JP2005046923A - 球体加工方法及び球体加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボール溜まり部内でボールを攪拌させ、複数個の溝にランダムに入りを繰り返すようにすることで、ボール表面の加工精度を向上させる。
【解決手段】互いに所定間隔を存して対向し、少なくとも一方を回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球25の表面を加工する上側と下側の加工盤1,7とからなり、上側加工盤1の所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部8を有する球体加工装置であって、該ボール溜まり部8内には、ボール撹拌機構9が備えられている。
【選択図】 図3
【解決手段】互いに所定間隔を存して対向し、少なくとも一方を回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球25の表面を加工する上側と下側の加工盤1,7とからなり、上側加工盤1の所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部8を有する球体加工装置であって、該ボール溜まり部8内には、ボール撹拌機構9が備えられている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば軸受の転動体として使用されるボールの表面加工方法及び加工装置であって、ボール表面加工の混合均一化を図らしめる攪拌方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、軸受の転動体として使用されるボール(鋼球)は、次のような工程を経て製造される。
▲1▼材料(線材)→▲2▼球体成形→▲3▼フラッシング→▲4▼熱処理→▲5▼精研磨、ラッピング→▲6▼洗浄→▲7▼外観・品質検査→▲8▼ボール完成
従来、上記一連の工程中、▲5▼精研磨、ラッピング工程においては、互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤の少なくとも一方を回転させることにより、被加工球の表面を加工しており、上側加工盤は、その所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜まり部を有しており、このボール溜まり部に送り出されてくる多数のボールに、ラップ液をノズルで吹き掛ける事により、ボールはラップ液の噴出勢いでボール溜まり部内にて攪拌されるものであった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
Maschinefabrik Geis GmbH社 GEIS MINIATURE−BALL PROCESSING−SYSTEM
型番JGS400S−Hカタログ P2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図11(a),(b)は従来技術の一例で、上側加工盤(砥石盤)100の内面に複数本の被加工球(ボール)案内溝200,200…が同心円状に形成されており、ボール400は、この被加工球案内溝200,200…にそって送られつつ上側・下側の加工盤100,300間にて表面加工(精研磨・ラッピング加工)されるものである。
このとき夫々のボール400は、上側加工盤100に設けられているボール溜まり部500にて、ノズル600を介して勢い良くラップ液が吹き掛けられ、かつそのラップ液の吹き掛ける勢いを利用して撹拌させることにより、ボール溜まり部500に送られてきた際の被加工球案内溝200とは異なる被加工球案内溝200に入り、さらに上側・下側の加工盤100,300間にて表面加工(精研磨・ラッピング加工)されていた。このようにボール400を撹拌させるのは、加工精度、特に径相互差を向上させるためである。
【0005】
ボール400の径が小さい(小径球)場合、ラップ液をノズル600で吹き掛ける事により、その勢いでボール400はボール溜まり部500内で攪拌される。すなわち、ボール溜まり部500では案内溝がないため何等拘束されること無く順次送られ、ラップ液の吹き掛けにより攪拌されることが可能だからである。
しかし、図11(c)のようにボール400が並径球になると、ラップ液をノズル600で吹き掛けた位では攪拌されず、例えば最外径の被加工球案内溝(外側溝)200を通ってきたボール400は遠心力により再び外側溝200に入ってしまう。すなわち、外側溝200に入って加工されてきたボール400が、ボール溜まり部500を通過する際、遠心力により外壁を伝わり、再度外側溝200に入ってしまう。
その為に、加工精度、特に径相互差が悪くなってしまう。
また、図12に示すように、同心加工で上側加工盤100と下側加工盤300双方に被加工球案内溝200,200…が切ってある場合、又は少なくとも下側加工盤300に溝200,200…が切ってある場合、ボール溜まり部500であってもボール400は溝200,200…により拘束された状態で送られていくため、ボール400を攪拌させる事ができない。
これでは、毎回同一の溝内に入った状態で表面加工が繰り返されるため、ボール400を均一に加工することが難しかった。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ボール溜まり部内でボールを攪拌させ、複数個の溝にランダムに入りを繰り返すようにすることで、ボール表面の加工精度を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明がなした技術的手段は、互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工方法であって、上側加工盤は、その所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部を有しており、順次前記ボール溜まり部に送られてきた被加工球は、該ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されてさらに加工盤相互間にて加工される球体加工方法とした点に特徴を有する。
また、少なくとも上側加工盤と下側加工盤のいずれか一方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合、前記被加工球案内溝によりボール溜まり部に送られてきた被加工球は、該ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されて他の被加工球案内溝に移り、さらに加工盤相互間にて加工されるものとする。また、少なくとも下側加工盤に被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合も同様である。
【0007】
上記加工方法に使用される加工装置として、互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする。
なお、上側加工盤と下側加工盤の少なくとも一方が砥石盤である。
また、少なくとも上側加工盤と下側加工盤のいずれか一方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる球体加工装置の場合、若しくは少なくとも下側加工盤に被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合も同様である。
ボール撹拌機構は、例えば、ボール溜まり部の径方向に対し角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁とした。このような機構は、特に上側加工盤と下側加工盤の双方に被加工球案内溝を有していない場合や、下側加工盤に被加工球案内溝を有していない場合において、ボール撹拌作用に寄与する。
ボール撹拌壁は、上側加工盤のボール溜まり部内面外周壁からボール溜まり部内に突設されている。このようにボール撹拌壁を配置することで、ボール溜まり部に到着したボールは、ボール撹拌壁にそって外周側から内周方向へと移動し、内周側を移動しているボールと混合され、撹拌壁先端とボール溜まり部の内面内周壁との間の流路を通過した際に遠心力で広がり撹拌される。そしてボール溜まり部の流れ方向下流側で上側加工盤と下側加工盤の間に入り表面加工が繰り返される。
