JP2009099122A - 非接触icカード収納具 - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触ICカードに記録されている情報の読取りを選択的に可能にすることのできる非接触ICカード収納具を提供する。
【解決手段】非接触ICカード収納具100Aは、導電体20を内蔵して構成される。このカード収納具100Aにおいて、非接触ICカード701および702は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に収納される。非接触ICカード701および702が第1の位置にあるときには、磁界が印加されても、この磁界が導電体20により遮蔽されてカード701・702の起動が防止される。また、非接触ICカード701または702のいずれか一方が第2の位置にあるときには、磁界が印加されると、この磁界により第2の位置にある非接触ICカード701または702が起動されて、このカードに記録されている情報の読取りが行われる。第1の位置にある非接触ICカード701または702は起動されない。
【選択図】 図5
【解決手段】非接触ICカード収納具100Aは、導電体20を内蔵して構成される。このカード収納具100Aにおいて、非接触ICカード701および702は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に収納される。非接触ICカード701および702が第1の位置にあるときには、磁界が印加されても、この磁界が導電体20により遮蔽されてカード701・702の起動が防止される。また、非接触ICカード701または702のいずれか一方が第2の位置にあるときには、磁界が印加されると、この磁界により第2の位置にある非接触ICカード701または702が起動されて、このカードに記録されている情報の読取りが行われる。第1の位置にある非接触ICカード701または702は起動されない。
【選択図】 図5
Description
本発明は非接触ICカード収納具に係り、より詳細には、同時に携帯する複数の非接触ICカードを収納し、そのうち使用を所望する1枚の非接触ICカードのみを起動可能にする非接触ICカード収納具に関する。
周知のように、非接触ICカードはアンテナコイルとICチップとを内蔵して構成されるものであり、支払・決済や個人認証等をごく短時間に行うことができるため、様々な用途に用いられ、急速に普及が進んでいる。
これに伴い、複数の非接触ICカードを所持することが一般的になってきている。しかしながら、非接触ICカードを所持するにあたっては、次の点がしばしば問題となる。
これに伴い、複数の非接触ICカードを所持することが一般的になってきている。しかしながら、非接触ICカードを所持するにあたっては、次の点がしばしば問題となる。
第一に、非接触ICカードに記録された情報が不正に読取られてしまう、いわゆるスキミングの問題が挙げられる。この点に関しては、例えば特許文献1および2に記載されているように、カードリーダから発せられる磁界を遮蔽して、非接触ICカードを起動させないことにより、情報の読取りを阻止することが行われている。
第二に、複数の非接触ICカードを同時に所持していると、カードリーダからの磁界を受けた場合に、渦電流の発生や起動電力の取り合い等により、所望の1枚のカードのみを起動させることができないという問題がある。これを解消すべく、発明者は先に、2枚の非接触ICカードを所持している場合にこれらを表裏に収納でき、カードリーダにかざした一方の非接触ICカードのみを起動可能とし、他方を起動させないようにするカードケースを開発した(特許第4012937号)。
特開平11−184993号公報
特開2007−12012号公報
しかしながら、これらの解決策により新たに生じた問題もある。
例えば、前者のようにスキミングを防止することのできるカードケースに非接触ICカードを収納している場合、使用時には非接触ICカードの全体をケースから取り出してカードリーダにかざさなければならない。これは、こうしたカードケースの場合、非接触ICカードに内蔵されたアンテナの位置をすべて覆うように導電体が使用されており、その影響から逃れる必要があるためである。
例えば、前者のようにスキミングを防止することのできるカードケースに非接触ICカードを収納している場合、使用時には非接触ICカードの全体をケースから取り出してカードリーダにかざさなければならない。これは、こうしたカードケースの場合、非接触ICカードに内蔵されたアンテナの位置をすべて覆うように導電体が使用されており、その影響から逃れる必要があるためである。
そして、後者のように2枚のうち1枚の非接触ICカードのみを起動可能とすることのできるカードケースでは、使用の度にカードを目視で確認し、起動を所望する非接触ICカードの側を確実にリーダにかざすようにしなければならない。また、例えば公共交通機関の乗車券として用いられる非接触ICカードを2枚所持し、一方を個人的な利用に、他方を勤務上の利用に用いる場合、かざす面を間違えてしまうことも大いにあり得る。
さらに、使用者が非接触ICカードを鞄等に入れたままでカードリーダの通信圏内に入ると、意図していないにもかかわらず、非接触ICカードが通信を行って料金の引き落とし等が実行されてしまう可能性もある。
これらの問題点に鑑み、本発明は、複数の非接触ICカードを所持するにあたって、所望の1枚の非接触ICカードのみを、所望する時にのみ起動可能とする非接触ICカード収納具を提供しようとするものである。
本発明による非接触ICカード収納具は、導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、1枚の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、別の1枚の非接触ICカードを収納するための第2収納部とを表裏一体に備える。2枚の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵する。第1収納部と第2収納部との間には、86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、2枚の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに重畳されて配置された導電体が介在される。第1収納部または第2収納部のいずれかの側から10A/mの磁界が印加されると、2枚の非接触ICカードのうち、導電体の一部のみが重畳しているいずれか一方の非接触ICカードのみが起動されて一方の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、導電体の全面が重畳している他方の非接触ICカードは磁界が導電体により遮蔽されて起動されない。
また、本発明による非接触ICカード収納具は、導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、1枚の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、別の1枚の非接触ICカードを収納するための第2収納部とを表裏一体に備える。2枚の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵する。第1収納部と第2収納部との間には、86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有する導電体と、導電体よりも大きい磁性体とからなる積層物が、導電体の全面が2枚の非接触ICカードと重畳されるように2枚の非接触ICカードと奈が手方向が同一となる向きに介在される。第1収納部または第2収納部のいずれかの側から10A/mの磁界が印加されると、2枚の非接触ICカードのうち、積層物を構成する磁性体に隣接する一方の非接触ICカードのみが起動されて一方の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、導電体に隣接する他方の非接触ICカードは磁界が導電体により遮蔽されて起動されない。
