JP2009095929A - ボールの仕上げ加工装置 - Google Patents

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光裕 中村
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Abstract

【課題】横軸型加工装置に竪型加工装置の利点を取り入れ、安定的に大容量加工が可能で、しかも精度がよく、キズの出ない加工装置を提供する。
【解決手段】円盤の一部に切り欠き部3を有し、片側にボールが転がる溝を同心円状に複数有する砥石が装着された固定盤1と、この盤の溝側に対向し、ボールが転がる同心円状溝を固定盤と同数有する砥石が装着された回転盤2からなり、固定盤と回転盤の対向溝に被加工物であるボールが圧力を掛けられて保持されるボール加工装置において、固定、回転盤砥石の装着面を水平方向より5乃至45度傾斜せしめた。
【選択図】 図4

Description

本発明は、玉軸受、ボールねじ、リニアガイド、等速ジョイント等に用いられるボール及びプレス成形で光学レンズに加工されるガラスボールの仕上げ加工装置の改良に関するものである。
従来からあるボールの仕上げ加工の主な装置には以下の2種類がある。1つは例えば特許文献1に記載される如き図8に示す横軸型加工装置であり、この装置は切り欠き23を有する固定盤21にボールが転がる溝24が同心円状に設置され、これと対向した位置に転がる溝が固定盤21と同じく同心円状に配置された回転盤22があり、両者の盤の間の溝に加工されるボールBが入れられるようになっていると共に、回転盤22の回転中心軸が水平方向にある加工装置で、両者の盤の横にはボールBを多量に保持できる回転するコンベア25が取り付けられ、このコンベア25内部は仕切り板26で仕切られ、供給側にはコンベア25から固定盤21の切り欠き23下方の盤の溝にボールBを供給するシュート27が設けられ、また、前記切り欠き23の上方には盤からコンベア25の排出側にボールBを排出する排出シュート28が設けられている。この装置は以上のような構造から、コンベア25には多量のボールBを載せることが出来、これらのボールを一度に加工することができて加工コスト的に有利である。しかしながら、回転盤22の回転軸が水平であることから、加工が完了した場合、ボールに加わっている圧力を下げながら機械を停止しなければならず、回転盤22と固定盤21に挟まれたボールは圧力のコントロールが不安定になり、しかも、盤の回転により排出されながらの停止であることから、盤の中のボールはキズが付きやすく、精度的にもコンベア上のボールとは分ける必要がある。また、固定盤1の切り欠き部3でのボールの供給、排出時にはボールの流れる方向が90°変わり、且つ、供給時には回転盤22の回転による溝の接線方向の力が加わる等、ボールに無理な力が作用し、その結果、挙動が不安定になりキズが生じる原因となるという難点がある。
一方、もう1つは、例えば特許文献2に記載される如き、図9に示す竪型加工装置であり、これも横軸型加工装置と同様に切り欠き穴31(穴のない場合もある)を有する固定盤21にボールが転がる溝が複数設置され、これと対向した位置にボールが転がる溝が固定盤と同じく同心円状に同数配置された回転盤22があり、両者の盤の間の溝に加工さるボールBが複数入っている構造で、これは回転盤22の回転軸30が横軸型加工装置とは違い、加工するボールを多量に保持するコンベアは付いていないので、ボールを収めてから回転することになり、一度の加工数量は限定され経済的ではない。しかしながら、加工されるボールは回転盤の上に載っており、加工が完了したら、圧力を下げながら機械を停止でき、盤の中のボールの精度不良、キズ発生がないという利点を有している。
特開2006−35336号公報 特開2005−28514号公報
上述のように、従来の横軸型,竪型の各加工装置は夫々、一長一短を有しており、大容量加工に向いている横軸型加工装置には盤への供給、排出時に無理な力がボールに作用してキズ発生の原因となったり、加工終了時の固定盤と回転盤の中にあるボールに精度不良、キズ発生の問題があるため、コンベア上の完成したボールとは分けなければならないので歩留まりが悪い難があり、一方、歩留まりの良い竪型加工装置はコンベアが付設されず大容量の加工ができないという問題があった。