また、少なくとも下側加工盤に複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる加工装置の場合には、各被加工球案内溝に挿入される挿入部と、該挿入部と連続して被加工球を溝内から誘導する誘導路と、該誘導路の先端側にあり、誘導された被加工球をランダムに夫々の被加工球案内溝へと放出する放出部とで構成されているボール撹拌機構を採用することができる。
このボール撹拌機構によれば、挿入部を介して被加工球案内溝からボールを溝から出す事ができ、出されたボールは誘導路を通って先端の放出部からランダムに夫々の被加工球案内溝へと放出され、表面加工が繰り返される。
このとき挿入部で拾われた全てのボールが誘導路を介して中心に集まるようにすると共に先端の放出部から放出されるものとすることにより、全体のボールがボール溜まり部で攪拌され、溝にランダムに入りを繰り返せるため、加工精度を向上させる事ができる。
ボール溜まり部の内壁に、摩擦係数の小さい表面処理を施したことを特徴とする。このような構成を採用することでボールの撹拌を円滑に行うことが出来る。
また、上記加工方法及び加工装置において、下側加工盤若しくは上側加工盤と下側加工盤の双方に被加工球案内溝を有していない場合、上側加工盤と下側加工盤のそれぞれの中心軸を径方向にずらす(偏心)こともでき、このように構成することにより、加工速度が速くなると共に、ボール溜まり部を広く確保できボール撹拌効率が高い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明球体加工装置及び加工方法の一実施形態を図に基づいて説明する。図1乃至図3は第一実施形態、図4乃至図8は第二実施形態、図9は第三実施形態、図10は第四実施形態を示す。なお、各実施形態は本発明の一実施形態にすぎず、なんらこれに限定して解釈されるものではなく本発明の範囲内において設計変更可能である。
【0009】
「第一実施形態」
球体加工装置Aは、互いに所定間隔を存して対向する円柱状の上側加工盤(固定盤)1と、該上側加工盤1と同径・同軸状の円柱状の下側加工盤(回転盤)7とからなる縦型の球体加工装置で、図示しない駆動機構を介して相対回転可能に構成されている。
上側加工盤1と下側加工盤7は、本実施形態では、上側加工盤1の対面1a側を砥石、下側加工盤7の対面7a側を平面としている。なお、上側加工盤1と下側加工盤7の双方若しくは一方が砥石盤であればよく任意である。砥石盤の砥粒粒度(本実施形態では#120)は特に限定はされない。
本実施形態では上側加工盤1に、複数本の被加工球案内溝2…を同心円状に配設している。被加工球案内溝2は、加工対象とされる被加工球(本実施形態ではセラミックス球Si3N4を使用)25と同じ曲率で周方向に連続形成されている。
なお、本実施形態では、上側加工盤1に被加工球案内溝2を配設しているが、これに限定解釈されるものではなく、下側加工盤7に複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなるものであっても、上側加工盤1と下側加工盤7の双方に配設してなるものであってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、平面盤側を砥石としても良いが、加工能率を考えると、被加工球案内溝のある方を砥石盤にした方が好ましい。
上側加工盤1と下側加工盤7の双方に被加工球案内溝2を配設する場合には、回転する側を砥石にするか、両側とも砥石にするのが好ましい。
また、本実施形態ではラップ液吹き掛け用ノズルが省略されているが、任意の箇所に設けられる。
さらに、本実施形態では、同軸状に上側加工盤1と下側加工盤7を配設しているが、夫々の中心軸をずらした偏心加工とすることも可能である。
【0010】
上側加工盤1は、所定範囲を外面から内面にわたりほぼ扇状に切欠いたボール溜まり部8を有し、該ボール溜まり部8内に、ボール撹拌機構9が備えられている。
本実施形態のように下側加工盤7が平面の場合、上側加工盤1の被加工球案内溝2に案内されてボール溜まり部8に至った被加工球25は、ボール溜まり部8にて上側加工盤1の被加工球案内溝2から解放され、回転作動する下側加工盤7により該ボール溜まり部8内に広がる。ボール溜まり部8内に解放された被加工球25は、下側加工盤7の回転遠心力により、ボール溜まり部8の内面外周方向に移動を開始する。
そこで、このような被加工球25のボール溜まり部8内での移動を修正し、被加工球25を効率良く撹拌させるためにボール撹拌機構9が配設されている。
【0011】
ボール撹拌機構9は、例えば本実施形態では、ボール溜まり部8の径方向に対し角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁10とする。
ボール撹拌壁10は、例えば、上側加工盤1の内面外周壁3の任意箇所に固定されるベース部11と、該ベース部11から被加工球流れ方向に向けて約45度の角度をもって傾斜状に突出する撹拌壁部12とで構成されており、該撹拌壁部12の先端12aと上側加工盤1の内面内周壁4との間に所望な流路(すきま)13を確保してボール溜まり部8内に突設されている。
なお、撹拌壁部12の下面(下側加工盤の対面と向き合う面)は、下側加工盤7の対面7aとの間で、被加工球25が通過しない任意隙間をもって対向している。
【0012】
前記した撹拌壁部12の先端12aと上側加工盤1の内面内周壁4との間に形成される所望な流路13の幅は、特に限定されず、本発明の範囲内で適宜広狭設計変更可能である。なお、撹拌壁部12の先端12aは、撹拌される被加工球25に損傷を与えぬようにエッジのないようにすることも可能である。
本実施形態では、上側加工盤1の内面外周壁3にあけた凹部5にベース部11を嵌合固定する形態を採用しているが、これに限定されるものではなく、撹拌壁部12がボール溜まり部8の径方向に対し角度をもって配設される形態であれば他の構成を採用することも可能である。
ボール撹拌壁10の撹拌壁部12の形状も、本実施形態のように傾斜した平坦板状に限られず、波板状あるいは曲板状など任意である。さらに、板状に限らず棒状(棒径は問わず)に形成されるものであっても構わない。
また、このような構成のボール撹拌壁10は、ボール溜まり部8内の撹拌スペースとの関係にもよるが、ボール溜まり部8内に複数個配設することもでき、その配設箇所も内面外周壁3のみならず、内面内周壁4にも配設するものであってもよく、ボール撹拌作用に支障を来たさぬ範囲で任意に組合せが可能である。例えば、ボール溜まり部入口8a側からボール溜まり部出口8b側にわたって、内面外周壁3にのみ複数個配設したり、内面外周壁3と内面内周壁4に交互に配設したりすることができる。
【0013】
このようにボール撹拌壁10を配置することで、ボール溜まり部8に到着した被加工球25は、一旦、遠心力により内面外周壁3側に移動するが、その後ボール撹拌壁10にそって内面外周壁3側から内面内周壁4側方向へと移動し、内面内周壁4側を移動している被加工球25と混合され、撹拌壁部12の先端12aと内面内周壁4との間の流路13を通過した際に遠心力で広がり撹拌される。そしてボール溜まり部8の被加工球流れ方向下流側で上側加工盤1と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返される。
このような機構は、特に、下側加工盤7に被加工球案内溝を有していない場合において、ボール撹拌作用に寄与する。
また、ボール溜まり部8の切欠き形状は特に限定されず、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0014】
ボール撹拌機構9及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0015】
「第二実施形態」
図4乃至図8は本発明の第二実施形態で、本実施形態は、少なくとも下側加工盤7に複数本の被加工球案内溝2を同心円状に配設してなる加工装置Aが対象とされ、このような加工装置Aにおけるボール溜まり部8内のボール撹拌効率を向上させるものである。
本実施形態では、図4及び図5に示すように、上側加工盤1と下側加工盤7の双方に、被加工球案内溝2を配設する。
