JP2009106036A - インバータおよび冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 万が一、電流検出用の抵抗が断線した場合でも、スイッチング素子等の破壊を未然に防ぐことができる安全性にすぐれたインバータおよび冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】 スイッチング回路10に対する直流電圧供給ラインL1、L2に、電流検出用抵抗21を挿入接続する。そして、電流検出用抵抗21に保護用抵抗22を並列接続する。保護用抵抗22は、電流検出用抵抗21よりも大きな抵抗値を有する。これらの抵抗21,22に流れる電流に基づき、スイッチング回路10の各スイッチング素子をオン,オフ駆動する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、モータ駆動用のインバータおよびそのインバータを備えた冷凍サイクル装置に関する。
モータ駆動用のインバータは、直流電圧を交流に変換して出力するスイッチング回路を備えている。このスイッチング回路は、2つのスイッチング素子の直列回路を複数相分有し、これら直列回路における両スイッチング素子の相互接続点がモータの各相巻線に接続される。このスイッチング回路に直流電圧が印加されて各スイッチング素子がオン,オフ駆動されることにより、モータの各相巻線に電流が流れ、モータのロータが回転する。
このようなインバータの駆動に際しては、モータの各相巻線に流れる電流が検出され、その検出電流に基づくベクトル制御等により、各スイッチング素子に対するオン,オフ駆動用のPWM信号が生成される。各相巻線に流れる電流を検出する手段として、例えば、スイッチング回路に対する直流電圧供給ラインに抵抗器を設け、その抵抗器に生じる電圧を検出するものがある。また、直流電圧供給ラインに2つの抵抗器を直列に設け、一方の抵抗器を電流検出用として使用し、他方の抵抗器は過電流が流れた場合に一方の抵抗器が溶断しないよう自ら発熱して溶断する保護用として使用する例がある(例えば特許文献1)。
特許2621075号公報
上記のように、直流電圧供給の負側ラインに2つの抵抗器を直列に設けたものでは、過電流等によって保護用の抵抗器が溶断/断線すると、スイッチング素子とその駆動回路との間が切断されることとなる、スイッチング素子と駆動回路の電位が不定になる。このため、スイッチング素子のオン,オフ駆動信号が低レベルになったとき(オフ期間)、そのスイッチング素子の電流流出側端子の電位が駆動信号入力端子の電位よりも高い状態となり、スイッチング素子の電流流出側端子から駆動信号入力端子にかけて大きな逆電圧が加わり、スイッチング素子の逆耐圧を超えて破壊に至る可能性がある。この破壊に際しては、逆にスイッチング素子の駆動信号入力端子を通して駆動回路に高電圧が加わることもあり、駆動回路側の耐圧が低ければ駆動回路まで破壊されてしまう。
この発明は、上記の事情を考慮したもので、万が一電流検出用の抵抗が断線した場合でも、スイッチング素子や駆動回路の破壊を未然に防ぐことができる安全性にすぐれたインバータおよび冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明のインバータは、複数のスイッチング素子を有するスイッチング回路に直流電圧を印加し、各スイッチング素子のオン,オフによりモータの巻線に電流を流すものであって、スイッチング回路に対する直流電圧供給ラインに設けられた電流検出用抵抗と、この電流検出用抵抗に並列接続され、その電流検出用抵抗よりも大きな抵抗値を有する保護用抵抗と、これらの抵抗に流れる電流に基づき各スイッチング素子をオン,オフ駆動する制御手段と、を備える。
請求項5に係る発明の冷凍サイクル装置は、電流検出用の抵抗として複数の抵抗を並列接続した抵抗群で構成し、この抵抗群に流れる電流に基づき圧縮機モータを駆動するとともに同電流が所定値以上の場合に圧縮機モータの駆動を停止するインバータを備えたものであって、インバータの出力が最小のときに、上記各抵抗のうち最小抵抗値の抵抗が開放状態となった場合に、上記電流が上記所定値以上となるように、上記各抵抗の抵抗値を設定した。
請求項6に係る発明の冷凍サイクル装置は、電流検出用の抵抗として複数の抵抗を並列接続した抵抗群で構成し、この抵抗群に流れる電流に基づき圧縮機モータを駆動するとともに同電流が所定値以上の場合に圧縮機モータの駆動を停止するインバータを備えたものであって、上記各抵抗のうち最小抵抗値の抵抗が開放状態となった場合に、上記抵抗群の抵抗値がその開放状態となる前の6倍以上となるように、上記各抵抗の抵抗値を設定した。
