JP2009106106A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スイッチング素子の温度を低減することができる電動機の制御装置を提供することにある。
【解決手段】
本制御装置では、モーター角周波数ω[rad/s]、トルク指令値T[N・m]および3相電流iu[A]、iv[A]、iw[A]に基づいて、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]を求める。中性点電圧Vc[V]を加算された中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]に基づいて、インバータ1を制御するPWM信号tu[%]、tv[%]、tw[%]を生成する。中性点電圧Vc[V]を演算する中性点電圧演算部110を備える。U相スイッチング素子Tu+の温度が所定値以下になるように、U相電流iu[A]がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間とU相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。
【選択図】図6

Description

本発明は、スイッチング素子および還流素子を備えるインバータに用いられる電動機の制御装置に関する。
従来、インバータにおけるスイッチング損失を低減させるためにインバータのある相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定する2相変調方式のインバータ制御装置がある(特許文献1参照)。当該インバータ制御装置では、2相変調を実施しても、各相の電圧指令値が電源電圧を超えないように制御している。すなわち、電流指令値ベクトルと電圧指令値ベクトルから位相差を演算し、当該位相差に基づいて、2相変調を実施する期間を決定している。
特開平8−340691号公報
しかしながら、従来のインバータ制御装置では、上記2相変調を実施して、スイッチング損失を低減させることができるが、例えば、車両ロック時、スイッチング素子の定常損失が増大し、全体として損失が増大する場合がある。このため、スイッチング素子の温度が上昇するといった問題があった。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、スイッチング素子の温度を低減することができる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明に係る電動機の制御装置では、電動機の角周波数、トルク指令値および上記電動機に流れる3相電流に基づいて求められた3相電圧指令値全てに同じ中性点電圧を加算する中性点電圧加算手段を備える。第1および第2のスイッチング素子と第1および第2の還流素子を3相分備えるインバータを制御するPWM信号を、中性点電圧を加算した後の3相電圧指令値に基づいて生成するPWM信号生成手段を備える。中性点電圧を演算する中性点電圧演算手段を備える。中性点電圧により、一の相の第1のスイッチング素子の温度が所定値以下になるように、上記一の相の電流が第1のスイッチング素子を通過する時間と上記電流が第2の還流素子を通過する時間とを交互に切替えることを特徴としている。
本発明により、スイッチング素子の定常損失が減少し、スイッチング素子に発生する全損失を低減できるようになるので、スイッチング素子の温度を低減することができる。
本発明に係る電動機の制御装置を含む装置の一例として、直流電源の直流電力をPWM変調することにより3相電力をモーターに供給するインバータを備える車両用のインバータシステムについて説明する。以下に、本発明の第1乃至第4の実施形態に係るインバータシステムについて、図1乃至図21を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(インバータシステムの構成)
以下、図1および図2を参照して、インバータシステムの構成と動作について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るインバータシステムの概略構成図、図2は、図1に示すインバータシステムの構成を示すブロック図である。本インバータシステムは、図1および図2に示すように、インバータ1、電流センサ2、電動機であるモーター3、レゾルバ4、温度センサ5、冷却水6および制御装置であるモーターコントローラ10を主に備える。
ここで、インバータ1は、第1のスイッチング素子であるU相スイッチング素子Tu+と直列接続された第2のスイッチング素子であるU相スイッチング素子Tu−とを備える。更に、第1の還流素子であるU相還流素子Du+がU相スイッチング素子Tu+と逆並列接続され、第2の還流素子であるU相還流素子Du−がU相スイッチング素子Tu−と逆並列接続されている。そして、U相スイッチング素子Tu+、Tu−およびU相還流素子Du+、Du−を含む分岐回路を3相分備えている。すなわち、V相スイッチング素子Tv+、Tv−、W相スイッチング素子Tw+、Tw−、V相還流素子Dv+、Dv−、W相還流素子Dw+、Dw−を備える。更に、直流電源Bも備える。
なお、スイッチング素子Tu+、Tu−、Tv+、Tv−、Tw+、Tw−はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子により構成されている。また、還流素子Du+、Du−、Dv+、Dv−、Dw+、Dw−はダイオードにより構成されている。そして、インバータ1は、モーターコントローラ10のU相PWM信号tu、V相PWM信号tv、W相PWM信号twに基づいて、直流電源Bから供給された直流電力を3相電力に変換してモーター3に出力する。モーター3は、インバータ1から供給された3相電力に応じたトルクを発生する。
電流センサ2は、モーター3に流れる3相電流iu[A]、iv[A]、iw[A]を検出する。なお、3相電流iu[A]、iv[A]、iw[A]には、iu+iv+iw=0の関係があり、3相のうち2相を検出すれば他の1相は演算によって求められる。これから、電流センサ2は、後述する一の相の電流であるU相電流iu[A]およびV相電流iv[A]を検出する。また、冷却水6は、インバータ1およびモーター3を冷却する。温度センサ5は、インバータ1の各スイッチング素子の温度(以下、スイッチング素子温度とする。)TSW[℃]および各還流素子の温度(以下、還流素子温度とする。)T[℃]を検出する。
モーターコントローラ10は、演算装置(CPU)を内蔵し、微分部101、θ演算部102、3相−dq変換部103、電流MAP部104、電流制御部105を備える。更に、dq−3相変換部106、中性点電圧加算手段である中性点電圧加算部107、PWM信号生成手段であるPWM生成部108、中性点電圧演算手段である中性点電圧演算部110を備える。ここで、θ演算部102は、レゾルバ4からの検出信号から、モーター電気角度θ[rad]を演算する。微分部101は、下記(数1)式に示すように、θ演算部102で演算されたモーター電気角度θ[rad]を微分して、モーター角周波数ω[rad/s]を演算する。
Figure 2009106106
電流MAP部104は、トルク指令値T[N・m]、モーター角周波数ω[rad/s]に基づいて、予め格納されたMAPを参照する。そして、d軸電流指令値id[A]、q軸電流指令値iq[A]を求める。
3相−dq変換部103は、下記(数2)式に示すように、モーター電気角度θ[rad]により、U相電流iu[A]およびV相電流iv[A]をd軸電流id[A]およびq軸電流iq[A]に2相変換する。
Figure 2009106106
電流制御部105は、下記(数3)式および(数4)式に示す演算を行う。すなわち、d軸電流指令値id[A]と実際のd軸電流id[A]との偏差(id−id)からd軸電圧指令値vd[V]を演算する。また、q軸電流指令値iq[A]と実際のq軸電流iq[A]との偏差(iq−iq)からq軸電圧指令値vq[V]を演算する。
Figure 2009106106
Figure 2009106106
但し、(数3)式および(数4)式において、Kpd:d軸比例ゲイン、Kpq:q軸比例ゲイン、Kid:d軸積分ゲイン、Kiq:q軸積分ゲイン、s:ラプラス演算子、ωc:電流応答のカットオフ角周波数[rad/s]である。また、Ld:d軸インダクタンス[H]、Lq:q軸インダクタンス[H]、Ra:電機子抵抗[Ω]である。
dq−3相変換部106は、下記(数5)式に示す演算を行う。すなわち、モーター電気角度θ[rad]により、d軸電圧指令値vd[V]およびq軸電圧指令値vq[V]を3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]に変換する。