また、本発明による非接触ICカード収納具は、導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、起動を所望する1枚の非接触ICカードを収納するための第1収納部が形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備える。第1および第2の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵する。第1面と第2面との間には、第1収納部に収納された第1の非接触ICカードと各辺を揃えて重畳するように配置された磁性体と、それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、第2収納部に対応して、全面が第2収納部に収納された各第2の非接触ICカードと重畳するように配置された少なくとも2枚の導電体とが介在される。この非接触ICカード収納具は、第1面および第2面の中心線で第1面が外側となり第2面が内側となるよう折畳まれ、第1収納部は、二分された第1面の一方の領域の中央に、収納される第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に直交または平行する向きに配置され、第2収納部は、この中心線に直交する中心線を対称軸として2列に配置される。第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されるとき、第1面において、第1収納部が、第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に直交する向きに配置されている場合には、対応する領域に位置する導電体の2列間の距離が0.6mm以上であれば、第1の非接触ICカードのみが起動されて第1の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、第2の非接触ICカードは起動されない。また、第1面において、第1収納部が、第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に平行する向きに配置されている場合には、対応する領域に位置する導電体の2列間の距離が0.1mm以上であれば、第1の非接触ICカードのみが起動されて第1の非接触ICカードに録されている情報の読取りが行われ、第2の非接触ICカードは起動されない。
また、本発明による非接触ICカード収納具は、導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、起動を所望する1枚の第1の非接触ICカードを収納するための第1収納部が形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備える。第1および第2の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵する。第1面と第2面との間には、それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、全面が前記第2収納部に収納された前記各第2の非接触ICカードと重畳するように、前記各第2の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに一列に配置された2枚以上の導電体が介在される。この非接触ICカード収納具は、第1面および第2面の中心線で第1面が外側となり第2面が内側となるよう折畳まれ、第1収納部は、二分された第1面の一方の領域に、収納される第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に平行する向きに配置され、第2収納部は、収納される第2の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に直交する向きに配置され、第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されるとき、第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺と、この辺に平行する導電体の端部との間の距離が7mm以上であるか、または、第1の非接触ICカードの相対的に短い一辺と、この辺に平行する導電体の端部との間の距離が13mm以上である場合には、磁界により第1の非接触ICカードのみが起動されて第1の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、第2の非接触ICカードは起動されない。
また、本発明による非接触ICカード収納具は、導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、起動を所望する1枚の第1の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、第1の非接触ICカードとは別のタイミングで起動を所望する第3の非接触ICカードを収納するための第3収納部とが形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備える。第1乃至第3の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵する。第1面と第2面との間には、それぞれ第1の非接触ICカードおよび第3の非接触ICカードと各辺を揃えて重畳するように配置された磁性体と、それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、全面が第2収納部に収納された各第2の非接触ICカードと重畳するように、各第2の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに一列に配置された2枚以上の導電体とが介在される。非接触ICカード収納具は、第1面および第2面の中心線で第1面が外側となり第2面が内側となるよう折畳まれ、第1収納部は二分された第1面の一方の領域に位置し、第3収納部は二分された第1面の他方の領域に位置し、第2収納部は、収納される第2の非接触ICカードの相対的に長い一辺が中心線に直交する向きに配置される。第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されると、第1の非接触ICカードのみが起動されて第1の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、第1及び第2の非接触ICカードは起動されない。
本発明の非接触ICカード収納具によれば、非接触ICカードの全体を取り出すことなく、わずかに移動させるだけで起動可能な状態とすることができる。
また、複数の非接触ICカードを所持している場合も、磁界がカードの表裏どちらから印加されるかにかかわりなく所望の1枚のみを起動可能とすることができる。したがって、使用者は目視による確認を行わなくとも特定の1枚のカードのみを使用することができ、便利である。
