JP2007195343A - インバータ装置 - Google Patents

インバータ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007195343A
JP2007195343A JP2006011578A JP2006011578A JP2007195343A JP 2007195343 A JP2007195343 A JP 2007195343A JP 2006011578 A JP2006011578 A JP 2006011578A JP 2006011578 A JP2006011578 A JP 2006011578A JP 2007195343 A JP2007195343 A JP 2007195343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
switching element
igbt
inverter device
switching elements
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006011578A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyuki Azuma
和幸 東
Yoshinori Sato
義則 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2006011578A priority Critical patent/JP2007195343A/ja
Publication of JP2007195343A publication Critical patent/JP2007195343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】装置規模を大型化することなく少数の温度モニター回路により、スイッチング素子の最高温度を適切に把握することのできるインバータ装置を提供する。
【解決手段】インバータ主回路130において、第4のIGBT132−4にのみ温度検出用ダイオード140及び温度モニター回路150を設置し、このIGBTの温度をモニターする。モーター500がロック状態となった時には、モーター500の電気角、温度モニター回路150で検出される第4のIGBT132−4の温度、及び、予め記録されているIGBT132−1〜132−6の熱モデルに基づいて、コントローラ190で最高温度となるIGBTのその温度を推定する。温度の推定は、熱等価式に基づいて演算してもよいし、予め検出しておいたモニター温度と最高温度との差分データに基づいて算出してもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば電気自動車等のモーター駆動装置に適用して好適なインバータ装置に関する。
例えば電気自動車やハイブリッド車等の電動機(モーター)を駆動するモーター駆動装置等においては、インバータを用いたインバータ装置が広く用いられている。そのようなインバータ装置の一種であり、電力スイッチング素子の1つであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )を用いて電動機を駆動する3相インバータ等のシステムでは、例えばモーターロック状態等、モーターの動作状態によっては、各相IGBT素子の温度が上昇し、故障を生じる恐れがある。このため、各IGBT素子の温度をモニターし、モニター温度が所定温度以上となった場合には、インバータの出力電力を低減したり、IGBT素子の駆動周波数を低減することで、温度上昇を抑制することが通常行われている。
そのような処理を行うためには、インバータを構成する電力用スイッチング素子の中の、少なくとも最高温度となっている素子の温度を適切に検出する必要がある。
そのために、例えば、インバータを構成する複数の電力用スイッチング素子全てに温度モニター回路を設け、最高温度となっている素子の温度を適切に得る半導体モジュールが開示されている(特許文献1参照)。
また、取り囲むスイッチング素子が最も多い電力用スイッチング素子を、インバータを構成するスイッチング素子の中で最も温度が高くなる素子と推定し、この素子にのみ温度モニター回路を設けるようにした半導体モジュールも開示されている(特許文献2参照)。
特開2000−134074号公報 特開2003−204028号公報
しかしながら、全てのスイッチング素子に温度モニター回路を設ける構成では、インバータの回路規模が大きくなり、インバータ装置のコストアップを招く等の問題が生じる。
また、取り囲むスイッチング素子が最も多いスイッチング素子を最も温度が高くなる素子と推定してその温度のみを測定する構成では、必ずしもそのような素子が最高温度にならない可能性があり、インバータ内のスイッチング素子の最高温度を適切に把握できなという問題がある。例えばモーターが駆動力を出力中に外力等によって回転を停止された場合(ロック状態)においては、モーターの回転角度に応じた特定の相のスイッチング素子にのみ電流が集中し、その素子がインバータ中の最高温度を示すこととなる。従って、取り囲むスイッチング素子が最も多いスイッチング素子の温度を検出して、インバータの温度上昇を抑制する処理を行ったとしても、素子の過熱を適切に抑制することができない可能性がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置規模を大型化することなく、すなわち少数の温度モニター回路により、最高温度となっているスイッチング素子の温度を適切に把握することのできるインバータ装置を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係るインバータ装置は、複数のスイッチング素子を有するインバータ装置であって、前記複数のスイッチング素子の中の少なくとも1つのスイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、前記複数のスイッチング素子間の熱伝達モデルを記憶し、当該熱伝達モデル及び前記検出された前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の温度が最高となっているスイッチング素子の温度を推定する温度推定手段とを有する。
好適には、前記熱伝達モデルは、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態において通電電流が最大となる前記スイッチング素子に対する他の前記スイッチング素子からの熱伝達の特性を示す熱伝達モデルであって、前記温度推定手段は、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態に対応する前記熱伝達モデル、及び、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度を算出し、当該温度を、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の温度と推定する。
また好適には、前記温度推定手段は、前記熱伝達モデルを、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態において通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度を、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度の関数として表した熱等価式として記憶し、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態に対応する前記熱等価式及び前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する。
また好適には、前記負荷として同期電動機が接続されたインバータ装置であって、前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに、通電電流が最大となる前記スイッチング素子に対する他の前記スイッチング素子からの熱伝達の特性を示す熱伝達モデルであって、前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、前記電気角に対応する前記熱伝達モデル、及び、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記最高温度のスイッチング素子の温度を推定する。
また好適には、前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに予め検出した、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を、前記電気角に対応付けて記憶したマップデータであり、前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、当該同期電動機の電気角に対応付けて記憶されている前記差分値を前記マップデータから読み出し、当該読み出した前記差分値及び前記検出した前記温度検出対象のスイッチング素子の温度とに基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する。
また好適には、前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角と、当該インバータ装置から出力する電流値に係る所定の情報とに対応付けてマトリクス形式で、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を記憶し、前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、当該同期電動機の電気角及び制御対象の出力電流値に基づいて、前記差分値を前記マトリクス形式の前記マップデータから読み出し、当該読み出した前記差分値及び前記検出した前記温度検出対象のスイッチング素子の温度とに基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する。
また好適には、前記温度推定手段は、前記推定される前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の前記温度を、前記複数のスイッチング素子の温度、前記スイッチング素子のスイッチング周波数、あるいは、前記負荷が前記所定の状態となってからの時間の少なくともいずれか1つを含む補正条件に応じて補正する。
また好適には、前記複数のスイッチング素子は、冷却機構が設けられたモジュールに一体的に構成されており、前記温度推定手段は、前記冷却機構の温度を前記補正条件として、当該温度に応じて、前記推定される前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の前記温度を補正する。
