JP2009096139A - 発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発泡剤と、熱可塑性樹脂と、を射出機1バレル内でスクリュ110の回転により混練して可塑化し熱可塑性樹脂組成物を製造する可塑化工程と、熱可塑性樹脂組成物にかかる圧力を低下させる減圧工程と、熱可塑性樹脂組成物を、一対の金型間に形成される金型キャビティに供給する供給工程と、金型キャビティに供給された熱可塑性樹脂組成物を発泡させる発泡工程と、を有する。
【選択図】図2
Description
上記発泡成形体の外観不良を解決する方法として、熱可塑性樹脂を可塑化した後、スクリュを強制的に停止させ、可塑化した熱可塑性樹脂の圧力を保持する方法が提案されている(特許文献1参照)。
〔可塑化工程〕
可塑化工程は、発泡剤と、熱可塑性樹脂と、を射出機のシリンダ内に設けられたスクリュの回転により混練して可塑化し、熱可塑性樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物という)を製造する工程である。
熱可塑性樹脂の可塑化は、図1に記載されているように、一般的に用いられるインライン式スクリュを備えた射出機1を用いて行うことが好ましい。射出機1は、シリンダ11とホッパー13を備えるものであり、シリンダ11の内部にはスクリュ110が設けられている。そしてシリンダ11の先端部には、樹脂組成物12を射出するためのノズル111が設けられている。
また、発泡剤は予め熱可塑性樹脂と混合していても、ホッパー13に投入する際に混合しても、可塑化の途中で混合してもよい。
減圧工程は、樹脂組成物にかかる圧力を低下させる工程である。この減圧工程を設けることにより、シリンダ11先端部に貯留された樹脂組成物12にかかる過剰な圧力を減少することが可能となる。これによって得られる発泡成形体のシルバーストリークの発生を抑制することが可能となる。
圧力を低下させる方法としては、具体的にはスクリュ110にかかる背圧を低下させたり、スクリュ110を一定量後退させる方法等が挙げられる。中でも簡便性の観点から、スクリュ110を一定量後退させる方法が好ましい。
なお、スクリュ110を後退させる際は、可塑化された樹脂組成物12の貯留量のバラツキを抑制するために、スクリュ110を回転させずに後退させることが好ましい。また、スクリュ110を後退させた後は、スクリュ110に所定の背圧をかけて動かないように制御することが好ましい。
そしてスクリュ110の回転及び後退によってシリンダ11の先端に貯留される樹脂組成物12の容量は、用いる射出機1の最大射出容量の20%〜90%であることが好ましい。最大射出容量の20%以上とすることにより、シリンダ11内における樹脂組成物12の滞留時間が長くなることによって発泡剤が分解されるのを防止することが可能となる。その結果、得られる発泡成形体にシルバーストリーク等の外観不良や発泡不良等の発生を防止することが可能となる。また、貯留される樹脂組成物12の容量を90%以下とすることにより、例えばシリンダ11に貯留される樹脂組成物12の貯留量の変更等の製造条件の変更に十分に対応可能となる。
なお、スクリュ110を回転及び前進/後退させる駆動源は油圧であっても電動であっても構わないが、応答性や位置制御性に優れる電動式がより好ましい。
供給工程は、熱可塑性樹脂組成物を、一対の金型間に形成される金型キャビティに供給する工程である。上記減圧工程を経てシリンダの先端に貯留される樹脂組成物は、金型キャビティ内に供給される。本発明で使用する金型の形状は特に限定されないが、複雑な形状や大型成形体への適用が容易であるという点で、後述のような金型を用いることが好ましい。
樹脂供給口222は雌雄いずれか一方もしくは両方の金型の金型キャビティ23を形成する面に設けられ、その設置場所や数は発泡成形体の形状や大きさによって適宜決定される。
発泡前の成形体厚みと同じキャビティクリアランスになるように両金型を位置させた状態で樹脂組成物12を供給して金型キャビティ23内に充填する場合には、通常の射出成形における場合と同様に、樹脂組成物12の供給開始から供給完了までキャビティクリアランスを発泡前の成形体厚みと同じになるように保持しておけばよい。
金型の温度は、用いる熱可塑性樹脂により適宜決定されるが、通常20℃〜80℃程度であり、30℃〜60℃程度であることが好ましい。この場合の冷却時間は0.1秒〜5秒程度である。
発泡工程は、金型キャビティに供給された樹脂組成物を発泡させる工程である。発泡方法としては、ショートショット法やコアバック法等が挙げられる。このうち金型キャビティを拡大して樹脂組成物を発泡させるコアバック法であることが好ましい。このような発泡方法を用いることにより、供給された樹脂組成物中に閉じ込められていた気泡核が膨張しながら発泡層を形成すると同時に、全体として金型の拡大方向、すなわち厚み方向に厚みを増して、より高い発泡倍率を実現することができる。
雌型21の稼動は、図4に記載のプレス装置4の駆動装置43によって可動盤42を移動させることにより行われる。雌型21を可動させる距離は、得られる発泡成形体の発泡倍率によって異なるが、通常0.5mm〜5mm程度であり、0.01mm〜0.1mm単位で制御される。
このとき、キャビティクリアランスを一旦発泡成形体の最終的な厚みより大きくなるように金型キャビティ23を拡大した後、発泡層を形成する樹脂組成物12の一部がまだ溶融状態にある間に発泡成形体の最終的な厚みになるまで型締めを行ってもよい。これにより、得られる発泡成形体表面とキャビティを形成する面との密着性をより向上させることができ、キャビティを形成する面の形状をより忠実に再現するとともに、冷却効率を上げることもできる。このときの型締め動作は、機械的に制御して行ってもよいし、雌型21の自重により金型キャビティを縮小することによって行ってよい。