Figure 2009106106
中性点電圧加算部107は、中性点電圧演算部110に中性点電圧Vc[V]を演算させる。そして、下記(数6)式に示す演算を行う。すなわち、中性点電圧Vc[V]およびU相電圧指令値vu[V]から中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]を演算する。同様に、中性点電圧Vc[V]およびV相電圧指令値vv[V]から中性点電圧加算後V相電圧指令値vv’[V]を演算する。また、中性点電圧Vc[V]およびW相電圧指令値vw[V]から中性点電圧加算後W相電圧指令値vw’[V]を演算する。
Figure 2009106106

中性点電圧演算部110は、後述するように、スイッチング素子温度TSW[℃]または還流素子温度T[℃]に基づいて中性点電圧Vc[V]を演算し、中性点電圧加算部107に出力する。PWM生成部108は、中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]と三角波状のキャリア信号(図5および図6参照)の大小関係を比較する。その大小関係に応じてPWM信号tu、tv、twを生成する。そして、U相PWM信号tuに基づいて、U相スイッチング素子Tu+、Tu−のON・OFF動作を制御する。同様に、V相PWM信号tvに基づいて、V相スイッチング素子Tv+、Tv−のON・OFF動作を制御する。更に、W相PWM信号twに基づいて、W相スイッチング素子Tw+、Tw−のON・OFF動作を制御する。上記のように求められたPWM信号tu、tv、twによって、インバータ1が制御され、モーター3がトルク指令値T[N・m]で指示された所望のトルクで駆動される。このようにして、モーター3に対して電流フィードバックによるベクトル制御が行なわれる。
(スイッチング損失が最小または最大となる2相変調時の電流経路)
次に、2相変調について、図3を参照して説明する。第1の実施形態に係るインバータシステムでは、インバータ1の3相のうちの1相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定する2相変調を実施している。(数6)式に示したように、中性点電圧加算部107は、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]の全てに同じ中性点電圧Vc[V]を加算する。各相に同じ中性点電圧Vc[V]を加算しているため、各相の差分となる相間電圧は中性点電圧Vc[V]を加算する前と同じになる。したがって、モーター3の相電流も中性点電圧Vc[V]を加算しても変化が無く、中性点電圧Vc[V]を加算する前と同じとなる。よって、モーター3の制御に影響を与えることなく、中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]を変化させることができる。すなわち、PWM信号tu、tv、twを変化させることができる。そこで、第1の実施形態では、中性点電圧演算部110で中性点電圧Vc[V]を変化させて、インバータ1の3相のうちの1相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定している。
更に、インバータ1の3相のうちの1相のデューティ比を0%または100%に固定する位相を最適化することで、インバータ1におけるスイッチング損失が最小となる2相変調を実施することができる。図3は、スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調における電圧電流波形を示す図である。なお、図3の波形は、力率1の場合の波形である。図3(a)はスイッチング損失が最小になる場合、図3(b)はスイッチング損失が最大になる場合である。図3(a)に示すように、電流の絶対値が大きい相のデューティ比が0%または100%になるように中性点電圧Vc[V]を変化させることで、スイッチング損失が最小となる2相変調を実現している。また、図3(b)に示すように、電流の絶対値が小さい相のデューティ比が0%または100%になるように中性点電圧Vc[V]を変化させることで、スイッチング損失が最大となる2相変調を実現している。なお、図3(a)および(b)において、電圧が平坦になっている時間、デューティ比が0%または100%となっており、スイッチング素子はON・OFF動作しない。
次に、一の相の電流経路について、図4を参照して説明する、以下、一の相がU相の場合について説明する。図4は、図1に示すインバータ1のU相における正電流時の電流経路を示す図である。上記のように、インバータ1は、U相スイッチング素子Tu+、Tu−、U相スイッチング素子Tu+と逆並列接続されたU相還流素子Du+およびU相スイッチング素子Tu−と逆並列接続されたU相還流素子Du−を含む回路を備える。そして、当該回路には、インバータ1の電源、すなわち、直流電源Bの電圧である強電電圧Vdcが印加されている。ここで、U相スイッチング素子Tu+、Tu−に逆並列接続されたU相還流素子Du+、Du−の作用で、U相スイッチング素子Tu+、Tu−のON・OFF動作に関係なく、U相電流iu[A]は一定と考えられる。図4に示すように、U相電流iu[A]が正(以下、U相正電流とする。)の場合、U相スイッチング素子Tu+がONになると、U相正電流はU相スイッチング素子Tu+を通過する。一方、U相スイッチング素子Tu+がOFFになると、U相正電流はU相還流素子Du−を通過する。
次に、スイッチング損失が最小となる2相変調時とスイッチング損失が最大となる2相変調時におけるU相の電流経路について、図5および図6を参照して説明する。図5は、U相正電流におけるU相スイッチング損失が最小となる2相変調時のPWM信号tu、tv、twの波形と電流経路を示す図である。図6は、U相正電流におけるU相スイッチング損失が最大となる2相変調時のPWM信号tu、tv、twの波形と電流経路を示す図である。簡単のために、図5および図6に示すように中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]が一定の場合を考える。
まず、スイッチング損失が最小となる2相変調時のU相の電流経路について説明する。図5(a)は2相変調を実施する前のPWM信号tu、tv、twの波形とU相電流経路を示している。上記のように、PWM生成部108は、中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]と三角波状のキャリア信号の大小関係を比較し、PWM信号tu、tv、twを生成している。具体的には、PWM生成部108は、中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]よりキャリア信号が小さい間、U相PWM信号tuをONにする。U相PWM信号tuがONになると、U相スイッチング素子Tu+もONになるので、図4に示したように、U相正電流はU相スイッチング素子Tu+を通過する。U相スイッチング素子Tu+に定常損失(図7参照)が発生する。これから、中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]よりキャリア信号が小さい間、U相スイッチング素子Tu+の定常損失が発生することになる。
一方、PWM生成部108は、中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]よりキャリア信号が大きい間、U相PWM信号tuをOFFにする。U相PWM信号tuがOFFになると、U相スイッチング素子Tu+もOFFになるので、図4に示したように、U相正電流はU相還流素子Du−を通過する。U相還流素子Du−に定常損失が発生する。これから、中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]よりキャリア信号が大きい間、U相還流素子Du−の定常損失が発生することになる。また、中性点電圧加算後V相電圧指令値vv’[V]よりキャリア信号が小さい間、V相PWM信号tvをONにする。一方、中性点電圧加算後V相電圧指令値vv’[V]よりキャリア信号が大きい間、V相PWM信号tvをOFFにする。同様に、中性点電圧加算後W相電圧指令値vw’[V]よりキャリア信号が小さい間、W相PWM信号twをONにする。一方、中性点電圧加算後W相電圧指令値vw’[V]よりキャリア信号が大きい間、W相PWM信号twをOFFにする。
