JP2009100459A - 電気機械変換素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の電極1が設けられている振動膜3と、第2の電極8が設けられている基板4と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部2と、を備えた電気機械変換素子であって、前記振動膜の一部領域と、前記基板の領域とが、前記振動膜に外力を加えることなく接触状態が維持され、前記接触状態が維持されている領域以外の振動膜の領域が、振動可能とされた構成を有する。
【選択図】図1
Description
以下、この静電容量型超音波変換素子をCMUTと記す。
このようなCMUTによると、振動膜を用いて超音波を送信、受信することによって、液中および空中にも優れている広帯域特性を容易に得ることができる。
そのため、このCMUTを利用した超音波診断は、従来の医用診断モダリティより高精度な超音波診断が可能となり、今日において有望な技術として注目されつつある。
これを作動させる際には、まず、下部電極にDC電圧をかけることにより、両電極間に静電引力を発生させ、振動膜を変形させる。
そして、微小なAC電圧を重畳させることにより、振動膜を振動させて超音波を発信させる。
また、超音波を受信する際には、超音波を受けて振動膜が変形することにより両電極間の間隔が変化し、それによる両電極間の容量変化を、信号により検出する。
そのため、高いDC電圧を印加することによってより大きく振動膜を変形させ、上記電極間の間隔を狭くすることが可能である。
しかし、このような高電圧の印加は、それによる弊害を避けるための変換素子の表面絶縁膜を、実用化することについての問題もあって、このような高電圧によるCMUTを超音波診断に用いた場合、人体に対して好ましくない影響を及ぼす恐れがある。
この特許文献2では、振動膜を下向けに変形し、この変形された状態でレジスト樹脂が加熱され振動膜の周辺に塗布される。
その後、冷却したレジストが硬化し、振動膜の周辺形状が固定され、自然に下向きの変形形状となることで、容量電極の間隔が小さく形成される。
また、この特許文献2においては、突起により電極間隔を制御する構成が採られている。すなわち、振動膜の下に突起を設け、突起だけが下地基板に接触し、振動膜の中央部は下地に接触しないようにした構成が採られている。
このコラプスモードとは、下部電極にDC電圧をかけるに際して、通常のモードであるコンベンショナルモードよりも大きい特定の電圧をかけることによって、
振動膜を下地電極のDC静電力で吸引し、この振動膜を潰したような状態にして下部電極に接触した状態で作動させる作動モードをいう。
また、この特定の電圧をコラプス電圧(Collapse voltage)という。
このコラプスモードでは、上記コンベンショナルモードより感度、駆動能力が高いと言われている(非特許文献1参照)。
このコラプスモードにおいては、振動膜と基板との間に間隙が存在しているコンベンショナルモードとは異なり、上記したように振動膜における上部電極を含む一部領域に、基板における下部電極を含む領域と接触する領域を発生させる。
この状態で微小なAC電圧を重畳し、この微小なAC電圧により接触領域以外の振動膜を振動させることにより、超音波を発信することが可能となる。
また、上記コンベンショナルモードの場合と同じように、超音波受信することも可能である。
ここで必要とされるDC電圧(コラプス電圧)は、約130〜150Vであって、このような電圧を提供できない場合には、このモードを作動させ維持して行くことができない。
しかしながら、このような高電圧による回路を実用化することは極めて困難であり、またこのような高電圧によるCMUTを超音波診断に用いた場合、人体に対して好ましくない影響を及ぼす恐れがある。
また、このような高電圧をかけると、振動膜が絶縁破壊を起こし、下部電極と上部電極が短絡してしまう恐れもある。
特許文献3では、磁石を用いて振動膜を引きつけるようにした構成が用いられている。具体的には、外部からの磁場で磁性材料を含む振動膜の一部を吸着し、容量電極の間隔を小さくするようにして、高いDC電圧(コラプス電圧)を不要とし、低電圧化が図られている。
また、特許文献4は、振動膜をコロナ放電処理により帯電させるようにし、高いDC電圧(コラプス電圧)を不要とする構成が採られている。
また、これらの問題に対処するため提案されている上記した従来例においても、つぎのような、振動膜の振動質量、剛性、安定性等について、好ましくない影響を与えるものである。
例えば、磁石を用いて振動膜を引きつけるようにして低電圧化を図るようにした特許文献3のものにおいては、振動膜の上部(もしくは内部、下部)に磁性材料の成膜、着磁が必要となるだけでなく、下地基板に磁場形成手段が必要となり、構造が複雑となる。
また、振動膜の初期変位量は磁場に吸引され、外部磁場、外乱に影響されやすいという問題を有している。
また、振動膜をコロナ放電処理により帯電させるようにした特許文献4のものにおいては、放電による帯電量は湿度、誘電体などの環境要因に影響され易く、振動膜内の帯電量や、初期変位量が不安定であり、素子間のバラツキが大きいという課題を有している。
したがって、これは厳密な意味ではコラプスモードで作動するものとは言い難いが、これをコラプスモードに転用するにしても、つぎのような課題を有している。