この発明のインバータおよび冷凍サイクル装置によれば、万が一電流検出用の抵抗が断線した場合でもスイッチング素子や駆動回路の破壊を未然に防ぐことができて、安全性が大幅に向上する。
[1]以下、この発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、商用交流電源1の交流電圧が整流回路2により直流電圧に変換され、その直流電圧が直流電圧供給ラインである正側ラインL1と負側ラインL2間に接続された制御用電源回路3およびスイッチング回路10に印加される。制御用電源回路3は、例えば280Vの直流電圧を後述する制御回路30やスイッチング回路10中のスイッチング素子を駆動する駆動回路40の動作用電源となる直流12Vや5Vに降圧して出力する降圧回路で構成される。スイッチング回路10は、2つのスイッチング素子たとえばMOSFETの直列回路をU,V,Wの三相分有するもので、U相の高電圧側にMOSFET11u、低電圧側にMOSFET12u、V相の高電圧側にMOSFET11v、低電圧側にMOSFET12v、W相の高電圧側にMOSFET11w、低電圧側にMOSFET12wを備えている。
このスイッチング回路10におけるMOSFET11u,12uの相互接続点に圧縮機モータMの相巻線Luが接続され、MOSFET11v,12vの相互接続点に圧縮機モータMの相巻線Lvが接続され、MOSFET11w,12wの相互接続点に圧縮機モータMの相巻線Lwが接続されている。圧縮機モータMは、星形結線された3つの相巻線Lu,Lv,Lwを有する固定子、および永久磁石を有する回転子により構成され、相巻線Lu,Lv,Lwに電流が流れることにより生じる磁界と永久磁石が作る磁界との相互作用により回転子が回転するもので、空気調和機などの冷凍サイクル装置(図示しない)の密閉型圧縮機に収容される。
そして、スイッチング回路10に対する直流電圧供給の負側ラインL2に、電流検出用の複数たとえば2つの抵抗21,22を並列接続した抵抗群が挿入接続されている。抵抗21は許容差1%の数mΩたとえば2mΩの抵抗値を有し、抵抗22は許容差5%で抵抗21よりも10倍程度の大きさを持つ数十mΩたとえば25mΩの抵抗値を有する。この抵抗値の相互関係により、正常時には電流のほとんどが抵抗21の方に流れ、抵抗22には電流があまり流れない。具体的には、各抵抗に流れる電流は、その抵抗値の比率の逆数比となるので、抵抗22に流れる電流は、抵抗21に流れる電流の2/25となる。これにより、抵抗21がメインの電流検出用抵抗、抵抗22がサブ(保護用)の抵抗として機能する。以下、抵抗21を電流検出用抵抗、抵抗22を保護用抵抗という。
この電流検出用抵抗および保護用抵抗21,22の並列回路に生じる電圧が、制御部(制御手段)30に供給される。制御部30は、並列回路に生じる電圧をデジタル信号に変換するA/D変換器31、このA/D変換器31の出力が供給される駆動信号生成部32および保護回路33を有し、制御用電源回路3から供給される直流電圧により動作する。駆動信号生成部32は、電流検出用抵抗および保護用抵抗21,22の並列回路に流れる電流(主に電流検出用抵抗21に流れる電流)をA/D変換器31の出力から検出し、その検出電流に基づくベクトル制御により、スイッチング回路10を駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成する。このPWM信号が駆動回路40に供給される。駆動回路40は、制御用電源回路3から供給される直流電圧により動作し、駆動信号生成部32からのPWM信号に対応するオン,オフ駆動信号をスイッチング回路10の各MOSFETに供給する。
上記保護回路33も、電流検出用抵抗および保護用抵抗21,22の並列回路に流れる電流(主に電流検出用抵抗21に流れる電流)をA/D変換器31の出力から検出し、その検出電流がスイッチング回路10の各素子の保護用に予め定められている所定値以上たとえば50A以上の場合に圧縮機モータMの駆動を即時に停止するべく、駆動信号生成部32に対し停止指令を送る。駆動信号生成部32は、保護回路33から停止指令を受けた場合に、PWM信号の生成を直ちに停止し、全てのスイッチング素子をオフする。
