JP2009096666A - 合わせガラスの製造方法及びそれに用いる樹脂シート - Google Patents

合わせガラスの製造方法及びそれに用いる樹脂シート Download PDF

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Abstract

【課題】架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有し、気泡残りのない外観の優れた合わせガラスを生産性良く製造する方法を提供する。
【解決手段】そのいずれもが架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第1樹脂シート(2)及び樹脂スペーサ(3)を用い、樹脂スペーサ(3)の内接円の直径が1〜50mmであり、第1ガラス板(1)の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シート(2)を配置し、第1樹脂シート(2)の上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板(5)を配置し、さらに第1樹脂シート(2)と第2ガラス板(5)との間に複数の樹脂スペーサ(3)を配置してから、第1ガラス板(1)と第2ガラス板(5)の間の空気を排出するとともに加熱してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させてから、冷却して固化させて、第1ガラス板(1)と第2ガラス板(5)とを接着させて合わせガラスを製造する。
【選択図】図3

Description

本発明は、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有する合わせガラスの製造方法に関する。また、その製造方法に好適に用いられる樹脂シートに関する。
樹脂製中間層を有する合わせガラスは、ガラスが破損した際の安全性に優れるので、建築用ガラスや車両用ガラスなどとして広く用いられている。合わせガラスを製造する際には、中間層を形成するための樹脂シートをガラス板の間に挟み、加熱溶融させてから、冷却して樹脂を固化させる方法が一般的に採用される。
合わせガラスの中間層として用いられる樹脂としては、ポリビニルブチラール、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体などが、用途に応じて使い分けられている。ポリビニルブチラールからなる樹脂シートをガラス板に挟んで合わせガラスを製造する場合には、上下からローラーなどで押圧して加熱することによって樹脂シートを溶融させて仮接着させてから、オートクレーブ中でまとめて加熱して合わせガラスを製造することができる。このとき、仮接着後に中間層の中に少々気泡が残っていても、オートクレーブ中で加熱する際に気泡は消滅する。
架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有する合わせガラスは、透明性、耐水性などに優れるため、そのような性能の求められる用途に広く用いられている。しかしながら、架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂シートをガラス板に挟んで合わせガラスを製造する場合には、ポリビニルブチラールからなる樹脂シートを用いる場合とは異なり、オートクレーブ中で加熱しても中間層中に残存した気泡は消滅しない。
したがって、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層中に気泡が残らないようにするために、ガラス板の間に樹脂シートを挟み、全体を真空にしてガラス板の間の空気を排出してから、加熱するともに上下から押圧して、エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させていた。このとき、気泡の残存を防止するためには、十分に真空度を上げてから樹脂シートを溶融させる必要があった。また、急激に温度を上昇させたのでは、熱が伝わりやすい縁部の樹脂シートだけが先に溶融するので、逃げ場を失った空気が中間層中に気泡として残りやすかった。したがって、気泡の残存のない合わせガラスを製造するには、時間をかけて減圧し、しかもゆっくりと昇温する必要があり、生産性向上の大きな妨げになっていた。
脱気速度を向上させるとともに、シートのハンドリング性を良好にするために、表面に微細な凹凸を形成した樹脂シートが市販されている。さらに、例えば特許文献1には、架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂シートの表面に、比較的大きな凹凸を形成することも提案されている。そこには、シート厚みの20〜95%という深いエンボスを形成することが記載されているが、それでもなお脱気性能は十分ではないし、深いエンボスは、かえってその凹部に気泡を残存させるおそれがあった。
特許文献2には、架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなり、表面に深さ2〜20μmのエンボスを形成した樹脂シートをガラス板の間に介在させた積層体を、圧着ロールと搬送ロール内蔵の加熱炉を有する合わせガラス製造装置に通す方法が記載されている。この方法によれば、連続生産が可能で、生産性が向上し、しかも脱気不良による外観的欠点のない合わせガラスが得られるとされている。しかしながら、樹脂シートの厚み精度、ガラス板の厚み精度、ガラス板の平面度、圧着ロール間隔の精度などの精度が高度に要求され、必ずしも容易に脱気不良を防止できるものではなかった。また、強化ガラスのように反りがあるようなガラス板を用いることは困難であるし、面積や厚みなどの仕様を変更するのも容易ではなかった。
特許文献3及び特許文献4には、受光面側透明板と裏面板との間に複数の太陽電池セルが樹脂で封止されてなる太陽電池モジュールの製造方法において、複数の太陽電池セルを所定の間隔をあけて配列して相互に導線で接続し、受光面側透明板と太陽電池セルの間に受光面側透明板の実質的に全面を覆う第1封止樹脂シートを配置し、裏面板と太陽電池セルの間に裏面板の実質的に全面を覆う第2封止樹脂シートを配置し、太陽電池セル間の間隙部には第1封止樹脂シートと第2封止樹脂シートで挟持されるように太陽電池セルの厚みよりも厚い封止樹脂シート片を配置してから、受光面側透明板と裏面板との間の空気を排出し、加熱して樹脂を溶融させてから冷却して封止することを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法が記載されており、複数の太陽電池セルを配列して樹脂で封止する際に、太陽電池セルの破損を防止することができるとされている。また、そのような製造方法に適した封止処理装置が記載されている。しかしながら、前記封止樹脂シート片は、太陽電池セルの破損防止のために配置されているのであり、生産性を向上させるために配置されたものではない。
