JP2009093909A - 色素増感光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

色素増感光電変換素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価な増感色素を用いて、変換効率の高い光電変換素子を容易に製造することができ、安価な光電変換素子を用いた太陽電池を提供する。
【解決手段】光電変換素子は、基板1、1′、透明導電膜2、7、酸化物半導体3、増感色素4、電解質5、隔壁9等から構成されている。透明導電膜2を付けた基板1上に、酸化物半導体3の粒子を焼結して形成した空孔を有する酸化物半導体層を有し、その空孔表面に増感色素4を吸着させた色素担持半導体電極を用いる。対向電極6としては、基板1′上に透明導電膜7が形成され、その上に白金8を蒸着したものが用いられ、両極間には電解質5が充填され電解質層が形成される。色素担持半導体電極は、色素を比誘電率(εr)が40〜75の溶媒に溶解あるいは分散した液に浸漬して形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は光電変換素子に関し、特に色素増感光電変換素子及びその製造方法に関するものである。
1991年に増感色素としてルテニウム錯体を用いた新規色素増感太陽電池が10%の変換効率を持つ事がグレッツェル教授により発表されて以来、次世代の電力源として注目されている(非特許文献1参照。)。ルテニウム色素は長波長領域に吸収を持つために幅広い波長の光を取り入れることが出来、そのために高い変換効率が達成されたものと考えられる。
しかし、ルテニウムはレアメタルであることから高価な物質である。そこで、本発明者らは、簡便かつ安価に合成可能な非金属有機増感色素においても吸収波長が長波側にシフトする凝集体を形成できれば入射光を効率的に取り込むことができ、それに伴い変換効率の向上が得られると考えた。
しかし、色素増感太陽電池において色素がTiO2表面で凝集すると、電子移動に寄与しない色素によるフィルタ効果により短絡電流を低下させてしまう。そのため、吸着時に凝集を阻止するためにデオキシコール酸などの凝集防止剤を吸着溶媒中に共存させるのが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
本発明者らは、吸着に用いる溶媒を変化させることにより、短絡電流、開放電圧の低下を引き起こさず変換効率の向上に寄与する吸着法がないかを検討した。
特開2000−106224号公報 B.O’Regan and M.Gratzel,Nature,353,737(1991)
本発明の目的は、安価な増感色素を用いて、変換効率の高い光電変換素子を容易に製造することができ、安価な光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の構成により解決することができた。
1.導電性支持体上の酸化物半導体に色素を担持させてなる色素担持半導体電極と対向電極とを電荷移動層を介して対向配置してなる色素増感光電変換素子の製造方法に於いて、前記色素担持半導体電極が、色素を比誘電率(εr)が40〜75の溶媒に溶解あるいは分散した液に浸漬して形成されたことを特徴とする色素増感光電変換素子の製造方法。
2.前記比誘電率(εr)が40〜75の溶媒が、水を含む混合溶媒であることを特徴とする前記1に記載の色素増感光電変換素子の製造方法。
3.前記1または2に記載の色素増感光電変換素子の製造方法により形成されたことを特徴とする色素増感光電変換素子。
4.前記色素が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記3に記載の色素増感光電変換素子。
Figure 2009093909
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基または複素環基を表す。Xは酸性基を表す。mは0〜2の整数を表す。
本発明の増感色素分子を酸化物半導体層へ吸着させる際に比誘電率が40〜75の吸着溶媒を用いて増感色素分子を吸着・凝集させ、光吸収波長が長波長領域に広がる凝集を発達させた色素増感型太陽電池により、安価で、且つ容易に高効率な光電変換素子を提供することができ、安価な光電変換素子を用いた太陽電池を提供することができた。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の製造方法により形成された光電変換素子について、図をもって説明する。
図1は、本発明の製造方法により形成された光電変換素子の一例を示す構成断面図である。
図1に示すように、基板1、1′、透明導電膜2、7、酸化物半導体3、増感色素4、電解質5、隔壁9等から構成されている。
本発明においては、透明導電膜2を付けた基板1(合わせて導電性支持体とも言う。)上に、酸化物半導体3の粒子を焼結して形成した空孔を有する酸化物半導体層を有し、その空孔表面に増感色素4を吸着させた色素担持半導体電極を用いる。
対向電極6としては、基板1′上に透明導電膜7が形成され、その上に白金8を蒸着したものが用いられ、両極間には電解質5が充填され電解質層が形成される。
本発明においては、色素担持半導体電極と対向電極とを電荷移動層を介して対向配置してなる色素増感光電変換素子の製造方法に於いて、前記色素担持半導体電極が、色素を比誘電率(εr)が40〜75の溶媒に溶解あるいは分散した液に浸漬して形成されることを特徴とする。
本願の誘電率で良好な光電変換素子が形成される要因としては、比誘電率(εr)が40よりも大きい値をとるほど分子内クーロン力が小さくなるため、色素分子の酸性基の求核性が強まり酸化物半導体表面の金属分子に結合もしくは配位しやすくなり光電変換素子としての性能が向上すると考えられる。しかしながら、比誘電率が75を超えると色素分子の溶媒への溶解度が低下するため、酸化物半導体表面への均一な色素吸着がなされなくなるため性能の向上は得られないと推定している。
前記比誘電率(εr)が40〜75の溶媒としては、単独溶媒でも混合溶媒でも良いが、本発明においては水を含む混合溶媒であることが好ましい。
本発明に用いられる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を挙げることができ、これらの溶媒を単独或いは混合することにより比誘電率(εr)が40〜75の溶媒を形成する。
本発明に好ましく用いられる増感色素としては、前記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