この構成によれば、各抵抗が正常な状態においては、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22の並列回路に所定値以上の電流が流れたとき、高い応答性をもって、保護回路33から駆動信号生成部32に停止指令が送られる。この停止指令により駆動信号生成部32からPWM信号が出力されなくなり、スイッチング回路10における各MOSFETの破壊が防止される。MOSFETにその許容範囲を超える大きな電流が短期間でも流れると、MOSFETが破壊されるため、この保護回路33の動作にはきわめて高い応答性が確保されている。これら整流回路2、制御用電源回路3、スイッチング回路10、電流検出用抵抗21、保護用抵抗22、制御部30、および駆動回路40により、圧縮機モータ駆動用のインバータが構成されている。
そして、このインバータの出力が最小(最小出力周波数)のときに、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22のうち最小抵抗値である電流検出用抵抗21が何らかの原因で断線して開放状態となった場合に、保護回路33における検出電流が上記所定値以上となるように、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22の各抵抗値が設定されている。
以上の回路において、正常時にはA/D変換器31の出力から電流を検出し、その検出電流の大きさに基づくベクトル制御により、スイッチング回路10を駆動して圧縮機モータが駆動される。
一方、何等かの理由で検出用抵抗21が断線したときは、保護用抵抗22のみに電流が流れるが、この時点においては、スイッチング回路10と負側ラインL2との通電路は保護用抵抗22を介して接続されたままである。このため、スイッチング回路10と負側ラインL2との通電路が開放された場合のように、スイッチング回路10の低電圧側に存するMOSFET12u,12v,12wへのオン,オフ駆動信号が低レベルになったとき(オフ期間)、MOSFET12u,12v,12wのドレイン(電流流出側端子)の電位がゲート(駆動信号入力端子)の電位よりも非常に高い状態となり、MOSFET12u,12v,12wのドレインからゲートにかけて大きな逆電圧が加わり、MOSFET12u,12v,12wおよび駆動回路40が破壊に至るようなことは生じない。
この検出用抵抗21の断線に際し、そのままスイッチング回路10による圧縮機モータの駆動が継続されると、保護用抵抗22が抵抗値が高いこともあって温度上昇して熱破壊に至る。結局は保護用抵抗22までも断線してしまい、最終的にスイッチング回路10や保護ができないという問題が生じる可能性がある。
しかしながら、本実施形態においては、電流検出用抵抗21が断線すると、A/D変換器31は抵抗値の大きい保護用抵抗22の両端間電圧を読取るので、保護回路33はそれまでに比して急激に大きな電流を検出することになる。すなわち、A/D変換器31の読取り電圧Vから電流Iへの変換は、正常時の抵抗群の抵抗値R1に基づき設定され、検出電流値IはI=V/R1で電圧から電流に換算される。ところが、電流検出用抵抗21が断線すると、スイッチング回路10に流れる電流値Iは断線前後で同じであるにもかかわらず、実際のA/D変換器31の読取り対象の抵抗値は、抵抗群の抵抗値R1から保護用抵抗22のみの大きい抵抗値R2(R2>>R1)となる。このため、A/D変換器31の読取り電圧Vは、それまでのV=I×R1の値からV=I×R2へと急激に大きくなる。A/D変換器31の読取り電圧Vから電流Iへの変換式I=V/R1は変更がなされないため、結果的に、A/D変換器31で読取られた電圧Vから電流Iへの変換の結果、大きな電流が検出されたとみなされる。
その大電流の検出により、保護回路33は過電流が流れていると判断し、即時にインバータの運転が停止される。この結果、保護用抵抗22に電流が流れ続けることがなくなり、保護用抵抗22の熱破壊についても回避できる。
ところで、空気調和機などの冷凍サイクル装置に搭載されるインバータの場合、空調負荷の変化に従い、インバータの出力が最小から最大まで広い範囲で制御される。このような条件の下では、保護回路33が検出電流に対して保護動作を開始する所定値は、インバータの出力が最大(最大出力周波数)のときの検出電流よりもわずかに上の値に設定される。ここで、インバータの出力が最大のときの検出電流は、出力が最小(最小出力周波数)のときの検出電流の5倍程度である。このことから、保護回路33が検出電流に対して保護動作を開始する所定値は、インバータの出力が最小のときの検出電流を基準にすると、その6倍程度に設定する必要がある。例えば、電流値としては、インバータ出力が最小のときの電流が10A、インバータ出力が最大のときの電流が50A、保護回路33の保護動作を開始する所定値が60A等に設定される。