図5(b)は、スイッチング損失が最小となる2相変調時のPWM信号tu、tv、twの波形とU相電流経路を示している。上記のように、中性点電圧加算部107は3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]に同じ中性点電圧Vc[V]を加算して、スイッチング損失が最小となる2相変調を実施している。図5(b)では、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]に、中性点電圧Vc[V]として、正の電圧を加算し、中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]を演算している。この場合、図5(b)に示したように、中性点電圧加算後U相電圧指令値vu’[V]よりキャリア信号が大きくならず、U相PWM信号tuはOFFにならない。これから、U相スイッチング素子Tu+もOFFにならない。すなわち、U相スイッチング素子Tu+はON・OFF動作しないので、U相スイッチング素子Tu+のスイッチング損失は発生しない。
一方、U相PWM信号tuはONのままであるので、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間はなくなり、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間が増加する。このため、図5(a)と比較して、U相還流素子Du−の定常損失が減少し、U相スイッチング素子Tu+の定常損失が増加する。すなわち、中性点電圧Vc[V]として正の電圧を加算することで、相間電圧を一定に保ちながら、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間をU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間に切替えることができる。これから、U相還流素子Du−の定常損失をU相スイッチング素子Tu+に移動させることができる。なお、上記の場合、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]に正の電圧を加算しているので、図5(a)と比較して、V相PWM信号tvおよびW相PWM信号twがONになる時間が増加する。よって、V相スイッチング素子Tv+およびW相スイッチング素子Tw+がONになる時間が増加する。
次に、スイッチング損失が最大となる2相変調時のU相の電流経路について説明する。図6(a)は2相変調を実施していない場合のPWM信号tu、tv、twの波形を、図6(b)はスイッチング損失が最大となる2相変調時のPWM信号tu、tv、twの波形を示している。ここで、図6(a)は、図5(a)と同じである。図6(b)に示すように、中性点電圧加算部107は、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]に、中性点電圧Vc[V]として、負の電圧を加算している。この場合、図6(b)に示したように、W相PWM信号twはONにならず、W相スイッチング素子Tw+はON・OFF動作しないので、W相スイッチング素子Tw+のスイッチング損失は発生しない。
一方、図6(a)と比較して、U相PWM信号tuがOFFになる時間が増加し、ONになる時間が減少している。そのため、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間が増加し、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間が減少する。このため、図6(a)と比較して、U相還流素子Du−の定常損失が増加するものの、U相スイッチング素子Tu+の定常損失を減少させることができる。すなわち、中性点電圧Vc[V]として負の電圧を加算することで、相間電圧を一定に保ちながら、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間をU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間に切替えることができる。これから、U相スイッチング素子Tu+の定常損失をU相還流素子Du−に移動させることができる。
次に、ロック時のU相スイッチング素子Tu+の損失について、図7および図8を参照して説明する。図7は図5に示す2相変調におけるロック時のスイッチング素子損失の内訳を示す図、図8は図6に示す2相変調におけるロック時のスイッチング素子損失の内訳を示す図である。なお、図7および図8では、力行時の損失を示している。図3(a)または図5(b)に示したスイッチング損失が最小となる2相変調を実施することで、高回転数駆動時、U相スイッチング素子Tu+に発生する全損失を低減できる。しかし、図7に示すように、ロック時、U相スイッチング素子Tu+の定常損失が増加し、U相スイッチング素子Tu+に発生する全損失も増加する。これは、U相PWM信号tuがONにならない状態が継続し、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過し続けるためである。一方、ロック時、U相スイッチング素子Tu+はON・OFF動作しない。これから、図7に示したように、U相スイッチング素子Tu+のスイッチング損失は発生しない。上記の場合、U相スイッチング素子Tu+の発熱が増加する。
そこで、第1の実施形態では、後述するように、U相スイッチング素子Tu+の温度またはU相還流素子Du−の温度に基づいて、スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調とを交互に切替える。具体的には、図5および図6に示したように、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間と、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替えるための中性点電圧Vc[V]を加算する。スイッチング損失が最大となる2相変調に切替えた場合、図6(b)に示したように、U相PWM信号tuがOFFになり、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する。これから、U相還流素子Du−の定常損失が増加する。一方、U相スイッチング素子Tu+がON・OFF動作するので、U相スイッチング素子Tu+のスイッチング損失が発生するものの、U相スイッチング素子Tu+の定常損失が減少する。よって、図8に示すように、U相スイッチング素子Tu+に発生する全損失を低減できる。すなわち、U相スイッチング素子Tu+の温度を低減することができる。
(中性点電圧演算部110による演算)
次に、第1の実施形態に係る中性点電圧演算部110による演算について説明する。図1に示したように、温度センサ5は、スイッチング素子温度TSW[℃]および還流素子温度T[℃]を検出する。温度センサ5は、図9に示す回路から構成されている。図9は、図1に示す温度センサ5の回路を示す図である。図9に示すように、温度センサ5には、ダイオードが用いられている。ダイオードに一定の順方向電流を流した場合に、−2.0〜−2.5[mV/℃](電流や個々の特性により異なる。)の温度特性を持つことを用いている。したがって、図9のように定電流源からダイオードに一定電流を流しておいて、順方向電圧Vf[V]を測定する。このようにして、スイッチング素子温度TSW[℃]および還流素子温度T[℃]の検出を行う。
中性点電圧演算部110は、スイッチング素子温度TSW[℃]と還流素子温度T[℃]に基づいて、中性点電圧Vc[V]を演算する。中性点電圧Vc[V]により、スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調を交互に切替える。すなわち、U相スイッチング素子Tu+の温度が所定値以下になるように、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間と、U相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。なお、第1の実施形態では、上記所定値を最大定格温度(図10および図11参照)としている。具体的には、U相還流素子Du−の温度が上限値を超過した場合、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間をU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。一方、U相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過した場合、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間からU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。これにより、U相スイッチング素子Tu+の温度を所定値以下とする。なお、第1の実施形態では、上記上限値を最大定格温度未満で近傍の値としている。
