JP5228536B2 - ブラシレス電気機械 - Google Patents

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Description

この発明は、永久磁石と電磁コイルとを利用したブラシレス電気機械に関する。
ブラシレス電気機械は、ブラシレスモータとブラシレス発電機とを包含する意味を有する用語である。ブラシレスモータとしては、例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2001−298982号公報
従来のブラシレス電気機械では、電磁コイルに印加する電流の方向や、回生される電流の方向を適宜切り替えることによって動作の制御が行われていた。しかし、電流方向の切り替えを行うための制御回路の構成が複雑であり、また、切り替えに伴って損失が発生するという問題があった。
本発明は、制御回路の構成がより単純で効率の良いブラシレス電気機械を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の一形態は、
ブラシレス電気機械であって、
内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
電磁コイルを有する第2の移動部材と、
を備え、
前記第1と第2の移動部材は、互いの相対的な位置が変更可能に構成されており、
前記磁石集合体の個々の永久磁石は、積層方向と垂直な方向に磁化されており、
前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており、
前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体であり、
前記磁石集合体の磁場方向は、前記ブラシレス電気機械の回転軸方向と平行であり、
前記電磁コイルが、前記ブラシレス電気機械の回転軸方向に沿って、前記磁石集合体とギャップを挟んで対向しており、
前記電磁コイルが、強磁性体のコア材の廻りに、前記磁石集合体により近い第1のコイル部分とより遠い第2のコイル部分とを有するように巻かれており、前記第1と第2のコイル部分を通って電流が流れることにより、前記磁石集合体により近い前記第1のコイル部分では駆動力が有効に発生する一方、前記磁石集合体により遠い前記第2のコイル部分では、前記磁石集合体の磁場が前記コア部材によって遮蔽されるように構成されている。
このブラシレス電気機械によれば、磁石同士の境界面上において磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生するという現象を利用して、リング状の永久磁石の積層方向と垂直な方向に向かって強い磁場を発生することができるので、この磁場を利用した高効率なブラシレス電気機械を実現することが可能である。
[適用例1]
ブラシレス電気機械であって、
内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
電磁コイルを有する第2の移動部材と、
を備え、
前記第1と第2の移動部材は、互いの相対的な位置が変更可能に構成されており、
前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されている、ブラシレス電気機械。
このブラシレス電気機械によれば、磁石同士の境界面上において磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生することができる。従って、永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレス電気機械を実現することが可能である。
[適用例2] 適用例1記載のブラシレス電気機械であって、さらに、
前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路を備え、
前記制御回路は、
(i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
(ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
のうちの少なくとも一方を実行可能である、ブラシレス電気機械。
この構成によれば、永久磁石の磁束を効率よく利用できるブラシレスモータやブラシレス発電機を実現することが可能である。
[適用例3]
適用例1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
前記複数の永久磁石はそれぞれ中空状の形状を有しており、
前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石の中心軸と平行な方向に積層した積層体である、ブラシレス電気機械。
この構成では、積層方向と垂直な方向に向かって強い磁場を発生することができるので、この磁場を利用した高効率なブラシレス電気機械を実現することができる。