また好適には、前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに予め検出した、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を、前記電気角に対応付けて記憶したマップデータであって、前記温度推定手段は、前記マップデータを、前記補正条件に応じて複数具備し、前記条件に応じていずれかの前記マップデータを選択して参照することにより、前記補正条件に応じて補正した前記最高温度のスイッチング素子の前記温度を算出する。
また好適には、前記複数のスイッチング素子の中の前記温度検出対象となっていない他の前記スイッチング素子に対して、少なくとも当該スイッチング素子が所定の温度に達したことを検出することのできる所定温度到達検出手段が設けられ、前記温度推定手段は、前記所定温度到達検出手段によりいずれかの前記スイッチング素子が前記所定の温度に達したことが検出された時に、当該温度推定手段で推定した前記最高温度のスイッチング素子の前記温度と、前記所定温度到達検出手段が検出した前記所定の温度との差に基づいて、当該温度推定手段で推定する温度を補正する。
本発明によれば、装置規模を大型化することなく、すなわち少数の温度モニター回路により、最高温度となっているスイッチング素子の温度を適切に把握することのできるインバータ装置を提供することができる。
第1実施形態
本発明の第1実施形態として、本発明に係る温度検出装置を具備したインバータ装置を適用した、電気自動車あるいはハイブリッド車等のモーター駆動装置について説明する。
図1は、そのモーター駆動装置の全体構成を示す回路図である。
図1に示すモーター駆動装置100は、バッテリー110、DC平滑コンデンサ120、インバータ主回路130、温度検出用ダイオード140、温度モニター回路150、電流センサー181(181−1〜181−3)、磁極センサー182、回転センサー183及びコントローラ190を有する。なお、図1において、モーター500は、モーター駆動装置100が駆動対象とする電動機(同期モーター)である。
バッテリー110は、インバータ主回路130を介してモーター500を駆動するための電源であり、数十〜数百Vあるいはそれ以上の高電圧の直流電力を出力する。バッテリー110は、DC平滑コンデンサ120を介してインバータ主回路130に接続される。
DC平滑コンデンサ120は、主にバッテリー110から入力される直流電源の電圧変動を平滑化するための容量素子であり、大容量の電解コンデンサあるいはセラミックコンデンサである。
インバータ主回路130は、バッテリー110から印加される直流電力から、モーター500駆動用の3相交流電力を生成し、モーター500に印加する。
インバータ主回路130は、第1〜第6のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )132−1〜132−6、及び、IGBT132−1〜132−6の各々に対して逆並列に接続されたダイオード133−1〜133−6を有する。この6個のIGBT132−1〜132−6は、図示のごとく、第1のIGBT132−1と第2のIGBT132−2、第3のIGBT132−3と第4のIGBT132−4、及び、第5のIGBT132−5と第6のIGBT132−6が各々直列に接続され、その各IGBT直列回路が、インバータ主回路130の直流電力入力ラインの間に並列に接続されている。これら各IGBT直列回路は、モーター500を駆動するための3相交流電力の各相(U相、V相及びW相)に対応する3アーム分の回路を構成する。なお、各アームにおいて、IGBT132−1,132−3,132−5及びダイオード133−1,133−3,133−5が上側(正側)アーム、IGBT132−2,132−4,132−6及びダイオード133−2,133−4,133−6が下側(負側)アームを構成する。
本実施形態において、インバータ主回路130は、コントローラ190によりPWM(Pulse Width Modulation)制御されて、モーター500の駆動用の三相交流電力を生成する。コントローラ190は、上位の車両制御コントローラから入力されるトルク指令に基づいて、IGBT132−1〜132−6を各々所望のタイミングでオン/オフすることにより、モーター500を任意の状態で駆動させるための所望の特性(電圧、周波数等)の三相交流駆動電力を生成する。
インバータ主回路130のこれら6つのIGBT132−1〜132−6は、図2(A)に示すような平面配置で、1つのモジュール(パッケージ)内に収容されている。
このモジュールには、モジュールを冷却するための図示せぬ水冷式の冷却構造体が取り付けられている。
温度検出用ダイオード140は、インバータ主回路130のIGBTの温度を検出するためのセンサーとしてのダイオードである。本実施形態において温度検出用ダイオードは、6個のIGBT132−1〜132−6を有するインバータ主回路130において、唯一第4のIGBT132−4に対してのみ設けられている。すなわち、モーター駆動装置100においては、6個のIGBT132−1〜132−6の中で第4のIGBT132−4の温度のみを実際に計測する。
モーター駆動装置100においては、6個のIGBT132−1〜132−6の中で最高温度を示す素子の温度を、第4のIGBT132−4の温度に基づいて算出する。従って、モーター駆動装置100においてIGBTの実際の温度の計測は、6個のIGBT132−1〜132−6の中の1個のIGBT132−i(i=1〜6)についてのみ行えばよい。本実施形態においては、その実際に温度を計測するIGBTを、第4のIGBT132−4とする。
なお、第4のIGBT132−4の温度に基づいて最高温度を示すIGBTの温度を推定する方法については、後に詳述する。
温度モニター回路150は、温度検出用ダイオード140から出力される第4のIGBT132−4の温度に応じた電圧出力を増幅及びPWM変調して温度信号生成し、コントローラ190に出力する。
温度モニター回路150の構成を図3に示す。
温度モニター回路150は、抵抗151、157、158、インピーダンス変換用オペアンプ152、反転増幅回路153、三角波生成回路154、コンパレータ155及びフォトカプラー156を有する。
温度検出用ダイオード140のアノード端子には、抵抗151を介して電源Vccから電源電流が供給され、温度検出用ダイオード140のカソード端子は、第4のIGBT132−4のエミッタ電位と同電位の基準電位Veeに接続される。
このような構成の温度モニター回路150において、温度検出用ダイオード140の出力電圧、すなわち、温度検出用ダイオード140のアノード−カソード間電圧は、インピーダンス変換用オペアンプ152及び抵抗157を介して反転増幅回路153に入力される。
反転増幅回路153において反転増幅された温度検出用ダイオード140の出力電圧は、コンパレータ155に入力される。コンパレータ155の一方の入力には、三角波生成回路154において生成された三角波が入力されており、これらが比較されることにより、温度検出用ダイオード140の出力電圧によりコンパレータ155の出力パルス幅が変化される、すなわち、温度検出用ダイオード140で検出された温度検出信号(電圧信号)がパルス幅変調(PWM)されることになる。
コンパレータ155でPWM変調された温度信号は、抵抗158を介してフォトカプラー156に入力され、フォトカプラー156により絶縁伝送されて、コントローラ190に出力される。
電流センサー181−1〜181−3は、モーター500に印加される駆動電流、すなわちインバータ主回路130の出力電流Iu,Iv,Iwを検出する検出器である。
磁極センサー182は、モーター500としての同期モーターの磁極位置θを検出する検出器である。
回転センサー183は、モーター500の回転速度Neを検出する検出器である。
コントローラ190は、上位の制御装置たる図示せぬ車両制御コントローラからのトルク指令等の制御命令に応じて、モーター500を所望の状態で駆動するための三相交流電力をモーター駆動装置100において適切に生成するように、モーター駆動装置100の各部を制御する。
また、コントローラ190は、温度モニター回路150から入力されるIGBTのモニター温度、すなわち第4のIGBT132−4の温度に基づいて、インバータ主回路130の6個のIGBT132−1〜132−6の中で最高温度を示す素子の温度を推定する。この最高温度を示す素子の温度の推定方法については、後に詳述する。
そしてまた、コントローラ190は、その推定した最高温度が、所定の過温度基準値以上となった場合には、インバータ主回路130が異常状態であると判定してインバータ主回路130の温度上昇を低減する処理を行う。例えば、インバータ主回路130の出力電力を低減させたり、インバータ主回路130のIGBT132−1〜132−6の駆動周波数を低減するような制御を行い、異常状態を解消する処理を行う。
なお、コントローラ190は、CPU(演算処理部)、メモリ(RAM、ROM、不揮発性メモリ等)等を有する演算処理回路である。
このような構成のモーター駆動装置100においては、バッテリー110からの高電圧直流電力がインバータ主回路130に供給されると、図示せぬ車両制御コントローラからのトルク指令に基づいてコントローラ190がインバータ主回路130内のIGBT132−1〜132−6各々のオン/オフを制御する。その結果、所望の状態でモーター500を駆動する所望の特性の三相交流駆動電力が生成され、モーター500に印加され、モーター500が所望の状態で駆動される。
モーター500が駆動されている間、コントローラ190は、温度検出用ダイオード140及び温度モニター回路150を介して入力される第4のIGBT132−4の温度に基づいて、インバータ主回路130の6個のIGBT132−1〜132−6の中で最高温度を示すIGBTの温度を算出する。そして、この温度を所定の閾値(過温度基準値)と比較することにより、インバータ主回路130が異常に発熱する等の現象が起きていないかどうか、すなわち、インバータ主回路130が適正な状態で稼動されているか否かをチェックする。その結果、仮にインバータ主回路130に発熱が生じていた場合には、コントローラ190は、インバータ主回路130の出力電力を低減させたり、IGBT132−1〜132−6の駆動周波数を低減させる等の制御を行い、異常状態を解消させるための処理を行う。
次に、温度検出用ダイオード140及び温度モニター回路150により実際に測定した第4のIGBT132−4の温度(モニター温度)に基づいて、インバータ主回路130の6個のIGBT132−1〜132−6の中で最高温度を示すIGBTの温度を推定する方法について説明する。