そこで、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22の抵抗群のうち最小抵抗値である電流検出用抵抗21が断線して開放状態となった場合に、同抵抗群の抵抗値がその開放状態となる前の6倍以上となるように、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22の各抵抗値が予め設定される。この設定により、万一、インバータの運転中に電流検出用抵抗21が開放状態となったとき、インバータが最小出力で運転していても、検出電流は、保護回路33が保護動作を開始する所定値以上に達し、インバータの運転が即時に停止される。これにより、保護用抵抗22の熱破壊による断線を確実に防ぐことができ、ひいてはMOSFET12u,12v,12wおよび駆動回路40の破壊を確実に防ぐことができる。
一方、電流検出用抵抗21および保護用抵抗22の好ましい具体的な構成を図2および図3に示している。図3は、図2のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図である。
まず、電流検出用抵抗21は、回路基板50の導電パターン(銅箔)51,52に面接触して半田付け接続される面実装タイプのシャント抵抗であり、回路基板50から離間した状態に配置される矩形状かつ板状の本体と、この本体の相対向する両側部から回路基板50側に延びるL字形の一対の脚部21a,21bと、この脚部21a,21bとの間にわずかな隙間を空けて回路基板50側に延びるL字形の一対の電流測定用端子(ケルビン端子ともいう)21c,21dとからなる。クリーム状の半田Hが塗られた導電パターン51,52上に脚部21a,21bのフランジが面接状態で載置され、この状態で回路基板50が加熱炉に通されることにより、電流検出用抵抗21が導電パターン51,52に半田付け接続される。この面実装タイプのシャント抵抗は、小形、許容差が小さくて高精度、放熱性が高いなどの長所があり、許容差1%の数mΩオーダーの低い抵抗値を精度よく設定することができる。但し、面実装タイプのシャント抵抗の場合、クリーム状の半田Hが素子の脚部21a,21bのフランジの下面側に存するため、半田Hが導電パターン51,52に確実に接続されているか確認できない。
一方、保護用抵抗22は、回路基板50の導電パターン51,52にリードを介して半田付け接続されるリードタイプのセメント抵抗(無誘導タイプ)であり、導電パターン51,52および回路基板50に形成されている挿通孔51a,52aにリードピン22a,22bが挿入されて半田Hが流し込まれることにより、接続および固定がなされる。このリードタイプのセメント抵抗は、面実装タイプに比べて大形ではあるが、安価で、しかも半田付け接続が確実で電気的な接続の信頼性が高いという長所がある。
このように、役割の異なる電流検出用抵抗21および保護用抵抗22として、それぞれが適切な構造および取付け方法を用いることで、信頼性の高い回路を得ることができる。例えば、仮に、振動等の影響で、面実装タイプの電流検出用抵抗21の接続が外れたとしても、リードタイプの保護用抵抗22の接続は強固でそれくらいでは外れない。この点でも、MOSFET12u,12v,12wおよび駆動回路40の破壊を防ぐことができる。
[2]第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、電流検出用抵抗21の接続および固定のために押さえ部材が追加される。この構成を図4および図5に示している。図5は、図4のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図である。
まず、回路基板50の導電パターン51,52上に電流検出用抵抗21の脚部21a,21bのフランジが面接触状態で載置されて半田付け接続される。ここまでは第1の実施形態と同じである。この状態で、導電パターン51,52に対する脚部21a,21bのフランジ(面接触部分)およびそのフランジから導電パターン51,52にかけての段状部に、導電性で板状の押さえ部材61,62が、それぞれ重ねた状態で半田付け接続される。押さえ部材61,62は、バスバーとも称され、上記段状部にうまく重なり合うよう形に屈曲されている。なお、押さえ部材61,62の板厚は例えば300〜500μm、導電パターン51,52の厚みは例えば35〜50μmである。