[適用例4]
適用例1又は2記載のブラシレス電気機械であって、
前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体である、ブラシレス電気機械。
この構成においても、積層方向と垂直な方向に向かって強い磁場を発生することができるので、この磁場を利用した高効率なブラシレス電気機械を実現することができる。
[適用例5]
適用例1〜3のいずれかに記載のブラシレス電気機械であって、
前記第1と第2の移動部材は、前記隣接する永久磁石同士の境界面に対して垂直な方向に沿って相対的に移動可能に構成されている、ブラシレス電気機械。
[適用例6]
適用例1〜4のいずれかに記載のブラシレス電気機械であって、
前記第1と第2の移動部材は、前記隣接する永久磁石同士の境界面に平行な方向に沿って相対的に移動可能に構成されている、ブラシレス電気機械。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電動モータ、発電機、それらの制御方法、それらを用いたアクチュエータや電子機器等の形態で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A.磁石集合体の構成:
B.各種の実施例:
C.回路構成:
D.変形例:
A.磁石集合体の構成:
図1は、本発明の各種実施例で利用される磁石集合体の概略構成を示す説明図である。図1(A)は、1つの永久磁石10を示している。この磁石10は、内周と外周とを有する中空円筒状の形状を有しており、その半径方向に磁化されている。なお、内部の中空部の形状は矩形としているが、他の正多角形や円形などの他の任意の形状を採用することができる。この磁石10のN極から出ている矢印は、磁場方向MDに延びる磁力線を示している。
図1(B)は、2つの磁石10で構成される磁石集合体20を示している。この磁石集合体20は、2つの磁石10が、その中心軸に沿った方向に積層されたものである。この状態で2つの磁石10を保持すると、太い矢印で示されるように、2つの磁石10の境界面(互いの接触面)から外部に向けた磁場方向MDに沿って最も強い磁場が発生する。なお、磁場方向MDは、磁石同士の接触面上の方向であって、磁石集合体20の内側から外側に向かう方向である。この例のように、永久磁石10が円形の外形形状を有する場合には、この磁場方向MDは、磁石集合体20の中心から外側に向かう放射状の方向となる。発明者の実験によれば、磁石集合体の磁場方向MDの表面磁束密度は、単一の磁石10の表面磁束密度(すなわち図1(A)の上面の磁束密度)の約2倍に達することが見いだされた。
図1(C)は、6つの永久磁石10を含む磁石集合体20を示している。図1(D)は、この磁石集合体20の表面磁束密度の分布を示している。このグラフから理解できるように、この磁石集合体20では、隣接する磁石同士の境界面に沿って、強い磁場が発生している。また、この磁場は、磁石集合体20の中心20cから外側に向けて放射状に形成されている。本発明の各種実施例では、このように複数の磁石を積層した磁石集合体を用い、その磁場方向MDの強い磁場を利用して、モータや発電機を構成している。なお、磁石の外周の磁極は、N極でなく、S極としてもよい。
図2(A),(B)は、磁石集合体の製造方法の一例を示す説明図である。図2(A)では、まず、複数の未励磁の磁石部材MMを準備し、これらを積層した積層構造体MSを生成する。この際、隣接する2つの磁石部材MMの間には、非磁性体部材NMを介挿させることが好ましい。次に、図2(B)に示すように、積層構造体MSの周囲を形状保持部材FMで覆う。この形状保持部材FMは、積層構造体MSがバラバラになることを防止するための部材であり、樹脂や、金属、セラミックスなどの各種の材料で構成することが可能である。こうして成形された積層体を着磁装置で着磁処理することによって、複数の永久磁石が積層された磁石集合体20を得ることが可能である。
なお、図2の方法の代わりに、個々に製造された永久磁石を単に積層することによって、磁石集合体20を作成しても良い。この場合には、隣接する磁石の間に非磁性体部材NMを介挿させてもよく、磁石同士を直接接触させてもよい。隣接する磁石の間に非磁性体部材NMを介挿させた場合には、「隣接する磁石同士の境界面」は、非磁性体部材NMの中央に存在することが理解できる。
B.各種の実施例:
図3(A)は、第1実施例としてのブラシレスリニアモータの構成を示す従断面図である。このリニアモータ100aは、磁石集合体20を含む第1の移動部材と、電磁コイル30を含む第2の移動部材とを有している。この例では、磁石集合体20は、8つの永久磁石が積層されたものである。図3(B)は、リニアモータ100aの水平断面図である。この例では、磁石集合体20の外周と内周がそれぞれ矩形形状を有している。磁場方向MDは、磁石集合体20の内側から外側に向かう放射状の方向である。図3(B)において、電流方向CDに沿って電磁コイル30に電流が流れると、電磁コイル30には紙面の裏から表に向かう方向に駆動力が働く。電磁コイル30が固定されている場合には、磁石集合体20が図3(B)の紙面の表から裏に向かう方向に駆動される。また、電流方向を逆転させると、これとは反対の駆動力が発生する。すなわち、駆動力が発生する方向は、磁石集合体20における磁石同士の境界面と垂直な方向である。このように、このブラシレスリニアモータ100aでは、電磁コイル30に直流電流を流すことによって、図3(A)の駆動方向DD(上下方向)に沿って磁石集合体20を動作させることが可能である。
なお、図3(B)の例では磁石集合体20の水平断面は矩形状であったが、磁石集合体20の水平断面形状としては、円形や三角形などの任意の形状を採用することが可能である。但し、磁石集合体20を構成する個々の永久磁石は、厚みが小さい板状の形状を有していることが好ましい。この理由は、磁石集合体20を用いた電気機械では、隣接する磁石同士の境界面で発生する強い磁場を利用するので、磁石の厚みが小さい方が効率が良いからである。
図4(A)は、第2実施例としてのブラシレスリニアモータの構成を示す従断面図であり、図4(B)はその側面図である。このリニアモータ100bは、磁石集合体20を含む第1の移動部材と、電磁コイル30を含む第2の移動部材40とを有している。電磁コイル30は、フレーム(枠部材)46で支持されており、フレーム46上には荷重部44が載置されている。荷重部44は、フレーム46とともに移動する物体であり、電磁コイル30の制御回路と電源(電池など)も含んでいる。フレーム46は、ベアリング42を介して磁石集合体20の上部に保持されている。電磁コイル30に直流電流が流れると、電磁コイル30とフレーム46と荷重部44とを含む移動部材40は、図4(A)の紙面に垂直な方向に沿って移動する。この移動方向は、図4(B)に示す駆動方向DDに相当する。例えば、図4(A)に示す電流方向CDに電流が流れた場合には、移動部材40は紙面の裏から表に向かう方向に駆動される。すなわち、このモータ100bでは、駆動力が発生する方向は、磁石集合体20における磁石同士の境界面と垂直な方向である。なお、磁石集合体20の側面(図4(B)で見えている面)には、磁石同士の境界とは別に、スリットを設けるようにしてもよい。
図5(A)〜(C)は、磁石集合体20におけるスリットの配置例を示す説明図である。図5(A)、(B)の例では、スリット14が斜め方向に設けられている。磁石同士の境界は、これとは別の位置(例えば垂直方向)に存在していてもよい。磁石集合体20のスリット14は、モータの駆動方向DDに交わる方向に沿って設けられていることが好ましい。こうすれば、磁束密度を増加させることができ、この結果、駆動力を増大させることが可能である。このようなスリット14は、他の実施例においても設けることが好ましい。
図6(A)は、第3実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図であり、図6(B)はそのB−B断面図である。この回転式モータ100cは、磁石集合体20を含むロータ(第1の移動部材)と、電磁コイル30を含むステータ(第2の移動部材)とを有している。電磁コイル30は、ケーシング130の内周に固定されている。ロータの上部軸110と下部軸120は、それぞれ軸受け112,122で保持されている。磁石集合体20の下端部は、固定ネジ124で下部軸120と連結されている。一方、磁石集合体20の上端部に連結された上部軸110の回りには、バネ114が設けられており、このバネ114によって磁石集合体20の上端がケーシング130の内面から押力を受けている。但し、このような連結構造は単なる一例であり、他の種々の連結構造を採用することが可能である。
第3実施例の磁石集合体20は、2つの永久磁石の両端(上下端)に磁気ヨーク部材12が設けられた構成を有している。また、第3実施例の磁石集合体20は、中空円筒状(又は中空円盤状)の形状を有している。
図6(A)に示す電流方向CDに電流が流れた場合には、ロータ(磁石集合体20)は図6(B)の時計方向に駆動される。また、電流を逆方向に流せば、逆方向に駆動することも可能である。すなわち、このモータ100cでは、駆動力が発生する方向は、磁石集合体20における磁石同士の境界面に沿った方向(磁石同士の境界面と平行な方向)である。このように、第3実施例の回転式モータでは、電磁コイル30に直流電流を流すことによって、所定の回転方向にロータを回転させることが可能である。
