JP2009097240A - 耐震墓 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単な構成でありながら長期にわたって優れた耐震性を発揮することのできる耐震墓石を提供する。
【解決手段】 複数の台石1,2,3,4,5を積み重ねてなる墓石,石碑,墓誌,灯篭、前記墓石の所定位置に配置される花立て8,香炉7又は経机6のいずれかを含む付属品を有する耐震墓において、前記台石及び前記付属品の全ての底面の中央に、所定幅のシロ部分を残して凸部を形成し、前記芝台及び前記台石及び前記付属品の全ての上面の中央に、前記凸部よりも所定寸法大きい凹部を形成し、前記凸部を前記凹部に嵌め込んだときに形成される前記凸部と前記凹部との間の隙間に、固化材を充填して固化させた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地震等の災害時に容易に倒壊しない耐震墓に関する。
一般に墓石は、芝台の上に下台や中台、上台、棹石(佛石)等の複数の台石を積み重ね、香炉や花立て,経机等の付属品を芝台や台石の上に載置した構造となっている。
このような構造の墓石は、積み重ねて載置されているだけであり、地震等の災害時に倒壊する危険性が高く、過去の災害において実際に多くの墓石が倒壊している。そして、いったん墓石が倒壊すると、補修が不可能で経済的負担も大きい。
そこで、地震等の災害時に容易に倒壊しない耐震墓石が従来より種々提案されている。例えば、特許文献1には、接着材を用いて墓石を接着する方法が開示されている。また、特許文献2には、アンカーボルトにより各石材を連結する方法が開示されている。
しかし、特許文献1に記載されているように接着材で固定する方法は、接着材が経時変化により劣化して接着効果が低下し、墓石移転工事の際にはずれたり、接着材による油しみが発生したりするという問題がある。
また、特許文献2に記載されているようにアンカーボルトを挿通させて固定する方法では、アンカーボルトが納骨室の内部に突出して納骨の際の見栄えを悪くしたり、納骨室のスペースを狭くするという問題があるほか、アンカーボルトを挿入するための孔を明けなければならず、神聖な佛石に傷を付けるという悪印象を墓石の所有者に与えるという問題がある。さらに、この方法は手間がかかりコスト高になるという問題もある。また、金属製のアンカーボルトと石材との膨張率の違いから、特に夏季においてアンカーボルトが緩み、地震時に墓石の振動が増幅されるという問題がある。さらに、納骨室内に突出するアンカーボルトが、納骨室内の湿気によって腐食したり劣化したりしやすいという問題もある。
特許文献3に開示されている耐震墓石では、蟻と蟻溝とを棹台と上台石とに形成し、こられを係合させるとともに、蟻と蟻溝との間の隙間にモルタル等のコーキング材を充填する技術が開示されている。この文献3に記載の技術は、特許文献1,2に記載したような問題の多くは解決することができるものの、棹台(佛石)と上台石に蟻と蟻溝とを形成しなければならず加工コストが高くなるばかりか、重量物である棹台を傾けながら蟻溝に蟻を挿入しなければならず、墓石設置の際の作業者の負担と危険が大きくなるばかりか、設置コストも高くなるという問題がある。
また、上記した従来の墓石は、墓石を構成する各部材間の隙間に雨水等が浸入しやすく、侵入した雨水によって墓石や接着材,コーキング材,メジ材の寿命が低下したり、カビ等を発生させる原因となって墓石の見栄えを悪くするという問題がある。
さらに、接着材等を使って各構成部材を一体にした墓石を運搬するには、芝台の下側にベルトを通す必要があることから、墓石をいったん吊り上げて角材やパレットの上に載せ替えなければならず、作業者の作業負担が大きいばかりか、吊り上げ時に墓石の姿勢が不安定になりやすく、移動の際の安全性の確保が大きな課題となっている。
上記したような問題は、墓石に限らず、墓地内に設置される石碑,墓誌,灯篭その他の付属物においても同様である。なお、この明細書では、墓石,石碑,墓誌,灯篭その他の付属物を総称して「墓石等」という。