式中、R1は水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ノニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)または複素環基(フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、モルホニル基等)を表す。R2はアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、アリレン基等)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基等)または複素環基(R1で挙げた複素環基から1個の水素原子を除いた2価基等)を表す。Xは酸性基を表す。mは0〜2の整数を表す。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが本発明はこれらの化合物に限定されない。
Figure 2009093909
本発明の前記一般式(1)で表される増感色素は、一般的な合成法により調製することができるが、具体的な合成例を以下に示す。
〈色素D−1の合成〉
下記トリフェニルアミン化合物に6当量のオキシ塩化リンならびに8当量のN,N′−ジメチルホルムアミドを加え窒素雰囲気下にて8時間60℃で加熱した後、水を加え20℃1時間攪拌することによりジホルミル体を得た。
ジホルミル体を酢酸に溶解させ、2.4当量のシアノ酢酸ならびに5当量の酢酸アンモニウムを加え120℃で60分加熱還流することにより、色素D−1を得た。
Figure 2009093909
〈色素D−2の合成〉
上記トリフェニルアミン化合物のDMF溶液に2.1当量のN−ブロモスクシミドを加え、20℃で10分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで処理しジブロモ体を得た。
ジブロモ体をTHFに溶解させ、Pd(PPh34 0.06当量、チオフェンボロン酸3当量、炭酸カリウム2当量を加え、加熱還流下7時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで分離精製しジチオフェン体を得た。
トルエンにジチオフェン体を溶解させ、3当量のオキシ塩化リンならびに3当量のN,N′−ジメチルホルムアミドを加え窒素雰囲気下にて5時間110℃で加熱した後、水を加え20℃で1時間攪拌。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムにて分離精製しジホルミル体を得た。
ジホルミル体を酢酸に溶解させ、5当量のシアノ酢酸ならびに5当量の酢酸アンモニウムを加え120℃で5時間加熱還流することにより、色素D−2を得た。
Figure 2009093909
〈色素D−3の合成〉
ジヨードビフェニルのトルエン溶液にジフェニルアミン2当量、酢酸パラジウム0.12当量、トリ(t−ブチル)ホスフィン0.5当量、t−ブトキシド3当量を加え加熱還流下60分攪拌した。有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータで濃縮乾固し、シリカゲルカラムで精製し、N,N,N′,N′−テトラフェニルベンジジンの白色結晶を得た。
N,N,N′,N′−テトラフェニルベンジジンに12当量の塩化ホスホリル、16当量のDMFを加え、90℃で21時間に加熱攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムにて分離精製しテトラホルミル体を得た。
テトラホルミル体を酢酸に溶解させ、5当量のシアノ酢酸ならびに5当量の酢酸アンモニウムを加え120℃で60分加熱還流することにより、色素D−3を得た。
Figure 2009093909
〈色素D−4の合成〉
色素D−2の合成法で得たジブロモ体をTHFに溶解させ、Pd(PPh34 0.06当量、チオフェンボロン酸1.1当量、炭酸カリウム1.5当量を加え、加熱還流下4時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで分離精製しチオフェン体を得た。
トルエンにチオフェン体を溶解させ、5当量のオキシ塩化リンならびに5当量のN,N′−ジメチルホルムアミドを加え窒素雰囲気下にて5時間110℃で加熱した後、水を加え20℃で1時間攪拌。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムにて分離精製しホルミル体を得た。
ホルミル体を酢酸に溶解させ、3当量のシアノ酢酸ならびに5当量の酢酸アンモニウムを加え110℃で6時間加熱還流することにより、色素D−4を得た。
Figure 2009093909
〈色素D−5の合成〉
トリフェニルアミン化合物のDMF溶液に1.1当量のN−ブロモスクシミドを加え、20℃で10分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで精製してブロモ体を得た。
ブロモ体をTHFに溶解させ、Pd(PPh34 0.06当量、チオフェンボロン酸1.5当量、炭酸カリウム2.0当量を加え、加熱還流下4時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムで分離精製しチオフェン体を得た。
トルエンにチオフェン体を溶解させ、5当量のオキシ塩化リンならびに5当量のN,N′−ジメチルホルムアミドを加え窒素雰囲気下にて5時間110℃で加熱した後、水を加え20℃で1時間攪拌。反応液を酢酸エチルで抽出、水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエヴァポレータにて濃縮乾固し、シリカカラムにて分離精製しホルミル体を得た。
ホルミル体を酢酸に溶解させ、1.2当量のピラゾロンならびに5当量の酢酸アンモニウムを加え110℃で2時間加熱することにより、色素D−5を得た。
Figure 2009093909
このようにして得られた本発明の増感色素は、酸化物半導体に含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、酸化物半導体に増感色素を含むとは半導体表面への吸着、酸化物半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、酸化物半導体の多孔質構造に前記増感色素を充填する等の種々の態様が挙げられる。
また、半導体層1m2あたりの本発明の増感色素の総含有量は0.01ミリモル〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1ミリモル〜50ミリモルであり、特に好ましくは0.5ミリモル〜20ミリモルである。
本発明の増感色素を用いて増感処理を行う場合、前記増感色素を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよく、又他の化合物(例えば、米国特許第4,684,537号明細書、同4,927,721号明細書、同5,084,365号明細書、同5,350,644号明細書、同5,463,057号明細書、同5,525,440号明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)と混合して用いることもできる。
(導電性支持体)