次に、スイッチング素子と還流素子の温度特性について説明する。図10は、図1に示す各素子の連続定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合の電流と温度の関係を示す図である。図11は、図1に示す各素子の最大定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合の電流と温度の関係を示す図である。一般に、スイッチング素子および還流素子には、最大定格温度が規定されている。また、スイッチング素子の温度特性と還流素子の温度特性は異なっている。更に、インバータの設計において、中性点電圧Vc[V]を変化させない状態で、ある時間でスイッチング素子の最大定格温度と還流素子の最大定格温度を一致させるように、スイッチング素子と還流素子を選択する。このとき、図10に示すように、連続定格電流(無限時間)通電時における最大定格温度を一致させる場合と、図11に示すように最大定格電流(短時間)通電時における最大定格温度を一致させる場合とがある。
図10に示したように、連続定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合、最大定格電流通電時、還流素子の温度が先に最大定格温度に到達する。このとき、スイッチング素子の温度は、最大定格温度に到達せず、最大定格電流における素子温度差が存在する。このため、スイッチング素子が最大定格温度に到達していないにもかかわらず、これ以上、インバータは電流を出力できないという問題がある。すなわち、インバータの性能を使いきれていないことになる。一方、図11に示したように、最大定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合、連続定格電流通電時、スイッチング素子の温度が先に最大定格温度に到達する。このとき、還流素子の温度は、最大定格温度に到達せず、最大定格電流における素子温度差が存在する。同様に、還流素子が最大定格温度に到達していないにもかかわらず、これ以上、インバータは電流を出力できないという問題がある。すなわち、インバータの性能を使いきれていないことになる。
そこで、第1の実施形態では、例えば、U相スイッチング素子Tu+の温度が所定値である最大定格温度以下になるように、スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調を切替える。具体的には、上限値である最大定格温度未満で近傍の値をU相還流素子Du−の温度が超過した場合、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間をU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間に切替える。一方、上限値である最大定格温度未満で近傍の値をU相スイッチング素子Tu+の温度が超過した場合、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間からU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間に切替える。なお、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間は、U相スイッチング素子Tu+およびU相還流素子Du−のスイッチング損失が最小となる2相変調を実施する時間である。また、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間は、上記スイッチング損失が最大となる2相変調を実施する時間である。
これにより、図10に示したように、連続定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合、例えば、U相還流素子Du−の温度が上限値を超過したとしても、U相スイッチング素子Tu+にU相正電流を通過させることができる。U相スイッチング素子Tu+にU相正電流を通過させている間、U相還流素子Du−を冷却することもできる。これから、U相還流素子Du−の温度およびU相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過するまで、インバータ1はU相正電流を出力できる。よって、インバータ1の最大定格電流の通電時間を増加することができる。または、インバータ1の最大定格電流の大きさを大きくすることもできる。また、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間は、スイッチング損失が最小となる2相変調を実施する時間であることから、スイッチング損失を低減できる。なお、スイッチング素子の個体差により生じる温度特性の差および還流素子の固体差により生じる温度特性の差も吸収することができる。
一方、図11に示したように、最大定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合、例えば、U相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過したとしても、U相還流素子Du−にU相正電流を通過させることができる。U相還流素子Du−にU相正電流を通過させている間、U相スイッチング素子Tu+を冷却することもできる。これから、U相還流素子Du−の温度およびU相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過するまで、インバータ1はU相正電流を出力できる。よって、インバータ1の最大定格電流の通電時間を増加することができる。または、インバータ1の最大定格電流の大きさを大きくすることもできる。また、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間は、スイッチング損失が最小となる2相変調を実施する時間であることから、スイッチング損失を低減できる。なお、スイッチング素子の個体差により生じる温度特性の差および還流素子の固体差により生じる温度特性の差も吸収することができる。
以上より、第1の実施形態に係るモーターコントローラ10は、U相スイッチング素子Tu+、Tu−とU相還流素子Du+、Du−とを含む回路を3相分備えるインバータ1と接続されたモーター3を制御する。U相スイッチング素子Tu−はU相スイッチング素子Tu+と直列接続され、U相還流素子Du+はU相スイッチング素子Tu+と逆並列接続され、U相還流素子Du−はU相スイッチング素子Tu−と逆並列接続される。また、モーターコントローラ10はモーター角周波数ω[rad/s]、トルク指令値T[N・m]および3相電流iu[A]、iv[A]、iw[A]に基づいて、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]を求める。更に、3相電圧指令値vu[V]、vv[V]、vw[V]全てに同じ中性点電圧Vc[V]を加算する中性点電圧加算部107を備える。また、中性点電圧加算後3相電圧指令値vu’[V]、vv’[V]、vw’[V]に基づいて、インバータ1を制御するPWM信号tu、tv、twを生成するPWM生成部108を備える。
更に、中性点電圧Vc[V]を演算する中性点電圧演算部110を備える。中性点電圧Vc[V]により、U相スイッチング素子Tu+の温度が最大定格温度以下になるように、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間とU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替える。これにより、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過することにより発生するU相スイッチング素子Tu+の定常損失を、U相還流素子Du−に移動させることができる。よって、U相スイッチング素子Tu+の定常損失を減少させることができ、U相スイッチング素子Tu+に発生する全損失を低減できる。これから、U相スイッチング素子Tu+の温度を低減することができる。