特開平11−93460号公報(図面参照) 実登3122801号(図面参照) 特開2006−132090号公報(図2及び段落0023参照)
本発明は上記した従来の問題点を一挙に解決するべくなされたもので、第一に、従来の墓石等に簡単な改良を施すだけで実施することができて低コストで、簡単な構成でありながら長期にわたって優れた耐震性を発揮することのできる耐震墓を提供すること、第二に、墓石等を構成する各部材間の隙間に雨水等が浸入しにくい構造の耐震墓を提供すること、第三に、一体となった墓石等の移動を安全かつ容易に行うとのできる耐震墓を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の耐震墓は、複数の台石を積み重ねてなる墓石,石碑,墓誌,灯篭、前記墓石の所定位置に配置される花立て,香炉又は経机のいずれかを含む付属品を有する耐震墓において、前記台石及び前記付属品の底面の中央に、所定幅のシロ部分を残して凸部を形成し、前記台石及び前記付属品の上面の中央に、前記凸部よりも所定寸法大きい凹部を形成し、前記凸部を前記凹部に嵌め込んだときに形成される前記凸部と前記凹部との間の隙間に、固化材を充填して固化させた構成としてある。
前記固化材としては、請求項2に記載するように、長寿命であるとともに固化する際に膨張するセメントペーストを用いるとよい。セメントペーストは、市販品を安価に入手することができ、かつ、取り扱いが容易で作業性に優れるという利点があるばかりでなく、固化前は流動性に富むことから凸部と凹部の間の隙間の隅々まで空間を生じさせることなく行き渡り、しかも気泡が生じにくいという利点がある。
前記凹部と前記凸部との間の幅方向の隙間は、一般的な墓石等では、1mm〜3mmの範囲内とすることができる。さらに、請求項3に記載するように、前記凹部の底面及び前記凸部の端面の少なくとも一方に、前記固化材との結合力を高めるための溝又は凹凸を形成してもよい。
このようにすることで、複数の台石と芝台及び付属品が、あたかも一つの石から削成したように一体となった墓石等を構成し、きわめて高い耐震性を得ることができる。
また、本発明では、請求項4に記載するように、前記固化材の一部を、前記隙間から前記シロの部分まで張り出させて、前記台石と前記台石との間、前記芝台と前記台石との間、前記台石と前記付属品との間又は前記芝台と前記付属品との間に前記固化材を介在させてもよい。このように固化材を介在させることで、固化材がクッションとなって、墓石等に振動が付与された際の台石や付属品の縁部の欠けを防止したり耐震性をさらに高めるたりすることができる。また、セメントペーストが、隙間の無い高精度のメジを形成するので、メジ詰め作業が不要になるほか、雨水等の浸入による墓石等の寿命低下を防止することができる。
本発明においては、請求項6に記載するように、前記台石の各々及び最下層に配置される台石である芝台の上面に、前記シロと接する部分を除いて、周縁部分に向かって傾斜する排水用の傾斜面を形成してもよい。このようにすることで、墓石等の水捌けがよくなり、前記メジとの相乗効果により、墓石等の寿命をさらに向上させることができる。特に、本発明では、付属品を前記芝台に一体に固定する構成であるため、芝台にも排水用の傾斜面を形成することが可能になった。
また、請求項7に記載するように、前記芝台の上部周囲に、墓石移動のためのベルト又はワイヤを引っ掛ける凹状の湾曲部を形成し、かつ、前記湾曲部の上端が、前記芝台の基部よりも小幅に形成してもよい。
このようにすることで、前記凹状の湾曲部にベルトやワイヤを引っ掛けて、一体となった墓石を容易に移動することが可能になる。また、前記湾曲部は、基部よりも小さい幅に形成されているので、芝台の一部を壁面に密着させて配置する場合や、工場や倉庫等で芝台どうしを密着させて墓石を保管しているような場合にも、前記凹状の湾曲部にベルトやワイヤを出し入れするための隙間が形成され、前記湾曲部へのベルトやワイヤの引っ掛け及び取り外しが容易になる。また、ベルト等を複数の場所で絞って吊り上げることができるため、吊り上げ時に墓石等の姿勢が安定して、移動時の高い安全性を確保できる。さらに、側面R加工により、芝台やベルト等を損傷させることなく作業することができる。