なおここでは、モーター500がロック状態と判定された場合のIGBT温度推定方法について説明する。モーター500がロック状態か否かは、コントローラ190は、回転センサー183からの出力により検出することができる。
まず、6個のIGBT132−1〜132−6の中から、最高温度を示すIGBTを検出する方法について図4を参照して説明する。
図4は、モーター500の磁極位置θ(以下、電気角θと称する。)に対するインバータ主回路130の出力電流Iu,Iv及びIwを表す図である。
なお、出力電流Iu、Iv及びIwの正負は、正がインバータ主回路130からモーター500への吐き出し方向の流れを表し、負がモーター500からインバータ主回路130への吸い込み方向の流れを表す。
モーター500がロック状態となった場合、インバータ主回路130からの三相出力電流Iu,Iv及びIwは、図4に示すように変化する。そして、電流が最も流れているIGBTが、その時に最高温度となっている素子とみなすことができる。
その結果、図4から明らかなように、電気角θが0deg〜60degの時は、負方向の電流Iuが最大電流値を示しているので、U相の負側に作用する第2のIGBT132−2が最高温度のIGBTとなる。また、電気角θが60deg〜120degの時は、正方向の電流Iwが最大電流値を示しているので、W相の正側に作用する第5のIGBT132−5が最高温度のIGBTとなる。以下同様に、電気角θが120deg〜180degの時は負方向の電流Ivが最大電流値を示すので第4のIGBT132−4が、電気角θが180deg〜240degの時は正方向の電流Iuが最大電流値を示すので第1のIGBT132−1が、電気角θが240deg〜300degの時は負方向の電流I2が最大電流値を示すので第6のIGBT132−6が、そして、電気角θが300deg〜360degの時は正方向の電流Ivが最大電流値を示すので第3のIGBT132−3が、各々最高温度のIGBTとなる。
次に、最高温度となっているIGBT素子の温度を、第4のIGBT132−4の温度(モニター温度)に基づいて算出する方法について説明する。
各IGBTの温度は、自素子の電力損失による発熱(電力損失分)と、他のIGBTからの伝熱分(熱干渉分)により決まる。
そのうち、自素子の電力損失による発熱により上昇した温度ti(i=1〜6)は、次式(1)により算出することができる。
(数1)
ti=Rthi×Pi+Tw …(1)
ここで、Rthi(i=1〜6)は各IGBTから冷却構造体までの熱抵抗、Piは各IGBTの電力損失、Twは基準環境温度であって本実施形態においては冷却構造体の冷却水の温度とする。
このうち、電力損失Piは、さらに次式(2)により算出することができる。
(数2)
Pi=Ic×sinθ×{Vce0+
(Vcesat−Vce0)/Icmax×Ic×sinθ}×D+fc×Esw …(2)
ここで、Ic は算出対象のIGBTの通電電流(コレクタ電流)、θは電気角、Vce0はIGBT電流が0Aの時のコレクタ−エミッタ間電圧、Icmaxは最大IGBT電流、Vcsatは最大IGBT電流時のコレクタ−エミッタ間電圧、Dは変調率、fc はスイッチング周波数、Eswはスイッチング損失である。
また、他のIGBTからの熱干渉分については、各IGBT間の熱干渉(伝熱)についてモデルを設定し、各IGBT相互の熱干渉による温度変化分t’iを推定する。
図5は、IGBT間の熱干渉を説明する図であり、具体例としての第2のIGBT132−2と周囲の他のIGBTとの間の熱干渉の状態(設定した熱干渉モデル)を示す図である。
あるIGBT132−jにおける他のIGBT132−iからの熱干渉による温度変化分t’jは、干渉元のIGBT132−iの温度及びそれらIGBT間の熱干渉係数Kijを用いて、式(3)により推定する。なお、熱干渉係数Kijは、IGBT132−jとIGBT132−iとの熱干渉の割合を示す、基準温度(冷却構造体の水温)やPWM周波数に依存しない定数である。また、干渉元のIGBT132−iの温度としては、実際に計測を行う第4のIGBT132−4を除いて、式(1)により推定する自素子の電力損失による発熱に基づく温度tiを用いるものとする。
(数3)
t’j=Kij×ti …(3)
第2のIGBT132−2の周囲の他のIGBTからの熱干渉による温度変化分t’2は、隣接して配置されるIGBTとの熱干渉を全て考慮すれば、図5に示すように、第1のIGBT132−1、第3のIGBT132−3及び第4のIGBT132−4からの熱干渉成分を考慮することになる。しかし、第2のIGBT132−2が最高温度になる電気角θが0deg〜60degの時は、第1のIGBT132−1には通電電流がない。そのため、第1のIGBT132−1の温度は水温(Tw)と同じと考え、第1のIGBT132−1からの干渉成分は考慮しない。従って、第2のIGBT132−2に対する熱干渉による温度変化分t’2は、第3のIGBT132−3及び第4のIGBT132−4からの熱干渉成分を考慮して、式(4)のように推定する。
(数4)
t’2=K32×t3+K42×t4 …(4)
式(4)における第3のIGBT132−3の温度t3を、式(1)により推定することとすれば、第2のIGBT132−2に対する熱干渉による温度変化分t’2は式(5)のように表される。
(数5)
t’2=K32×(Rth3×P3+Tw)+K42×t4 …(5)
式(5)からわかるように、第2のIGBT132−2の温度の熱干渉分t’2は、実際の温度が計測される第4のIGBT132−4の温度t4に基づいて算出できる。
以上の結果、電気角θが0deg〜60degの時は第2のIGBT132−2の素子温度が最高となり、その温度T2は、式(1)により算出される温度t2と式(5)により算出される温度上昇分t’2を加えた式(6)により求めることができる。
(数6)
T2=Rth2×P2+K32×(Rth3×P3+Tw)+K42×t4+Tw …(6)
電気角θが60deg〜120degの時は、前述したように第5のIGBT132−5の素子温度が最高となる。その温度T5は、第2のIGBT132−2の場合と同様に、式(1)により算出される自素子の電力損失に基づく温度t5と、式3により算出される周囲の素子からの熱干渉による温度上昇分t’5とを加えて求める。第5のIGBT132−5については、第4のIGBT132−4からの熱干渉のみを考慮すると、第5のIGBT132−5の素子温度t5は、式(7)により求めることができる。
(数7)
T5=Rth5×P5+K45×t4+Tw …(7)
電気角θが120deg〜180degの時は、前述したように第4のIGBT132−4の素子温度が最高となる。第4のIGBT132−4の素子温度は、温度検出用ダイオード140及び温度モニター回路150により実測しているので、実測値をそのまま用いる。
電気角θが180deg〜240degの時は、前述したように第1のIGBT132−1の素子温度が最高となる。その温度T1は、第2のIGBT132−2及び第5のIGBT132−5の場合と同様に、式(1)により算出される自素子の電力損失に基づく温度t1と、式3により算出される周囲の素子からの熱干渉による温度上昇分t’1とを加えて求める。第1のIGBT132−1については、第4のIGBT132−4からの熱干渉のみを考慮すると、第1のIGBT132−1の素子温度t1は、前述した第5のIGBT132−5の場合と同様に、式(8)により求めることができる。
(数8)
T1=Rth1×P1+K41×t1+Tw …(8)
電気角θが240deg〜300degの時は、前述したように第6のIGBT132−6の素子温度が最高となる。その温度T6は、式(1)により算出される自素子の電力損失に基づく温度t6と、式3により算出される周囲の素子からの熱干渉による温度上昇分t’6とを加えて求める。第6のIGBT132−6については、第3のIGBT132−3からの熱干渉と第4のIGBT132−4からの熱干渉とを考慮すると、第6のIGBT132−6の素子温度t6は、前述した第2のIGBT132−2の場合と同様に、式(9)により求めることができる。
(数9)
T6=Rth6×P6+K36×(Rth6×P6+Tw)+K46×t4+Tw …(9)
電気角θが300deg〜360degの時は、前述したように第3のIGBT132−3の素子温度が最高となる。その温度T5は、第2のIGBT132−2の場合と同様、式(1)により算出される自素子の電力損失に基づく温度t5と、式3により算出される周囲の素子からの熱干渉による温度上昇分t’5とを加えて求める。また、第3のIGBT132−3については、第4のIGBT132−4、第2のIGBT132−2及び第6のIGBT132−6からの熱干渉を考慮する。その結果、第3のIGBT132−3の素子温度t3は、式(10)により求めることができる。
(数10)
T3=Rth3×P3+K43×t4+K23×(Rth2×P2+Tw)
+K63×(Rth6×P6+Tw)+Tw …(10)
以上、具体的に説明したように、本実施形態のモーター駆動装置100においては、6個のIGBT132−1〜132−6を1のモジュール内に収容するインバータ主回路130において、唯1個のIGBT(本実施形態においては第4のIGBT132−4)の温度を計測するのみで、最高温度となるIGBTの温度を推定している。またその方法は、電気角θに基づいて最高温度となるIGBTを検出してその温度を推定しているため、例えばモーター500がロック状態になった場合においても、適切に最高温度を推定(検出)することができ、そのような場合にインバータ主回路130のIGBTの温度が異常に上昇することを防ぐことができる。すなわち、簡単かつ小規模な回路構成により、適切にIGBT素子の加熱を防止することができる。
第2実施形態
本発明の第2実施形態について、図1及び図6〜図11を参照して説明する。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、本発明に係る温度検出装置を具備したインバータ装置を有するモーター駆動装置について説明する。
第2実施形態のモーター駆動装置は、その基本的構成は前述した第1実施形態のモーター駆動装置100と同じであるが、コントローラにおける最高温度のIGBTのその温度の推定方法が異なる。従って以下の説明においては、モーター駆動装置の構成についての説明は省略し、コントローラ290(図1)における最高温度のIGBTの温度推定方法について説明する。なお、モーター駆動装置の構成を参照する場合には、図1を参照する。
モーター駆動装置200において、モーター500がロック状態となっている時の、インバータ主回路130の出力電流、最高温度となるIGBTの温度、及び、インバータ主回路130の温度をモニターしているIGBT(第4のIGBT132−4)のモニター温度の遷移状態を電気角θに対応して示すと、図6に示すような状態となる。