また、中性点電圧演算部110はU相還流素子Du−の温度が上限値を超過した場合に、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間をU相スイッチング素子Tu+を通過する時間に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。一方、U相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過した場合に、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間からU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間に切替えるための中性点電圧Vc[V]を演算する。これから、U相還流素子Du−の温度が上限値を超過した場合、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過するので、U相還流素子Du−を冷却でき、U相還流素子Du−の温度を低減できる。同様に、U相スイッチング素子Tu+の温度が上限値を超過した場合、U相正電流がU相還流素子Du−を通過するので、U相スイッチング素子Tu+を冷却でき、U相スイッチング素子Tu+の温度を低減できる。
また、中性点電圧演算部110は、一の相であるU相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定して2相変調を実施するために中性点電圧Vc[V]を演算する。これにより、U相スイッチング素子Tu+の定常損失を減少させつつ、2相変調を実施することができる。更に、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間は、U相スイッチング素子Tu+およびU相還流素子Du−のスイッチング損失が最小となる2相変調を実施する時間である。また、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間は、上記スイッチング損失が最大となる2相変調を実施する時間である。これにより、U相スイッチング素子Tu+の定常損失を減少させつつ、スイッチング損失が最小となる2相変調を実施して、スイッチング損失を低減することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと異なる点を中心に図12乃至図14を参照して説明する。また、第2の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと同様の構造には同じ番号を付し、説明を省略する。図12は、第2の実施形態に係るインバータシステムの構成を示すブロック図である。図12に示すように、第2の実施形態に係るインバータシステムは、第1の実施形態に係るインバータシステムとほとんど同じである。第2の実施形態に係るインバータシステムが第1の実施形態と異なる点は、モーターコントローラ20に含まれる中性点電圧演算部210が異なることだけである。中性点電圧演算部210は、第1の実施形態と同様に、スイッチング素子温度TSW[℃]および還流素子温度T[℃]に基づいて、中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]により、例えば、U相スイッチング素子Tu+の温度が所定値以下になるように、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間とU相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替える。
第2の実施形態に係る中性点電圧演算部210は、第1の実施形態と異なり、図13および図14に示すPI制御を行う。図13は、図12に示す中性点電圧演算部210におけるスイッチング素子の温度制御ロジックを示す図、図14は、図12に示す中性点電圧演算部210における還流素子の温度制御ロジックを示す図である。ここで、中性点電圧演算部210は、温度センサ5で検出された各スイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度TSW[℃]と所定値である最大定格温度TMAX_SW[℃]との差を求める。また、温度センサ5で検出された各還流素子の温度である還流素子温度T[℃]と所定値である最大定格温度TMAX_D[℃]との差(以下、還流素子の温度余裕とする。)を求める。
そして、スイッチング素子温度TSW[℃]と最大定格温度TMAX_SW[℃]との差(以下、スイッチング素子の温度余裕とする。)が、還流素子の温度余裕より小さいか判別する。小さい場合、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間よりU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間を増加させるための中性点電圧Vc[V]を演算する。図13に示した温度制御ロジックを用いて、当該中性点電圧Vc[V]を演算する。図13に示した温度制御ロジックでは、スイッチング素子の温度余裕、比例ゲインkpおよび積分ゲインkiを用いて、PI制御する。
また、スイッチング素子の温度余裕より、還流素子の温度余裕が小さいか判別する。小さい場合、例えば、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間よりU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間を増加させるための中性点電圧Vc[V]を演算する。図14に示した温度制御ロジックを用いて、当該中性点電圧Vc[V]を演算する。図14に示した温度制御ロジックでは、還流素子の温度余裕、比例ゲインkpおよび積分ゲインkiを用いて、PI制御する。このようにして演算された中性点電圧Vc[V]を用いて、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間と、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間を交互に切替える。よって、第1の実施形態と同様の効果を取得できる。また、スイッチング素子の温度余裕と還流素子の温度余裕を比較して、温度余裕が大きい素子に電流を通過させることができる。よって、例えば、U相還流素子Du−の温度を低減しつつ、U相スイッチング素子Tu+の温度も低減することができる。
以上より、第2の実施形態に係るモーターコントローラ20は、中性点電圧Vc[V]を演算する中性点電圧演算部210を備える。中性点電圧演算部210は、スイッチング素子温度TSW[℃]と最大定格温度TMAX_SW[℃]との差、すなわち、スイッチング素子の温度余裕を求める。また、還流素子温度T[℃]と最大定格温度TMAX_D[℃]との差、すなわち、還流素子の温度余裕を求める。更に、中性点電圧演算部210は、スイッチング素子の温度余裕が還流素子の温度余裕より小さい場合、スイッチング素子の温度余裕から、PI制御を用いて中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]は、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間よりU相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間を増加させる。一方、スイッチング素子の温度余裕より還流素子の温度余裕が小さい場合、還流素子の温度余裕から、PI制御を用いて中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]は、例えば、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間よりU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間を増加させる。これから、U相還流素子Du−の温度を低減しつつ、U相スイッチング素子Tu+の温度も低減することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと異なる点を中心に図15乃至図18を参照して説明する。また、第3の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと同様の構造には同じ番号を付し、説明を省略する。図15は、第3の実施形態に係るインバータシステムの構成を示すブロック図である。図15に示すように、第3の実施形態に係るインバータシステムは、第1の実施形態に係るインバータシステムとほとんど同じである。第3の実施形態に係るインバータシステムが第1の実施形態と異なる点は、モーターコントローラ30に含まれる中性点電圧演算部310が異なることだけである。中性点電圧演算部310は、第1の実施形態と同様に、スイッチング素子温度TSW[℃]および還流素子温度T[℃]に基づいて、中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]により、例えば、U相スイッチング素子Tu+の温度が所定値以下になるように、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間とU相還流素子Du−を通過する時間とを交互に切替える。