なお、加工装置Aの全体的な形状は第一実施形態で説明した加工装置Aと同一で、上側加工盤1に切り欠かれたボール溜まり部8内に第一実施形態とは異なる形態のボール撹拌機構14が配設されている。よって、本実施形態では、ボール撹拌機構14の構成についての説明に留め、その他の構成についての説明は第一実施形態の説明を援用してここでは省略する。
【0016】
ボール撹拌機構14は、図6乃至図8に示すように、各被加工球案内溝2に挿入される昇り傾斜状の複数個の挿入部15と、該挿入部15と連続して被加工球25を溝2内から誘導する誘導路16と、該誘導路16の先端側にあり、誘導された被加工球25をランダムに夫々の被加工球案内溝2へと放出する放出部17とで構成されている機構を採用し、このボール撹拌機構14のいずれかの箇所を上側加工盤1のいずれかの箇所に取り付け固定して備えている。
本実施形態では、挿入部15を略逆三角形状に形成すると共に、その先端15aを鋭角状としているため、被加工球案内溝2にそってボール溜まり部8内に入った被加工球25は、挿入部15の先端15aによって確実かつ容易に拾われ、順次押し入ってくる被加工球25群により押し上げられていく。
誘導路16は、本実施形態では、各挿入部15の基端15b側が一体的に連絡される広域面部16aと、該広域面部16aの幅狭側端部16cと一体的に連絡されて被加工球案内溝2と平行状に延設される平坦状の狭部面16bと、前記広域面部16aから狭面部16bへと被加工球25を誘導すべく両者の境界位置両側に非平行状に立設されるガイド面部18,18とで構成されている。
【0017】
このボール撹拌機構14によれば、挿入部15を介して被加工球案内溝2から被加工球25を広域面部16aにまず拾い出し、そして広域面部16aに拾い出された被加工球25は、ガイド面部18,18にそって狭面部16bに送られ、そして先端の放出部17からランダムに夫々の被加工球案内溝2へと放出され、表面加工が繰り返される。
また、ガイド面部18,18にそって狭面部16bに誘導された被加工球25は、ガイド面部18,18を通過した時点で狭面部16bの横方向から放出されるものもある。
本実施形態のように、挿入部15で拾われた全ての被加工球25がガイド面部18,18を介して狭面部16bに集まるようにすると共に、先端の放出部17から放出されるものとすることにより、全体の被加工球25がボール溜まり部8で効率よく攪拌され、被加工球案内溝2にランダムに入りを繰り返せるため、加工精度を向上させる事ができる。
【0018】
挿入部15は、その先端15aを溝R形状に合致するR状に形成してもよく、被加工球25を溝2内から出すことの出来る形状であれば良い。
また、本実施形態では被加工球案内溝2内に先端15aが挿入される挿入部15を備えているが、本実施形態にあっては挿入部15を設けなくとも昇り傾斜状の面部を設けておけば、被加工球25は被加工球案内溝2にそって順次押し出されてくるため、挿入部15がなくとも昇り傾斜状の面部を昇って誘導路16に押し上げ案内されることができる。
また、ガイド面部18,18は、誘導路16の両側全域(広域面部16aと狭面部16bの全体)にわたって連続若しくは断続して立設し、先端の放出部17まで被加工球25を誘導し、放出部17のみから放出させる形態とすることも可能である。さらに、ガイド面部18を全く設けないものとすることももちろん可能であり、本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、本実施形態のように、少なくとも下側加工盤7に被加工球案内溝2を配設することで、加工開始時に被加工球25を下側加工盤7の被加工球案内溝2に並べ、その後に上側加工盤(平面盤)1を加圧できる。
【0019】
本実施形態においても、ボール撹拌機構14及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0020】
「第三実施形態」
図9は本発明の第三実施形態で、上側加工盤1と下側加工盤7のそれぞれの中心軸26,27を径方向にずらし、偏心加工を行う実施の一形態を示す。
本実施形態では、円柱状の上側加工盤1に対し、円柱状の下側加工盤7を大径状に形成し、上側加工盤1の中心軸26に対し下側加工盤7の中心軸27を径方向(図面上で下方向)にずらすと共に、下側加工盤7のみを図示しない駆動機構を介して回転可能に構成している(図中矢印は下側加工盤7の回転方向を示す。)。
上側加工盤1の対面1a側には同心円状に複数本の被加工球案内溝2を配設しており、下側加工盤7の対面7a側には被加工球案内溝を配設せずに平面としている。
本実施形態では、上側加工盤1の外径から内径方向に所定範囲入った部分までを外面から内面にわたり略扇状に貫通状に切欠くと共に、該切欠き部分22の外径側開放部分22aと連通させて上側加工盤1の側面6に一体化させて突設した袋状部分23とにより、広範囲のボール溜まり部21が配設されている。
そして、このボール溜まり部21内にボール撹拌機構19が配設されている。
なお、これら本実施形態の特徴的部分以外の構成は第一実施形態と同一であるため第一実施形態の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0021】
袋状部分23は、切欠き部分22の外径側開放部分22aと同一幅の開口23aを有すると共に、偏心させて配設している下側加工盤7の外径と略同径の奥行きを有しており、開口23a側の端部を外径側開放部分22aの縁部に固定して上側加工盤1と一体化し、切欠き部分22の空間と袋状部分23の空間とにより広いボール溜まり部21を構成している。
また、この袋状部分23の高さは上側加工盤1と同一高さであってもよいが、限定されず、ボール溜まり部21内に送り込まれる被加工球25の撹拌作用に支障を来たさぬ高さを有していれば全て本発明の範囲内である。
【0022】
ボール撹拌機構19は、第一実施形態と同様に、ボール溜まり部21の径方向に対し、角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁20とする。
本実施形態では、平板状の撹拌壁部20aの基端20b側を、ボール溜まり部21を構成する上側加工盤1の内面内周壁4側に取り付け固定して、ボール溜まり部21内に向けて被加工球流れ方向に傾斜させて配設している。
ボール撹拌壁20の長さ・形状・配設本数などは特に限定はされず、仕様によって本発明の範囲内で選択可能である。
なお、ボール撹拌機構19は、図示せるような形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜他の形態を採用することができ、また、袋状部分23の内面にボール撹拌壁20を突設するものであってもよい。
さらに、特に限定されるものではないが、本実施形態によれば、袋状部分23の外周壁24は、中途部分24aまで下側加工盤7の外径と同径とし、中途部分24aからボール出口8b方向までの間が滑らかな湾曲状に形成されており、被加工球25の滞留箇所を無くして、被加工球25のスムーズな撹拌・案内に寄与せしめている。すなわち、袋状部分23は、図示例に限定されず、ボール溜まり部21を大きく取れ、被加工球25の加工数量も増加できるものとすることができれば、任意の形態が採用可能で本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、ボール撹拌機構19は、例えば第二実施形態で説明したような、被加工球25を拾い上げて誘導した後に放出する形態を採用することもできる。
【0023】
本実施形態によれば、偏心加工のため加工速度が速く、かつボール溜まり部21を大きく形成しているため、被加工球25の加工数量も増加でき、大量加工が迅速に行える。
【0024】
本実施形態においても、ボール撹拌機構19及びボール溜まり部21の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部21内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0025】
「第四実施形態」
図10は本発明の第四実施形態で、本実施形態では、上側加工盤1と下側加工盤7の双方共に砥石盤で、かつ上側加工盤1に被加工球案内溝2を備えた形態である場合において、ボール溜まり部出口8b側に図示形状のボール撹拌機構28を配設しているものである。図10(a)は、ボール撹拌機構28を配設した状態を一部省略して示す縦断正面図、(b)は、ボール撹拌機構28を配設した状態を示す横断平面図である。なお、本実施形態では、ボール撹拌機構28の構成についての説明に留め、その他の構成についての説明は第一実施形態の説明を援用してここでは省略する。