図6(A)は、モーター500がロック状態となっている時の電気角θに対するインバータ主回路130の出力電流Iu,Iv及びIwを示す図であり、図6(B)は、最高温度となるIGBTの温度Tjmaxを示す図であり、図6(C)は、温度モニター回路150で検出したIGBT(本実施形態においては第4のIGBT132−4)の温度(モニター温度)Tmon を示す図である。
なお、出力電流Iu、Iv及びIwの正負は、正がインバータ主回路130からモーター500への吐き出し方向の流れを表し、負がモーター500からインバータ主回路130への吸い込み方向の流れを表す。また、IGBTのモニター温度Tmon は、温度モニター回路150の出力信号であるパルス変調信号をコントローラ190で演算処理して温度値に変換して得た値である。
そして、図6(B)に示すIGBT最高温度Tjmaxと図6(C)に示すモニター温度Tmon の差分値を求めると、その差分値ΔTj は図6(D)に示すように遷移する。
図6(A)〜図6(D)に示すように、温度モニター回路150が設けられた第4のIGBT132−4の通電電流が最大となるV相の電流が最大となる期間、すなわち電気角θが120deg〜180degの期間では、IGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon がほぼ等しく差分値ΔTj は0に近くなる。反対に、温度をモニターしている第4のIGBT132−4の通電電流が小さい期間では、IGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon の差が大きくなっている。
しかし、いずれの場合もIGBT最高温度Tjmax及びモニター温度Tmon は電気角θに対して周期的に変化しており、従ってこれらの差分値ΔTj も電気角θに対して周期的に変化している。従って、この差分値ΔTj を予め記憶しておけば、モニター温度Tmon からIGBT最高温度Tjmaxを推定することができる。本実施形態のモーター駆動装置200は、このように、差分値ΔTj を用いてモニター温度Tmon からIGBT最高温度の推定値Tj を求めるようにしたものである。
ただし、この差分値ΔTj は、インバータ主回路130からの出力電流の大きさに応じて変動する。そこで、本実施形態においては、インバータ主回路130に対する制御入力である電流指令値Ia*を電気角θとともに指標として、電流指令値Ia*及び電気角θに応じたIGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon との差分値ΔTj を記憶しておき、これに基づいて、モニター温度Tmon からIGBT最高温度の推定値Tj を求めるようにした。差分値ΔTj は、マップデータとしてコントローラ290内の不揮発性メモリ内に格納しておく。
図7は、そのマップデータの例を示す図である。
例えば図7(B)に示すマップデータAは、モーター500の制御入力である電流指令値Ia*と電気角θの1周期を1/nにした各期間とを指標として、それら各指標の各条件におけるIGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon の差分値ΔTj を、マトリクス形態(格子状)に記憶して形成したものである。なお、図7(A)は、電気角θとの対応を容易に理解できるように、モニター対象のIGBT(第4のIGBT132−4)に係るV相出力電流Ivの電流波形を示したものである。
コントローラ290は、上位の車両コントローラからのトルク指令に基づいて、インバータ主回路130を制御するための電流指令値Ia*を生成し、この電流指令値Ia*に基づいてインバータ主回路130を制御し、モーター500を所望の状態で駆動する。その際、回転センサー183からの入力によりモーター500がロック状態と判定された場合には、電流指令値Ia*及び電気角θに基づいて図7(B)に示すようなマップデータAより差分値ΔTj を読み出し、温度モニター回路150で計測されたモニター温度Tmon にこの差分値ΔTj を加えることにより、インバータ主回路130内のIGBT最高温度の推定値Tj を求める。
このようにして、モーター500がロック状態となった場合においても、モーター駆動装置200においては最高温度となるIGBTのその最高温度を適切に推定することができ、インバータ主回路130のIGBTの温度が異常に上昇することを防ぐことができる。また、このような制御を行うためにモーター駆動装置200は唯1個のIGBT(本実施形態においては第4のIGBT132−4)の温度を計測するのみでよいので、簡単かつ小規模な回路構成により、そのような機能を実現することができる。
ところで、前述したように、インバータ主回路130の6個のIGBT132−1〜132−6は1つのモジュールに収容されており、そのモジュールには冷却構造体が付設されている。この冷却構造体に流れる冷却水の温度が異なると、インバータ主回路130内の各IGBT132−iからの放熱状況も異なり、電流指令値Ia*や電気角θが同一でもIGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon との差分値ΔTj も異なってくる。そしてこの変動が、IGBT最高温度の推定値Tj に要求される精度に対して無視できないレベルとなる場合には、マップデータを変更する必要がある。
そのために、冷却水温度に応じて複数のマップデータを具備する構成としてもよい。図8は、冷却水温度が異なる場合の他のマップデータ(マップデータB)の例を示す図である。
冷却水温度ごとのマップデータの数は、冷却水の温度が取り得る範囲、冷却水の温度の変化に対する差分値ΔTj の変化割合、IGBT最高温度の推定値に要求される精度等に応じて、任意に決定してよい。冷却水温度が所定の閾値より高い場合及び低い場合に各々対応して2種類のマップデータを有するような構成でもよいし、所定の温度幅で設定される冷却水温度の範囲ごとに1のマップデータを用意するような構成でもよい。
このように、冷却水温度に応じて複数のマップデータを用意し、冷却水温度に応じた差分値ΔTj を用いてIGBT最高温度の推定値Tj を算出することにより、冷却水の温度が変動した場合も精度よくIGBT最高温度(Tjmax)を推定することができる。
モーター駆動装置200は、このような構成としてもよい。
また、モーター駆動装置200においては、コントローラ290によるIGBT132−1〜132−6 のスイッチング制御周期(PWM周波数と称する)を変えた場合も、各IGBTにおける発熱の特性が変化し、IGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon との差分値ΔTj が異なってくる場合がある。このような場合も、IGBT最高温度の推定値Tj に要求される精度によっては、この差分値ΔTj の相違を補正するのが好ましい場合がある。
PWM周波数に応じて、適切なIGBT最高温度の推定値Tj を得る方法としては、前述した冷却水温度が異なる場合と同様に、PWM周波数に応じて複数のマップデータを具備することで対応可能である。図9は、PWM周波数が異なる場合(所定の閾値周波数より大きい場合)の他のマップデータの例を示す図である。このようなマップデータをさらに有し、PWM周波数に応じた差分値ΔTj を用いてIGBT最高温度Tjmaxを算出することにより、IGBT最高温度Tjmaxの検出精度を一層向上させることができる。
なお、PWM周波数に対応したマップデータの数も、PWM周波数の変化の範囲、PWM周波数の変化に対するIGBT最高温度Tjmaxとモニター温度Tmon との差分値ΔTj の変化割合、IGBT最高温度Tjmaxの推定値に要求される精度等に応じて、任意に決定してよい。2種類でもよいし、周波数帯に応じて3種類以上のマップデータを用意するような構成でもよい。
また、PWM周波数が大きい場合には、このように異なるマップデータを用いて差分データΔTj を設定したとしても、IGBT温度の立ち上がり時及び立ち下り時において、モニター温度Tmon から得たIGBT最高温度の推定値Tj と実際のIGBT最高温度との間にある程度大きな差が生じる場合がある。
これについて、図10及び図11を参照して説明する。
図10及び図11は、モーターロック状態でモーター500のトルク制御を行った場合のモニター温度Tmon とIGBT最高温度の推定値Tj とを表す図であり、比較のためにさらにIGBT最高温度の実温度Tjrも合わせて示した図である。このうち、図10は、PWM周波数(fc)が小さい時のこれらのIGBT温度を示す図であり、図11は、PWM周波数(fc)が大きい時のこれらのIGBT温度を示す図である。
図10と図11を比較してわかるように、IGBT温度の立ち上がり時において、PWM周波数(fc)が小さい時(図10)のIGBT最高温度の推定値Tj と実際のIGBT最高温度Tjrとの差に対して、PWM周波数(fc)が大きい時(図11)のIGBT最高温度の推定値Tj と実際のIGBT最高温度Tjrとの差は非常に大きくなっている。
IGBT最高温度の推定値Tj に要求される精度によっては、このような場合には、IGBT最高温度の推定値Tj を何らかの方法で補正するのが好ましい。
このような補正を行う方法としては、IGBT最高温度の推定値Tj について、さらに時間補正を行うの好適である。
具体的には、PWM周波数(fc)が大きい場合には、図9に示したマップデータCからの読み出し差分値Cm-x n-y とモニター温度Tmon とを加算して得たITBT最高温度推定値Tj について、立ち上がり時には式(11)、立ち下り時には式(12)を適用して補正を行う。
(数11)
Tjh(+)=K1×Tj ×{1−exp(K2×t)} …(11)
(数12)
Tjh(−)=K3 ×Tj ×exp(K4 ×t) …(12)
なお、Tjh(+)は立ち上がり時の補正後のIGBT最高温度の推定値であり、Tjh(−)は立ち下がり時の補正後のIGBT最高温度の推定値である。また、K1〜K4は係数である。
このような補正を行うことにより、例えば立ち上がり時においては、図11に太線で示すような温度が算出される。すなわち、IGBT最高温度の推定値jh(+)と実際のIGBT最高温度Tjrとの差を小さくすることができ、精度よくIGBT最高温度を推定することができるようになっている。
以上説明したマップデータを用いたIGBT最高温度の推定方法であって、水温及びPWM周波数を考慮する場合のIGBT最高温度の推定方法について、まとめて説明する。
モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が小さく水温も通常の温度(低い)であれば、コントローラ290は、図7(B)に例示した水温が通常(低い)の場合のマップデータAを選択する。そして、磁極センサー182から入力される電気角θ及び上位コントローラから入力されるトルク指令に基づいた電流指令値Ia*から、対応するマップデータAm-x n-y をメモリから読み出す。そして、読み出したマップデータBm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を推定する。