特開2002−68785号公報 特開平6−24810号公報 国際公開第2004/038811号 国際公開第2005/106969号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有し、気泡残りのない外観の優れた合わせガラスを生産性良く製造する方法を提供することを目的とするものである。
上記課題は、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有する合わせガラスの製造方法において;そのいずれもが架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第1樹脂シート及び樹脂スペーサを用い、該樹脂スペーサの内接円の直径が1〜50mmであり、第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに第1樹脂シートと第2ガラス板との間に複数の前記樹脂スペーサを配置してから、第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出するとともに加熱してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させてから、冷却して固化させて、第1ガラス板と第2ガラス板とを接着させることを特徴とする合わせガラスの製造方法を提供することによって解決される。
このとき、架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第2樹脂シートをさらに用い、第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2樹脂シートを配置し、第2樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に複数の前記樹脂スペーサを配置してからエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる方法が、好適な実施態様である。
前記樹脂スペーサの高さが0.1〜3mmであることが好ましい。前記樹脂スペーサの面積が、第1ガラス板全体の面積の0.001〜10%であることも好ましい。また、前記樹脂スペーサを、第1ガラス板の周縁部に沿って間欠的に配置することも好ましい。
前記樹脂スペーサが、第1樹脂シートと第2ガラス板との間、又は第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に挟まれた樹脂シート片であることが好適な実施態様である。また、前記樹脂スペーサが、第1樹脂シート又は第2樹脂シートに形成された凸部であることが、他の好適な実施態様である。第1樹脂シート、第2樹脂シート又は樹脂スペーサの表面に微細な凹凸が形成されていることも好適である。
接着前の積層体を容器に導入し、該容器内を減圧して第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出するとともに前記積層体を上下から押圧し、該容器内を昇温してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる方法が、好適な実施態様であり、減圧操作を開始してから、前記容器内がエチレン−酢酸ビニル共重合体の融点以上の温度になるまでの時間が20分以内であることが好ましい。
前記容器が気体不透過性の柔軟なシートからなり、前記積層体の入った複数の前記容器をオーブン内に導入してから、該容器内を減圧して第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出し、該容器内を昇温してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させることが好適な実施態様である。気体不透過性の柔軟なシートで相互に仕切られた第1室及び第2室を有する装置を用い、前記積層体が導入される第1室が減圧可能になっていて、第2室が大気圧に保たれることも好適な実施態様である。エチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度まで前記容器内を昇温することも好ましい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度までは前記容器内を昇温せずに第1ガラス板と第2ガラス板とを仮接着し、仮接着した積層体を前記容器から取り出して別の加熱装置に導入し、該加熱装置中でエチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度まで加熱することも好ましい。
また、上記課題は、合わせガラスの中間層に用いられる架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂シートであって、該樹脂シートの少なくとも一面に複数の凸部を有し、該凸部の内接円の直径が1〜50mmであることを特徴とする樹脂シートを提供することによっても解決される。このとき、前記凸部の高さが0.1〜3mmであり、かつ前記凸部の面積が中間膜の面積の0.001〜10%であることが好適である。
本発明の製造方法によれば、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有し、気泡残りのない外観の優れた合わせガラスを生産性良く製造することができる。
本発明の製造方法は、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有する合わせガラスの製造方法において;そのいずれもが架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第1樹脂シート及び樹脂スペーサを用い、該樹脂スペーサの内接円の直径が1〜50mmであり、第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに第1樹脂シートと第2ガラス板との間に複数の前記樹脂スペーサを配置してから、第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出するとともに加熱してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させてから、冷却して固化させて、第1ガラス板と第2ガラス板とを接着させるものである。
合わせガラスを製造する際に、空気の排出を促進するために樹脂シートの表面に細かいエンボスを設けることが、これまで広く行われていた。しかしながら、ガラス板の重量や減圧操作に由来する上下からの荷重を受けるために、樹脂シートとガラス板の間、あるいは樹脂シート同士の間において、エンボス面が、ガラス面や隣接する樹脂シート面と密着する。エチレン−酢酸ビニル共重合体は比較的柔軟な樹脂であるので、荷重がかかった状態で密着すると、空気の通路が塞がれやすく、結果として十分に脱気するのに時間を要していた。また、ガラス板の平坦性や厚みムラ、樹脂シートの厚みムラやエンボスの形成ムラなどのために、上下からの荷重のかかり具合は決して均一にはならず、局所的に荷重の過大な部分において、空気の排出が困難になるおそれがあった。特に、ガラス板の面積が大きい場合にその傾向が顕著であった。