すなわち、このようなレジストの硬化により振動膜の変形形状が維持されるようにしたものにおいては、レジストの経時変化、温度変質により、振動膜が変形し、不安定になる。また、レジストは振動膜の外周を覆っているため、実質上、超音波を受ける有効面積(Filling factor)が減るという課題を有している。
また、本発明は、コンベンショナルモードにおいても印加するDC電圧をより低減した状態で、より安定に駆動させることが可能な電気機械変換素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の電気機械変換素子は、
第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子であって、
前記振動膜の一部領域と、前記基板の領域とが、前記振動膜に外力を加えることなく接触状態が維持され、
前記接触状態が維持されている領域以外の振動膜の領域が、振動可能であることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子は、前記接触状態が維持されている領域が、前記基板に前記振動膜が融着されていることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子は、前記接触状態が維持されている領域が、前記振動膜の上面および下面のうちの少なくとも一方の面に設けられている突起部を介して、前記基板に前記振動膜が接触または融着されていることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子は、前記突起部の高さが、10nmから200nmの範囲であることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子は、前記突起部が、前記接触状態が維持されている領域を囲んでリング状に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子の製造方法は、
第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子の製造方法であって、
前記振動膜を塑性変形させ、前記振動膜の一部領域が前記基板の前記第2の電極を含む領域との接触状態を維持してコラプスモードで作動させる構造を形成する工程を有することを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子の製造方法は、前記接触状態を維持する構造を形成するに際し、前記塑性変形させた前記振動膜の一部領域を、前記基板の領域に融着させることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子の製造方法は、前記基板の領域に融着させるに際し、前記振動膜の上面および下面のうちの少なくとも一方の面に突起部を形成し、該突起部を介して接触または融着させることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子の製造方法は、前記突起部の高さを、10nmから200nmの範囲とすることを特徴とする。
また、本発明の電気機械変換素子の製造方法は、前記突起部を、前記融着させる領域を囲んでリング状に形成することを特徴とする。
また、本発明の別の電気機械変換素子は、第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子であって、
前記振動膜に外力が加わらないで、前記振動膜がその中立位置よりも前記基板側に撓んだ状態を維持することを特徴とする。
また、本発明の別の電気機械変換素子の製造方法は、第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子の製造方法であって、
前記振動膜を塑性変形させ、前記振動膜がその中立位置よりも前記基板側に撓んだ状態を形成する工程を有することを特徴とする。
また、本発明によれば、コンベンショナルモードにおいても印加するDC電圧をより低減した状態で、より安定に駆動させることが可能な電気機械変換素子及びその製造方法を実現することができる。
本発明の電気機械変換素子は、特に音波の送信、受信に用いる音波変換素子として好適に用いられ、さらに超音波の送信、受信に用いる超音波変換素子としても好適に用いられる。
つまり、人間の可聴周波数を超える周波数の弾性波である超音波をも含む概念である。
本発明の電気機械変換素子は、超音波探触子として超音波診断装置(エコー)などに適用することができる。
以下、超音波を送信または受信する超音波変換素子(超音波センサ)として本発明を説明するが、本発明の音波センサの送信、受信の原理を考慮すれば、検出可能な音波が超音波に限られないことは自明である。
(実施形態1)
まず、本発明の第1の実施形態における静電容量型超音波変換素子(CMUT)について説明する。
図1に、本実施形態における静電容量型超音波変換素子(CMUT)の基本構成を説明するための図を示す。
図1(a)は、その静電容量型超音波変換素子(CMUT)の断面概念図である。
また、図1(b)は、その静電容量型超音波変換素子(CMUT)の平面概念図である。
