JP2009091887A - 建物の室内空間の仕切り構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】快適な冷房等の環境を提供する建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)等を提供する。
【解決手段】建物の室内空間の天井または壁に設けられる仕切り構造であって、前記仕切り構造は、天井裏または壁体を形成する板状部材と、板状部材を覆い、室内空間に面する繊維シート状物と、板状部材と繊維シート状物により形成される空気層と、を有し、前記繊維シート状物は、その通気度が40〜650cc/cm・secであり、前記板状部材には、開口部を有し、該開口部には送風装置の送風口が接続され、前記送風装置から供給される空気が、空気層および繊維シート状物を経由して室内空間に分散することを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造。繊維シート状物としては好ましくは立体編物を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に建物の室内空間に設けられる天井又は壁構造に係り、より詳細には、住宅等の建物における空調等の送風装置を備えた天井又は壁の仕切り構造に関する。また本発明は建築物に設置される送風システム並びにチャンバーにも関する。
住宅建物において、一般にエアコンと呼ばれている、居室内に直接冷気を吹き出すようになされた対流式の冷房装置を設置した場合、局所から冷気を送るため風速が大きく、その風が居室内の人に直接当たることになる。そのため、皮膚表面から水分を奪われ、肌が乾燥しやすくなり、この種の冷房装置を不快と感じる場合があった。また、対流式の冷房装置の場合、室内が設定温度になると弱まり、設定温度より高くなると再び強まることを繰り返すことから、居室内の温度変動が大きくなってしまう。つまり、丁度良くなったり暑くなったり、あるいは、丁度良くなったり寒くなったりを繰り返すため、常に最適な室温を保つことは困難であった。更に、下向きに冷気が吹き出すため、上下方向に温度分布ができてしまい、上側が暑く下側が寒いため、足元ばかりが冷えて不快な状況となってしまうことがあった。
そこで、従来より、冷房に関しては、天井を直接冷却して、天井からの輻射で居室内を冷房するようになされた輻射冷房が行われている。しかしながら、この場合、天井の裏面に冷媒管を配管して冷却すると、結露水が出てしまうこととなり、この結露水を処理するための配管などの構造が必要となってしまう。そのため、建物内の天井裏に、空気流路を形成し、この空気流路内に冷気を循環させ、この冷気によって天井を冷却するようになされた天井冷房構造が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、冷気によって天井材を冷却するようになされた天井冷房構造の場合、天井が冷却されなければ、天井からの輻射冷却によって居室の冷房を行うことができないので、運転開始からすぐに居室内を涼しくすることができないといった不都合を生じていた。
この問題を解決するため、冷気を循環させる天井冷房構造において、冷気の少なくとも一部を、天井を介して天井下の居室空間へと通過するようになされた天井冷房構造が提案されている(特許文献2参照)。しかし、従来の天井冷房構造においては、非可視孔を無数に有するフィルター機能を有する通気性が低い材料が天井材として使用されていたため、冷気が居室空間に通過される量が少なく、居室内を冷却するのに時間がかかったり、また対流による冷房効果が小さくなるおそれがあった。
特開平9−203539号公報 特開平8−105148号公報
本発明は、一般には、前記従来の技術に見出される不具合を少なくとも部分的に解消した送風装置を備えた建物の室内空間の仕切り構造を提供することを目的とし、特に、身体にあたる風をほとんど感じず、居室内の温度変動が小さく、温度分布がほとんどないという効果を奏し、居室内の人にとってより快適な対流による冷房効果を与えることのできる建物の室内空間の仕切り構造を提供することを目的とする。
また本発明は上記建物の室内空間の仕切り構造と同様の効果を奏する送風システム並びにチャンバーを提供することも目的とする。
第一の発明によれば、
建物の室内空間の天井又は壁に設けられる仕切り構造であって、前記仕切り構造は、
天井裏側又は壁体側に板状部材で形成される板状部と、
板状部を覆って室内空間に面する繊維シート状物と、を有し、
前記繊維シート状物は、その通気度が40〜650cc/cm・secであり、
前記板状部には、開口部が設けられ、該開口部には送風装置の送風口が接続され、
前記送風装置から供給される空気が、繊維シート状物を経由して室内空間に分散する
ことを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造を提供する。
仕切り構造は、建物の室内空間の天井部、壁部のいずれにも設けることができる。
ここで、建物の室内空間とは、建物内部の空間を意味し、居間、寝室、書斎、台所、玄関等々、冷暖房装置などの空調システムを設置しうるあらゆる空間を含む。
天井裏とは、建物躯体の床スラブと室内空間を仕切り材で仕切って形成した空間である。
壁体とは、天井から床まで木製や鋼製等の壁下地部材で骨組を構成し、壁面を板状部材(石膏ボード材等)内部に通気層等の空間を含んだ構造体を言う。例えば、建物の室内空間に構成される間仕切り壁や建物躯体の外壁パネルに沿った内壁構造がある。
送風装置とは、空気を吸い込み、送り出す装置のことをいい、空間に空気を送り込むことができる手段であれば如何なるものでも構わないが、好適には、冷暖房装置であり、例えば温度調節機能、湿度調節機能、風量調節機能、タイマー機能などを更に備えたものを使用することができ、また、空気清浄機能などが具備されたものであってもよい。送風装置の設置場所は、天井内でもそれ以外の建物内の場所であってもよいし、屋外であってもよい。従って、送風装置によって取り込まれる空気は、居室空間の空気でもそれ以外の建物内の空気でもよいし、更に屋外の空気であってもよい。
仕切り構造は、建物の室内空間において、天井面のほぼ全面又は一部を覆う複層の仕切り構造であり、室内空間側の仕切りである繊維シート状物と天井裏側の仕切りである板状部材で形成された板状部とによって構成される複層の仕切り構造であって、送風装置によって送り込まれる一定の風速を有する局所的な空気(気流)を、室内空間に面する天井面または壁面から室内空間に十分に拡散するものである。
繊維シート状物は、40〜650cc/cm・secの通気度を有するもので、このような通気度の素材を天井仕切りに用いることによって、送風装置から仕切り構造内に供給される局所的な空気を、前記仕切り構造を経由して室内空間に分散することができる。
ここで、通気度は、所定の圧力差における単位面積、単位時間あたりの空気の通過量を示すもので、JIS−L−1096フラジール法に準じて測定され、好ましくは40〜400cc/cm・secであり、より好ましくは50〜300cc/cm・sec、さらに好ましくは50〜200cc/cm・secである。
繊維シート状物は、例えば、織編物、不織布、フェルトなどの布帛からなるものが用いられ、複数種のものを併用することも可能である。
板状部は、上記板状部材で折り上げ天井形式(断面逆凹状)を形成するか、または室内空間の天井面を形成する板状部材の一部としてもよい。
板状部材は、板状(ボード状)の内装用建材等が使用され、仕切り構造内に送り込まれた空気を、室内空間以外(天井裏の空間や壁体内の空間)にほとんど通過させない程度に気密性を有するものであれば、材料を特に規定しないし、2種類以上の材料を組み合わせて使用してもよい。例えば、繊維強化セメント板、ロックウール板、繊維板、石膏ボード、パーティクルボード、コルク板、プラスチック板、ウレタンフォームなどが使用できる。また、この気密性を有する板状部材は、断熱性を有するものとすると、仕切り構造の空間の内部が断熱され、温度変化の少ない安定した空気を室内空間側に送り込むことができ、冷房効率がより高まると共に、後記するように板状部と繊維シート状物の間に空気層が形成された態様にあっては、空気層の仕切り面において結露の発生が防止することができるので、特に好ましい。
この種の断熱効果を有する板状部材としては、フェノールフォームやポリスチレンフォーム等のプラスチック系断熱材等が挙げられる。また、石膏ボードやベニヤ等の木製合板、プラスチック系防湿フィルム、透湿防水シート等の断熱効果の小さい板状部材の上に、ロックウールやグラスウール等の繊維系断熱材を組み合わせて使用してもよい。尚、板状部材の複数のパーツにして仕切り構造を構成する場合、後記するように板状部と繊維シート状物の間に空気層を形成する態様では、気密テープで板状部材の複数のパーツの継ぎ目を塞いで空気層等の気密性を確保するようにしてもよい。
前記板状部には、開口部を有し、該開口部には送風装置の送風口が接続されている。
送風装置は、各種冷暖房装置が使用されるが、例えば、天井部における場合は、天井埋め込み型エアコンからダクトで板状部に開口を開けて送風口を差込む構成とすることができる。その際に板状部が天井面自身である場合は、天井面の送風口を覆う様に、繊維シート状物を直接天井面に貼り付けてもよい。
上記仕切り構造は、いわゆる整流作用を発揮するものである。ここで、本発明で言う整流作用(整流性)とは、局所的に供給された気流を、仕切り等に通過させて、ほぼ均一に分散された気流に変化させる作用をいう。ここで、気流とは、一定の風速を有する空気をいう。
仕切り構造は、その外部から一定の風速で進入した空気(大きな気流)を、その内部で広げて風速が減じられた空気(小さく分かれた気流)として、仕切り面全体から室内側に放出するものである。
この仕切り構造は、板状部と繊維シート状物の積層構造で構成されており、送風装置から送られ、繊維シート状物に局所的に供給された気流である冷暖気を、室内空間に面する天井面又は壁面から室内空間に十分に拡散せしめるものである。すなわち、本発明に係る仕切り構造は、天井面又は壁面である繊維シート状物の全面からほぼ均一に分散された気流により室内空間全体の空気を満遍なく対流させるべく、設けられるものである。
第二の発明によれば、第一の発明において、前記板状部と前記繊維シート状物との間に空気層が形成されたことを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