本発明の製造方法によれば、第1樹脂シートと第2ガラス板との間に所定の寸法の樹脂スペーサを配置することにより、第1樹脂シートと第2ガラス板との間の空気を迅速に排出することができる。さらに、樹脂スペーサが上下からの荷重を支えて樹脂スペーサ以外の部分には荷重がかからないので、第1ガラス板と第1樹脂シートとの間の空気も迅速に排出することができる。このように、ガラス板の大部分を占める、樹脂スペーサ以外の部分において、極めて迅速に、しかも確実に脱気することが可能となる。そして、本発明者が検討したところ、樹脂スペーサの部分のみであれば、その面積が小さいので、短時間の処理であっても気泡が残存しないことを見出したのである。樹脂スペーサ部分の面積が小さいので、その部分における上下からの荷重はむしろ大きくなるけれども、ガラス板や樹脂シートにおける局所的なムラの影響を受けにくく、このことも気泡の残存防止に役立っているようである。
このように、樹脂シート全面に対して細かいエンボスを形成するのではなく、敢えて一定面積以上の樹脂スペーサを間欠的に複数配置することによって、短時間の接着操作で気泡の残存を確実に防止することができる。そして、樹脂スペーサも架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるので、加熱されることによって、第1樹脂シートと溶融一体化し、最終製品ではそれに由来する外観上の不均一は全く認められなくなることが明らかになった。すなわち、敢えてマクロ的な不均一部分を形成することによって、ミクロ的な気泡の残存を防止することができることを実験的に見出したのである。全体として均一な中間層を形成するためには、敢えて不均一部分を形成することが効果的なのである。なお、特許文献3及び4にも記載されているように、太陽電池モジュールなどを製造する際に、厚い樹脂シート片をスペーサとして用いて、太陽電池セルのように破損しやすいものを保護する考え方は従来からあったけれども、そのようなものを内包しない、実質的に架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体のみからなる均一な中間層を形成する際に、樹脂スペーサを用いることによって、生産速度を大幅に向上させられることは、驚くべきことである。
架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第2樹脂シートをさらに用いることもできる。この場合には、第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、該第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2樹脂シートを配置し、該第2樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに前記第1樹脂シートと前記第2樹脂シートとの間に複数の樹脂スペーサを配置してからエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させることになる。
このときには、第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に樹脂スペーサを配置することにより、第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間の空気を迅速に排出することができる。さらに、樹脂スペーサが上下からの荷重を支えて樹脂スペーサ以外の部分には荷重がかからないので、第1ガラス板と第1樹脂シートとの間、及び第2ガラス板と第2樹脂シートとの間の空気も迅速に排出することができる。これらの効果は、第2樹脂シートを用いない場合と同様である。本発明において、第1ガラス板及び第2ガラス板における「第1」及び「第2」は、上下の位置を表すものではなく、作業の順番を表すものでもなく、単に相対的な配置関係を示すものである。第1樹脂シートと第2樹脂シートについても同様である。
以下、本発明の製造方法について、さらに詳細に説明する。
本発明で使用するガラス板は特に限定されず、用途や目的に応じて選択される。通常、第1ガラス板と第2ガラス板とは実質的に同じ形状であるが、厚みや素材は異なっていてもよい。ガラス板の厚みは、2mm以上であることが好ましい。薄すぎる場合には、樹脂スペーサの配置ピッチを小さくしないと製造中にガラス板が破損するおそれがある。また、ガラス板が厚い場合には、上下から樹脂シートにかかる荷重が大きく、加熱時の熱伝導にも時間を要するので、本発明の製造方法を採用する利益が大きい。ガラス板の厚みは、より好適には3mm以上であり、さらに好適には5mm以上である。一方、ガラス板の厚みは、好適には30mm以下であり、より好適には20mm以下である。ガラス板の面積は特に限定されないが、大面積のガラス板である場合に本発明の製造方法を採用する利益が大きい。好適には0.5m以上であり、より好適には1m以上である。
本発明の製造方法においては、強化ガラスと非強化ガラスのいずれを使用することもできる。表面圧縮応力が20MPa以上のガラス板を用いる場合、樹脂スペーサの配置ピッチが大きくても製造中にガラス板が破損しにくいので好ましい。ここで、板ガラスの表面圧縮応力は、JIS R3222に準じて測定される値である。表面圧縮応力が20MPa以上のガラス板としては、具体的には、倍強度ガラス、強化ガラス、超強化ガラスなどが挙げられる。倍強度ガラスは表面圧縮応力が通常20〜60MPaのものであり、強化ガラスは表面圧縮応力が通常90〜130MPaのものであり、超強化ガラスは表面圧縮応力が通常180〜250MPaのものである。また、表面圧縮応力を大きくするほど、強度は向上するが、反りが大きくなりやすい。したがって、接着処理時に上下からのガラス板への荷重が偏りやすいので、本発明の製造方法を採用する利益が大きい。表面圧縮応力は、より好適には90MPa以上である。
本発明で使用する樹脂シート及び樹脂スペーサは、架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるものである。通常、過酸化物などのラジカル発生剤や、必要に応じて多価アクリレートや多価アリル化合物などの架橋性モノマーが配合されていて、120℃を超える温度で架橋反応が進行するようになっている。エチレン−酢酸ビニル共重合体の融点は通常60〜90℃である。融点が低すぎると、得られる中間層の強度が低下するおそれがあり、好適には65℃以上である。一方、融点が高すぎると、得られる中間層の透明性や柔軟性が不十分になるおそれがあり好適には85℃以下である。樹脂シートの材料と樹脂スペーサの材料とは仕様が異なっていても構わないが、溶融した際に不均一にならない程度に類似した仕様の材料を使用することが好ましく、実質的に同一の仕様の材料を使用することがより好ましい。