図1において、1は第1の電極である上部電極、2は振動膜支持部、3は振動膜、4は基板、5は突起部、6は絶縁膜、7は振動膜の外周部、8は第2の電極である下部電極、9は接触領域(融着領域)、10はキャビティ(Cavity)である。
前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように振動膜を支持する振動膜支持部2と、を備える。
振動膜3は超音波を受信するなど機械エネルギーを受けて振動することができる。
また、基板4の上に低抵抗の下部電極が設けられ、さらに上に絶縁膜6が設置されている。
ここで、絶縁膜6は下部電極と上部電極のショートを防ぐ役割を果たしている。振動膜3を支持する振動膜支持部2が、絶縁膜6を介し基板4上に固定されている。
なお、下部電極8そのものが基板として用いられても構わないし、振動膜3自体そのものが上部電極として用いられても構わない。
振動膜が「基板と接触」という場合には、絶縁膜6が設けられている場合には基板4のみならず絶縁膜6をも含む全体が下部の基板と捉えられる。
また、前記振動膜は、前記接触状態が維持されている領域以外の振動膜の領域が、超音波の受信または送信に際して振動可能に構成されている。
その際、この基板との接触状態が維持される領域を形成するため、振動膜3は下向けに凹形に変形され、これにより絶縁膜6と接触する接触領域9が形成される。
この下向けの凹形の変形は、例えば、塑性変形によって形成することができ、また、接触領域9は振動膜3を、絶縁膜6と融着させ、融着領域を形成するようにすることができる。
このように、接触領域(融着領域)9が形成されることにより、基板4と、振動膜3と、振動膜支持部2とに囲まれたキャビティ10が形成される。
これにより、振動膜に何らの外力を加えることなく、コラプスモードを実現することができるため、低電圧での駆動が可能となる。
ここで、「外力」とは、振動膜3に着目したときの外力であり、振動膜3の外から働く力を意味する。例えば、静電引力や磁力などが例示できる。
例えば、突起部5を、上記接触領域(融着領域)9を形成する前に、上記接触領域(融着領域)9の外縁に設けておく(図1(b)に参照)。
そして、この突起部5によって、振動膜3が絶縁膜6に接触(融着)する際に、接触(融着)面積を制御するようにする。
すなわち、この突起部5で接触(融着)面積もしくは接触(融着)形状を制御するようにする。
振動膜3の上面、裏面、内部の中に少なくとも一箇所に、上部電極1を設け、もしくは振動膜3本体自体を上部電極1によって形成する。
さらに、上部電極1は、下部電極8と対向するように配設し、本実施形態におけるCMUTの静電容量電極を形成する。
本実施形態においては、上記接触領域(融着領域)9が、上記振動膜3の中央部における振動膜3と基板4の間に形成され、上記接触領域(融着領域)9の周縁にある突起部5によって、上記接触領域(融着領域)9の面積もしくは形状が制御されている。
図2〜図5に、本実施形態における静電容量型超音波変換素子(CMUT)の製造工程を説明する図を示す。
ここで、図3(e)から図3(f)は、本実施形態における図2(a)から図2(d)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
また、図4(g)から図4(j)は、図3(e)から図3(f)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
また、図5(k)から図5(m)は、図4(g)から図4(j)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
以下における説明を簡潔にするため、ここでの「パターニング工程」には、基板上にフォトレジストの塗布、乾燥、露光、現像などのフォトリソグラフィという工程から、エッチング工程、フォトレジストの除去、基板の洗浄、乾燥工程等を含めることとする。
以下に、本実施形態における前記振動膜を塑性変形させ、振動膜の一部領域が前記基板の前記下部電極を含む領域との接触状態を維持してコラプスモードで作動させる構造を形成する工程について説明する。
次に、図2(b)に示すように、前記Si基板12を熱酸化炉に入れ、Si酸化膜11を形成する。
このSi酸化膜の厚さは、10nmから4000nmの範囲が望ましく、20nmから3000nmの範囲がより望ましく、30nmから2000nmの範囲が最も望ましい。
この上記熱酸化プロセスにより、概略の電極距離を決める。
この上記範囲であれば、実際プロセスにおいて可能な範囲であり、かつリーズナブルな電界が得られる。
次に、図2(c)に示すように、上記熱酸化膜11をパターニングする。
前記絶縁膜6の厚さは、1nmから500nmの範囲が望ましく、5nmから300nmの範囲がより望ましく、10nmから200nmの範囲が最も望ましい。
この上記の熱酸化プロセスにより、放電防止用の絶縁膜を決める。絶縁膜が薄すぎると、放電防止の効果がなくて、厚すぎると、電極距離が離れすぎる。
上記の熱酸化膜絶縁膜の膜厚範囲は、実際プロセスにおいて可能な範囲であり、これによりリーズナブルな放電防止効果が得られる。
以下の説明を簡潔にするため、前記図2(d)までの工程で完成した基板を、A基板16と称することとする。
