電動モータを容易に実現できる。また、低回転でも高効率の発電機及び回生特性が得られる。さらに、上記実施例では電磁ヨークの無いモータ構成を採用していたが、本発明は電磁ヨーク付きブラシレスモータにも適用可能である。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記実施例では、ブラシレス電気機械の機械的構成や回路構成の具体例を説明したが、本発明のブラシレス電気機械の機械的構成や回路構成としては、これら以外の任意の構成を採用することが可能である。
D2.変形例2:
本発明は、ファンモータ、時計(針駆動)、ドラム式洗濯機(単一回転)、ジェットコースタ、振動モータなどの種々の装置のモータに適用可能である。本発明をファンモータに適用した場合には、上述した種々の効果(低消費電力、低振動、低騒音、低回転ムラ、低発熱、高寿命)が特に顕著である。このようなファンモータは、例えば、デジタル表示装置や、車載機器、燃料電池式パソコン、燃料電池式デジタルカメラ、燃料電池式ビデオカメラ、燃料電池式携帯電話などの燃料電池使用機器、プロジェクタ等の各種装置のファンモータとして使用することができる。本発明のモータは、さらに、各種の家電機器や電子機器のモータとしても利用可能である。例えば、光記憶装置や、磁気記憶装置、ポリゴンミラー駆動装置等において、本発明によるモータをスピンドルモータとして使用することが可能である。また、本発明によるモータは、移動体やロボット用のモータとしても利用可能である。
図13は、本発明の実施例によるモータを利用したプロジェクタを示す説明図である。このプロジェクタ600は、赤、緑、青の3色の色光を発光する3つの光源610R、610G、610Bと、これらの3色の色光をそれぞれ変調する3つの液晶ライトバルブ640R、640G、640Bと、変調された3色の色光を合成するクロスダイクロイックプリズム650と、合成された3色の色光をスクリーンSCに投写する投写レンズ系660と、プロジェクタ内部を冷却するための冷却ファン670と、プロジェクタ600の全体を制御する制御部680と、を備えている。冷却ファン670を駆動するモータとしては、上述した各種のブラシレスモータを利用することができる。
図14(A)〜(C)は、本発明の実施例によるモータを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。図14(A)は携帯電話700の外観を示しており、図14(B)は、内部構成の例を示している。携帯電話700は、携帯電話700の動作を制御するMPU710と、ファン720と、燃料電池730とを備えている。燃料電池730は、MPU710やファン720に電源を供給する。ファン720は、燃料電池730への空気供給のために携帯電話700の外から内部へ送風するため、或いは、燃料電池730で生成される水分を携帯電話700の内部から外に排出するためのものである。なお、ファン720を図14(C)のようにMPU710の上に配置して、MPU710を冷却するようにしてもよい。ファン720を駆動するモータとしては、上述した各種のブラシレスモータを利用することができる。
図15は、本発明の実施例によるモータ/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車800は、前輪にモータ810が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路820と充電池830とが設けられている。モータ810は、充電池830からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモータ810で回生された電力が充電池830に充電される。制御回路820は、モータの駆動と回生とを制御する回路である。このモータ810としては、上述した各種のブラシレスモータを利用することが可能である。
図16は、本発明の実施例によるモータを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット900は、第1と第2のアーム910,920と、モータ930とを有している。このモータ930は、被駆動部材としての第2のアーム920を水平回転させる際に使用される。このモータ930としては、上述した各種のブラシレスモータを利用することが可能である。
本発明の各種実施例で利用される磁石集合体の概略構成を示す説明図である。 第1実施例としてのリニアモータの構成を示す断面図である。 第1実施例の変形例を示す図である。 第2実施例としてのリニアモータの構成を示す断面図である。 第3実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。 第3実施例の変形例を示す図である。 第4実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。 第5実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。 第6実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。 ブラシレス電気機械の制御回路の構成を示すブロック図である。 駆動ドライバ部の構成を示す回路図である。 回生制御部の内部構成を示す回路図である。 本発明の実施例によるモータを利用したプロジェクタを示す説明図である。 本発明の実施例によるモータを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。 本発明の実施例によるモータ/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。 本発明の実施例によるモータを利用したロボットの一例を示す説明図である。
符号の説明
10…永久磁石
10c…同極接触面
10pair…永久磁石対
20…磁石集合体
26…電磁ヨーク部材
30…電磁コイル
40a、40b…第1の移動部材
40c〜40f…ロータ(第1の移動部材)
50a,50b…第2の移動部材
50d〜50f…ステータ(第2の移動部材)
52…フレーム
54…磁気センサ
56…電磁ヨーク材
100a〜100b…ブラシレスリニアモータ
100c〜100f…回転式モータ
110…上部軸
114…バネ
120…下部軸
124…固定ネジ
130…ケーシング
200…駆動信号生成部
210…駆動ドライバ部
220…回生制御部
222…整流回路
224…スイッチングトランジスタ
230…蓄電器
240…蓄電制御部
300…CPUシステム
500…駆動制御回路
600…プロジェクタ
610R,61G,610B…光源
640R,64G,640B…液晶ライトバルブ
650…クロスダイクロイックプリズム
660…投写レンズ系
670…冷却ファン
680…制御部
700…携帯電話
710…MPU
720…ファン
730…燃料電池
800…自転車
810…モータ
820…制御回路
830…充電池
900…ロボット
910,920…アーム
930…モータ

Claims (10)

  1. ブラシレス電気機械であって、
    同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを含み、前記第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成された第2の移動部材と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、前記磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されている、ブラシレス電気機械。
  2. 請求項1記載のブラシレス電気機械であって、さらに、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路を備え、
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能である、ブラシレス電気機械。
  3. 請求項1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ平板状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を前記同極接触面と垂直な方向に積層した積層体である、ブラシレス電気機械。
  4. 請求項1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ扇状又は弧状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記扇状の複数の永久磁石を円盤状に配置した形状、又は、前記弧状の複数の永久磁石を円環状に配置した形状を有している、ブラシレス電気機械。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のブラシレス電気機械であって、
    前記第1と第2の移動部材は、前記同極接触面に対して垂直な方向に沿って相対的に移動可能に構成されている、ブラシレス電気機械。
  6. 電子機器であって、
    所定の駆動方向に動作可能なブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを含み、前記第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成された第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、前記磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており、
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能である、電子機器。
  7. 請求項6記載の電子機器であって、
    前記電子機器はプロジェクタである、電子機器。
  8. 燃料電池使用機器であって、
    所定の駆動方向に動作可能なブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    前記ブラシレスモータに電源を供給する燃料電池と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを含み、前記第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成された第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、前記磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており、
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能である、燃料電池使用機器。
  9. ロボットであって、
    ブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    同極同士が互いに接した状態で保持された複数の永久磁石を含む磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを含み、前記第1の移動部材との相対的な位置が変更可能に構成された第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、同極同士が互いに接する同極接触面上の磁場方向であって、前記磁石集合体から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており、
    前記制御回路は、前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレスモータを所定の駆動方向に動作させる駆動制御を実行可能である、ロボット。
  10. 請求項1記載のブラシレス電気機械を備えた移動体。
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