【0026】
本実施形態のボール撹拌機構28を配設する目的は次の通りである。
すなわち、ボール溜まり部8に入った被加工球25は、ボール溜まり部8の被加工球流れ方向(図10(b)の矢印方向)下流側で、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返されるが、上記溝2と溝2との間の端面に被加工球25が連続接触することがある。上側加工盤1が砥石盤である場合、上記端面1bも砥石であることが多く、このように端面1bに連続接触することにより偏摩耗を生じるおそれがあり、そして偏摩耗が進むと、被加工球25が上側加工盤1の端面下端(図示せず)と下側加工盤7との間に挟まり、一時的に被加工球25は止まり、被加工球25の表面に傷を発生させる原因となる。本実施形態はこのような課題を解決することを目的とする。
具体的な一実施形態を次に説明する。
【0027】
ボール撹拌機構28は、上側加工盤1の内面外周壁3の任意箇所に固定されるベース部28aと、該ベース部28aから被加工球流れ方向に向けて湾曲状に突出する腕部28bと、該腕部28bの下面に垂設されている複数のガイド部28cで構成されており、該腕部28bの先端28dと上側加工盤1の内面内周壁4との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設されている。
ガイド部28cは、棒状あるいは板状などの所望形状を有し、ボール溜まり部出口8bに位置する上側加工盤1の被加工球案内溝2…に、被加工球25を誘導案内するように所定間隔をあけて各端面1bと対向する位置に並設されている。なお、ガイド部28cは、被加工球25に損傷を与えぬようにエッジのないようにすることが好ましい。ガイド部28cは、例えば針金や金属板などの所望な材料からなるものが一例として挙げられるが限定解釈されない。また、腕部28bは、湾曲状でなくともよく本実施形態の範囲内で適宜設計変更可能である。
また、ガイド部28cの下面(下側加工盤の対面と向き合う面)は、下側加工盤7の対面7aとの間で、被加工球25が通過しない任意隙間をもって対向している。
したがって、本実施形態によれば、ボール溜まり部8に到着した被加工球25は、一旦、遠心力により内面外周壁3側に移動するが、その後ボール撹拌機構28にそって内面外周壁3側から内面内周壁4側方向へと移動しつつ、順に各ガイド部28cにより夫々の被加工球案内溝2にスムーズに誘導案内される。また、被加工球25は、ボール溜まり部8内を移動中に混合され、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返される。
この結果、砥石盤である上側加工盤1の溝間の端面1bによる偏摩耗防止により、被加工球25へのダメージを与えなくすることができ、被加工球キズ対策が可能となると共に、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)へと被加工球25をスムーズに案内させることができる。
なお、本実施形態では、上述したように、腕部28bの先端28dと上側加工盤1の内面内周壁4との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設されているが、先端28d側をボール溜まり部8の内面内周壁4に固定してボール溜まり部8内に突設する形態を採用することも可能で、また、ベース部28aを内面内周壁4側に固定すると共に、腕部28bと内面外周壁3との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設する形態を採用することも可能である。
また、本実施形態では、ベース部28aをボール溜まり部8の内面内周壁4に固定する形態としたが、腕部の側面等にベース部を突設し、上側加工盤1の表面若しくは端面1b等にベース部を固定する形態としてもよい。
【0028】
本実施形態においても、ボール撹拌機構28及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0029】
また、上述した第一実施形態のボール撹拌機構9、第二実施形態のボール撹拌機構14、第三実施形態のボール撹拌機構19を配設する他に、ボール溜まり部出口8b側に本実施形態のボール撹拌機構28を配設するものとしてもよい。このような構造を採用することにより、さらにボール撹拌作用が向上すると共に、砥石盤である上側加工盤1の溝2,2間の端面1bによる偏摩耗防止により、被加工球25へのダメージを与えなくすることができ、被加工球キズ対策が可能となると共に、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)へと被加工球25をスムーズに案内させることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ボール撹拌機構をボール溜まり部内に配設したため、ボール溜まり部内で被加工球(ボール)を効率よく攪拌させ、複数個の溝にランダムに入りを繰り返すようにすることができるため、被加工球表面の加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の全体概略を示す縦断面図。
【図2】第一実施形態の全体概略を示す斜視図。
【図3】撹拌状態を示す要部拡大断面図。
【図4】第二実施形態の全体概略を示す縦断面図。
【図5】第二実施形態の全体概略を示す斜視図。
【図6】第二実施形態のボール溜まり部内におけるボール撹拌機構を上方よりみた要部平面図。
【図7】第二実施形態のボール撹拌機構を示す概略斜視図。
【図8】第二実施形態のボール撹拌機構の使用状態を示す概略側面図。
【図9】第三実施形態を一部切欠いて示す平面図。
【図10】第四実施形態の一実施形態で、(a)は一部省略して示す縦断正面図、(b)は一部省略して示す横断平面図。
【図11】従来技術を示す要部概略図。
【図12】他の従来技術の要部概略図。
【符号の説明】
A:球体加工装置
1:上側加工盤
2:被加工球案内溝
7:下側加工盤
8,21:ボール溜まり部
9,14,19,28:ボール撹拌機構
10,20:ボール撹拌壁
15:挿入部
16:誘導路
17:放出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば軸受の転動体として使用されるボールの表面加工方法及び加工装置であって、ボール表面加工の混合均一化を図らしめる攪拌方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、軸受の転動体として使用されるボール(鋼球)は、次のような工程を経て製造される。
▲1▼材料(線材)→▲2▼球体成形→▲3▼フラッシング→▲4▼熱処理→▲5▼精研磨、ラッピング→▲6▼洗浄→▲7▼外観・品質検査→▲8▼ボール完成
従来、上記一連の工程中、▲5▼精研磨、ラッピング工程においては、互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤の少なくとも一方を回転させることにより、被加工球の表面を加工しており、上側加工盤は、その所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜まり部を有しており、このボール溜まり部に送り出されてくる多数のボールに、ラップ液をノズルで吹き掛ける事により、ボールはラップ液の噴出勢いでボール溜まり部内にて攪拌されるものであった(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
Maschinefabrik Geis GmbH社 GEIS MINIATURE−BALL PROCESSING−SYSTEM
型番JGS400S−Hカタログ P2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図11(a),(b)は従来技術の一例で、上側加工盤(砥石盤)100の内面に複数本の被加工球(ボール)案内溝200,200…が同心円状に形成されており、ボール400は、この被加工球案内溝200,200…にそって送られつつ上側・下側の加工盤100,300間にて表面加工(精研磨・ラッピング加工)されるものである。