ここで、空気層は、板状部の板状部材と繊維シート状物の間に挟まれた空間により形成される。例えば、天井裏空間内に板状部として板状部材(石膏ボード及び断熱材、断熱パネル等)で折り上げ天井形式(断面逆凹状)を形成し、室内側に開放された面(天井面に当たる面)に繊維シート状物を張り渡すことにより天井裏空間に対して区画された空間とする。この区画された空間は、板状部の開口部に接続される送風装置の送風口付近に一部分だけ折り上げ天井形式にしたものでもよい。
このような空気層が板状部と繊維シート状物の間に介在する積層構造からなる仕切り構造では、空気層と繊維シート状物が相俟って、この仕切り構造を通過した局所的に供給された気流である冷暖気を室内空間に面する天井面又は壁面から室内空間に十分に拡散することができ、天井面又は壁面である繊維シート状物の全面からほぼ均一に分散された気流により室内空間全体の空気を満遍なく対流させることができる。
第三の発明によれば、第一の発明において、前記繊維シート状物が前記板状部に直接張り付けられたことを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
板状部(石膏ボード等)で形成される天井面自身に対して、繊維シート状物を直接に貼り付けた構造とした場合であり、繊維シート状物が板状部に間隙が実質的にない状態で張り付けられている場合だけでなく、板状部材と繊維シート状物の間に隙間が形成されている場合も含む。このような仕切り構造においても、送風装置から送られ、繊維シート状物に局所的に供給された気流である冷暖気を室内空間に面する天井面又は壁面から室内空間に十分に拡散せしめられる。
第四の発明によれば、第一から三の発明の何れか一において、前記繊維シート状物が、開口率が0.2〜35%である繊維シート状物で構成されることを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
ここで、繊維シート状物とは、繊維を原料にして形成されたシート状素材であれば、如何なる種類のものでも構わないが、好ましくは織編物、不織布、フェルトなどの布帛であり、単層でもよいし、同種又は異種のものを複数積層したものでもよい。重量とは、繊維シート状物の単位面積あたりの重量で、繊維シート状物の単位面積あたりにどれだけの繊維量が充填されているか示し、開口率とは、繊維シート状物をその表面に直角な方向から見た場合において、繊維シート状物をその厚み方向に貫通する開口部の面積比率を示すものである。
また繊維シート状物の開口率が0.2%未満であると、送風口からの空気が遮断され、温度調節の効率が悪くなると共に、繊維シート状物が硬く伸度がなくなるため、天井や壁にきれいに張ることが困難となる。さらには、繊維シート状物を洗濯し再利用する場合にシワが入り易く見栄えが悪いものとなる。一方、繊維シート状物の開口率が35%を超えると、天井裏が透けて見え易く、室内の外観品位が劣るものとなる。繊維シート状物のより好ましい開口率は0.3〜30%であり、さらに好ましくは0.4〜25%である。
繊維シート状物の単位面積当りの重量は好ましくは35〜800g/mである。
ここで、単位面積あたりの重量とは、繊維シート状物の単位面積あたりにどれだけの繊維量が充填されているか示し、重量が35g/m未満であると、繊維量が少ないので通気度と開口率を充分に制御することができず、また表面材として充分な強度が得られない。又、表面材の重量が800g/mを超えるものは繊維充填量が多くなり、表面材は重くて厚いものとなり、天井や壁に施工する際に、シワや弛みがなくきれいに張ることが困難であり、さらには洗濯時に取扱い性が悪くなる。繊維シート状物のより好ましい重量は、50〜700g/mであり、さらに好ましくは100〜600g/m、最も好ましくは150〜500g/mである。
第五の発明によれば、第一から第四の発明の何れか一において、前記繊維シート状物が、2重構造の織編物である繊維シート状物で構成されることを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
ここで、2重構造の織編物とは、ダブル丸編地、ダブルラッセル編地、2重織物等の、2層の織編物層を含む布帛をいう。繊維シート状物を2重構造の織編物により構成する場合、好適には一枚のシートが用いられるが、複数枚のシートを積層して使用することを排除するものではない。
第六の発明によれば、第一から第五の発明の何れか一において、前記繊維シート状物が、表裏2層の編地とこれらを連結する連結糸から構成された立体編物である繊維シート状物で構成されることを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
ここで、立体編物とは、表裏2層の編地とこれら表裏編地を連結する連結糸とから構成される編物をいい、好適には一枚の立体編物シートが用いられるが、複数枚の積層シート構造とすることを排除するものではない。
第七の発明によれば、第一から第六の発明の何れか一において、前記繊維シート状物が、タテ方向及び又はヨコ方向の伸度が6〜120%である繊維シート状物で構成されることを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
伸度は、文字通り「伸びの度合い」を意味し、伸長率で示されるものである。
第八の発明によれば、第一から第七の発明の何れか一において、前記繊維シート状物が、測色計で測定される明度差△L値が3〜20である繊維シート状物で構成されることを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造が提供される。
第九の発明によれば、
建築物の内部空間に空気を送り込むための送風装置と、送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーを具備し、
前記チャンバーの前記内部空間側の仕切りは、40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の仕切りは板状部材であり、板状部材と繊維シート状物により形成される空気層を有し、
送風装置から供給される局所的な気流が、空気層及び繊維シート状物を経由して建築物の内部空間に分散することを特徴とする送風システム
が提供される。
ここで、建築物の内部空間とは、空気が送り込まれる建築物の内部空間をいい、通常は第一の発明における建物の室内空間であるが、それ以外の場所であっても天井に対応する構造を備えた建築物の内部空間であって送風が必要とされる空間を含む。
また、チャンバーは、その内部空間が第一の発明における仕切り構造で構成される板状部材、繊維シート状物と同等のもので構成され、チャンバーの仕切り面を構成する繊維シート状物は、第一の発明における繊維シート状物と同じ材料からなり、送風装置から供給される局所的な空気が、繊維シート状物を経由して建築物の内部空間に分散することができるものであれば、如何なる材料であっても構わない。一態様では、前記繊維シート状物は、織物や編物、不織布などの繊維シート状物であり、複数種のものを併用することも可能である。板状部材は、第一の発明におけると同様の材料である。
第十の発明によれば、送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーであって、
前記チャンバーの前記内部空間側の仕切りは、40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の仕切りは板状部材であり、板状部材と繊維シート状物により形成される空気層を有し、
送風装置から供給される局所的な気流が、空気層および繊維シート状物を経由して建築物の内部空間に分散することを特徴とするチャンバーが提供される。
ここで、繊維シート状物、板状部材は第九の発明において説明したものと同様である。
第一の発明によれば、送風装置から供給される局所的に供給された気流をほぼ均一に分散された気流に変化させる(整流作用)。この整流作用により、大きな風速を有する空気を仕切り構造を通過させて送りこむことで、ほぼ均一でゆっくりとした風速の空気を、室内空間側仕切り面から対流させることが可能である。
特に、冷房においては、一般的な対流式冷房と比較して、身体に当たる風をほとんど感じることがなく、強風によって冷え過ぎることもない上、皮膚表面から水分を奪われにくく、肌が乾燥しにくいという利点がある。
また、第一の発明は、冷気がゆっくりと対流するために、一般の対流式冷房よりも居室内の温度変動が大幅に小さくなる。従って、丁度良くなったり暑くなったり、あるいは、丁度良くなったり寒くなったりを繰り返すことはなく、居室内の人にとって常に快適な室温を保つことができる。
更に、第一の発明は、冷気は上から下へと落下するため、上下方向の温度分布が非常に小さくなる。従って、一般的な対流式冷房のように足元だけが冷え過ぎることはなく、長時間着座していても快適な冷房効果を感じることができる。
また、第一の発明は、天井輻射型の冷房と比較しても、対流によって冷気が居室全体に行き渡るため、涼しい場所とそうでない場所との斑は生じにくく、どの場所でも快適な冷房効果を感じることができる。更に、対流式であるため、冷やされた空気が室内に流れることによって室内が冷却されるため、運転開始からの室内の温度が安定するまでの時間が短く、すぐに冷房の効果を感じることができる。
第一の発明は、これらの特徴により、室内にいる人に、運転開始から長時間に渡って、快適な温熱空間を提供することが可能である。
第二の発明によれば、板状部と繊維シート状物の間に空気層を形成したので、送風装置から局所的に供給される気流を空気層を通じて分散させた状態で繊維シート状物を通過させることができ、よって、繊維シート状物を経た気流は室内空間側仕切り面からよりほぼ均一に対流させることができる。
第三の発明によれば、板状部に繊維シート状物を直接張り付けたので、空気層を設けた場合と比較して、構造が簡単で、施工が容易である。特に、既存の建物における天井又は壁に直接張り付けることができるので、簡便である。
第四の発明によれば、所定の重量と開口率を有する繊維シート状物により繊維シート状物を形成したので、局所的に供給された気流を通過させてほぼ均一に分散された気流に変化させる仕切り構造に寄与する維シート状物を確実に設計できる。
第五の発明によれば、2層の織編物の層が送風口からの空気をより拡散し整流させる効果として働くため、室内の温度部分布がより均一となり、更に空気の通過性を遮断し過ぎることなく、裏側の透け性をより防止することができる。