本発明の光電変換素子や本発明に係る太陽電池に用いられる導電性支持体としては、金属板のような導電性基板や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性基板に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3〜5mmが好ましい。
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが更に好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることが更に好ましい。
《色素担持半導体電極の作製》
本発明に係る色素担持半導体電極の作製方法について説明する。
本発明に係る色素担持半導体電極の酸化物半導体が粒子状の場合には、酸化物半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、色素担持半導体電極を作製するのがよい。また、本発明に係る酸化物半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、酸化物半導体を導電性支持体上に貼合して色素担持半導体電極を作製することが好ましい。
本発明に係る色素担持半導体電極の好ましい態様としては、上記導電性支持体上に酸化物半導体の微粒子を用いて焼成により形成する方法が挙げられる。
本発明に係る半導体が焼成により作製される場合には、増感色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質層への充填等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
以下、本発明に好ましく用いられる、色素担持半導体電極を半導体微粉末を用いて焼成により形成する方法について詳細に説明する。
(酸化物半導体微粉末含有塗布液の調製)
まず、酸化物半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末はその1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は1〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2〜50nmである。酸化物半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては酸化物半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の酸化物半導体微粉末濃度の範囲は0.1〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜30質量%である。
(酸化物半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理)
上記のようにして得られた酸化物半導体微粉末含有塗布液を、導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に酸化物半導体層(半導体膜)が形成される。
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
このようにして導電性支持体等の導電層上に形成された半導体微粒子層は、導電性支持体との結合力や微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、機械的強度を高め、基板に強く固着した半導体層とするため前記半導体微粒子層の焼成処理が行われる。
本発明においては、この酸化物半導体層はどのような構造を有していてもよいが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
ここで、本発明に係る酸化物半導体層の空隙率は10体積%以下が好ましく、更に好ましくは8体積%以下であり、特に好ましくは0.01体積%〜5体積%以下である。なお、酸化物半導体層の空隙率は誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することができる。
多孔質構造を有する焼成物膜になった酸化物半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100〜10000nmである。
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調製し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは200〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300〜800℃の範囲である。
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
(酸化物半導体の増感処理)
酸化物半導体の増感処理は、増感色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、予め減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去しおくことが好ましい。このような処理により、本発明の増感色素が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようになり、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
本発明の増感色素を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、且つ半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はない。しかしながら、溶媒に溶解している水分及び気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、予め脱気及び蒸留精製しておくことが好ましい。
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
(増感処理の温度、時間)
酸化物半導体を焼成した基板を本発明の増感色素を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記化合物が深く進入して吸着等を充分に進行させ、酸化物半導体を十分に増感させることが好ましい。また、溶液中での前記化合物の分解等により生成して分解物が化合物の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では3〜48時間が好ましく、更に好ましくは4〜24時間である。この効果は、特に半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については25℃条件での値であり、温度条件を変化させた場合には、上記の限りではない。