このとき夫々のボール400は、上側加工盤100に設けられているボール溜まり部500にて、ノズル600を介して勢い良くラップ液が吹き掛けられ、かつそのラップ液の吹き掛ける勢いを利用して撹拌させることにより、ボール溜まり部500に送られてきた際の被加工球案内溝200とは異なる被加工球案内溝200に入り、さらに上側・下側の加工盤100,300間にて表面加工(精研磨・ラッピング加工)されていた。このようにボール400を撹拌させるのは、加工精度、特に径相互差を向上させるためである。
【0005】
ボール400の径が小さい(小径球)場合、ラップ液をノズル600で吹き掛ける事により、その勢いでボール400はボール溜まり部500内で攪拌される。すなわち、ボール溜まり部500では案内溝がないため何等拘束されること無く順次送られ、ラップ液の吹き掛けにより攪拌されることが可能だからである。
しかし、図11(c)のようにボール400が並径球になると、ラップ液をノズル600で吹き掛けた位では攪拌されず、例えば最外径の被加工球案内溝(外側溝)200を通ってきたボール400は遠心力により再び外側溝200に入ってしまう。すなわち、外側溝200に入って加工されてきたボール400が、ボール溜まり部500を通過する際、遠心力により外壁を伝わり、再度外側溝200に入ってしまう。
その為に、加工精度、特に径相互差が悪くなってしまう。
また、図12に示すように、同心加工で上側加工盤100と下側加工盤300双方に被加工球案内溝200,200…が切ってある場合、又は少なくとも下側加工盤300に溝200,200…が切ってある場合、ボール溜まり部500であってもボール400は溝200,200…により拘束された状態で送られていくため、ボール400を攪拌させる事ができない。
これでは、毎回同一の溝内に入った状態で表面加工が繰り返されるため、ボール400を均一に加工することが難しかった。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、ボール溜まり部内でボールを攪拌させ、複数個の溝にランダムに入りを繰り返すようにすることで、ボール表面の加工精度を向上させることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明がなした技術的手段は、互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工方法であって、上側加工盤は、その所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部を有しており、順次前記ボール溜まり部に送られてきた被加工球は、該ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されてさらに加工盤相互間にて加工される球体加工方法とした点に特徴を有する。
また、少なくとも上側加工盤と下側加工盤のいずれか一方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合、前記被加工球案内溝によりボール溜まり部に送られてきた被加工球は、該ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されて他の被加工球案内溝に移り、さらに加工盤相互間にて加工されるものとする。また、少なくとも下側加工盤に被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合も同様である。
【0007】
上記加工方法に使用される加工装置として、互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする。
なお、上側加工盤と下側加工盤の少なくとも一方が砥石盤である。
また、少なくとも上側加工盤と下側加工盤のいずれか一方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる球体加工装置の場合、若しくは少なくとも下側加工盤に被加工球案内溝を同心円状に配設してなる場合も同様である。
ボール撹拌機構は、例えば、ボール溜まり部の径方向に対し角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁とした。このような機構は、特に上側加工盤と下側加工盤の双方に被加工球案内溝を有していない場合や、下側加工盤に被加工球案内溝を有していない場合において、ボール撹拌作用に寄与する。
ボール撹拌壁は、上側加工盤のボール溜まり部内面外周壁からボール溜まり部内に突設されている。このようにボール撹拌壁を配置することで、ボール溜まり部に到着したボールは、ボール撹拌壁にそって外周側から内周方向へと移動し、内周側を移動しているボールと混合され、撹拌壁先端とボール溜まり部の内面内周壁との間の流路を通過した際に遠心力で広がり撹拌される。そしてボール溜まり部の流れ方向下流側で上側加工盤と下側加工盤の間に入り表面加工が繰り返される。
また、少なくとも下側加工盤に複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなる加工装置の場合には、各被加工球案内溝に挿入される挿入部と、該挿入部と連続して被加工球を溝内から誘導する誘導路と、該誘導路の先端側にあり、誘導された被加工球をランダムに夫々の被加工球案内溝へと放出する放出部とで構成されているボール撹拌機構を採用することができる。
このボール撹拌機構によれば、挿入部を介して被加工球案内溝からボールを溝から出す事ができ、出されたボールは誘導路を通って先端の放出部からランダムに夫々の被加工球案内溝へと放出され、表面加工が繰り返される。
このとき挿入部で拾われた全てのボールが誘導路を介して中心に集まるようにすると共に先端の放出部から放出されるものとすることにより、全体のボールがボール溜まり部で攪拌され、溝にランダムに入りを繰り返せるため、加工精度を向上させる事ができる。
ボール溜まり部の内壁に、摩擦係数の小さい表面処理を施したことを特徴とする。このような構成を採用することでボールの撹拌を円滑に行うことが出来る。
また、上記加工方法及び加工装置において、下側加工盤若しくは上側加工盤と下側加工盤の双方に被加工球案内溝を有していない場合、上側加工盤と下側加工盤のそれぞれの中心軸を径方向にずらす(偏心)こともでき、このように構成することにより、加工速度が速くなると共に、ボール溜まり部を広く確保できボール撹拌効率が高い。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明球体加工装置及び加工方法の一実施形態を図に基づいて説明する。図1乃至図3は第一実施形態、図4乃至図8は第二実施形態、図9は第三実施形態、図10は第四実施形態を示す。なお、各実施形態は本発明の一実施形態にすぎず、なんらこれに限定して解釈されるものではなく本発明の範囲内において設計変更可能である。
【0009】
「第一実施形態」
球体加工装置Aは、互いに所定間隔を存して対向する円柱状の上側加工盤(固定盤)1と、該上側加工盤1と同径・同軸状の円柱状の下側加工盤(回転盤)7とからなる縦型の球体加工装置で、図示しない駆動機構を介して相対回転可能に構成されている。
上側加工盤1と下側加工盤7は、本実施形態では、上側加工盤1の対面1a側を砥石、下側加工盤7の対面7a側を平面としている。なお、上側加工盤1と下側加工盤7の双方若しくは一方が砥石盤であればよく任意である。砥石盤の砥粒粒度(本実施形態では#120)は特に限定はされない。
本実施形態では上側加工盤1に、複数本の被加工球案内溝2…を同心円状に配設している。被加工球案内溝2は、加工対象とされる被加工球(本実施形態ではセラミックス球Si3N4を使用)25と同じ曲率で周方向に連続形成されている。
なお、本実施形態では、上側加工盤1に被加工球案内溝2を配設しているが、これに限定解釈されるものではなく、下側加工盤7に複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなるものであっても、上側加工盤1と下側加工盤7の双方に配設してなるものであってもよく本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、平面盤側を砥石としても良いが、加工能率を考えると、被加工球案内溝のある方を砥石盤にした方が好ましい。