第六の発明によれば、立体編物はタテ方向及びヨコ方向にストレッチ性を有すると同時に面剛性が高いため、仕切り面全体に張る際の施工性が良好となり、大きな張力を掛けて張る場合や殆ど張力を掛けない場合においてもシワがなく、きれいな外観で張ることができる。
第七の発明によれば、繊維シート状物をタテ方向及び又はヨコ方向の伸長率が6〜120%の繊維シート状物としたので、繊維シート状物をシワや弛みがなくきれいに仕切り面全体に張ることができる。
第八の発明によれば、繊維シート状物を、明度差ΔL値が3〜20の繊維シート状物としたので、送風装置の送風口等が透けて見えることがなく、意匠性に優れる。
第九の発明によれば、第一の発明によって奏される効果に加えて、既存の建築物の室内に設置することができるという利点が得られる。また、天井に相当する構造を有する建築物であれば、どのような建築物にも利用できる。
第十の発明によれば、送風装置が既に備えられている建物に設置することにより、第一の発明又は第九の発明と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る建物の室内空間の仕切り構造を有する天井構造の全体構成を示す概略図であり、図中、Lは住宅建物の居室空間(室内空間)である。前記仕切り構造は、居室空間Lの上面(天井面)の一部に設けられている。仕切り構造は、室内空間側の所定の通気度を備えた天井仕切り部材である繊維シート状物1と、該繊維シート状物1の上方に一定の距離を開けて水平に敷設された天井裏側仕切り部材である板状部2とを有してなる。板状部2は、繊維シート状物1に対向する板状部材2aと、側方板部材2bとからなり、特に気密性のある硬質断熱パネルを使用している。
尚、仕切り構造の範囲外である天井仕切り部材6は、石膏ボードで構成している。
このように、仕切り構造には、繊維シート状物1、板状部材2a、側方板部材2bによって仕切られた空気層Rが形成されている。
また、天井裏内には、送風装置3が設置され、その送風口はフレキシブルなダクト4を介して前記空気層Rに連通せしめられている。送風装置3は、本実施形態では冷暖房装置であり、その空気取込み口が居室空間Lに臨むように、天井材1aに形成された開口上に、図示しない固定手段を介して固定されて設置されている。
尚、送風装置3の設置場所は、本実施形態のように天井裏とするのではなく、居室空間Lの上方で壁際の部分に支持フレームを介して設置し、送風口に接続されたダクト4のみが天井裏に延びるようにすることもでき、このようにすると、送風装置3の操作、清掃、メンテナンス等が容易になり、好都合である。また、送風装置3を居室から離れた建物内の他の場所や室外に設置しても構わない。
前記ダクト4は、その一端が送風装置3の送風口に接続され、その他端(空気吹出口5)が気密性のある板状部材からなる板状部2に形成された開口部に接続されて空気層R内に連通せしめられており、送風装置3により居室空間Lから吸引された空気は、送風装置3によって冷却等されてダクト4の中を流通し空気層Rに送り込まれる構成となっている。そして、空気層R内に送り込まれた空気の流れは、対向する繊維シート状物1に向かうが、繊維シート状物1が適度の通気性を有しているので、空気層R内に送り込まれた局所的な空気の流れは、繊維シート状物1のほぼ全面に均一に行き渡り、かつ、繊維シート状物1を通過して居室空間L内に向けてほぼ均一でゆっくりとした風速で下方に向けて対流することとなる。
上記の仕切り構造は一例であり、他の様々な構造も考えられる。よって、仕切り構造が採りうる基本構造を、図2(a)〜(d)の模式図を参照してここで説明する。
先ず、図2(a)に示す構造では、仕切り構造は、板状部材2aと側方板部材2bと繊維シート状物1によって形成されているが、繊維シート状物1は、マジックテープ(登録商標、以下省略)等の接合手段7によって、板状部材2aの下面に着脱自在に張り付けられると共に、その下面が周囲の天井面とほぼ同一になるように、板状部材2aと側方板部材2bから形成された空間に収容された状態となっている。この構造では、板状部材2aと繊維シート状物1の間に若干の隙間(図中、Gで示す)が形成されているが、整流作用は繊維シート状物1だけでも達成されるので、この隙間はあってもなくても構わない。このような構造の仕切り構造では、繊維シート状物1の下面が天井面とほぼ同一であるので、意匠性に優れる。
図2(b)に示す構造では、板状部材2aと側方板部材2bと繊維シート状物1によって空気層Rが形成されている。すなわち、側方板部材2bが天井面から居室内側に若干突出せしめられ、その下方端に、マジックテープ等の接合手段7を介して繊維シート状物1が取り付けられ、繊維シート状物1と板状部材2aの間に十分な高さの空気層Rが確保されている。尚、側方板部材2bが天井面から下方に突出しないようにしてもよい。
図2(c)は、板状部2を天井面自体で構成し、その下面に接合手段7を介して繊維シート状物1を設けたもので、繊維シート状物1と板状部材2aの間には、接合手段7の厚み分だけの間隙Gが形成されているが、この間隙Gがなくてもよいことは、図2(a)の例で説明したのと同様である。
図2(d)は、側方板部材2bを、ダクト4の空気吹出口5の周辺部分だけを囲むように設け、その囲まれた区画部分に厚みのある空気層Rを形成したものである。
このような何れの構造であっても、ダクト4から流れてくる空気流を、繊維シート状物1の全面にわたって整流することができる。
次に、繊維シート状物1が備えるべき適度な整流性の詳細を、図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。
先ず、第一の条件は、空気層R内に吹き出される気流(冷気)が、繊維シート状物1内部に進入してきたとき、天井面方向になるべく均一に拡散させる必要がある。このとき、繊維シート状物1の通気性が大き過ぎると、冷気が空気層R内、および繊維シート状物1内部に広がらず、ほとんどの冷気が空気吹出口5の周辺部位の天井部繊維シート状物1で形成された天井面から局所的に居室内に吹き出してしまい、居室内を均一な温度分布にすることができない(図3(a)参照)からである。第二の条件は、冷気を全て居室空間Lに通過させることのできる程度の通気性を有することである。通気性が小さ過ぎると繊維シート状物1を通過する冷気の量が少な過ぎて、冷気がほとんど吹き出さず、十分な対流効果が得られない(図3(c)参照)からである。よって、繊維シート状物1が、前記第一、第二の条件を満たす適度の通気性を有する場合、繊維シート状物1内部にて整流の作用を生み出す。空気層R内に送り込まれた局所的な空気の流れは、繊維シート状物1内部のほぼ全面に行き渡り、かつ、繊維シート状物1を通過して天井面全体から居室空間L内に向けてゆっくりとした風速で下方に向けて対流し(図3(b)参照)、冷暖気が居室空間Lに拡散させることができ、快適な温熱空間を提供することが可能となる。
尚、空気層Rは、繊維シート状物1内部における冷気の天井面方向への拡散を促進させるための予備的な空間といえる。
上記の二条件を満たし、図3(b)に示されるように、居室内に均一に吹き出す整流作用を発揮する建物の室内空間の仕切り構造にふさわしい通気性を検討した結果、本願発明者らは、天井部材1bは、40〜650cc/cm・sec、好ましくは40〜400cc/cm・sec、より好ましくは50〜300cc/cm・sec、さらに好ましくは50〜200cc/cm・secの通気度を有するべきであることを見出した。
また、繊維シート状物は、人が不快な風を感じない様にするために、吹出し口から出る風速1m/sの風を、シート状物を通過後に0.2m/s以下の風速に風速制御できることが好ましく、風速を0.1m/s以下に制御できるとより好ましい。シート状物を通過後に風速が0.2m/s以下となることにより、人は殆ど風を感じなくなり、快適な冷暖房環境となる。
繊維シート状物はこれらを単独で用いるか、あるいは2種あるいはそれ以上のものを積層して使用することができる。繊維シート状物は、織編物、不織布、フェルトなどの布帛であり、特に織編物が好適に使用される。織物組織としては平織、斜文織、朱子織ジャガード織等を用いることができ、また編物組織としては天竺、両面編、ハーフトリコット編、ダブルラッセル編等、丸編や経編の各種編組織を用いることができる。
このような織編物は、繊維シート状物1として1枚単独で使用することができるが、繊維シート状物1内部に進入した空気の整流性もしくは滞留性、透け性(居室空間Lから天井面を見上げたときに天井裏内部の例えば送風装置や送風口がシート状物を介して透けて見える程度)を改善する目的で、裏側に別の織編物や不織布を積層した状態で用いることもできる。積層する場合は、接着されていても、非接着の状態でも良く、接着する場合は2つの層の間を接着剤で接着する方法や、縫製で接着する方法が好ましい。
繊維シート状物1は、開口率が0.2〜35%であるものが好ましい。繊維シート状物の開口率が0.2%未満であると、送風口からの空気が遮断され、温度調節の効率が悪くなると共に、繊維シート状物が硬く伸度がなくなるため、天井仕切り面にきれいに張ることが困難となる。さらには、繊維シート状物は着脱自在に取り付けることによって、一定期間が経過した後に、これを洗濯し再利用するようにすることができるが、開口率が0.2%未満であると、繊維シート状物に洗濯時にシワが入り易くなり見栄えが悪いものとなる。一方、繊維シート状物の開口率が35%を超えると、天井裏が透けて見え易く、室内の外観品位が劣るものとなる。繊維シート状物のより好ましい開口率は0.3〜30%であり、さらに好ましくは0.4〜25%である。
更に、繊維シート状物1として布帛等の繊維シート状物を用いた場合、天井裏側が透けて見えない様にするために、測色計により繊維シート状物である天井部材1bの裏側に標準白色板を配置して測定した明度と、繊維シート状物である天井部材1bの裏側に標準黒色板を配置して測定した明度差△Lが3〜20であることが好ましい。△Lが20を超えると、繊維シート状物1を通して天井や壁の裏側が透けて見え易く、△Lが3未満であると、透け難いものの空気の通過性が低下し、空調効率の悪いものとなる。△Lは5〜17がより好ましく、さらに好ましくは7〜14である。
また、繊維シート状物1として布帛等の繊維シート状物を用いた場合、シワや弛みがなくきれいに仕切り面に張るためには、繊維シート状物1のタテ方向及び又はヨコ方向の伸度である伸長率が、6〜120%が好ましく、より好ましくは10〜100%、さらに好ましくは15〜80%である。タテ方向及び又はヨコ方向の伸長率が6%未満であると、繊維シート状物1をシワや弛みのない状態できれいに張ることが困難となり、さらには取り外して洗濯をする場合、洗濯後にシワが入り易くなる。一方、伸長率が120%を超えると、繊維シート状物1を張る際に繊維シート状物1の密度調整が困難となり、張り方により空気の通過性、光の透過性等が大きく異なるものとなる。