また、複数の非接触ICカードを所持している場合も、磁界がカードの表裏どちらから印加されるかにかかわりなく所望の1枚のみを起動可能とすることができる。したがって、使用者は目視による確認を行わなくとも特定の1枚のカードのみを使用することができ、便利である。
さらに、その他のカードは起動されないため、知らず知らずのうちに所望しないカードの起動が発生する事態を防止することができる。
従来のスキミング防止を目的とするカード収納具に比べて導電体を小さくすることができるため、コストの削減を図ることも可能である。
従来のスキミング防止を目的とするカード収納具に比べて導電体を小さくすることができるため、コストの削減を図ることも可能である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、一般的に普及している非接触ICカードの構造について簡単に述べる。図19(a)および(b)は、非接触ICカードの内部に配置されたアンテナコイルの形状の例を概略的に示したものである。図示するように、非接触ICカード70には、略全面にわたってアンテナコイル700Aおよび700Bが内蔵されている。
まず、一般的に普及している非接触ICカードの構造について簡単に述べる。図19(a)および(b)は、非接触ICカードの内部に配置されたアンテナコイルの形状の例を概略的に示したものである。図示するように、非接触ICカード70には、略全面にわたってアンテナコイル700Aおよび700Bが内蔵されている。
このような非接触ICカード70に対してカードリーダが磁界を発生すると、コイル700Aおよび700Bでは磁束が電流に変換され、非接触ICカード70に内蔵されたICチップ(図示しない)の電源として利用される。そして、カードリーダからの磁界とは逆向きの磁界が発生し、カードリーダからのリクエストコマンド信号に対する返信が行われる。すなわち、非接触ICカード70が起動される。こうした一連の動作により、カードリーダは非接触ICカードに記録されている情報を読取ることができる。
ここで、特許文献1および2に記載されているように、非接触ICカード70の全面を導電体で覆った場合には、カードリーダからの磁界が遮断されるため、非接触ICカードは起動されず、通信が行われないことが知られている。そこでまず、導電体が非接触ICカードとカードリーダとの間における通信に及ぼす影響をさらに明らかにするための実験を行った。
なお、以降、本明細書中において実験に用いる非接触ICカードは、いずれも86mm×54mmの大きさを有し、図19(a)および(b)に示すようにカードの外周付近にアンテナコイルを内蔵したものとする。また、いずれの実験においても、カードリーダの磁界強度は10A/mとする。
[実験1]
まず、導電体の大きさに着目し、非接触ICカードを起動させない最小の大きさを明らかにするための実験を行った。図1(a)および(b)はこれを概略的に示したものである。
まず、導電体の大きさに着目し、非接触ICカードを起動させない最小の大きさを明らかにするための実験を行った。図1(a)および(b)はこれを概略的に示したものである。
図示するように、ここではカードリーダ30の上面に非接触ICカード70を配置し、さらにその上面に導電体として非接触ICカード70よりも面積の小さいアルミ箔20を載置した。そして、アルミ箔20の大きさを変化させることにより、非接触ICカード70とカードリーダ30との間で通信が行われない最小のアルミ箔20の大きさについて調べた。
すると、非接触ICカード70とカードリーダ30との間の通信を遮断することのできる最小のアルミ箔20の大きさは、86mm×47mm、73mm×54mm、および77mm×49mmであることが分かった。この大きさのアルミ箔20の場合、非接触ICカード70からはみ出さない限り、カード70上のどの位置にあってもカード70の起動を阻止することができる。
さらに、アルミ箔20の大きさを74mm×44mmとすると、カード70の中央部に配置する場合に限って起動を阻止できることも分かった。
換言すれば、アルミ箔20の長手方向の辺の長さが非接触ICカード70の対応する辺の長さよりも7〜12mm短く、長手方向に直交する辺の長さが非接触ICカード70の対応する辺の長さよりも5〜10mm短い場合には、アルミ箔20は非接触ICカード70を起動させない。
換言すれば、アルミ箔20の長手方向の辺の長さが非接触ICカード70の対応する辺の長さよりも7〜12mm短く、長手方向に直交する辺の長さが非接触ICカード70の対応する辺の長さよりも5〜10mm短い場合には、アルミ箔20は非接触ICカード70を起動させない。
このように、実験1の結果からは、非接触ICカードの全面もしくは非接触ICカードに内蔵されたアンテナの位置をすべて覆わなくても、導電体の大きさによっては非接触ICカードとカードリーダとの間における通信を阻止可能であることが明らかになった。これは逆に言えば、導電体を小さくすることにより、非接触ICカードとカードリーダとの間の通信が可能となることを意味している。
[実験2]
続いて、導電体と非接触ICカードとの水平方向の位置関係に着目し、非接触ICカード70と同一の大きさおよび形状のアルミ箔20を導電体として用いて実験を行った。ここでは、カードリーダ30上のアルミ箔20の上面に非接触ICカード70を載置した後、カード70を水平方向に徐々に移動させて、非接触ICカード70とカードリーダ30との間における通信が可能になる位置を探った。これを図2A、図2Bに示す。
続いて、導電体と非接触ICカードとの水平方向の位置関係に着目し、非接触ICカード70と同一の大きさおよび形状のアルミ箔20を導電体として用いて実験を行った。ここでは、カードリーダ30上のアルミ箔20の上面に非接触ICカード70を載置した後、カード70を水平方向に徐々に移動させて、非接触ICカード70とカードリーダ30との間における通信が可能になる位置を探った。これを図2A、図2Bに示す。
図2A(b)に示す実験では、アルミ箔20と非接触ICカード70との各辺がぴったり揃った状態から、非接触ICカード70を長手方向に距離L1だけ水平移動させた。すると、距離L1が13mmとなったところで非接触ICカード70とカードリーダ30との通信が可能になった。
一方、図2B(c)に示す実験では、アルミ箔20と非接触ICカード70との各辺がぴったり揃った状態から、非接触ICカード70を長手方向と直交する方向に距離L2だけ水平移動させた。すると、距離L2が7mmとなったところで非接触ICカード70とカードリーダ30との通信が可能となった。
距離L1およびL2の長さは、実験1で得られた結果と共通している。すなわち、実験1および2の結果から、非接触ICカード70の端部とアルミ箔20の端部との距離が13mmあるいは7mm程度になれば、非接触ICカード70とカードリーダ30との間の通信が可能になるものと考えられる。
[実験3]
次に、導電体と非接触ICカードとの垂直方向の位置関係に着目し、非接触ICカード70と同一の大きさおよび形状のアルミ箔20を導電体として用いて実験を行った。ここでは、図3(a)および(b)に示すように、カードリーダ30上のアルミ箔20の上面に、アルミ箔20と各辺をぴったり揃えて非接触ICカード70を載置した後、カード70を垂直方向に離隔するよう上方に徐々に移動した。これにより、アルミ箔20と非接触ICカード70との間に間隙H1を設け、カード70とカードリーダ30との間における通信が可能であるか否かを調べた。