図7(A)〜(C)は、第3実施例に適した電磁コイルの断面構造を示す説明図である。図7(A)では、コイル30のコア部材として、強磁性体部材32が設けられている。図7(B)では、コイル30のコア部材として、非磁性体部材34が設けられている。図7(C)では、コイル30のコア部材として、永久磁石36と強磁性体部材32とが設けられている。なお、コア材としての永久磁石36の磁化方向は、磁石集合体20の磁石同士の境界面に沿った磁場方向と同一(磁力線が同じ方向を向く)ものであることが好ましい。図7(A)〜(C)には、コイル30の部分として、磁石集合体20により近いコイル部分30iとより遠いコイル部分30oとが示されている。図7(A),(C)の構成では磁石集合体20により近いコイル部分30iでは、磁石集合体20の磁場によって駆動力が有効に発生し、一方、磁石集合体20により遠いコイル部分30oでは、磁石集合体20の磁場がコア部材によって遮蔽されるので駆動力がほとんど発生しない。この理由からは、図7(A),(C)の構成の方が、図7(B)の構成よりも好ましい。
図8は、第4実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図である。この回転式モータ100dは、磁石集合体20として、4つの永久磁石を積層したものを利用した点が第3実施例と異なっている。一般には、3つ以上の永久磁石を積層した磁石集合体20を回転式モータとして利用すれば、より大きな駆動力を発生させることが可能である。
図9は、第5実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図である。この回転式モータ100eは、磁石集合体20として、多数の薄板状の永久磁石10thinの積層構造を利用した点が第4実施例と異なっている。この構成では、磁石集合体20の表面磁束密度をさらに向上させることができ、より大きな駆動力を発生させることが可能である。
図10(A)は、第6実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図であり、図10(B)はその磁石集合体20fのみを示す縦断面図である。この回転式モータ100fでは、図10(B)に示すように、磁石集合体20fの永久磁石に、中心軸用の空間の他に環状空間22が設けられている。この環状空間22の中にステータの電磁コイル30が挿入される。なお、1層分の永久磁石は、環状空間22の内側に配置された小径のリング状磁石10sと、環状空間22の外側に配置された大径のリング状磁石10bとで構成されているものと考えることも可能である。この磁石集合体20fは、全体として略円筒状の形状を有しており、その外周の全体が磁気ヨーク部材12で被覆されている。磁石集合体20fと電磁コイル30とをこのように構成すれば、図10(A)に示すように、電磁コイル30のコア部材を挟んだ両側のコイル部分では逆向きの磁場が存在するので、電磁コイル30の両側のコイル部分から同一方向の駆動力を発生させることが可能である。
図11(A)〜(C)は、第6実施例に適した電磁コイルの断面構造を示す説明図である。図11(A)、(B)は、前述した図7(A),(B)の構成と同じである。図11(C)では、コイル30のコア部材として、強磁性体部材32の両側に永久磁石36がそれぞれ設けられている。なお、コア材としての永久磁石36の磁化方向は、図7(C)の例と同様に、磁石集合体20の磁石同士の境界面上の磁場方向と同一(磁力線が同じ方向を向く)ものであることが好ましい。
図12は、第7実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す従断面図である。この回転式モータ100gは、図10に示した第6実施例の回転式モータ100fを逆向きに2組配置して、上方と下方にそれぞれ独立に回転する軸120を設けた構成を有している。なお、ケーシングは2つのモータ100fで共用している。この回転式モータ100gでは、2つの軸120を利用して2つの被駆動部材を独立に駆動することが可能である。
図13(A)〜(D)は、第8実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。この回転式モータ100hは、磁石集合体70を含むロータ50と、電磁コイル30を含むステータ60とを有している。ステータ60は、ケーシング130内に設けられた回路基板132に固定されている。電磁コイル30の内側には、永久磁石36と磁気ヨーク部材32とを含むコア材が設けられている。ロータ50の中心軸120は、それぞれ軸受け120で保持されている。磁石集合体70の外周部は、磁気ヨーク部材52で覆われている。
図13(B)は図13(A)のB−B断面を示し、図13(C)はC−C断面を示している。図13(B)に示すように、磁石集合体70は、リング状の複数の永久磁石10rが多重リング状に重ねられた構成を有している。図13(D)は、磁石集合体70を構成するリング状磁石10rを分解して示す説明図である。個々のリング状磁石10rは、上下方向に磁化されている。ここでは、3個のリング状磁石10rのみが描かれているが、リング状磁石10rの数は2以上の任意の数に設定可能である。これらのリング状磁石10rを多重リング状に重ねた磁石集合体70は、その上下方向に強い磁場を発生することができる。この磁石集合体70では、隣接する磁石同士の境界面は、円筒面状の形状を有している。なお、電磁コイル30のコイル材としての永久磁石36も、同様に、多重リング状の構成を採用することが好ましい。