尚、繊維シート状物の繊維シート状物1を天井に張った後にこれが弛んでこない様にするには、繊維シート状物の伸長残留率が0〜15%であることが好ましく、より好ましくは0〜10%である。
繊維シート状物1が織編物で構成される場合、織編物は2重構造の織編物であることが好ましい。織編物がダブル丸編地、ダブルラッセル編地、2重織物等の2重構造であることにより、2層の織編物の層が送風口からの空気をより拡散し整流させる効果として働くため、室内の温度分布がより均一となる。また空気の通過性を遮断し過ぎることなく、裏側の透け性をより防止することができるものとなる。
繊維シート状物1の繊維シート状物が2重構造の織編物で構成される場合、織編物は表裏2層の編地を連結糸で間隔を空けて連結したダブルラッセル編地、即ち立体編物であることがより好ましい。立体編物はタテ方向及びヨコ方向にストレッチ性を有すると同時に面剛性が高いため、天井の広い面積に張る際の施工性が良好となり、大きな張力を掛けて張る場合や殆ど張力を掛けない場合においてもシワがなく、きれいな外観で天井に張ることができる。特に立体編物の連結糸にモノフィラメントを使用することにより、形態安定性と面剛性が向上し、シワや弛みの発生し難い繊維シート状物1となると共に、人や物が触れても変形等が起こり難く、耐久性も向上する。
繊維シート状物1には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等、任意の繊維を用いることができる。また、繊維シート状物1に用いる繊維には、消臭、抗菌、防カビ、制電、防汚等の薬剤が練り込まれているか、又は後加工にて加工処理されていることが、室内の空気を清浄化したり、衛生的に使用する上で好ましい。また、難燃剤が練り込みや後加工で付与されていることが、防炎上好ましい。さらには、繊維シート状物1に用いる繊維に酸化チタン等の白色顔料が0.5wt%以上の高濃度で含有されていると、透け性を防止する上で好ましい。
繊維シート状物1に用いる繊維は、繊維シート状物1の強度、空気、光りの透過性を考慮して50〜1000デシテックスの繊度のものを用いることが好ましく、より好ましくは70〜500デシテックスであり、更に好ましくは70〜300デシテックスである。また、繊維の形態は天井裏が透けて見え難くかつ、繊維シート状物の整流性(繊維シート状物の内部に進入した空気がその内部で均一に拡散しつつ風速を減じて内部を通過する性質)を良好にするために嵩高糸であることが好ましい。嵩高糸としては、例えば、仮撚加工糸、ジェットスタッファー加工糸、押し込み加工糸、紡績糸、ループ状毛羽を有する流体噴射加工糸等、嵩高性が付与された糸が挙げられる。
繊維シート状物1が立体編物である場合、立体編物は、ダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で形成される。
立体編物の連結糸には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができるが、リサイクルを容易にしたり、長期使用時の黄変を防止するにはポリエステル系の繊維を用いることが好ましい。また、連結糸は立体編物に適度な弾性を持たせて、天井や壁に張力を掛けて張る際の形状安定性や面剛性を良好にするためにモノフィラメント糸を用いることが好ましい。
連結糸に用いる繊維は20〜500デシテックスの繊度のものを用いることが寸法安定性、柔軟性、軽量性、取り扱い性を良好にする上で好ましく、より好ましくは20〜300デシテックス、さらに好ましくは20〜200デシテックスである。
また、立体編物は、表裏の編地を同一柄で構成することもできるが、表裏の編地を異なる柄にすることもできる。表裏の編地を同一柄にする場合は、編地がメッシュ状である場合は、表裏のメッシュの位置が表裏で一致しないよう、開口部の位置をずらせることが好ましい。これにより、天井裏の透けが防止できると共に、送風口からの空気の整流性が良好となる。
一方、立体編物の表裏の柄を異なる柄とする場合は、表裏の編地で開口率差をつけることにより、空気の整流性を調節できるものとなるため好ましい。表裏の編地の密度差は表/裏の開口率比が0.1〜10であることが、整流性を向上させる上で好ましく、より好ましくは0.2〜7である。これ以上に密度差が大きくなると、整流性、防透け性の面で立体編物である効果がなくなる。
尚、立体編物の開口率は、虫が立体編物の中に入り込むことを防止するため、居室空間L側の表面の開口率を0.2〜15%にし、また、1つの開口部の面積を2mm以下とすることが好ましい。
繊維シート状物1の厚みは、2次元の織編物の場合、0.5〜2.5mmが好ましい。また、立体編物の場合は、2〜10mmの厚みのものが好ましく、より好ましくは2〜8mm、さらに好ましくは2〜4mmである。
繊維シート状物1が織編物の場合において、その密度は、織物の場合、経密度が70〜150本/2.54cm、緯密度が50〜120本/2.54cmが好ましい。また、編物の場合は、コース密度が13〜60コース/2.54cm、ウエール密度が12〜50ウエール/2.54cmの範囲であることが好ましい。より好ましくはコース密度が18〜50コース/2.54cm、ウエール密度が14ウエール/2.54cm〜35ウエール/2.54cmである。
尚、繊維シート状物1が立体編物の場合、立体編物に適度な剛性を持たせて形状安定性を向上させるために、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の本数をN(本/6.45cm)、連結糸の繊度(dtex)をD(g/1×10 cm)、連結糸の比重をρ(g/cm)とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸の総断面積(N・D/1×10・ρ)が0.02〜0.15cmであることが好ましい。
本発明の繊維シート状物1は必要に応じて、染色やプリント加工を施すことができる。染色やプリント加工を行うことにより、表面に高級感や意匠性を付与するだけでなく、透け性を改善することや、長期間の使用による汚れを目立ち難くすることが可能となる。染色の方法としては、糸染め、反染めが好ましく、プリント加工方法としては転写プリントやインクジェットプリントが好ましい。
前述したように、板状部材2、側方板部材1cは、前記空気層R内に送り込まれた空気を居室等の室内空間L以外(天井裏等)にほとんど通過させない程度に気密性を有するものであれば、材料を特に規定しないし、2種類以上の材料を組み合わせて使用してもよい。また、この気密性を有する板状部材は、断熱性を有するものとすると、空気層Rの内部が断熱され、温度変化の少ない安定した空気を居室空間L側に送り込むことができ、冷房効率がより高まる。また、空気層Rの仕切り面において結露の発生が防止することができるので、特に好ましい。
この種の断熱効果を有する板状部材としては、フェノールフォームやポリスチレンフォーム等のプラスチック系断熱材等が挙げられる。また、石膏ボードや合板、プラスチック系防湿フィルム、透湿防水シート等の断熱効果の小さい板状部材の上に、ロックウールやグラスウール等の繊維系断熱材を組み合わせて使用してもよい。
また、繊維シート状物1による整流作用を発揮させ、室内空間内に冷暖気を拡散する効果を高めるためには、天井裏側仕切り材2、側方板材1cを構成する前記板状部材が気密性を有しているだけでなく、ダクト4の接続部や板状部材同士の境界部等、繊維シート状物1により構成されている部分以外が完全に密封されているのが好ましい。密封は、板状部材を隙間無く施工することで達成できるが、より気密性を増すために、気密テープや気密パッキン材、シーリング材などの気密補助材を用いて隙間部を埋めてもよい。また、一般的な天井仕上げ方法であるクロス貼りによっても気密性を達成することができる。
以上説明した実施形態では、冷房装置である送風装置3が運転されると、居室空間L内から空気が吸引され、冷却されてダクト4を通って空気層R内に送り込まれる。空気層R内に送り込まれた空気は、対向する繊維シート状物1に向かうが、繊維シート状物1が適度の通気性を有しているので、大部分は繊維シート状物1を通過せずに空気層Rの中を水平方向に広がり、繊維シート状物1のほぼ全面に均一に行き渡って、繊維シート状物1を通過して居室空間L内に向けてほぼ均一でゆっくりとした風速で下方に向けて対流する。
従って、一般的な対流式冷房と比較して、居住者は、身体に当たる風をほとんど感じることがなく、強風によって冷え過ぎることもない上、皮膚表面から水分を奪われにくく、肌が乾燥しにくい。また、冷気がゆっくりと対流するために、一般の対流式冷房よりも居室内の温度変動が大幅に小さくなる。従って、丁度良くなったり暑くなったり、あるいは、丁度良くなったり寒くなったりを繰り返すことはなく、居室内の人にとって常に快適な室温を保つことができる。更に、冷気は上から下へと落下するため、上下方向の温度分布が非常に小さくなる。従って、一般的な対流式冷房のように足元だけが冷え過ぎることはなく、長時間着座していても快適な冷房効果を感じることができる。
また、天井輻射型の冷房と比較しても、対流によって冷気が居室全体に行き渡るため、涼しい場所とそうでない場所との斑は生じにくく、どの場所でも快適な冷房効果を感じることができる。更に、対流式であるため、冷やされた空気が室内に流れることによって室内が冷却されるため、運転開始からの室内の温度が安定するまでの時間が短く、すぐに冷房の効果を感じることができる。
尚、図1では、ダクト4が一本のみ示されているが、特に居室が広い場合などは、複数本のダクト4を用いてもよいことは言うまでもない。例えば、空気層Rの複数の箇所に同時に空気が送り込まれるようにするために、送風装置3に一端が接続されたダクト4の他端側を、分岐チャンバーを介して複数のダクトに分岐させ、各分岐ダクトの先端を空気層Rの複数の箇所に接続するようにすることができる。また、ダクト先端(空気吹出口5)の空気層Rへの接続は、ダクト先端を天井裏側仕切り材2の開口部に直接取り付けるようにしてもよいが、天井裏側仕切り材2の開口部に吹き出しチャンバーを設け、そのチャンバーにダクト先端を接続するのが、施工が容易で好ましい。
更に、空気層Rの近辺に送風装置3を設置することにより、ダクト4を使用せず、送風装置3から空気層Rに直接空気を送り込むようにしてもよい。