本発明は上記のような実状に鑑み、特に安定的に大容量加工に向いている横軸型加工装置を取り上げてその改良を試み、特に上記竪型加工装置の長所をとり入れ回転盤の回転軸の傾き、換言すれば、固定・回転盤両砥石装着面の水平方向に対する傾きを見出すことにより、大容量加工可能で、しかも精度の良いキズの出ないボールの仕上げ加工装置を提供することを目的とするものである。
即ち、上記目的を達成する本発明仕上げ加工装置は、円盤の一部に切り欠き部を有し、片側にボールが転がる溝を同心円状に複数有する砥石が装着された固定盤と、この盤の溝側に対向し、ボールが転がる同心円状溝を固定盤と同数有する砥石が装着された回転盤からなり、固定盤と回転盤の前記対向溝には被加工物であるボールが圧力を掛けられて保持されるボールの仕上げ加工装置であって、固定盤が上側又は下側、回転盤が下側又は上側に配置されると共に固定,回転盤砥石の装着面を水平方向に対し5乃至45度の傾斜をもたせたことを特徴とする。
請求項3は上記の構成において、固定盤の切り欠き部に固定盤と回転盤に挟まれたボールを取り出す機構を設けると共に、固定盤と回転盤に挟まれた溝にボールを供給する供給シュートを設けたことにある。
更に請求項4は、上記構成における固定盤と回転盤の横に、加工するボールを多量に保持出来る回転するコンベアを設け、該コンベアから固定盤と回転盤に挟まれた溝にボールを供給する供給シュート側か、または固定盤と回転盤から排出されたボールをコンベアに移動する取り出し側にバケットを利用し、エレベータまたはエスカレータなどでボールを移動させる機構を付設した構成を特徴とする。
なお、上記構成における固定盤の切り欠き部の固定盤と回転盤に挟まれた溝からボールを取り出す機構においては、溝の数に対応した舌状のボールすくい部を設けることが好適である。
上記本発明仕上げ加工装置は、以上のように、互いに対向してボールが転がる溝を複数有する砥石が装着された固定盤と回転盤を、固定盤を上側、回転盤を下側又は逆に固定盤を下側、回転盤を上側に配置した構造において、固定・回転盤砥石の装着面を水平方向に対し、換言すれば、回転軸を鉛直方向より、5乃至45度の傾斜を持たせたことにより、大容量加工が可能で加工終了時に固定盤と回転盤の溝の中に残ったボールも精度は確保され、また、キズも付かず全てが製品化されるため、歩留まりは従来の横軸型加工装置よりも大幅に改善され、従って、加工コスト的に有利である顕著な効果を有している。また、横軸型加工装置に比べ盤への供給、排出時におけるボールの流れの変化が緩やかになり、ボールの挙動が安定するため、キズ発生を抑制できる効果もある。
以下、更に添付図面に基づいて本発明装置の具体的態様を説明する。図1〜図4は本発明仕上げ加工装置の1例を示し、図において1は固定盤、2は回転盤で、これら両盤は対向面にボールが転がる複数の溝を同心円状に同数有する砥石が装着されて両者の盤の間でボールが加工されることは従来の固定盤,回転盤と同様であり、また、固定盤1には切り欠き部3が設けられ、この切り欠き部3に固定盤1と回転盤2の横に設置されたコンベア4から固定盤と回転盤に挟まれた溝にボールBを供給する供給シュート5と固定盤と回転盤に挟まれた溝から加工後、ボールBを取り出し排出する排出シュート6が連設され、固定盤と回転盤からなる加工装置へのボールの供給、加工装置からのボールの排出が行なわれることも従来の横軸型加工装置と同様である。
しかし、本発明加工装置は前述した従来の横軸型加工装置と異なり、図1,図2に示すように、固定盤1と回転盤2に挟まれて加工されたボールが排出される排出シュート6には受箱7が設置され、取り出し口8を通してボールはその出口で待機するバケット9内に収容され昇降機構10をもつエレベータAによってコンベア4上方へ移動され、仕切板13で供給側と仕切られたコンベア内へ排出部11より排出されるようになっている。