また、モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が小さく水温が高い場合には、コントローラ290は、図8に例示した水温が高い場合のマップデータBを選択する。そして、電気角θ及び電流指令値Ia*から対応するマップデータBm-x n-y を読み出し、読み出したマップデータBm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を推定する。
また、モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が大きい場合には、コントローラ290は、図9に例示したPWM周波数(fc)が大きい場合のマップデータCを選択する。そして、電気角θ及び電流指令値Ia*から対応するマップデータCm-x n-y を読み出し、読み出したマップデータCm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を算出する。そしてこの条件の場合には、必要に応じてさらに時間補正を行う。すなわち、算出した推定値Tj について式(11)又は式(12)を適用して、IGBT最高温度の補正後の推定値Tjh(+)又はTjh(−)を算出する。
このように、第2実施形態のモーター駆動装置200においては、モーター500の電気角ごとのIGBT最高温度とモニター温度との差分データを、電流指令値Ia*と電気角θを指標としたマトリクス形態のデータ、すなわちマトリクスデータとしてメモリに記憶しておくことにより、電流指令値Ia*及び電気角θの各条件に応じた差分値を適切に得ることができ、IGBT最高温度の推定を容易に行うことができる。
また、マトリクスデータを複数具備することにより、冷却水の温度、PWM周波数に応じて、適切な温度推定を行うことができる。
また、第1実施形態のモーター駆動装置100と同様に、温度モニター回路を1箇所のみに設けたインバータ主回路130でも、最高温度のIGBTの推定が可能となり、装置構成を簡単にすることができる。
なお、冷却水温あるいはPWM周波数に応じた差分値ΔTj を用いる方法として、本実施形態においてはマップデータを複数具備する方法について説明した。しかし、マップデータとしては基準のマップデータ(例えば、図7(B)に示したマップデータA)のみを具備しておき、これを水温やPWM周波数の変化分に基づいて補正することにより、冷却水温あるいはPWM周波数に応じた適切な温度推定を行うようにしてもよい。
すなわち、水温やPWM周波数の変化分に基づいて補正値を算出し、その補正値によりマップデータAに記憶されている各値を補正し、その補正されたデータを用いてIGBT最高温度の推定値を得るようにしてもよい。具体的には、最高温度となるIGBT最高温度の推定値Tj を、例えば式(13)により求めるようにすればよい。
(数13)
Tjmax=Tmon +Axy+h(Tw1,fc1) …(13)
ここで、AxyはマップデータAの読み出し値、Tw1はIGBT最高温度推定時(モーターロック時)の冷却水温、fc1はIGBT最高温度推定時(モーターロック時)のPWM周波数を表す。また、h(Tw1,fc1)は補正関数であって、例えば式(14)により求められる値である。
(数14)
h(Tw1,fc1)=K5×(Tw1−Tw0)+K6 ×(fc1−fc0) …(14)
なお、K5,K6は係数であり、Tw0はマップデータAxy取得時の水温、fcoはマップデータAxy取得時のPWM周波数を表す。
第3実施形態
本発明の第3実施形態について、図12〜図16を参照して説明する。
本実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、本発明に係る温度検出装置を具備したインバータ装置を有するモーター駆動装置について説明する。
第3実施形態のモーター駆動装置は、その基本的構成は前述した第1実施形態のモーター駆動装置100と同じであり、コントローラにおける最高温度のIGBTの推定方法は第2実施形態のモーター駆動装置200と同じである。しかし、第3実施形態のモーター駆動装置300においては、温度モニター回路を設置していない他のIGBTについて、そのIGBTが所定の温度に達したか否かをのみを検出する機能を有する温度検知回路を設け、この温度検知回路からの出力信号を用いることにより、コントローラにおけるIGBT最高温度の推定方法あるいはその推定値を修正するようにしたものである。すなわち、若干の簡単な回路の追加により、より一層精度よくIGBT最高温度を推定するようにしたものである。
なお、以下の説明において、第1実施形態のモーター駆動装置100と同一の構成については第1実施形態と同一の符号を付して示すとともにその説明は省略する。また、第1実施形態のモーター駆動装置100と同一の動作及び作用等についてもその説明は省略する。以下、第1実施形態のモーター駆動装置100との相違点を中心に第3実施形態のモーター駆動装置について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態のモーター駆動装置300の構成を示す回路図である。
図12に示すモーター駆動装置300は、バッテリー110、DC平滑コンデンサ120、インバータ主回路130、温度検出用ダイオード140(140−1〜140−6)、温度モニター回路150、温度検知回路160(160−1〜160−3、160−5、160−6)、電流センサー181(181−1〜181−3)、磁極センサー182、回転センサー183及びコントローラ390を有する。
第1実施形態のモーター駆動装置100(及び第2実施形態のモーター駆動装置200)においては、6個のIGBT132−1〜132−6の中で第4のIGBT132−4にのみ温度検出用ダイオード140(140−4)及び温度モニター回路150を設置し、その温度をモニターする構成であった。
第3実施形態のモーター駆動装置300においては、第4のIGBT132−4以外の第1〜第3、第5及び第6のIGBT132−1〜132−3,132−5及び132−6に対しても、温度検出用ダイオード140−1〜140−3,140−5及び140−6を設置し、またこれらに対しては、所定の温度になったことを示す信号をコントローラ390に出力する温度検知回路160−1〜160−3,160−5及び160−6を設置する。
図13は、温度検知回路160−i(i=1〜3、5及び6)の構成を示す回路図である。
図13に示す温度検知回路160−iにおいて、温度検出用ダイオード140−iのアノード端子には、電源Vcc-UP から抵抗161を介して電流が供給される。また、カソード端子は、IGBT132−iのエミッタ電位と同電位である基準電位Vee-UP に接続される。
温度検出用ダイオード140−iのアノード−カソード間電圧は、コンパレータ162に入力され、所定の閾値電圧Vthcaと比較される。
この閾値電圧Vthcaは、IGBT132−iが所定温度Tcaとなった時に、IGBT132−iに対応して設けられている温度検出用ダイオード140−iの出力電圧に基づいてコンパレータ162に入力される電圧に相当する電圧である。従って、コンパレータ162は、IGBT132−iが所定温度Tcaに達したか否かを検出する。
コンパレータ162の出力信号は、抵抗163を介してフォトカプラー164に入力され、フォトカプラー163により絶縁伝送され、コントローラ390に検出信号Scai として入力される。
このような構成の温度検知回路160−iが、第1〜第3、第5及び第6のIGBT132−1〜132−3、132−5及び132−6に各々設けられている。なお、図13及び図3を比較して明らかなように、温度検知回路160−iは、温度モニター回路150と比較して構成が簡単であり、小型で安価に製造することができるものである。
コントローラ390は、これら各IGBT132−i(i=1〜3、5及び6)から入力される信号Sca1〜Sca3 、Sca5 及びSca6に基づいて、第1〜第3、第5及び第6のIGBT132−1〜132−3、132−5及び132−6の各々が、所定の温度Tcaに達したか否かを検出する。なお、第4のIGBT132−4については、第1実施形態のモーター駆動装置100と同様に温度検出用ダイオード140及び温度モニター回路150が設けられており、第4のIGBT132−4の温度の値を示す信号がコントローラ390に入力される。
このような構成のモーター駆動装置300の動作について説明する。
なお、モーター駆動装置300のコントローラ390は、図7〜図11を参照して前述した第2実施形態のモーター駆動装置200のコントローラ290と同様の構成を有するものとする。すなわち、モーター駆動装置300は、図7(B)に例示した基準のマトリクスデータA、図8に例示した冷却水温が高い場合のマトリクスデータB、及び、図9に例示したPWM周波数が大きい場合のマトリクスデータCを有し、これらを用いて、基本的には第2実施形態と同様の方法により、IGBT最高温度の推定値Tj を算出する。
モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が小さく水温も通常の温度(低い)であれば、コントローラ390は、図7(B)に例示した水温が通常(低い)の場合のマップデータAを選択する。そして、磁極センサー182から入力される電気角θ及び上位コントローラから入力されるトルク指令に基づいた電流指令値Ia*から、対応するマップデータAm-x n-y をメモリから読み出す。そして、読み出したマップデータBm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を推定する。
このような動作の際に、最高温度となるIGBT(IGBT−i)に異常や故障が生じたり、あるいはIGBTモジュールの冷却構造体の実装に異常がある等して、IGBT最高温度の実温度Tjrがその推定値Tj よりも高くなり、所定の温度Tcaに到達したとする。そのような状態となると、そのIGBT−iに対応する温度検出用ダイオード140−i及び温度検知回路160−iから、IGBT−iが所定の温度に達したことを示す信号Scai がコントローラ390に出力される。
コントローラ390においては、そのような信号が入力されたら、その時のIGBT最高温度の推定値Tj と、その所定の温度Tcaとの差を検出し、これを補正値h1とする。そして、以後、IGBT最高温度推定値Tj にこの補正値h1 を加算し、補正後推定値T'jとする。
水温が高い時も、コントローラ390は同様の処理を行う。