上側加工盤1と下側加工盤7の双方に被加工球案内溝2を配設する場合には、回転する側を砥石にするか、両側とも砥石にするのが好ましい。
また、本実施形態ではラップ液吹き掛け用ノズルが省略されているが、任意の箇所に設けられる。
さらに、本実施形態では、同軸状に上側加工盤1と下側加工盤7を配設しているが、夫々の中心軸をずらした偏心加工とすることも可能である。
【0010】
上側加工盤1は、所定範囲を外面から内面にわたりほぼ扇状に切欠いたボール溜まり部8を有し、該ボール溜まり部8内に、ボール撹拌機構9が備えられている。
本実施形態のように下側加工盤7が平面の場合、上側加工盤1の被加工球案内溝2に案内されてボール溜まり部8に至った被加工球25は、ボール溜まり部8にて上側加工盤1の被加工球案内溝2から解放され、回転作動する下側加工盤7により該ボール溜まり部8内に広がる。ボール溜まり部8内に解放された被加工球25は、下側加工盤7の回転遠心力により、ボール溜まり部8の内面外周方向に移動を開始する。
そこで、このような被加工球25のボール溜まり部8内での移動を修正し、被加工球25を効率良く撹拌させるためにボール撹拌機構9が配設されている。
【0011】
ボール撹拌機構9は、例えば本実施形態では、ボール溜まり部8の径方向に対し角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁10とする。
ボール撹拌壁10は、例えば、上側加工盤1の内面外周壁3の任意箇所に固定されるベース部11と、該ベース部11から被加工球流れ方向に向けて約45度の角度をもって傾斜状に突出する撹拌壁部12とで構成されており、該撹拌壁部12の先端12aと上側加工盤1の内面内周壁4との間に所望な流路(すきま)13を確保してボール溜まり部8内に突設されている。
なお、撹拌壁部12の下面(下側加工盤の対面と向き合う面)は、下側加工盤7の対面7aとの間で、被加工球25が通過しない任意隙間をもって対向している。
【0012】
前記した撹拌壁部12の先端12aと上側加工盤1の内面内周壁4との間に形成される所望な流路13の幅は、特に限定されず、本発明の範囲内で適宜広狭設計変更可能である。なお、撹拌壁部12の先端12aは、撹拌される被加工球25に損傷を与えぬようにエッジのないようにすることも可能である。
本実施形態では、上側加工盤1の内面外周壁3にあけた凹部5にベース部11を嵌合固定する形態を採用しているが、これに限定されるものではなく、撹拌壁部12がボール溜まり部8の径方向に対し角度をもって配設される形態であれば他の構成を採用することも可能である。
ボール撹拌壁10の撹拌壁部12の形状も、本実施形態のように傾斜した平坦板状に限られず、波板状あるいは曲板状など任意である。さらに、板状に限らず棒状(棒径は問わず)に形成されるものであっても構わない。
また、このような構成のボール撹拌壁10は、ボール溜まり部8内の撹拌スペースとの関係にもよるが、ボール溜まり部8内に複数個配設することもでき、その配設箇所も内面外周壁3のみならず、内面内周壁4にも配設するものであってもよく、ボール撹拌作用に支障を来たさぬ範囲で任意に組合せが可能である。例えば、ボール溜まり部入口8a側からボール溜まり部出口8b側にわたって、内面外周壁3にのみ複数個配設したり、内面外周壁3と内面内周壁4に交互に配設したりすることができる。
【0013】
このようにボール撹拌壁10を配置することで、ボール溜まり部8に到着した被加工球25は、一旦、遠心力により内面外周壁3側に移動するが、その後ボール撹拌壁10にそって内面外周壁3側から内面内周壁4側方向へと移動し、内面内周壁4側を移動している被加工球25と混合され、撹拌壁部12の先端12aと内面内周壁4との間の流路13を通過した際に遠心力で広がり撹拌される。そしてボール溜まり部8の被加工球流れ方向下流側で上側加工盤1と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返される。
このような機構は、特に、下側加工盤7に被加工球案内溝を有していない場合において、ボール撹拌作用に寄与する。
また、ボール溜まり部8の切欠き形状は特に限定されず、本発明の範囲内で設計変更可能である。
【0014】
ボール撹拌機構9及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0015】
「第二実施形態」
図4乃至図8は本発明の第二実施形態で、本実施形態は、少なくとも下側加工盤7に複数本の被加工球案内溝2を同心円状に配設してなる加工装置Aが対象とされ、このような加工装置Aにおけるボール溜まり部8内のボール撹拌効率を向上させるものである。
本実施形態では、図4及び図5に示すように、上側加工盤1と下側加工盤7の双方に、被加工球案内溝2を配設する。
なお、加工装置Aの全体的な形状は第一実施形態で説明した加工装置Aと同一で、上側加工盤1に切り欠かれたボール溜まり部8内に第一実施形態とは異なる形態のボール撹拌機構14が配設されている。よって、本実施形態では、ボール撹拌機構14の構成についての説明に留め、その他の構成についての説明は第一実施形態の説明を援用してここでは省略する。
【0016】
ボール撹拌機構14は、図6乃至図8に示すように、各被加工球案内溝2に挿入される昇り傾斜状の複数個の挿入部15と、該挿入部15と連続して被加工球25を溝2内から誘導する誘導路16と、該誘導路16の先端側にあり、誘導された被加工球25をランダムに夫々の被加工球案内溝2へと放出する放出部17とで構成されている機構を採用し、このボール撹拌機構14のいずれかの箇所を上側加工盤1のいずれかの箇所に取り付け固定して備えている。
本実施形態では、挿入部15を略逆三角形状に形成すると共に、その先端15aを鋭角状としているため、被加工球案内溝2にそってボール溜まり部8内に入った被加工球25は、挿入部15の先端15aによって確実かつ容易に拾われ、順次押し入ってくる被加工球25群により押し上げられていく。
誘導路16は、本実施形態では、各挿入部15の基端15b側が一体的に連絡される広域面部16aと、該広域面部16aの幅狭側端部16cと一体的に連絡されて被加工球案内溝2と平行状に延設される平坦状の狭部面16bと、前記広域面部16aから狭面部16bへと被加工球25を誘導すべく両者の境界位置両側に非平行状に立設されるガイド面部18,18とで構成されている。
【0017】
このボール撹拌機構14によれば、挿入部15を介して被加工球案内溝2から被加工球25を広域面部16aにまず拾い出し、そして広域面部16aに拾い出された被加工球25は、ガイド面部18,18にそって狭面部16bに送られ、そして先端の放出部17からランダムに夫々の被加工球案内溝2へと放出され、表面加工が繰り返される。
また、ガイド面部18,18にそって狭面部16bに誘導された被加工球25は、ガイド面部18,18を通過した時点で狭面部16bの横方向から放出されるものもある。
本実施形態のように、挿入部15で拾われた全ての被加工球25がガイド面部18,18を介して狭面部16bに集まるようにすると共に、先端の放出部17から放出されるものとすることにより、全体の被加工球25がボール溜まり部8で効率よく攪拌され、被加工球案内溝2にランダムに入りを繰り返せるため、加工精度を向上させる事ができる。
【0018】
挿入部15は、その先端15aを溝R形状に合致するR状に形成してもよく、被加工球25を溝2内から出すことの出来る形状であれば良い。
また、本実施形態では被加工球案内溝2内に先端15aが挿入される挿入部15を備えているが、本実施形態にあっては挿入部15を設けなくとも昇り傾斜状の面部を設けておけば、被加工球25は被加工球案内溝2にそって順次押し出されてくるため、挿入部15がなくとも昇り傾斜状の面部を昇って誘導路16に押し上げ案内されることができる。
また、ガイド面部18,18は、誘導路16の両側全域(広域面部16aと狭面部16bの全体)にわたって連続若しくは断続して立設し、先端の放出部17まで被加工球25を誘導し、放出部17のみから放出させる形態とすることも可能である。さらに、ガイド面部18を全く設けないものとすることももちろん可能であり、本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、本実施形態のように、少なくとも下側加工盤7に被加工球案内溝2を配設することで、加工開始時に被加工球25を下側加工盤7の被加工球案内溝2に並べ、その後に上側加工盤(平面盤)1を加圧できる。