なお、請求項6及び請求項7に記載した要件は、請求項1〜5に記載した耐震墓に限らず、他の墓石にも適用が可能である。
本発明のように、台石や香炉,経机等の付属品を一体化した墓石では、納骨室に連通する納骨孔を前記台石や附属品に形成するとともに、この納骨孔に納骨蓋を嵌め込む必要がある。従来は、納骨孔に嵌め込む納骨蓋が墓石の表面と面一または若干突出して設けられており、納骨蓋と納骨孔との隙間から雨水や雪解け水が納骨室まで浸入するおそれがあったほか、納骨蓋と納骨孔との隙間に水が浸入することによって前記隙間に汚れが発生しやすく、さらに、納骨蓋が色落ちしたり、特に金属製の納骨蓋において劣化が早くなる等の種々の問題があった。また、納骨蓋が目立つため、子供等が納骨蓋を開けてしまうという問題もあった。
そこで、このような場合は、請求項8に記載するように、前記納骨孔に嵌め込まれる納骨蓋が、前記台石又は前記付属に形成した凹所の中に位置するように前記納骨孔を形成するとよい。
このようにすれば、納骨蓋と納骨孔との間の隙間への雨水や雪解け水の浸入を防止することができ、納骨室への雨水や雪解け水の浸入や前記隙間での汚れの発生及び納骨蓋の色落ちや劣化を効果的に防止することができる。また、既存の台石や付属品をそのまま用いることができるので、墓石の外観を損なうことがなく、納骨蓋が外側から目立たなくなるので、その分、墓石の外観を向上させることができ、子供の悪戯も防止することができる。
本発明によれば、例えば全ての構成部材に凸部及び凹部と固化材を適用することで、墓石を構成する全ての構成部材が強固に接合され、あたかも一つの石から墓石を削成したように墓石全体が一体となって、高い耐震性を得ることができる。また、本発明は、従来の墓石の各構成部材に所定の大きさの凸部と凹部とを形成し、その間の隙間に固化材を充填するだけでよいので、低コストで実施することが可能である。
また、排水用の傾斜を台石や芝台に形成することで、墓石の水捌けがよくなり、墓石の寿命を向上させることができる。また、芝台に形成された凹状湾曲部に容易にベルトやワイヤを複数引っ掛けることができるので、一体となった墓石の運搬が容易になるほか、吊り上げ時の姿勢も安定するので、高い安全性を確保することが可能になる。
以下、本発明を好適な一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、複数の台石と芝台(最下層に配置される台石を指す)とから構成される墓石を例に挙げて説明するが、本発明は石碑,墓誌,灯篭その他の付属物にも適用が可能である。
図1は、本発明が適用される墓石の一例を示したもので、その全体構成を説明する斜視図、図2は図1のI−I方向断面図、図3(a)は芝台と下台の分解斜視図、同(b)は蓮華の斜視図、図4は香炉や花立て等の付属品の載置部分を示す一部破断の拡大側面図である。
この墓石は、下から順に芝台5、下台4,上台3,蓮華2及び佛石1を積み重ねたもので、下台4の前面に経机6と花立て8が配置され、上台3の前面には香炉7が配置されている。
図2に示すように、芝台5に納骨室10が形成され、この納骨室10に納骨するための納骨口9が、下台4の内部に形成されている。なお、図示の例の墓石では、経机6によって納骨口9の開口が閉じられている。図8に、経机6の断面図を示す。経机6の左右の脚61,61間の奥には、下台4に密着する経机6の背面と面一の背面壁62が形成されている。納骨口9に通じる納骨用の貫通孔63はこの背面壁62に形成されていて、この貫通孔63に開閉自在な納骨蓋14が嵌め込まれる。この納骨蓋14としては、例えば本願出願人が特開2000−192690号公報で開示したものを用いることができる。この公報で開示された技術に基づく納骨蓋14は、バネの付勢力によりしっかりと貫通孔63内で保持されるので、地震発生時に納骨蓋が貫通孔63から脱落することがないという利点がある。