この押さえ部材61,62の採用により、万一、脚部21a,21bのフランジの下面と導電パターン51,52との面接触部分に空気層や隙間が生じていても、電流検出用抵抗21の取付けを強固にすることができる。しかも、脚部21a,21bのフランジは、下面側が導電パターン51,52に面接触し、上面側が押さえ部材61,62に面接触する。この両面接触により、電流検出用抵抗21と導電パターン51,52との間の良好な導通状態を確保することができる。また、電流は、押さえ部材61,62からも流れるので、電流分散が計れ、導電パターン51,52における部分的な電流集中を避けることができる。また、両面接触によって半田付け面積が拡がるので、半田付け箇所の導体比抵抗が押さえ部材なしの場合に比べて1/10程度に小さくなり、半田付け箇所の発熱量を大幅に低減することができる。この発熱量の低減により、半田付け接続が外れ難くなり、半田付け接続の信頼性が向上する。
また、図6に示すように、押さえ部材62は、脚部21a,21bのフランジ(面接触部分)に重なる面の先端縁に、複数の切欠き62aを有している。これら切欠き62aを通して、脚部21a,21bのフランジと押さえ部材62との間の半田Hの状態を目視することが可能であり、その目視により、半田付け接続の良否を容易に判断することができる。図示していないが、押さえ部材61にも、同様に複数の切欠き61aが形成されている。
さらに、切欠き61a,62aの部分を覆う状態に半田Hを追加することにより(いわゆる追い半田)、押さえ部材61,62の半田付け接続がさらに強固となり、半田による接続状態を上方から目視確認することも可能となる。この追い半田に際しては、切欠き61a,62aの部分が段形状となっていることから、半田Hが浸み込み易くなるとともに、脚部21a,21bのフランジと導電パターン51,52との間の半田Hにおけるフラックスを素早く放出させることができる。これにより、半田付け接続の作業効率が大幅に向上する。
保護用抵抗22の回路基板50の導電パターン51,52への接続等の他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
[3]第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、押さえ部材61,62が追加されることに加え、押さえ部材61,62の固定をさらに強固にするための構成が採用されている。この構成を図7および図8に示している。図8は、図7のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図である。
まず、回路基板50の導電パターン51,52上に電流検出用抵抗21の脚部21a,21bのフランジが面接触状態で載置されて半田付け接続され、導電パターン51,52に対する脚部21a,21bのフランジ(面接触部分)およびそのフランジから導電パターン51,52にかけての段状部に、押さえ部材61,62がそれぞれ重ねた状態で半田付け接続される。ここまでは第2の実施形態と同じである。
第2の実施形態と異なるのは、押さえ部材61,62の後端縁が回路基板50側に屈折され、その屈折部が導電パターン51,52の挿通孔51b,52bおよび回路基板50の挿通孔50a,50bに挿入されて半田Hが流し込まれる点である。この構成により、押さえ部材61,62の固定が第2の実施形態の場合よりもさらに強固となる。
回路基板50は、上面側に導電パターン51,52を有するほかに、下面側にも導電パターン53,54を有している。導電パターン53,54には上記挿通孔50a,50bと対応する位置に挿通孔53a,54aが形成されており、挿通孔51b,52bおよび挿通孔50a,50bに流し込まれた半田Hが導電パターン53,54の挿通孔53a,54aにも流入する構成となっている。この流入により、電流検出用抵抗21のフランジ21a、導電パターン51、押さえ部材61、導電パターン53が電気的に導通するとともに、電流検出用抵抗21のフランジ21b、導電パターン52、押さえ部材62、導電パターン54が電気的に導通する。とくに、回路基板50の上面と下面にそれぞれ導電パターン51,52,53,54を設けていることで、電流は上面と下面を並行して流れるため、回路基板50に流せる電流容量が増大し、モータ駆動用の大電流への対処が可能となる。すなわち、電流検出用抵抗21のフランジ21aを流れる電流は、導電パターン51、押さえ部材61を並行して流れ、その後、導電パターン51,53を並行して流れる。一方、電流検出用抵抗21のフランジ21bを流れる電流は、導電パターン52、押さえ部材62を並行して流れ、その後、導電パターン52,54を並行して流れる。したがって、電流検出用抵抗21の前後で回路基板50の導電パターンを流れる電流は常に2つの電流経路を持つことになり、流れる電流が分散される。