図13(A)に示す電流方向CD又はこれとは逆方向の電流が電磁コイル30を流れると、ロータ50が回転する。従って、このモータ100hでは、駆動力が発生する方向は、磁石集合体70における磁石同士の境界面に沿った方向(磁石同士の境界面と平行な方向)である。
図14(A)〜(C)は、第9実施例としてのブラシレス回転式モータの構成を示す断面図である。この回転式モータ100iは、ステータ60の上部と下部にそれぞれロータ50を設けた点が第8実施例と異なっている。これらの2つのロータ50は、中心軸110に共通に接続されている。なお、ステータ60の電磁コイル30のコア材としては、磁気ヨーク部材32の両側に永久磁石36を設けた構造が採用されている。これは、前述した図11(C)と類似の構造である。但し、図14(A)では、磁石36を多重リング状に構成することが好ましい。このように、ステータ60の上下にそれぞれロータ50を設けるようにすれば、よりモータ効率を向上させることが可能である。
以上の各種の実施例から理解できるように、本発明の各種実施例によるブラシレス電気機械は、複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の部材(「第1の移動部材」とも呼ぶ)と、電磁コイルを備える第2の部材(「第2の移動部材」とも呼ぶ)と、を備え、第1と第2の移動部材とが相対的に移動できるように構成された種々のブラシレス電気機械として実現可能である。
C.回路構成:
図15は、実施例におけるブラシレス電気機械の制御回路の構成を示すブロック図である。この制御回路は、CPUシステム300と、駆動信号生成部200と、駆動ドライバ部210と、回生制御部220と、蓄電器230と、蓄電制御部240とを備えている。駆動信号生成部200は、駆動ドライバ部210に供給する駆動信号を生成する。
図16は、駆動ドライバ部210の構成を示す回路図である。この駆動ドライバ部210は、H型ブリッジ回路を構成している。駆動信号生成部200からは、第1の駆動信号DRVA1と、第2の駆動信号DRVA2のうちの一方が駆動ドライバ部210に供給される。図15に示す電流IA1,IA2は、これらの駆動信号DRVA1,DRVA2に応じて流れる電流(「駆動電流」とも呼ぶ)の方向を示している。例えば、第1の駆動信号DRVA1に応じて電流IA1が流れる場合にはモータが所定の第1の駆動方向に動作し、第2の駆動信号DRVA2に応じて電流IA2が流れる場合にはモータが第1の駆動方向とは逆の第2の駆動方向に動作する。この第1の駆動方向は、例えば図3(A)の上方向であり、第2の駆動方向は下方向である。あるいは、図6のような回転式モータの場合には、第1の駆動方向は例えば右回りであり、第2の駆動方向は左回りである。駆動信号DRVA1,DRVA2としては、例えば、一定のオン信号や、周期的なパルス信号等を使用することが可能である。
なお、駆動信号生成部200は、2つの駆動信号DRVA1,DRVA2のうちの一方のみしか生成しないように構成することも可能である。この場合には、モータは一方向にしか駆動できないが、例えばファンモータのような実装例ではこれでも十分である。
図17は、回生制御部220の内部構成を示す回路図である。回生制御部220は、電磁コイル30に対して駆動ドライバ部と並列に接続されている。回生制御部220は、ダイオードで構成される整流回路222と、スイッチングトランジスタ224とを備えている。蓄電制御部240によってスイッチングトランジスタ224がオン状態になると、電磁コイル30で発生した電力を回生して蓄電器230を充電することが可能である。また、蓄電器230から電磁コイル30に電流を供給することも可能である。なお、制御部から、回生制御部220と蓄電器230と蓄電制御部240を省略してもよく、或いは、駆動信号生成部200と駆動ドライバ部210を省略してもよい。
このように、上述した各実施例のブラシレスモータでは、複数の永久磁石を積層した磁石集合体を構成することによって強い磁場を発生させ、この磁場と電磁コイルとの電磁相互作用で駆動力を発生させるようにしたので、電磁コイルに一定方向の電流を流すことによって、モータに所定の駆動方向の力を発生させることができる。すなわち、本実施例のブラシレスモータでは、制御回路によって駆動電圧や駆動電流の切り替えを行うことなく、ブラシレスモータを動作させることが可能である。また、ブラシレス電気機械をブラシレス発電機として構成した場合には、所定の方向に沿った発電機の動作を直流電力に変換することが可能である。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記実施例では、電磁コイルに直流の駆動電圧を印加するものとしていたが、駆動電圧としてパルス状の電圧を電磁コイルに印加しても良い。すなわち、駆動電圧の極性を変更することなく所定の極性の電圧を電磁コイルに与えることによって、所定の駆動方向にモータを動作させることができる。また、駆動電流の観点からは、駆動電流の方向を変更することなく所定の方向の駆動電流を電磁コイルに与えることによって、所定の駆動方向にモータを動作させることができることが理解できる。但し、パルス状の電圧や電流で無く、継続的に一定の直流電圧や直流電流をコイルに与えるようにすれば、制御回路の構成がより容易になるという利点がある。