浸漬しておくにあたり本発明の増感色素を含む溶液は、前記色素が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10〜100℃であり、更に好ましくは25〜80℃であるが、前記の通り溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
《電解質》
本発明に用いられる電解質について説明する。
本発明の光電変換素子においては、対向電極間に電解質が充填され、電解質層が形成される。電解質としてはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I-/I3-系や、Br-/Br3-系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I-/I3-系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電解質層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電解質層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427号公報記載の電解質が、ゲル電解質の例としては「表面科学」21巻、第5号288〜293頁に記載の電解質が挙げられる。
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
対向電極は導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3-イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
〔太陽電池〕
本発明の好ましい実施態様としての太陽電池について説明する。
本発明に係る太陽電池は、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、色素増感された酸化物半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記色素担持半導体電極、電解質層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
本発明に係る太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、酸化物半導体に吸着された本発明に係る増感色素は照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は酸化物半導体に移動し、次いで導電性支持体を経由して対向電極に移動して、電荷移動層のレドックス電解質を還元する。一方、酸化物半導体に電子を移動させた本発明に係る増感色素は酸化体となっているが、対向電極から電解質層のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
実施例1
市販の酸化チタンペースト(粒径18nm)をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)導電性ガラス基板へ塗布した。60℃で10分間加熱してペーストを乾燥させた後、500℃で30分間焼成を行った。次に色素D−1を水−アセトンの4対1混合溶媒に溶解させ、3×10-4Mの溶液を作製した。前記の酸化チタンを塗布焼結させたFTOガラス基板を、この溶液に室温で12時間浸漬させて色素の吸着処理を行い光電変換電極とした。電解液にはヨウ化リチウム0.4M、ヨウ素0.05M、4−(t−ブチル)ピリジン0.5Mを含む3−メチルプロピオニトリル溶液を用いた。対極に白金板を用い、先に作製した光電変換電極ならびに電解液とクランプセルで組み立てることにより光電変換セル(1)を得た。
実施例1で用いた溶媒および色素を表1の溶媒および色素に変更した以外は実施例1と同様にして光電変換セルを作製した。
また、溶媒の比誘電率(εr)としては、水:78.5、アセトン:20.7、DMF:38、DMSO:47、エタノール:24.3であり、混合溶媒の比誘電率(εmix)は下記式により算出された値をいう。
εmix=εr[CA]+εr[CB
ここで、[CA]は混合溶媒に占める溶媒Aの100分率、[CB]は混合溶媒に占める溶媒Bの100分率である。
Figure 2009093909
〔評価〕
それぞれの光電変換セルをAM1.5Gの擬似太陽光(100mA/cm2)に曝露させたときの光電変換特性を比較した。評価結果を表2に示す。
Figure 2009093909
D−1色素を用いた実施例1〜3および比較例1〜3において、実施例1〜3の短絡電流、開放電圧、変換効率が比較例1〜3より向上した。また、D−2色素を用いた実施例4〜5、比較例4〜5においても実施例では短絡電流、開放電圧、変換効率の向上が見られ、D−3色素を用いた実施例6〜7、比較例6〜7においても実施例で短絡電流、開放電圧、変換効率の向上が見られた。この結果より比誘電率40〜75の溶媒を吸着溶媒に用いることにより、短絡電流の低下を招かずに電池特性が向上した。
また、この吸着方法でのFTO基盤の吸光度測定の結果、実施例1においては比較例1に比べ75nmの吸収の長波化、実施例4においては比較例4に比べ100nmの吸収の長波化が観測された。この数値の変化の要因のひとつとして、色素分子が凝集構造をとっているいるものと推測される。
本発明の色素増感光電変換素子の一例を示す構成断面図を示す。
符号の説明
1,1′ 基板
2,7 透明導電膜
3 酸化物半導体
4 増感色素
5 電解質
6 対向電極
8 白金(Pt)

Claims (4)

  1. 導電性支持体上の酸化物半導体に色素を担持させてなる色素担持半導体電極と対向電極とを電荷移動層を介して対向配置してなる色素増感光電変換素子の製造方法に於いて、前記色素担持半導体電極が、色素を比誘電率(εr)が40〜75の溶媒に溶解あるいは分散した液に浸漬して形成されたことを特徴とする色素増感光電変換素子の製造方法。
  2. 前記比誘電率(εr)が40〜75の溶媒が、水を含む混合溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の色素増感光電変換素子の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の色素増感光電変換素子の製造方法により形成されたことを特徴とする色素増感光電変換素子。
  4. 前記色素が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載の色素増感光電変換素子。
    Figure 2009093909
    〔式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基、アリール基または複素環基を表す。R2はアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基または複素環基を表す。Xは酸性基を表す。mは0〜2の整数を表す。〕
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