このSOI基板のデバイス(Device)層15の厚さは、10nmから5000nmが望ましく、20nmから3000nmがより望ましく、30nmから1000nmの範囲が最も望ましい。
上記ディバイス層15の厚さ範囲は、プロセス上において実現可能な範囲である。
なお、振動周波数の平方が、振動膜のばね剛性対有効質量の比に正比例することが知られている。
超音波が出せる振動周波数に対応するばね剛性と有効質量が必要である。上記振動膜のばね剛性と有効質量は共に振動膜の膜厚の関数である。
ディバイス層15における上記した膜厚範囲は、本実施形態でのCMUTの振動膜として、適切なばね剛性と有効質量を提供できる範囲である。
前記SOI基板のボックス(BOX;Buried Oxide)層14の厚さは、100nmから3000nmが望ましく、200nmから1000nmの範囲がより望ましい。
上記のボックス(BOX)層は、後記のエッチングストップ層として利用する。酸化膜の内部応力、エッチングの選択性、および実際プロセスの操作便利性などから考慮すると、上記のBOX層の膜厚は適切な範囲である。
図1(b)に示すように、前記SiN層17がパターニングされる形状は、多数円形の穴を構成され、この穴群が略リング状で分布する。
前記の円形穴の直径は10nmから3000nmの範囲が望ましい。
上記の円形穴直径の範囲は、実際プロセスにおいて可能な範囲である。
この範囲以下のプロセスは、非常に困難である。この範囲以上の円形穴を作ると、その後に上記円形穴とほぼ同じ形状の突起部が形成され、突起部が大きいほど、振動膜の質量に影響を与え、プロセスの精度が落ちる。
上記の選択酸化工程には、通常半導体プロセスであるLOCOS(Local Oxidation of Silicon)工程を用いる。
このようなLOCOS工程を採用することにより、窒化膜で囲まれていない領域のみが酸化されるので、膜厚のコントロールが容易となる。
以上により、前記SiN層17から露出されるディバイス層15の部分は、多数円形の穴が構成され、且つこの穴群が略リング状で分布する。
このため、前記突起部5が同じように、多数の略半球状の粒状構造で構成され、略リング状で分布する。
前記突起部5の高さは、1nmから1000nmの範囲が望ましく、5nmから500nmの範囲がより望ましく、10nmから200nmの範囲が最も望ましい。
従って、突起部が下部基板と接触した際に、外力による振動膜に対する曲げモーメント(Bending moment)をある程度高くしないと、振動膜が突起部を超えて上記した下部基板と接触することができない。
即ち、この突起部の高さによって接触領域を制御することが可能となる。
その際、上記突起部の高さ範囲は、実際のプロセスにおいて制御することが可能であり、さらに振動膜に対する曲げモーメントの閾値を決定することにより、接触面積を有効に制御することが可能となる。
なお、振動膜に外力が加えられ、振動膜が突起部に接触した際に、突起部が強制的にギャップ(Gap)を形成する。
そして、外力が加えられた際に、振動膜の外周部(突起部から支持部の間の振動膜領域)が潰された状態となるには、突起部のない場合と比較すると、さらに大きな外力を振動膜に加えないと、振動膜の外周部は潰された状態とはならない。なお、上記突起部5の分布形状は、略リング状でもいいし、略多角形でも良い。また、突起部5のない場合、前記接触領域9の面積制御は、他の方法でも可能である。
例えば、キャビティ10と外圧とのバランスを精密に制御すれば、上記突起部5はなくても良い。
この突起部5の材料は、Si、Ge、GaAsなどの酸化膜、窒化膜、酸化窒化膜、もしくはCu、W、Sn、Sb、Cd、Mg、In、Al、Cr、Ti、Au、Ptの中の少なくとも一つを用いることができる。
また、上記の材料の組み合わせ、例えば、複層構造などを用いることもできる。
以下の説明を簡潔にするため、このようにして完成した基板を、B基板20と称することとする。
次に、図4(i)に示すように前記B基板20裏と表を反転させて、前記A基板16の上にアライメントして接合し、キャビティ10が形成される。
前記接合工程の環境圧力条件は、1大気圧でもいいし、真空で接合するのが望ましい。
真空で接合する場合、104Pa以下が望ましく、102Pa以下がより望ましく、1Pa以下が最も望ましい。
接合する際の真空度は高いほど、水分が少なく、かつその後の工程に脱ガスも少なく、高い歩留まりにつながる。
上記の真空度範囲は、通常の真空接合装置が可能であり、リーズナブルなプロセス操作便利性を提供することができる。
なお、前記接合工程の温度は、室温から1200℃の範囲が望ましく、80℃から1000℃がより望ましく、150℃から800℃が最も望ましい。
接合の温度が高いほど、その後の脱ガスが少なく、かつ接合強度が高く、より好ましい。但し、接合による応力は残留するので、振動膜に好ましくない影響を及ぼす恐れがある。
上記の接合温度範囲は適切な接合強度、安定な振動膜内部応力を提供できる。
その後、前記接合される基板の全体表面にLPCVD SiN膜を成膜して、B基板側のLPCVD SiN膜をドライエッチングで除去する。
次に、加熱されるアルカリ性の液でハンドリング層(Handling層)13をウェットエッチングする。
アルカリ性の液は、Si対SiOのエッチング選択比が非常に高いから(約100から10000の範囲)、前記のウェットエッチングにより前記ハンドリング層13を除去しても、ボックス層(BOX層)14に止めることができる。