図14は、モーター駆動装置300において、PWM周波数(fc)が小さい時、モーターロック状態でモーター500のトルク制御を行った場合のモニター温度Tmon とIGBT最高温度の推定値Tj とを示す図である。比較のために、IGBT最高温度の実温度Tjrも合わせて示す。
モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が小さく水温が高い場合には、コントローラ390は、図8に例示した水温が高い場合のマップデータBを選択する。そして、電気角θ及び電流指令値Ia*から対応するマップデータBm-x n-y を読み出し、読み出したマップデータBm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を算出する。
今、最高温度となるIGBT(IGBT−i)に異常や故障が生じたり、あるいはIGBTモジュールの冷却構造体の実装に異常がある等して、IGBT最高温度の実温度Tjrがその推定値Tj よりも高くなったとする。そのような場合には、実際のIGBT最高温度(実温度)Tjrが所定の温度Tcaに到達すると(時間t2)、そのIGBT−iに対応する温度検出用ダイオード140−i及び温度検知回路160−iから、IGBT−iが所定の温度に達したことを示す信号Scai がコントローラ390に出力される。
コントローラ390においては、そのような信号が入力されたら、その時間t2において、IGBT最高温度の推定値Tj と、その所定の温度Tcaとの差を検出し、補正値h1 としてIGBT最高温度推定値Tj に加算する。そして、補正値h1 の加算されたIGBT最高温度推定値を、補正後推定値T'jとする。
PWM周波数が大きい時には、コントローラ390は次のような補正処理を行う。
図15及び図16は、PWM周波数(fc)が大きい場合に、モーターロック状態でモーター500のトルク制御を行った場合のモニター温度Tmon とIGBT最高温度の推定値Tj を表す図であり、図16は、図15に示す時間t3以後の補正動作を説明するための図である。比較のために、図15及び図16にはIGBT最高温度の実温度Tjrも合わせて示す。
第2実施形態との場合と同様に、モーター500がモーターロック状態となった時、PWM周波数(fc)が大きい場合には、コントローラ390は、図9に例示したPWM周波数(fc)が大きい場合のマップデータCを選択する。そして、電気角θ及び電流指令値Ia*から対応するマップデータCm-x n-y を読み出し、読み出したマップデータCm-x m-y をモニター温度Tmon に加算し、最高温度のIGBT温度Tj を算出する。
この際、PWM周波数(fc)が大きい場合には、第2実施形態において図11を参照して前述したように、IGBT最高温度の推定値Tj と実際のIGBT最高温度Tjrとの差は非常に大きくなっている。そこで、算出したIGBT最高温度の推定値Tj について、式(11)を用いて時間補正を行う。その結果、図15に示すような、実際のIGBT最高温度Tjrに近づいた推定値Tj が得られる。
このような状態において、時間t3において、例えば最高温度となるIGBT(IGBT−i)に異常や故障が生じたり、あるいはIGBTモジュールの冷却構造体の実装に異常がある等して、IGBT最高温度の実温度Tjrがその推定値Tj よりも大幅に高くなったとする。そのような場合、モーター駆動装置300においては、対応する温度検出用ダイオード140−i及び温度検知回路160−iから、IGBT−iが所定の温度に達したことを示す信号Scai がコントローラ390に出力される。
コントローラ390においては、そのような信号が入力されたら、その時間t3において、IGBT最高温度の推定値Tj と、その所定の温度Tcaとの差D1を検出し、この差D1に応じて、マップデータCからの読み出し値Cm-x n-y を式(15)により補正し、補正後のマップデータC'm-x n-yを得る。
(数15)
C'm-x n-y=K7×D1/t3×Cm-x n-y …(15)
なお、K7は係数である。
そして、補正後のマップデータC'm-x n-yをモニター温度Tmon に加算することにより、IGBT最高温度の補正後の推定値T'jを算出する。その結果、図16に示すように、実際のIGBT最高温度Tjrに近づいた推定値Tj が得られる。
このように、第3実施形態のモーター駆動装置300においては、温度を実際にモニターする第4のIGBT132−4以外のIGBT132−i(i=1〜3,5,6)に対して、IGBT−iが所定の温度Tcaに達したか否かを検出する温度検知回路160−iを設置した。そして、いずれかのIGBT132−iから、そのIGBT132−iが所定の温度Tcaに達したことを示す信号が入力された時に、その時のIGBT最高温度の推定値Tj とその所定温度Tcaとの差を検出する。その結果、IGBT最高温度の推定値Tj と実際のIGBT最高温度Tjrとの差(ずれ)を適切に検出することができ、このずれを解消する修正を行うことにより、適切なIGBT最高温度の推定が行える。すなわち、第3実施形態のモーター駆動装置300においては、IGBTもしくはモジュールの冷却構造体への実装に異常や故障が発生しても、また、温度モニター回路を1つのIGBTに設置していないインバータでも、常にIGBT最高温度の推定を適切に行うことができる。
なお、温度検知回路160−iの構成は温度モニター回路150と比較して簡単なので、温度モニター回路150を全てのIGBT132−1〜132−6に設置するのに比べれば、モーター駆動装置300の回路構成を大きく小型化することができる。
なお、本実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。本実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含み、また任意好適な種々の改変が可能である。
図1は、本発明の第1実施形態のモーター駆動装置の構成を示す図である。 図2は、図1に示したモーター駆動装置の6個のIGBTを収容するIGBTモジュールの構成を示す図である。 図3は、図1に示したモーター駆動装置の温度モニター回路の構成を示す図である。 図4は、モーターの磁極位置(電気角)に対するインバータ主回路の三相出力電流を表す図である。 図5は、図2に示したIGBT間の熱干渉を説明する図であり、特に、第2のIGBTと周囲の他のIGBTとの間の熱干渉の状態を示す図である。 図6(A)は、インバータ主回路の出力電流を示す図であり、図6(B)は、最高温度となるIGBTの温度を示す図であり、図6(C)は、温度モニター回路で検出した温度検出対象のIGBTのモニター温度を示す図であり、図6(D)は、IGBTの最高温度とモニター温度との差分値を示す図である。 図7(A)は、本発明の第2実施形態に係る、電流指令値と電気角を指標としてIGBT最高温度とモニター温度との差分値をマトリクス状に記憶したマップデータとその電気角との対応を説明するためのインバータ主回路からのV相出力電流を示す図であり、図7(B)は、マップデータの一例としての基準のマップデータの例を示す図である。 図8は、本発明の第2実施形態に係るマップデータの一例としての冷却水温が高い場合のマップデータの例を示す図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係るマップデータの一例としてのPWM周波数が大きい場合のマップデータの例を示す図である。 図10は、第2実施形態のモーター駆動装置において、PWM周波数が小さい時に、モーターロック状態でモーターのトルク制御を行った場合の、モニター温度、IGBT最高温度の推定値、及び実際のIGBT最高温度(実温度)を示す図である。 図11は、第2実施形態のモーター駆動装置において、PWM周波数が大きい時に、モーターロック状態でモーターのトルク制御を行った場合の、モニター温度、IGBT最高温度の推定値、及び実際のIGBT最高温度(実温度)を示す図である。 図12は、本発明の第3実施形態のモーター駆動装置の構成を示す図である。 図13は、図12に示したモーター駆動装置の温度モニター回路の構成を示す図である。 図14は、図12に示した第3実施形態のモーター駆動装置において、PWM周波数が小さい時に、モーターロック状態でモーターのトルク制御を行った場合の、モニター温度、IGBT最高温度の推定値、及び実際のIGBT最高温度(実温度)を示す図である。 図15は、図12に示した第3実施形態のモーター駆動装置において、PWM周波数が大きい時に、モーターロック状態でモーターのトルク制御を行った場合の、モニター温度、IGBT最高温度の推定値、及び実際のIGBT最高温度(実温度)を示す第1の図である。 図16は、図12に示した第3実施形態のモーター駆動装置において、PWM周波数が大きい時に、モーターロック状態でモーターのトルク制御を行った場合の、モニター温度、IGBT最高温度の推定値、及び実際のIGBT最高温度(実温度)を示す第2の図である。
符号の説明
100,200,300…モーター駆動装置
110…バッテリー
120…DC平滑コンデンサ
130…インバータ主回路
132…IGBT
133…ダイオード
140…温度検出用ダイオード
150…温度モニター回路
151、157,158…抵抗
152…インピーダンス変換用オペアンプ
153…反転増幅回路
154…三角波生成回路
155…コンパレータ
156…フォトカプラー
160…温度検知回路
161,163…抵抗
162…コンパレータ
164…フォトカプラー
181…電流センサー
182…磁極センサー
183…回転センサー
190,290,390…コントローラ

Claims (10)

  1. 複数のスイッチング素子を有するインバータ装置であって、
    前記複数のスイッチング素子の中の少なくとも1つのスイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、
    前記複数のスイッチング素子間の熱伝達モデルを記憶し、当該熱伝達モデル及び前記検出された前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の温度が最高となっているスイッチング素子の温度を推定する温度推定手段と
    を有するインバータ装置。
  2. 前記熱伝達モデルは、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態において通電電流が最大となる前記スイッチング素子に対する他の前記スイッチング素子からの熱伝達の特性を示す熱伝達モデルであって、
    前記温度推定手段は、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態に対応する前記熱伝達モデル、及び、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度を算出し、当該温度を、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の温度と推定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記温度推定手段は、