保護用抵抗22の回路基板50の導電パターン51,52への接続等の他の構成および作用は第1および第2の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
[4]なお、この発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、要旨を変えない範囲で種々変形実施可能である。
各実施形態の構成を示すブロック図。 第1の実施形態における回路基板の具体的な構成を示す図。 図2のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図。 第2の実施形態における回路基板の具体的な構成を示す図。 図4のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図。 第2および第3の実施形態における抑え部材の要部の構成を示す図。 第3の実施形態における回路基板の具体的な構成を示す図。 図7のA−A線に沿う断面を矢印方向に見た図。
符号の説明
1…商用交流電源、2…整流回路、3…制御用電源回路、10…スイッチング回路、11u,11v,11w,12u,12v,12w…MOSFET(スイッチング素子)、21…電流検出用抵抗、22…保護用抵抗、30…制御部、31…A/D変換器、32…駆動信号生成部、33…保護回路、40…駆動回路、M…圧縮機モータ、Lu,Lv,Lw…相巻線

Claims (6)

  1. 複数のスイッチング素子を有するスイッチング回路に直流電圧を印加し、各スイッチング素子のオン,オフによりモータの巻線に電流を流すインバータにおいて、
    前記スイッチング回路に対する直流電圧供給ラインに設けられた電流検出用抵抗と、
    前記電流検出用抵抗に並列接続され、その電流検出用抵抗よりも大きな抵抗値を有する保護用抵抗と、
    前記各抵抗に流れる電流に基づき前記各スイッチング素子をオン,オフ駆動する制御手段と、
    を備えることを特徴とするインバータ。
  2. 前記電流検出用抵抗は、回路基板の導電パターンに面接触して半田付け接続される面実装タイプのシャント抵抗であり、
    前記保護用抵抗は、回路基板の導電パターンにリードを介して半田付け接続されるセメント抵抗である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のインバータ。
  3. 前記導電パターンに対する前記電流検出用抵抗の面接触部分およびその面接触部分から前記導電パターンにかけての段状部に重ねて半田付け接続される導電性の押さえ部材、
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のインバータ。
  4. 前記押さえ部材は、前記電流検出用抵抗の面接触部分に重なる面の縁に複数の切欠きを有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のインバータ。
  5. 電流検出用の抵抗として複数の抵抗を並列接続した抵抗群で構成し、この抵抗群に流れる電流に基づき圧縮機モータを駆動するとともに同電流が所定値以上の場合に圧縮機モータの駆動を停止するインバータを備えた冷凍サイクル装置において、
    前記インバータの出力が最小のときに、前記各抵抗のうち最小抵抗値の抵抗が開放状態となった場合に、前記電流が前記所定値以上となるように、前記各抵抗の抵抗値を設定したことを特徴とする冷凍サイクル装置。
  6. 電流検出用の抵抗として複数の抵抗を並列接続した抵抗群で構成し、この抵抗群に流れる電流に基づき圧縮機モータを駆動するとともに同電流が所定値以上の場合に圧縮機モータの駆動を停止するインバータを備えた冷凍サイクル装置において、
    前記各抵抗のうち最小抵抗値の抵抗が開放状態となった場合に、前記抵抗群の抵抗値がその開放状態となる前の6倍以上となるように、前記各抵抗の抵抗値を設定したことを特徴とする冷凍サイクル装置。
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