次に、図4(j)に示すように、フッ酸を含む液を用いて、前記ボックス層(BOX層)14をエッチングし、除去する。
なお、前記真空接合する場合、大気圧により前記基板のディバイス層15が下に変形されて、凹型の状態になる。
即ち、前記ディバイス層15は大気圧以外の外力を加えない状態で、凹型の状態となり、本実施形態の超音波変換素子の振動膜3とすることができる。
しかし、実施形態ではこれに限らず、前記酸化膜11の厚さ、前記振動膜3の寸法を設計し、かつ適切な外部からの圧力を加えて、振動膜3はさらに下向け変形することが可能である。
即ち、上記したコラプスモードで動作することが可能な形状を形成することができる。
通常の場合、振動膜3の中央部が最大の変位をする場所であることから、接触領域9を前記振動膜3の中央部から略同心円形状に形成する。
さらに、このような素子を量産する際に、前記接触領域9における形状のバラツキは大きいから、前記突起部5を設置して接触領域を囲む構成を採ることが、素子をアレイ化する際に有効である。
振動膜3をSiで形成した場合、前記塑性変形させる加熱温度は、600℃から1500℃の範囲が望ましく、650℃から1400℃の範囲がより望ましく、700℃から1300℃の範囲が最も望ましい。
外力を加える状態において600℃以下の場合でも、単結晶Siには塑性変形が発生しないので、この単結晶Siの内部応力が一定の安定値である。
同じ状態で600℃以上から単結晶Siの内部応力が一旦急速に低減し、すぐ安定な¨流動状態¨のような塑性変形が発生する。
この安定な塑性変形する内部応力は¨流動応力¨(Flow stress)といわれる。
因に、Siの融点は1414℃である。前記振動膜3であるSiの薄膜は高温により塑性変形した際には、室温に戻っても、潰された形状となったままであり、その形状が未塑性変形のもとの形状には戻らない。
Siは所定温度以上に上昇すると塑性現象が発生する。このように、振動膜が基板に接触した状態で、加熱することにより室温に戻ってもコラプスモードを維持することができる。
この場合、コラプスモードを維持するのには何らの外力も要しない。
さらに、前記接触領域9の両側にあるSi表面とSi酸化膜表面が、上記の高温範囲で化学結合を形成して、接合もしくは融着する。
その際、温度が高いほど、もしくは接触時間が長いほど、前記化学結合の強度が強くなる。
通常のSi同士接合の最大強度は800℃以上の接合プロセス条件で、20MPa附近である。
本実施形態においては、以上のような方法にかぎらず、室温においてファンデルワールス(van der Waals)接触によっても接合させることができる。
このように接合強度は、温度に強く依存する。
なお、前記振動膜3の内部Siの塑性変形は、温度、結晶転位密度(dislocation density),Strain rateの関数である。
Siの塑性変形特性は、Siの内部初期転位密度に依存する。初期転位密度がない場合、すなわち、ほぼ完璧な単結晶Siの場合、かつ800℃強の場合、約100MPaぐらい外部応力を加えると塑性変形が始まる。
この塑性変形が始まる応力は、塑性変形開始応力といわれる。Si内部初期転位密度が多いほど、この塑性変位開始応力が落ちる。
106/cm2の場合、前記塑性変形開始応力が約35MPaぐらいで、前記の流動応力と同じ値であって、塑性変形の開始点が観測しにくくなる。
なお、前記振動膜3の内部Siを塑性変形させるため、外圧を加える場合がある。
この外圧によるSi内部応力は前記の塑性変形開始応力と同じ意味である。
前記の転位密度の理由と同じ理由により、できれば塑性変形開始点を観測し易くするため、ある程度の塑性変形開始応力を持たすことが望ましい。
このため、800℃附近の場合、塑性変形開始応力が100MPa(ほぼ完璧なSi単結晶)と35MPa(流動応力)の間とするのが望ましい。
このパターニング用のフォトレジストを除去しないで直接に酸化膜11をウェットエッチングでパターニングする。
前記工程により図5(l)に示すように、エッチング穴21が形成される。
最後に、本実施形態における多素子を電気分離するため、ディバイス層15をパターニングして、素子アレイが完成する。
但し、この電気分離の図は省略する。
前記金属膜は、Al、Cr、Ti、Au、Pt、Cu、等からなる群の少なくとも一種を選んで使用する。
なお、通常の超音波変換素子の場合、前記振動膜3の撓みが数百nm以下であり、かつ素子の寸法(例えば、前記振動膜3の直径)が数十から数百μmである。このため、前記金属膜のパターニング工程の中にある露光プロセスにおいて、通常の露光装置によって光回折などの露光ズレを補正することができる。
Si基板自体を下部電極として利用する場合、できれば低抵抗の方が良い。
このように低抵抗にすれば、抵抗による電位差が小さく、基板面内の素子間の容量測定誤差を少なくすることができる。
上記の値は、プロセス上にSiをドーピングすることが可能な好ましい範囲である。
なお、図5には、下部電極8の特定領域は図示されていない。
なお、前記振動膜3は低抵抗のSiである場合は、振動膜自身を上部電極とすることも可能であり、金属電極を振動膜の真上に設けることが必須ではない。