第1樹脂シート、第2樹脂シートともに、第1ガラス板および第2ガラス板の実質的に全面を覆う寸法である。また、樹脂シートの厚さは、第1樹脂シート、第2樹脂シートともに通常0.1〜2mmである。薄すぎると、合わせガラスとしての強度が不十分になるおそれがあり、好適には0.2mm以上であり、より好適には0.3mm以上である。一方、厚すぎると、樹脂シートのハンドリングが困難になる上に、コストが上昇するので、好適には1.5mm以下であり、より好適には1mm以下である。なお、第1樹脂シートが複数の樹脂シートが重ねられて構成されたものであっても構わないし、第2樹脂シートも同様である。樹脂シートの表面には、樹脂シート同士の間あるいは樹脂シートとガラス板との間の滑りを良くし、空気の排出を促進するために微細な凹凸が形成されることが好ましい。具体的には、表面に深さ100μm未満の微細な凹凸が形成されたものであることが好ましく、いわゆる梨地の表面を有しているものが好適に用いられる。凹凸は樹脂シートの両面に形成されていることが好ましい。
以下、樹脂スペーサについて説明する。本発明で使用する樹脂スペーサは、第1樹脂シートと第2ガラス板との間、又は第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に挟まれた樹脂シート片であっても構わないし、第1樹脂シート又は第2樹脂シートの少なくとも一面に形成された凸部であっても構わない。ここで、樹脂シートに形成された凸部である場合には、凸部のない領域に形成された表面から突出した部分が樹脂スペーサである。樹脂スペーサの表面にも、樹脂シート同様に空気の排出を促進するために微細な凹凸が形成されることが好ましい。
樹脂スペーサの高さは0.1〜3mmであることが好適である。樹脂スペーサの高さが0.1mm未満の場合には、上下から荷重がかかったときに空気の抜け道が塞がれやすく、短時間で気泡残りのない合わせガラスを製造することが困難になるおそれがある。特に、ガラス板の面積が大きいとき、ガラス板の厚みが厚いとき、ガラス板が強化されて反りを有しているときなどには、空気の抜け道を確実に確保するために、樹脂スペーサの高さを高く設定したほうが良い。樹脂スペーサの高さは、より好適には0.2mm以上であり、さらに好適には0.3mm以上である。一方、樹脂スペーサの高さが高すぎる場合には、溶融して樹脂シートと一体化するのに時間がかかったり、不均一な部分が残ったりするおそれがある。樹脂スペーサの高さは、より好適には2mm以下であり、さらに好適には1.5mm以下である。ここで、樹脂スペーサの高さは、荷重がかかっていない状態での高さのことをいう。
本発明の製造方法においては、樹脂スペーサの水平方向の内接円の直径が1〜50mmであることが重要である。樹脂スペーサの面積が小さすぎると上下から荷重がかかったときにつぶれて空気の抜け道が塞がれやすく、短時間で気泡残りのない合わせガラスを製造することが困難になる。特に、ガラス板の面積が大きいとき、ガラス板の厚みが厚いとき、ガラス板が強化されて反りを有しているときなどには、空気の抜け道を確実に確保するために樹脂スペーサの内接円の直径を大きく設定したほうが良く、より好適には1.5mm以上であり、さらに好適には2mm以上である。一方、樹脂スペーサの内接円の直径が大きすぎる場合には、樹脂スペーサのあった場所に気泡が残ってしまい、結果として気泡残りのない合わせガラスを製造することが困難になる。この場合、樹脂スペーサのあった場所の中央部分に気泡が残る場合が多いことが実験的に確かめられている。急速に昇温した場合には、樹脂スペーサの周縁部から樹脂の溶解が進行し、樹脂スペーサの中央部に取り残された空気が合わせガラス中に残ってしまうと考えられる。樹脂スペーサの縁部までの距離が長い位置には気泡が残存しやすいので、縁部までの最短距離を考慮して、その内接円の直径が一定値以下であることが重要なポイントである。樹脂スペーサの内接円の直径は、より好適には30mm以下であり、さらに好適には20mm以下である。
樹脂スペーサの水平方向の形状は特に限定されず、正方形、長方形、円形、楕円形などの形状を適宜採用できる。例えば、長方形であればその短辺の長さが内接円の直径と等しく、楕円形であればその短径が内接円の直径と等しい。また、樹脂スペーサの垂直方向の断面形状も特に限定されず、長方形、台形、三角形、半円形などの形状を適宜採用できる。ここで、上記内接円の直径は樹脂スペーサの高さの半分の位置における内接円の直径とする。例えば、水平形状が長方形で、垂直方向の断面形状が台形である場合を考えると、その内接円の直径Rは図1で示されるとおりである。また、水平形状が円形で、垂直方向の断面形状が略半円形である場合を考えると、その内接円の直径Rは図2で示されるとおりである。図1及び図2において、上側の図が平面図であり、下側の図が垂直方向の断面図である。樹脂スペーサが、樹脂シートとは別の樹脂シート片である場合には、垂直方向の断面形状は長方形になる場合が多い。一方、樹脂スペーサが、樹脂シートに形成された凸部である場合には、エンボスロールの断面形状を調整することによって、長方形、台形、半円形、三角形など、様々な断面形状の凸部が容易に形成できる。
樹脂スペーサの合計の面積が、前記ガラス板全体の面積の0.001〜10%であることが好ましい。樹脂スペーサは、上下からの荷重に耐えて、第1ガラス板と第2ガラス板の間に空間を維持させる必要がある。そのためには、樹脂スペーサの面積が、第1ガラス板全体の面積の0.001%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましい。一方で、第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を迅速に排出するためには、その占める割合は小さいほどよい。そのため、樹脂スペーサの面積が、第1ガラス板全体の面積の10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。ここで、樹脂スペーサの面積とは、樹脂スペーサの高さの半分の位置における断面積とする。これは、図1及び図2において、破線で囲まれた面積である。
一枚の合わせガラスを製造する際に用いられる樹脂スペーサの数は特に限定されず、合わせガラスの仕様によって適宜調整される。原材料のガラス板として、四角形のものを用いることが多いので、通常、四隅に配置するために4個以上配置することが好ましい。面積が大きい場合には、中央部のたわみの影響を考慮して多く配置することが好ましい。また、ガラス板の厚みが薄い場合や、ガラス板が非強化品であるような場合には、樹脂スペーサの間隔が広すぎると上下からの荷重を受けて割れることがあるので、やはり多く配置することが好ましい。配置するスペーサの数は、より好適には8個以上であり、さらに好適には12個以上である。ガラス板の中央部はどうしても脱気しにくくなるので、脱気しやすい周縁部に沿って樹脂スペーサを配置することが好ましい。このとき、間欠的に配置することによって、ガスの通り道を確保することができる。ガラス板の周縁部に比べて中央部の配置の密度を低くすることが好ましい。また、ガラス板の周縁部に配置される樹脂スペーサに比べて中央部に配置される樹脂スペーサの寸法を小さくすることも好ましい。すなわち、周縁部で上下からかかる荷重の大部分を受けとめ、中央部分では、ガラス板のたわみなどに由来する荷重だけを受けられればよい。