第3の実施形態に係る中性点電圧演算部310は、第1の実施形態と異なり、図16および図17に示すPI制御を行う。図16は、図15に示す中性点電圧演算部310におけるスイッチング素子の温度制御ロジックを示す図、図17は、図15に示す中性点電圧演算部310における還流素子の温度制御ロジックを示す図である。中性点電圧演算部310は、温度センサ5で検出された各スイッチング素子の温度であるスイッチング素子温度TSW[℃]と所定値である最大定格温度TMAX_SW[℃]との差を求める。また、温度センサ5で検出された各還流素子の温度である還流素子温度T[℃]と所定値である最大定格温度TMAX_D[℃]との差(以下、還流素子の温度余裕とする。)を求める。
そして、スイッチング素子温度TSW[℃]と最大定格温度TMAX_SW[℃]との差(以下、スイッチング素子の温度余裕とする。)が、還流素子の温度余裕より小さいか判別する。小さい場合、一の相の電流が第1のスイッチング素子を通過する総時間の1周期に対する割合であるスイッチング素子通電割合DSWを、図16に示す温度制御ロジックを用いて演算する。第3の実施形態に係る中性点電圧演算部310では、スイッチング素子の温度余裕からスイッチング素子通電割合DSWを演算している。図16に示した温度制御ロジックでは、スイッチング素子の温度余裕、比例ゲインkpおよび積分ゲインkiを用いて、PI制御する。更に、スイッチング素子通電割合DSWが規定値を超過した場合、中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]は、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する総時間よりU相正電流がU相還流素子Du−を通過する総時間を増加させる。また、上記規定値は、モーター角周波数ω[rad/s]に応じて予め決められている。
また、スイッチング素子の温度余裕より、還流素子の温度余裕が小さいか判別する。小さい場合、一の相の電流が第2の還流素子を通過する総時間の1周期に対する割合である還流素子通電割合Dを、図17に示す温度制御ロジックを用いて演算する。第3の実施形態に係る中性点電圧演算部310では、還流素子の温度余裕から、還流素子通電割合Dを演算している。図17に示した温度制御ロジックでは、還流素子の温度余裕、比例ゲインkpおよび積分ゲインkiを用いて、PI制御する。更に、還流素子通電割合Dが規定値を超過した場合、中性点電圧Vc[V]を演算する。当該中性点電圧Vc[V]は、例えば、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する総時間よりU相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する総時間を増加させる。また、上記規定値は、モーター角周波数ω[rad/s]に応じて予め決められている。
このようにして演算された中性点電圧Vc[V]を用いて、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する時間と、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する時間を交互に切替える。よって、第1の実施形態と同様の効果を取得できる。また、スイッチング素子の温度余裕と還流素子の温度余裕を比較して、温度余裕が小さい素子の通電割合を演算している。そして、当該通電割合が予め決められた規定値を超過した場合、電流が温度余裕が大きい素子を通過する総時間を増加させることができる。よって、例えば、1周期におけるU相還流素子Du−の平均温度を低減しつつ、1周期におけるU相スイッチング素子Tu+の平均温度も低減することができる。
次に、スイッチング素子通電割合DSWおよび還流素子通電割合Dを演算する際に用いる1周期について、図18を参照して説明する。図18は、スイッチング素子通電総時間と還流素子通電総時間の一例を示す図である。図18に示すように、上記1周期は、スイッチング素子通電総時間と還流素子通電総時間の合計に等しい。そして、図18において、スイッチング素子通電総時間は、例えば、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する総時間である。また、還流素子通電総時間は、例えば、U相正電流がU相還流素子Du−を通過する総時間である。すなわち、1周期は、U相正電流がU相スイッチング素子Tu+を通過する総時間とU相正電流がU相還流素子Du−を通過する総時間の合計である。ただし、上記1周期は、U相スイッチング素子Tu+およびU相還流素子Du−の温度時定数より短い時間とする。
以上より、第3の実施形態に係るモーターコントローラ30は、中性点電圧Vc[V]を演算する中性点電圧演算部310を備える。中性点電圧演算部310は、スイッチング素子温度TSW[℃]と最大定格温度TMAX_SW[℃]との差、すなわち、スイッチング素子の温度余裕を求める。また、還流素子温度T[℃]と最大定格温度TMAX_D[℃]との差、すなわち、還流素子の温度余裕を求める。更に、中性点電圧演算部310は、スイッチング素子の温度余裕が還流素子の温度余裕より小さい場合、スイッチング素子の温度余裕から、PI制御を用いてスイッチング素子通電割合DSWを演算する。
スイッチング素子通電割合DSWがモーター角周波数ω[rad/s]に応じて予め決められた規定値を超過した場合、スイッチング素子通電総時間より還流素子通電総時間を増加させるための中性点電圧Vc[V]を演算する。一方、スイッチング素子の温度余裕より還流素子の温度余裕が小さい場合、還流素子の温度余裕から、PI制御を用いて還流素子通電割合Dを演算する。還流素子通電割合Dが、モーター角周波数ω[rad/s]に応じて予め決められた規定値を超過した場合、還流素子通電総時間よりスイッチング素子通電総時間を増加させるための中性点電圧Vc[V]を演算する。これから、例えば、1周期におけるU相還流素子Du−の平均温度を低減しつつ、1周期におけるU相スイッチング素子Tu+の平均温度も低減することができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと異なる点を中心に図19乃至図21を参照して説明する。また、第4の実施形態に係るインバータシステムについて、第1の実施形態に係るインバータシステムと同様の構造には同じ番号を付し、説明を省略する。図19は、本発明の第4の実施形態に係るインバータシステムの概略構成図である。図19に示すように、第4の実施形態に係るインバータシステムは、第1の実施形態に係るインバータシステムとほとんど同じである。第4の実施形態に係るインバータシステムが第1の実施形態と異なる点は、モーターコントローラ40が異なることと、温度センサ5の代わりに、温度センサ5と同様の回路からなる水温センサ7を備えることだけである。水温センサ7は、インバータ1の冷却水6の冷却水温度wt[℃](図20参照)を検出する。
図20は、図19に示すインバータシステムの構成を示すブロック図である。第4の実施形態に係るモーターコントローラ40は、第1の実施形態に係るモーターコントローラ10とほとんど同じである。第4の実施形態に係るモーターコントローラ40が第1の実施形態と異なる点は、中性点電圧演算部410が異なることと、温度推定部420を備えることだけである。中性点電圧演算部410は、第1の実施形態と同様に、温度推定部420で推定されたスイッチング素子と還流素子の推定温度に基づいて中性点電圧Vc[V]を演算する。
図21は、図20に示す温度推定部420における温度推定ロジックを示す図である。図21に示すように、温度推定部420は、スイッチング損失演算ロジックf(fc,i,Vdc,Tj)、定常損失演算ロジックf(i,D,Tj)および損失から温度上昇への伝達特性G(s)を主に備える。スイッチング損失演算ロジックf(fc,i,Vdc,Tj)は、キャリア信号の周波数であるキャリア周波数fc[Hz]、電流i[A]、強電電圧Vdc[V]および接合温度Tj[℃]から推定スイッチング損失Pswを演算する。定常損失演算ロジックf(i,D,Tj)は、電流i[A]、強電電圧Vdc[V]、デューティ比であるデューティDおよび接合温度Tj[℃]から推定定常損失Pcを演算する。ここで、電流i[A]は、3相電流iu[A]、iv[A]、iw[A]のうちの一の相の電流である。第1の実施形態と同様に、例えば、U相正電流とすれば、U相スイッチング素子Tu+またはU相還流素子Du−の推定温度を推定できる。