上記のように構成すれば、経机6が固定されていても、納骨室10への納骨が可能である。また、納骨蓋14及び貫通孔63が経机6の左右の脚61,61間の奥に位置しているので、納骨蓋14と貫通孔63との間の隙間への雨水や雪解け水の浸入を防止することができ、納骨室10への雨水や雪解け水の浸入を防止することができるだけでなく、前記隙間での汚れの発生及び納骨蓋14の色落ちや劣化を効果的に防止することができる。また、既存の経机6をほぼそのまま用いることができるので、墓石の外観を損なうことがなく、納骨蓋14が外側から目立たなくなるので、その分、墓石の外観を向上させることができ、子供の悪戯も防止することができる。
図2に示すように、佛石1,蓮華2,上台3及び下台4の底面には、各々の底面より小さい面積の凸部1a,2a,3a,4aが形成されている。凸部1a,2a,3a,4aは、それぞれが形成される前記底面と相似形であってもよいが、異なる形状であってもよい。凸部1a,2a,3a,4aの大きさ(断面積)は、地震等で墓石に負荷や衝撃が作用しても、凸部1a,2a,3a,4aが容易に折損等しない十分なものとするのが好ましく、次に説明するシロ1c,2c,3c,4cとの関係で、許容される範囲内で前記底面に可能な限り近い大きさとするのが好ましい。
凸部1a,2a,3a,4aと各底面との間はシロ1c,2c,3c,4cとして形成され、佛石1,蓮華2,上台3及び下台4が蓮華2,上台3,下台4及び芝台5の上に載置される際に、シロ1c,2c,3c,4cの部分がこれらの上面に当接して重量の一部又は全部を受けるようになっている。特に、セメントペースト等の固化材が固化する前においては、大きな重量がシロ1c,2c,3c,4cに作用することになる。そのため、シロ1c,2c,3c,4cの幅が小さすぎると、佛石1等の台石や香炉7等の付属品の縁部が欠けたり、ひびが入るおそれがある。シロ1c,2c,3c,4cの寸法は、凸部1a,2a,3a,4aとの関係で可能な限り小さいものであるのが好ましいが、上記した問題が発生しない程度の大きさを有するものでなければならない。具体的に、一般的な墓石では数センチ程度、好ましくは3cm程度とするのがよい。
蓮華2,上台3及び下台4の上面には、凸部1a,2a,3aが嵌装される凹部2b,3b,4bが形成される。この凹部2b,3b,4bは、凸部1a,2a,3aを嵌め込むことができるように、凸部1a,2a,3aと同じ形状で、かつ、凸部1a,2a,3aよりも若干大きく形成される。また、図3に示すように、納骨室10が形成された芝台5には、納骨室10の上方開口周縁に沿って段部5bが形成され、この段部5bに下台4の凸部4aが嵌装されるようになっている。段部5bは、凸部4aを嵌め込むことができるように、凸部4aと同じ形状で、かつ、凸部4aよりも若干大きく形成される。
なお、この実施形態の墓石では、蓮華2,上台3,下台4及び芝台5の上面は、シロ1c,2c,3c,4cと当接する部分を除いて、縁に向かうほどその高さが減じる下向きの傾斜面として形成されている。図3(a)に下台4の傾斜面4d及び芝台5の傾斜面5dを示すとともに及び図3(b)に蓮華2の傾斜面2dを示すが、他の台石(この実施形態では上台3)についても同様であるので、図示は省略する。このようにすることで、蓮華2,上台3,下台4及び芝台5の上面の水はけがよくなり、台石間の境界部分への水の浸入を抑制して、墓石の寿命を向上させることができるほか、カビや水垢等による汚れの発生を防止することができる。
本発明では、墓石本体を構成する各台石(この実施形態では、佛石1,蓮華2,上台3,下台4及び芝台5)だけでなく、経机6,香炉7,花立て8等の付属品も同様の構成で芝台5及び下台4に載置される。