ガラス板の仕様ごとに樹脂スペーサの寸法と数を決定し、適切な位置に配置するためには、樹脂スペーサとして樹脂シート片を用い、それを配置する方法が好ましい。この場合、市販の樹脂シートを所望の寸法に切断した樹脂スペーサを用いることができるが、手作業あるいはロボット作業による樹脂シート片の配置作業が必要になる。しかしながら、通常、樹脂スペーサの数はそれほど多くなく、配置精度もそれほど要求されないので、作業負担はそれほど問題にならない。
一方、生産性をさらに向上させるために、予め凸部が形成された樹脂シートを用いることもできる。同じ寸法の合わせガラスを大量に製造するような場合であれば、その寸法に適した凸部の配置を有する樹脂シートを用いることができる。そうでない場合であっても、一定間隔で凸部を形成した樹脂シートを用いて、異なる仕様の合わせガラスを製造することができる。例えば、縦横100mmのピッチで、直径5mm、高さ0.5mmの半球状の凸部を規則正しく形成した樹脂シートなどを作成して、様々な仕様の合わせガラスを製造することができる。
以上説明した、ガラス板、樹脂シート及び樹脂スペーサを用いて、合わせガラスが製造される。以下、具体的製造方法について説明する。
まず、図3を用いて、積層構成について説明する。図3は、接着前の積層体10の模式断面図である。第1ガラス板1の上に、その実質的に全面を覆う第1樹脂シート2を載置する。次に、第1樹脂シート2の上に複数の樹脂シート片を配置して樹脂スペーサ3とする。引き続き、樹脂スペーサ3の上に、第2樹脂シート4を重ねてから、その上に第2ガラス板5を重ねる。このとき、第2樹脂シート4は省略可能である。また、樹脂スペーサ3が、第1樹脂シート2の表面に形成された凸部である場合には、樹脂シート片を使用せず、凸部が形成された第1樹脂シート2を用いるだけでよい。
こうして得られた積層体10において、第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を排出するとともに加熱してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる。このとき、接着前の積層体10を容器11に導入し、容器11内を減圧して第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を排出するとともに容器11内を昇温して、エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させることが好ましい。容器11内を十分に減圧して第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を十分に排出してからエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させることによって、気泡の残存を防止することができる。本発明の製造方法によれば、第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を迅速に排出することができ、容器11内を迅速に高真空度にすることができるので、エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させるまでの時間を短くすることができる。
減圧操作を開始してから、容器11内がエチレン−酢酸ビニル共重合体の融点以上の温度になるまでの時間を10分以内とすることが好ましく、10分以内とすることがより好ましい。従来、樹脂スペーサ3なしで製造していた場合には、1時間以上の時間をかけて融点以上の温度になるまで昇温しなければ気泡の残存を防止することができなかったが、本発明の製造方法によって大幅な時間短縮が可能となった。このとき、積層体10を加熱しながら上下から押圧することが好ましい。そうすることによって、樹脂スペーサ3が溶融した樹脂と第1樹脂シート2及び第2樹脂シート4が溶融した樹脂とが容易に一体化して均一な中間層が形成される。上下から押圧する手段は特に限定されず、プレートやローラーによって機械的に圧力を印加してもよいし、容器11の内部を減圧して大気圧で押圧してもよい。
容器11内で加熱接着させるに際し、好適な態様の一つは、容器11を気体不透過性の柔軟なシートとし、積層体10の入った複数の容器11をオーブン13内に導入してから、容器11内を減圧して第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を排出し、容器11内を昇温してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる方法である。
図4は、そのような装置の一例の模式図である。この装置は、積層体10を内部に収容する複数の容器11を有し、空気の排出操作と加熱操作の可能なものである。このとき、容器11はその一部又は全部が気体非透過性の柔軟な膜からなるものである。当該膜の素材は、気体非透過性の柔軟な膜であれば良く、一定以上の柔軟性と強度があって、膜の内部が真空になった時に外気圧が積層体10全体に均一にかかるようになるものであれば特に限定されず、ゴムや樹脂のシートやフィルムが使用できる。このとき、全体が気体非透過性の柔軟な膜からなる袋を使用することが好ましい。この場合には、容器11は単なる袋であるから、様々な形状や寸法の合わせガラスを製造する際に柔軟に対応することが可能であり、建材など、多様な寸法の製品を製造することが要求される用途に対して好適である。積層体10を容器11に導入する際には、積層体10の外縁を通気性のある素材からなるブリーダー12で覆って、積層体10内部の溶融樹脂が流出するのを防ぐとともに、積層体10内部からの空気の排出ルートを確保することが好ましい。ブリーダー12に使用される素材としては、織布、編地、不織布などの布帛が使用可能である。
このようにして積層体10が入れられた複数の容器11をオーブン13内に導入して相互に間隔をあけて配置する。複数の容器11は、上下方向に、間隔をあけて重ねて平行に配置されることが好ましい。所定の間隔をあけて配置する方法は特に限定されず、所定の間隔を有する棚をオーブン13内に設ける方法などが例示される。オーブン13内において積層体10と平行の向きに熱風を流すことによって積層体10を加熱することが好ましい。積層体10と平行の向きに熱風を流すことによって、積層体10に効率良くかつ均一に熱を伝えることが可能である。このとき、容器11の下面にも熱風が接触するようにすることが好ましく、そのためには、容器11と棚との間にスペーサを配置する方法や、棚自体を網棚にする方法などが好適に採用される。熱風を供給する方法は特に限定されず、オーブン13内にヒーターを設けて、ファンを用いて積層体10と平行の向きに熱風を流しても良い。しかしながら、オーブン13の外部にヒーターを設けて、熱風をオーブン13内に導入する方法が、均一に加熱しやすくて好ましい。この場合、オーブン13が、熱風導入口と、その反対側に設けられた熱風導出口とを有し、熱風導入口から熱風導出口へと流れる通路の間に複数の容器11が配置されることが好ましい。また、オーブン13内を実質的に大気圧に維持しながら積層体10を加熱することが、装置コストの面から好ましい。