次に、導電体と非接触ICカードとの垂直方向の位置関係に着目し、非接触ICカード70と同一の大きさおよび形状のアルミ箔20を導電体として用いて実験を行った。ここでは、図3(a)および(b)に示すように、カードリーダ30上のアルミ箔20の上面に、アルミ箔20と各辺をぴったり揃えて非接触ICカード70を載置した後、カード70を垂直方向に離隔するよう上方に徐々に移動した。これにより、アルミ箔20と非接触ICカード70との間に間隙H1を設け、カード70とカードリーダ30との間における通信が可能であるか否かを調べた。
その結果、非接触ICカード70とアルミ箔20とが密着しているときには、カード70はカードリーダ30からの磁界を受けても起動しなかった。そして、非接触ICカード70とアルミ箔20との間の距離H1を0mmから5mm、10mm、15mm・・・と増加させ、30mmまで引離しても、非接触ICカード70は起動されず、カードリーダ30との通信は行われないことが分かった。
しかしながら、非接触ICカード70を、例えば長手方向と直交する向きに6mm程度水平移動させ、アルミ箔20と重畳しない部分を設けた上で両者を離隔させた場合においては、異なる結果が得られた。すなわち、距離H1を5mm〜30mmに引離したとき、非接触ICカード70とカードリーダ30との通信が可能となった。
したがって、非接触ICカード70とアルミ箔20とがぴったりと重なっているときには、カードリーダからの磁界がアルミ箔20を回折して回り込むことはないものと考えられる。
したがって、非接触ICカード70とアルミ箔20とがぴったりと重なっているときには、カードリーダからの磁界がアルミ箔20を回折して回り込むことはないものと考えられる。
[実験4]
ところで、磁性体には非接触ICカードの通信に影響を与える性質があることが知られている。すなわち、磁性体は、非接触ICカードとカードリーダとの間に配置されると、カードリーダからの磁界を打消して非接触ICカードを起動させない性質を有する。しかし、磁性体とカードリーダとの間に非接触ICカードが配置された場合には、反対に、カードリーダからの磁界を増幅し、非接触ICカードに記録された情報の読取りを助長する。
ところで、磁性体には非接触ICカードの通信に影響を与える性質があることが知られている。すなわち、磁性体は、非接触ICカードとカードリーダとの間に配置されると、カードリーダからの磁界を打消して非接触ICカードを起動させない性質を有する。しかし、磁性体とカードリーダとの間に非接触ICカードが配置された場合には、反対に、カードリーダからの磁界を増幅し、非接触ICカードに記録された情報の読取りを助長する。
そこで、実験4として、図4A、図4Bに示すように、導電体と非接触ICカードおよび磁性体との水平方向の位置関係に着目し、実験2と同様の実験を行った。
図4A、図4Bは、カードリーダ30の上面に、アルミ箔20と、非接触ICカード70と、磁性体40とを順に載置した状態を示す。アルミ箔20、非接触ICカード70および磁性体40はいずれも同一の大きさおよび形状を有し、カード70と磁性体40とは各辺を揃えてぴったり重ねられている。
図4A、図4Bは、カードリーダ30の上面に、アルミ箔20と、非接触ICカード70と、磁性体40とを順に載置した状態を示す。アルミ箔20、非接触ICカード70および磁性体40はいずれも同一の大きさおよび形状を有し、カード70と磁性体40とは各辺を揃えてぴったり重ねられている。
図4A(b)に示す実験では、先に説明した実験2と同様、アルミ箔20上で非接触ICカード70および磁性体40を徐々に移動させたときのカード70とカードリーダ30との通信状況を調べるため、カード70および磁性体40を長手方向に距離L3だけ水平移動させた。すると、距離L3が0.1mmのところで非接触ICカード70とカードリーダ30との通信が可能になった。
一方、図4B(c)に示す実験では、カード70および磁性体40を長手方向と直交する方向に距離L4だけ水平移動させた。すると、距離L4が3.54mmのところで非接触ICカード70とカードリーダ30との通信が可能になった。
このように、この実験から、磁性体を用いることによって、導電体のみを用いた場合よりも短い移動距離で非接触ICカードとカードリーダとの通信が可能となることが分かった。
このように、この実験から、磁性体を用いることによって、導電体のみを用いた場合よりも短い移動距離で非接触ICカードとカードリーダとの通信が可能となることが分かった。
以上の実験1〜4より、導電体の大きさや、導電体と非接触ICカードとの位置関係によっては、非接触ICカードに導電体を装着した場合であっても、カードリーダとの通信が可能となることが分かった。そこで、これらの実験結果を踏まえ、第1の実施形態として図5(a)および(b)の断面図に示すような構造を有するカード収納具を発案した。
カード収納具100Aは、アルミ箔20と、ベース素材50と、カバー素材60とからなる。このカード収納具100Aは2枚の非接触ICカード701および702を収納可能なものであり、アルミ箔20をベース素材50の間に介在させ、さらに、このベース素材50とカバー素材60との間に非接触ICカード701および702が位置するように構成されている。ベース素材50およびカバー素材60には、皮革等の材料を用いることができる。
図5(a)において、非接触ICカード701および702は、ベース素材50を挟んで大部分がアルミ箔20と重なり合っている。このアルミ箔の大きさは、実験1により明らかになった86mm×47mm、73mm×54mm、77mm×49mmのいずれか、または74mm×44mmである。アルミ箔20が配置されていることにより、カードリーダからの磁界を受けたとしても、カード701および702はいずれも起動されない。
一方、図5(b)においては、非接触ICカード702が上方向にスライドされ、アルミ箔20の上端と非接触ICカード702の上端との間の距離が十分に長くなっている。したがって、カードリーダからの磁界を受けると、カード701は起動されないが、カード702は起動され、カードリーダとの間で通信が行われる。カードリーダからの磁界が非接触ICカード701側から印加されるか、それとも非接触ICカード702側から印加されるかは、起動の可否には関係しない。
ただし、このカード収納具100Aにおいては、非接触ICカード701および702のいずれか一方をスライドさせて起動可能とするときには、他方はスライドさせず起動不可能の状態を保たなければならない。カード701および702の両方をスライドさせた場合には、混信を生じるおそれがあるためである。
さらに、特に実験4により示された磁性体の効果を利用して、本発明の第2の実施形態として図6(a)および(b)の断面図に示すような構造を有するカード収納具を発案した。
カード収納具100A′は、図5に示したカード収納具100Aとほぼ同一の構成を有するが、カバー素材60の内側に磁性体40が配置され、その内側に非接触ICカード701および702が位置している点においてのみ異なる。この実施形態によれば、第1の実施形態よりも短い移動距離で非接触ICカードを起動可能とすることができる。
カード収納具100A′は、図5に示したカード収納具100Aとほぼ同一の構成を有するが、カバー素材60の内側に磁性体40が配置され、その内側に非接触ICカード701および702が位置している点においてのみ異なる。この実施形態によれば、第1の実施形態よりも短い移動距離で非接触ICカードを起動可能とすることができる。
図6(b)においては、非接触ICカード702がわずかに上方向にスライドされている。このとき、カードリーダからの磁界を受けると、カード701は起動されないが、カード702は起動されてカードリーダとの通信が行われる。