D2.変形例2:
上記実施例では、ブラシレス電気機械の機械的構成や回路構成の具体例を説明したが、本発明のブラシレス電気機械の機械的構成や回路構成としては、これら以外の任意の構成を採用することが可能である。
D3.変形例3:
本発明は、ファンモータ、時計(針駆動)、ドラム式洗濯機(単一回転)、ジェットコースタ、振動モータなどの種々の装置のモータに適用可能である。本発明をファンモータに適用した場合には、上述した種々の効果(低消費電力、低振動、低騒音、低回転ムラ、低発熱、高寿命)が特に顕著である。このようなファンモータは、例えば、デジタル表示装置や、車載機器、燃料電池式パソコン、燃料電池式デジタルカメラ、燃料電池式ビデオカメラ、燃料電池式携帯電話などの燃料電池使用機器、プロジェクタ等の各種装置のファンモータとして使用することができる。本発明のモータは、さらに、各種の家電機器や電子機器のモータとしても利用可能である。例えば、光記憶装置や、磁気記憶装置、ポリゴンミラー駆動装置等において、本発明によるモータをスピンドルモータとして使用することが可能である。また、本発明によるモータは、移動体やロボット用のモータとしても利用可能である。
図18は、本発明の実施例によるモータを利用したプロジェクタを示す説明図である。このプロジェクタ600は、赤、緑、青の3色の色光を発光する3つの光源610R、610G、610Bと、これらの3色の色光をそれぞれ変調する3つの液晶ライトバルブ640R、640G、640Bと、変調された3色の色光を合成するクロスダイクロイックプリズム650と、合成された3色の色光をスクリーンSCに投写する投写レンズ系660と、プロジェクタ内部を冷却するための冷却ファン670と、プロジェクタ600の全体を制御する制御部680と、を備えている。冷却ファン670を駆動するモータとしては、上述した各種のブラシレスモータを利用することができる。
図19(A)〜(C)は、本発明の実施例によるモータを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。図19(A)は携帯電話700の外観を示しており、図19(B)は、内部構成の例を示している。携帯電話700は、携帯電話700の動作を制御するMPU710と、ファン720と、燃料電池730とを備えている。燃料電池730は、MPU710やファン720に電源を供給する。ファン720は、燃料電池730への空気供給のために携帯電話700の外から内部へ送風するため、或いは、燃料電池730で生成される水分を携帯電話700の内部から外に排出するためのものである。なお、ファン720を図19(C)のようにMPU710の上に配置して、MPU710を冷却するようにしてもよい。ファン720を駆動するモータとしては、上述した各種のブラシレスモータを利用することができる。
図20は、本発明の実施例によるモータ/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車800は、前輪にモータ810が設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路820と充電池830とが設けられている。モータ810は、充電池830からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時にはモータ810で回生された電力が充電池830に充電される。制御回路820は、モータの駆動と回生とを制御する回路である。このモータ810としては、上述した各種のブラシレスモータを利用することが可能である。
図21は、本発明の実施例によるモータを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット900は、第1と第2のアーム910,920と、モータ930とを有している。このモータ930は、被駆動部材としての第2のアーム920を水平回転させる際に使用される。このモータ930としては、上述した各種のブラシレスモータを利用することが可能である。