加熱接着処理に際しては、容器11内を減圧して第1ガラス板1と第2ガラス板5との間の空気を排出する。図4の装置では、それぞれの容器11に対して排気するためのパイプ14が接続されている。パイプ14は、3本まとめられてパイプ15に接続されている。さらにこのようにまとめられたパイプ15が6本(一部図示を省略)、タンク16に接続されている。タンク16は真空ポンプ17に接続されており、これによって容器11内部の空気を排出することが可能である。容器11の数は、複数であることが好ましく、生産効率を考慮すれば、6個以上であることが好ましく、12個以上であることがより好ましい。
6本のパイプ15のそれぞれには、バルブ18を介して圧力計19が接続され、またパイプ15中の流れを遮断することの可能な電磁弁20が設けられている。これによって、パイプ15に接続された容器11のいずれかに漏れが発生した場合に、圧力計19が圧力の上昇を検知し、制御回路21が電磁弁20に信号を送って電磁弁20を閉じる。これによって、加熱接着操作の途中で一つの容器11に漏れが発生しても、他の容器11にその悪影響が及ぶのを防止することができる。本発明で使用する容器11は、柔軟なシートからなるものであり、漏れが発生するおそれがあるので、このような制御方法を採用することが好ましい。図4の例では、3つの容器11ごとに一つの制御を行っているが、これは設備コストと効果とのバランスに基づくものである。圧力計19と電磁弁20のセットは、好適には2セット以上、より好適には3セット以上、さらに好適には5セット以上である。制御回路21からアラーム信号を出して、オペレーターに知らせることもできる。
6本のパイプ15はタンク16に接続されており、電磁弁20が開いている状態では、全ての容器11がタンク16と連通している。タンク16の空気は真空ポンプ17によって排出される。タンク16にはコントロールバルブ22を介して外気を導入することができる。タンク16内の圧力を制御することによって全ての容器11の内部の圧力を同時に制御することができる。タンク16内部の圧力は、バルブ23を介して接続された圧力計24で計測され、この圧力データを受け取った制御回路25がコントロールバルブ22に信号を送って外気を取り入れながら所望の圧力に微調整する。この間真空ポンプ17は運転を継続している。比較的容量の大きなタンク16に対して外気を取り込みながら制御することで容器11内の圧力の微調整が可能である。
また、容器11内の減圧操作を開始する前に、電磁弁20を閉めた状態で真空ポンプ17の運転を行うことによって、タンク16内を予め減圧しておくこともできる。この場合には、電磁弁20を開くことによって迅速に容器11内の空気を排出することができる。これによって、真空ポンプ17の排気能力が小さい場合であっても、容器11内を迅速に減圧するのに役立つ。
以上説明したような装置を用いて第1ガラス板1と第2ガラス板5との間の空気を排出し、加熱して樹脂を溶融させてから冷却して封止する。このときの温度条件は特に限定されるものではなく、エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させることの可能な温度まで上昇させれば良い。好適には80℃以上、より好適には90℃以上まで温度を上昇させる。このとき、さらに架橋可能な温度まで上昇させて、所定の時間架橋可能な温度に保持することが好ましく、好適には120℃以上、より好適には140℃以上まで温度を上昇させる。最高温度の上限値は通常200℃以下であり、好適には180℃以下である。架橋可能な温度に好適には10分〜1時間保って架橋反応を進行させる。架橋反応を進行させた後、冷却する。上記加熱操作及び冷却操作の間、容器11内は減圧状態に保たれることが好ましい。冷却操作の途中又は終了後にコントロールバルブ22を開いて減圧状態を解除する。
上述のように、容器11の全体が気体非透過性の柔軟な膜からなる袋を使用する場合には、袋が積層体10に密着する。したがって、袋と積層体10の間には空間が実質的に存在せず、薄い袋を介して直接ガラス板に熱が伝達される。このような場合には、本発明における「容器内の温度」は、これらの袋が収容されるオーブン13内の温度であるとする。
容器11内で加熱接着させるに際し、好適な態様の他の一つは、気体不透過性の柔軟なシートで相互に仕切られた第1室30及び第2室31を有する装置を用い、積層体10が導入される第1室30が減圧可能になっていて、第2室31が大気圧に保たれるものである。この場合、第1室30が容器11である。
図5は、そのような装置の一例の模式図である。この装置は、気体不透過性の柔軟なシート32で相互に仕切られた第1室30及び第2室31から構成され、積層体10が導入される第1室30に真空ポンプ33が接続され減圧可能になっていて、他方の第2室31が大気圧に保たれるものである。搬送ローラー34を備え、入口扉35から積層体10を導入し、出口扉36から積層体10を導出することができる。搬送ローラー34以外の搬送手段を用いてもよい。第1室30、第2室31はそれぞれヒーター37、38を備えていて、加熱することが可能である。また、必要に応じて、迅速に冷却するための冷却手段を設けても良い。
図5の装置を用いて加熱接着させる際の操作は以下のとおりである。まず、搬送ローラー34を用いて積層体10を入口扉35から第1室30に導入してから、入口扉35を閉める。続いて、電磁弁39を開いて真空ポンプ33により第1室30内部を減圧するとともに、第1室30、第2室31ともにヒーター37、38によってエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融することの可能な温度まで上昇させる。好適には80℃以上であり、より好適には90℃以上まで温度を上昇させる。この後、架橋可能な温度まで上昇させても構わないが、好適には、120℃未満、より好適には110℃以下の最高温度まで到達したところで冷却する。上記加熱操作の間、第1室30内は減圧状態に保たれることが好ましい。冷却操作の途中又は終了後に電磁弁40を開いて減圧状態を解除する。