しかして、上記構成を有する加工装置において、本発明は特に横軸型加工装置に竪型加工装置の長所を取り入れ、図3,図4に図示する如く固定盤1と回転盤2の配置を固定盤,回転盤1,2の砥石装着面を水平方向より5〜45度傾斜させている。ここで、上記記載では固定盤、回転盤の砥石装着面を水平より5〜45度傾斜と述べているが、図4に示すように回転盤2の回転軸を鉛直方向に対し5〜45度傾斜せしめても同様である。
なお、図1〜図4においては固定盤1が上側、固定盤2が下側に配置されているが、逆に固定盤1を下側に、そして回転盤2を上側に配置せしめても良い。
図5,図6は上記固定盤1を下側に、そして回転盤2を上側に配置した場合で、他の構造は前記図1,図2に示す構造と略同様であり、固定,回転両盤砥石の装着面が水平方向より5〜45度、あるいは回転盤の回転軸が鉛直方向に対し5〜45度傾斜していることも同様である。
以上における本発明加工装置は、前述の如く横軸型加工装置の形態を有しつつ、竪型加工装置の長所を取り入れたことを特徴とするものである。即ち、大容量加工に適する横軸加工装置では、回転盤の回転軸が水平方向にあることから両者の盤の溝の中にあるボールは重力方向に移動するため、前述のように盤へのボールの供給、排出時や停止時に問題があるが、少量加工しかできない竪型加工装置は回転盤の回転軸が鉛直方向にあり、固定盤と回転盤の溝の中にあるボールは回転盤上に載っており、重力による悪影響を受けることがない。
そこで、本発明装置では図3〜図6に示す如く加工装置の回転軸を鉛直方向から、あるいは固定・回転両盤砥石の装着面を水平方向より5乃至45度傾けることにより、固定盤1の切り欠き部3でのボールの供給・排出時にボールに無理な力が加わらないようにすると共に、従来の竪型加工装置では取り付けられなかったコンベア4を取り付けられるように改良している。ここで、5乃至45度の傾斜は回転盤2を静止させ、回転盤2のボールが転がる溝にボールを所定量入れ、ボールが自重で溝からこぼれない角度である。この角度であれば、加工が完了し、加えてある圧力を抜いて、固定盤を回転盤から遠ざけてもボールは回転盤の溝の中に留まっており、コンベアへのボールの回収は回転盤を回転させることにより頗る容易である。
換言すれば、従来の横軸型加工装置では、固定盤と回転盤の溝の中には複数の溝に対応した供給シュートから、溝の中にボールの重力を利用してボールを供給し、また、盤の溝に中からの取り出しは、同様にボールの重力を利用し、コンベアに戻す構造であり、竪型の場合は固定盤及び回転盤が水平のため、盤の溝からのボールの取り出しは重力に逆らうことになり、この状態で取り出しを行うとボールにキズが付いてしまうため、ボールの仕上げ加工にコンベアがつけられなかったが、本発明では前述の如く回転盤の回転軸あるいは固定、回転両盤砥石の装着面を鉛直方向あるいは水平方向より図3,図4等の如く傾け、その傾け角に従った角度で盤の溝からのボールの取り出しとシュートを用いてのボールを盤の溝へ供給するようにしている。
ここで、盤の傾き角が小さい場合、回転盤からのボールの排出を容易にするため、図7に示すように排出シュート6の溝に舌状のボールすくい部12を設けることで、ボールをキズ付けることなく排出を可能にしている。
次に大容量加工に必要なコンベアの取り付けについて述べる。コンベア4から固定盤1と回転盤2の溝の中にボールを供給する機構、両者の盤溝の中からコンベアに排出する機構は通常、横軸の場合は図8のように固定盤の切り欠き部が鉛直方向に付けられるので、切り欠き部の下側にボールを盤溝の中に供給する供給シュート5を設け、切り欠きの上側に盤溝からのボールの排出シュート6が設けられるが、コンベア4は回転盤2が鉛直方向にあるのでボールの供給,排出は、ボールの重力を利用することができる。
ところが、本発明装置の場合、回転盤の回転軸は鉛直方向から5乃至45度傾いているため、固定盤1の切り欠き部3の鉛直方向の上下の距離は上記通常の横軸型加工装置よりは小さくなり、従ってボールの重力を利用してのコンベア4から盤溝への供給、盤溝からコンベアへの排出はどちらか片方になる。そのため、供給側をコンベアからボールの重力を利用した場合、排出側はコンベアよりも下方になることからボールを図1,図2に示すように受箱7に貯め、その取り出し口8よりバケット9に収容して上方位置のコンベア4にはエレベータ又はエスカレータAでバケット9を移動させ、排出部11より仕切り板13で区画されたコンベア4内に排出させる。しかし、逆に排出をボールの重力を利用しそのまま受ける場合には逆にコンベア4を下げて配置して固定盤1と回転盤2の盤溝に供給するのにコンベア4からバケット9にボールを移し、このバケット9をエレベータ又はエスカレータAで上部に設けたボール置き場に移動させて供給シュート5を通して盤溝の中に供給する。