第1の実施形態と同様、カードリーダからの磁界が非接触ICカード701側から印加されるか、それとも非接触ICカード702側から印加されるかは、起動の可否には関係しない。また、磁性体40を非接触ICカードよりも内側すなわちベース素材50側に配置しても、非接触ICカードは同様に起動される。
なお、この図5および6に示す第1および第2の実施形態では2枚の非接触ICカードを収納可能であるが、同様にアルミ箔20と、ベース素材50と、カバー素材60とから、非接触ICカードを1枚のみ収納するカード収納具を作製してもよい。そのようなカード収納具の例を図7(a)〜(d)に示す。
図7(a)および(b)に示すカード収納具100A″においては、ベース素材50と枠状に形成されたカバー素材60とから、非接触ICカード70を収納するポケットが形成される。このポケットにはカード70を1枚のみ収納することができる。図示しないアルミ箔または導電体20は、ベース素材50内部の下方の、カバー素材60と重なる位置に内蔵される。導電体20の大きさは、実験1の結果に倣うものとする。
非接触ICカード70の全体がポケットに挿入されているときには、導電体20が配置されていることにより、たとえカードリーダからの磁界を受けてもカード70は起動されない。このとき、収納具100A″の使用者は、ベース素材に印字された「OFF」の文字により、非接触ICカード70が起動されていない、すなわちオフ状態であることを一目で知ることができる。
そして、「OFF」の文字を隠すように非接触ICカード70を上方向にスライドすると、先の実験2について参照した図2A(b)に示すように、導電体20と非接触ICカード70との位置関係がずれるため、導電体20の磁界遮蔽効果が及ばなくなり、非接触ICカード70はカードリーダからの磁界を受けて起動される。
図7(c)および(d)に示すカード収納具100A″には文字の表示はないものの、図7(a)および(b)に示すカード収納具100A″と同様、非接触ICカード70の上端とベース素材50の上端とが揃う位置までカード70を移動させるだけで、カード70をカードリーダとの通信が可能な状態にすることができる。
いずれのカード収納具においても、カードリーダとの通信を可能にするために非接触ICカードの全体を取り出す必要はない。
いずれのカード収納具においても、カードリーダとの通信を可能にするために非接触ICカードの全体を取り出す必要はない。
次に、複数の非接触ICカードを収納し、そのうち1枚のみを、移動させることなく起動可能な非接触ICカード収納具の構成について検討を行った。これに伴い、以下の実験を実施した。
[実験5]
図8(a)および(b)は、カードリーダ30の上に配置された2枚の非接触ICカード701および702の間に、これらの非接触ICカードと同一の大きさおよび形状を有するアルミ箔20と、比透磁率が20および40で非接触ICカードと同一の大きさおよび形状を有する磁性体40との積層物を介在させた状態を示す。ここでは、このような積層物を介在させた場合に非接触ICカードが起動されるか否かについて、異なる比透磁率(20および40)を有する磁性体を用いて実験を行った。
図8(a)および(b)は、カードリーダ30の上に配置された2枚の非接触ICカード701および702の間に、これらの非接触ICカードと同一の大きさおよび形状を有するアルミ箔20と、比透磁率が20および40で非接触ICカードと同一の大きさおよび形状を有する磁性体40との積層物を介在させた状態を示す。ここでは、このような積層物を介在させた場合に非接触ICカードが起動されるか否かについて、異なる比透磁率(20および40)を有する磁性体を用いて実験を行った。
既に述べたように、磁性体は、非接触ICカードとカードリーダとの間に配置されると、カードリーダからの磁界を打消して非接触ICカードを起動させない性質を有する。しかし、磁性体とカードリーダとの間に非接触ICカードが配置された場合には、反対に、カードリーダからの磁界を増幅し、非接触ICカードに記録された情報の読取りを助長する。
このような磁性体の性質を考慮しつつ、まず、2枚の非接触ICカード701および702の間にアルミ箔20と磁性体40との積層物を介在させて、カードリーダ30と各非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べた。すると、アルミ箔20に隣接する非接触ICカード702および磁性体40に隣接する非接触ICカード701のいずれもが起動されなかった。
続いて、比透磁率が40の磁性体40について、その厚さを0.05mm、0.1mm、0.2mmと変化させて、同様の実験を行った。すると、この場合も同様に、アルミ箔20に隣接する非接触ICカード702および磁性体に隣接する非接触ICカード701のいずれもが起動されなかった。
すなわち、実験5の構成では、磁界が回折して非接触ICカードを起動させることはないものと考えられる。
すなわち、実験5の構成では、磁界が回折して非接触ICカードを起動させることはないものと考えられる。
[実験6]
次に、アルミ箔と磁性体との間に間隙を設けて、同様にカードリーダ30と非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べる実験を行った。図9(a)および(b)にその様子を示す。
次に、アルミ箔と磁性体との間に間隙を設けて、同様にカードリーダ30と非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べる実験を行った。図9(a)および(b)にその様子を示す。
この実験では、アルミ箔20と磁性体40との間隙H2を0.5mm、1mm、2mmと変化させた。しかしながら、間隙H2の長さにかかわらず、カードリーダ30からの磁界を受けても、アルミ箔20に隣接する非接触ICカード702および磁性体40に隣接する非接触ICカード701のいずれもが起動されなかった。
さらに、図10に示すように、非接触ICカード70の各端部から内側に7mmの幅を有する枠状の導電体20を形成し、これを非接触ICカード70の上に載置して、カード70とカードリーダ30との通信状況を調べたところ、やはり非接触ICカード70は起動されなかった。
よって、導電体の各端部と非接触ICカードの各端部とが同一の垂直線上にあるときには、たとえ磁性体が存在していても、カードリーダからの磁束は回折せず、磁性体に隣接する非接触ICカードは起動されないものと推察される。
よって、導電体の各端部と非接触ICカードの各端部とが同一の垂直線上にあるときには、たとえ磁性体が存在していても、カードリーダからの磁束は回折せず、磁性体に隣接する非接触ICカードは起動されないものと推察される。
[実験7]
続いて、図11に示すように、非接触ICカードの各辺からそれぞれ1mm小さくなるよう形成したアルミ箔20を用いて、実験5と同様の実験を行った。ここでは、この小さなアルミ箔20と、非接触ICカードと同一の大きさおよび形状の磁性体40とを積層させ、この積層物を2枚の非接触ICカード701および702の間に介在させて、カードリーダ30と各非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べた。
続いて、図11に示すように、非接触ICカードの各辺からそれぞれ1mm小さくなるよう形成したアルミ箔20を用いて、実験5と同様の実験を行った。ここでは、この小さなアルミ箔20と、非接触ICカードと同一の大きさおよび形状の磁性体40とを積層させ、この積層物を2枚の非接触ICカード701および702の間に介在させて、カードリーダ30と各非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べた。