また、図示例では、空気層Rは、送風装置3が設置されている場所を除き、天井面のほぼ全面に渡って設けられているが、送風装置3を天井面から離間した場所に設置する等により、天井面の実質的にほぼ全面を繊維シート状物1によって構成することもできる。また逆に、送風装置3の設置とは無関係に、空気層Rを天井面の一部分だけに設けてもよいし、一室に対して複数の空気層Rを設け、一基の送風装置3から各空気層Rに空気を送り込むようにすることもできる。
次に図4(a)〜(b)及び図5(a)〜(b)を参照しながら本発明の第二の実施形態に係る建物の室内空間の仕切り構造を説明する。
図中10は、天井面全体に渡って敷設されている天井材を構成する板状部材であり、その上部、つまり天井裏には、冷房装置である送風装置(図示せず)が設置されている。そして、板状部材10の所定位置には開口部10aが形成され、一端が送風装置の送風口に接続されたダクト11の他端が該開口部10aに密封して接続されている。また、板状部材10の下面(天井面)には、矩形枠状のパイプ材12aと該パイプ材12aの内側縁部に一辺縁部が接合され他辺が矩形枠内側に位置せしめられたアングル材12bとからなるフレーム(取り付け枠)12が、アングル材12bの他辺を板状部材10に取り付けられて設けられており、ダクト11の他端が接続された開口部10aは、この矩形枠状のフレーム12に囲まれた内側部分に位置している。
そして、図5に示されるように、フレーム12に、第一の実施形態における場合と同様の天井仕切り面を構成する繊維シート状物13が、フレーム12全体を下から覆って被せられ、フレーム12に着脱自在に取り付けられており、板状部材10、フレーム12、繊維シート状物13によって、空気層Rが形成される。ここで、フレーム12への繊維シート状物13の取り付け方法は、着脱自在とできるならば、マジックテープで接着する方法、金属や樹脂製のフック状物で引掛ける方法、ボルトやナットで接合する方法、周囲を巾着状に縫製し紐を絞って取り付ける方法、繊維シート状物13の周囲に穴を設け、その穴を通してネジ等で固定する方法等、如何なる方法でも構わない。また、その際、繊維シート状物13は、例えば略四角形状の織編物からなる場合、周囲の端部がほつれない様に縫製又は溶着等の処理が行われており、取り付け枠に脱着することができる様に、周囲に取り付け枠との接合用部材が取り付けられていることが好ましい。尚、端部の融着とは、熱融着や超音波等による融着等、端部を融かしてほつれを防止することをいう。
特に、繊維シート状物13の周囲に用いる取り付け枠として、繊維シート状物13の周囲の少なくとも一部に、天井の取り付け部材と接合させるU字状、J字状やV字状等の引掛け部を有する縫製可能な樹脂製フレームを用い、該樹脂製フレームと表面材を縫製により接合すると、外観上きれいな接合部となり、又、接合部の強度も高く好ましい。尚この際、樹脂製フレームが結露しない様に、また樹脂製フレームの内側が冷気によって冷やされすぎない様にするため、樹脂製フレームの内側や、天井側に発泡樹脂、発泡ゴム、不織布、綿等の断熱材を配置することが好ましい。
ここで、フレーム12や繊維シート状物13の大きさは、空気層Rが居室天井のほぼ全体に渡って設けられるように、十分に大きいものにすることは可能であるが、居室の天井面を複数の矩形領域に分割して各領域に適度のサイズのフレーム12や繊維シート状物13等を設け、送風装置から分岐したダクト11を介して各領域に空気が送り込まれるようにすることができ、このようにすると、繊維シート状物13の着脱や洗濯等が容易となる。
第一の実施形態におけるのと同様に、この実施形態では、送風装置が運転されると、冷気がダクト11を通って空気層R内に送り込まれる。空気層R内に送り込まれた空気は、対向する繊維シート状物13に向かうが、繊維シート状物13は適度の通気性を有しているので、空気層Rの中を水平方向に広がり、繊維シート状物13のほぼ全面に均一に行き渡って整流され、繊維シート状物13を通過して居室空間L内に向けてほぼ均一でゆっくりとした風速で下方に向けて対流する。
従って、第一の実施形態における場合と全く同様の効果が得られ、居住者は快適な冷房効果を感じることができる。加えて、本実施形態では、板状部材10として通常の天井構造の天井材を利用することにより、既存の住宅の天井構造を改造して製作することができる利点がある。更に、繊維シート状物13をフレーム12に着脱自在に取り付けているので、繊維シート状物13を取り外して清掃したり家庭用洗濯機等で洗濯したりできるという利点もある。
特に、フレーム12や繊維シート状物13を複数に分割した場合は、その取り付け、取り外し、洗濯等が容易であり、便利である。また、繊維シート状物13やフレーム12の形状、配置、数、設置位置等を適宜変更することにより、天井面の意匠性を高めることもでき、複数種のデザイン等の異なる繊維シート状物を用意しておけば、繊維シート状物13を代えることにより、居室の模様替えなども可能となる。
更に、フレーム12や繊維シート状物13を複数に分割する場合、同一居室内でも場所によって冷房効果を変えたい場合など、室内環境や他の事情によっては、通気性が異なる繊維シート状物13を用いて設置場所に応じて通気性が異なるようにすることも考えられる。
また、第二の実施形態では、天井材の下面にフレーム12や繊維シート状物13を設けたが、図1に示した構造におけるように、通常の天井材より上方に板状部材を敷設してその板状部材の下面にフレーム12や繊維シート状物13を設けることもでき、その場合、第一の実施形態における場合のように通常の天井材の一部が残されて、その天井裏側が送風装置の設置場所とされている場合などには、その残された天井材の高さと繊維シート状物13の高さを同じにするのが意匠上好ましい。
以上は、天井構造に係る建物の室内空間の仕切り構造の発明の実施形態であるが、本発明は送風システム自体にも関する。よって、本発明の第三の実施形態は、建築物の内部空間に空気を送り込むための送風システムに関し、建築物の内部空間に空気を送り込むための送風装置と、送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーを具備し、前記チャンバーの下方の仕切りである側壁部は、前記送風装置から供給される空気が、空気層および繊維シート状物を経由して該下方側の仕切りである壁部全体から室内空間に分散する40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の仕切りである壁部は板状部材で構成されている。
この実施形態は、送風システムに係るものであって天井構造に係るものではないが、図1等に示される天井構造も本実施形態に係る送風システムである。すなわち、本実施形態に係る送風システムは、第一の実施形態と同様の構成を具備するもので、建築物の空間は、第一の実施形態における居室空間Lであり、送風装置は第一の実施形態における送風装置3であり、チャンバーは第一の実施形態における空気層Rであり、チャンバーの仕切りである下方側の壁部は繊維シート状物1であり、チャンバーの他の仕切りである壁部は板状部材からなる天井裏側仕切り材2及び側方板材1cである。
よって、当然ながら、本実施形態では、第一の実施形態における場合と同様の作用効果が奏される。
前記第三の実施形態において、チャンバーを、建物の室内空間の仕切り構造(または天井構造)とは無関係の部材で構成することも可能で、チャンバーの仕切りである下側壁部を繊維シート状物で形成し、その他の仕切りである壁部(上側壁部及び側壁部)を板状部材で形成し、天井に設けられた空気吹き出し口がチャンバー内の空間に直接又はダクトを介して連通するように、チャンバーを天井面に近接させて配設してもよい。このような実施形態では、住宅の天井に設置することは必須ではなく、空気の送り込みを必要とする天井又は天井相当物を備えた建築物の任意の空間に冷気等の空気を送り込む送風システムとすることができる。例えば、ビルやホテルの部屋や他の空間、地下通路等々である。
本発明の第四の実施形態は、送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーに係り、前記チャンバーの下方側の壁部は、前記送風装置から供給される空気が、空気層および繊維シート状物を経由して該下方側の壁部全体から室内空間に分散する40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の壁部は板状部材で構成されている。
この実施形態は、第三の実施形態に係る送風システムにおいて、送風装置を除いたものであり、既存の送風システムに設置して、先の実施形態におけるのと同様の効果を達成することができ、既存の送風システムをより快適なものに改造するができる。
以上の実施形態では、仕切り構造が天井に設けられ、送風装置は冷房装置で、冷気を対流させる天井構造であり、送風システムであり、送風装置であったが、本構造、システム、装置は、天井以外に壁にも適用可能である。また、冷気ではなく暖気を対流させることで、暖房として使用することも可能である。冷気の場合と比較して、高さ方向の温度分布の均一性は低下するが、風を感じにくいという点では優れた暖房効果を発揮する。また、居室の暖房において、床暖房は温度分布の均一性には優れているが、居室が暖まるまでに時間がかかるという欠点がある。そこで、床暖房と本発明に係る天井構造、送風システム、整流装置による暖房を、暖房初期のみ併用し、その後床暖房のみを使用すると、天井からの暖気で部屋を速やかに温度分布の均一な暖房環境を実現することが可能である。よって、送風装置は、冷房だけでなく暖房も兼ねた装置とするのが好ましい。
施工例
以下、本発明を施工例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。先ず、本実施例に用いられる評価及び測定方法を以下の通りである。
(1)風速測定
京都電子工業(株)製アメニティメータAM101を居室中央、床面からの高さ120cmの環境が測定できるように設置し、10分間隔でデータを自動記録する。
(2)温度測定
床表面からの高さが15cm、60cm、120cm、180cm、230cmの室温が測定できるように、居室内の4箇所(詳細は図6(c)参照)に立てた細いポールにT熱電対を固定する。居室内に設置したT熱電対を日置電機(株)製メモリハイロガー8421−50に接続し、10分間隔でデータを自動記録する。
施工例は、以下に示す立体編物Xと立体編物Yを製作し、図6のように室内空間の天井全面にこれらを積層して天井仕切り材としたものである。この積層した繊維シート状物の通気度、重量、開口率等は以下の通りであった。