他の場合、低抵抗の振動膜3の上にもう一層の絶縁膜を設けて、例えば、SiN膜、SiO膜、SiNO膜、Y2O3、HfO、HfAlOなどの誘電材料の中の少なくとも一種を設けて、さらにこの絶縁膜の上に上部電極を設置することも可能である。
前記振動膜3は絶縁材料である場合、例えば、SiN膜のような高誘電率材料、絶縁膜6を設置しなくても良い。この場合、振動膜の上に上部電極を設けることが必須である。
例えば、公知のSM法(Surface Micromachining法;犠牲層を除去し、キャビティを形成する方法)等を用いることができる。
なお、以上の説明では、接合技術を用いて製造することについて説明したが、本実施形態の静電容量型超音波変換素子は、他のMEMS技術を利用することによって製造することも可能である。
また、図5(m)に示す断面図は、本実施形態における最適な基本形態が示されているが、図を簡潔にするため、その上に電気配線の保護膜(Passivation layer)、もしくは上部電極1と上部電極パッド23との電気配線、等については図示していない。
また、基板との接触状態を維持するため、樹脂、レジストのような固定材が不要であることから、このような固定材による影響を受けることがなく、振動のバラツキが少なく、経時変化等のないCMUTを実現することができる。
また、本実施の形態によれば、突起部を設けることにより、振動膜と下地基板との接触面積が制御でき、ダイナミックレンジ(Dynamic Range)、バンド幅、等を大きくすることが可能となる。
また、CMUTの製造工程での製造プロセスにおけるバラツキを減少することができ、安定なプロセスによってアレイ化が容易となる。
また、本実施の形態の静電容量型超音波変換素子(CMUT)によれば、医療診断において、人体に対する電気的に好ましくない影響を可及的に抑制することが可能となる。
つぎに、本発明の実施形態2における静電容量型超音波変換素子(CMUT)について説明する。
図6に、実施形態2における静電容量型超音波変換素子(CMUT)の基本構造を説明する図を示す。
また、図7に、この静電容量型超音波変換素子(CMUT)の平面概念図を示す。
本実施形態のCMUTにおいて、図1で示した上記実施形態1におけるCMUTとの相違点は、突起部5が振動膜3の上部に略リング状に分布させて形成され、下部電極8が下地の基板内に埋め込まれ、もしくは内蔵されていることである。基本的に相違する構成は以上の構成だけであるので、図1で示した本発明の実施形態におけるCMUTの構成に対応する部分には、共通の符号が付されており、重複する部分の説明は省略する。
これを、図7に示されるように、突起部5が振動膜3の上部に略リング状に配置されている場合を例に採り考える。
振動膜に外力を加え、この略リング状に囲まれた振動膜の領域を潰された状態にして絶縁膜9と接触させるためには、振動膜に対する曲げモーメントをある程度高くしなければならない。
すなわち、略リング状に突起部によって囲まれた振動膜の領域は、このような突起部によって囲まれていない場合よりも、曲げにくいことから、このような突起部の形成によって、接触領域を制御することが可能となる。
その際、上記突起部の配置等は実際のプロセスにおいて制御することが可能であり、さらに振動膜に対する曲げモーメントの閾値を決定することにより、接触面積を有効に制御することが可能となる。
図8〜図11に、実施形態2における静電容量型超音波変換素子(CMUT)の製造工程を説明する図を示す。
ここで、図9(f)から図9(h)は、実施形態2における図8(a)から図8(e)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
また、図10(i)から図10(k)は、実施形態2における図9(f)から図9(h)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
また、図11(l)から図11(m)は、実施形態2における図10(i)から図10(k)の製造工程に続く製造工程を説明する図である。
従って、上記低抵抗化された表面領域は、上記した図6に示すように、下部電極8として下地の基板内に内蔵する。
この低抵抗化されたSi基板の表面抵抗値は、10Ω−cm以下が望ましく、1Ω−cm以下がより望ましく、0.1Ω−cm以下が最も望ましい。
前記と同じように、Si基板自体は下部電極として利用する場合、できれば低抵抗の方が良い。低抵抗にすれば、抵抗による電位差が小さく、基板面内の素子間の容量測定誤差が少ない。
上記の値は、プロセス上にSiをDopingして可能かつ好ましい範囲である。また、図8〜図11には、下部電極8は基板12の表面であり、特定領域を表示していない。
図8(a)から図8(d)の工程は、上記した実施形態の図2(a)から図2(d)の工程と同じであり、完成された基板をA基板16と称する。
次に、図9(f)に示すように、前記C基板25裏と表を反転させて、前記A基板16の上に接合し、キャビティ10が形成される。
前記の接合工程にアライメントする必要はない。なお、前記接合工程では、接合面の表面を室温で活性化して、150℃以下、10−3Paで接合する(例えば、EVG社製EVG810、520)。
次に、前記図9(f)に接合された基板のハンドリング層13を研磨して、約数十μm厚さのハンドリング層13を残留、洗浄する。