    前記熱伝達モデルを、前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態において通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度を、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度の関数として表した熱等価式として記憶し、
    前記インバータ装置に接続された負荷が所定の状態となった時に、当該状態に対応する前記熱等価式及び前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する
    ことを特徴とする請求項2に記載のインバータ装置。
  4. 前記負荷として同期電動機が接続されたインバータ装置であって、
    前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに、通電電流が最大となる前記スイッチング素子に対する他の前記スイッチング素子からの熱伝達の特性を示す熱伝達モデルであって、
    前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、前記電気角に対応する前記熱伝達モデル、及び、前記温度検出対象のスイッチング素子の温度に基づいて、前記最高温度のスイッチング素子の温度を推定する
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のインバータ装置。
  5. 前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに予め検出した、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を、前記電気角に対応付けて記憶したマップデータであり、
    前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、当該同期電動機の電気角に対応付けて記憶されている前記差分値を前記マップデータから読み出し、当該読み出した前記差分値及び前記検出した前記温度検出対象のスイッチング素子の温度とに基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する
    ことを特徴とする請求項4に記載のインバータ装置。
  6. 前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角と、当該インバータ装置から出力する電流値に係る所定の情報とに対応付けてマトリクス形式で、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を記憶し、
    前記温度推定手段は、前記同期電動機がロック状態となった時に、当該同期電動機の電気角及び制御対象の出力電流値に基づいて、前記差分値を前記マトリクス形式の前記マップデータから読み出し、当該読み出した前記差分値及び前記検出した前記温度検出対象のスイッチング素子の温度とに基づいて、前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の当該温度を算出する
    ことを特徴とする請求項5に記載のインバータ装置。
  7. 前記温度推定手段は、前記推定される前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の前記温度を、前記複数のスイッチング素子の温度、前記スイッチング素子のスイッチング周波数、あるいは、前記負荷が前記所定の状態となってからの時間の少なくともいずれか1つを含む補正条件に応じて補正する
    ことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のインバータ装置。
  8. 前記複数のスイッチング素子は、冷却機構が設けられたモジュールに一体的に構成されており、
    前記温度推定手段は、前記冷却機構の温度を前記補正条件として、当該温度に応じて、前記推定される前記複数のスイッチング素子の中の最高温度のスイッチング素子の前記温度を補正する
    ことを特徴とする請求項7に記載のインバータ装置。
  9. 前記熱伝達モデルは、前記同期電動機がロック状態となった時の電気角ごとに予め検出した、前記通電電流が最大となる前記スイッチング素子の温度と前記温度検出対象のスイッチング素子の温度との差分値を、前記電気角に対応付けて記憶したマップデータであって、
    前記温度推定手段は、前記マップデータを、前記補正条件に応じて複数具備し、前記条件に応じていずれかの前記マップデータを選択して参照することにより、前記補正条件に応じて補正した前記最高温度のスイッチング素子の前記温度を算出する
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載のインバータ装置。
  10. 前記複数のスイッチング素子の中の前記温度検出対象となっていない他の前記スイッチング素子に対して、少なくとも当該スイッチング素子が所定の温度に達したことを検出することのできる所定温度到達検出手段が設けられ、
    前記温度推定手段は、前記所定温度到達検出手段によりいずれかの前記スイッチング素子が前記所定の温度に達したことが検出された時に、当該温度推定手段で推定した前記最高温度のスイッチング素子の前記温度と、前記所定温度到達検出手段が検出した前記所定の温度との差に基づいて、当該温度推定手段で推定する温度を補正する
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のインバータ装置。
JP2006011578A 2006-01-19 2006-01-19 インバータ装置 Pending JP2007195343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006011578A JP2007195343A (ja) 2006-01-19 2006-01-19 インバータ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006011578A JP2007195343A (ja) 2006-01-19 2006-01-19 インバータ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007195343A true JP2007195343A (ja) 2007-08-02

Family

ID=38450571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006011578A Pending JP2007195343A (ja) 2006-01-19 2006-01-19 インバータ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007195343A (ja)

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009071914A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Denso Corp パワースイッチング素子の温度推定装置及び電力変換システム
JP2009106106A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Nissan Motor Co Ltd 電動機の制御装置
JP2009136061A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Mitsuba Corp スイッチトリラクタンスモータの制御装置
WO2011052623A1 (ja) 2009-11-02 2011-05-05 株式会社 東芝 インバータ装置
JP2011160542A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Denso Corp 車両用発電機
JP2012186968A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Denso Corp 電力変換装置
JP2012239275A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Toyota Motor Corp インバータ装置
CN102991374A (zh) * 2012-12-15 2013-03-27 奇瑞汽车股份有限公司 一种电动汽车电机控制器被动整流保护系统
JP2013155630A (ja) * 2012-01-27 2013-08-15 Denso Corp 電動式可変バルブタイミング装置の制御装置
JP2013183595A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Fuji Electric Co Ltd 半導体装置
JP2013247426A (ja) * 2012-05-24 2013-12-09 Denso Corp スイッチング素子の駆動装置
JP2014064435A (ja) * 2012-09-24 2014-04-10 Mitsubishi Electric Corp インバータの過熱保護制御装置及びインバータの過熱保護制御方法
CN104573266A (zh) * 2015-01-26 2015-04-29 北京工业大学 一种基于三维建模的分析空洞对igbt热可靠性影响的方法
JP2015211514A (ja) * 2014-04-25 2015-11-24 三菱電機株式会社 モータ駆動装置
US20150364976A1 (en) * 2014-06-13 2015-12-17 Fanuc Corporation Overheat detection device for electric motor equipped with multiple ptc thermistors
CN105378906A (zh) * 2013-07-03 2016-03-02 Zf腓德烈斯哈芬股份公司 用于监控半导体元器件在其运行期间的功能的控制装置和方法以及具有控制装置的电结构组件
JP2017143640A (ja) * 2016-02-09 2017-08-17 トヨタ自動車株式会社 電力変換装置