通気度:347cc/cm・sec、 重量:1790g/m2、 開口率:2.4%
[立体編物X]
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から110dtex/60フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸をL1の筬に3イン1アウトの配列で、L2の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から30dtexのポリエステルモノフィラメントをオールインの配列で供給し、また、裏面の編地を形成する筬(L5)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をオールインの配列で供給した。
(編組織1)に示す編組織で、機上コース33コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、編密度が41コース/2.54cm、20ウエール/2.54cm、厚みが3.1の立体編物Xを得た。
(編組織1)
L1:2022/2422/2022/2444/6866/
6466/6866/6444/
L2:6866/6466/6866/6444/2022/
2422/2022/2444/
L3:2020/0202/
L4:2220/2224/
[立体編物Y]
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間12mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、連結糸用の筬(L3、L4)から200dtexのポリエチレンテレフタレートモノフィラメントを、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1、L3、L5の筬に1イン1アウトの配列で、L2、L4、L6の筬に1アウト1インの配列で供給した。
(編組織2)に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、編密度が32コース/2.54cm、12.6ウエール/2.54cm、厚み8mmの立体編物Yを得た。
(編組織2)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/
2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/
4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:4242/4646/4242/810810/4242/4646/
6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L4:6868/6464/6868/2020/6868/6464/
4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/
2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/
4446/4442/4446/4442/4446/4442/
(建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)の施工)
約8畳の居室に図6(a)〜(c)に示すような天井構造(送風システム)を施工した。図中、20は天井仕切り材を構成する繊維シート状物、21は板状部材、22はエアコン室内機(三菱電機製 三菱ハウジングエアコンMBZ−28PSを使用)、23はダクト、24は吹き出し部、25は換気扇である。図から分かるように、板状部材21に複数の開口部を形成し、それに連通させて複数の吹き出し部24を設け、ダクト23の一端をエアコン室内機22の送風口に、他端を、分岐手段を適宜介して分岐させて各吹き出し部24に接続した。また、繊維シート状物20は板状部材21の下方に一定間隔を開けて設け、板状部材21と繊維シート状物23の間に空気層Rを形成したが、この実施例では、板状部材21に支持部材26を介して固定用フラットバー27を取り付け、このフラットバー27によって繊維シート状物20を支持した。繊維シート状物20としては、実施例1で製作した立体編物Aと立体編物Bの積層体を、立体編物Aが居室側、立体編物Bが空気層R側になるようにして敷設した。尚、繊維シート状物20は、エアコン室内機22が設置されている部分を除き、居室のほぼ全域をカバーするようにして敷設した。
(冷房試験)
上記建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)において、設定温度を25℃、風量自動として午前9時から午後18時まで冷房運転を実施した。運転中の外気環境は、平均温度が27.1℃、平均相対湿度が70.8%であった。
この冷房運転の結果を図7(a)、図8(a)、図9(a)に示す。図7(a)は、居室中央部に設置した風速計28によって測定した風速を示し、図8(a)は居室中央部の温度変化を示し、図9(a)は、居室の4箇所に設けた温度分布測定手段29によって測定した居室内4箇所の各高さの平均(午前10時から午後18時)の温度分布を示す。
図7(a)からも分かるように、居室中央部の平均風速は、0.02m/sであり、室内にいても肌に風が当たることを殆ど感じることがなかった。また、図8(a)の温度の経時変化に示されるように、運転中の温度変動は小さく、丁度良い設定温度にすると長時間室内に居てもずっと心地良い涼しさが持続した。また、居室内の温度が安定するまでに要した時間はおよそ15分であり、涼しく感じるまでに長い時間が掛かることはなかった。更に、図9(a)に示されるように、垂直方向、水平方向共に温度分布は殆どなく、長時間椅子に着座していても足元が冷えすぎることはなかった。
(従来のエアコンによる冷房試験)
施工例で使用した居室に、図6(c)に示すように、一般的に使用されている壁掛け型の対流型冷暖房装置(ダイキン工業(株)製ダイキンエアコンS28GTSS−W(C))30を設置し、設定を温度25℃、風量自動、風向き自動として午前9時から午後18時まで冷房運転した。運転中の外気環境は、平均温度が28.2℃、平均相対湿度が68.7%であった。そのときの居室中央部の風速測定結果を図7(b)に、居室中央部の温度変化を図8(b)に、居室中央の高さ方向の平均(午前10時から午後18時)の温度分布を図9(b)に示す。
図7(b)に示されるように、居室中央部の平均風速は、0.2m/s、最大風速が0.4m/s近くにもなり、肌に風が当たるのが感じられた。また、図8(b)に示されるように、設定温度になると停止し、温度が上がると再び運転することを繰り返すため、冷房運転時の温度変動が大きく、室内に長時間いると丁度良い涼しさのときもあれば、寒くなったりあるいは暑くなったりして、常に快適と感じられることはなかった。更に、図9(b)に示されるように、上下方向の温度差が大きく、居室内で椅子に20分ほど座っていると足元がかなり冷えてしまった。
次に、本発明に用いられる繊維シート状物の態様を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本実施例に用いられる各特性の評価及び測定方法を以下にまとめる。
(1)通気度(cc/cm・sec)
JIS−L−1096フラジール法に準じて測定する。
(2)重量(g/m
繊維シート状物を10cm角切り取り、重量W(g)を測定し、1m当たりの重量に換算する。
重量(g/m)=W×100
(3)開口率(%)
繊維シート状物の表側(室内側)又は裏側の拡大写真(5〜20倍)を直角方向から撮影して10cm角の写真(又は撮影写真のコピー)を得て、写真(又はコピー)から単位面積に占める開口部の面積比率を画像処理や重量比等により算出する。2重織編物の場合は表裏の織編物を貫通している開口部の面積比率とする。
(4)伸長率(%)、伸長残留歪(%)
繊維シート状物を30cm×5cm(幅)にサンプリングして、サンプルの一端をチャックに固定して吊るした状態で20cmの間隔に印を付ける。サンプルのもう一端に荷重1.5Kgfの荷重をかけて吊るし、5分後に印間の長さL1を測定する。その後荷重を取り除き、1分後の印間の長さL2を測定し、次の式に従い伸長率、伸長回復率を算出する。
伸長率(%)=(L1−20)/20×100
伸長残留歪(%)=(L2−20)/20×100
(5)整流性
繊維シート状物の周囲約1cmを裏側に2重に折りたたんで縫製し、180cm角の端部縫製品を得る。さらに周囲に1cm幅のマジックテープ(凹側)を縫い付け、フレームに脱着可能な繊維シート状物とする。
繊維シート状物を直径28mmのアルミパイプからなる180cm角の略正方形状のフレーム(4隅は曲率半径30mmの弧状)を作製し、周囲(外側の辺)にマジックテープ凸側を貼付する。繊維シート状物にやや張力をかけながら、繊維シート状物の表側が室内側となる様に周囲のマジックテープを接合する。繊維シート状物が伸びずに張れない場合は、繊維シート状物の寸法を大きくする。
前記のフレームに取り付けられた繊維シート状物を、天井裏に空調機を有する8畳の広さの部屋の天井中央部に繊維シート状物として固定する。尚、繊維シート状物の裏側は、10cmの間隔を開けて凹状に繊維シート状物を囲う状態で断熱材が配置されており、断熱材の中央部から天井裏に設置した空調機により送風ダクトを通して温度調整された空気が送風される送風口(直径100mm)が設けられている。
外気温が28〜29℃の日中に空調機の温度設定を25℃とし、空調機を運転して30分後の、繊維シート状物の中央部(床から1.2mの高さ)の温度と、中央部から横に1m離れた場所での温度差を測定する(差が小さいほど、整流性良好)。
(6)風速制御性
繊維シート状物を180cm×83cmの長方形に裁断し、長辺側にJ字のポリブチレンテレフタレート製樹脂フレームを縫製で取り付け、又、短辺側は長さを3等分した2ヶ所に被係合ホック部(凹側)を取り付けた繊維シート状物パネルを得た。J字の樹脂フレームを含めた寸法は180cm×85cmとした。
天井裏に空調機を有する8畳の広さの部屋の天井中央部に、25cm×20cmの吹出し口を設け、空調機の送風口と天井の吹出し口をφ150mmのフレキシブルダクトにより接続した。天井面には吹出し口を中央に挟み、90cmの距離で平行となる様に、長さ180cmのアルミ製H型レールをビス止めし、又、平行したアルミ製H型レールの両端(2ヶ所)を結ぶ様に、長さ86cmで長さを3等分した2ヶ所に係合ホック部(凸側)を取り付けたアルミ製レールを天井にビス止めした。