また、損失から温度上昇への伝達特性G(s)は、推定スイッチング損失Pswと推定定常損失Pcの和から接合温度差分ΔTj[℃]を演算する。更に、接合温度差分ΔTj[℃]に冷却水温度wt[℃]を加算して、接合温度Tj[℃]を演算する。接合温度Tj[℃]が、スイッチング素子または還流素子の推定温度となる。このようにして、スイッチング素子または還流素子の推定温度を推定する。そして、中性点電圧演算部410は、第1の実施形態と同様に、上記推定温度に基づいて、中性点電圧Vc[V]を演算している。これから、第1の実施形態と同様の効果を取得できる。また、各スイッチング素子および各還流素子毎に温度センサ5を必要としないため、コストアッブすることなく、また、インバータ1のハードウェアの変更なしに、上記の効果を得ることができる。なお、温度推定部420による温度推定ロジックは、より簡易的なモデルを用いることも可能で、例えば、電流i[A]の代わりにトルクを用いても良い。また、予め各駆動状態における温度を、実験により計測し記録したマップにより行うことも可能である。例えば、トルク・回転数による温度推定も考えられる。
以上より、例えば、U相スイッチング素子Tu+の温度およびU相還流素子Du−の温度は、キャリア周波数fc[Hz]、U相電流iu[A]、冷却水温度wt[℃]、強電電圧Vdc[V]およびデューティDに基づいて推定される。これから、第1の実施形態と同様の効果を取得できる。また、各スイッチング素子および各還流素子毎に温度センサ5を必要としないため、コストアッブすることなく、また、インバータ1のハードウェアの変更なしに、上記の効果を得ることができる。
なお、以上に述べた実施形態は、本発明の実施の一例であり、本発明の範囲はこれらに限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で、他の様々な実施形態に適用可能である。例えば、第1乃至第4の実施形態に係るモーターコントローラ10乃至40では、微分部101、θ演算部102、3相−dq変換部103および電流MAP部104を含んでいるが、特にこれに限定されるものでなく含まなくても良い。微分部101、θ演算部102、3相−dq変換部103および電流MAP部104を備える他の装置と伝送できれば良い。
また、第1および第4の実施形態に係るモーターコントローラ10乃至40では、電流制御部105およびdq−3相変換部106を含んでいるが、特にこれに限定されるものでなく、含まなくても良い。電流制御部105およびdq−3相変換部106を備える他の装置と伝送できれば良い。
また、第1乃至第4の実施形態では、ロック時におけるU相スイッチング素子Tu+の定常損失をU相還流素子Du−に移動し、U相スイッチング素子Tu+の温度を低減しているが、特にこれに限定されるものでない。低回転数駆動時でもU相スイッチング素子Tu+の全損失が増加するので、同様に、U相スイッチング素子Tu+の定常損失をU相還流素子Du−に移動し、U相スイッチング素子Tu+の温度を低減することができる。
また、第1乃至第4の実施形態では、第1のスイッチング素子としてU相スイッチング素子Tu+を、第2の還流素子としてU相還流素子Du−を用いているが、特にこれに限定されるものでなく、他の素子でも良い。例えば、第1のスイッチング素子としてU相スイッチング素子Tu−を、第2の還流素子としてU相還流素子Du+を用いても良い。この場合、U相スイッチング素子Tu−がONになると、負のU相電流iu[A](以下、U相負電流とする。)はU相スイッチング素子Tu−を通過する。一方、U相スイッチング素子Tu−がOFFになると、U相負電流はU相還流素子Du+を通過する。
また、第1乃至第4の実施形態では、一の相としてU相を用いているが、特にこれに限定されるものでなく、他の相、例えば、V相またはW相でも良い。
また、第1乃至第4の実施形態では、一の相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定して2相変調を実施しているが、特にこれに限定されるものでなく、2相変調を実施しなくても良い。すなわち、一の相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定しなくても良い。
また、第1乃至第4の実施形態では、スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調とを交互に切替えているが、特にこれに限定されるものでない。他の位相で0%または100%に固定する2相変調におけるある2状態を交互に切替えても、程度の差はあるが同様の効果を取得できる。
また、第1乃至第4の実施形態では、力行時について説明しているが、特にこれに限定されるものでなく、回生時も同様の効果を取得できる。
また、第1乃至第3の実施形態では、インバータ1およびモーター3を水冷としているが、特にこれに限定されるものでなく、水冷でなくても良い。
また、第1の実施形態では、所定値を最大定格温度としているが、特にこれに限定されるものでなく、他の値でも良い。同様に、第1の実施形態では、上限値を最大定格温度未満で近傍の値としているが、特にこれに限定されるものでなく、他の値でも良い。更に、第1の実施形態では、U相スイッチング素子Tu+が超過したか判別される上限値と、U相還流素子Du−が超過したか判別される上限値を同じとしているが、特にこれに限定されるものでなく、異なっていても良い。
また、第2および第3の実施形態では、所定値である最大定格温度TMAX_SWと所定値である最大定格温度TMAX_Dを異ならせているが、特にこれに限定されるものでなく、同じでも良い。
また、第2および第3の実施形態では、全スイッチング素子の最大定格温度TMAX_SWを同じとしているが、特にこれに限定されるものでなく、スイッチング素子ごとに異なっていても良い。同様に、全還流素子の最大定格温度TMAX_Dを同じとしているが、特にこれに限定されるものでなく、還流素子ごとに異なっていても良い。
また、第4の実施形態に係るモーターコントローラ40では、第1の実施形態に係るモーターコントローラ10と同様の構成に温度演算部420を追加しているが、特にこれに限定されるものでない。第2および第3の実施形態のモーターコントローラ20、30と同様の構成に追加しても良い。
本発明の第1の実施形態に係るインバータシステムの概略構成図 図1に示すインバータシステムの構成を示すブロック図 スイッチング損失が最小となる2相変調とスイッチング損失が最大となる2相変調における電圧電流波形を示す図 図1に示すインバータのU相における正電流時の電流経路を示す図 U相正電流におけるU相スイッチング損失が最小となる2相変調時のPWM信号の波形と電流経路を示す図 U相正電流におけるU相スイッチング損失が最大となる2相変調時のPWM信号の波形と電流経路を示す図 図5に示す2相変調におけるロック時のスイッチング素子損失の内訳を示す図 図6に示す2相変調におけるロック時のスイッチング素子損失の内訳を示す図 図1に示す温度センサの回路を示す図 図1に示す各素子の連続定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合の電流と温度の関係を示す図 図1に示す各素子の最大定格電流通電時における最大定格温度を一致させた場合の電流と温度の関係を示す図 第2の実施形態に係るインバータシステムの構成を示すブロック図 図12に示す中性点電圧演算部におけるスイッチング素子の温度制御ロジックを示す図 図12に示す中性点電圧演算部における還流素子の温度制御ロジックを示す図 第3の実施形態に係るインバータシステムの構成を示すブロック図 図15に示す中性点電圧演算部におけるスイッチング素子の温度制御ロジックを示す図 図15に示す中性点電圧演算部における還流素子の温度制御ロジックを示す図 スイッチング素子通電総時間と還流素子通電総時間の一例を示す図 本発明の第4の実施形態に係るインバータシステムの概略構成図 図19に示すインバータシステムの構成を示すブロック図 図20に示す温度推定部における温度推定ロジックを示す図
符号の説明
1 インバータ、2 電流センサ、3 電動機であるモーター、4 レゾルバ、
5 温度センサ、6 冷却水、7 水温センサ、
10、20、30、40 制御装置であるモーターコントローラ、
101 微分部、102 θ演算部、103 3相−dq変換部、
104 電流MAP部、105 電流制御部、106 dq−3相変換部、
107 中性点電圧加算手段である中性点電圧加算部、
108 PWM信号生成手段であるPWM生成部、