図3及び図4に示すように、芝台5の上面には、花立て8の底部に形成された凸部8aが嵌め込まれる花立て用凹部5gと、経机6の両脚の底部に形成された凸部(図示せず)が嵌め込まれる経机用凹部5fが形成されている。また、下台4の上面には、香炉7の底面に形成された凸部7aが嵌め込まれる香炉用凹部4fが形成されている。
そして、上記した各凹部,段部と各凸部との間の隙間には、固化材が充填される。前記した固化材は、固化の際及び固化後に体積減少を生じさせないものであればよい。好ましくは、固化の際及び固化後に体積増加(膨張)を生じさせるものがよい。体積増加によるくさび効果によって凸部が締め付けられ、佛石1等の台石や香炉7等の付属品の接合強度をより強固にする。また、固化材は、固化後にある程度の硬さを有するものが好ましい。このような条件を満たすものの一つとして、セメントペーストを挙げることができる。セメントペーストは、市販品を安価に入手することができ、かつ、取り扱いが容易で作業性に優れるという利点があるばかりでなく、固化前は流動性に富むことから凸部と凹部の間の隙間の隅々まで空間を生じさせることなく行き渡り、しかも気泡が生じにくいという利点がある。
図5は、セメントペーストの充填形態を示した部分拡大断面図である。なお、図5では、上台3と下台4のみを示しているが、他の構成部材についても同様である。
図5(a)に示すように、凸部3aと凹部4bとの間の隙間にのみセメントペースト12を充填するようにしてもよいが、図5(b)に示すように、セメントペースト12の一部を凸部3aのシロ3cと下台4の上面との間に介在させるようにしてもよい。このようにセメントペースト12を介在させることで、セメントペースト12がクッションとなって、墓石に振動が付与された際に上台3の縁部の欠けを防止することができるほか、耐震性をさらに高めることができる。
図5(b)に示すようにセメントペースト12の一部を凸部3aのシロ3cと下台4の上面との間に介在させるには、凹部4bの内部に予めセメントペースト12を投入しておき、その上から凸部3aを挿入すればよい。流動性に優れるセメントペースト12が、凸部3aの挿入によって凹部4bと凸部3aとの隙間を埋めつつ凹部4bの上端から溢れ出す。そして、溢れ出したセメントペースト12の上にシロ3cを載置すれば、凸部3aのシロ3cと下台4の上面との間にセメントペースト12が介在することになる。シロ3cから下台4の上面にはみ出した余分なセメントペースト12は、ウェスやヘラを使って除去するとよい。余分なセメントペースト12を除去した後は、上台3と下台4との間の隙間にセメントペーストによるメジ12aが形成されるので、隙間を埋めるためのメジ詰め作業が不要になるとともに、空洞が無く精度の高いメジ12aを形成することができる点でも有利である。
また、図5(c)に示すように、凹部4bの底部や凸部3aの端面に溝4e,3eや凹凸を形成して、セメントペースト12との接着性が高まるようにしてもよい。特に図示はしないが、溝や凹凸はシロ3cや下台4の上面に形成してもよい。
凸部及び凹部とセメントペーストとによって、墓石を構成する全ての構成部材が強固に接合されることで、あたかも一つの石から墓石を削成したように墓石全体が一体となって、高い耐震性を有するようになる。
図6は、凸部及び凹部の寸法決定のための図である。図6では佛石1,蓮華2,上台3,下台4及び芝台5等の台石(台石A,Bとする)を例に挙げて説明するが、経机6,香炉7,花立て8等の付属品においても、寸法決定の原理は同じである。
地震等の揺れが発生すると、下方の台石Bに載置されている上方の台石Aは、底面の周縁に位置する揺動中心Oを支点に揺動しようとする。このとき、揺動中心Oから最も遠い台石Aの凸部Aaの端部周縁の揺動軌跡(移動半径を図中rで示す)を、図中符号Rで示す。この揺動動軌跡R上に凹部Bbの内壁が位置していれば、すなわち、図中の符号Sで示す隙間より小さい隙間(隙間は両側に位置するので実際の寸法はS/2)であれば、凸部Aaが凹部Bbの内壁に当接して、台石Aは倒壊しない。