ここまでの操作によって、未架橋のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂で仮接着された積層体10が製造される。本発明の製造方法によれば、第1ガラス板1と第2ガラス板5の間の空気を迅速に排出することができ、第1室30内を迅速に高真空度にすることができるので、エチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させるまでの時間を短くすることができる。溶融させて冷却するだけであるので30分以内で仮接着が可能である。仮接着に要する時間は、より好適には20分以内であり、さらに好適には15分以内である。短時間で仮接着することが可能であり、搬送ローラー34などの搬送手段も採用できることから、自動化ラインで合わせガラスを製造することもできる。
こうして仮接着された積層体10は、引き続き架橋処理される。架橋処理に際しては、複数枚をまとめて加熱してもよいし、1枚ごとに加熱してもよい。複数枚をまとめて加熱するのであれば、仮接着された積層体10を棚付き台車に載せるなどして、架橋処理用の加熱槽に導入し、所定の時間架橋可能な温度に保持する。このとき、好適には120℃以上、より好適には140℃以上まで温度を上昇させる。最高温度の上限値は通常200℃以下であり、好適には180℃以下である。架橋可能な温度に好適には10分〜1時間保って架橋反応を進行させて架橋反応を進行させた後、冷却する。ここで、加熱槽としては、オーブンやオートクレーブなど、加熱操作の可能なものであれば特に限定されない。この方法によれば、仮接着に比べてエネルギーを要する架橋処理をまとめて行うことができるので、エネルギー消費量の面で有利である。
以上のように、本発明の製造方法によれば、気泡残りのない良好な外観の合わせガラスを、生産性良く製造することができる。製造される合わせガラスは、実質的に架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体のみからなる中間層を有するものであることが好適である。ガラス板全面に亘って均一な中間層を形成する際に、敢えてマクロ的に不均一な部分である樹脂スペーサを用いることによって、均一かつ良好な外観の中間層を生産性良く製造できることは驚きであり、その利益も大きい。
以下、実施例によって本発明を説明する。本実施例は、実際の生産プロセスのモデル試験であり、これによって前述の生産プロセスが実施可能であることが示されているものである。
実施例1
第1ガラス板1として、1000mm×2000mm×10mmのフロート板強化ガラス(青板ガラス)を使用した。当該強化ガラスの表面圧縮応力は100MPaである。第1樹脂シート2としては、株式会社ブリヂストン製「銘柄:EVASAFE」の厚さ0.4mmのものを使用した。当該樹脂シートは、エチレン−酢酸ビニル共重合体に、ラジカル発生剤、架橋性モノマーなどを配合したものであり、架橋前の樹脂のDSC法で測定した融点は76℃である。第1樹脂シート2の表面には浅いエンボス模様(梨地)が形成されていて、その深さは100μm未満である。第1ガラス板1の上に、1000mm×2000mmの寸法の第1樹脂シート2を1枚重ねた。
引続き、第1樹脂シート2の上に、図6に示すように樹脂シート片からなる樹脂スペーサ3を配置した。ここで、樹脂スペーサ3は、上記第1樹脂シート2に用いたものと同じ樹脂シートを切断したものであり、20mm×10mmの長方形のものと、3mm×3mmの正方形のものの2種類を作成した。断面形状は長方形である。まず、第1樹脂シート2の四隅に、20mm×10mmの樹脂スペーサ3を、第1ガラス板1の端部からの余白の幅が10mmになるように、4個配置した。次に、第1ガラス板1の長辺に沿って、第1ガラス板1の端部からの余白の幅が10mmになるよう、20mm×10mmの樹脂スペーサ3を4個等間隔に配置した。引き続き、第1ガラス板1の短辺に沿って、第1ガラス板1の端部からの余白の幅が10mmになるよう、20mm×10mmの樹脂スペーサ3を2個等間隔に配置した。さらに、第1ガラス板1の中央部分の、長辺方向に3等分し、短片方向に2等分した位置に、3mm×3mmの樹脂スペーサ3を2個配置した。以上の樹脂スペーサの総面積は、3218mmであり、第1ガラス板1の面積2000000mmの約0.16%である。以上のように樹脂スペーサ3を配置した後に、第1樹脂シート2と同じ仕様の第2樹脂シート4を1枚重ねた。最後に、第1ガラス板1と同じ仕様の第2ガラス板5を1枚重ね、接着前の積層体10を得た。
こうして得られた積層体10を用い、図4に示される装置を用いて加熱接着処理を行った。まず、積層体10の外縁の全周をブリーダー12で覆い、容器11であるゴム製の袋の中に投入し、パイプ14と接続してオーブン13に入れて、容器11内部を減圧した。減圧を開始するとともに昇温を開始した。室温(20℃)から5分間かけて100℃まで昇温し、100℃で1分間保持し、5分かけて155℃に昇温した。155℃に35分間保持し、20分かけて40℃まで冷却し、減圧を解除してオーブン13から取り出した。減圧操作及び昇温操作を開始してから取り出すまでの時間は66分であった。得られた合わせガラスには、気泡残りは観察されず、良好な外観であった。
実施例2
実施例1と同じ積層体10を作成し、加熱接着処理時の温度条件のみを変化させて合わせガラスを作製した。室温(20℃)から5分間かけて100℃まで昇温し、100℃で1分間保持し、5分かけて40℃まで冷却し、オーブン13から取り出した。減圧及び昇温を開始してから取り出すまでの時間は11分であった。得られた合わせガラスは仮接着されたものであり、気泡残りは観察されず良好な外観であった。この後、別途架橋可能な温度で処理することによって、良好な外観を保ったままエチレン−酢酸ビニル共重合体を架橋させることができる。
比較例1
実施例1において、第1ガラス板1の周縁部及び中央部分に配置した18個の樹脂スペーサ3の形状を全て60mm×60mmの正方形とした以外は実施例1と同様に樹脂スペーサ3を配置して、加熱接着処理を行った。その結果、60mm×60mmの樹脂スペーサ3のあった位置の中央付近に、気泡の残存が認められた。
比較例2
実施例1において、樹脂スペーサ3の形状を全て0.8mm×0.8mmの正方形とし、第1ガラス板1の長辺方向に21列、短辺方向に11列、約10cmのピッチで合計231個を配置した以外は実施例1と同様に樹脂スペーサ3を配置して、加熱接着処理を行った。その結果、合わせガラス全面の広い範囲において、ところどころに、気泡の残存が認められた。
比較例3
実施例1において、樹脂スペーサ3を全く配置しなかった以外は実施例1と同様に樹脂スペーサ3を配置して、加熱接着処理を行った。その結果、合わせガラス全面の広い範囲において、気泡の残存が認められた。
比較例4
比較例3において、加熱接着処理の際の温度条件を以下のように変更した以外は比較例3と同様にして、加熱接着処理を行った。減圧を開始するとともに昇温を開始し、室温(20℃)から5分間かけて55℃まで昇温し、55℃から140分かけて95℃まで昇温し、95℃で10分間保持し、30分かけて155℃に昇温した。155℃に35分間保持し、20分かけて40℃まで冷却し、オーブンから取り出した。減圧及び昇温を開始してから取り出すまでの時間は240分であった。得られた合わせガラスには、気泡残りは観察されず、良好な外観であった。この温度条件は、気泡残りを確実に防止できることが経験的にわかっている条件である。