【0019】
本実施形態においても、ボール撹拌機構14及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0020】
「第三実施形態」
図9は本発明の第三実施形態で、上側加工盤1と下側加工盤7のそれぞれの中心軸26,27を径方向にずらし、偏心加工を行う実施の一形態を示す。
本実施形態では、円柱状の上側加工盤1に対し、円柱状の下側加工盤7を大径状に形成し、上側加工盤1の中心軸26に対し下側加工盤7の中心軸27を径方向(図面上で下方向)にずらすと共に、下側加工盤7のみを図示しない駆動機構を介して回転可能に構成している(図中矢印は下側加工盤7の回転方向を示す。)。
上側加工盤1の対面1a側には同心円状に複数本の被加工球案内溝2を配設しており、下側加工盤7の対面7a側には被加工球案内溝を配設せずに平面としている。
本実施形態では、上側加工盤1の外径から内径方向に所定範囲入った部分までを外面から内面にわたり略扇状に貫通状に切欠くと共に、該切欠き部分22の外径側開放部分22aと連通させて上側加工盤1の側面6に一体化させて突設した袋状部分23とにより、広範囲のボール溜まり部21が配設されている。
そして、このボール溜まり部21内にボール撹拌機構19が配設されている。
なお、これら本実施形態の特徴的部分以外の構成は第一実施形態と同一であるため第一実施形態の説明を援用し、ここでの説明は省略する。
【0021】
袋状部分23は、切欠き部分22の外径側開放部分22aと同一幅の開口23aを有すると共に、偏心させて配設している下側加工盤7の外径と略同径の奥行きを有しており、開口23a側の端部を外径側開放部分22aの縁部に固定して上側加工盤1と一体化し、切欠き部分22の空間と袋状部分23の空間とにより広いボール溜まり部21を構成している。
また、この袋状部分23の高さは上側加工盤1と同一高さであってもよいが、限定されず、ボール溜まり部21内に送り込まれる被加工球25の撹拌作用に支障を来たさぬ高さを有していれば全て本発明の範囲内である。
【0022】
ボール撹拌機構19は、第一実施形態と同様に、ボール溜まり部21の径方向に対し、角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁20とする。
本実施形態では、平板状の撹拌壁部20aの基端20b側を、ボール溜まり部21を構成する上側加工盤1の内面内周壁4側に取り付け固定して、ボール溜まり部21内に向けて被加工球流れ方向に傾斜させて配設している。
ボール撹拌壁20の長さ・形状・配設本数などは特に限定はされず、仕様によって本発明の範囲内で選択可能である。
なお、ボール撹拌機構19は、図示せるような形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜他の形態を採用することができ、また、袋状部分23の内面にボール撹拌壁20を突設するものであってもよい。
さらに、特に限定されるものではないが、本実施形態によれば、袋状部分23の外周壁24は、中途部分24aまで下側加工盤7の外径と同径とし、中途部分24aからボール出口8b方向までの間が滑らかな湾曲状に形成されており、被加工球25の滞留箇所を無くして、被加工球25のスムーズな撹拌・案内に寄与せしめている。すなわち、袋状部分23は、図示例に限定されず、ボール溜まり部21を大きく取れ、被加工球25の加工数量も増加できるものとすることができれば、任意の形態が採用可能で本発明の範囲内で設計変更可能である。
また、ボール撹拌機構19は、例えば第二実施形態で説明したような、被加工球25を拾い上げて誘導した後に放出する形態を採用することもできる。
【0023】
本実施形態によれば、偏心加工のため加工速度が速く、かつボール溜まり部21を大きく形成しているため、被加工球25の加工数量も増加でき、大量加工が迅速に行える。
【0024】
本実施形態においても、ボール撹拌機構19及びボール溜まり部21の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部21内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0025】
「第四実施形態」
図10は本発明の第四実施形態で、本実施形態では、上側加工盤1と下側加工盤7の双方共に砥石盤で、かつ上側加工盤1に被加工球案内溝2を備えた形態である場合において、ボール溜まり部出口8b側に図示形状のボール撹拌機構28を配設しているものである。図10(a)は、ボール撹拌機構28を配設した状態を一部省略して示す縦断正面図、(b)は、ボール撹拌機構28を配設した状態を示す横断平面図である。なお、本実施形態では、ボール撹拌機構28の構成についての説明に留め、その他の構成についての説明は第一実施形態の説明を援用してここでは省略する。
【0026】
本実施形態のボール撹拌機構28を配設する目的は次の通りである。
すなわち、ボール溜まり部8に入った被加工球25は、ボール溜まり部8の被加工球流れ方向(図10(b)の矢印方向)下流側で、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返されるが、上記溝2と溝2との間の端面に被加工球25が連続接触することがある。上側加工盤1が砥石盤である場合、上記端面1bも砥石であることが多く、このように端面1bに連続接触することにより偏摩耗を生じるおそれがあり、そして偏摩耗が進むと、被加工球25が上側加工盤1の端面下端(図示せず)と下側加工盤7との間に挟まり、一時的に被加工球25は止まり、被加工球25の表面に傷を発生させる原因となる。本実施形態はこのような課題を解決することを目的とする。
具体的な一実施形態を次に説明する。
【0027】
ボール撹拌機構28は、上側加工盤1の内面外周壁3の任意箇所に固定されるベース部28aと、該ベース部28aから被加工球流れ方向に向けて湾曲状に突出する腕部28bと、該腕部28bの下面に垂設されている複数のガイド部28cで構成されており、該腕部28bの先端28dと上側加工盤1の内面内周壁4との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設されている。
ガイド部28cは、棒状あるいは板状などの所望形状を有し、ボール溜まり部出口8bに位置する上側加工盤1の被加工球案内溝2…に、被加工球25を誘導案内するように所定間隔をあけて各端面1bと対向する位置に並設されている。なお、ガイド部28cは、被加工球25に損傷を与えぬようにエッジのないようにすることが好ましい。ガイド部28cは、例えば針金や金属板などの所望な材料からなるものが一例として挙げられるが限定解釈されない。また、腕部28bは、湾曲状でなくともよく本実施形態の範囲内で適宜設計変更可能である。
また、ガイド部28cの下面(下側加工盤の対面と向き合う面)は、下側加工盤7の対面7aとの間で、被加工球25が通過しない任意隙間をもって対向している。
したがって、本実施形態によれば、ボール溜まり部8に到着した被加工球25は、一旦、遠心力により内面外周壁3側に移動するが、その後ボール撹拌機構28にそって内面外周壁3側から内面内周壁4側方向へと移動しつつ、順に各ガイド部28cにより夫々の被加工球案内溝2にスムーズに誘導案内される。また、被加工球25は、ボール溜まり部8内を移動中に混合され、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)に入り表面加工が繰り返される。
この結果、砥石盤である上側加工盤1の溝間の端面1bによる偏摩耗防止により、被加工球25へのダメージを与えなくすることができ、被加工球キズ対策が可能となると共に、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)へと被加工球25をスムーズに案内させることができる。
なお、本実施形態では、上述したように、腕部28bの先端28dと上側加工盤1の内面内周壁4との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設されているが、先端28d側をボール溜まり部8の内面内周壁4に固定してボール溜まり部8内に突設する形態を採用することも可能で、また、ベース部28aを内面内周壁4側に固定すると共に、腕部28bと内面外周壁3との間に被加工球一個が通過可能な所望な流路(すきま)を確保してボール溜まり部8内に突設する形態を採用することも可能である。