110、210、310、410 中性点電圧演算手段である中性点電圧演算部、420 温度推定部、
トルク指令値、id d軸電流指令値、iq q軸電流指令値、
vd d軸電圧指令値、vq q軸電圧指令値、vu U相電圧指令値、
vv V相電圧指令値、vw W相電圧指令値、
vu’* 中性点電圧加算後U相電圧指令値、
vv’ 中性点電圧加算後V相電圧指令値、
vw’ 中性点電圧加算後W相電圧指令値、tu U相PWM信号、
tv V相PWM信号、tw W相PWM信号、
iu 一の相の電流であるU相電流、iv V相電流、id d軸電流、
iq q軸電流、i 電流、θ モーター電気角度、
ω モーター角周波数、Vc 中性点電圧、B 直流電源、
Tu+ 第1のスイッチング素子であるU相スイッチング素子、
Tu− 第2のスイッチング素子であるU相スイッチング素子、
Tv+、Tv− V相スイッチング素子、
Tw+、Tw− W相スイッチング素子、
Du+ 第1の還流素子であるU相還流素子、
Du− 第2の還流素子であるU相還流素子、Dv+、Dv− V相還流素子、
Dw+、Dw− W相還流素子、D デューティ比であるデューティ、
SW 一の相の電流が第1のスイッチング素子を通過する総時間の1周期に対する割合であるスイッチング素子通電割合、
一の相の電流が第2の還流素子を通過する総時間の1周期に対する割合である還流素子通電割合、
fc キャリア信号の周波数であるキャリア周波数、
G(s) 損失から温度上昇への伝達特性、
f(fc,i,Vdc,Tj) スイッチング損失演算ロジック、
f(i,D,Tj) 定常損失演算ロジック、
Psw 推定スイッチング損失、Pc 推定定常損失、
SW スイッチング素子温度、T 還流素子温度、
MAX_SW 所定値である最大定格温度、
MAX_D 所定値である最大定格温度、Tj 接合温度、
Vf 順方向電圧、Vdc インバータの電源電圧である強電電圧、
wt 冷却水温度、ΔTj 接合温度差分、
s ラプラス演算子、kp 比例ゲイン、ki 積分ゲイン

Claims (7)

  1. 第1のスイッチング素子と直列接続された第2のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子と逆並列接続された第1の還流素子と、前記第2のスイッチング素子と逆並列接続された第2の還流素子と、前記第1のスイッチング素子とを含む回路を3相分備えるインバータと接続された電動機の制御装置において、
    前記電動機の角周波数、トルク指令値および前記電動機に流れる3相電流に基づいて求められた3相電圧指令値全てに同じ中性点電圧を加算する中性点電圧加算手段と、
    前記中性点電圧を加算した後の3相電圧指令値に基づいて、前記インバータを制御するPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    一の相の前記第1のスイッチング素子の温度が所定値以下になるように、前記一の相の電流が前記第1のスイッチング素子を通過する時間と、前記電流が前記第2の還流素子を通過する時間と、を交互に切替えるための前記中性点電圧を演算する中性点電圧演算手段を備えることを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記中性点電圧演算手段は、前記第1のスイッチング素子の前記温度が上限値を超過した場合、前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記時間から前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記時間に切替えるための前記中性点電圧を演算し、
    前記第2の還流素子の温度が上限値を超過した場合、前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記時間から前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記時間に切替えるための前記中性点電圧を演算することを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  3. 前記中性点電圧演算手段は、前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との差が前記第2の還流素子の温度と所定値との差より小さい場合、前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記時間より前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記時間を増加させるための前記中性点電圧を、前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との前記差から、PI制御を用いて演算し、
    前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との前記差より前記第2の還流素子の前記温度と前記所定値との前記差が小さい場合、前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記時間より前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記時間を増加させるための前記中性点電圧を、前記第2の還流素子の前記温度と前記所定値との前記差から、PI制御を用いて演算することを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  4. 前記中性点電圧演算手段は、前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との差が前記第2の還流素子の温度と所定値との差より小さい場合、前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との前記差から、前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する総時間の1周期に対する割合を、PI制御を用いて演算し、
    当該割合が、前記電動機の前記角周波数に応じて予め決められた規定値を超過した場合、前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記総時間より前記電流が前記第2の還流素子を通過する総時間を増加させるための前記中性点電圧を演算し、
    前記第1のスイッチング素子の前記温度と前記所定値との前記差より前記第2の還流素子の前記温度と前記所定値との前記差が小さい場合、前記第2の還流素子の前記温度と前記所定値との前記差から、前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記総時間の1周期に対する割合を、PI制御を用いて演算し、
    当該割合が、前記電動機の前記角周波数に応じて予め決められた規定値を超過した場合、前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記総時間より前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記総時間を増加させるための前記中性点電圧を演算することを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  5. 前記第1のスイッチング素子の前記温度および前記第2の還流素子の温度は、キャリア信号の周波数、前記電流、前記インバータの冷却水の温度、前記インバータの電源電圧およびデューティ比に基づいて、推定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電動機の制御装置。
  6. 前記中性点電圧演算手段は、前記一の相のデューティ比をある位相で0%または100%に固定して2相変調を実施するために前記中性点電圧を演算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電動機の制御装置。
  7. 前記電流が前記第1のスイッチング素子を通過する前記時間は、前記第1のスイッチング素子および前記第2の還流素子のスイッチング損失が最小となる前記2相変調を実施する時間であり、
    前記電流が前記第2の還流素子を通過する前記時間は、前記スイッチング損失が最大となる前記2相変調を実施する時間であることを特徴とする請求項6に記載の電動機の制御装置。
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