その後、片面エッチング治具(例えば、ドイツSilicet社製のウェハホルダー)を用いて、前記研磨された基板の裏面を完全に保護しながら、80℃のKOH液でハンドリング層13を完全にエッチングする。
このディバイス層15は、本実施形態の振動膜3とする。
次に、図9(h)に示すように、LPCVD法でSiN膜17を成膜、ドライエッチングでパターニングする。
次に、図10(i)に示すように、エピタキシー(Epitaxy)法で突起部5を成長させる。
突起部5が前記SiN膜17に露出されるディバイス層15のSi表面から成長する。
前記成長した突起部5の高さは、1nmから1000nmの範囲が望ましく、5nmから500nmの範囲がより望ましく、10nmから200nmの範囲が最も望ましい。
前記パターニングされたSiN膜17の代わりに、SiO膜、SiON膜などを用いることも可能である。
なお、上記のエピタキシー法は、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、もしくはLPE(Liquid Phase Epitaxy)法、等のエピタキシー法の一種を利用することができる。
また、SPE(Solid Phase Expitaxy)法などのエピタキシー法の一種を利用することもできる。
また、前記選択エピタキシー法は、代替方法を用いることができる。
例えば、PVD(Physical Vapor Deposition)法、もしくはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、
且つエッチング法もしくはリフト・オフ(Lift−off)法を加えて、前記の突起部5をパターニングすることも可能である。
その後、約160℃のリン酸を含む液で前記SiN膜17をエッチング、除去して、図10(j)に示すような突起部5付きの振動膜3が完成する。
なお、本実施形態において、前記振動膜3の形状は、厚さ340nm、かつ一辺が40μmの正方形である。
また、大気圧による前記振動膜3の中央部変位量は、約360nmである。
また、前記基板を圧力釜(Autoclave)に入れて、キャビティ10の高さが600nmであって、約2.65atm以上の圧力を加えて振動膜3の中央部がキャビティ10下の絶縁膜6に接触する。
また、前記突起部5の分布は、図7に示すような前記振動膜3の中心部から内径8μm、幅約2μmの略リング状である。
なお、前記突起部5を設けない場合、前記接触領域9の大きさが外圧分布、微小圧力変動、および振動膜3の寸法、境界条件(Boundary conditions)に強く依存するので、素子間のバラツキが大きくなる。
これに対して、前記突起部5を設置することにより、上記素子間にバラツキがあっても、前記接触領域9を突起部5と略同じ形状に形成することができる。
上記した図5(k)のように上記した対応する外圧、および約800℃の温度を加えることにより、Siに塑性現象が発現し、接触領域9が形成された図10(k)に示すような素子が完成される。
完成した素子は、室温に戻っても振動膜が基板に接触した状態を維持し、何らの外力を要せず、コラプスモードとして作動させることができる。
その後、このパターニング用のフォトレジストを除去しないで直接に酸化膜11をウェットエッチングでパターニングする。
前記工程により図11(l)に示すように、エッチング穴21が形成される。
次に、電極用のAlをスパッタリングで成膜して、ウェットエッチングでパターニングする。図11(m)に示すように、上部電極1、上部電極パッド23、および下部電極パッド22が形成される。
なお、オーミックコンタクト(Ohmic contact)を形成するため、その後に前記Al電極をアニーリングすることも可能である。
前記アニーリングの温度は、200℃から450℃の範囲であることが望ましい。
これは通常のAl電極のオーミックコンタクトする際のアニールの温度範囲である。
また、その上に電気配線の保護膜(Passivation layer)、もしくは上部電極1と上部電極パッド23との電気配線、等を図示することも省略されている。
なお、前記保護膜は、PVD法で低温形成できるSiO膜、SiN膜が望ましい。
本発明の第3の実施形態における静電容量型超音波変換素子(CMUT)について説明する。
図12に、本実施形態における静電容量型超音波変換素子(CMUT)の基本構成を示す断面概念図である。
図12において、1は第1の電極である上部電極、2は振動膜支持部、3は振動膜、4は基板、6は絶縁膜、8は第2の電極である下部電極、10は空隙であるキャビティである。
本実施形態のCMUTは、図12に示すように、上部電極1が設けられている振動膜3と、下部電極8が設けられている基板4と、これら電極が対向配設されたもとで、つぎの構成を備える。
すなわち、前記振動膜と前記基板との間に空隙10が形成されるように振動膜を支持する振動膜支持部2と、を備える。
なお、下部電極8そのものが基板として用いられても構わないし、振動膜3自体そのものが上部電極として用いられても構わない。
そして、振動膜3に外力が加わらないで、振動膜3がその中立位置よりも基板4側に撓んだ状態を維持している。
通常、振動膜はその自重やキャビティ10と素子外部との圧力差によって、中立位置よりも基板側に多少撓んだ状態となっている場合があるが、本発明においては、これらの外力が働かない場合であっても、このような状態となっている点が特徴である。