また、その意匠面の一部に1種類又はそれ以上の種類の表皮材が貼合一体化されていてもよく、表皮材が貼合される場所については特に制限されることはない。表皮材を貼合一体化する方法としては発泡成形体3を製造した後に、接着剤で接着してもよいし、発泡成形体3を製造時に同時に基材と融着又は表皮材の裏面に樹脂を含浸させることにより貼合一体化してもよい。
本発明に係る方法に用いられる熱可塑性樹脂としては、圧縮成形、射出成形、押出成形等で通常使用される樹脂が挙げられる。例えばポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の一般的な熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM等)の熱可塑性エラストマー、これらの混合物、あるいはこれらを用いたポリマーアロイ等が挙げられる。この中でも特にコストや機械的強度、成形性等の面からメルトフローレートが40g/10分〜500g/10分のポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
合成樹脂のシートやフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂やポリオレフィン系熱可塑性エラストマーのシートやフィルムが挙げられ、基材樹脂として使用される熱可塑性樹脂との融着性が良好なものが好ましく使用される。
発泡層としては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、軟質又は半硬質のポリウレタン発泡体等が挙げられる。また、裏打ち層としては、例えば、不織布、合成樹脂シートやフィルム等が挙げられる。
なお、これらの多層表皮材は、熱可塑性樹脂からなる基材部分との接着性の観点から、熱可塑性樹脂との熱融着性が良好なものや表皮材裏面に溶融状熱可塑性樹脂が含浸して基材樹脂との接着が可能なもの等が好ましく使用される。
本発明の製造方法に用いられる発泡剤は、特に限定されるものではなく、化学発泡剤、物理発泡剤等の公知のものを使用することができる。
ポリカルボン酸としては、例えば、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)等が挙げられる。
スルホンヒドラジド化合物としては、例えば、p−メチルウレタンベンゼンスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
ニトロソ化合物としては、例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂として住友ノーブレンAU891E4(住友化学社製、MFR 80g/10分)、発泡剤マスターバッチとしてセルマイクMB3274(三協化成社製)を樹脂100質量部に対して2質量部、着色マスターバッチ(黒)を樹脂100質量部に対して3質量部添加した樹脂組成物を用いた。
背圧を1MPaとしてスクリュの回転によりシリンダの先頭から140mmまで可塑化・計量した後、スクリュを回転させずに148mmまで8mm後退させ溶融状熱可塑性樹脂の圧力を減圧した。減圧工程前後の樹脂組成物の体積は、減圧工程前が約1580ccであり、減圧工程後が約1670ccであった(約1.06倍)。その後、射出機内の発泡剤を含んだ溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に供給し、金型キャビティ容積を拡大して発泡成形体を得た。
なお、成形条件は以下の通りである。
樹脂温度:230℃
金型温度:50℃
樹脂供給開始時の金型キャビティクリアランス:1.5mm
樹脂供給完了時の金型キャビティクリアランス:2.0mm
金型キャビティ容積拡大後のキャビティクリアランス:3.0mm
樹脂供給完了後から金型キャビティ容積拡大までの時間:1秒
金型キャビティ容積拡大後の冷却時間:30秒
スクリュの回転のみで148mmまで可塑化・計量したこと以外は実施例と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体は発泡状態は良好であったが、ゲート上にリング状のシルバーストリークが見られ、外観の悪いものであった。
スクリュの回転により133mmまで可塑化・計量した後、スクリュを回転させずに148mmまで15mm後退させたこと以外は実施例と同様にして発泡成形体を得た。
得られた発泡成形体はゲート上の外観は良好であったものの、それ以外の部分にシルバーストリークが見られ、外観の悪いものであり、発泡状態も悪いものであった。
11 シリンダ
110 スクリュ
111 ノズル
12 樹脂組成物
13 ホッパー
2 金型
21 雌型
22 雄型
23 金型キャビティ
221 樹脂供給路
222 樹脂供給口
223 バルブゲート
224 ゲート駆動装置
3 発泡成形体
31 スキン層
32 コア層
4 プレス装置
41 固定盤
42 可動盤
43 駆動装置
Claims (4)
- 発泡剤と、熱可塑性樹脂と、を射出機のシリンダ内に設けられたスクリュの回転により混練して可塑化し熱可塑性樹脂組成物を製造する可塑化工程と、
前記熱可塑性樹脂組成物にかかる圧力を低下させる減圧工程と、
前記熱可塑性樹脂組成物を、一対の金型間に形成される金型キャビティに供給する供給工程と、
前記金型キャビティに供給された前記熱可塑性樹脂組成物を発泡させる発泡工程と、を有する発泡成形体の製造方法。 - 前記減圧工程は、前記スクリュを後退させる工程である請求項1に記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記減圧工程後の前記熱可塑性樹脂組成物の体積は、前記減圧工程前の体積の1.01倍〜1.1倍である請求項1又は2に記載の発泡成形体の製造方法。
- 前記供給工程は、前記減圧工程終了後20秒以内に行われるものである請求項1から3いずれかに記載の発泡成形体の製造方法。
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