図1は、水平形状が長方形で垂直方向の断面形状が台形である樹脂スペーサの形状を示した図である。 図2は、水平形状が円形で、垂直方向の断面形状が略半円形である樹脂スペーサの形状を示した図である。 図3は、接着前の積層体10の模式断面図である。 図4は、加熱接着するための装置の一例である。 図5は、加熱接着するための装置の他の例である。 図6は実施例1における樹脂スペーサ3の配置を示した図である。
符号の説明
1 第1ガラス板
2 第1樹脂シート
3 樹脂スペーサ
4 第2樹脂シート
5 第2ガラス板
10 積層体
11 容器
12 ブリーダー
13 オーブン
14、15 パイプ
16 タンク
17、33 真空ポンプ
18、23 バルブ
19、24 圧力計
20、39、40 電磁弁
21、25 制御回路
22 コントロールバルブ
30 第1室
31 第2室
32 柔軟なシート
34 搬送ローラー
35 入口扉
36 出口扉
37、38 ヒーター
R 内接円の直径

Claims (16)

  1. 架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる中間層を有する合わせガラスの製造方法において;
    そのいずれもが架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第1樹脂シート及び樹脂スペーサを用い、
    該樹脂スペーサの内接円の直径が1〜50mmであり、
    第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに第1樹脂シートと第2ガラス板との間に複数の前記樹脂スペーサを配置してから、
    第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出するとともに加熱してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させてから、冷却して固化させて、第1ガラス板と第2ガラス板とを接着させることを特徴とする合わせガラスの製造方法。
  2. 架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる第2樹脂シートをさらに用い、第1ガラス板の上にその実質的に全面を覆う第1樹脂シートを配置し、第1樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2樹脂シートを配置し、第2樹脂シートの上にその実質的に全面を覆う第2ガラス板を配置し、さらに第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に複数の前記樹脂スペーサを配置してからエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる請求項1記載の合わせガラスの製造方法。
  3. 前記樹脂スペーサの高さが0.1〜3mmである請求項1又は2記載の合わせガラスの製造方法。
  4. 前記樹脂スペーサの面積が、第1ガラス板全体の面積の0.001〜10%である請求項1〜3のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  5. 前記樹脂スペーサを、第1ガラス板の周縁部に沿って間欠的に配置する請求項1〜4のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  6. 前記樹脂スペーサが、第1樹脂シートと第2ガラス板との間、又は第1樹脂シートと第2樹脂シートとの間に挟まれた樹脂シート片である請求項1〜5のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  7. 前記樹脂スペーサが、第1樹脂シート又は第2樹脂シートに形成された凸部である請求項1〜5のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  8. 第1樹脂シート、第2樹脂シート又は樹脂スペーサの表面に微細な凹凸が形成されている請求項1〜7のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  9. 接着前の積層体を容器に導入し、該容器内を減圧して第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出するとともに前記積層体を上下から押圧し、該容器内を昇温してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる請求項1〜8のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  10. 減圧操作を開始してから、前記容器内がエチレン−酢酸ビニル共重合体の融点以上の温度になるまでの時間が20分以内である請求項9記載の合わせガラスの製造方法。
  11. 前記容器が気体不透過性の柔軟なシートからなり、前記積層体の入った複数の前記容器をオーブン内に導入してから、該容器内を減圧して第1ガラス板と第2ガラス板の間の空気を排出し、該容器内を昇温してエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶融させる請求項9又は10記載の合わせガラスの製造方法。
  12. 気体不透過性の柔軟なシートで相互に仕切られた第1室及び第2室を有する装置を用い、前記積層体が導入される第1室が減圧可能になっていて、第2室が大気圧に保たれる請求項9又は10記載の合わせガラスの製造方法。
  13. エチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度まで前記容器内を昇温する請求項9〜12のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  14. エチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度までは前記容器内を昇温せずに第1ガラス板と第2ガラス板とを仮接着し、仮接着した積層体を前記容器から取り出して別の加熱装置に導入し、該加熱装置中でエチレン−酢酸ビニル共重合体が架橋可能な温度まで加熱する請求項9〜12のいずれか記載の合わせガラスの製造方法。
  15. 合わせガラスの中間層に用いられる架橋可能なエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる樹脂シートであって、該樹脂シートの少なくとも一面に複数の凸部を有し、該凸部の内接円の直径が1〜50mmであることを特徴とする樹脂シート。
  16. 前記凸部の高さが0.1〜3mmであり、かつ前記凸部の面積が中間膜の面積の0.001〜10%であることを特徴とする請求項15記載の樹脂シート。
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