本発明の各種実施例で利用される磁石集合体の概略構成を示す説明図である。 磁石集合体の製造方法の一例を示す説明図である。 第1実施例としてのリニアモータの構成を示す断面図である。 第2実施例としてのリニアモータの構成を示す説明図である。 磁石集合体の表面におけるスリットの配置例を示す説明図である。 第3実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第3実施例に適した電磁コイルの断面構造を示す説明図である。 第4実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第5実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第6実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第6実施例に適した電磁コイルの断面構造を示す説明図である。 第7実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第8実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 第9実施例としての回転式モータの構成を示す断面図である。 ブラシレス電気機械の制御回路の構成を示すブロック図である。 駆動ドライバ部の構成を示す回路図である。 回生制御部の内部構成を示す回路図である。 本発明の実施例によるモータを利用したプロジェクタを示す説明図である。 本発明の実施例によるモータを利用した燃料電池式携帯電話を示す説明図である。 本発明の実施例によるモータ/発電機を利用した移動体の一例としての電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。 本発明の実施例によるモータを利用したロボットの一例を示す説明図である。
符号の説明
10…永久磁石
12…磁気ヨーク部材
14…スリット
20…磁石集合体
22…環状空間
30…電磁コイル
32…強磁性体部材(磁気ヨーク部材)
34…非磁性体部材
36…永久磁石
40…移動部材
42…ベアリング
44…荷重部
46…フレーム
50…ロータ
52…磁気ヨーク部材
60…ステータ
70…磁石集合体
100a〜100i…ブラシレスモータ
110…中心軸
114…バネ
120…中心軸
124…固定ネジ
130…ケーシング
132…回路基板
200…駆動信号生成部
210…駆動ドライバ部
220…回生制御部
222…整流回路
224…スイッチングトランジスタ
230…蓄電器
240…蓄電制御部
300…CPUシステム
600…プロジェクタ
610R,610G,610B…光源
640R,640G,640B…液晶ライトバルブ
650…クロスダイクロイックプリズム
660…投写レンズ系
670…冷却ファン
680…制御部
700…携帯電話
710…MPU
720…ファン
730…燃料電池
800…自転車
810…モータ
820…制御回路
830…充電池
900…ロボット
910,920…アーム
930…モータ

Claims (8)

  1. ブラシレス電気機械であって、
    内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを有する第2の移動部材と、
    を備え、
    前記第1と第2の移動部材は、互いの相対的な位置が変更可能に構成されており、
    前記磁石集合体の個々の永久磁石は、積層方向と垂直な方向に磁化されており、
    前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体であり、
    前記磁石集合体の磁場方向は、前記ブラシレス電気機械の回転軸方向と平行であり、
    前記電磁コイルが、前記ブラシレス電気機械の回転軸方向に沿って、前記磁石集合体とギャップを挟んで対向しており、
    前記電磁コイルが、強磁性体のコア材の廻りに、前記磁石集合体により近い第1のコイル部分とより遠い第2のコイル部分とを有するように巻かれており、前記第1と第2のコイル部分を通って電流が流れることにより、前記磁石集合体により近い前記第1のコイル部分では駆動力が有効に発生する一方、前記磁石集合体により遠い前記第2のコイル部分では、前記磁石集合体の磁場が前記コア部材によって遮蔽されるように構成されている、
    ブラシレス電気機械。
  2. 請求項1記載のブラシレス電気機械であって、さらに、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路を備え、
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能である、ブラシレス電気機械。
  3. 請求項1又は2に記載のブラシレス電気機械であって、
    前記第1と第2の移動部材は、前記隣接する永久磁石同士の境界面に平行な方向に沿って相対的に移動可能に構成されている、ブラシレス電気機械。
  4. 電子機器であって、