凸部Aaの幅(平面方向の寸法)及び高さ(鉛直方向の寸法),凹部Bbの幅及び高さはこれによって決定することができる。なお、揺れの方向によって揺動中心Oの位置が変わるので、揺れの方向に応じて設定した各揺動中心Oごとに隙間Sの値を求めて、凸部Aaの幅(平面方向の寸法)及び高さ(鉛直方向の寸法),凹部Bbの幅及び高さを求める。
図示の例では、凸部Aaと凹部Bbとの間に固化材を充填していないが、固化材(セメントペースト12)を充填した場合は、前記寸法(S/2)よりも多少大きくても、倒壊は防止できる。好ましい隙間(S/2)の範囲は、固化材としてセメントペースト12を用いた場合、通常の墓石で1mm〜3mm程度である。
次に、図7を参照しながら、本発明の墓石の一番下に位置する芝台5に形成された移動用の凹状湾曲部5hについて説明する。図7は、芝台に形成した凹状湾曲部の詳細を説明する部分拡大側面図である。
芝台5の側面上部には、凹状湾曲部5hが芝台5の全周に亘って形成されている。この凹状湾曲部5hの内周面は、移動用のベルト又はワイヤを引っ掛けたときに、芝台5やベルト,ワイヤを傷めることなく高い安全性を確保するために、角を無くした凹形の湾曲状に仕上げ、さらに芝石5の側面のコーナー部も、図3中の符合5aに示すようにR状に加工している。そのため、養生材も不要になる。
また、凹状湾曲部5hは芝台5の基部5iよりも寸法Cだけ小幅に形成されていて、基部5iが壁面や他の墓石の芝台と密着しても、寸法Cに応じた隙間が形成されるようになっている。そして、この隙間を通して、ベルトやワイヤを凹状湾曲部5hに引っ掛けたり、凹状湾曲部5hから取り外したりすることができるようになっている。そのため、前記隙間を通して凹状湾曲部5hにベルトやワイヤを引っ掛けることで、一体となった墓石を容易に運搬することが可能になる。また、複数のベルト等を引っ掛けることで、墓石の姿勢を安定させることができるので、移動時の高い安全性を確保できる。さらに、凹状湾曲部5hの形成位置や形状(デザイン)を適宜に選択することで、芝台5の美観、ひいては墓石の美観を高めることができる。
[実施例]
本発明の発明者は、上記構成の墓石の耐震実験を行った。
使用した墓石は、図1に示すものと同じ構造及び形態で、全高1458mm、全幅754mmの御影石製である。
凸部の寸法は、例えば佛石(幅244mm×244mm)において幅144mm×144mm、高さ48mmとした。シロ部分の幅は5cmであった。この凸部が嵌め込まれる凹部の寸法は、幅146mm×146mm、高さ53mmとした。幅方向の隙間の寸法は、1mmであるから、これを図6に当て嵌めると、前記揺動軌跡Rと凹部の内壁とが交叉する寸法である。
凸部と凹部を全ての構成部材について適用し、セメントペーストを凸部と凹部の隙間に充填した。
そして、墓石を起震機の土台に固定し、最大加速度11.5/msで揺れを付与した。これは、震度5弱〜中程度の地震に相当する。その結果、墓石に変化は見られなかった。
また、発明者は、上記の実験結果から得られたモデルを使って、種々の揺れを想定したシミュレーションを行った。その結果、本発明の墓石は、過去に日本で発生した阪神・淡路大震災や中越沖地震を含む全ての大地震の揺れに耐えうることがわかった。
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、各台石の底面と凸部の形状は相似形であることを前提としているが、凸部の形状は必ずしも前記底面形状に合わせる必要はなく、異なる形状であってもよい。
また、各台石や芝台に形成する排水用の傾斜及び芝台に形成する凹状湾曲部は、本発明の耐震墓石に限らず他の墓石にも適用が可能である。例えば、接着材やアンカーボルトで墓石を一体化したものにも適用が可能である。
さらに、納骨蓋14及び貫通孔63を設けるのは経机6に限定されず、香炉や他の台石であってもよい。