尚、被係合ホック部、係合ホック部は、衣服などの合わせ目に用いる凹凸2個一組の円形の小さな留め金具、鉤(かぎ)状または丸形の留め金(スナップ(snap)、ホック(hook)と呼ばれるもの)を使用している。
繊維シート状物に張力をかけて引張りながら、繊維シート状物パネルの2辺の樹脂フレームのフック部分を天井面の2列のアルミ製H型フレームに引掛けて、繊維シート状物パネルを天井に張った。更に、繊維シート状物パネルの短辺側の係合ホック部と、天井面のアルミ製レールの被係合ホック部を固定し、繊維シート状物パネルの短辺側の端部2ヶ所の表側を、幅5cm×長さ90cmの樹脂カバー材で覆い、繊維シート状物を装着した天井空調システムを作製した。本天井空調システムを図10に示す。
空調機を冷房運転し、天井の吹出し口から1.0m/sの風速で冷風を送る場合に、繊維シート状物の中央部(吹出し口中央部)から2cm離れた位置の2分間の風速を測定し、平均値を求めた。風速の平均値に基づき、以下の基準で風速制御性を評価する。
◎:風速0.1m/s未満で人が風を感じ難い
○:風速0.2m/s未満で人が殆ど風を感じ難い
△:風速0.2m/s以上0.3m/s未満で人がやや風を感じる
×:風速0.3m/s以上で人がかなり風を感じる
(7)空調効率
(5)と同様の条件で空調機を運転し、表面材の中央真下、床上1.2mの温度を運転10分後と運転60分後で測定し、10分後と60分後の温度差を測定する(差が小さいほど空調効率良好)。
(8)防透け性
マクベス社製分光光度計CE−3000を用い、色差色=CIELab、光源=C、視野=2度の条件で、10mm×5mmの測定窓に、裏側に標準白板をあてた状態で表面材を固定して、3回測色してL値を測定する。さらに、表面材の裏側に標準黒板をあてた状態で同様にL値を測定し、白板と黒板をあてた状態でのL値の差の絶対値△Lを求める。
(9)フレームへの張りやすさ
(5)で用いたフレームへの張りやすさを、下記の4段階で評価する。
◎:全くシワや弛みがなくきれいに張れる、
○:殆どシワや弛みがなくきれいに張れる、
△:ややシワや弛みが入り易く、きれいに張るのに苦労する、
×:かなりシワや弛みが入り易く、きれいに張れない。
(10)洗濯後のシワ
JIS−L−1018の家庭用洗濯(103法)にて、(5)で縫製して作製した繊維シート状物を洗濯ネットに入れた状態で洗濯し日陰干し乾燥した後のシワの状態を、下記の4段階の基準で外観評価する。
◎:シワが殆どない、
○:シワがややあるが気にならない、
△:シワがやや多くやや外観が悪い、
×:シワがかなり多く、非常に外観が悪い。
本発明に用いる繊維シート状物を実施例に基づいて説明する。
<実施例1>
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.5mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から56dtex/18フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3、L4)から33dtexのポリエステルモノフィラメントをオールインの配列で供給し、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、110dtex/60フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸をL5の筬に3イン1アウトの配列で、L6の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給した。
(編組織1)に示す編組織で、機上コース33コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物Aを得た。
(編組織1)
L1:0000/8888/
L2:2022/2422/
L3:4624/2042/
L4:2042/4624/
L5:6664/6668/6664/4420/2224/2220/
2224/4468/
L6:2224/2220/2224/4468/6664/
6668/6664/4420/
立体編物Aからなる繊維シート状物の各種物性値を表1に示す。
Figure 2009091887
本繊維シート状物は、冷気の拡散性、整流性が良好で室内が均一な温度になり易く、また、目標温度に到達する時間も短く、空調効率の高いものであった。更には、下にいる人が殆ど風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
また、本繊維シート状物はシワや弛みがなくフレームにきれいに張れるものであり、さらには洗濯後のシワも殆どないものであった。
<実施例2>
実施例1の立体編物において、L1の筬を取り除き表面の編組織を(編組織2)とし、更に乾熱ヒートセット幅出し率を上げた以外は立体編物Aと同様にして立体編物Bを得た。
(編組織2)
L2:2022/2422/
立体編物Bからなる繊維シート状物の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は、冷気の拡散性、整流性が良好で室内が均一な温度になり易く、また、目標温度に到達する時間も短く、空調効率の高いものであった。更には、下にいる人が殆ど風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
また、本繊維シート状物はシワや弛みがなくフレームにきれいに張れるものであり、さらには洗濯後のシワも殆どないものであった。
<実施例3>
実施例1の立体編物において、表面の編地を形成する筬(L1、L2)及び裏面の編地を形成する筬(L5、L6)に167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を供給し、表面編組織を(編組織3)とした以外は実施例1と同様にして立体編物Cを得た。
(編組織3)
L1:2022/2422/
L2:4644/2022/
立体編物Cからなる繊維シート状物の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は、冷気の拡散性、整流性が良好で室内が均一な温度になり易く、また、目標温度に到達する時間も短く、空調効率の高いものであった。更には、風速制御性が極めて良好で、下にいる人が全く風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
また、本繊維シート状物はシワや弛みが殆どなくフレームにきれいに張れるものであり、さらには洗濯後のシワも少ないものであった。
<実施例4>
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.2mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/18フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維の仮撚糸をオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3)から56dtexのナイロンモノフィラメントをオールインの配列で供給し、又、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸をL5の筬に3イン1アウトの配列で、L6の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給した。
(編組織4)に示す編組織で、機上コース31.8コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物Dを得た。
(編組織4)
L1:2022/2422/
L2:4644/2022/
L3:2020/0202/
L5:6664/6668/6664/4420/2224/2220/
2224/4468/
L6:2224/2220/2224/4468/6664/
6668/6664/4420/
立体編物Dからなる繊維シート状物の各種物性値を表1に示す。
本繊維シート状物は、冷気の拡散性、整流性が良好で室内が均一な温度になり易く、又、目標温度に到達する時間も短く、空調効率の高いものであった。更には、風速制御性が極めて良好で、下にいる人が全く風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
又、本繊維シート状物はシワや弛みが殆どなくフレームにきれいに張れるものであり、さらには、高密度であるにも係わらず連結糸がナイロンで柔らかいため洗濯後のシワも殆どないものであった。
<実施例5>
22ゲージのダブル丸編機により、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を用い、ダブルジャージィの生機を作製した後、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行った。
得られたダブルジャージィからなる繊維シート状物の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は、冷気の拡散性、整流性が良好で室内が均一な温度になり易く、また、目標温度に到達する時間も短く、空調効率の高いものであった。更には、下にいる人が殆ど風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
また、本繊維シート状物はシワや弛みが殆どなくフレームにきれいに張れるものであり、さらには洗濯後のシワも少ないものであった。
<実施例6>
40番の綿/ポリエステル混紡糸を用い平織物の作製し、70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行った。
得られた平織物からなる表面材の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は、空調効率が若干悪いが、整流性が良好で、下にいる人が殆ど風を感じることなく、快適に過ごせるものであった。
但し、洗濯後に若干シワが入り易く、また伸度が少ないためにフレームに張る際にシワや弛みがやや入り易いものであった。
<比較例1>