    所定の駆動方向に動作可能なブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを有する第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能であり、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体であり、
    前記磁石集合体の磁場方向は、前記ブラシレスモータの回転軸方向と平行であり、
    前記電磁コイルが、前記ブラシレスモータの回転軸方向に沿って、前記磁石集合体とギャップを挟んで対向しており、
    前記電磁コイルが、強磁性体のコア材の廻りに、前記磁石集合体により近い第1のコイル部分とより遠い第2のコイル部分とを有するように巻かれており、前記第1と第2のコイル部分を通って電流が流れることにより、前記磁石集合体により近い前記第1のコイル部分では駆動力が有効に発生する一方、前記磁石集合体により遠い前記第2のコイル部分では、前記磁石集合体の磁場が前記コア部材によって遮蔽されるように構成されている、電子機器。
  5. 請求項記載の電子機器であって、
    前記電子機器はプロジェクタである、電子機器。
  6. 燃料電池使用機器であって、
    所定の駆動方向に動作可能なブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    前記ブラシレスモータに電源を供給する燃料電池と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを有する第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能であり、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体であり、
    前記磁石集合体の磁場方向は、前記ブラシレスモータの回転軸方向と平行であり、
    前記電磁コイルが、前記ブラシレスモータの回転軸方向に沿って、前記磁石集合体とギャップを挟んで対向しており、
    前記電磁コイルが、強磁性体のコア材の廻りに、前記磁石集合体により近い第1のコイル部分とより遠い第2のコイル部分とを有するように巻かれており、前記第1と第2のコイル部分を通って電流が流れることにより、前記磁石集合体により近い前記第1のコイル部分では駆動力が有効に発生する一方、前記磁石集合体により遠い前記第2のコイル部分では、前記磁石集合体の磁場が前記コア部材によって遮蔽されるように構成されている、燃料電池使用機器。
  7. ロボットであって、
    ブラシレスモータと、
    前記ブラシレスモータによって駆動される被駆動部材と、
    を備え、
    前記ブラシレスモータは、
    内周と外周とを有し前記内周と外周とが異なる磁極に着磁された複数の永久磁石が積層された磁石集合体を備える第1の移動部材と、
    電磁コイルを有する第2の移動部材と、
    前記電磁コイルへの電力の供給又は前記電磁コイルからの電力の回生を制御する制御回路と、
    を備え、
    前記磁石集合体は、隣接する永久磁石同士の境界面上の磁場方向であって、前記磁石集合体の内側から外側に向かう磁場方向に沿って最も強い磁場を発生しており、
    前記電磁コイルは、前記磁場方向と交差する方向に電流が流れるように配置されており
    前記制御回路は、
    (i)前記第1と第2の移動部材との間の所定の方向に沿った相対的な移動に応じて前記電磁コイルに発生する直流電力を回生する回生制御と、
    (ii)前記電磁コイルに供給する電流の方向を変更せずに前記電磁コイルに所定の第1の電流方向の駆動電流を供給することによって、前記ブラシレス電気機械を所定の駆動方向に動作させる駆動制御と、
    のうちの少なくとも一方を実行可能であり、
    前記複数の永久磁石はそれぞれ異なる径を有するリング状の形状を有しており、
    前記磁石集合体は、前記複数の永久磁石を多重リング状に重ねた積層体であり、
    前記磁石集合体の磁場方向は、前記ブラシレスモータの回転軸方向と平行であり、
    前記電磁コイルが、前記ブラシレスモータの回転軸方向に沿って、前記磁石集合体とギャップを挟んで対向しており、
    前記電磁コイルが、強磁性体のコア材の廻りに、前記磁石集合体により近い第1のコイル部分とより遠い第2のコイル部分とを有するように巻かれており、前記第1と第2のコイル部分を通って電流が流れることにより、前記磁石集合体により近い前記第1のコイル部分では駆動力が有効に発生する一方、前記磁石集合体により遠い前記第2のコイル部分では、前記磁石集合体の磁場が前記コア部材によって遮蔽されるように構成されている、ロボット。
  8. 請求項1記載のブラシレス電気機械を備えた移動体。
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