さらに、上記の説明では、納骨孔である貫通孔63と納骨蓋14の双方が、台石や付属品に形成した凹所の奥に位置するものとして説明したが、少なくとも納骨蓋14が凹所の奥に位置していればよく、納骨孔は台石や付属品の表面に開口していてもよい。
本発明は、洋式、和式を問わずにあらゆる形態の墓石に適用が可能である。また、墓石に限らず、墓地内に設置される石碑,墓誌,灯篭その他の付属物についても適用が可能である。特に、本発明の納骨蓋14及び貫通孔63は、本発明の墓石に限らず、本発明以外の他の墓石にも適用が可能である。
本発明が適用される墓石の一例を示したもので、その全体構成を説明する斜視図である。 図1のI−I方向断面図である。 芝台と下台の分解斜視図である。 香炉や花立て等の付属品の載置部分を示す一部破断の拡大側面図である。 セメントペーストの充填形態を示した部分拡大断面図である。 凸部と凹部の寸法関係を説明するための図である。 芝台に形成した凹状湾曲部の詳細を説明する部分拡大側面図である。 納骨蓋及び納骨のための貫通孔を説明するための図で、経机の断面図である。
符号の説明
1 佛石
2 蓮華
3 上台
4 下台
5 芝台
1a〜4a 凸部
2b〜4b 凹部
5a R状のコーナー部
5b 段部
5h 凹状湾曲部
6 経机
61 脚
62 背面壁
63 貫通孔(納骨孔)
12 セメントペースト(固化材)
12a メジ
14 納骨蓋

Claims (8)

  1. 複数の台石を積み重ねてなる墓石,石碑,墓誌,灯篭、前記墓石の所定位置に配置される花立て,香炉又は経机のいずれかを含む付属品を有する耐震墓において、
    前記台石及び前記付属品の底面の中央に、所定幅のシロ部分を残して凸部を形成し、
    前記台石及び前記付属品の上面の中央に、前記凸部よりも所定寸法大きい凹部を形成し、
    前記凸部を前記凹部に嵌め込んだときに形成される前記凸部と前記凹部との間の隙間に、固化材を充填して固化させたこと、
    を特徴とする耐震墓。
  2. 前記固化材がセメントペーストであることを特徴とする請求項1に記載の耐震墓。
  3. 前記台石を揺動させたときに、この台石に形成された前記凸部の軌跡から、前記凹部及び前記凸部の寸法を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐震墓。
  4. 前記凹部の底面及び前記凸部の端面の少なくとも一方に、溝又は凹凸を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐震墓。
  5. 前記固化材の一部を、前記隙間から前記シロの部分まで張り出させて、前記台石と前記台石との間、前記墓石の最下層に配置される台石である芝台と前記台石との間、前記台石と前記付属品との間又は前記芝台と前記付属品との間に前記固化材を介在させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐震墓。
  6. 前記台石の各々の上面に、前記シロと接する部分を除いて、周縁部分に向かって傾斜する排水用の傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐震墓。
  7. 前記墓石の最下層に配置される台石である芝台の上部周囲に、墓石移動のためのベルト又はワイヤを引っ掛ける凹状の湾曲部を形成し、かつ、前記湾曲部の上端が、前記芝台の基部よりも小幅に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の耐震墓。
  8. 前記墓石の納骨室に連通する納骨孔を前記台石又は前記台石に固定される前記付属品に形成する場合において、前記納骨孔に嵌め込まれる納骨蓋が、前記台石又は前記付属に形成した凹所の中に位置するように前記納骨孔を形成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の耐震墓。

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