すると、実験5とは異なり、磁性体40に隣接する非接触ICカード701は起動されることが分かった。その一方で、アルミ箔20に隣接する非接触ICカード702は起動されないという結果が得られた。したがって、導電体と磁性体とを2枚の非接触ICカードの間に介在させる場合には、導電体を小さくすることで、1枚の非接触ICカードとカードリーダとの通信が可能になるといえる。
[実験8]
この実験においては、実験7の結果を踏まえ、先に実験1において明らかになった通信が行われない最小の大きさの導電体およびそれと同一の大きさおよび形状を有する磁性体を用意して積層させた。その上で、図12(a)および(b)に示すように、これらの導電体20および磁性体40からなる積層物を2枚の非接触ICカード701および702の間に介在させ、カードリーダ30と各非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べた。
この実験においては、実験7の結果を踏まえ、先に実験1において明らかになった通信が行われない最小の大きさの導電体およびそれと同一の大きさおよび形状を有する磁性体を用意して積層させた。その上で、図12(a)および(b)に示すように、これらの導電体20および磁性体40からなる積層物を2枚の非接触ICカード701および702の間に介在させ、カードリーダ30と各非接触ICカード701および702との間の通信状況を調べた。
この実験において、アルミ箔20に隣接する非接触ICカード702は、カードリーダ30からの磁界を受けても起動されなかった。一方、磁性体40に隣接する非接触ICカード701は、カードリーダ30からの磁界により起動された。このとき、非接触ICカード701は、カード701側から磁界を受けるか、あるいはカード702側から磁界を受けるかに関係なく起動された。
以上の実験5〜8より、磁性体と非接触ICカードよりも小さな導電体とを用いることにより、起動させたい非接触ICカードを移動しなくとも、2枚の非接触ICカードのうち一方を起動させ、他方を起動させないことが可能であることが明らかになった。
また、さらに検討を重ねたところ、少なくとも導電体の大きさが実験1により示された大きさの条件を満たしていれば、磁性体が導電体よりも大きい限り、2枚の非接触ICカードのうち一方のみが起動され、他方は起動されないことがわかった。
また、さらに検討を重ねたところ、少なくとも導電体の大きさが実験1により示された大きさの条件を満たしていれば、磁性体が導電体よりも大きい限り、2枚の非接触ICカードのうち一方のみが起動され、他方は起動されないことがわかった。
そこで、第3の実施形態として、図13の断面図に示すような構造を有するカード収納具を発案した。
カード収納具100Bは、アルミ箔20と、磁性体40と、ベース素材50と、カバー素材60とからなり、2枚の非接触ICカード701および702を収納可能に構成される。これらのカード701および702よりも小さいアルミ箔20と、このアルミ箔20と同一の大きさを有する磁性体40とからなる積層物をベース素材50の間に介在させ、さらにベース素材50とカバー素材60との間に非接触ICカード701および702が位置する。また、第1の実施形態と同様、ベース素材50およびカバー素材60には、皮革等の材料を用いることができる。
カード収納具100Bは、アルミ箔20と、磁性体40と、ベース素材50と、カバー素材60とからなり、2枚の非接触ICカード701および702を収納可能に構成される。これらのカード701および702よりも小さいアルミ箔20と、このアルミ箔20と同一の大きさを有する磁性体40とからなる積層物をベース素材50の間に介在させ、さらにベース素材50とカバー素材60との間に非接触ICカード701および702が位置する。また、第1の実施形態と同様、ベース素材50およびカバー素材60には、皮革等の材料を用いることができる。
図13において、カードリーダからの磁界を受けたとき、2枚の非接触ICカード701および702のうち、ベース素材50を挟んでアルミ箔20に隣接するカード702は、アルミ箔20により磁界が遮蔽されるため起動されない。一方、ベース素材50を挟んで磁性体40に隣接するカード701は起動されて、カードリーダとの通信を行う。磁性体40はこの通信の安定化に寄与するものである。
このとき、第1の実施形態とは異なり、通信を行う非接触ICカード701を移動させる必要はない。また、カードリーダからの磁界が非接触ICカード701側からのものであるか、それとも非接触ICカード702側からのものであるかは、起動の可否には関係しない。
ところで、複数の非接触ICカードを所持する場合、カード専用のケースに収納して携帯する場合もあれば、財布のカード用ポケットに収納して持ち歩く場合もある。そこで、複数の非接触ICカードを収納し、そのうち1枚のみを起動させることができ、且つ第3の実施形態と同様に起動させるカードを移動させる必要のない財布の構成について検討を行った。
一般的な財布の形態の例としては、図14(a)に示すような長財布と、図14(b)に示すような二つ折り財布とが挙げられる。これらの財布は、長財布については破線Xで、二つ折り財布については破線Yで、それぞれ折畳んで携帯される。そこで、この点を考慮して、導電体および磁性体を財布のどの位置に配置すればよいかを明らかにするため、以下の実験を行った。
[実験9]
図15A、図15Bは、カードリーダ30の上にアルミ箔201および202を配置し、その上面に1枚の非接触ICカード70を載置した状態を示す。ここでは、アルミ箔201と202とをカードリーダ30の中央部から端部方向に徐々に移動させて離隔し、通信可能となる距離を調べる実験を行った。
図15A、図15Bは、カードリーダ30の上にアルミ箔201および202を配置し、その上面に1枚の非接触ICカード70を載置した状態を示す。ここでは、アルミ箔201と202とをカードリーダ30の中央部から端部方向に徐々に移動させて離隔し、通信可能となる距離を調べる実験を行った。
非接触ICカード70は、アルミ箔201および202がカードリーダ30の中央部で近接している場合には、磁界を受けても起動されない。しかし、図15A(b)に示すようにカード70を縦方向に配置してアルミ箔201と202とを離隔させた場合には、その間の距離L5が2mmになれば、カード70とカードリーダ30との通信が可能となることが分かった。
また、図15B(c)に示すようにカード70を横方向に配置した場合には、アルミ箔201と202との間の距離L6が6.5mmになれば、カードリーダ30との通信が可能となることが分かった。
[実験10]
次に、非接触ICカード70と磁性体40とを重ねた状態で、実験9と同様の実験を行った。すなわち、図16A、図16Bに示すように、カードリーダ30の上に2枚のアルミ箔201および202を配置し、その上面にカード70および磁性体40を載置した上で、アルミ箔201および202を徐々に離隔させて、通信可能となる距離を探った。
次に、非接触ICカード70と磁性体40とを重ねた状態で、実験9と同様の実験を行った。すなわち、図16A、図16Bに示すように、カードリーダ30の上に2枚のアルミ箔201および202を配置し、その上面にカード70および磁性体40を載置した上で、アルミ箔201および202を徐々に離隔させて、通信可能となる距離を探った。
すると、図16A(b)に示すように非接触ICカード70および磁性体40を縦方向に配置した場合には、アルミ箔201と202との間の距離L7が0.1mmになれば、カード70とカードリーダ30との間での通信が可能となることが分かった。