また、本実施形態では、ベース部28aをボール溜まり部8の内面内周壁4に固定する形態としたが、腕部の側面等にベース部を突設し、上側加工盤1の表面若しくは端面1b等にベース部を固定する形態としてもよい。
【0028】
本実施形態においても、ボール撹拌機構28及びボール溜まり部8の内面部分(内面外周壁3や内面内周壁4など)には、摩擦係数の小さいPTFE(テトラフルオロエチレン)樹脂,FEP(フッ化エチレンプロピレン共重合)樹脂,PFA(パーフルオロアルコキシ)樹脂等(例えば、テフロン(登録商標))や、タフラム(登録商標)等の表面処理材等の使用により、ボール溜まり部8内で被加工球25の攪拌を円滑に行えるようにするのが好ましい。
【0029】
また、上述した第一実施形態のボール撹拌機構9、第二実施形態のボール撹拌機構14、第三実施形態のボール撹拌機構19を配設する他に、ボール溜まり部出口8b側に本実施形態のボール撹拌機構28を配設するものとしてもよい。このような構造を採用することにより、さらにボール撹拌作用が向上すると共に、砥石盤である上側加工盤1の溝2,2間の端面1bによる偏摩耗防止により、被加工球25へのダメージを与えなくすることができ、被加工球キズ対策が可能となると共に、上側加工盤1の被加工球案内溝2と下側加工盤7の間(ボール溜まり部出口8b)へと被加工球25をスムーズに案内させることができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、ボール撹拌機構をボール溜まり部内に配設したため、ボール溜まり部内で被加工球(ボール)を効率よく攪拌させ、複数個の溝にランダムに入りを繰り返すようにすることができるため、被加工球表面の加工精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の全体概略を示す縦断面図。
【図2】第一実施形態の全体概略を示す斜視図。
【図3】撹拌状態を示す要部拡大断面図。
【図4】第二実施形態の全体概略を示す縦断面図。
【図5】第二実施形態の全体概略を示す斜視図。
【図6】第二実施形態のボール溜まり部内におけるボール撹拌機構を上方よりみた要部平面図。
【図7】第二実施形態のボール撹拌機構を示す概略斜視図。
【図8】第二実施形態のボール撹拌機構の使用状態を示す概略側面図。
【図9】第三実施形態を一部切欠いて示す平面図。
【図10】第四実施形態の一実施形態で、(a)は一部省略して示す縦断正面図、(b)は一部省略して示す横断平面図。
【図11】従来技術を示す要部概略図。
【図12】他の従来技術の要部概略図。
【符号の説明】
A:球体加工装置
1:上側加工盤
2:被加工球案内溝
7:下側加工盤
8,21:ボール溜まり部
9,14,19,28:ボール撹拌機構
10,20:ボール撹拌壁
15:挿入部
16:誘導路
17:放出部
Claims (15)
- 互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工方法であって、
上側加工盤は、その所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有しており、
該ボール溜まり部に送られてきた被加工球は、順次前記ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されてさらに加工盤相互間にて加工されることを特徴とする球体加工方法。 - 互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工装置であって、
上側加工盤には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有しており、
前記被加工球案内溝によりボール溜まり部に送られてきた被加工球は、順次前記ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されて他の被加工球案内溝に移り、さらに加工盤相互間にて加工されることを特徴とする球体加工方法。 - 互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工装置であって、
下側加工盤には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有しており、
前記被加工球案内溝によりボール溜まり部に送られてきた被加工球は、順次前記ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されて他の被加工球案内溝に移り、さらに加工盤相互間にて加工されることを特徴とする球体加工方法。 - 互いに所定間隔を存して対向する上側と下側の加工盤相互間に被加工球を挟持すると共に、前記2つの加工盤を相対回転させることにより、被加工球の表面を加工する球体加工装置であって、
上側加工盤と下側加工盤の双方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有しており、
前記被加工球案内溝によりボール溜まり部に送られてきた被加工球は、順次前記ボール溜まり部内にてボール撹拌機構により撹拌されて他の被加工球案内溝に移り、さらに加工盤相互間にて加工されることを特徴とする球体加工方法。 - 上側加工盤と下側加工盤の夫々の中心軸を、径方向にずらしたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の球体加工方法。
- 互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、
該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする球体加工装置。 - 互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、上側加工盤には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、
該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする球体加工装置。 - 互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、下側加工盤には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、
該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする球体加工装置。 - 互いに所定間隔を存して対向し、相対回転させることにより、両者間にて挟持した被加工球の表面を加工する上側と下側の加工盤とからなり、上側加工盤と下側加工盤の双方には複数本の被加工球案内溝を同心円状に配設してなると共に、上側加工盤の所定範囲を外面から内面にわたり貫通状に切欠いたボール溜り部を有する球体加工装置であって、
該ボール溜まり部内には、ボール撹拌機構が備えられていることを特徴とする球体加工装置。 - 上側加工盤と下側加工盤の夫々の中心軸を、径方向にずらしたことを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の球体加工装置。
- ボール撹拌機構は、ボール溜まり部の径方向に対し角度をもって配設されている一個乃至複数個のボール撹拌壁としたことを特徴とする請求項6、7又は10のいずれかに記載の球体加工装置。
- ボール撹拌壁は、上側加工盤のボール溜まり部内面外周壁からボール溜まり部内に突設されていることを特徴とする請求項11に記載の球体加工装置。
- ボール撹拌機構は、各被加工球案内溝に挿入される挿入部と、該挿入部と連続して被加工球を溝内から誘導する誘導路と、該誘導路の先端側にあり、誘導された被加工球をランダムに夫々の被加工球案内溝へと放出する放出部とで構成されていることを特徴とする請求項8および9に記載の球体加工装置。
- ボール溜まり部の内周に、摩擦係数の小さい表面処理を施したことを特徴とする請求項6乃至13のいずれかに記載の球体加工装置。
- 少なくとも一方が砥石盤であることを特徴とする請求項6乃至14のいずれかに記載の球体加工装置。
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