JP2017169260A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社デンソー 電力変換装置
JP2019198201A (ja) * 2018-05-11 2019-11-14 日産自動車株式会社 機器保護装置及び機器保護方法
JP2020171118A (ja) * 2019-04-03 2020-10-15 三菱電機株式会社 交流回転電機の制御装置
US11011974B2 (en) 2016-04-29 2021-05-18 Robert Bosch Gmbh Inverter arrangement, electric drive system, and method for discharging a DC link capacitor in an inverter arrangement
CN111817646B (zh) * 2019-04-03 2024-04-26 三菱电机株式会社 交流旋转电机的控制装置

Cited By (35)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009071914A (ja) * 2007-09-11 2009-04-02 Denso Corp パワースイッチング素子の温度推定装置及び電力変換システム
JP2009106106A (ja) * 2007-10-24 2009-05-14 Nissan Motor Co Ltd 電動機の制御装置
JP2009136061A (ja) * 2007-11-29 2009-06-18 Mitsuba Corp スイッチトリラクタンスモータの制御装置
JP2011097812A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Toshiba Corp インバータ装置
WO2011052623A1 (ja) 2009-11-02 2011-05-05 株式会社 東芝 インバータ装置
US8582335B2 (en) 2009-11-02 2013-11-12 Kabushiki Kaisha Toshiba Inverter apparatus
EP2498391A4 (en) * 2009-11-02 2018-02-28 Kabushiki Kaisha Toshiba Inverter device
JP2011160542A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Denso Corp 車両用発電機
JP2012186968A (ja) * 2011-03-08 2012-09-27 Denso Corp 電力変換装置
JP2012239275A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Toyota Motor Corp インバータ装置
JP2013155630A (ja) * 2012-01-27 2013-08-15 Denso Corp 電動式可変バルブタイミング装置の制御装置
US9300198B2 (en) 2012-03-05 2016-03-29 Fuji Electric Co., Ltd. Semiconductor device, including temperature sensing circut
JP2013183595A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Fuji Electric Co Ltd 半導体装置
JP2013247426A (ja) * 2012-05-24 2013-12-09 Denso Corp スイッチング素子の駆動装置
US9419604B2 (en) 2012-05-24 2016-08-16 Denso Corporation Driving system for switching element
JP2014064435A (ja) * 2012-09-24 2014-04-10 Mitsubishi Electric Corp インバータの過熱保護制御装置及びインバータの過熱保護制御方法
CN102991374A (zh) * 2012-12-15 2013-03-27 奇瑞汽车股份有限公司 一种电动汽车电机控制器被动整流保护系统
CN102991374B (zh) * 2012-12-15 2017-07-21 奇瑞新能源汽车技术有限公司 一种电动汽车电机控制器被动整流保护系统
CN105378906A (zh) * 2013-07-03 2016-03-02 Zf腓德烈斯哈芬股份公司 用于监控半导体元器件在其运行期间的功能的控制装置和方法以及具有控制装置的电结构组件
JP2015211514A (ja) * 2014-04-25 2015-11-24 三菱電機株式会社 モータ駆動装置
US20150364976A1 (en) * 2014-06-13 2015-12-17 Fanuc Corporation Overheat detection device for electric motor equipped with multiple ptc thermistors
US10018518B2 (en) * 2014-06-13 2018-07-10 Fanuc Corporation Overheat detection device for electric motor equipped with multiple PTC thermistors
CN104573266A (zh) * 2015-01-26 2015-04-29 北京工业大学 一种基于三维建模的分析空洞对igbt热可靠性影响的方法
US9966877B2 (en) 2016-02-09 2018-05-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Electric power conversion device
JP2017143640A (ja) * 2016-02-09 2017-08-17 トヨタ自動車株式会社 電力変換装置
US9843261B2 (en) 2016-03-14 2017-12-12 Denso Corporation Power conversion apparatus
JP2017169260A (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社デンソー 電力変換装置
US11011974B2 (en) 2016-04-29 2021-05-18 Robert Bosch Gmbh Inverter arrangement, electric drive system, and method for discharging a DC link capacitor in an inverter arrangement
EP3449557B1 (de) * 2016-04-29 2022-03-02 Robert Bosch GmbH Wechselrichteranordnung, elektrisches antriebssystem und verfahren zum entladen eines zwischenkreiskondensators in einer wechselrichteranordnung
JP2019198201A (ja) * 2018-05-11 2019-11-14 日産自動車株式会社 機器保護装置及び機器保護方法
JP7070062B2 (ja) 2018-05-11 2022-05-18 日産自動車株式会社 機器保護装置及び機器保護方法
JP2020171118A (ja) * 2019-04-03 2020-10-15 三菱電機株式会社 交流回転電機の制御装置
CN111817646A (zh) * 2019-04-03 2020-10-23 三菱电机株式会社 交流旋转电机的控制装置
US11183964B2 (en) 2019-04-03 2021-11-23 Mitsubishi Electric Corporation Control device for an AC rotating electric machine
CN111817646B (zh) * 2019-04-03 2024-04-26 三菱电机株式会社 交流旋转电机的控制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007195343A (ja) インバータ装置
CN103109460B (zh) 温度保护装置
JP5443946B2 (ja) インバータ装置
JP6274077B2 (ja) モータ制御装置
JP5161641B2 (ja) 温度検出回路
CN102150353B (zh) 逆变器装置、逆变器控制系统、电机控制系统及逆变器装置的控制方法
JP5514010B2 (ja) 電力変換装置およびその温度上昇演算方法
US10705133B2 (en) Method and device for estimating level of damage or lifetime expectation of power semiconductor module
US8901863B2 (en) Motor control device
US7607827B2 (en) Temperature detection device, temperature detection method, and computer-readable computer program product containing temperature detection program
JP2006025499A (ja) モータ制御装置
JP2017073898A (ja) 電動機制御装置
US20180159456A1 (en) Motor drive control device and control method thereof
JP2005168262A (ja) 電動機用インバータ回路の温度検出装置
JP5471056B2 (ja) モータ制御装置
JP2011087401A (ja) 電子部品の温度検出装置及び車載電力素子の駆動制御装置
US10044299B2 (en) Motor driving device
JP2011015597A (ja) 電力変換装置
JP5482694B2 (ja) 電力変換装置
JP4884434B2 (ja) 電動機駆動装置
JP2006094669A (ja) 電動車の駆動制御装置
JP6025057B2 (ja) パワー素子の温度検出装置
WO2022269950A1 (ja) 電動機制御装置
JP2018026946A (ja) 電力変換装置、電力変換装置の寿命診断方法、電力変換装置のスイッチング素子温度検出方法および電力変換システム
JP2022037281A (ja) 制御装置及び制御方法