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間5.6mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から334dtex/96フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工を、連結糸用の筬(L3、L4)から200dtexのナイロンモノフィラメントを、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート原糸を、L1、L3、L5の筬に1イン1アウトの配列で、L2、L4、L6の筬に1アウト1インの配列で供給した。(編組織4)に示す編組織で、機上コース22コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物Dを得た。
(編組織4)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/
2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/
4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:4242/4646/4242/810810/4242/4646/
6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L4:6868/6464/6868/2020/6868/6464/
4242/4646/4242/810810/4242/4646/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/
2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/
4446/4442/4446/4442/4446/4442/
得られた立体編物Dからなる繊維シート状物の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は整流性が非常に悪く局部的に冷風が送風され、下にいる人が不快な風を感じるものであった。
<比較例2>
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.5mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2、L5、L6)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸をオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3、L4)から33dtexのポリエステルモノフィラメントをオールインの配列で供給した。
(編組織5)に示す編組織で、機上コース33コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物Eを得た。
(編組織5)
L1:2022/4644/
L2:2422/2022/
L3:2420/4246/
L4:4246/2420/
L5:2224/2220/
L6:4420/2246/
立体編物Eからなる繊維シート状物の各種物性値を前記の表1に併せて示す。
本繊維シート状物は、整流性は良好で下にいる人が殆ど風を感じることがなかったものの、室内が目標温度に達するまでに時間がかかり空調効率が悪いものであった。
また、本繊維シート状物はシワや弛みが殆どなくフレームにきれいに張ることが難しく、さらには洗濯後のシワも激しいものであった。
<比較例3>
空気が通過する織布として、167dtex/144フィラメントのポリエステル繊維を用い、経密度167本/2.54cm、緯密度126本/2.54cm、通気度25cc/cm・secの織物を表面材として使用した。本表面材は、整流性については良好で下にいる人が殆ど風を感じることがなかったものの、室内が目標温度に達するまでに非常に時間がかかり空調効率が悪いものであった。
又、本表面材はシワや弛みが殆どなくフレームにきれいに張ることが難しく、さらには洗濯後のシワも激しいものであった。
本発明の建物の室内空間の仕切り構造、送風システム、チャンバーは、身体にあたる風をほとんど感じず、居室等の空間内の温度変動がほとんどない上、上下方向の温度分布が小さいため快適な温度を保持できるという、建築物内の人にとってより快適な対流による冷房等を行うことができるものである。よって、住宅建物はもとより、より一般の建築物にあって送風を必要とされる場所に幅広く利用できる。
本発明の第一の実施形態に係る建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)を示す概略図である。 本発明の仕切り構造の種々の実施形態を示す模式図である。 繊維シート状物の通気抵抗を説明するための模式図で、(a)は通気抵抗が少な過ぎる場合、(b)は通気抵抗が適度である場合、(c)は通気抵抗が大き過ぎる場合をそれぞれ示す。 本発明の第二の実施形態に係る建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)を示す概略図で、(a)は繊維シート状物を敷設していない状態の側面図、(b)は(a)を下から見た図である。 図4と同様の図で、(a)は繊維シート状物を敷設した状態の側面図、(b)は(a)を下から見た図である。 本発明の施工例に係る建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)のb部の拡大図、(c)は平面図である。 冷房試験の結果を示すグラフで、(a)は施工例3に示した本発明の天井構造での冷房試験による風速を示し、(b)は従来のエアコンでの冷房試験による風速を示す。 図7と同様のグラフで、(a)は施工例3に示した本発明の建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)での冷房試験による居室内の温度変化を示し、(b)は従来のエアコンでの冷房試験による居室内の温度変化を示す。 図7と同様のグラフで、(a)は施工例3に示した本発明の建物の室内空間の仕切り構造(天井構造)での冷房試験による温度の高さ分布を示し、(b)は従来のエアコンでの冷房試験による温度の高さ分布を示す。 風速制御性を評価するために構築した天井空調システムの模式図である。
符号の説明
L 居室空間
R 空気層
G 隙間
1、13、20 繊維シート状物
2 板状部
2a 板状部材
2b 板状部材(側方板部材)
3 送風装置
4、11、23 ダクト
5 空気吹き出し口
7 接合手段7
10、21 板状部材
10a 開口部
12a パイプ材
12b アングル材
12 フレーム(取り付け枠)
22 エアコン室内機
24 吹き出し部
25 換気扇
26 支持部材
27 フラットバー
28 風速計
29 温度分布測定手段
30 対流型冷暖房装置
31 繊維シート状物取付用H型フレーム
32 繊維シート状物取付用樹脂フレーム

Claims (10)

  1. 建物の室内空間の天井又は壁に設けられる仕切り構造であって、前記仕切り構造は、
    天井裏側又は壁体側に板状部材で形成される板状部と、
    板状部を覆って室内空間に面する繊維シート状物と、を有し、
    前記繊維シート状物は、その通気度が40〜650cc/cm・secであり、
    前記板状部には、開口部が設けられ、該開口部には送風装置の送風口が接続され、
    前記送風装置から供給される空気が、繊維シート状物を経由して室内空間に分散する
    ことを特徴とする建物の室内空間の仕切り構造。
  2. 前記板状部と前記繊維シート状物との間に空気層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  3. 前記繊維シート状物が前記板状部に直接張り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  4. 前記繊維シート状物が、開口率が0.2〜35%である繊維シート状物で構成されることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  5. 前記繊維シート状物が、2重構造の織編物である繊維シート状物で構成されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  6. 前記繊維シート状物が、表裏2層の編地とこれらを連結する連結糸から構成された立体編物である繊維シート状物で構成されることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  7. 前記繊維シート状物が、タテ方向及び又はヨコ方向の伸度が6〜120%である繊維シート状物で構成されることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  8. 前記繊維シート状物が、測色計で測定される明度差△L値が3〜20である繊維シート状物で構成されることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の建物の室内空間の仕切り構造。
  9. 建築物の内部空間に空気を送り込むための送風装置と、送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーを具備し、
    前記チャンバーの前記内部空間側の仕切りは、40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の仕切りは板状部材であり、板状部材と繊維シート状物により形成される空気層を有し、
    送風装置から供給される局所的な気流が、繊維シート状物を経由して建築物の内部空間に分散する
    ことを特徴とする送風システム。
  10. 送風装置の送風口が接続されると共に建築物の内部空間に位置せしめられるチャンバーであって、
    前記チャンバーの前記内部空間側の仕切りは、40〜650cc/cm・secの通気度の繊維シート状物によって形成され、前記チャンバーの他の仕切りは板状部材であり、板状部材と繊維シート状物により形成される空気層を有し、
    送風装置から供給される局所的な気流が、繊維シート状物を経由して建築物の内部空間に分散する
    ことを特徴とするチャンバー。
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