上部電極1と下部電極8との間ににDC電圧を印加すれば、より基板側に撓んだ状態となるので、コンベンショナルモードであっても、従来と同じ撓み状態を実現するために必要なDC電圧を低減することができる。
ここで、さらに交流電圧を重畳的に印加すれば、それに起因して振動膜3が振動し超音波を発信することができる。
また、超音波を受信する際には振動膜の振動によって、電極間に容量変化が生じ、それを電気信号によって検出することができる。
ただし、振動膜となるSiに対して熱を加えて塑性変形させるときに、振動膜が基板に接触している状態ではなく、振動膜がその中立位置よりも基板側に撓んだ状態であるようにする。
これは、加熱するときに外部圧力を調節することなどにより、適宜撓みぐあいを変更することができる。
このようにして、所望の撓みぐあいの振動膜へ塑性変形させることができる。
その塑性変形するためのプロセス条件は、前記実施形態1に記載される条件と同じである。
このようにして得られた振動膜は室温に戻っても中立位置に戻ったりせず、加熱前の状態を維持する。よって、振動膜に何ら外力を加えることなく中立位置より基板側に撓んだ状態のCMUTを実現することができる。
2:振動膜支持部
3:振動膜
4:基板
5:突起部 (Dimples or Nubs)
6:絶縁膜
7:振動膜の外周部
8:下部電極
9:融着領域もしくは接触領域
10:キャビティ(Cavity)
11:Si酸化膜
12:Si基板
13:SOI基板のハンドリング層(Handling層(Si)
14:SOI基板のボックス層(BOX層(Si酸化膜))
15:SOI基板のディバイス層
16:A基板
17:Si窒化膜(SiN層)
20:B基板
21:エッチング穴
22:下部電極パッド
23:上部電極パッド
25:C基板
Claims (12)
- 第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子であって、
前記振動膜の一部領域と、前記基板の領域とが、前記振動膜に外力を加えることなく接触状態が維持され、
前記接触状態が維持されている領域以外の振動膜の領域が、振動可能であることを特徴とする電気機械変換素子。 - 前記接触状態が維持されている領域は、前記基板に前記振動膜が融着されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換素子。
- 前記接触状態が維持されている領域は、前記振動膜の上面および下面のうちの少なくとも一方の面に設けられている突起部を介して、前記基板に前記振動膜が接触または融着されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換素子。
- 前記突起部は、高さが10nmから200nmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の電気機械変換素子。
- 前記突起部は、前記接触状態が維持されている領域を囲んでリング状に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の電気機械変換素子。
- 第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子の製造方法であって、
前記振動膜を塑性変形させ、前記振動膜の一部領域が前記基板の前記第2の電極を含む領域との接触状態を維持してコラプスモードで作動させる構造を形成する工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。 - 前記接触状態を維持する構造を形成するに際し、前記塑性変形させた前記振動膜の一部領域を、前記基板の領域に融着させることを特徴とする請求項6に記載の電気機械変換素子の製造方法。
- 前記基板の領域に融着させるに際し、前記振動膜の上面および下面のうちの少なくとも一方の面に突起部を形成し、該突起部を介して接触または融着させることを特徴とする請求項6に記載の電気機械変換素子の製造方法。
- 前記突起部の高さを、10nmから200nmの範囲とすることを特徴とする請求項8に記載の電気機械変換素子の製造方法。
- 前記突起部を、前記融着させる領域を囲んでリング状に形成することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電気機械変換素子の製造方法。
- 第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子であって、
前記振動膜に外力が加わらないで、前記振動膜がその中立位置よりも前記基板側に撓んだ状態を維持することを特徴とする電気機械変換素子。 - 第1の電極が設けられている振動膜と、第2の電極が設けられている基板と、これら電極が対向配設されたもとで、前記振動膜と前記基板との間に空隙が形成されるように前記振動膜を支持する支持部と、を備えた電気機械変換素子の製造方法であって、
前記振動膜を塑性変形させ、前記振動膜がその中立位置よりも前記基板側に撓んだ状態を形成する工程を有することを特徴とする電気機械変換素子の製造方法。
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