また、図16B(c)に示すようにカード70および磁性体40を横方向に配置した場合には、アルミ箔201と202との間の距離L8が0.6mmになれば、カード70とカードリーダ30との間での通信が可能となることが分かった。
また、図16B(c)に示すようにカード70および磁性体40を横方向に配置した場合には、アルミ箔201と202との間の距離L8が0.6mmになれば、カード70とカードリーダ30との間での通信が可能となることが分かった。
以上の実験結果に鑑みると、第4の実施形態として、図17に示すような長財布および図18に示すような二つ折り財布を製作することができる。
図17に示す長財布100Cは、導電体201〜208と、磁性体40とを内蔵して構成される。財布の外側の、磁性体40の裏側にあたる部分には、非接触ICカードを1枚のみ収納可能なポケット(図示しない)が設けられ、ここに収納された非接触ICカードは、カードリーダからの磁界を受けて起動され通信を行う。このとき、磁性体40は導電体201〜208よりも財布の内側または外側のいずれに配置されてもよい。
また、財布100Cの内部に設けられているカード用ポケットに収納される非接触ICカードについては、その裏側に配置された導電体201〜208により、カードリーダからの磁界を受けても起動されることがない。
したがって、この財布100Cによれば、複数の非接触ICカードのうち、例えば最も使用頻度の高い1枚の非接触ICカードを外側のポケットに収納して便利に使用するとともに、その他のカードを内側のポケットに収納して、スキミングや混信による誤動作を防止することができる。
なお、図17に示す財布100Cでは、導電体203、204、207、208の近傍に磁性体40および外側のポケットを1箇所のみ設けているが、導電体201、202、205、206の近傍にも同様に磁性体および外側のポケットを配置することが可能である。その場合には、財布100Cを折畳んだ状態で一方の外側ポケットのみをカードリーダにかざして使用する。このとき、内側のポケットおよび他方の外側ポケットに収納されている非接触ICカードは起動されないので、スキミングや混信による誤動作は発生しない。
これに対し、図18に示す2通りの二つ折り財布100Dおよび100D′は、それぞれ導電体201〜203と、磁性体40とを内蔵して構成される。長財布100Cと同様に、財布の外側の、磁性体40の裏側にあたる部分には、非接触ICカードを1枚のみ収納可能なポケット(図示しない)が設けられ、ここに収納された非接触ICカードは、カードリーダからの磁界を受けて起動され通信を行う。なお、財布100Dにおいて、磁性体40は導電体201〜203よりも財布の内側または外側のいずれに配置されてもよい。
また、財布100Dおよび100D′の内部に設けられているカード用ポケットに収納される非接触ICカードについては、その裏側に配置された導電体201〜203により、カードリーダからの磁界を受けても起動されることがない。
したがって、財布100Dおよび100D′においても、複数の非接触ICカードのうち、例えば最も使用頻度の高い1枚の非接触ICカードを外側のポケットに収納して便利に使用するとともに、その他のカードは内側のポケットに収納して、スキミングや混信による誤動作を防止することが可能である。
これらの財布100C、100Dおよび100D′においては、使用するアルミ箔の大きさを実験1で得られた結果に基づいて定めることにより、コストを最小限に抑えることができるという効果もある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、様々に実現することができる。例えば、導電体としてはアルミ箔を用いたが、これに限らず他の導電体を用いることが可能である。また、磁性体としてはフェライトをはじめ様々な磁性体を用いることが可能である。さらに、各カード収納具の形態についても、適宜変更することができることは言うまでもない。
100A 非接触ICカード収納具
20 導電体/アルミ箔
50 ベース素材
60 カバー素材
701、702 非接触ICカード
20 導電体/アルミ箔
50 ベース素材
60 カバー素材
701、702 非接触ICカード
Claims (5)
- 導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、
1枚の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、別の1枚の非接触ICカードを収納するための第2収納部とを表裏一体に備え、
前記2枚の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵し、
前記第1収納部と前記第2収納部との間には、86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、前記2枚の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに重畳されて配置された前記導電体が介在され、
前記第1収納部または前記第2収納部のいずれかの側から10A/mの磁界が印加されると、
前記2枚の非接触ICカードのうち、前記導電体の一部のみが重畳しているいずれか一方の非接触ICカードのみが起動されて前記一方の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記導電体の全面が重畳している他方の非接触ICカードは前記磁界が前記導電体により遮蔽されて起動されないことを特徴とする非接触ICカード収納具。 - 導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、
1枚の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、別の1枚の非接触ICカードを収納するための第2収納部とを表裏一体に備え、
前記2枚の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵し、
前記第1収納部と前記第2収納部との間には、86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有する前記導電体と、前記導電体よりも大きい磁性体とからなる積層物が、前記導電体の全面が前記2枚の非接触ICカードと重畳されるように前記2枚の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに介在され、
前記第1収納部または前記第2収納部のいずれかの側から10A/mの磁界が印加されると、前記2枚の非接触ICカードのうち、前記積層物を構成する前記磁性体に隣接する一方の非接触ICカードのみが起動されて前記一方の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記導電体に隣接する他方の非接触ICカードは前記磁界が前記導電体により遮蔽されて起動されないことを特徴とする非接触ICカード収納具。 - 導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、
起動を所望する1枚の第1の非接触ICカードを収納するための第1収納部が形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備え、
前記第1および第2の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵し、
前記第1面と前記第2面との間には、
前記第1収納部に収納された前記第1の非接触ICカードと各辺を揃えて重畳するように配置された磁性体と、
それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、前記第2収納部に対応して、全面が前記第2収納部に収納された前記各第2の非接触ICカードと重畳するように配置された少なくとも2枚の前記導電体とが介在され、
前記非接触ICカード収納具は、前記第1面および前記第2面の中心線で前記第1面が外側となり前記第2面が内側となるよう折畳まれ、
前記第1収納部は、二分された前記第1面の一方の領域の中央に、収納される前記第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が前記中心線に直交または平行する向きに配置され、
前記第2収納部は、前記中心線に直交する中心線を対称軸として2列に配置され、
前記第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されるとき、
前記第1面において、前記第1収納部が、前記第1の非接触ICカードの前記相対的に長い一辺が前記中心線に直交する向きに配置されている場合には、対応する領域に位置する前記導電体の前記2列間の距離が0.6mm以上であれば、前記第1の非接触ICカードのみが起動されて前記第1の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記第2の非接触ICカードは起動されず、
前記第1面において、前記第1収納部が、前記第1の非接触ICカードの前記相対的に長い一辺が前記中心線に平行する向きに配置されている場合には、対応する領域に位置する前記導電体の前記2列間の距離が0.1mm以上であれば、前記第1の非接触ICカードのみが起動されて前記第1の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記第2の非接触ICカードは起動されないことを特徴とする非接触ICカード収納具。 - 導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、
起動を所望する1枚の第1の非接触ICカードを収納するための第1収納部が形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備え、
前記第1および第2の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵し、
前記第1面と第2面との間には、それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、全面が前記第2収納部に収納された前記各第2の非接触ICカードと重畳するように、前記各第2の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに一列に配置された2枚以上の前記導電体が介在され、
前記非接触ICカード収納具は、前記第1面および前記第2面の中心線で前記第1面が外側となり前記第2面が内側となるよう折畳まれ、
前記第1収納部は、二分された前記第1面の一方の領域に、収納される前記第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺が前記中心線に平行する向きに配置され、
前記第2収納部は、収納される前記第2の非接触ICカードの相対的に長い一辺が前記中心線に直交する向きに配置され、
前記第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されるとき、
前記第1の非接触ICカードの相対的に長い一辺と、前記辺に平行する前記導電体の端部との間の距離が7mm以上であるか、または、前記第1の非接触ICカードの相対的に短い一辺と、前記辺に平行する前記導電体の端部との間の距離が13mm以上である場合には、前記磁界により前記第1の非接触ICカードのみが起動されて前記第1の非接触ICカードに記録されている情報の読取りが行われ、前記第2の非接触ICカードは起動されないことを特徴とする非接触ICカード収納具。 - 導電体を内蔵してなる非接触ICカード収納具であって、
起動を所望する1枚の第1の非接触ICカードを収納するための第1収納部と、前記第1の非接触ICカードとは別のタイミングで起動を所望する第3の非接触ICカードを収納するための第3収納部とが形成された第1面と、起動を所望しない1枚以上の第2の非接触ICカードを収納するための第2収納部が形成された第2面とを表裏一体に備え、
前記第1乃至第3の非接触ICカードは86mm×54mmの大きさを有し、各々情報が記録されたICチップと、カードの外周付近に配設されたアンテナコイルとを内蔵し、
前記第1面と前記第2面との間には、
それぞれ前記第1の非接触ICカードおよび前記第3の非接触ICカードと各辺を揃えて重畳するように配置された磁性体と、
それぞれ86mm×47mm、73mm×54mm、または77mm×49mmのうちいずれかの大きさを有し、全面が前記第2収納部に収納された前記各第2の非接触ICカードと重畳するように、前記各第2の非接触ICカードと長手方向が同一となる向きに一列に配置された2枚以上の前記導電体とが介在され、
前記非接触ICカード収納具は、前記第1面および前記第2面の中心線で前記第1面が外側となり前記第2面が内側となるよう折畳まれ、
前記第1収納部は二分された前記第1面の一方の領域に位置し、前記第3収納部は二分された前記第1面の他方の領域に位置し、
前記第2収納部は、収納される前記第2の非接触ICカードの相対的に長い一辺が前記中心線に直交する向きに配置され、
前記第1面の一方の領域に10A/mの磁界が印加されると、前記第1の非接触ICカードのみが起動されて前記第1の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記第2および前記第3の非接触ICカードは起動されず、
前記第1面の他方の領域に10A/mの磁界が印加されると、前記第3の非接触ICカードのみが起動されて前記第3の非接触ICカードに記録されている前記情報の読取りが行われ、前記第1および前記第2の非接触ICカードは起動されないことを特徴とする非接触ICカード収納具。
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JP2008164691A JP2009099122A (ja) | 2008-06-24 | 2008-06-24 | 非接触icカード収納具 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4897931B1 (ja) * | 2011-05-24 | 2012-03-14 | 博 齋藤 | 非接触icカード通信調整板 |
JP6347437B1 (ja) * | 2017-12-22 | 2018-06-27 | 株式会社ソフトベース | 非接触式近距離無線通信用カード及びそれを用いたデータ並行処理システム |
JP6433008B1 (ja) * | 2018-08-31 | 2018-12-05 | 株式会社ソフトベース | 非接触式近距離無線通信用カード及びそれを用いたデータ並行処理システム |
WO2019123985A1 (ja) * | 2017-12-22 | 2019-06-27 | 株式会社ソフトベース | 非接触式近距離無線通信用カード及びそれを用いたデータ並行処理システム |
-
2008
- 2008-06-24 JP JP2008164691A patent/JP2009099122A/ja active Pending
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