かくして以上の片側にボールが転がる溝を複数有する砥石が装着された固定盤と、この盤の溝側に対向し、ボールが転がる溝を固定盤と同数有する砥石が装着された回転盤との対向砥石面間の溝に被加工物であるボールを保持して加工するボール加工装置において、砥石の装着面を水平方向よりあるいは回転盤の回転軸を鉛直方向に対し5乃至45度の傾斜を持たせたことにより、横軸型加工装置の如く大容量加工が可能で、しかも竪型の長所のように加工終了時に固定盤と回転盤の溝の中に残ったボールも精度は確保され、また、キズも付かず全て製品化されるため、歩留まりは従来の横軸型加工装置よりも大幅に改善される。また、横軸型加工装置に比べ盤への供給・排出時にボールに無理な力が加わらずキズの発生も抑制できる。
本発明ボールの仕上げ装置の1例で、固定盤上方の場合を示す斜視図である。 図1の装置の平面図である。 図1の装置の要部を示す正面図である。 同じく図1の装置の固定盤と回転盤接合部の傾斜を示す説明図である。 固定盤が下方の場合の本発明装置例を示す斜視図である。 図5の場合の固定盤と回転盤の傾斜を示す説明図である。 舌状のボールすくい部を示す図で、(イ)は拡大図、(ロ)は(イ)におけるZ−Z断面図である。 従来の横軸型加工装置の全体を示す斜視図である。 従来の竪型加工装置の概要図である。
符号の説明
A:エレベータ又はエスカレータ装置
B:ボール
1:固定盤
2:回転盤
3:切り欠き部
4:コンベア
5:供給シュート
6:排出シュート
7:受箱
8:取り出し口
9:バケット
10:昇降機構
11:コンベアへの排出部
12:すくい部
13:仕切り板

Claims (5)

  1. 円盤の一部に切り欠き部を有し、片側にボールが転がる溝を同心円状に複数有する砥石が装着された固定盤と、この盤の溝側に対向し、ボールが転がる同心円状溝を固定盤と同数有する砥石が装着された回転盤からなり、固定盤と回転盤の前記対向溝には被加工物であるボールが圧力を掛けられて保持されるボールの仕上げ加工装置であって、固定盤が上側、回転盤が下側に配置されると共に固定、回転盤砥石の装着面が水平方向より5乃至45度の傾斜を有していることを特徴とするボールの仕上げ加工装置。
  2. 円盤の一部に切り欠き部を有し、片側にボールが転がる溝を同心円状に複数有する砥石が装着された固定盤と、この盤の溝側に対向し、ボールが転がる同心円状の溝を固定盤と同数有する砥石が装着された回転盤からなり、該固定盤と回転盤の対向溝には被加工物であるボールが圧力を掛けられて保持されるボール加工装置であって、固定盤が下側、回転盤が上側に配置されると共に、固定、回転盤砥石の装着面が水平方向より5乃至45度の傾斜を有していることを特徴とするボールの仕上げ加工装置。
  3. 固定盤の切り欠き部に固定盤と回転盤に挟まれたボールを取り出す機構を設け、また、固定盤と回転盤に挟まれた溝にボールを供給する供給シュートを設けた請求項1または2記載のボールの仕上げ加工装置。
  4. 固定盤と回転盤の横に、加工するボールを多量に保持可能な回転するコンベアを有し、該コンベアから固定盤と回転盤に挟まれた溝にボールを供給する供給シュート側かまたは固定盤と回転盤から排出されたボールをコンベアに移動する取り出し側にバケットを利用し、エレベータまたはエスカレータなどでボールを移動させる機構を付設した請求項1,2または3記載のボールの仕上げ加工装置。
  5. 固定盤の切り欠き部の固定盤と回転盤に挟まれた溝からボールを取り出す機構において、溝の数に対応した舌状のボールすくい部を設けた請求項3または4記載のボールの仕上げ加工装置。
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